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商標異議申立

2023-900037

ミカネ、オカネ

審判番号
2023-900037
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2022-043113
登録番号
6654244
請求日
2023年02月14日
審決日
2023年08月29日
公報発行日
2023年11月24日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】長澤 征治
  • 【権利者代理人】小山 義之
  • 【異議申立人】御金神社
  • 【異議申立人代理人】三宅 紘子
  • 【異議申立人代理人】向井 裕美
審判長/審判官
  • 審判長 高野 和行
  • 審判官 豊瀬 京太郎
  • 審判官 板谷 玲子
分類
T1651.21 -Y (W3033) / T1651.22 -Y (W3033) / T1651.271-Y (W3033) / T1651.222-Y (W3033)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第6号、商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項第19号、商標法第4条第1項第7号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

登録第6654244号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6654244号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 1 本件商標 本件登録第6654244号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、令和4年3月30日に登録出願、第30類及び第33類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同年10月11日に登録査定され、同年12月20日に設定登録されたものである。 2 引用標章 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する標章は次のとおりであり(以下、それらをまとめて「引用標章」という。)、いずれも申立人及び文化的所産等である「御金神社(ミカネジンジャ)」を表すものであって、著名となっているとするものである。 (1)「御金神社」の漢字からなるもの(以下「引用標章1」という。) (2)「【御金】」の文字からなるもの(異議決定注:「【御金】は「御金」の漢字の上に小さく「みかね」のふりがなが付されているもの。以下同じ。)(以下「引用標章2」という。) 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第6号、同項第7号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第80号証(枝番号を含む。)を提出した。 (1)本件商標 本件商標は、漢字で表記された「【御金】」、カタカナで表記された「ミカネ」、ひらがなで表記された「みかね」及びアルファベットで表記された「MIKANE」を上から順に同一書体で4段に表してなるロゴで構成され(甲1、甲2)、表された商標からは「ミカネ」の称呼のみが生じる。 (2)御金神社について ア 御金神社が文化的所産等に該当することについて 申立人が管理・運営する御金神社は、金山毘古命を主祭神とし、天照大御神、月読命の三柱の神をお祀りする神社である。もともとは個人の屋敷の敷地内にある「邸内社」として、お祀りされていたが、明治16年に、現在の所在地に社殿が建立された(甲3~甲7)。 また、神社が建立された場所の近隣には「釜座通り」があり、この辺りは、平安時代より鋳物職人である釜師が集まり茶釜の鋳造を行っている。加えて、「両替町通り」もあり、通りの名前が表すように、かつてこの一帯は、徳川家康により設けられた「金座」と「銀座」があり、江戸幕府の金貨鋳造を担い、各地の金銀細工業者がこの地に集められていた。また「金座」廃止後も、この場所には多くの両替商が軒を連ねていた(甲8)。 神社が主祭神としてお祀りする金山毘古命は、伊邪那岐命と伊邪那美命の御二柱神の皇子であり、五元陽爻(天の位)の第一位の神として、金・銀・銅をはじめとする全ての金属類、鉱山、鉱物(鉱石)を守護する神である(甲7)。 そのため、神社の主祭神と社殿が建立された場所の歴史的経緯とが相まって、地域の氏神さまとして親しまれ、現在に至るまで御信仰が続いている。 上述したような由来を備える御金神社は、先人から受け継がれている貴重な財産として、歴史的・文化的・伝統的価値を有し、豊かな文化の象徴となっており、商標審査便覧に規定される文化的所産等に該当する。 イ 「御金」を「ミカネ」と称呼することについて 「御金」は振り仮名が振られていない場合、「オカネ」と称呼するものであって、「ミカネ」とは通常称呼しない。 