商標異議申立
2023-900053
ノーネームミー、ノーネーム、ミー
- 審判番号
- 2023-900053
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2022-114315
- 登録番号
- 6655324
- 請求日
- 2023年02月27日
- 審決日
- 2024年01月11日
- 公報発行日
- 2024年03月29日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社ZIPANGU
- 【権利者代理人】嶋崎 英一郎
- 【異議申立人】ロチュロ アップル シューズ ソシエテ パ アクシオンス シンプリフィエ
- 【異議申立人代理人】瀧野 文雄
- 【異議申立人代理人】江成 文恵
- 【異議申立人代理人】加藤 智子
- 【異議申立人代理人】赤岩 美紀
- 【異議申立人代理人】今井 貴子
- 審判長/審判官
- 審判長 大森 友子
- 審判官 小俣 克巳
- 審判官 石塚 利恵
- 分類
- T1652.261-Y (W25) / T1652.262-Y (W25) / T1652.263-Y (W25)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第4条、商標法第43条の2第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
登録第6655324号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6655324号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6655324号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、令和4年10月5日に登録出願、別掲2のとおりの商品を指定商品として、同年12月1日に登録査定され、同月21日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録第5873340号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲3のとおりの構成よりなり、平成28年2月23日に登録出願、第25類「くつ」を指定商品として、同年8月12日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標の指定商品中、第25類「全指定商品」(以下「申立商品」という。)は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第24号証(枝番号を含む。)を提出した。
なお、申立人は、令和5年6月1日付け手続補正書により、本件異議申立の対象となる商品の区分及び指定商品を第25類「履物」に補正した。
1 申立人及び申立人のブランドについて
申立人は、1870年にフランスのロワール地方で創業した老舗シューズメーカーであり、4代目であるロチュロ兄弟が1991年に新たに設立したレディースシューズブランドが、引用商標である「NO NAME(決定注:態様は別掲3のとおり。)」(ノーネーム)ブランド(以下「申立人ブランド」という。)である(甲3)。申立人は、日本においても申立人の製造・販売に係る商品であるスニーカー等について引用商標を実際に使用している(甲4)。
申立人ブランドの商品は、2023年5月現在で、有名百貨店を始めとして、全国110店舗以上で取り扱われており(甲4、甲5)、引用商標を付した又は引用商標のブランドの下で販売されたスニーカー等は、上記実店舗や通信販売を通じて、多くの場合、一足あたり2万円を超える価格で販売されている(甲4、甲6)。
国際登録第1596299号商標の登録手続きにおいて特許庁に提出した、申立人の代表者による申立人ブランド製品の2014年ないし2022年8月31日の売上高についての宣誓書の写し(甲7)によれば、申立人ブランドの日本での売上高は、2020年から2022年8月末日までの過去2年半強をみても、毎年2億円近くの売り上げを記録しており、主として高級志向の需要者をターゲットとして安定してその商品が販売されている事実が確認できる。
また、インターネットにおけるGoogle検索にて「NO NAME」をキーワード検索した検索結果の1ページ目(甲8)によると、申立人の商品を販売する者のスポンサーリンクが最初の3つとして挙げられているほか、ほとんどが申立人の商品を販売する卸・小売業者のサイトが検索結果として挙げられている。つまり、これは日本の一般需要者において申立人ブランドが申立人の業務又は商品を表示するものとして把握されてきている証左であるといえる。
なお、2010年10月から2020年4月までに申立人の商品を取り上げたインターネット記事や新聞記事等をまとめた申立人作成に係るプレスブック(甲9)を見ても、引用商標及び申立人の商品が、2010年以降、着実に日本の一般需要者の中に浸透してきたことが伺える。
2 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標について
本件商標は、「NO NAME_ME」の欧文字を一般的な書体で表してなるところ、その外観上、「NO NAME」の欧文字と「ME」の欧文字との間には、「_」(アンダーバー)が存在してなることから、その構成は、前半の「NO NAME」の欧文字部分と後半の「ME」の欧文字部分とに分離して看取されるものである。
そして、本件商標の前半を構成する「NO NAME」の欧文字は、「いいえ」や「なし」を意味する「NO」と「名前」を意味する「NAME」という極めて平易な英語から構成されているから、「名前のないブランド」との意味合いで認識、把握されるか、又は、上記1において示すとおり、申立人ブランドがスニーカー等において日本の需要者に一定程度知られたものであるといえることから、申立人所有の「ノーネームブランド」(申立人ブランド)の意味合いが生ずるとみるのが相当であるといえ、「NO NAME」の文字のみで、自他商品の識別標識としての機能を十分に発揮するものである。
