商標異議申立
2023-900028
ブイローン、ローン
- 審判番号
- 2023-900028
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2017-142126
- 登録番号
- 6648684
- 請求日
- 2023年01月31日
- 審決日
- 2024年02月06日
- 公報発行日
- 2024年03月29日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社クロスマニア
- 【権利者代理人】神保 欣正
- 【異議申立人】エルブイディーブイ ホールディングス,エルエルシー
- 【異議申立人代理人】弁理士法人 東海特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 冨澤 武志
- 審判官 馬場 秀敏
- 審判官 小田 昌子
- 分類
- T1652.22 -Y (W25) / T1652.25 -Y (W25) / T1652.271-Y (W25) / T1652.222-Y (W25)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項7号商標法4条1項10号商標法4条1項15号商標法4条1項19号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第19号、商標法第4条第1項第15号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
登録第6648684号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6648684号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6648684号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおり、「VLONE」の欧文字を表してなり、平成29年9月27日に登録出願、第18類「かばん類,袋物」及び第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。)」を指定商品として、令和4年3月15日に審決され、同年12月6日に設定登録されたものである。
第2 登録異議申立人が引用する標章
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議申立ての理由において、本件商標が商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第15号及び同項第19号に該当するとして引用する標章(以下「引用標章」という。)は、「VLONE」の欧文字を横書きしてなり、「Clothing, namely, t-shirts,sweat shirts,[undershirts,] jeans,pants,shorts,jackets,coats,hats,socks,and sneakers;footwear;underwear.」(参考訳:「被服、すなわち、Tシャツ、スウェットシャツ、[アンダーシャツ]、ジーンズ、パンツ、ショートパンツ、ジャケット、コート、帽子、靴下、スニーカー;履物;下着」)を指定商品とする米国商標登録第4578741号商標であり、「被服、履物」等(以下「申立人商品」という。)に使用して周知になっていると主張する標章である。
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標はその指定商品中、第25類「全指定商品」(以下、「申立てに係る商品」という。)について商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第26号証(枝番を含む、)を提出した。
なお、証拠の記載にあたっては、以下「甲○号証」を「甲○」のように記載し、枝番号を全て記載する場合は、枝番号を省略する。
1 商標法第4条第1項第19号について
(1)本件商標と引用標章との類似性
本件商標は「VLONE」の欧文字、引用標章も「VLONE」の欧文字からなり、本件商標と引用標章とは「ヴィーローン」の称呼を同一にし、かつ、外観を共通にし、両者ともいかなる観念も生じない同一のつづりの造語であるから(甲3)、同一又は類似のものである。
このような造語が同一又は類似の商品において採用されることは偶然の一致とは考えられないから、不正の目的を推認させる。
引用標章の出願清報によれば、「FIRST USE IN COMMERCE DATE(商取引における最初の使用日)」が「At least as early as 04/01/2012(遅くとも2012年4月1日)」であるとして、セクション1(a)「使用に基づく出願」をベースに出願されており、出願日である2013年7月4日には「VLONE」のロゴマークを使用したティーシャツの写真が使用証拠として提出されている(甲2の3)。
このティーシャツに使用されている商標「VLONE」の各文字は、一般的な書体よりも縦方向に細長く、「V」の文字のみが他の文字と色彩が異なっている。この点、本件商標についても、「VLONE」の各文字が縦方向に細長く、引用標章の使用証拠の写真の文字と同じ書体であり、「V」の文字のみが他の文字と色彩が異なっている(甲1の1)。