ここで、「御」を接頭につけて「ミ」と称呼する場合について、以下のような説明がある。「名詞の上について、それが神仏、天皇、貴人など尊敬すべき人に属すものであることを示し、敬意を添える。「みけ(御食)」「みあかし(御明)」「みかき(御垣)」「みこ(御子)」「みいくさ(御軍)」「みぐし(御髪)」「みもと(御許)」「みまし(御座)」など。」(甲9)。 つまり、「御金」を「ミカネ」と称呼すること自体が、「金」(金属・金物)を守護される神を表す。そのため、「御金」を「ミカネ」と称呼するのは、「金」(金属・金物)を守護する神をお祀りする御金神社に特有の読み方である。 また、昭和27年に神社本庁に提出された「宗教法人規則認證申請書」(甲5)には「【御金】神社」と振り仮名が記載されており(甲6)、明治15年に京都府に提出された「神社創建並社号御願書」(甲10 異議決定注:「号」は甲第10号証には旧字体で書されている。)から、「宗教法人規則認證申請書」(甲5)が提出された昭和27年までの間に、何ら改名に関する書類が提出されていないことから、明治16年に社殿が建立された時点で「御金神社」は「ミカネジンジャ」として称呼されていたものと推定できる。 すなわち、明治16年(1883年)から現在(2023年)に至るまでの少なくとも140年間、「御金神社」は「ミカネジンジャ」として称呼されてきたものである。 ウ 小括 以上のことから、「御金」を「ミカネ」と称呼することは、御金神社特有のものであって、「【御金】」は「御金神社」の主要な一部分である。また、他に類をみない読み方であり、長年使用をされていることによって、「【御金】」は、「御金神社」を表したものとして直ちに認識されるものである。 そして、文化的所産等に該当する「御金神社」の主要な一部分「【御金】」を抜き出して構成される本件商標は、商標審査便覧に規定された文化的所産等を表す標章からなる商標に該当する。 (3)商標法第4条第1項第6号について ア 申立人について 申立人は、昭和28年2月11日に設立された宗教法人である(甲11)。ここで、宗教法人とは、「宗教法人法」に基づいて認定される宗教法人であり、その事業は、教義をひろめ、儀式行事を行い、信者を教化育成することを主たる目的とするものであるから、「宗教法人」は、「公益に関する団体であって営利を目的としないもの」に該当する。 イ 「【御金】神社」の著名性について 御金神社は、近年、金運・招福、金運上昇、資産運用、事業の発展や商売繁盛、金融、証券・株取引や不動産、宝くじ、ギャンブルの成功など、あらゆるお金にまつわるお願いごとをお祈りする金運スポットとして、テレビ、インターネット、雑誌、書籍、新聞等の各種メディアを通じて多数紹介されており、少なくとも2003年から現在に至るまでに、260以上の媒体で紹介されている(甲12~甲69。一部である。)。 また、youtuberのヒカルとヘラヘラ三銃士が京都を旅行する動画がyoutubeにアップロードされ、この動画の中で御金神社を参拝している(甲70)。この動画は98万回視聴されており、youtuberのヒカルはチャンネル登録者数が485万人の(甲71)、ヘラヘラ三銃士は同172万人(甲72)の有名youtuberである。 さらに、検索エンジン「Google」でキーワード「御金神社」と検索すると、1690万件が表示され(甲73)、インスタグラムにおいて「#御金神社」で検索すると、4.5万件の投稿が表示される(甲74)。 以上のように、「御金神社」は新聞・雑誌・書籍・テレビジョン放送・SNS等の各種メディアを通じて、広く一般に知られている文化的所産等である。加えて、多数の媒体において「御金」を「みかね」と称呼することについて言及され、振り仮名をふった状態で「【御金】神社」が紹介されることによって、「御金神社」及び「【御金】」が御金神社を表すものとして、高い著名性を獲得していることに疑いはない。 ウ 小括 すなわち、文化的所産等に該当する「御金神社」は、「公益に関する団体であって営利を目的としないもの」を表示する標章であって、「著名なもの」に該当する。 そのため、「御金神社」の主要な一部分を抜き出して構成される本件商標は、文化的所産等を表す標章からなる商標に該当し、「公益に関する団体であって営利を目的としないもの」を表示する標章であって、「著名なもの」と同一又は極めて類似する商標であるから、商標法第4条第1項第6号に該当する。 (4)商標法第4条第1項第7号について 「御金神社」は、文化的所産等を表す標章であって、著名なものに該当する。また、申立人は、「御金神社」において、日本固有の宗教である神道の信仰に基づく祭祀を行うとともに、節分祭、納涼祭、秋の例大祭等の祭りを通じて地域活動の振興を図る活動を行うことで地域住民に親しまれ、日本の伝統と文化を守り伝える公益性の高い団体であることは明白である。 上述したように「御金」を「ミカネ」と称呼するのは「御金神社」特有のものであり、本件商標は、「御金神社」を表したものとして直ちに認識されるものである。 ここで、本件商標の商標権者(以下「商標権者」という。)は、「御金神社」とは何ら関係のない第三者である。