商標無効審判
2023-890089
ユナイテッドゴールド、ユナイテッド、ゴールド
- 審判番号
- 2023-890089
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 無効審判(無効の審決)
- 出願番号
- 商願2022-004358
- 登録番号
- 6534957
- 請求日
- 2023年12月14日
- 審決日
- 2024年06月04日
- 公報発行日
- 2025年04月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ハワード 株式会社
- 【請求人代理人】弁護士法人窪田法律事務所
- 【被請求人】西富商事 株式会社
- 【被請求人代理人】弁理士法人Toreru
- 審判長/審判官
- 審判長 大島 勉
- 審判官 小林 裕子
- 審判官 阿曾 裕樹
- 分類
- T112 .261-Y (W2535) / T112 .262-Y (W2535) / T112 .263-Y (W2535) / T112 .264-Y (W2535) / T112 .265-Y (W2535)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号商標法46条1項1号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第6534957号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6534957号商標(以下「本件商標」という。)は、「UNITED GOLD」の文字を標準文字で表してなり、令和4年1月17日に登録出願、同年3月17日に登録査定され、第25類「バンド,スーツ,ガーター,靴下留め,仮装用衣服,ズボンつり,ベルト,運動用特殊衣服,ネクタイ,履物,運動用特殊靴,被服」及び第35類「時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おむつの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定商品及び指定役務として、同月25日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
請求人が、本件審判の請求の理由において引用する商標は、以下の登録商標である(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)。
1 登録第2053119号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様:「UNITED」の欧文字及び「ユナイテッド」の片仮名を二段に横書きしてなる商標
登録出願日:昭和57年1月5日
設定登録日:昭和63年6月24日
指定商品の書換登録日:平成20年7月9日
指定商品:第25類「被服」
2 登録第4028688号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様:別掲のとおり
登録出願日:平成7年12月26日
設定登録日:平成9年7月18日
指定商品:第25類「靴類」
3 登録第4011760号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の態様:別掲のとおり
登録出願日:平成7年12月26日
設定登録日:平成9年6月13日
指定商品:第14類「時計」
4 登録第4011761号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の態様:別掲のとおり
登録出願日:平成7年12月26日
設定登録日:平成9年6月13日
指定商品:第18類「傘」
5 登録第4758759号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の態様:UNITED
登録出願日:平成15年9月5日
設定登録日:平成16年3月26日
指定商品:第3類「化粧品,せっけん類」
第9類「眼鏡」
第3 請求人の主張
1 請求の趣旨
請求人は、本件商標の指定商品及び指定役務中、第25類「スーツ,ネクタイ,履物,被服」及び第35類「時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おむつの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(以下「本件請求商品役務」という。)についての登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由(商標法第4条第1項第11号)を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証から甲第16号証(枝番号を含む。以下「甲○」と表記する。)を提出した。
2 請求の理由(要旨)
