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商標異議申立

2023-900024

モンスタークッカー、モンスター

審判番号
2023-900024
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2022-032044
登録番号
6641823
請求日
2023年01月27日
審決日
2024年04月26日
公報発行日
2024年06月28日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】ハナツールズ株式会社
  • 【権利者代理人】中谷 光夫
  • 【異議申立人】モンスター エナジー カンパニー
  • 【異議申立人代理人】柳田 征史
審判長/審判官
  • 審判長 山田 啓之
  • 審判官 杉本 克治
  • 審判官 渡邉 あおい
分類
T1651.22 -Y (W21) / T1651.271-Y (W21)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項第15号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

登録第6641823号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6641823号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 1 本件商標 本件登録第6641823号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和4年3月22日に登録出願、第21類「鍋類,貴金属製コーヒーポット(電気式のものを除く),鍋蓋,鍋蓋取っ手,陶器製ソース鍋,肉汁受け,バター鍋,非貴金属製やかん,非貴金属製茶こし器具,球形茶こし器(貴金属製のものを除く。),ガスコンロで使用する釜(電気式のものを除く),焼きフライパン(電気式のものを除く),鍋(電気式のものを除く),炊飯器(電気式のものを除く),ソース鍋(電気式のものを除く),釜(電気式のものを除く),ポーチドエッグ鍋(電気式のものを除く),シチュー鍋(電気式のものを除く),蒸し器(電気式のものを除く),圧力鍋(電気式のものを除く),料理用鍋(電気式のものを除く),料理用釜・鍋(電気式のものを除く),調理用釜・鍋(電気式のものを除く),ポップコーン鍋(電気式のものを除く),フライパン(電気式のものを除く),ソースフライパン,シチュー鍋,にかわ鍋,料理用鍋セット(電気式のものを除く),ガラス鍋,やかん,揚げ物用フライパン(電気式のものを除く),フライパン,圧力フライパン,両面フライパン」を指定商品として、同年10月18日に登録査定され、同年11月17日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下のとおりであり、いずれの商標権も、現に有効に存続しているものである。 (1)登録第5379390号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の構成:MONSTER(標準文字) 指定商品:第32類「アルコール分を含まない飲料,清涼飲料,果実飲料」 登録出願日:平成22年7月8日 設定登録日:平成22年12月24日 (2)登録第5057229号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の構成:別掲2のとおり 指定商品:第32類「エネルギー補給用清涼飲料,スポーツ用清涼飲料,その他の清涼飲料,果実飲料,エネルギー補給用のアルコール分を含有しない飲料,スポーツ用のアルコール分を含有しない飲料,ビール風味の麦芽を主体とするアルコール分を含有しない飲料,その他のアルコール分を含有しない飲料」 登録出願日:平成18年6月9日 設定登録日:平成19年6月22日 (3)登録第5393681号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の構成:MONSTER ENERGY(標準文字) 指定商品:第32類「アルコール分を含まない飲料,清涼飲料,果実飲料」 登録出願日:平成22年7月8日 設定登録日:平成23年2月25日 以下、引用商標1ないし引用商標3をまとめて「引用商標」という。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第7号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第467号証(枝番号を含む。)を提出した。 以下、証拠については、「甲第○号証」を「甲○」のように省略して記載し、枝番号の全てを示すときは、枝番号を省略して記載する。 (1)「MONSTER」及び「モンスター」の周知著名性 ア MONSTERブランドの創設及び「MONSTER」の使用 申立人は、2002年に「MONSTER」なるエナジードリンクのブランドを創設し、これ以降、現在に至るまで、「MONSTER」をMONSTERブランドのエナジードリンク(以下「申立人商品」という。)の出所識別標識として使用している。 申立人商品は、2002年に米国でMONSTERブランドの第1号の個別製品「MONSTER ENERGY」を発売後、世界各国における販売も開始し、現在は日本を含む世界130以上の国及び地域で販売中である。 申立人商品には、2002年以降現在まで一貫して、「MONSTER」の文字を基調とする個別商品名(例えば、「MONSTER ENERGY」、「MONSTER ASSAULT」、「MONSTER KHAOS」、「MONSTER M-80」、「MONSTER RIPPER」等)が採用されている。また、これらの個別製品の包装容器は同じデザインで統一されており、特徴的な書体で大きく表示した「MONSTER」の文字(甲416)を独立して見る者の目をひきつける態様で顕著に表示している。 このように、規則的なネーミング法(すなわち「MONSTER」に他の語を結合する方法)で命名された個別製品名と特徴的な書体で表示した「MONSTER」の文字を顕著に表示した統一的デザインの包装容器を特徴とする申立人商品は、需要者の間でたちまち人気となり、申立人のMONSTERブランドのエナジードリンク事業を拡大し、その成功は経済界で高い評価を受けている(甲2~甲33、甲51~甲58、甲391~甲393)。 国内では、2012年5月の「MONSTER ENERGY」(モンスターエナジー 缶 355ml)及び「MONSTER KHAOS」(モンスター カオス 缶 355ml)発売以降、現在まで25種類の申立人商品(リニューアル商品を含む。)を販売している。 イ 広告宣伝活動 申立人商品に関する広告宣伝活動は、幅広く継続的なものであり、国際的に活躍する多数の有名アスリート・チーム及びイベントに対するスポンサー活動を中核として、ウェブサイト及びプレスリリースによる広告、申立人商品サンプルの配布、大手コンビニエンスストアやイベント主催者と提携した大規模な販売キャンペーン(景品・賞品のプレゼントを含む。)、スポーツイベント等の開催、契約アスリート等の動画・画像の公開、MONSTERブランドのライセンス商品の開発及び販売、ビデオゲーム会社と提携したMONSTERブランドを使用したビデオゲームの開発及び共同販売促進活動の実施など極めて多彩な内容である。こうした広告宣伝活動は、「MONSTER」の文字(特徴的な書体で表示したものを含む。)、爪の図柄と特徴的な書体で表示した「MONSTER」の文字と活字体で表示した「ENERGY」の文字からなるロゴマーク、「MONSTER ENERGY」の文字(以下、これらを併せて「MONSTERブランドマーク」という。)を使用して、本件商標の登録出願日前から継続的かつ頻繁に全国規模で実施されている。 また、申立人は、申立人商品の中心的需要者層である10~30代の若い世代(特に男性)に人気が高いモータースポーツ、エクストリームスポーツの分野を中心にスポンサー活動を行うとともに、全16の異なるウェブサイト及びソーシャルメディアのアカウントを開設して、こうした若い世代が多く利用するインターネットメディアによる大規模な情報発信を通じてMONSTERブランドを需要者に強くアピールするための効果的な広告を実施している。 ウ ライセンス商品の輸入差止 需要者におけるMONSTERブランドのライセンス商品の人気の高さに便乗して、海外で製造された申立人の商標権侵害物品が日本の税関で輸入差止される事案が遅くとも平成25年7月から度々発生している。 エ 国内外における商標登録 MONSTERブランドマークについて、申立人は、引用商標を始めとして、国内外において多数の商標登録を取得している(甲447~甲463)。 オ ブランド認知度及び市場占有率 複数の第三者が実施したエナジードリンクに関する市場調査及び消費者アンケート調査によれば、既に2013年時点で申立人商品の国内市場占有率は25%を超えており、一般消費者におけるブランド認知度も第2位であったことが明らかである。2013年以降も、申立人商品は着実に売上げを伸ばしており、若い世代の男性を中心とした従来の主要需要者層にとどまらず、美しいカラフルな色使いのボトル缶に大きく目立つ態様で表示された爪の図柄が人目をひきつけ、男性のみでなく女性の間でもMONSTERブランドの認知度を高めてきた。2018年には、申立人商品の販売実績は1千万ケースに近づき、それまで首位の「レッドブル」を超えて市場占有率トップに立った(甲311~甲322、甲383~甲385、甲433)。 カ 「MONSTER」及び「モンスター」の表示で認識されていたこと 上記のような販売実績を通じて、申立人商品は、飲料業界で「モンスター」と称され、「MONSTER」又は「モンスター」と表示され、「MONSTER(モンスター)」のブランドとして認識されている(甲10、甲16、甲17、甲34、甲42ほか)。 