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商標無効審判

2023-890088

ハツガラボ、ハツガ、ラボ

審判番号
2023-890088
法域
商標
審判種別
無効審判(無効の審決)
出願番号
商願2022-054698
登録番号
6616452
請求日
2023年12月11日
審決日
2024年10月29日
公報発行日
2025年03月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社 はつが
  • 【請求人代理人】加藤 卓士
  • 【被請求人】株式会社 エリム
  • 【被請求人代理人】森 博
  • 【被請求人代理人】香田 淳也
審判長/審判官
  • 審判長 高野 和行
  • 審判官 大森 友子
  • 審判官 小俣 克巳
分類
T111 .251-Y (W1130) / T111 .252-Y (W1130) / T111 .253-Y (W1130) / T111 .255-Y (W1130) / T111 .261-Y (W1130) / T111 .262-Y (W1130) / T111 .263-Y (W1130) / T111 .271-Y (W1130)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法4条1項11号商標法46条1項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第15号、商標法第53条の3第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の登録第6616452号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録6616452号商標(以下「本件商標」という。)は「HATSUGA LABO」の欧文字を横書きしてなり、令和4年5月16日に登録出願、第11類「家庭用電熱用品類,業務用加熱調理機械器具」及び第30類「米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。),調味料,香辛料,穀物の加工品,食用粉類」を指定商品として、同年8月16日に登録査定、同年9月16日に設定登録されたものである。 第2 引用商標及び引用標章 1 引用商標 請求人は、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する商標は以下のとおりであり、いずれも、現に有効に存続しているものである。また、これらをまとめて、以下「引用商標」という。 (1)登録第6145106号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の構成 hatsuga(標準文字) 登録出願日 平成30年11月15日 設定登録日 令和元年5月17日 指定商品 第11類「業務用加熱調理機械器具,家庭用電熱用品類」 (2)登録第4267112号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の構成 はつが(標準文字) 登録出願日 平成9年10月1日 設定登録日 平成11年4月30日 指定商品 第29類「食肉,食用魚介類(生きているものを除く),肉製品,加工水産物(「かつお節・寒天・削り節・食用魚粉・とろろ昆布・干しのり・干しひじき・干しわかめ・焼きのり」を除く。),かつお節,寒天,削り節,食用魚粉,とろろ昆布,干しのり,干しひじき,干しわかめ,焼きのり,豆,加工野菜及び加工果実,冷凍果実,冷凍野菜,卵,加工卵,乳製品,食用油脂,カレー・シチュー又はスープのもと,なめ物,お茶漬けのり,ふりかけ,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,食用たんぱく」 なお、引用商標2の商標登録原簿によると、引用商標2の指定商品中、第29類「豆」ついて、商標登録を取り消す旨の審決がされ、令和6年7月11日その確定審決の登録がされているから、当該、第29類「豆」についての登録は当該審決の予告登録日である同5年12月22日に消滅したと見なされる(商標法第53条の3第2項)。 2 引用標章 請求人主張の全主旨より、請求人は、本件商標が商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に該当するとして引用している標章は「HATSUGA」の欧文字(以下「引用標章1」という。)及び「はつが」の平仮名(以下「引用標章2」という。)からなるものと認められるもので、請求人の業務に係る玄米及び炊飯器等を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているとするものである(以下、引用標章1と引用標章2をまとめて「引用標章」という。)。 第3 請求人の主張 請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第7号証を提出した。 