すなわち、本件商標は、引用標章の使用商標として提出された写真のロゴマーク「VLONE」と書体及び一文字目の「V」のみが他の文字と色彩が異なる点が酷似しており、偶然の一致とは考えられない。
さらに、本件商標は、拒絶査定不服審判の令和3年3月8日付の理由において、「本願商標「VLONE」は2014年に本願出願人と・・・山川彰氏がエイサップ・バリ氏・・・を使って始めたブランドであり、・・・2014年3月 初めてデザイン(VLONEロゴ)が出来上がり、商品サンプルを山川氏、本願出願人が作成。」と主張している(甲1の2)。
しかしながら、引用標章は、2013年7月4日にエイサップ・バリ自身を共同出願人として出願されたものであるから、拒絶査定不服審判における上記「本願商標「VLONE」は2014年に本願出願人と・・・山川彰氏がエイサップ・バリ氏・・・を使って始めたブランド」であるという主張は事実と明らかに矛盾している。
さらに、本件商標と酷似するロゴを使用したティーシャツの写真の商品が、初めて本件商標(VLONEロゴ)のデザインが出来上がったとされる2014年3月よりも8か月も前の2013年7月4日に米国特許商標庁に使用証拠として提出されていることから、上記拒絶査定不服審判における「2014年3月 初めてデザイン(VLONEロゴ)が出来上がり、商品サンプルを山川氏、本願出願人が作成」という主張も不自然と言わざるを得ない。
また、本件商標について本願出願人が作成したとの主張にもかかわらず、公報に掲載される商標見本は、清刷りの商標見本ではなく、実際の商品のロゴ又はインターネット画像などをスキャンしたように認識される文字の輪郭が不鮮明な見本である(甲1の1)。
したがって、本件商標は、引用標章「VLONE」が、いまだ我が国で商標登録されていないことを奇貨として、その商品ロゴのコピー(スキャン画像)を自己の商標として出願したものと思われる。
(2)引用標章の権利者について
申立人は、「Frederick So Hunter」を代表とする米国の法人であり(甲2の5、甲4、甲5の1、2)、引用標章の権利者である(甲2の1、2、4、5)。
引用標章は、2013年7月4日に「Jabari Shelton」と「Frederick So Hunter」との共同で出願がなされた(甲2の1~3)。
「Jabari Shelton」は、アメリカ合衆国のヒップホップグループASAP MOB(エイサップ モブ)のメンバーであるASAP Bari(エイサップ・バリ)の本名であり(甲6)、引用標章は、ASAP MOBにより2010年頃に被服、履物等のブランドとして立ち上げられ、2016年頃には世界的に周知・著名となっている(甲4~甲16、甲21~甲26)。
現在、ASAP Bari(Jabari Shelton)は不祥事を理由に、引用標章「VLONE」ブランドのメンバーからは追放されており(甲4、甲6、甲7)、引用標章の商標権は、申立人に2020年6月14日に移転登録がなされている(甲2の4、5)。
申立人が運営する引用標章「VLONE」ブランドのInstagramはフォロワー数が110万人を超すほどであり、Instagramには申立人の会社ウェブサイトのリンクが貼られている(甲5の3)。
すなわち、引用標章は、ASAP MOBにより被服、履物等のブランドとして立ち上げられた後に本件商標出願前の2016年頃には世界的に周知・著名なブランドとなり、当初の共同出願人の一人である「Frederick So Hunter」が代表する申立人にその権利が移転された現在も、その人気を受け継いだまま、申立人のブランドとして周知・著名となっている。
(3)引用標章の周知性・著名性
引用標章「VLONE」は、ASAP MOBにより、2010年頃からティーシャツ等の被服やスニーカーなどの履物に使用され始めたブランドである(甲8~甲16、甲21~甲26)。
引用標章「VLONE」は、「Live alone,die alone(一人で生き、一人で死ぬ)」という生き方をテーマとし、キーワードである「ALONE」の頭文字の「A」を逆さの「V」にして作り出された造語である(甲9、甲16、甲24)。
引用標章「VLONE」ブランドの商品は、オンラインストアでの販売が主な商品の販売方法であり、積極的にプロモーション活動は行っていないものの、ソーシャルネットワークで何百万人ものフォロワーがいるほどの周知、著名な商標である(甲5の3,甲10、甲23)。
また、ポップアップストアで商品が販売されることもあり、ニューヨーク、ロサンゼルス、パリ、香港、テキサス、ニューオーリンズ、東京など、世界中でポップアップショップが立ち上げられてきた。例えば、2017年6月にパリのカンボン通りで行われたポップアップストアでは、1910年にココ・シャネルがショップを設立して以来起きていないような大きな行列となり(甲14)、2017年3月の銀座のポップアップストアでは、1,500人もの行列ができて、その日のうちに商品完売してしまうほどであった(甲16)。
さらに、引用標章「VLONE」がそのブランドとしての地位を確立した出来事としては、2017年に、アメリカ合衆国の著名ブランド「NIKE」やイタリアのストリート系ファッションブランド「Off-White」とのパートナーシップ契約を結んだことが挙げられる(甲8、甲9、甲11、甲12、甲22~甲24)。特に、「NIKE」とのコラボレーションにより販売されたスニーカーは、再販の際に2,000ドル以上を超すほどの人気ぶりである(甲12)。