この点に関しては、特許庁の審査においても、「モンスター」は、申立人が飲料等について使用する商標「MONSTER ENERGY(モンスターエナジー)」の略称として需要者の間で広く認識されていると認定されている(甲433)。 キ 小括 以上の事柄に照らせば、申立人の使用に係る「MONSTER」の文字及びその音訳「モンスター」は、本件商標の登録出願時及び登録査定時には、申立人の製造販売に係る商品及び役務を表示するものとして需要者の間で広く認識されていたことが明らかである。 (2)商標法第4条第1項第15号該当性 ア 本件商標の構成文字「MONSTERCOOKER」は、成語ではなく、常に一体不可分のものとして捉えなければならない事情はない。一方、「MONSTER」の文字はその音訳が外来語の「モンスター」(甲464、甲465)として、「COOKER」の文字はその音訳が外来語の「クッカー」(甲466、甲467)として、それぞれ親しまれていることから、本件商標は、「MONSTER」と「COOKER」の2語を結合したものとして容易に看取される。 「COOKER」は、その音訳「クッカー」が「調理器具、料理道具」、「料理がま(なべ)」を意味する外来語として一般に浸透している(甲466、甲467)。 本件商標の指定商品は、鍋、フライパン等の調理用具であるから、これらに「COOKER」の文字を使用しても、当該文字部分は商品の普通名称又はその用途、機能の表示として認識されるにとどまり、出所識別標識として機能しないことが明らかである。仮に、「COOKER」の文字部分が自他商品識別力を発揮する場面があったとしても、その識別力の程度は、「MONSTER」の文字部分と比較して極めて弱いものにとどまることは明白である。 よって、本件商標は、「MONSTER」の文字と「COOKER」の文字を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとはいえないものであり、「MONSTER」の文字部分が出所識別標識として需要者に強い印象を与えることが明らかである。 本件商標は、「MONSTER」の文字、「モンスター」の称呼及び「モンスター」の観念を包含する点で、引用商標及び「MONSTER」を使用した申立人商品の個別製品名と一致し、これらの申立人の使用に係る商標と外観、称呼及び観念の印象が類似する。 また、本件商標の構成文字は、申立人商品に使用されている全ての個別製品名と同一のネーミング規則、すなわち、「MONSTER」に他の語を結合する方法によって構成されている点でも申立人の使用に係る商標と一致する。 したがって、本件商標は、申立人の使用に係る商標と類似性の程度が極めて高いことが明らかである。 イ 本件商標の指定商品は、一般家庭で使用される調理用具(日用品)であり、その最終的な需要者は一般の消費者であるから、申立人商品のエナジードリンクと需要者層が一致ないし重複することが明らかである。 また、本件商標の指定商品の需要者は、一般消費者であるから、通常の需要者の注意力の程度は高いものとはいえない。 先に述べたとおり、「MONSTER」及びその音訳「モンスター」は、本件商標の登録出願時及び登録査定時に申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして需要者の間で広く認識されていた。 ウ したがって、本件商標が使用された場合、これに接した需要者は、申立人の使用に係る「MONSTER」及び申立人を直観し、当該商品が申立人又は申立人と経済的若しくは組織的関係を有する者の取扱いに係るものであると誤信し、その出所について混同を生じるおそれがある。 また、本件商標の使用は、申立人の商品及び役務の出所識別標識として広く認識されている「MONSTER」の出所表示力を希釈化するものであり、さらに、その名声、顧客吸引力にフリーライドするものといわざるを得ない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 (3)商標法第4条第1項第7号該当性 本件商標は、社会一般道徳及び公正な取引秩序の維持を旨とする商標法の精神及び国際信義に反するものであり、公の秩序を害するおそれがある。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。 4 当審の判断 (1)「MONSTER」、「モンスター」の周知著名性について ア 申立人の提出に係る証拠及び同人の主張並びに職権による調査(インターネット情報、新聞記事情報など)によれば、次の事実が認められる。 (ア)申立人は、1930年代に創業した米国の飲料メーカーであって、我が国においてはアサヒ飲料株式会社を通じて2012年5月にエナジードリンク「MONSTER ENERGY(モンスターエナジー)」及び「MONSTER KHAOS(モンスター カオス)」の販売を開始し、その販売量は同年9月には累計100万箱を超え、同年12月には累計157万箱となった(甲7~甲9)。 その後、申立人は、2022年まで毎年、新製品やリニューアル商品を合計25種類以上販売した(甲7~甲13、甲59~甲62、甲101~甲103、甲127~甲130、甲252、甲253、甲256、甲257、甲323、甲324、甲353~甲361、甲434~甲442、甲445、甲446ほか)。 (イ)申立人商品に係るほとんどの種類の商品の容器には、3本の爪痕のような図形、デザイン化された「MONSTER」の文字(以下、この文字部分を「MONSTERロゴ」という。)及び「ENERGY」の文字を3段に表した別掲3のとおりの商標(色彩が異なるものを含む。)が表示され、また、全ての申立人商品には、「MONSTERロゴ」が大きく表示されている(甲7~甲13ほか)。 そして、これらの申立人商品を指称する際は、「モンスターエナジー」ブランドと総称されている(甲8、甲10、甲59、甲60、甲129、甲130ほか)。 (ウ)申立人は、我が国で開催される各種のスポーツ競技会、イベントにおいて、看板、ユニフォーム、車体など多種多様なものに、別掲3のとおりの構成よりなる商標を表示している(甲73~甲80、甲82ほか)。 (エ)有限会社飲料総研の調査によれば、我が国における2013年のエナジードリンクの出荷数は約950万ケース(1ケース30本換算)であり、首位のレッドブルが550万ケース、2位のモンスターエナジーは240万ケースであった(甲317、甲318、甲320)。 (オ)日本経済新聞社の2019年3月29日付け「(飲料HOT&COOL)モンスターエナジー、レッドブル超え」をタイトルとするウェブページには、「日経MJ」として、「飲料総研によると2018年の販売実績は1千万ケースに近づき、それまでカテゴリーの首位を走っていた「レッドブル」を超えた。」の記載がある(職権調査:https://www.nikkei.com/article/DGKKZO43024750Y9A320C1HE4A00/)。 (カ)2022年5月7日付け「モンスターエナジー、レッドブルを駆逐しトップ独走状態の秘密・・・周到な販売戦略」をタイトルとするウェブページには、「全国のドラッグストアのPOSデータをもとにした買物指数によると、エナジードリンクの火付け役だった「レッドブル・エナジードリンク」を抑え、モンスターエナジーの売り上げが独走状態になっている。今や日本国内のトップシェアを獲得しているのだ。」の記載がある(職権調査:https://biz-journal.jp/2022/05/post_292763.html) (キ)2022年10月25日付け「日経 XTREND」と称するウェブページには、「エナジードリンク飛躍、販売額4年で3倍増 日本コカは苦戦」のタイトルの下、「エナジードリンク、メーカー別販売金額シェアの推移」の図があり、それには2018年9月ないし2022年9月として、「モンスターエナジージャパン」がいずれも40%前後でトップシェアとされている(職権調査:https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/watch/00013/02035/)。 (ク)ジャストシステムによるエナジードリンクに関する調査(2014年4月)によれば、認知度が高い商品の1位は82.8%の「RedBull」、2位は47.6%の「MONSTERENERGY」であった(甲319)。 (ケ)JMR生活総合研究所による消費者調査(No.196「エナジードリンク(2014年7月版)」)によれば、ブランド認知率の1位は「レッドブル・エナジードリンク」で45%、2位が「モンスターエナジー」で31%であり、同消費者調査No.232「エナジードリンク(2016年8月版)」によれば、ブランド認知率の1位は「レッドブル・エナジードリンク」、2位は「モンスターエナジー」であったと推認できる(甲311、甲312)。 (コ)JMR生活総合研究所による消費者調査データ No.269「エナジードリンク(2018年5月版)」には、「モンスター、レッドブル、リアルゴールド 寡占化すすむエナジードリンク市場」のタイトルの下、「今回の調査では、「リアルゴールド(日本コカ・コーラ)」「レッドブル・エナジードリンク(レッドブル・ジャパン)以下レッドブル」「モンスターエナジー(アサヒ飲料)」の3ブランドがほとんどの項目で上位3位を独占した。」の記載があり、同消費者調査データ No.293「エナジードリンク(2019年5月版)」には、「リアルゴールド、レッドブル、モンスターエナジー。3強上位独占」のタイトルの下、「今回の調査でも、前回(2018年5月版)と同様、「リアルゴールド(日本コカ・コーラ)」「レッドブル・エナジードリンク(レッドブル・ジャパン)以下レッドブル」「モンスターエナジー(アサヒ飲料)」の3ブランドが複数の項目で上位3位を独占した。」の記載があり、同消費者調査 No.365「エナジードリンク(2022年5月版)」には、「「レッドブル」「モンスター」認知率拡大、上位の牙城揺るがず」のタイトルの下、「認知では、首位が「リアルゴールド」、2位が「レッドブル」、3位が「モンスターエナジー」で、順位は前回と同様だが、「レッドブル」は49.8%から57.6%に、「モンスターエナジー」は49.3%から55.4%に伸ばした。」の記載がある。