(1)本件商標と引用商標とが類似すること
引用商標1は、「UNITED」の欧文字及び「ユナイテッド」の片仮名を上下二段に表してなるところ、片仮名部分「ユナイテッド」は欧文字部分の表音であると認識されるものであって、構成文字は同書・同大で外観上まとまりよく一体的に表されており、「ユナイテッド」の称呼もよどみなく称呼できる。
そして、その構成中「UNITED」の文字は「1つに結ばれた、連合した」「協力した、団結した」、「一致した、調和した」などを意味する平易な英単語であるから(甲7)、引用商標1に接した取引者・需要者は「団結したもの」「調和したもの」ほどの意味合いを持つものと認識する。
また、引用商標2から引用商標5は、「UNITED」の欧文字からなるところ、これらの商標からは、引用商標1と同様に「ユナイテッド」の称呼が生じ、これらの商標に接した取引者・需要者は「団結したもの」「調和したもの」ほどの意味合いを持つものと認識する。
これに対し、本件商標は、「UNITED GOLD」の欧文字を標準文字で表してなるところ、その構成中「UNITED」と「GOLD」の文字部分は全角分程度のスペースを空けて表されていることから、視覚上分離して観察される。
そして、「GOLD」の部分は、金属の「金」、「金色」や「金のように貴重なもの」を意味する平易な英単語であるため、需要者は通常そのような単語であると理解する(甲8)。
「GOLD」は「金」「金色」の意味があるため、需要者はその語が付された商品が金属の金を含むか、もしくは金色の製品であると認識する。
それ以外にも「GOLD」の語は「金のように貴重なもの」という意味があるため、「GOLD」又はその表音である「ゴールド」はしばしば他の単語と組み合わせて「○○GOLD」又は「GOLD○○」といった態様で用いられ、その製品の品質が高いことを意味する。
このような態様についての使用例は、例えば、アリナミンメディカルGOLD(甲9)、Gold Edition(甲10)、アミノバイタル(R)GOLD(甲11)、シボラナイトGOLD(甲12)、生源ゴールド(甲13)、チオビタゴールド2000(甲14)、キューピーコーワゴールドα(甲15)などを挙げることができる。
以上のとおり、「GOLD」の語が他の単語と組み合わされた態様で商品又は小売役務に用いられた場合には、需要者はその表示に接したときに「GOLD」の部分はその商品あるいは小売の対象である商品が金属の金を含むか、金色の製品であるか、あるいはその商品の品質が高いであろうと認識するにすぎず、「GOLD」の語は識別力が乏しい。
したがって、「○○GOLD」又は「GOLD○○」といった態様の商標に接した需要者は、むしろ組み合わされた当該別の単語から出所の認識を行うのが通常であって、「GOLD」の部分のみからでは具体的な出所を認識することはできない。
一方、「UNITED」の語は「1つに結ばれた、連合した」、「協力した、団結した」、「一致した、調和した」などを意味する平易な英単語であるところ(甲7)、本件商標の指定商品及び指定役務との関係において、商品の特定の特徴を想起させるものではなく、記述的とは解されない。
そうすると、本件商標は、その構成中「UNITED」の欧文字が商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与え、当該文字部分をもって取引に資されるといえるから、本件商標から「UNITED」の文字部分を抽出し、引用商標と比較して商標の類否を判断することは許される。
したがって、本件商標は、「UNITED」の文字部分に相応して「ユナイテッド」の称呼及び「1つに結ばれた、連合した」、「協力した、団結した」、「一致した、調和した」などの観念を生じる。
本件商標と引用商標との類否を検討すると、本件商標は「UNITED GOLD」の欧文字を標準文字で表してなるものであり、引用商標1はいずれも「UNITED」の欧文字及び「ユナイテッド」の片仮名を上下二段に表してなり、引用商標2から引用商標5は「UNITED」の欧文字からなるところ、本件商標と引用商標は「UNITED」の欧文字部分を共通にするから、外観において近似した印象を与える。
次に、本件商標及び引用商標は、上記のとおり、「ユナイテッド」の称呼が生じ、また、「1つに結ばれた、連合した」、「協力した、団結した」、「一致した、調和した」などの観念を生ずるから、称呼及び観念を同一にする。
したがって、本件商標と引用商標とは、外観において近似した印象を与えるものであり、かつ、称呼及び観念において同一のものであるから、両商標は相紛れるおそれのある類似の商標である。
(2)本件商標と引用商標の指定商品が類似すること