1 請求の理由 本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第10号及び同項第15号に該当するものであるから、同法第46条第1項第1号により、その登録は無効にすべきものである。 2 具体的理由 (1)商標法第4条第1項第11号について ア 商品の類似について 本件商標の指定商品中、第11類「全指定商品」は、引用商標1の指定商品と一致する。 本件商標の指定商品中、第30類「全指定商品」は、引用商標2の指定商品中、第29類「豆」と同一又は類似する。 イ 商標の類似について 本件商標は、アルファベット11文字を横書きしてなる商標であり、各文字の大きさ及び書体は同一であって、その全体が等間隔に1行でまとまりよく表されているものではあるが、「HATSUGA」の文字部分と「LABO」の文字部分とを、それぞれその構成部分とするものであることは、視覚上、容易に認識することができるものである。 本件商標の「LABO」の文字部分は、ラボラトリー(laboratory)の略であり、「研究所」「研究機関」「実験室」「事業所」を表す言葉(デジタル大辞泉(小学館))であるばかりでなく、森永製菓の「パッションフルーツLabo」、任天堂の「NINTENDO LABO」のように「研究結果としての商品」を表す言葉としても日本全国において浸透しているから、本件商標中の「LABO」の部分からは、それ自体で独立した、出所識別標識としての称呼及び観念までは生じないというべきである。 そうすると、本件商標からは、「HATSUGA LABO」という当該商標の全体に対応した称呼及び観念とは別に、「HATSUGA」の部分に対応した「ハツガ」の称呼も生じるといわざるを得ないのであって、本件商標と引用商標との類否判断に際して、本件商標から「HATSUGA」の部分を抽出することは当然に許されるべきものである。 そうすると、本件商標と引用商標とは、称呼において共通するものであり、両商標の外観の相違は、出所識別標識としての称呼及び観念が生じない「LABO」部分が異なる程度にとどまるものであるから、そのような外観の相違を考慮してもなお本件商標と引用商標とが同一又は類似の商品に使用された場合には、当該商品の出所について混同が生じるおそれがあるというべきであって、本件商標は、引用商標と類似するものと認めるのが相当である。 一方、本件商標を一連一体として引用商標と非類似と考えるのは、あまりにも酷な判断である。請求人が長年にわたる絶え間ない努力の結果築いてきた業務上の信用を毀損し、需要者にも不利益を与えるものである。現実的に、請求人には、被請求人との関係についての問い合わせが数多くきており、その対応の負担は過大であり、結果として商標法の目的に背く結果となっている。 以上を総合的に勘案すれば、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (2)商標法第4条第1項第10号について 請求人の社名である「はつが」及び登録商標「HATSUGA」は、本件商標の登録出願の時点において既に最終消費者まで広く全国的に認識されている。 具体的には、請求人は、2012年から長年にわたり、玄米や炊飯器などを販売してきており、日本全国における非常に多くの需要者から大変好評を博している。2012年からの10年で全国において15,000台を販売してきた。発芽玄米用炊飯器としてこの台数は、非常に高いシェアとなっている。このため、社名である「はつが」の名称には、「発芽玄米用炊飯器」の販売店として高い信用が化体している(甲4)。 「株式会社はつが」及び商標「HATSUGA」はハウスマークであり(甲4)、商標の使用態様、使用数量(生産数、販売数等)、使用期間及び使用地域、広告物、紹介記事、広告宣伝の方法、期間、地域及び規模は、甲第4号証のとおりであり、請求人以外には、「はつが」又は「HATSUGA」を「炊飯器」「玄米」の商標として使用したものはおらず、需要者の商標の認識度を調査したアンケートは、甲第7号証のとおりである、という周知性の判断における要件を全て満たしている。 商標の類似については上記(1)のとおりであり、「需要者の間に広く認識されている」請求人の末登録商標「HATSUGA」(玄米)と他の文字「LABO」とを結合した本件商標は、その外観構成がまとまりよく一体に表されているもの又は観念上の繋がりがあるとしても、その未登録商標「HATSUGA」と類似するものと判断するべきである。 本件商標全体の観念は、「はつが研究所」「はつが事業所の商品」などである。つまり、この観念は、「株式会社はつが」と共通する。さらに上述したとおり本件商標からは「HATSUGA」の部分に対応した「ハツガ」の称呼も生じているため、引用商標との類否判断に際して、観念及び称呼が同一であって、外観上の違いを凌駕する類似性を有しているといえる。 以上を総合的に勘案すれば、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。 (3)商標法第4条第1項第15号について 本号における「他人」としての請求人は、自己の業務に係る「玄米」及び「発芽玄米用炊飯器」に商標「はつが」を使用し、これが全国的に周知になっている。そして、被請求人が自己の業務に係る商品「玄米」及び「発芽玄米用炊飯器」に商標「HATSUGA LABO」を使用することにより、その商品が請求人の兼業に係る商品であると多くの需要者が誤認し、商品の出所について混同を生じている(甲7)。 