(職権調査:https://www.jmrlsi.co.jp/trend/mranking/02-drink/mranking269.html https://www.jmrlsi.co.jp/trend/mranking/02-drink/mranking293.html https://www.jmrlsi.co.jp/trend/mranking/02-drink/mranking365.html) (サ)申立人及びアサヒ飲料株式会社(以下、両者を併せて「申立人等」という。)は、本件商標の登録出願の日前から、申立人商品に係るニュースリリース、ポスターなどで申立人商品を「モンスターエナジー」と表示し、また、申立人等以外のウェブページにおいても、申立人商品は「モンスターエナジー」と表示されている。なお、「MONSTER」及び「モンスター」の文字は、申立人商品の写真とともに表されていることが散見される(甲63、甲69、甲71、甲79、甲101~甲103、甲111、甲113、甲115、甲118、甲119、甲124、甲132、甲162、甲163、甲165、甲241、甲251、甲256、甲258~甲260ほか)。 イ 上記アからすれば、申立人等は、我が国において、2012年(平成24年)5月からエナジードリンク「MONSTER ENERGY」及び「MONSTER KHAOS」の販売を開始し、その後現在まで25種類以上の申立人商品を販売していること、我が国における2013年(平成25年)のエナジードリンクの出荷数約950万ケースのうち、申立人商品の出荷数は240万ケースで第2位であったことが認められ、その後、申立人商品の販売実績は、2018年(平成30年)に1千万ケースに近づき、以後2022年まで毎年販売シェア40%前後かつ第1位であると推認できることに加え、エナジードリンク「モンスターエナジー」のブランド認知度の調査において、2014年4月は47.6%、同年7月は31%と差異はあるもののいずれの調査でも第2位であり、2016年、2018年及び2019年はいずれも3位以内であることが推認でき、2022年は55.4%で第3位であったことが認められるから、申立人商品は、本件商標の登録出願日以前から、登録査定日においても、我が国のエナジードリンクの需要者の間に広く認識されているものと判断するのが相当である。 ウ そして、申立人商品のほとんどの種類の商品の容器には、別掲3のとおりの構成からなる引用商標2と同一の商標が表示され、申立人等及びニュースリリースなどにおいて申立人商品を「モンスターエナジー」と表していることや、スポーツ競技会、イベント及び各種のキャンペーンにおける申立人の広告宣伝等を踏まえてみると、別掲3のとおりの構成よりなる商標であって引用商標2と同一と認められる商標、引用商標3と同一の「MONSTER ENERGY」の欧文字及び「モンスターエナジー」の片仮名は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、いずれも申立人等の業務に係る商品(エナジードリンク)を表示するものとして、エナジードリンクの需要者の間に広く認識されているものといえる。 エ 申立人は、「MONSTER」及びその表音「モンスター」は、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして需要者の間で広く認識されている旨主張している。 しかしながら、申立人商品の容器には、別掲3のとおりの構成からなる商標であって引用商標2と同一と認められる商標が表示されており、当該商標の構成中には「MONSTER」の文字が含まれているものの、当該「MONSTER」の文字は特殊な「MONSTERロゴ」にて表されており、また、「ENERGY」等の他の文字及び需要者の間に広く認識されている3本の爪痕のような図形が近接し合うように表示されている。 また、申立人商品のキャンペーンに係るニュースリリース、ポスター、記事等において、申立人商品が「モンスター」又は「MONSTER」と表示されているものがあるものの、当該ニュースリリース、ポスター、記事等には、「ENERGY」等の他の文字及び需要者の間に広く認識されている3本の爪痕のような図形も併せて表示又は記載されている。 加えて、「モンスター」及び「MONSTER」の文字(語)それ自体は、一般に親しまれた既存の語であって、独創的なものではない。 そうすると、「MONSTER」の文字からなる商標又は「モンスター」の文字からなる商標は、申立人の業務に係るエナジードリンクを表示するものとして需要者の間に広く認識されているとは認められないから、申立人の当該主張を認めることはできない。 (2)商標法第4条第1項第15号該当性について ア 引用商標の周知性及び独創性の程度について 上記(1)のとおり、3本の爪痕のような図形、「MONSTERロゴ」及び「ENERGY」の欧文字を3段に表してなる引用商標2並びに「MONSTER ENERGY」の欧文字からなる引用商標3は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、いずれも申立人等の業務に係る商品を表示するものとして、エナジードリンクの需要者の間に広く認識されているものの、引用商標1については、広く認識されているとはいえない。 