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商標無効審判

2023-890086

ミカネ、オカネ

審判番号
2023-890086
法域
商標
審判種別
無効審判(無効の審決)
出願番号
商願2022-043113
登録番号
6654244
請求日
2023年12月04日
審決日
2024年08月19日
公報発行日
2024年11月29日
結論
請求成立(無効)
当事者
  • 【請求人】御金神社
  • 【請求人代理人】三宅 紘子
  • 【請求人代理人】向井 裕美
  • 【被請求人】長澤 征治
審判長/審判官
  • 審判長 大森 友子
  • 審判官 清川 恵子
  • 審判官 白鳥 幹周
分類
T111 .9 -Z (W3033) / T111 .18 -Z (W3033) / T111 .21 -Z (W3033) / T111 .22 -Z (W3033) / T111 .271-Z (W3033)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法4条1項15号商標法46条1項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第6号、商標法第4条第1項第15号、商標法第3条第1項、商標法第3条、商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項第19号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の登録第6104029号商標及び登録第6654244号商標の商標登録無効審判事件について、審理の併合のうえ、次のとおり審決する。

結論

結 論 登録第6104029号及び登録第6654244号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 無効請求に係る商標 1 無効2023-890085号事件に係る登録第6104029号商標(以下「本件商標1」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成30年2月28日に登録出願、第30類「茶,コーヒー,ココア,菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,甘酒,甘酒のもと,調味料,穀物の加工品,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦」及び第33類「泡盛,合成清酒,焼酎,白酒,清酒,直し,みりん,洋酒,果実酒,酎ハイ,中国酒,薬味酒」を指定商品として、同年10月9日に登録査定され、同年12月7日に設定登録されたものである。 2 無効2023-890086号事件に係る登録第6654244号商標(以下「本件商標2」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、令和4年3月30日に登録出願、第30類「茶,コーヒー,ココア,菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,甘酒,甘酒のもと,調味料,穀物の加工品,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦」及び第33類「泡盛,合成清酒,焼酎,白酒,清酒,直し,みりん,発泡性清酒,発泡性焼酎,マッコリ,洋酒,果実酒,酎ハイ,中国酒,薬味酒」を指定商品として、同年10月11日に登録査定され、同年12月20日に設定登録されたものである。 以下、審理を併合した商標を一括していうときは、「本件各商標」という。 また、審理を併合した審判事件を一括していうときは、「本件各審判」という。 第2 併合審理について 本件各商標に対して、商標法第4条第1項第6号、同項第7号、同項第15号及び同項第19号に該当するものである旨を理由として、同法第46条第1項の規定により無効にすべきものであるとして審判請求(以下「審判A請求」という。)がなされ、本件商標2に対しては、上記理由に加えて、商標法第3条の趣旨に反し、同条第1項柱書に違反するものである旨を理由として、同法第46条第1項の規定により無効にすべきものである旨も理由として審判請求(以下「審判B請求」という。)がなされたものである。 両請求は請求人及び被請求人(上記第1の商標登録権者)が同一であるため、審理を併合する。 