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商標異議申立

2023-900044

ナノバブ

審判番号
2023-900044
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2022-111901
登録番号
6654210
請求日
2023年02月20日
審決日
2023年10月24日
公報発行日
2024年01月26日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【権利者】株式会社Grand Prix
  • 【権利者代理人】横田 裕弘
  • 【異議申立人】花王 株式会社
  • 【異議申立人代理人】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
  • 【異議申立人代理人】森田 拓
  • 【異議申立人代理人】松永 章吾
  • 【異議申立人代理人】前川 純一
  • 【異議申立人代理人】山崎 和香子
  • 【異議申立人代理人】前川 砂織
  • 【異議申立人代理人】大倉 桂子
  • 【異議申立人代理人】岡野 真未子
審判長/審判官
  • 審判長 豊瀬 京太郎
  • 審判官 板谷 玲子
  • 審判官 白鳥 幹周
分類
T1651.261-ZC (W03) / T1651.262-ZC (W03) / T1651.263-ZC (W03) / T1651.271-ZC (W03)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法4条1項15号商標法43条の3第2項商標法43条の3第4項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項第11号、商標法第3条第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

登録第6654210号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6654210号商標の指定商品中、第3類「化粧品,ヘアーコンディショナー」についての商標登録を取り消す。 本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。

理由

理 由 1 本件商標 本件登録第6654210号商標(以下「本件商標」という。)は、「ナノバブ」の文字を標準文字で表してなるものであり、令和4年9月28日に登録出願、第3類「せっけん類,シャンプー,化粧品,ヘアーコンディショナー」を指定商品として、同年12月6日に登録査定され、同月19日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第4172757号商標(以下「引用商標」という。)は、「バブ」の片仮名を横書きしてなり、平成9年2月28日に登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」を指定商品として、同10年7月31日に設定登録されたものであり、その商標権は現に有効に存続しているものである。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第87号証(以下、表記に当たっては「甲○」(「○」部分は数字)のように省略して記載する。)を提出した。 (1)商標「バブ」の周知・著名性 ア 入浴剤「バブ」の発売 申立人は、1983年(昭和58年)に日本初の炭酸錠剤入浴剤として「バブ」の販売を開始した(甲5、甲7)。炭酸ガスの効果により高い温浴効果を得られること、従来、粉末が主流だった入浴剤を錠剤の形状としたことが注目されたことなどから需要者の大きな関心・支持を集め(甲5、甲20)、発売から約40年が経過した現在も申立人の重要な商品の一つとなっている(甲5、甲7、甲20、甲21、甲23、甲41、甲61)。 イ 入浴剤「バブ」についての宣伝・広告 申立人は、1983年(昭和58年)の発売から現在に至るまで継続して入浴剤「バブ」について、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・インターネット広告及び公共交通機関における広告・宣伝を積極的に行ってきた(甲72、甲74)。 関東・関西・名古屋地区においては、年間のテレビ本数にして千数百本のテレビCMが放映されている。なお、テレビCMにおいては、人気俳優や人気タレントが起用されている。 また、朝日新聞等の全国紙、各種雑誌において広告・宣伝を行っているほか、関東地方・関西地方においては、鉄道の主要駅や鉄道車内における広告も行っている。 さらに、2017年(平成29年)には、埼玉県熊谷市の暑さ対策への協力として、「バブ」の夏用商品(冷涼クールバブ)の無料引換券を熊谷市報とともに配布するといった活動も行った(甲32、甲33)。 ウ 入浴剤「バブ」の需要者における認知度 長年にわたって活発な宣伝・広告を伴って販売されてきた結果、入浴剤「バブ」は申立人の製造・販売する入浴剤として、取引者・需要者から極めて高い人気を得ることとなった。