商標異議申立
2023-900035
ワークレボリューション、ワーク、レボリューション
- 審判番号
- 2023-900035
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2022-031164
- 登録番号
- 6651381
- 請求日
- 2023年02月09日
- 審決日
- 2023年12月07日
- 公報発行日
- 2024年02月22日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】山本 幸人
- 【異議申立人】株式会社 オーディオテクニカ
- 【異議申立人代理人】泉 通博
- 審判長/審判官
- 審判長 冨澤 武志
- 審判官 馬場 秀敏
- 審判官 小田 昌子
- 分類
- T1651.28 -Y (W25) / T1651.271-Y (W25)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項12号商標法4条1項15号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第12号、商標法第4条第1項第15号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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登録第6651381号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6651381号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6651381号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、令和4年3月4日に登録出願、第25類「被服,履き物,手袋」を指定商品として、同年11月4日に登録査定、同年12月13日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第1080783号商標の防護標章登録第1号標章(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、平成29年2月20日に登録出願され、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊靴,運動用特殊衣服」を指定商品として、同31年1月18日に設定登録されたものである。
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、その申立ての理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第16号証を提出した。
以下、証拠の表記にあたっては、甲第1号証を「甲1」のように記載する。
1 商標法第4条第1項第12号について
本件商標は、円形の図形の内側に、三角形状の白い図形が含まれており、当該図形は、外側の輪郭線を構成する第1の三角形と、第1の三角形の右下に位置しており、第1の三角形よりも小さく第1の三角形と相似形の第2の三角形により構成されている。
他方、引用商標(甲2)も、円形の図形の内側に、三角形状の図形が含まれており、当該図形は、外側の輪郭線を構成する第1の三角形と、第1の三角形の右下に位置しており、第1の三角形よりも小さく第1の三角形と相似形の第2の三角形とにより構成される図形を表している。
本件商標と引用商標(甲2)を対比すると、類似する図形により構成されており、本件商標に「WORK REVOLUTION」という文字が含まれている点で相違するが、本件商標における文字は図形に比べてはるかに小さく、本件商標の要部は図形の部分であり、本件商標が被服等に付された場合、需要者が文字の内容を認識することは困難である。
したがって、本件商標の図形と引用商標の図形は、円形の図形の内側に、外側の輪郭線を構成する第1の三角形と、第1の三角形の右下に位置しており、第1の三角形よりも小さく第1の三角形と相似形の第2の三角形とにより構成されているという同一の特徴を有しており、引用商標と実質的に同一の図形を含んでいる。
そして、本件商標の指定商品は引用商標の指定商品と類似する。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第12号に該当する。
2 商標法第4条第1項第15号について
(1)本件商標と引用商標との類似度が高いこと
本件商標と引用商標とは、「円形の図形の内側に、三角形状の白い図形が含まれており、当該図形は、外側の輪郭線を構成する第1の三角形と、第1の三角形の右下に位置しており第1の三角形よりも小さく第1の三角形と相似形の第2の三角形とにより構成されている」という点で同一なので、類似度は極めて高い。
(2)引用商標の周知度が高いこと
申立人は、1962年の創業以来、オーディオ関連機器及びその他の多様な商品について引用商標を広く使用し今日に至っている。オーディオ関連機器(以下「申立人商品」という。)については、多数の機器を販売しており(甲4~甲7)、累計販売台数も多い(甲8)。
さらに、ヘッドホン、イヤホン等のオーディオ関連機器の我が国における市場占有率は大きい。具体的には、市場情報を提供する企業であるGfK社が提供するデータによれば、2022年のヘッドホンのブランド別シェアは、約14%ないし16%で推移しており、申立人の総合順位は1位である。