また、商標権者は、「御金神社」を何度か訪れており、御神酒のご奉納とともに名刺を申立人に渡し、「「御金神社」の隣の土地の購入を希望しており、該土地に立てられた看板に記載された電話番号に電話したが商談中である旨が伝えられた。御金神社が土地の購入に関わっているのか。」と申立人に尋ねている。その際に手渡された名刺と商標権者が自身でアップロードしたインスタグラムを証拠として提出する(甲75、甲76)。また、その後に訪れた際には、「「【御金】」の名前を付した商品を販売するので、販売される商品が御金神社と関わりのある商品、あるいは御金神社から許諾を得た商品となるように「御金神社」としてバックアップをしてほしい。もしバックアップしてくれた場合には、商品の売り上げの何%かを払う」旨の申し出を申立人に行った。これに対し、申立人はこの申し出を断ったという経緯がある。その際も名刺を申立人に渡しており、その名刺を証拠として提出する(甲77)。 このような状況において、商標権者が、「御金神社」が著名なものであることを知りながら、「御金神社」の主要な一部である「【御金】」が本件の指定商品に商標登録されていないことを奇貨として、御金神社を利用する意図をもって剽窃的に出願し登録を行ったことは明らかである。したがって、本件商標はその登録出願の経緯に著しく社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認しえない場合に該当する。 加えて、「御金神社」は、文化的所産等を表す標章であって、上述したように日本の伝統と文化を守り伝える公益性の高い団体である。そして、御金神社は、京都市の主要な観光スポットとして、京都市の観光施策の一端を担っており、特に、京都市は財政難を解決する施策の一つとして宝くじ購入を観光客に進めており、その中で金運に御利益がある御金神社をパンフレットやメディア媒体等を通じて紹介している(甲15、甲45、甲67、甲69)。このように、京都市は御金神社を観光施策や財政再建施策を担う重要な文化財としてもその周知や保護を推進している。 このような状況下で、御金神社と無関係の私人が、御金神社を直ちに認識させる本件商標について商標権を取得して独占的にこれを単独使用することは、申立人のみならず、御金神社に関わる人々の社会公共の利益に反するものであり、本件商標が登録を受けることは、国又は地方公共団体等の公的機関による施策の遂行を阻害するおそれがある。 以上のことから、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。 (5)商標法第4条第1項第15号について 「御金神社」は、文化的所産等を表す標章であって、著名なものに該当する。また、「御金」を「ミカネ」と称呼するのは「御金神社」特有のものであるから、「【御金】」は、「御金神社」を表したものとして直ちに認識されるものである。 ここで、宗教法人であっても公益事業以外の事業を実施することができる(宗教法人法6条2項)。そのため、神社仏閣を管理・運営する宗教法人あるいは該宗教法人からライセンスを受けたものが、神社仏閣の名称や神社仏閣の特徴部分を商品に付して販売することは一般的に行われている。 御金神社は、現在第三者に対してライセンスの許諾等は行っていないが、その著名性ゆえに、神社で授与されている授与品だけではなく、祭事に使用した御供物(例えば、御神酒、野菜・果物、菓子等の食べ物等。)や、神社でご祈祷を受けたと称するもの(御金神社が通常「もの」に対して御祈祷することはない。)がインターネットサイト等で勝手に販売されており、果ては神社の御神木であるイチョウの葉までも販売されている状況である(甲78~甲80)。 このような状況において、御金神社の御利益にあやかりたい需要者・取引者が、インターネット等で販売されている商品を、誤って御金神社が御祈祷を行った商品、あるいは御金神社からライセンスを受けた者の商品であると勘違いして、購入する事例が既に起きている。 本件商標の指定商品は、まさに祭事に使用する御供物として用いられるものであり、申立人の業務と密接な関係を有する。 上述した状況において、神社仏閣において神社仏閣の名称等を付した公式な商品が一般的に販売される取引の実情に鑑みると、本件商標をその指定商品に使用するときには、これに接する需要者・取引者は直ちに「御金神社」を理解し、その商品があたかも宗教法人御金神社あるいは宗教法人御金神社と経済的・組織的に何らかの関係を有する者が販売している商品であるかのような誤認混同が生じることは容易に推認できるものである。 したがって、本件商標は、文化的所産等を表す標章又は文化的所産等を表す標章を構成中に有する商標であって、当該文化的所産等を運営・管理、所有する申立人以外の者が出願したものであり、これが、申立人の事業と混同を生ずるおそれがあるため、商標法第4条第1項第15号に該当する。 (6)商標法第4条第1項第19号について 「御金神社」は、文化的所産等を表す標章であって、著名なものに該当する。また、「御金」を「ミカネ」と称呼するのは「御金神社」特有のものであるから、「【御金】」は、「御金神社」を表したものとして直ちに認識されるものである。