甲3ないし甲70は、2012年(平成24年)から2020年(令和2年)までに発行された、入浴剤「バブ」が紹介されている新聞・雑誌記事の一部である。 日本経済新聞社が行った調査では、「温浴効果」「ブランド力」「リピート購入率」等の14項目中11項目で最も高い評価を得、総合評価で他社の主要入浴剤を大きく引き離してトップとなったほか(甲3、甲50)、様々な分野のロングセラー商品を紹介した記事でも大きく扱われている(甲5)ことからも、「バブ」についての我が国の取引者・需要者における認知度が極めて高いことがわかる。 エ 入浴剤「バブ」の市場におけるシェア・売上高等 「バブ」は、取引者・需要者の認知度が高いだけでなく、入浴剤市場において高いシェアを持っている事実がある。 2015年(平成27年)の「ブランド別シェアベスト5」において第1位となっている(甲48)ほか、2016年(平成28年)11月23日~12月20日の金額ベースでの売上で第1位、第2位、第4位(甲49)、2014年(平成26年)11月17日~23日の金額ベースでの売上で第1位、第2位、第4位(甲59)となっている。 また、株式会社インテージが行った調査においても、入浴剤市場における売上規模で圧倒的なシェアを持つことが明らかとなっている(甲71、甲73)。 上述のように、申立人の業務に係る入浴剤「バブ」が、1983年(昭和58年)の発売以来積極的な宣伝・広告を伴って販売された結果、入浴剤市場において大きなシェアを占めることとなり、また新聞・雑誌等でも数多く紹介されたことから、「バブ」は申立人の業務に係る商標として、我が国の取引者・需要者において周知・著名となったものである。 オ 特許庁における商標「バブ」の周知・著名性に関する認定 特許庁における審判及び審査において、申立人の業務に係る商標「バブ」の周知性・著名性が複数認定されている(甲75~甲78)。 (2)商標法第4条第1項第11号該当性 ア 本件商標と引用商標の構成 本件商標は、「ナノバブ」の片仮名を標準文字で表してなる商標であり、当該文字に呼応して「ナノバブ」の称呼を生ずるほか、後に詳述するように「バブ」の称呼が生じる。本件商標は、商標全体としては特定の観念を生じない造語として理解・認識されるものであるが、その構成中の「バブ」から「申立人の製造・販売する入浴剤のバブ」の観念を生じる。 一方、引用商標は、「バブ」の片仮名を横書きしてなるものであり、その文字に呼応して「バブ」の称呼を生じる。また「バブ」の語自体は特定の観念を生じない造語として理解・認識されるものであるが、前述のように、申立人が長年に亘って強力な宣伝・広告を伴って「バブ」を使用してきたことから、「申立人の製造・販売する入浴剤のバブ」の観念を生じる。 なお、申立人は引用商標以外にも「バブ」を含む商標を多数登録しており、現在有効に存続しているものだけでも81件の「バブ」を含む登録商標を保有している(甲79)。 イ 本件商標と引用商標の類否 (ア)結合商標の類否判断 本件商標は、「ナノバブ」の文字を一連に書してなるが、「ナノ」が「基礎となる単位の十億分の一」を意味する接頭辞であることが容易に理解できるため、「ナノ」と「バブ」の2語からなる結合商標と理解・認識されるものである。 結合商標の類否判断について最高裁判決で定立された規範(最高裁平成19年(行ヒ)第223号(同20年9月8日第二小法廷判決)、ほか)に照らして、本件商標と引用商標の類否について検討する。 (イ)本件商標と引用商標の類否 先に述べたとおり、「バブ」は申立人が1983年(昭和58年)の発売以来40年近くにわたって使用してきた商標であり、我が国の取引者・需要者において周知・著名となっているものである。 したがって、本件商標をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者及び需要者は、その構成中「バブ」の文字に強く注意を引きつけられ、申立人の著名な商標を想起するとするのが相当であるから、本件商標の構成中「バブ」の部分が取引者・需要者に対し強く支配的な印象を与えるものであると言える。 一方、本件商標の構成中「ナノ」は、前述のとおり「基礎となる単位の十億分の一」を意味する接頭辞であり、また本件商標及び引用商標の指定商品を取り扱う分野においては、超微粒子化した成分を配合した商品について「ナノ化粧品」と称して販売されていたり、超微粒子(ナノ)の大きさの材料を用いた商品に「ナノ」の文字が一般に用いられたりしている事実が、特許庁による第3類の商品を指定商品とする商標の審査においても認定されている(甲80、甲81)。 さらに、第3類「化粧品」を指定商品に含み、商標の構成中に「ナノ」「nano」を含む商標が多数、商標法第3条第1項各号で拒絶されている(甲82)。 つまり、本件商標については、申立人の周知・著名商標「バブ」と称呼上同一である「バブ」が取引者・需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与える一方、「ナノ」が商品の品質等表示と理解される識別力を欠く語であり、出所識別標識としての称呼、観念が生じ得ないことから、本件商標から「バブ」を抽出し、この部分を引用商標と比較して商標の類否を判断することは、前述の最高裁判決において定立された規範に照らし、妥当であり許されるというべきである。 