甲第7号証のアンケートの結果、85%のユーザが、出所の混同をすると回答した。製品購入経験者ですら出所混同をするのだから、製品購入未経験であれば更に多くの需要者が出所混同をすると考えられる。 被請求人の商品「玄米」に接する需要者は、たとえ、請求人の業務に係る商品であると明確に認識しなくても、少なくとも請求人の関連会社の業務に係る商品であると誤認し、商品の出所について混同を生じている。 本件商標と他人としての請求人の名称「株式会社はつが」及び請求人の登録商標「HATSUGA」とは十分に類似しており、請求人の標章「株式会社はつが」は全国的に周知であってハウスマークであり、請求人は現実的に、玄米と炊飯器の販売を行っており、炊飯器と玄米とは商品間の関連性が非常に強く需要者が共通していることから、商標法第4条第1項第15号の考慮事由を全て満たしている。 本件商標は、他人の周知な商標「HATSUGA」を一部に有する商標であり、他人の周知な商標と他の文字とを結合した商標に該当する。その外観構成がまとまりよく一体に表されているもの又は観念上の繋がりがあるものなどを含め、商品等の出所の混同を生ずるおそれがあるものと推認して取り扱うべきである。 また、本件の指定商品に含まれる「米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦」は、請求人が、2012年から長年にわたり販売してきており、日本全国における非常に多くの需要者から大変好評を博している。このため、社名である「はつが」の名称には、高い信用が化体している(甲4)。 これに対して、被請求人は、2023年1月頃から発芽玄米炊飯器「HATSUGA LABO」の販売を開始している(甲5)。 しかし、このような炊飯器の名称は、請求人の名称と、2016年に設立され2017年から炊飯器の販売を開始した「酵素玄米LABO」(甲6)と、を合体させたものであり、意図的に需要者の混同を促している。 以上を総合的に勘案すれば、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 第3 被請求人の主張 被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を審判事件答弁書において要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第5号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)商標の類似性について ア 本件商標について 本件商標は欧文字(ゴシック体)で「HATSUGA LABO」の文字を一連に横書きしてなる商標であり、各文字の大きさ及び書体は同一であって、その全体が等間隔に1行でまとまりよく記載されている。 本件商標の構成全体から自然な称呼として生ずる「ハツガラボ」の称呼も格別冗長ではなく無理なく一連に称呼し得るものである。よって「HATSUGA」と「LABO」の各文字は分離されることなく、本願商標は「HATSUGA LABO」として、一体不可分の商標として認識されるものである。 「HATSUGA」の文字より「発芽」等、また「LABO」の文字より「laboratory(ラボラトリー)」等の意味合いを想起させる。 イ 引用商標について 引用商標1は「hatsuga」の欧文字よりなり、引用商標2は「はつが」の平仮名よりなり、共に「ハツガ」の称呼のみを生じ、「発芽」等の意味合いを想起させる。 ウ 本件商標と引用商標の対比 (ア)外観について 本件商標を構成する「HATSUGA LABO」の文字と、引用商標1を構成する「hatsuga」の文字と対比すると、「HATSUGA(hatsuga)」が欧文字の大文字又は小文字である点で相違し、さらには「LABO」の有無が商標の外観に与える影響は大きいといえる。 また、本件商標を構成する「HATSUGA LABO」の文字と、引用商標2を構成する「はつが」の文字と対比すると、「HATSUGA(はつが)」が欧文字と平仮名である点で相違し、さらには「LABO」の有無が商標の外観に与える影響は大きいといえる。 したがって、本件商標と引用商標の外観は類似しない。 (イ)称呼について 本件商標からは、上述のとおり、自然な称呼として「ハツガラボ」のみが生じる。一方、引用商標からは、「ハツガ」の称呼のみを生ずる。 本件商標と引用商標から生じる称呼を対比すると、語頭の三音「ハツガ」は共通するものの、本件商標がその後に続く二音「ラボ」を有するのに対し、引用商標にはその後に続く音がなく、音数が異なるものであるから、本件商標と引用商標は全く語感が異なるものであるといえる。 したがって、本件商標と引用商標を聞き誤るおそれはなく、両商標の称呼は類似しない。 (ウ)観念について 本件商標及び引用商標に含まれる「HATSUGA」、「hatsuga」及び「はつが」の文字は「発芽」等、本件商標に含まれる「LABO」の文字はlaboratory(ラボラトリー)の略であり、「研究所」等の意味を有するものである。 本件商標は、「HATSUGA」の文字に基づく称呼「ハツガ」が、引用商標1の「hatsuga」及び引用商標2の「はつが」と共通するものの、その後に続く文字「LABO」を有す点で引用商標とは明確な差異があり、「LABO」の意味合いが上述のとおりであるところ、両者は観念が異なるものである。 