本件商標は第25類「スーツ,ネクタイ,被服」及び第35類「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おむつの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」などを指定しているところ、引用商標1は第25類「被服」などを指定しており、これらは類似である。なお、引用商標1の指定商品「被服」は「おむつ」の概念を包含するものである。このことは引用商標1の書換申請がなされた当時の国際分類第9版対応類似商品・役務審査基準(甲16)において、「被服」の下位概念として「布製幼児用おしめ」が規定されていることからも明らかである。
また、本件商標は第25類「履物」及び第35類「履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」などを指定しているところ、引用商標2は第25類「靴類」などを指定しており、これらは類似である。
また、本件商標は第35類「時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」などを指定しているところ、引用商標3は第14類「時計」などを指定しており、これらは類似である。
また、本件商標は第35類「身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」などを指定しているところ、引用商標4は第18類「傘」などを指定しており、これらは類似である。
また、本件商標は第35類「時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」などを指定しているところ、引用商標5は第9類「眼鏡」などを指定しており、これらは類似である。
(3)小括
以上より、本件商標は、引用商標と類似し、その指定商品も互いに類似するから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
第4 被請求人の答弁
1 答弁の趣旨
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証から乙第5号証(枝番号あり。以下、「乙○」と表記する。)を提出した。
2 答弁の理由(要旨)
(1)「GOLD」の識別力における検討
請求人は、「GOLD」の語は識別力が乏しい旨を主張している。
しかしながら、以下のとおり、審判請求書において例示しているものと本件商標は、共通点が乏しく同一視することはできない。
まず、本件商標の語頭部分に位置する「UNITED」は造語ではなく成語のため、「GOLD」部分と比べても格別識別力の高い語ではない。
一方、審判請求書によって例示されている「アリナミン」「CHOYA」「アミノバイタル」「シボラナイト」「生源」「チオビタ」「キューピーコーワ」は造語であり、「GOLD」部分と比べると識別力が高い語である。
してみれば、成語「UNITED」と「GOLD」における関係と、上記造語「アリナミン」等と「GOLD」における関係を同一視することはできない。
よって、本件とは事案を異にするものであり、「GOLD」部分の識別力が乏しいという請求人の主張は論拠に乏しい。
(2)本件商標における一体不可分性の検討
審判請求書によって例示されているものの多くは「造語と「GOLD」」の結合商標であり、造語部分と「GOLD」部分の観念の一体性がない又は乏しい。そのため、仮に審判請求書による例示に限定すれば「GOLD」部分の識別力が乏しいという請求人の主張は適当かもしれない。
しかしながら、平成30年(行ケ)第10019号審決取消請求事件においても、「UNITED」の語は「結合した、連合した」の意味を有する英語の形容詞で、例えば「United Nations」(国際連合)、「United Kingdom」(英国)、「United States of America」(アメリカ合衆国)などのような複合語を構成する語として、我が国においても親しまれている英語と判断されている(乙1)。
さらに、両商標の指定商品等が重複する被服(類似群コード「17A01」)のみをみても「登録2470561 UNITED COLORS OF BENETTON」、「登録5166265 UNITED ARROWS」、「登録6340909 UNITED DOORS」という登録商標は142件と多く登録されている(乙2)。このことから、上記平成30年(行ケ)第10019号審決取消請求事件の判断時と同様、現時点においてもファッション業界においては「United」という語はありふれている。そうすると、両商標における需要者も「United◯◯」という複合語に接する機会が多く、「United」の語尾に別の語が結合された場合は商標全体に着目するのが自然である。
してみれば、本件商標における観念として、「結合・連合した金・黄金」又は「黄金連合」という一体不可分の意味合いのみが生じる(乙3の1、2)。そして、審判請求書における主張は商標全体から生じる観念の点で、本件とは事案を異にする。
よって、「GOLD」部分の識別力が乏しく、本件商標から「UNITED」部分を抽出することが許されるという請求人の主張は論拠に乏しい。
(3)併存登録例について