また、引用商標1を構成する「MONSTER」の文字は、我が国で親しまれている成語であるから、独創性の程度は極めて低いものである。 イ 本件商標と引用商標の類似性の程度について (ア)本件商標について 本件商標は、別掲1のとおり、「MONSTERCOOKER」の欧文字を横書きしてなり、当該文字に相応して「モンスタークッカー」の称呼を生じ、当該文字は辞書等に載録されていることが見いだせないから特定の観念を生じない。 (イ)引用商標について 引用商標1は、上記2(1)のとおり、「MONSTER」の文字を標準文字で表してなり、当該文字に相応して「モンスター」の称呼を生じ、「モンスター(怪物)」の観念を生じるものである。 引用商標2は、別掲2のとおり、3本の爪痕のような図形、「MONSTERロゴ」及び「ENERGY」の欧文字からなり、全体の構成文字から、「モンスターエナジー」の称呼を生じ、また、その構成中、大きくデザイン化されている「MONSTERロゴ」部分に着目して「モンスター」の称呼及び「モンスター(怪物)」の観念を生じるといえる。 引用商標3は、上記2(3)のとおり、「MONSTER ENERGY」の欧文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字に相応して「モンスターエナジー」の称呼を生じる。 また、上記(1)のとおり、申立人商品のほとんどの種類の商品の容器に、3本の爪痕のような図形、「MONSTERロゴ」及び「ENERGY」の欧文字が表示され、申立人等及び同人に係るニュースリリースなどにおいて、申立人商品を「モンスターエナジー」と表していることから、「MONSTER ENERGY」及び「モンスターエナジー」の文字は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、いずれも申立人等の業務に係る商品(エナジードリンク)を表示するものとして、エナジードリンクの需要者の間に広く認識されているから、引用商標2及び引用商標3からは、「申立人のブランド」としての観念を生じるといえる。 (ウ)本件商標と引用商標の類否について a 本件商標を構成する「MONSTERCOOKER」の文字と引用商標1を構成する「MONSTER」の文字とを比較すると、両者は後半における「COOKER」の文字の有無の差異を有し、この差異が両者の外観全体の視覚的印象に与える影響は大きく、相紛れるおそれのないものである。 次に、本件商標から生じる「モンスタークッカー」の称呼と引用商標1から生じる「モンスター」の称呼を比較すると、いずれの称呼においても「モンスター」の音を含むものではあるものの、両者は後半部における「クッカー」の音の有無の差異を有し、この差異が両称呼全体の語調語感に及ぼす影響は大きく、両者をそれぞれ一連に称呼しても、聞き誤るおそれのないものである。 さらに、観念においては、本件商標が特定の観念を生じないものであるのに対し、引用商標1は「モンスター(怪物)」の観念を生じるものであるから、観念において相紛れるおそれのないものである。 b 本件商標の構成文字「MONSTERCOOKER」と引用商標2とを比較すると、引用商標2は、別掲2のとおり、3本の爪痕のような図形、「MONSTERロゴ」及び「ENERGY」の欧文字の3段からなり、図形の有無の差異及び「COOKER」の欧文字と「ENERGY」の欧文字の相違により、本件商標とは外観において相紛れるおそれはない。 また、本件商標から生じる「モンスタークッカー」の称呼と引用商標2から生じる「モンスターエナジー」又は「モンスター」の称呼とは、後半における「クッカー」の音と「エナジー」の音の相違、又は「クッカー」の音の有無に差異を有するから、両者は、明瞭に聴別できる。 さらに、本件商標は、特定の観念が生じないのに対し、引用商標2は、エナジードリンクの需要者の間に広く知られている「申立人のブランド」の観念が生じるから、両者は、観念において相紛れるおそれはない。 c 本件商標の構成文字「MONSTERCOOKER」と引用商標3の構成文字「MONSTER ENERGY」とを比較すると、後半における「COOKER」の欧文字と「ENERGY」の欧文字において明らかな差異を有し、外観において相紛れるおそれはない。 また、本件商標から生じる「モンスタークッカー」の称呼と引用商標3から生じる「モンスターエナジー」の称呼とは、後半における「クッカー」の音と「エナジー」の音に差異を有するから、両者は、聴別できる。 さらに、本件商標からは、特定の観念は生じないのに対し、引用商標3からは、エナジードリンクの需要者の間に広く知られている「申立人のブランド」の観念が生じるから、両者は、観念において相紛れるおそれはない。 d 小括 以上aないしcによれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのないものであるから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。 