申立人商品には引用商標が付されているので、引用商標の我が国における周知度は極めて高い。
(3)引用商標がオリジナルの特徴的な外観であること
引用商標における「円形の図形の内側に、三角形状の白い図形が含まれており、当該図形は、外側の輪郭線を構成する第1の三角形と、第1の三角形の右下に位置しており第1の三角形よりも小さく第1の三角形と相似形の第2の三角形とにより構成されている」という特徴は、申立人が独自に創出したものであり、外観上顕著な特徴を有するものである。
(4)引用商標がハウスマークであること
申立人は、自社の商品であることを示すハウスマークとして幅広く引用商標を使用している(甲3)。
(5)申立人が多角経営をしていること
申立人はオーディオ機器以外の分野への多角化を進めている(甲9~甲15)。具体的には、申立人は、引用商標と同一又は類似の商標を付して被服(甲9、甲10)、クリーナー製品(甲11、甲13(決定注:「甲12」の誤記と認める。))、キャンプ用品(甲13、甲14)、食品製造装置(甲15、甲16)等の多彩な商品を販売している。
(6)取引経路及び需要者が共通すること
申立人は、引用商標を付した被服(甲9、甲10)を頒布しており、これらの被服の取引経路及び需要者が本件商標の指定商品に係る取引経路及び需要者と同一であることは明らかであり、申立人が販売するクリーナー及びキャンプ用品は、本件商標の指定商品「被服,履き物,手袋」が販売されているホームセンターで販売されているので、申立人が販売するクリーナー及びキャンプ用品の取引経路及び需要者も本件商標の指定商品に係る取引経路及び需要者と同一であると考えられる。
さらに、近年、ポータブルオーディオ機器、スマートフォンの普及により、申立人の主力製品であるヘッドホン、イヤホン及びポータプルスピーカーが屋外で使用されることが一般的になったことから、屋外用の被服と同時に使用される機会が増加する傾向にあり、需要者に出所の混同が生じる機会も増加する傾向にある。
(7)オーディオ機器の取引において被服が頒布される実情があること
オーディオ機器の広告宣伝において、アーティストとのコラボレーションが行われたり、イベントの頒布品としてTシャツ等の被服が採用されたりすることが慣例となっており(甲10)、申立人商品の需要者の手に引用商標が付された被服が渡る機会が少なからず存在する。
以上のとおり、申立人は、長年にわたってオーディオ製品に引用商標を付して販売しており、そのシェアが高いので、引用商標の知名度は高く、申立人は、被服を含む多様な商品を販売しているので、本件商標が付された「被服,履き物,手袋」に需要者が接したときに、申立人の商品であると認識する出所の混同が生じるおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第12号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、別掲1のとおり、黒色の円形図形内の左上に白色を基調とした台形図形(以下「台形図形」という。)、その右下に間隔を空けて、白色を基調とした正三角形図形(以下「正三角形図形」という。)、台形図形及び正三角形図形(以下「図形部分」という。)の下に白抜きで小さく「WORK REVOLUTION」の文字(以下「文字部分」という。)を配した構成よりなるものである。
(2)引用商標について
引用商標は、別掲2のとおり、円形図形内に二等辺三角形(以下「二等辺三角形」という。)及び二等辺三角形内の右下に二等辺三角形と相似形の小さい二等辺三角形(以下「小二等辺三角形」という。)を配した構成よりなるものである。
(3)本件商標と引用商標が同一か否かについて
本件商標と引用商標を比較すると、両者は、いずれもその構成中に三角形をモチーフとした図形を有する点において共通するとしても、台形図形の有無や文字の有無などの点において異なるものである。
そうすると、本件商標は引用商標と同一の商標でないことは明らかであるから、本件商標は、その指定商品と防護標章登録に係る指定商品の一部が同一であるとしても、同号を適用するための要件を欠くものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第12号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)引用商標の周知性について
申立人の主張及び提出に係る証拠によれば、以下のとおりである。
ア 申立人は、1962年の創業以来、ヘッドホンやイヤホンなどのオーディオ関連機器を販売しており、これらの申立人商品に引用商標(色彩が異なるものを含む。以下同じ。)を使用している(甲3~甲7)。
なお、申立人は、2022年のヘッドホンのブランド別シェアにおける申立人の総合順位は1位である旨や申立人商品の累計販売台数が多い旨を主張しているが、それらの主張を客観的に裏付ける証拠は確認できない。
イ 申立人商品以外の商品(被服、クリーナー製品、キャンプ用品、食品製造装置)を取り扱っており、引用商標は、これらの一部商品(食品製造装置)及びハウスマークとしても使用されている(甲8、甲10~甲13、甲15、甲16)。