また、2017年6月には、パリのファッションウィーク、いわゆるパリコレで初のランウェイショーに参加し、ブランドとしての地位を確立した(甲11、甲12)。
以上の証拠は、引用標章が本件商標の出願日前に外国及び我が国において使用され、既に外国及び日本の需要者において周知であったことを裏付けるものである。
(4)不正の目的
商標審査基準(改訂第15版)の「十七、第4条第19号」において、「不正の目的をもって使用するものと推認する場合」として、「1 一以上の外国において周知な商標又は日本国内で全国的に知られている商標と同一又は極めて類似するものであること。2 その周知な商標が造語よりなるものであるか、又は、構成上顕著な特徴を有するものであること。」と規定されている。
本件商標は、米国及び我が国を含む諸外国において周知な引用標章と同一又は極めて類似するものであるため、要件1を満たす。
次に、その周知な商標は、造語よりなるため、不正の目的がない限り、想起できるものではない。
さらに、本件商標の出願人が、「2014年に・・・エイサップ・バリ氏・・・を使って始めたブランドであり、・・・2014年3月初めてデザイン(VLONEロゴ)が出来上がり」と主張しているにもかかわらず、2013年7月4日に、エイサップ・バリ氏自身を共同出願人として、かつ、ほぼ同一のロゴを使用したティーシャツの写真を使用証拠として、引用標章が米国特許商標庁に出願されていたという事実も、本件商標の出願人の主張に疑念を抱かざるを得ない。
すなわち、本件商標は、引用標章が我が国において商標登録をされていないことを奇貨として採択されたということは想像に難くない。
さらに、本件商標は、引用標章が外国及び我が国において周知・著名になった後に、引用標章「VLONE」の実際に使用されているロゴを自己の商標として出願していることから、悪意がうかがえる。
また、引用標章の指定商品は、第25類「被服、すなわち、ティーシャツ、スウェットシャツ、[アンダーシャツ]、ジーンズ、パンツ、ショートパンツ、ジャケット、コート、帽子、靴下、スニーカー;履物;下着」であり、2016年には被服、履物の分野で世界的に周知・著名なブランドとなっているのに対し、本件商標はこれらの商品を含む申立てに係る商品、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。)」を指定していることからも、悪意がうかがえる。
よって、本件商標は、他人である申立人等の周知・著名な商標を不正の目的をもって使用するものと推認される。
したがって、本件商標は、「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして我が国又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的をもつて使用をするもの」であり、商標法第4条第1項第19号に該当する。
2 商標法第4条第1項第10号について
(1)本件商標と引用標章との類似性
本件商標は引用標章と同一又は類似である。
(2)引用標章が我が国及び外国における需要者の間に広く認識されている商標であることについて
引用標章は申立人商品に使用する商標としてアメリカ合衆国、我が国を含む諸外国において知られ、引用標章を使用した申立人商品は、アメリカ合衆国をはじめ多数の国で商品が販売されている事実がある。
また、ポップアップストアでは多くの行列ができること、NIKEとのコラボレーション商品が高値で取引されること、パリコレで新作が紹介され被服及び履物のブランドにおいては地位を確立していること、及び海外及び我が国においてはウェブサイトの記事において多数取り上げられていることから、周知性を満たすものである。
(3)本件商標の申立てに係る商品と引用標章の指定商品との類似性
本件商標の申立てに係る商品は、少なくとも引用標章の指定商品「被服、すなわち、ティーシャツ、スウェットシャツ、[アンダーシャツ]、ジーンズ、パンツ、ショートパンツ、ジャケット、コート、帽子、靴下、スニーカー;履物;下着」を包含しており、引用標章が使用された商品(被服、履物)を包含していることから、両者の商品は同一又は類似する。
したがって、本件商標は、「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であって、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの」であり、商標法第4条第1項第10号に該当する。
3 商標法第4条第1項第15号について
(1)本件商標と引用標章との類似性
本件商標は引用標章と同一又は類似である。
(2)引用標章の周知性・著名性
引用商標は我が国及び外国において周知・著名である。
そして、本件商標の申立てに係る商品と、申立人商品との関連性は非常に高い。
よって、本件商標がその申立てに係る商品に使用された場合、商品の出所について混合を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、「他人の業務に係る役務と混同を生じるおそれがある商標」であり、商標法第4条第1項第15号に該当する。
4 商標法第4条第1項第7号について
本件商標は引用標章と同一又は類似であり、引用標章は我が国及び外国において周知・著名な商標である。
よって、本件商標の商標権者は、引用標章がその指定商品について我が国において商標登録されていないことを奇貨として、先取り的に商標登録出願し、商標権を取得したものとみるのが相当である。