ウ 本件商標の指定商品と申立人商品との関連性 本件商標の指定商品は、上記1のとおり、第21類に属する商品であるところ、申立人の業務に係るエナジードリンクとは、商品の生産部門、販売部門、原材料、用途が相違するといえるから、これら商品の関連性があるとはいえない。 エ 混同のおそれ 上記アのとおり引用商標2及び引用商標3は、申立人等の業務に係る商品を表示するものとして、エナジードリンクの需要者の間に広く認識されているものの、引用商標1については、周知性は認められず、独創性の程度は極めて低いものであって、上記イのとおり本件商標と引用商標とは、相紛れるおそれのない非類似の商標であり、上記ウのとおり本件商標の指定商品と申立人商品との関連性がないことから、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人等)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。 その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。 オ 申立人の主張について 申立人は、本件商標「MONSTERCOOKER」は成語ではなく、常に一体不可分のものとして捉えなければならない事情はなく、また、「COOKER」の文字はその音訳「クッカー」が「調理器具、料理道具、料理がま(なべ)」を意味する外来語として一般に浸透していること、そして、本件商標の指定商品は、鍋、フライパン等の調理用具であるから、これらに「COOKER」の文字を使用しても、商品の普通名称又はその用途、機能の表示として認識され、出所識別標識として機能しないこと、及び、仮に「COOKER」の文字部分が自他商品識別力を発揮する場合があったとしても、その識別力の程度は、「MONSTER」の文字部分と比較して極めて弱いことから、本件商標からは「MONSTER」が出所識別標識として需要者に強い印象を与える旨を主張している。 しかしながら、本件商標の構成文字「MONSTERCOOKER」は、隙間なく同書同大でまとまりよく一体的に表されているものであって、これより生じる「モンスタークッカー」の称呼はよどみなく一連に称呼し得るものであり、また、上記アのとおり、引用商標2及び引用商標3は申立人等の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているといえるものの、引用商標1は周知性が認められず、独創性の程度は極めて低いものであることからすれば、本件商標は、たとえ、その構成中「COOKER」の文字が「調理器具」などの意味を有する親しまれた語であるとしても、かかる構成及び称呼等を併せて考慮すれば、本件商標は、看者をして「MONSTER」の文字部分が出所識別標識として需要者に強い印象を与えることなく、「MONSTERCOOKER」の構成文字全体をもって、一体不可分のものとして認識、把握させるものと判断するのが相当である。 したがって、申立人の当該主張は採用できない。 カ 小括 したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (3)商標法第4条第1項第7号該当性について 本件商標は、上記1のとおり、「MONSTERCOOKER」の欧文字からなるところ、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、きょう激又は他人に不快な印象を与えるような文字からなるものではない。 また、上記(2)イのとおり、本件商標と引用商標とは、相紛れるおそれのない非類似の商標であって別異の商標であるから、そのような本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることのないものであって、かつ、引用商標に化体した信用、名声、顧客吸引力等を毀損させるおそれもないものである。 その他、本件商標の登録出願の目的や経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ない場合等、本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標と認めるに足る具体的な証拠の提出はない。 そうすると、本件商標は、その指定商品に使用することが社会一般の道徳に反し公正な取引秩序を乱す、あるいは国際信義に反するなど、公序良俗に反するものとはいえない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。 (4)むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同項第15号のいずれにも該当するとはいえず、他にその登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-900024

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