したがって、本件商標の観念と引用商標1、2の観念は類似しない。 エ 請求人は、本件商標の構成中の「LABO」の識別力は極めて弱いと主張しているが、本件商標は、アルファベット11文字を横書きした商標であり、各文字の書体は同一であって、その全体が等間隔に1行でまとまりよく表されていた商標であることから、当然に「HATSUGA LABO」全体として引用商標と対比されるべきものである。そして、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念において類似しないことは、上述のとおりである。 そして、請求人が主張する「LABO」を構成中に含む商標(乙1~乙3)については、構成中の「LABO」の文字以外の識別力が決して強くないのにもかかわらず、「LABO」と組み合わせることによって、有効に商標登録されている実情がある。 そうすると、請求人が「LABO」の識別力が弱いとして本件商標「HATSUGA LABO」の「LABO」を恣意的に除外して引用商標の類否判断を行うことは妥当ではない。 (2)小括 以上のとおり、本件商標は、引用商標と外観、称呼及び観念のいずれも類似しないため、総合的に勘案して本件商標は、引用商標と類似の商標ではないことは明らかである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 2 商標法第4条第1項第10号該当性について (1)請求人の提出する甲第4号証は、「(ア)商標の構成及び態様、(イ)商標の使用態様等及び(ウ)広告宣伝の方法」として、「請求人の会社概要、社名ロゴデザイン、会社ホームページ、炊飯器(なでしこ健康生活)のカタログ等」が列挙されているにすぎず、「株式会社はつが」が全国的に周知であることを立証しているといえる資料ではない。 また、「需要者の商標の認識度を調査したアンケート」(乙4、以下「乙4号アンケート」という。)において、質問『Q1「株式会社はつが」が玄米炊飯器を販売する会社であることを知っていますか?』に対して、96.3%(回答者数216人)が「いいえ」と回答したことからも、「株式会社はつが」が全国的に周知であるとはいえるものではない。 (2)株式会社はつがが販売してきた炊飯器は、商標「なでしこ健康生活」として販売されており、株式会社はつがが、商標「HATSUGA」、「はつが」及び「hatsuga」を付しで炊飯器が販売されている実態は認められない(甲4、乙5)。 (3)請求人以外に、はつが又はHATSUGAを「炊飯器」「玄米」の商標として使用したものはいなかったことを示す客観的な証拠はない。 (4)請求人の提出したアンケート(甲7)は、「株式会社はつが」の製品購入経験者に対するアンケートであって、請求人が立証しようとする「請求人の社名である「はつが」及び登録商標「HATSUGA」は、本件商標の登録出願の時点において既に最終消費者まで広く全国に認識されている」ことを立証できる証拠にはなるものではない。 商標法第4条第1項第10号に係る「需要者」は、請求人の提出したアンケート(甲7)の回答者である「製品購入経験者」のみではなく、当然に「製品購入未経験者」も含む一般的な消費者全般であることを考慮すると、当該アンケートは不適切なアンケートである。 (5)以上より、請求人の社名である「はつが」及び未登録商標「HATSUGA」が本件商標の登録出願の時点において、最終消費者まで広く全国に認識されているということはできない。 また、本件商標と未登録商標「HATSUGA」は類似しない。 (6)小括 以上のとおりであるから、本件商標は商標法第4条第1項第10号に該当しない。 3 商標法第4条第1項第15号該当性について (1)前記2(2)のとおり、請求人が商標「はつが」を、「発芽玄米用炊飯器」に使用している実態はなく、さらには「株式会社はつが」の社名も全国的に周知になっているとする根拠はない。 (2)被請求人が商標「HATSUGA LABO」を商品「玄米」及び「発芽玄米用炊飯器」に使用することによって、「株式会社はつが」が販売する「玄米」及び「発芽玄米用炊飯器」と多くの需要者が誤認し、商品の出所について混同を生じているとする根拠はない。 なお、請求人は、『85%のユーザが、出所の混同をすると回答した(甲7)のであって、製品購入経験者ですら出所混同をするのだから、製品購入未経験者は更に多くが出所混同をすると考えられる。』と主張するが、乙4号アンケートでは、216人(製品購入経験者3人、製品購入未経験者213人)の回答者に対し、『Q3「Hatsuga」と「HATSUGA LABO」は、同一企業の商標(商品名)であると思いますか?』との質問に「はい」と回答した割合は9.7%であり、質問『Q4「Hatsuga」と「HATSUGA LABO」は、関連企業の商標(商品名)であると思いますか?』に対して、「はい」と回答した割合は23.6%であった。 すなわち、『製品購入経験者ですら出所混同をするのだから、製品購入未経験者は更に多くが出所混同をすると考えられる。』とする請求人の主張は失当である。 (3)請求人は、本件商標は他人の周知な商標「HATSUGA」を一部に有すると主張するが、前記2(2)のとおり、請求人が商標「はつが」を、「発芽玄米用炊飯器」に使用している実態はなく、さらには「株式会社はつが」の社名も全国的に周知になっているとする根拠はない以上、当該主張は前提を欠くものである。 (4)「株式会社はつが」と「酵素玄米 LABO」とを合体させても本件商標を構成するわけではなく、主張の根拠が不明である。 (5)小括 以上のとおりであるから、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当しない。 第4 当審の判断 請求人が本件審判を請求することについて、被請求人は利害関係について争っておらず、また、当審は請求人が本件審判を請求する利害関係を有するものと認めるものであるので、以下、本案に入って審理する。 1 引用標章の周知性について (1)請求人及び被請求人の主張並びに両当事者が提出した証拠によれば以下のとおりである。 ア 請求人は、平成24年(2012年)1月5日に設立された「家電(発芽玄米炊飯器)、玄米、雑穀、コスメ、サプリメント等」の商品についてのインターネット販売事業及び卸販売事業を行っている法人である(甲4)。 イ 請求人のウェブサイトのトップページ(ホームページ)、名刺及び2020年4月7日付けの請求人が発表する「なでしこ健康生活」の名称の炊飯器(以下「請求人商品」という。)のニューモデル新発売のお知らせ(ウェブサイトのニュースリリース)には「Hatsuga」の欧文字が表示されている。(甲4)。 また、上記の「新発売のお知らせ」には、「株式会社はつが」の表示がある(甲4)。 ウ 「なでしこ健康生活公式オンラインショピングサイト」とする請求人が2012年12月13日にモデルチェンジしたとする請求人商品の、オンラインショッピングサイトには「運営会社:株式会社はつが」の文字及び「Hatsuga」の欧文字等から構成されたバナーが表示されている(甲4) エ 「25ans(ヴァンサンカン)2013年1月号」には「はつがのなでしこ健康生活」の見出しの下、請求人商品が紹介されているが、その他請求人が提出した、雑誌及び書籍の写し等における請求人商品等の紹介において、引用標章は認められない(甲4)。 オ 請求人は、2012年ないし2021年に請求人商品を17,066台(2012年ないし2023年では17,456台)販売した旨を主張している(甲4)。 カ 請求人は2012年ないし2021年に延べ約66,783人(2012年ないし2023年では約79,496人)に玄米を販売した旨を主張している(甲4)。 キ 請求人は、2023年9月ないし同年10月に、請求人商品の購入者に対するアンケートを行った(甲7)。 ク 被請求人は、2024年3月4日及び同月5日において「需要者の商標の認知度を調査したアンケート」を行った(乙4)。 (2)上記(1)によれば以下のとおり判断される 請求人は、平成24年(2012年)に設立され、少なくとも同年12月には請求人商品を販売しているところ、請求人のウェブサイト、請求人商品を販売するためのオンラインショピングサイト、請求人商品のモデルチェンジに係るお知らせ、及び請求人の名刺には「Hatsuga」の欧文字若しくは当該欧文字等から構成されるバナー又は「株式会社はつが」の文字が表示されていること、請求人商品が雑誌及び書籍において紹介されていることはうかがえる。 また、2021年までに請求人商品は17,066台、請求人の販売に係る発芽米は、約66,783人に販売されたことがうかがえる。 しかしながら、請求人のウェブサイト、ショッピングサイトのPV(ページビュー)数、アクセス数等は不明であり、ウェブページ等の掲載のみを持って引用標章の周知性を図ることはできない。 また、雑誌等において引用標章2が認められるのは1誌のみであり、引用標章1又は「Hatsuga」等の欧文字の掲載は認められない。 さらに、名刺は社交で使用するものであり、請求人商品に係る不特定の需要者が目にするものではない。 そして、請求人商品及び請求人の販売に係る発芽米の販売数が上記のとおりであるとしても、これらの商品の市場規模など当該販売数の多寡を客観的に比較するものはなく、引用商標の周知性を推し量ることはできない。 なお、請求人及び被請求人のアンケートは本件商標の登録査定後に行われたものなので、本件商標の登録出願時及び登録査定時の周知性を図る根拠にはなり得ない。 そうすると、「Hatsuga」の欧文字と引用標章1が実質同じものであるとした上で、請求人の「Hatsuga」の欧文字の使用状況を勘案したとしても、引用標章は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、本件商標の指定商品の需要者に広く認識されていると認めることができないものである。 2 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標 本件商標は、上記第1のとおり「HATSUGA LABO」の欧文字を横書きしてなるところ、「HATSUGA」の文字と「LABO」の文字との間に1文字分の空白(スペース)があるとしても、外観上、まとまりよく一体的に表されているものである。 また、その構成文字に相応した「ハツガラボ」の称呼は冗長ではなくよどみなく一気一連に発音できるものである。 