本件商標の構成中、取引者・需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与える「バブ」の部分を抽出すると、この部分は引用商標と共通する「バブ」の称呼を生じ、この称呼に起因して「申立人の製造・販売する入浴剤のバブ」の観念を生じる。また、本件商標の構成中の「バブ」の部分が引用商標と外観上類似することは明らかである。 申立人の業務に係る商標「バブ」については、テレビやラジオ等音声による宣伝・広告も数多く行われており、今日においても音声のみによる商取引が行われていること、また「バブ」の高い周知性・著名性を考慮すると、「バブ」という称呼から直ちに申立人の商標「バブ」が想起されることから、本件商標と商標「バブ」の類似性は極めて高いといわざるを得ない。 したがって、本件商標は、引用商標と称呼、観念及び外観が共通し、互いに相紛れるおそれのある類似する商標である。 ウ 商品の抵触について 本件商標の指定商品中「せっけん類,シャンプー」及び「化粧品,ヘアコンディショナー」は、引用商標の指定商品中「せっけん類」及び「化粧品」とそれぞれ類似する。 エ 特許庁における判断 本件商標と同じく「ナノバブ」の文字を横書きしてなる商標についてなされた出願2件について、引用商標を始めとする「バブ」を含む商標に類似するとして拒絶理由が通知され、拒絶査定が確定している(甲78、甲83ないし甲87)。 これらは14年ほど前になされたものであるが、当時と現在とで申立人の「バブ」の周知・著名性に変わるところはなく(甲75、甲76)、また「ナノ」についてはその当時よりもむしろ現在の方が「基礎となる単位の十億分の一」を意味する接頭辞であることが取引者・需要者により知られるようになっており、また超微粒子化した成分を配合した商品が本件商標の指定商品の分野において一般的に販売されるようになっているのであるから、これらと異なる判断をすべき特段の事情は見いだせない。 オ 小括 上記より、本件商標と引用商標は称呼、観念及び外観において類似する商標であり、本件商標と引用商標の指定商品も類似するものであるから、本件商標は引用商標との関係で商標法第4条第1項第11号に該当するものである。 (3)商標法第4条第1項第15号該当性 ア 「バブ」商標の周知・著名性 商標「バブ」が申立人の商品を表示するものとして、取引者・需要者に極めてよく知られており、我が国で周知・著名となっていることは、上記(1)で述べたとおりである。 イ 混同のおそれの有無の判断基準 「混同を生ずるおそれ」の有無について、その判断基準を示した最高裁判決(最高裁平成10年(行ヒ)第85号(同12年7月11日第三小法廷判決))がある。 ウ 本件商標と商標「バブ」の混同のおそれ (ア)商標の類似性 本件商標から「バブ」の部分のみが抽出されて商標「バブ」と対比されるため、本件商標と商標「バブ」が称呼及び観念において共通する類似の商標であることは先に述べたとおりである。 仮に、本件商標「ナノバブ」が、一連一体の商標として認識されることがあるとしても、商標「バブ」の周知性・著名性に鑑みると、本件商標に接した者の印象に強く残るのは、「基礎となる単位の十億分の一」を意味する接頭辞であり、また本件商標及び引用商標の指定商品を取り扱う分野においては識別力が弱い旨が特許庁においても認定されている「ナノ」と比して格段に独創性の強い「バブ」の部分である。 そうすると、本件商標をその指定商品に使用した場合には、取引者・需要者はその構成中の「バブ」の文字に強く注意を引きつけられ、申立人の著名な商標を想起するのが相当であり、また本件商標全体として申立人商標「バブ」から生じる観念とは異なる観念を生じるような熟語的結びつきも見いだせないことから、本件商標と申立人商標「バブ」は類似するものである。 (イ)本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商標「バブ」が使用されている商品「入浴剤」との関連性 本件商標の指定商品と商品「入浴剤」は、いずれもドラッグストアや、スーパー等の小売店のバス・トイレタリー商品コーナーで販売されるものであり、販売場所が共通する商品である。 また、本件商標の指定商品も商品「入浴剤」も、ともに幅広い年代・性別の需要者が含まれており、両商品の需要者層は重複するものと考えられる。よって、両者は販売場所等を共通にし、需要者層も重複する密接な関連を有するものである。 エ 小括 申立人の業務に係る商標「バブ」は、辞書等に記載されていない、一種の造語と解される独創的なものであり、かつ長期間に亘る積極的な宣伝・広告を伴う使用により需要者間に周知・著名となっているものである。 そして、本件商標は、周知・著名商標「バブ」との類似性が高く、かつ申立人の業務に係る商標「バブ」が使用されている商品(入浴剤)と販売場所・需要者層を共通にする等密接な関連を有する指定商品について登録されていることから、本件商標に接した需要者が、その商品の出所として申立人又は申立人と何らかの組織的・経済的つながりのある者を想起するおそれが極めて高いといわざるを得ない。 