一方、本件商標の後半を構成する2文字の欧文字「ME」については、それのみでは極めて簡単で、かつ、ありふれた標章といわざるを得ないものであり、また、一般的には、欧文字2字は商品の品番、型番、種別、形式、企画(決定注:「規格」の誤字と認める。)等を表す記号又は符号として取引上普通に採択・使用されている実情がある上、申立商品の分野においても、商品の品番、型番、モデル番号、シリーズ等を表示するものとして、同様に採択、使用されている実情がある(甲10~甲18)。
そうすると、当該2文字の欧文字部分は、自他商品の識別標識としての機能を発揮しないか、極めて弱いものであり、当該文字部分のみから、商品の出所識別標識としての称呼、観念は生じないとみるのが相当である。
そして、本件商標は、その構成中の「NO NAME」の欧文字部分が、取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものというべきであるから、本件商標は、その構成中の「NO NAME」の欧文字部分を要部として抽出し、この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することが許されるものといえる。
したがって、本件商標は、その構成中の要部である「NO NAME」の欧文字に相応して、「ノーネーム」の称呼を生じるものであり、「名前のないブランド」又は上記1のとおりの申立人の日本における取引状況を踏まえ、申立人の「ノーネームブランド」(申立人ブランド)との観念を生じさせるものである。
(2)引用商標について
引用商標は、別掲3のとおりの構成よりなり、2つ目の欧文字は、「O」(ラテン文字のスラッシュ付き「O」。以下同じ。)とよく似た文字であり、まとまりよく一体に表されている態様から、商標全体で「NO NAME」と把握でき、「いいえ」や「なし」を意味する「NO」と、「名前」を意味する「NAME」という極めて平易な英語に相応し、引用商標全体として「名前のないブランド」との意味合いが認識、把握されるか、又は、上記1のとおりの申立人の取引状況により、申立人の所有に係る「ノーネームブランド」(申立人ブランド)との意味合いが生ずるとみるのが相当であるといえる。
したがって、引用商標は、その構成文字に相応して「ノーネーム」の称呼を生じるものであり、「名前のないブランド」又は申立人の所有に係る「ノーネームブランド」(申立人ブランド)との観念を生じさせるものである。
(3)本件商標と引用商標との類否について
本件商標の要部と引用商標との類否についてみるに、本件商標は、別掲1のとおり、その構成から、前半の「NO NAME」の欧文字部分と後半の「ME」の欧文字部分とに分離して看取されることに加え、その前半を構成する「NO NAME」の欧文字が独立して自他商品の識別標識としての機能を十分に発揮し得るものであって、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであるのに対し、後半を構成する「ME」の欧文字は、自他商品の識別標識としての機能を発揮しないか、極めて弱いものであり、当該文字部分のみから、商品の出所識別標識としての称呼、観念は生じないと認められるものであるから、前半の「NO NAME」の文字部分を、他人の商標と比較して商標全体の類否を判断することが許されるものである。
そうすると、本件商標は、 その要部である「NO NAME」の文字部分から「ノーネーム」の称呼を生じるものであり、一方、引用商標は、上記(2)のとおり、「ノーネーム」の称呼を生じるものであるから、両者は称呼を共通にするものである。
また、外観については、本件商標の要部である「NO NAME」の文字と、引用商標は、「O」の文字にスラッシュの有無という若干の相違がみられるものの、これは格別顕著な相違とはいえないものであり、他方、両者は「O」の若干の相違以外、同一の構成文字と同一の順序からなるものであるから、外観上、近似した印象を与えるものである。
そして、観念については、両者はいずれも「名前のないブランド」又は申立人の所有に係る「ノーネームブランド」(申立人ブランド)との観念を生じさせるものである。
そうすると、本件商標と引用商標とは、外観上、近似した印象を与えるものである上、称呼及び観念を共通にするものであることから、これらの外観、称呼及び観念によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は、商品の出所について誤認混同を生じるおそれのある、互いに類似の商標というのが相当である。
(4)本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否について
申立商品である第25類「履物」は、引用商標の指定商品である第25類「くつ」と同一又は類似の商品である。
(5)特許庁のこれまでの審判例
申立人の主張が正しいことは、特許庁のこれまでの審判例を見ても明白である。
本件商標と引用商標のように、主として欧文字2文字(又はハイフンと欧文字2文字)の有無について差異がある商標同士が比較された審判事件において、欧文字2文字は、商品の品番、型番等を表示するための記号、符号等として、一般的に広く採択、使用されていることから、各商標構成中の欧文字2文字部分は、その一類型と認識され得るものであり、自他商品の識別標識としての機能を有しないか又は極めて弱いといえるとされ、全体として両者は類似すると判断し、本件商標が拒絶となった例がある(甲19~甲24)。
3 むすび
本件商標は、引用商標と類似のものであり、また、その指定商品も同一又は類似のものである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1第11号に違反してされたものであるから、商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものである。
第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)引用商標の周知著名性について
ア 事実