そして、本件商標の構成中「HATSUGA」の文字は、外国語の辞書には掲載が見当たらないものの、「種子・珠芽・胞子などが適当な温度と水分とを得て芽を出すこと。めばえること。」(広辞苑 第七版)の意味を有する「発芽」の文字を欧文字で表したものと容易に認識できるものである。 また、「LABO」の文字は「研究室。実験室。製作室。ラボ。」の意味を有する「laboratory(ラボラトリー)」(同掲書)の略語として、親しまれている語といえるものの、本願商標の指定商品との関連で、品質等を表示する文字である等、自他商品の識別標識としての機能が弱いものとはいえず、また、「LABO」の文字以外の文字(HATSUGA)が取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものとは認められない。 そうすると、本件商標は「ハツガラボ」の称呼のみを生じ、各構成文字の意味から「発芽(種子などが芽を出すこと。)研究所」ほどの漠然とした観念を生ずるものである。 (2)引用商標 引用商標1は、上記第2の1(ア)のとおり「hatsuga」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は上記(1)と同様に「発芽」の文字を欧文字で表したものと容易に認識できるものである。 また、引用商標2は、上記第2の1(イ)のとおり「はつが」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は「発芽」の文字を平仮名で表したものと容易に認識できるものである。 そうすると、引用商標からは「ハツガ」の称呼を生じ「発芽(種子などが芽を出すこと。)」の観念を生じるものである。 (3)本件商標と引用商標の類否 本件商標と引用商標を比較すると、本件商標と引用商標1とは外観においては大文字と小文字の相違に加え「LABO」の文字の有無という明らかな差異があり、本件商標と引用商標2とは、外観において欧文字と平仮名の明らかな相違があるから、本件商標と引用商標とは外観において明確に区別できる。 次に、称呼においては、本件商標から生じる「ハツガラボ」の称呼と引用商標から生じる「ハツガ」の称呼とは語尾の「ラボ」の音の有無において相違するから、両者は、称呼上相紛れるおそれはない。 そして、観念において、本件商標から生ずる「発芽研究所」ほどの漠然とした観念と、引用商標から生ずる「発芽」の観念とは、明確に相違するものであって、両者は観念上も相紛れるおそれはない。 そうすると、本件商標と引用商標とは外観において明確に区別でき、称呼及び観念において相紛れるおそれのない非類似の商標である。 (4)小括 以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、本件商標の指定商品が、引用商標の指定商品と同一又は類似のものであるとしても、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当しない。 3 商標法第4条第1項第10号該当性について 前記1のとおり、引用標章は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、本件商標の指定商品の需要者に広く認識されていると認めることができないものである。 また、引用標章1は引用商標1を大文字で表したものであり、引用標章2は引用商標2と同じ文字構成からなるものであるから、引用標章は、前記2(3)と同様の理由で本件商標とは非類似の商標である。 したがって、本件商標の指定商品と引用標章の使用している商品との類否にかかわらず、本件商標は商標法第4条第1項第10号に該当しない。 4 商標法第4条第1項第15号該当性について 前記1のとおり、引用標章は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、本件商標の指定商品の需要者に広く認識されていると認めることができないものである。 また、前記3のとおり、本件商標と引用標章は非類似の商標である。 そうすると、本件商標は、本件商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者が、引用標章を連想又は想起することはなく、その商品が他人(請求人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないというのが相当である。 その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 5 まとめ 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同第10号及び同第15号のいずれにも該当するものでなく、その登録は、同条第1項の規定に違反してされたものではないから、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効とすることはできない。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-890088

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