上記で触れた登録例142件の中には本件商標と共通点がある以下の登録商標が確認できる(乙4の1~3)。登録4834371「UNITED ASH」(乙5の1)、登録6024524「United Prime」(乙5の2)、登録5762774「UNITED TOKYO」(乙5の3)。
これら併存登録例は、「GOLD」部分の識別力を直接肯定する例示ではない。しかしながら、語尾の単語は「GOLD」と同程度の識別力と考えるのが相当である。
してみれば、一見識別力が乏しいと思われる語であっても、「UNITED」の語尾に結合された場合は観念の一体性が強く、「UNITED」部分が要部として抽出されなかった点が本件商標と共通する。
よって、本件商標についても上記併存登録例と異なる判断をする合理性はない。
(4)その他審判請求書の主張の論拠に乏しい点
以下のとおり、審判請求書において例示されているものは、需要者と本件商標と指定商品等は類似しないため、需要者等も一致しない。
甲9は、薬剤の商標に対する実情であり、本事件とは需要者が異なる。
甲10は、商品梅酒に対する実情であり、本事件とは需要者が異なる。
甲11から甲15は、サプリメントの商標に対する実情であり、本事件とは需要者が異なる。
よって、本件商標の「GOLD」部分の識別力が乏しいことを裏付ける証拠にはならない。
(5)両商標における類否の検討
上記のとおり、本件商標は一体不可分の商標であり、「UNITED」の部分を要部抽出する理由はない。
してみれば、本件商標と引用商標の外観は、その構成文字における「GOLD」の欧文字の有無に差異があるため、外観において相紛れるおそれはない。また、称呼においては、語頭の「ユナイテッド」の音を共通にするものの、語尾の「ゴールド」の音の有無に差異があるため、その構成音及び音数の著しい相違により、全体として聞き誤るおそれはない。そして、観念においても、明らかに相違する。
(6)むすび
以上のとおり、本件商標は、引用商標とは非類似の商標というべきであり、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
第5 当審の判断
1 利害関係について
請求人が本件審判を請求することの利害関係の有無については、当事者間に争いがなく、当審は請求人が本件審判の請求について利害関係を有すると認める。
2 商標法第4条第1項第11号該当性
(1)本件商標と引用商標の類否
ア 本件商標について
(ア)本件商標は、「UNITED GOLD」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字は、同じ大きさ及び書体で、語間に1文字分の間隔を空けながらも、横一列にまとまりのよい構成で配置されているから、全体で一連一体の語を表してなる結合商標である。
(イ)そして、本件商標の構成中、「UNITED」の文字部分は「結ばれた。連合した。」の意味を有する英語の形容詞(甲7)であるが、当該語は形容詞として他の語を修飾するために用いられる。また、「GOLD」の文字部分は「金。黄金。」の意味を有する英語(甲8)である。
そうすると、本件商標の構成文字は、各語の語義を結合した意味合いは漠然としているから、「ユナイテッドゴールド」と発音できる一連一体の造語を表してなると看取できる。
(ウ)したがって、本件商標は、構成文字全体よりなる一連一体の造語を表してなると認識、理解できるものであり、いずれかの文字部分が出所識別標識として強く支配的な印象を与えるとか、出所識別標識としての称呼、観念を生じないものではないから、その構成中の特定の文字部分(UNITED)を要部として抽出して引用商標との類否の判断をすることは適切ではない。
(エ)以上によれば、本件商標は、その構成文字に相応して、「ユナイテッドゴールド」の称呼を生じるが、特定の観念は生じない。
イ 引用商標について
(ア)引用商標1は、上記第2の1のとおり、「UNITED」の欧文字及び「ユナイテッド」の片仮名を二段に横書きしてなるところ、その片仮名部分は欧文字部分の表音に相当する。
そして、引用商標1の「UNITED」(ユナイテッド)の構成文字は、「結ばれた。連合した。」の意味を有する英語(甲7)である。
そうすると、引用商標1は、その構成文字に相応して、「ユナイテッド」の称呼を生じ、「結ばれた。連合した。」程度の観念を生じる。
(イ)引用商標2から引用商標4は、別掲のとおり、「UNITED」の欧文字を横書きしてなり、引用商標5は、上記第2の5のとおり、「UNITED」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成文字は、上記(ア)のとおり、「結ばれた。連合した。」の意味を有する英語である。
そうすると、引用商標2から引用商標5は、その構成文字に相応して、「ユナイテッド」の称呼を生じ、「結ばれた。連合した。」程度の観念を生じる。
ウ 本件商標と引用商標の比較
本件商標と引用商標を比較すると、外観においては、「UNITED」の構成文字を含む点を共通にするとしても、語尾の「GOLD」の文字部分の有無などにより、構成文字全体としては異なる語を表してなるから、判別は容易である。