(ア)「NO NAME」ブランド(申立人ブランド)は、1991年に、申立人の4代目のロチュロ兄弟が立ち上げたレディースシューズブランドであり(甲3)、申立人は、申立人のプレスブック(甲9)の表紙や申立人の製造に係る「NO NAME」のスニーカー等(以下「申立人商品」という。)の販売に係るウェブサイト(甲4)において、市松模様の図形とともに引用商標を表示する等している。
(イ)申立人商品は、2023年5月24日ないし29日の時点で、我が国の110店舗以上の店舗や百貨店のオンラインショッピングサイト、楽天市場及びamazonのECサイトで販売されていることは認められる(甲4~甲6)ものの、当該日付は、本件商標の登録出願日及び査定日以降のものである。
(ウ)申立人の提出に係る「宣誓書」には、2014年ないし2022年8月の期間における「「O」(決定注:「/」(斜線)付きの「O」であって、引用商標の2文字目と同態様のもの。)が付された商品の日本での売上高」、「NO NAMEブランド(申立人ブランド)全体の日本での売上高」等が記載されているが、これらの商品に引用商標が使用されていたかは明らかでなく、さらに、当該記載額を裏付ける客観的な証拠の提出もない(甲7:17ページ、18ページ)。
(エ)申立人のプレスブック(2010年10月ないし2020年4月に申立人の商品を取り上げたインターネット記事や新聞記事等。甲9)によれば、上記の約9年6月の間において約6回、引用商標を中敷きやかかと部分に付したスニーカーや、引用商標を付した包装箱の写真等が紹介されているが、記事として取り上げられた回数は多いとはいえない。
イ 判断
上記アの認定事実によれば、申立人は、1991年にフランスで、「NO NAME」(申立人ブランド)と称するレディースシューズブランドを立ち上げ、その後我が国の店舗において販売を開始したことは推認できるが、我が国における引用商標を付した商品の売上高、販売数、市場占有率など、周知著名性の基礎となる客観的な数値が把握できないばかりでなく、広告宣伝方法等も不明であることからすれば、申立人が提出した証拠からは、引用商標が、我が国において周知著名性を有していると認めることはできない。
(2)本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、「NO NAME」の文字と「ME」の文字とを「_」(アンダーバー)の記号を介して「NO NAME_ME」と表してなるところ、その構成中「NO」の文字は「少しの~もない」、「NAME」の文字は「名前」及び「ME」の文字は「私を、私に」等を意味する単語として、我が国では広く知られている平易な英単語であるが、各文字の語義を結合した意味合いは漠然としている。
また、その構成中の「_」(アンダーバー)は、記号の一種として認識されるものであるが、特定の称呼及び観念が生ずるものではない。
そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して「ノーネームミー」の称呼を生じるが、特定の観念は生じない。
なお、申立人は、我が国の需要者に引用商標のブランドが一定程度知られていることから、本件商標の構成中の「NO NAME」の文字部分が分離抽出され、当該文字から、申立人所有の「ノーネームブランド」(申立人ブランド)の意味合いが生ずる旨主張するが、上記(1)イのとおり、引用商標の周知著名性は認められないため、上記文字部分から、申立人主張の観念が生じることはない。
さらに、申立人は、本件商標の構成中、語尾の「ME」の文字について、欧文字2字は、商品の品番、型番等を表示する記号又は符号として採択、使用されていることから、当該部分は自他商品の識別標識としての機能を発揮しないか、極めて弱いものであり、商品の出所識別標識としての称呼、観念は生じない旨主張するが、上記のとおり、「ME」の文字は「私を、私に」等を意味する平易な単語として我が国では広く知られている成語であり、「NO NAME」と結合した本件商標の構成態様からすれば、「ME」の部分のみが記号又は符号として認識されるとはいい難い。
(3)引用商標
引用商標は、別掲3のとおり、「NO NAME」の欧文字(その2文字目は「/」(斜線)付きの「O」で表されている。)を横書きしてなるところ、「NO」の文字及び「NAME」の文字は、上記(2)と同様の意味を有する語である。
そうすると、引用商標は、称呼については、その構成文字に相応して「ノーネーム」の称呼を生じ、観念については、「名前が無い」ほどの意味合いを認識させるものである。
(4)本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標は、上記(2)及び(3)のとおりの構成からなるところ、外観については、2文字目の「O」の文字の図案化の有無並びに語尾における「_ME」の記号及び文字の有無の差異により、判然と区別できるものである。
次に、称呼については、本件商標から生ずる「ノーネームミー」と引用商標から生ずる「ノーネーム」とは、「ノーネーム」の音を共通にするとしても、語尾の「ミー」の音の有無に差異を有しており、7音と5音という音構成においては、この差異が称呼全体に与える影響は少なくなく、これらを一連に称呼しても語調語感が相違し、称呼上聞き誤るおそれはないものといえる。
さらに、観念においては、本件商標からは観念が生じないのに対し、引用商標からは「名前が無い」の観念が生じるから、観念において相紛れるおそれはない。
そうすると、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念において相紛れるおそれはない非類似の商標といえるものである。
その他、両商標が類似するという理由は見いだせない。
(5)まとめ
上記(4)のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、本件商標の申立商品に、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品が包含されているとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 むすび
以上のとおり、本件商標の指定商品中、申立商品の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2023-900053