したがって、本件商標は、申立人の周知・著名な商標「バブ」との間で出所の混同を生じるおそれのある商標であるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。 4 取消理由の通知 当審において、商標権者に対し、「本件商標は、その指定商品中、第3類「化粧品,ヘアーコンディショナー」について、商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、その登録は、同法第43条の3第2項の規定により取り消すべきものである。」旨の取消理由を、令和5年8月1日付けで通知し、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えた。 5 商標権者の意見 商標権者は、上記4の取消理由に対して、指定した期間内に何ら意見を述べていない。 6 当審の判断 (1)引用商標の周知・著名性について 申立人提出の証拠(甲1ないし甲87)及び同人の主張によれば、以下のことが認められる。 ア 申立人は、1983年(昭和58年)から、少なくとも2022年(令和4年)まで継続して、引用商標を使用した商品「入浴剤」(以下「申立人商品」という。)を製造販売している(甲5、甲7、甲73、甲74)。 イ 申立人商品は、2015年(平成27年)の入浴剤のブランド別シェア1位を獲得し(甲48)、2014年(平成26年)11月17日ないし23日、及び、2015年(平成27年)11月23日ないし12月20日において、各種の申立人商品が、入浴剤の金額ベースでの売上げ第1位、第2位及び第4位を占めた(甲49、甲59)ほか、2014年(平成26年)ないし2022年(令和4年)において、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ホームセンター及びドラッグストアにおける入浴剤分野での販売規模が連続して1位であった(甲71、甲73)。 ウ 申立人商品は、2014年(平成26年)から2022年(令和4年)にかけて、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、インターネット、交通機関等において、継続して広告された(甲72、甲74)。 エ 申立人商品は、2015年(平成27年)及び2020年(令和2年)における日経MJ「バイヤー調査」の入浴剤分野において1位を獲得し(甲3、甲50)、さらに、2020年(令和2年)には、日本経済新聞社の「日経POSセレクション2020 ロングセラー」(10年以上売れ続けて好調をキープしている人気商品)の一つに選出された(甲5)。 オ 上記アないしエによれば、申立人は少なくとも1983年(昭和58年)から2022年(令和4年)までの約39年間継続して申立人商品を製造販売し、2014年(平成26年)ないし2022年(令和4年)にかけて、入浴剤市場において高い販売実績を有し、また、申立人商品に係る広告も、少なくとも2014年(平成26年)から2022年(令和4年)までの間、各種媒体において継続的に行われていることが認められ、さらに、申立人商品が取引者、需要者から高い評価を受けていることもうかがえる。 してみれば、申立人商品、及び、それに使用されている引用商標は、本件商標の登録出願の日前から、申立人の業務に係る商品(入浴剤)として、及び、当該商品を表示するものとして、いずれも取引者、需要者の間に広く認識され、その状況は本件商標の登録査定時においても継続しているといえるものであって、その周知・著名性の程度は高いものというのが相当である。 (2)本件商標と引用商標の類似性の程度について 本件商標は、上記1のとおり、「ナノバブ」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「ナノ」の文字は、「10億分の1を表す単位の接頭辞」(出典:「広辞苑 第七版」)であって、例えば「ナノテクノロジー」「ナノ物質」のように、我が国において広く使用、理解されている平易な成語である。 そして、同構成中の「バブ」の文字は、上記(1)のとおり、申立人商品を表示するものとして周知・著名な引用商標「バブ」の文字と同一又は酷似するものといえる。 さらに、「ナノバブ」の文字が一連で何らか特定の意味を有する語として取引者、需要者に認識されるというべき事情は見当たらないものであるから、本件商標に接する取引者、需要者は、それが「ナノ」の語と「バブ」の語とを組み合わせてなるものと容易に理解、認識し得るものといえる。 そうすると、本件商標は、その構成中に、申立人商品を表示するものとして周知・著名な引用商標「バブ」の文字を有するものであり、同構成中の「ナノ」の文字部分が平易な成語(接頭辞)であることも踏まえて考えれば、本件商標を、その指定商品中「化粧品,ヘアーコンディショナー」(以下「取消対象商品」という。)に使用する場合、それに接する需要者において、その構成中の「バブ」の文字部分が強く印象付けられるものというのが相当である。 