また、称呼においては、語頭に「ユナイテッド」の称呼を含む点で共通するものの、語尾の「ゴールド」の音の有無により、全体の語調、語感は明らかに異なるものとなるから、区別は容易である。
さらに、観念においては、引用商標は「結ばれた。連合した。」程度の観念を生じるとしても、本件商標は特定の観念を生じないから、相紛れるおそれはない。
そうすると、本件商標と引用商標は、外観及び称呼において判別及び区別は容易であり、観念において相紛れるおそれはないから、これらを総合して考察すれば、同一又は類似の商品又は役務について使用しても、出所の混同を生じるおそれはなく、類似する商標とはいえない。
エ 請求人の主張について
請求人は、「○○GOLD」又は「GOLD○○」のように「GOLD」(ゴールド)の語が他の単語と組み合わされた使用例(甲9~甲15)を掲げて、「GOLD」の文字部分は、その商品あるいは小売の対象である商品が金属の金を含むか、金色の製品であるか、あるいはその商品の品質が高いであろうと認識させるにすぎず、識別力が乏しい一方で、「UNITED」の文字部分は、「1つに結ばれた、連合した」などを意味する平易な英単語であり、商品の特定の特徴を想起させるものではなく、記述的なものでもないから、本件商標の構成中「UNITED」の文字部分が商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与え、当該文字部分をもって取引に資されるから、当該文字部分を抽出し、引用商標と比較して商標の類否を判断すべきである旨を主張する。
しかしながら、本件商標「UNITED GOLD」は、上記ア(ア)のとおり、まとまりよく全体で一連一体の語を表してなる結合商標であり、いずれかの文字部分を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合してなる。
そして、本件商標は、上記ア(イ)のとおり、その構成中「UNITED」の文字部分は「結ばれた。連合した。」の意味を有する英語の形容詞であるが、当該語は形容詞として他の語を修飾するために用いられ、その構成文字のまとまりのよい配置も併せ鑑みれば、全体で「ユナイテッドゴールド」と発音できる一連一体の造語を表してなると看取できる。
さらに、請求人が援用する使用例は、本件商標の指定商品及び指定役務の取引分野における実情を示すものではなく、また、本件商標のような構成(形容詞と「GOLD」の語を組み合わせてなる。)において、「GOLD」の文字部分が、自他商品の出所識別標識としての機能を欠く文字部分として、称呼、観念が生じないような事情を示すものでもないから、本件商標に関する認定、判断の内容に影響しない。
そうすると、本件商標は、その構成中「UNITED」の文字部分が出所識別標識として強く支配的な印象を与えるとか、「GOLD」の文字部分から出所識別標識としての称呼、観念を生じないものではないから、その構成中「UNITED」の文字部分を要部として抽出して引用商標との類否の判断をすることは適切ではない。
(2)本件商標と引用商標の指定商品及び指定役務の類否
本件請求商品役務中「スーツ,ネクタイ,被服」(第25類)及び「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おむつの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(第35類)は、引用商標1の指定商品「被服」(第25類)とは、同一又は類似の商品及び役務を含む。
また、本件請求商品役務中「履物」(第25類)及び「履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(第35類)は、引用商標2の指定商品「靴類」(第25類)とは、同一又は類似の商品及び役務を含む。
さらに、本件請求商品役務中「時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(第35類)は、引用商標3の指定商品「時計」(第14類)、引用商標4の指定商品「傘」(第18類)、引用商標5の指定商品中「眼鏡」(第9類)とは、同一又は類似の役務を含む。
(3)小括
以上のとおり、本件商標は、引用商標とは類似する商標ではないから、本件請求商品役務が引用商標の指定商品と同一又は類似する商品又は役務を含むとしても、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 結論
以上のとおり、本件商標の本件請求商品役務についての登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第46条第1項第1号の規定により、無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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