第3 引用標章 請求人が引用する標章は次のとおりであり(以下、それらをまとめて「引用標章」という場合がある。)、いずれも請求人及び文化的所産等である「御金神社(ミカネジンジャ)」を表すものであって、著名となっているとするものである。 1 「御金神社」の漢字からなるもの(以下「引用標章1」という。) 2 「【御金】」の文字からなるもの(審決注:「【御金】は「御金」の漢字の上に小さく「みかね」のふりがなが付されているもの。以下同じ。)(以下「引用標章2」という。) 第4 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第97号証(枝番を含む。以下、枝番号の全てを引用するときは枝番号を省略して記載する。なお、本件商標1に対する審判請求の証拠のうち、甲第88号証、甲第89号証、甲第91号証及び甲第92号証は欠番。)を提出した。 1 請求の理由 (1)審判A請求における請求の理由 本件各商標は、商標法第4条第1項第6号、同項第7号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、同法第46条第1項の規定により無効にすべきものである。 (2)審判B請求における請求の理由 本件商標2は、上記(1)の審判A請求の理由に加えて、商標法第3条の趣旨に反すること及び同条第1項柱書に違反するものであることの理由が存するから、同法第46条第1項の規定により無効にすべきものである。 2 本件各審判の共通の具体的理由 (1)御金神社について ア 御金神社が文化的所産等に該当することについて 請求人が管理・運営する御金神社は、金山毘古命を主祭神とし、天照大御神、月読命の三柱の神をお祀りする神社である。もともとは個人の屋敷の敷地内にある「邸内社」として、お祀りされていたが、明治16年に、現在の所在地に社殿が建立された(甲3~甲7)。 また、神社が建立された場所の近隣には「釜座通り」があり、この辺りは、平安時代より鋳物職人である釜師が集まり茶釜の鋳造を行っている。加えて、「両替町通り」もあり、通りの名前が表すように、かつてこの一帯は、徳川家康により設けられた「金座」と「銀座」があり、江戸幕府の金貨鋳造を担い、各地の金銀細工業者がこの地に集められていた。また「金座」廃止後も、この場所には多くの両替商が軒を連ねていた(甲8)。 神社が主祭神としてお祀りする金山毘古命は、伊邪那岐命と伊邪那美命の御二柱神の皇子であり、五元陽爻(天の位)の第一位の神として、金・銀・銅をはじめとする全ての金属類、鉱山、鉱物(鉱石)を守護する神である(甲7)。 そのため、神社の主祭神と社殿が建立された場所の歴史的経緯とが相まって、地域の氏神さまとして親しまれ、現在に至るまで御信仰が続いている。 また、上述したような由来を備える御金神社は、先人から受け継がれている貴重な財産として、歴史的・文化的・伝統的価値を有し、豊かな文化の象徴となっており、商標審査便覧に規定される文化的所産等に該当する。 イ 「御金神社」の著名性について (ア)御金神社は、近年、金運・招福、金運上昇、資産運用、事業の発展や商売繁盛、金融、証券・株取引や不動産、宝くじ、ギャンブルの成功など、あらゆるお金にまつわるお願いごとをお祈りする金運スポットとして、テレビ、インターネット、雑誌、書籍、新聞等の各種メディアを通じて多数紹介されており、少なくとも2003年から現在に至るまでに、約260以上の媒体で紹介されている(甲12~甲74、甲81~甲87)。 (イ)神社は、人々が信仰心に基づいて参拝に訪れたり、祭祀を行うために訪れたりするところである。そのため、商品の販売や役務の提供を行う店舗等とは異なり、信仰に厚い信者が1日に複数回参拝したり、一企業が多額の寄付を行うことがあり、参拝者数や事業実績等が、直接的にその神社の著名性を表す指標となりうることはない。 また、宗教法人の財産目録や収支計算書については、宗教法人法第25条第5項によれば、財産目録や収支計算書が含まれる事業実績や活動実績は、御金神社の「信教の自由を害する恐れがある」ため提示することが難しい。 しかしながら、御金神社は、連日参拝者が絶えず訪れており、境内に入りきれない参拝者が神社の外に行列をなすことが常態化している。御金神社は住宅街にあるため、近隣の迷惑とならないように、請求人が全日本パトロール警備保障株式会社(以下「警備会社」という場合がある。)に警備を依頼している。 警備会社は、業務終了後に警備日報を記載している。