してみれば、本件商標の商標権者が本件商標を商標登録出願し商標権を取得した行為は、公正な商取引の秩序を乱すおそれがあり、ひいては公の秩序を害するおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標は、「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」であり、商標法第4条第1項第7号に該当する。
第4 当審の判断
1 引用標章の周知性について
申立人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
(1)引用標章は、2013年7月4日に、アメリカ合衆国のヒップホップグループであるASAP MOBのメンバーの一人である「Jabari Shelton」(本名:ASAP Bari)と申立人の代表者である「Frederick So Hunter」との共同で出願がなされ、本件商標と類似の標章を付したティーシャツの写真が引用標章の使用証拠として提出された上で米国商標登録されていること、その後、引用標章の商標権の最終的な権利者は申立人であることが確認できる(甲2の2、甲4の2、甲6の2)。
(2)インターネット記事によれば、「VLONE」ブランドは、2013年頃に被服、履物等のブランドとして、ASAP Bariを中心としたヒップホップグループであるASAP MOBによって立ち上げられたブランドであり、また、2017年に「VLONE」ブランドが「NIKE」や「Off-White」などのブランドとコラボしたこと、さらに、2017年には、パリコレで初のランウェイショーに参加したこと、「VLONE」ブランドの商品は、主にオンラインストアを通じて販売されているところ、パリ、ミラノ、ロサンゼルスや東京(銀座、原宿)や福岡など国内外の「VLONE」ブランドのポップアップストアでも販売されたことがうかがえ、一部の証拠において、「VLONE」ブランドの商品の紹介とともに、引用標章と類似の標章を付したティーシャツの写真が掲載されている(申立人の主張、甲8~甲14、甲16、甲21~甲25)。
なお、申立人は、申立人が運営する引用標章「VLONE」ブランドのInstagramはフォロワー数が110万人を超すほどであり、Instagramには、申立人の会社ウェブサイトのリンクが貼られている(甲5の3)と主張するが、かかる証拠からは、Instagramの運営者が申立人であること及びリンク先が申立人であることの事実が確認できない。
(3)上記(1)及び(2)よりすれば、申立人が引用標章の現在の権利者であることは認められるが、引用標章が我が国及び外国において申立人の業務に係る商標として需要者の間に広く知られていることを示す証拠は確認できない。
また、ASAP Bariを中心としたヒップホップグループであるASAP MOBによって立ち上げられた「VLONE」ブランドが、複数のインターネット記事で紹介されたことはうかがえるが、それらの記事のほとんどは英語で記載されており、我が国の需要者向けの記事とはいい難い。
さらに、「VLONE」ブランドの商品が、パリ、ミラノ、ロサンゼルスや東京(銀座、原宿)及び福岡など国内外のポップアップストアで販売されたこと、「VLONE」ブランドが「NIKE」や「Off-White」などのブランドとコラボしたこと、パリコレで初のランウェイショーに参加したことはうかがえる。
しかしながら、引用標章を使用した申立人商品の我が国及び外国における売上高などの販売実績、広告宣伝の方法、規模、広告宣伝費など、その事実を客観的に把握することができる証拠は提出されていない。
よって、申立人提出の証拠からは、引用標章が、我が国及び外国の需要者にどの程度認識されているのか把握、評価することができない。
その他、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用標章が申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国及び外国の需要者の間に広く知られていることを認めるに足りる証拠の提出はなく、引用標章の周知性を認め得る事情は見いだせない。
してみると、提出証拠によっては、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用標章が申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国又は外国の需要者の間で広く認識されていたものと認めることはできない。
2 商標法第4条第1項第10号該当性について
(1)本件商標と引用標章の類否について
本件商標は、別掲のとおり、縦方向に細長い「VLONE」(「V」の文字は他の文字と濃淡が異なっている。以下、同じ。)の欧文字を表してなるところ、当該文字は、辞書に載録がないものであり、特定の意味を有しない造語にあっては、我が国で親しまれた英語又はローマ字の発音に倣って称呼されるといえるから、本件商標は、その構成文字に相応して「ブイローン」の称呼を生じ、特定の観念を生じない。
他方、引用標章は、「VLONE」の欧文字を横書きしてなるところ、引用標章は、本件商標と同じ文字構成よりなるから、本件商標と同様に、引用標章は、その構成文字に相応して「ブイローン」の称呼を生じ、特定の観念を生じない。
