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商標異議申立

2023-900043

シキキンホショー

審判番号
2023-900043
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2021-080669
登録番号
6650381
請求日
2023年02月16日
審決日
2023年10月13日
公報発行日
2023年12月28日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【権利者】H.I.F.株式会社
  • 【異議申立人】株式会社 日商保
  • 【異議申立人代理人】城山 康文
  • 【異議申立人代理人】岩瀬 吉和
  • 【異議申立人代理人】横川 聡子
  • 【異議申立人代理人】大島 良太
審判長/審判官
  • 審判長 旦 克昌
  • 審判官 小林 裕子
  • 審判官 綾 郁奈子
分類
T1651.13 -Z (W36) / T1651.272-Z (W36)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法3条1項3号商標法4条1項16号商標法43条の3第2項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第3条第1項第3号、商標法第3条第1項、商標法第3条第1項第6号、商標法第4条第1項第16号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

登録第6650381号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6650381号商標の商標登録を取り消す。

理由

理 由 1 本件商標 本件登録第6650381号商標(以下「本件商標」という。)は、「敷金保証」の文字を標準文字で表してなり、令和3年6月29日に登録出願、第36類「資金の貸付け及び手形の割引,債務の保証及び手形の引受け,金銭債権の取得及び譲渡,ファクタリング,建物及び土地の所有者に対する滞納家賃の支払い保証,建物及び土地の所有者に対する滞納家賃の支払い保証に関する情報の提供,土地の貸借の代理又は媒介,建物の売買の代理又は媒介,土地の売買の代理又は媒介,建物の貸与,土地の貸与,建物の管理,建物の売買,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の売買,建物又は土地の情報の提供,不動産賃料の徴収の代行,財務管理,金融又は財務に関する調査,企業の信用に関する調査,金融に関する個人信用情報の提供,金融又は財務に関する助言及び情報の提供」を指定役務として、令和4年11月9日に登録査定、同年12月9日に設定登録されたものである。 2 登録異議の申立ての理由 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第3条第1項第3号又は同項第6号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第45号証を提出した。 (1)「敷金保証」との語から生ずる意味合いについて 本件商標「敷金保証」の前半の「敷金」の文字は、「不動産貸借の際、借主が貸主に対して借賃滞納・損害賠償の担保として預けておく保証金。借主に未払い債務がない限り契約終了の際に返還される」程の意味合いを有し、かかる意味合いは広く一般に知られている(甲3)。 本件指定役務は不動産の賃貸やこれに関する債権・債務に関する役務であるのだから、本件商標「敷金」の文字部分からは直ちに、不動産貸借の際に、借主が貸主に対して担保として預けておく保証金としての意味合いが生ずると考えるのが自然である。 本件商標の後半の「保証」の文字は、「大丈夫だ、確かだとうけあうこと。」、「保証債務を負担すること」(甲4)程の意味合いを有する一般的な用語である。「保証」の語は、例えば「信用保証」(甲5)、「支払保証」(甲6)のように、保証の対象を表す語と結合語を構成し、提供する保証の役務の内容の記述的表示として使用されることが多い。したがって、本件商標は、その文字構成より、「敷金を保証すること」程の意味合いを容易に理解、認識させるものである。 本件商標からは、「敷金を保証すること」程の意味合いが想起され、これを保証や不動産に関する本件指定役務に使用した場合には、単なる役務の質の表示として認識されるにとどまる記述的な語であるといえる。 (2)「敷金保証」に関する語の使用例 日本国内でオフィス等を借りる際は、入居企業は月額賃料の6ないし12か月分の敷金を預ける必要があるとされ、入居企業の負担が大きい(甲11)。そのような高額な敷金は企業の成長投資の抑制にもなり得ることから、保証会社と不動産のオーナー及び入居企業とで契約し、保証会社が敷金の支払いを保証し敷金を減額等するサービスが提供されており、「敷金保証」や、これと同義の語が使用されてきた。また従来、保証会社が、貸主に代わり、借主(入居者)に敷金の返還の保証を提供するサービスも提供されている(甲13~甲15、甲17~甲19)。 (3)敷金の保証の事業について 「敷金保証」の文字が、「敷金を保証すること」(より具体的には、「敷金の支払いや返還を保証すること」)程の意味合いを容易に理解、認識させることは、借主や貸主に代わり敷金の支払いや返還に関する保証のサービスが、申立人をはじめとし、種々の事業者により広く提供されてきたことからも、裏付けられるところである(甲11、甲20~甲44)。 (4)商標法第3条第1項第3号の該当性 本件商標は、その文字構成より「敷金を保証すること」程の意味合いを容易に理解、把握させるものであり、本件商標の登録査定以前より、「敷金保証」の語が、敷金の支払いや返還を保証する意味合いで使用されてきた事実がある。また、保証会社が敷金の支払いや返還を保証するサービスが広く提供され、特に、借主の敷金の支払い分を保証し敷金を減額するサービスは、企業活動の支援モデルとしても、本件商標の査定時より前から、広く知られていた。