(2)上記(1)からすれば、申立人は、1962年の創業以来、引用商標を使用したヘッドホンやイヤホンなどのオーディオ関連機器を販売しており、引用商標は、引用商標の指定商品である被服を含む申立人商品以外の商品及びハウスマークとして使用されていることがうかがえることから、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の申立人商品の分野の需要者の間においてはある程度知られていたといえる。
しかしながら、提出された証拠からは、引用商標の周知性を判断するための引用商標を付した申立人商品の我が国における販売実績、広告宣伝の地域、規模、期間、方法、広告宣伝費などの具体的な証拠については明らかにされていない。
そうすると、申立人提出の証拠からは、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が申立人商品を表示するものとして、我が国の需要者の間にどの程度認識されているのかを把握、評価することができない。
したがって、提出された証拠によっては、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。
(3)本件商標と引用商標の類似性の程度について
ア 本件商標について
本件商標は、別掲1のとおり、台形図形と正三角形図形からなる図形部分の下に白抜きで小さく「WORK REVOLUTION」の文字部分を配した構成よりなるものである。
そして、図形部分と文字部分とは段を異にし、接することなく配置されていることから、視覚上分離して看取され得るものであって、図形部分は、特定の事物を想起させるものとはいえないから、特定の称呼及び観念を生じないものである。また、本件商標の文字部分は、構成文字全体として一般の辞書等に載録のないものであるから、特定の観念を生じないものである。そうすると、図形部分と文字部分との間に称呼及び観念上のつながりも認められないから、図形部分と文字部分とは、それぞれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものではない。
してみれば、本件商標は、図形部分と文字部分のそれぞれが、商品の出所識別標識として機能するといえる。
したがって、本件商標からは、文字部分に相応した「ワークレボリューション」の称呼を生じ、特定の観念は生じない。
イ 引用商標について
引用商標は、別掲2のとおり、二等辺三角形及びその右下に小二等辺三角形を配した構成よりなるところ、二等辺三角形及び小二等辺三角形は、特定の事物を想起させるものとはいえないから、引用商標より、特定の称呼及び観念を生じない。
ウ 本件商標と引用商標の類似性について
本件商標と引用商標を比較すると、外観において、両者は、いずれもその構成中に三角形をモチーフとした図形を有する点において共通するとしても、台形図形の有無や文字の有無など、両者から受ける印象が異なることから、両者を対比観察した場合はもとより、時と所を異にして離隔的に観察した場合においても、明確に区別し得る。
また、称呼においては、本件商標から「ワークレボリューション」の称呼が生じるのに対し、引用商標から称呼は生じないことから、明瞭に聴別し得る。
さらに、観念においては、両者は、いずれも特定の観念を生じない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において明確に区別及び明瞭に聴別し得るものであり、これらを総合的に考察すれば、両者は、互いに紛れるおそれはない非類似の商標であるから、類似性の程度は低いというべきである。
(4)引用商標がハウスマークであるか及び引用商標の独創性について
上記(2)のとおり、引用商標はハウスマークである。また、上記(3)イのとおり、引用商標は、特定の事物を想起させるものとはいえず、特定の観念を生じないから、独創性の程度は高いといえる。
(5)本件商標の指定商品と申立人商品の関連性及び需要者の共通性について
本件商標の指定商品である「被服,履き物,手袋」と申立人商品である「オーディオ関連機器」とは、商品の生産部門、原材料、品質、用途等が相違するから、商品の関連性が高いとはいえず、需要者の共通性の程度は必ずしも高いとはいえない。
(6)出所の混同のおそれについて
上記(2)ないし(5)からすれば、引用商標がハウスマークであり、独創性の程度が高く、また、請求人に係る事業について多角化の事実があるとしても、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたとはいえないものであり、本件商標と引用商標は、類似性の程度は低いことに加え、商品の関連性及び需要者の共通性の程度は高いとはいえないものである。
以上よりすれば、本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する需要者が、申立人又はその業務に係る商品との関連性を連想又は想起し、同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であると誤認し、商品の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
3 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第12号及び同項第15号のいずれにも該当するものではなく、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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