例えば、最上吉日とされている「天赦日」、金運が倍になるとされている「一粒万倍日」、「出ていったものが戻ってくる」といわれる「寅の日」が重なる金運の開運日である2023年3月21日の警備日報によると、7名の警備隊員が配置されている(甲84)。また、特記事項には「上番時には列の最後尾が御池通を西へ、小川通りに達している状況であった。その後、参拝列は御池通を西へ延び、堀川通へ達したことから、最後尾を歩道の植え込みを囲むようにUターンさせ対応する。」と記載され(甲84)、このことは、当日撮像された写真からも確認ができる(甲85)。 さらに、御金神社に行列をなして参拝されていることは、例えば、動画(甲36の1、甲43の1、甲82)からも確認することができる。 このように、正確な参拝者数は分からないものの、御金神社には連日多くの参拝者が訪れている。 (ウ)以上のとおり、「御金神社」は新聞・雑誌・書籍・テレビジョン放送・SNS等の各種メディアを通じて相当数紹介されており、また御金神社の参拝状況については上述したとおりであるから、全国的に周知となり、高い著名性を獲得しているものである。 ウ 「御金」を「ミカネ」と称呼することについて 昭和27年に神社本庁に提出された「宗教法人規則認證申請書」(甲5)には「【御金】神社」と振り仮名が記載されており(甲6)、明治15年に京都府に提出された「神社創建並社号御願書」(甲10 審決注:「号」の文字は甲第10号証では旧字体で書されている。)から、「宗教法人規則認證申請書」(甲5)が提出された昭和27年までの間に、何ら改名に関する書類が提出されていないことから、明治16年に社殿が建立された時点で「御金神社」は「ミカネジンジャ」として称呼されていたものと推定される。 すなわち、明治16年(1883年)から現在(2023年)に至るまでの140年間、「御金神社」は「ミカネジンジャ」として称呼されている。 加えて、「御金」は振り仮名が振られていない場合、「オカネ」と称呼するものであって、「ミカネ」とは通常称呼しない(甲21、甲24の2、甲52、甲94、甲95、ほか)。 ここで、「御」を接頭につけて「ミ」と称呼する場合について、以下のような説明がある。「名詞の上について、それが神仏、天皇、貴人など尊敬すべき人に属すものであることを示し、敬意を添える。「みけ(御食)」「みあかし(御明)」「みかき(御垣)」「みこ(御子)」「みいくさ(御軍)」「みぐし(御髪)」「みもと(御許)」「みまし(御座)」など。」(甲9)。 つまり、「御金」を「ミカネ」と称呼すること自体が、「金」(金属・金物)を守護される神(金山毘古命)を表すものであり、御金神社以外で「御金」を「ミカネ」と称呼することはないから、「御金」を「ミカネ」と称呼することは御金神社独自のものであって一種の造語ともいえ、「御金」を「ミカネ」と称呼すること自体が御金神社を想起させるものである。 また、「御金神社」を「ミカネジンジャ」と称呼することは、新聞記事、雑誌、テレビ、SNS等において、振り仮名をつけて紹介されており、「御金神社」において「御金」を「ミカネ」と称呼することは、広く一般に知れ渡っているものといえる(甲12~甲14、ほか)。 (2)御金神社の略称、俗称、その他需要者に想起させる表示について 御金神社が、「御金」を「ミカネ」と称呼する神社であることは、上述したように広く一般に知られており、御金神社以外で「御金」を「ミカネ」と称呼することはなく、御金神社から「御金」部分を取り出して、「御金」を「ミカネ」と称呼することは、御金神社を想起させる。 この一例として、関西では神社や社寺を「さん」付けで呼ぶ慣習がある。これは日本経済新聞(甲87)に「食べ物以外で目立つのが寺社の言い方だ。八坂神社(京都市)は八坂さん、清水寺(京都市)は清水さん、住吉大社(大阪市)は住吉さんという具合。」との記載にあるように、「神社」の部分を「さん」に代えて称呼する。 「御金神社」においても同様に、「神社」の部分を「さん」に代えて「御金さん(みかねさん)」と呼ばれる俗称がある。これは、「地元住民には「みかねさん」「こんじんさん」と親しまれている。」(甲20)の記載や、「こんじんさん」「みかねさん」と親しまれる神社に転機が訪れたのは10年余り前。」(甲21)の記載にも表れている。 つまり、「御金神社」は、その主要な一部である「御金(みかね)」を取り出して「みかねさん」と称呼される俗称があり、「御金(みかね)」部分を抜き出して称呼される場合であっても、御金神社として認識されていることがわかる。 加えて、御金神社は、上記(1)アのとおり、文化的所産等に該当するものであり、「御金(みかね)」は、御金神社が主祭神とする金山毘古命を表すものであるため、御金神社において「御金(みかね)」は非常に重要な部分であるから、「御金」を「ミカネ」と称呼する御金神社の「御金(みかね)」部分は、文化的所産等の主要な一部分を抽出したものに該当する。 