併せて、「【御金】」は「金」(金属・金物)を守護する神を表すものであるから、その構成上顕著な特徴を有する。 ここで、上記(4)で記載したように、商標権者は、申立人に商品販売に関してバックアップしてほしい等といった要求や御金神社の近隣の土地を購入する計画(御金神社の近隣で店舗を開業する意図が推認される。)を述べており、御金神社の著名性にあやかって不正の目的をもって商標権を取得しようとしたことは明らかである。 そもそも、御金神社とは全く関係のない商標権者が本件商標の登録を受けることで、御金神社を参拝する人々が抱く畏敬の念や信仰心を毀損させ、御金神社への信仰を害する可能性がある以上、本件商標の登録は断じて容認されるべきではない。 以上のことから、本件商標は、文化的所産等を表す標章であって、御金神社の事業に関するものとして、国内において需要者の間で広く認識されているものと同一又は類似の商標に該当し、これを不正の目的をもって使用するものであるから、商標法第4条第1項第19号に該当するものである。 4 当審の判断 (1)引用標章の周知性について 申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、申立人が管理・運営する御金神社(以下「申立人神社」という。)は、明治16年に現在の所在地に社殿が建立され、金属類の守護神をまつる神社であること(甲3~甲8、甲10~甲15、ほか)、申立人神社は遅くとも昭和27年頃から「ミカネジンジャ」と呼称されていること(甲5、甲6)及び申立人神社は平成20年頃からテレビ、新聞、雑誌などで相当数紹介等されていること(甲12~甲74)が認められることから、申立人神社は、需要者の間にある程度知られているといえるものの、申立人神社への参拝者数などその具体的な事業実績、活動実績を示す主張はなく、それを示す証左は見いだせないから、需要者の間で広く認識されているものと認めることはできない。 そうとすると、「御金神社」の文字からなる引用標章1は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人神社及び申立人を表すものとして著名なものとも、需要者の間で広く知られているものとも認めることはできない。 また、申立人神社は需要者の間で広く認識されているものと認められないものであることに加え、引用標章2が申立人神社及び申立人の略称として用いられているなど、申立人神社を認識させるというべき事情は見いだせないから、引用標章2は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人神社及び申立人を表すものとして著名なものとも、需要者の間で広く知られているものとも認めることはできない。 (2)商標法第4条第1項第6号について 申立人神社及び申立人は、「公益に関する団体であって営利を目的としないもの」といえるものの、上記(1)のとおり、引用標章はいずれも申立人神社及び申立人を表すものとして著名なものと認められないものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第6号に該当するものといえない。 (3)商標法第4条第1項第15号について ア 引用標章の周知性 引用標章は、上記(1)のとおり、いずれも申立人神社及び申立人を表すものとして著名なものとも、需要者の間で広く知られているものとも認められないものであることからすれば、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、いずれも申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものとは認められないというのが合理的である。 イ 本件商標と引用標章の類似性について (ア)本件商標 本件商標は、別掲のとおり、「【御金】」「ミカネ」「みかね」「MIKANE」の文字を4段に表してなり、それら文字に相応し「ミカネ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。 (イ)引用標章 a 引用標章1は、上記2(1)のとおり「御金神社」の漢字からなり、該文字に相応し「オカネジンジャ」「ミカネジンジャ」の称呼を生じ、「(御金神社という)神社の名称」の観念を生じるものと判断するのが相当である。 b 引用標章2は、上記2(2)のとおり「【御金】」の文字からなり、該文字に相応し「ミカネ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。 (ウ)本件商標と引用標章の類似性の程度について a 本件商標と引用標章1 本件商標と引用標章1を比較すると、両者の上記のとおりの外観及び称呼においては、構成態様、構成音数及び語調語感が明らかに異なり、また観念においては相紛れるおそれはないから、両者の外観、称呼、観念等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似のものであって、類似性の程度は低いものというのが相当である。 