したがって、これを、保証に関する本件指定役務に使用したときは、当該役務が、敷金の支払いや返還の保証に関する役務であることを認識させるにすぎない。よって、本件商標は、その役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であることは明らかである。 商標法第3条第1項第3号については、「取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべき」と判示されている(平成12年(行ケ)第76号平成12年9月4日東京高等裁判所)。そして、商標法第3条第1項各号列挙のいわゆる自他商品又は役務の識別機能を有しない商標について商標登録できないこととするのは、「これらは通常、商品又は役務を流通過程又は取引過程に置く場合に必要な表示であるから何人も使用をする必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであるから一私人に独占を認めることは妥当でなく、また、多くの場合に既に一般的に使用がされ、あるいは将来的に必ず一般的に使用がされるものであるから、これらのものに自他商品又は自他役務の識別力を認めることができないという理由による」と解される(甲45)。 本件商標の登録を認めるとすれば、不動産の賃貸の際に生ずる敷金に関する保証のサービスを提供するにあたり、何人もその使用を欲する蓋然性が極めて高い「敷金保証」の文字の使用を妨げ、円滑な取引活動が阻害されることになりかねない。よって、かかる本件商標を、一私人に独占を認めることは、到底妥当とはいえない。 以上のとおり、本件商品は、その指定役務に使用しても、その役務が敷金の保証に関する役務であること、すなわち、役務の質(内容)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であり、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものであるから、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。 (5)仮に本件商標が商標法第3条第1項第3号に該当しないとしても、本件商標は、役務の内容を普通に用いられる方法で表示するものであり、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標であることは明白であるから、本件商標は商標法第3条第1項第6号に該当する。 3 当審における令和5年7月27日付け取消理由(要旨) 当審において、本件商標権者に対し、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するから、同法第43条の3第2項の規定に基づいて取り消すべきである旨を通知し、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えた。 4 上記通知における本件商標権者の意見 商標権者は、上記3の取消理由に対し、なんら意見を述べていない。 5 当審の判断 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について (1)「敷金保証」の文字について、申立人の提出に係る甲各号証によれば、以下の事実が認められる。 ア 申立人のサービスについて (ア)2022年7月14日付けの日本経済新聞において、「敷金ゼロオフィスで新興勢支援 日商保や東急不動産など」の見出しの下、「・・・敷金なしのオフィスを開発していく。日商保がビルオーナーに保証を提供する形を含め全国に400区画あるという。」の記載がある(甲11)。 (イ)申立人のウェブサイトにおいて、「敷金半額くんの仕組み」の見出しの下、「敷金半額くんは、削減した敷金に代わる保証を当社が不動産オーナーに対して提供する仕組みです。」の記載、また、「敷金返還くんの仕組み」の見出しの下、「敷金返還くんは、返還する敷金に代わる保証を当社が不動産オーナーに対して提供する仕組みです。」の記載がある(甲12)。 (ウ)2018年11月12日付けの「PR TIMES」の記事において、「オフィスの常識を覆す“日本初”の革新的サービス 敷金・原状回復費用・連帯保証人・保証委託料すべて不要「フラットオフィス」提供開始 URL:https://flatoffice.jp」の見出しの下、「敷金1ヵ月分または0で入居/通常9~12ヵ月かかる敷金を日本商業不動産保証が保証を提供することにより、敷金保証一律11ヵ月分を差し引いた1ヵ月分の敷金で入居、または12ヶ月分を差し引いた敷金0で入居することが可能。」の記載がある(甲13)。 (エ)2021年7月19日付けの「PR TIMES」の記事において、「『株式会社ベンチャープロパティとの提携を開始』次世代型賃貸オフィス「ToMaRigi」に日本商業不動産保証の“敷金減額保証サービス”を提供」の見出しの下、「入居時に預け入れる敷金の半額~全額を当社保証に置き換えることで、預け入れる敷金を最大0円まで減額することが可能となります。保証の利用期間は1年間からとなっており、契約更新によって複数年での継続利用も可能です。」の記載がある(甲14)。 イ その他の者のサービスについて (ア)「不動産信用保証株式会社」のウェブサイトにおいて、「敷金等保証とは」の見出しの下、「敷金等保証とは貸主に万が一のことがあっても、当社が貸主に代わって敷金等の返還をする「テナント保護」の保証制度です。」の記載がある(甲17)。 (イ)「東京不動産」のウェブサイトにおいて、「社宅管理代行業務/敷金保証システム」の見出しの下、「サービス仕様・・・含まれるもの・・・敷金返金保証」の記載がある(甲19)。 (ウ)「デポトク」のウェブサイトにおいて、「オフィス移転の敷金が、なぜ安くなるの?」の見出しの下、「保証会社が、テナントの代わりにリスクヘッジをしているからです!・・・このようにリスクヘッジとして預け入れている「敷金・保証金」を、保証会社が「何かあったときは、弊社がテナントに代わって保証しますよ」という形でリスクを背負っているので、減額が可能になります。」の記載がある(甲32)。 (エ)「スターリンク株式会社」のプレスリリースにおいて、「ビルオーナーとテナントの双方にメリットをもたらす/オフィス賃貸市場向け新ソリューション「オフィス保証(24)」サービススタート~ビルオーナーは安心経営とテナント誘致促進を、テナント企業には保証金の流動化を実現~」の見出しの下、「この「オフィス保証(24)は、金融機関による与信調査力を利用することで・・・オーナーに対する差入れ保証金を最大4ヶ月まで減額することが可能となります。」、「・・・この企業に万が一賃料の滞納が発生したとしても、Jトラストグループの日本保証・・・とスターリンクが賃料立替払いを行い・・・最大24ヶ月相当(・・・敷金を含む)の保証を行います。」の記載がある(甲34)。 (オ)2022年7月25日付けの「PR TIMES」の記事において、「新商品「テナント保証ライト」「テナント保証ワイド」をリリース」の見出しの下、「株式会社Casa(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:M)は、事業用物件向けの保証サービス「テナント保証ライト」「テナント保証ワイド」をリリースいたしました。」、「当社の保証サービス利用によってテナントは、今まで不動産オーナーに預けていた保証金や敷金といった初期費用を軽減できます。」の記載がある(甲36)。 (カ)「SFビルサポート株式会社」のウェブサイトにおいて、「“お悩み”はSFビルサポートにお任せください!!保証システムで解決」の見出しの下、「保証システムを導入すると、こんなサポートを受けられます」、「敷金・保証金を引き下げ」の記載がある(甲37)。 (キ)2017年11月8日付けの「PR TIMES」の記事において、「入居契約時、礼金0・仲介手数料0に加えて“敷金0”も可能に」の見出しの下、「連帯保証人に代わって保証会社(ジャックス)がご入居中の家賃等の債務を保証する制度をご用意しております。今回、新たな保証制度をご利用いただくことで、従来のご利用特典である連帯保証人不要に加え敷金・駐車場保証金が不要(※)となり、お客様の入居契約時の初期費用負担が軽減されます。」の記載がある(甲38)。 (ク)「REST・SOLUTION」のウェブサイトにおいて、「RESTなら、安定した家賃収入・保証内容。管理に関するご質問は、Q&Aのページもご覧ください。」の見出しの下、「RESTの賃貸保証システムをご利用いただければ、今まで入居希望者様から担保としていただいていた保証金・敷金を削減・減額することが可能となります!」の記載がある(甲39)。 (ケ)「株式会社アセット・アイ」のウェブサイトにおいて、「管理会社様のメリット」の見出しの下、「入居者募集に便利/保証により安心して敷金・保証金を減らせます。」の記載がある(甲40)。 (コ)「公益財団法人日本賃貸住宅管理協会」のウェブサイトにおいて、「保証弁済について」の見出しの下、「(1)保証の対象となる預り金・・・敷金、礼金、更新料その他賃貸借契約に基づいて入居時から受領し、オーナーに引き渡す金銭」の記載がある(甲43)。 (サ)「AOIソリューション」のウェブサイトにおいて、「敷金保証。SDアシュアランス」の見出しの下、「敷金が守られた、安心できる賃貸生活を。私たちが保証します。・・・敷金の保全が出来る仕組みをご提案させていただきます。」の記載がある(甲44)。 ウ まとめ 上記各証拠によれば、敷金の減額や返還を保証するサービス、総じて「敷金を保証する」サービスが、本件商標の登録査定の日前から、不動産の賃貸に係る保証業界において提供され、当該サービスの説明において、「敷金」及び「保証」の文字が用いられ、また、「敷金保証」や「敷金等保証」の文字が、「敷金を保証する」サービスを意味するものとして使用されている事実が認められる。 (2)本件商標の商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について 本件商標は、上記1のとおり「敷金保証」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中「敷金」の文字は、「不動産貸借の際、借主が貸主に対して借賃滞納・損害賠償の担保として預けておく保証金。借主に未払い債務がない限り契約終了の際に返還される。敷銭しきせん。」などの意味を有し、「保証」の文字は、「大丈夫だ、確かだとうけあうこと。」や「保証債務を負担すること。」(いずれも「広辞苑 第七版」)などの意味を有する親しまれた語であり、その語義から、全体として「敷金を保証する」という意味合いを容易に理解させるものである。 そして、上記(1)のとおり、本件商標の登録査定時には、不動産の賃貸に係る保証業界において、「敷金を保証する」サービスが一般に提供されており、当該サービスの説明において、「敷金」及び「保証」の文字が用いられ、また、「敷金保証」や「敷金等保証」の文字が、「敷金を保証する」サービスを意味するものとして使用されている事実が認められる。 そうすると、「敷金保証」の文字からなる本件商標を、本件商標の指定役務に使用する場合、これに接する需要者、取引者は、「敷金を保証する」サービスに係るものであることを認識するにとどまるといえ、本件商標は、役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というべきであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。 また、本件商標を「敷金を保証する」サービスに係る指定役務以外の指定役務に使用するときは、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。 したがって、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものである。 (3)まとめ 以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、その登録は、同条第1項の規定に違反してされたものと認められるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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