3 審判A請求における具体的な理由 (1)商標法第4条第1項第6号に該当することについて ア 請求人について 請求人は、昭和28年2月11日に設立された宗教法人である(甲11)。宗教法人とは「宗教法人法」に基づいて認定される法人であって、その事業は、教義をひろめ、儀式行事を行い、信者を教化育成することを主たる目的とするものであるから、「宗教法人」は、「公益に関する団体であって営利を目的としないもの」に該当する。 イ 表示する標章について 「御金」を「ミカネ」と称呼することは、上記2(1)ウ及び(2)のとおり、それ自体が、御金神社が主祭神としてお祀りする金山毘古命を表すものであり、御金神社以外で「御金」を「ミカネ」と称呼することはない御金神社独自のものであるから、「御金」を「ミカネ」と称呼することは、御金神社を想起させる表示である。また、御金神社を「みかねさん」と称呼する俗称があることも上記2(2)のとおりである。 以上のことから、「御金(みかね)」は御金神社を表示する標章に該当する。 ウ 文化的所産等を表す標章について 商標審査便覧に規定される文化的所産等に該当する御金神社において、「御金(みかね)」は文化的所産等の主要な一部を抽出したものであり、本件各商標は、その主要な一部「【御金】」を抽出して構成したものであるから、文化的所産等を表す標章からなる商標にも該当する。 エ 著名性について 御金神社の「御金」を「ミカネ」と称呼すること、あるいは「みかねさん」という俗称は、明治16年(1883年)から現在(2023年)に至るまでの140年間(あるいは、少なくとも昭和27年(1952年)から現在(2023年)に至るまでの71年間)、京都市内において使用されている。 そして、上記2(1)イのとおり、一般紙、業界紙、雑誌に関する掲載回数は、26回(甲12~甲21、甲50、ほか)、テレビで放映された回数は、28回(甲22~甲49)である。ウェブサイト等における紹介記事の掲載については、検索エンジン「Google」でキーワード「御金神社」と検索すると、2,710万件(甲72)、検索エンジン「Yahoo」でキーワード「御金神社」と検索すると、2,700万件(甲73)が表示され、インスタグラムで「#御金神社」で検索すると、5.2万件(甲74)の投稿が表示される。また、これらは主に御金神社が金運に御利益がある神社であることや、御金神社は「御金」を「ミカネ」と称呼する神社であることが紹介されている。 以上のことから、「御金神社」は、長期間にわたって使用が継続され、またメディア等の各種媒体を通じて多数紹介されることで、「御金」を「ミカネ」と称呼する神社であることと併せて著名なものとなっている。 オ 本件各商標が商標法第4条第1項第6号に該当する理由 (ア)「御金(みかね)」は、「御金神社」を想起させる表示又は俗称に該当し、宗教法人御金神社を「表示する標章」である。 そして、御金神社は著名なものに該当し、御金神社において「御金」を「ミカネ」と称呼することも、広く一般に周知されている。 本件各商標は、別掲のとおりの構成からなるところ、これはすなわち、「御金神社」の俗称や「御金神社」を想起させる表示である「【御金】」を表記し、カタカナ表記、ひらがな表記及びアルファベット表記で上から順に同一書体で4段に表示したものに過ぎず、御金神社を表示する標章と同一又は類似するものである。 (イ)御金神社は商標審査便覧に規定される文化的所産等であり、上記2(1)イのとおり、「著名なもの」に該当する。また、本件各商標は、文化的所産等である御金神社の主要な一部分「御金(みかね)」を抽出して構成したものであるから、文化的所産等を表す標章からなる商標である。 (ウ)以上、上記(ア)及び(イ)の理由に基づき、本件各商標は、商標法第4条第1項第6号に該当する。 (2)商標法第4条第1項第7号に該当することについて 被請求人は、本件各商標の出願前、遅くとも2019年3月頃以降、請求人の神社を訪問し、その隣地の購入の意向がある旨を示したり、「御金」というラベルを付けた酒(甲96、甲97)を作成して持参したうえ、それが請求人と関わりある商品や請求人が許諾した商品であるとして売れるようバックアップすることを求め、バックアップした場合には売上の一部を請求人に奉納すると述べるなどしている(甲90)。