b 本件商標と引用標章2 本件商標と引用標章2を比較すると、両者の上記のとおりの外観においては、表示段数など構成態様に差異はあるものの、前者の上段の文字と引用標章2はつづり字を同じくするものと認められるから、かかる点において共通性を有するといえる。 次に、称呼においては、本件商標から生じる「ミカネ」の称呼と引用標章2から生じる「ミカネ」の称呼は同一である。 さらに、観念においては、両者は共に特定の観念を生じないものであるから比較することができない。 そうすると、本件商標と引用標章2は、観念において比較できず、外観において構成態様に差異はあるものの、つづり字を同じくする文字を含むものであり、称呼において共通するものであるから、両者の外観、称呼、観念等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのある類似するものといい得るものであり、類似性の程度は高いといえる。 ウ 混同のおそれ (ア)本件商標と引用標章1 上記アのとおり、引用標章1は、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、また、上記イのとおり、本件商標は、引用標章1とは相紛れるおそれのない非類似のものであって、類似性の程度は低いというのが相当である。さらに、本件商標の指定商品と引用標章1が使用される商品及び役務との関連性の程度、需要者の共通性などを考慮しても、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用標章1を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。 (イ)本件商標と引用標章2 上記イのとおり、本件商標は、引用標章2とは類似性の程度は高いものの、上記アのとおり、引用標章2は、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものである。また、本件商標の指定商品と引用標章2が使用される商品及び役務との関連性の程度、需要者の共通性などを考慮しても、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用標章2を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。 (ウ)その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。 エ 小括 以上のとおりであるから、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものといえない。 (4)商標法第4条第1項第19号及び同項第7号について 上記(3)イのとおり、本件商標は、引用標章1と相紛れるおそれのない非類似のものであって別異のものというべきものであり、引用標章2とは類似するものといい得るものであるが、上記(3)アのとおり、引用標章は、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において、いずれも申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、上記(3)ウのとおり、本件商標は、引用標章を連想又は想起させることのないものである。 そうとすれば、本件商標は、引用標章の著名性にあやかるなど不正の目的をもって使用をするものと認めることはできない。 さらに、本件商標が、その出願及び登録の経緯に社会的相当性を欠くなど、公序良俗に反するものというべき事情も見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号及び同項第7号のいずれにも該当するものといえない。 (5)申立人の主張について 申立人は、商標権者は申立人神社を何度か訪れ、御神酒を奉納し、申立人に名刺を渡した、及び商標権者から申立人に「「【御金】」の名前を付した商品を販売するのでバックアップをして欲しい」などの申し出があり、申立人は当該申し出を断ったという経緯があるなどとして、商標権者は、「【御金】」が商標登録されていないことを奇貨として、申立人神社を利用する意図をもって剽窃的に出願した旨主張する。 しかしながら、商標権者が申立人神社を訪れ、酒類を奉納したことはうかがえる(甲75~甲77)ものの、上記申し出に係る主張については、そのようなやりとりがあったことを示す証左は見いだせないから、採用することができない。 そうすると、商標権者が申立人神社を知っていたとしても、そのことをもって、本件商標が不正の目的をもって使用するもの及び本件商標の出願及び登録の経緯に社会的相当性を欠くなど公序良俗に反するものということはできない。 したがって、申立人のかかる主張は採用できない。 (6)むすび 以上のとおりであるから、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第6号、同項第7号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-900037

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