したがって、本件商標と引用商標とは、本件商標がその指定商品中の取消対象商品に使用される場合において、一定程度の類似性を有するものといえる。 (3)引用商標の独創性 引用商標は、「バブ」の文字よりなるところ、当該文字は辞書等に掲載されていないものであって、一種の造語とみるべきものであるから、その独創性は高いといえる。 (4)本件商標の指定商品と申立人商品の関連性 本件商標の指定商品中の取消対象商品と、申立人商品「入浴剤」は、ドラッグストアやスーパーマーケット、コンビニエンスストアの日用雑貨品売場や薬局等で販売されることが多いものである。また、いずれも美容、衛生又は健康増進のために使用されるものである。 そうすると、両商品は、その販売場所、用途を共通にすることが多いといえるから、本件商標の指定商品中の取消対象商品と申立人商品は、関連性を有するものといえる。 (5)需要者の共通性 本件商標の指定商品中の取消対象商品と申立人商品「入浴剤」は、いずれも一般消費者を対象とするものであるから、需要者層は共通するものである。 (6)出所の混同のおそれ 上記(1)ないし(5)のとおり、引用商標は、申立人商品を表示するものとして周知・著名なものであり、その独創性も高いといえる。そして、本件商標と引用商標とは一定程度の類似性を有し、さらに、本件商標の指定商品中の取消対象商品と申立人商品とは関連性を有するものであって、需要者層も共通するものである。 してみれば、本件商標権者が、本件商標をその指定商品中の取消対象商品に使用したときは、これに接する需要者は、周知・著名な引用商標を想起、連想し、当該商品を、他人(申立人)あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。 (7)小括 したがって、本件商標は、これをその指定商品中の取消対象商品に使用したときは、他人(申立人)の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。 (8)取消対象商品以外の指定商品について 上記(1)のとおり、引用商標が申立人商品を表示するものとして周知・著名といえるのは、申立人商品「入浴剤」を取り扱う分野においてであるところ、「入浴剤」と本件商標の指定商品中「せっけん類,シャンプー」(以下「取消対象外商品」という。)とは、その用途などが異なることからすれば、非類似の商品というのが相当である。 そうすると、本件商標をその指定商品中の取消対象外商品に使用する場合、それに接する需要者において、その構成中の「バブ」の文字部分が強く支配的な印象を与えるものということはできず、本件商標は一連一体のものとして認識されるものというのが相当である。 してみれば、取消対象外商品との関係においては、本件商標よりは、その構成文字に相応した「ナノバブ」の称呼が生じ、また、特定の観念は生じないものというのが相当であり、引用商標よりは、その構成文字に相応した「バブ」の称呼が生じ、また、特定の観念は生じないものといえる。 そして、両商標を比較するに、外観においては、語頭の「ナノ」の文字の有無によって、明確に区別することができるものであり、称呼においては、「ナノ」の音の有無によって、明りょうに聴別できるものであって、また、観念においては、いずれも特定の観念を生じるものでないから、比較することができないものである。 そうすると、本件商標と引用商標とは、外観において明確に区別でき、称呼において明りょうに聴別できるものであって、観念においては比較することができないものであるから、両商標が与える印象、記憶等を総合してみれば、商品の出所について誤認混同を生じるおそれのない、非類似の商標というのが相当である。 また、両商標が非類似のものであって、引用商標が申立人商品を表示するものとして周知・著名といえるのは申立人商品「入浴剤」を取り扱う分野においてであり、「入浴剤」と取消対象外商品とが非類似の商品であることからすれば、本件商標権者が、本件商標をその指定商品中の取消対象外商品に使用したときに、他人(申立人)あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるということもできない。 したがって、本件商標は、その指定商品中の取消対象外商品との関係において、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当しない。 (9)むすび 以上のとおり、本件商標は、その指定商品中、「結論掲記の指定商品」について、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。 また、その余の指定商品については、取り消すべき理由がないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものとする。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-900044

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