本件商標と引用標章を比較すると、外観においては、書体の違いはあるものの、両者は「VLONE」の文字構成を共通にし、称呼においては、両者は「ブイローン」の称呼を共通にするものであり、観念においては、いずれも特定の観念を生じないから比較することができない。
したがって、本件商標と引用標章は、観念において比較できないとしても、外観及び称呼において、相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
(2)引用標章の周知性について
上記1のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用標章が申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国又は外国の需要者の間で広く認識されていたものと認めることはできないものである。
(3)小括
そうすると、本件商標は、引用標章とは類似する商標ではあるものの、引用標章が、我が国の需要者の間に広く認識されたものとは認められないものであるから、商標法第4条第1項第10号を適用するための要件を欠くものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)引用標章の周知性について
上記1のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用標章が申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間で広く認識されていたものと認めることはできないものである。
(2)本件商標と引用標章の類似性の程度について
上記2のとおり、本件商標と引用標章は、相紛れるおそれのある類似の商標であるから、類似性の程度は高いというべきである。
(3)本件商標の申立てに係る商品と申立人商品との関連性及び需要者の共通性について
本件商標の申立てに係る商品は、被服、靴類などであり、申立人商品も被服、履物などであるから、両者の商品の関連性及び需要者の共通性は高いといえる。
(4)出所の混同のおそれについて
上記(2)及び(3)のとおり、本件商標と引用標章とは、類似性の程度が高く、本件商標の申立てに係る商品と申立人商品の関連性及び需要者の共通性が高いとしても、上記(1)のとおり、引用標章は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間で広く認識されていたものとは認めることができないものである。
そうすると、本件商標は、本件商標の商標権者(以下「本件商標権者」という。)がこれをその申立てに係る商品について使用しても、これに接する需要者が、引用標章を連想又は想起することはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第19号該当性について
上記2のとおり、本件商標と引用標章は、相紛れるおそれのある類似の商標であるとしても、上記1のとおり、引用標章は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国又は外国の需要者の間で広く認識されていたものとは認めることができないものである。
そして、「VLONE」の語が造語であること、申立人が主張する本件商標の拒絶査定不服審判における主張内容や引用標章の出願の経緯などを考慮しても、提出された証拠からは、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、本件商標権者が引用標章にフリーライドするなど不正の目的をもって本件商標を使用するものであると認めるに足りる証拠は見いだせない。
そうすると、申立人提出に係る証拠からは、本件商標権者が引用標章の名声を毀損させることを認識し、本件商標を不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用するものとはいえない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
5 商標法第4条第1項第7号該当性について
上記2のとおり、本件商標と引用標章は、相紛れるおそれのある類似の商標であるとしても、上記1のとおり、引用標章は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国又は外国の需要者の間で広く認識されていたものとは認められないものである。
また、本件商標は、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、きょう激若しくは他人に不快な印象を与えるようなものでないことは明らかであり、 さらに、本件商標の登録出願の経緯に社会的相当性を著しく欠く、又は本件商標をその申立てに係る商品について使用することが、社会の一般的道徳観念に反するなど、公序良俗に反するものというべき証左も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
6 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第15号及び同項第19号に該当するとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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