このことは、被請求人が、本件各商標を用いることにより、請求人の著名性に便乗し、請求人の宗教団体としての御利益を期待する多数の需要者を商売のターゲットとして経済的利益を得ようとしていたことを示している。 つまり、被請求人は明治期に建立されてから現在に至るまで請求人の先祖また請求人が奉仕し、守ってきた御金神社が、メディア等に取り上げられることにより広く周知になったことを奇貨として、請求人に無断で、御金神社を表す重要な部分である「御金(みかね)」を抜き出して剰窃的に登録を行っており、このような行為が社会の一般的道徳観念に反するものであることは明らかである。このように神社仏閣に関する商標登録が、神社仏閣とは無関係な第三者によって無断でなされたことについて、商標法第4条第1項第7号に該当すると判断された一例として「昭和大仏事件」(昭和60年審判第18883号)(甲93)がある。 このような被請求人の登録出願の意図及び登録出願の経緯は、著しく社会的妥当性を欠くものであり、商標法の予定する秩序に反するものであるから、本件各商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する (3)商標法第4条第1項第15号に該当することについて 本件各商標は、上記2(1)アに記載したとおり、文化的所産等である御金神社の主要な一部分「御金(みかね)」を抽出して構成したものであるから、文化的所産等を表す標章からなる商標である。次に、本件商標権者は御金神社を管理、所有している者ではなく、文化的所産等である御金神社と何ら関係のない第三者(他人)である。 現在、御金神社は、商品の販売や、第三者に対してライセンスの許諾等は行っていないが、その著名性ゆえに、神社で授与されている授与品だけではなく、祭事に使用した御供物(例えば、御神酒、野菜・果物、菓子等の食べ物等)や、あたかも神社でご祈祷を受けたようなもの(御金神社が「もの」に対して御祈祷することはない)がインターネットサイト等で勝手に販売されており、果ては神社の御神木であるイチョウの葉までも販売されている状況である(甲78~甲80)。 このような状況において、御金神社の御利益にあやかりたい需要者・取引者が、インターネット等で販売されている商品を、誤って御金神社が御祈祷を行った商品、あるいは御金神社からライセンスを受けた者の商品であると勘違いして、購入する事例が既に起きている。 ここで、「御金」を「ミカネ」と称呼することが、御金神社の祭神である金山毘古命を表すものであって、御金神社以外で「御金」を「ミカネ」と称呼することはないことは上述したとおりであるから、「御金」を「ミカネ」と称呼することは一種の造語ともいえるものであって、その独自性の程度は非常に高いものである。 さらに、御金神社および「御金」を「ミカネ」と称呼することは、上記2(1)ウ及び(2)のとおり、全国的に周知されているものである。 そうすると、本件各商標を、その指定商品に使用すると、これに接する需要者・取引者は、あたかも御金神社からライセンスを受けた商品であるかのように、つまり、御金神社と経済的に何等かの関係がある者の業務に係る商品であるかのように誤認し、商品等の出所について混同するおそれがあるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。 (4)商標法第4条第1項第19号に該当することについて 本件各商標は、上記2(1)アのとおり、文化的所産等を表す標章からなる商標である。また、本件各商標の商標権者は、御金神社と何ら関係のない他人である。さらに、上記2(1)ウ及び(2)のとおり、御金神社及び御金神社が「御金」を「ミカネ」と称呼することは、メディア等の各種媒体を通じて多数紹介され、日本国内で全国的に知られている。 加えて、「御金」を「ミカネ」と称呼することは、御金神社が主祭神としてお祀りする金山毘古命を表すものであって、御金神社に特有のものであり、また、御金神社以外で「御金」を「ミカネ」と称呼することはないため、独創性の程度は非常に高く、御金神社の主要な一部分を抜き出した「御金(みかね)」は、一種の造語ともいえるものであって、構成上顕著な特徴を有する。 すなわち、本件各商標は、他人の文化的所産等を表す標章であって、日本国内において需要者の間に広く認識されているものと同一又は類似の商標であって、不正の目的が推認されるものであるから、商標法第4条第1項第19号に該当する。 4 審判B請求における具体的理由 (1)商標法第3条の趣旨に違反することについて 本件商標2は、2022年3月30日に出願されたものであるが、これは請求人が被請求人に対し、商標登録第6104029号(甲88、本件商標1)に対する不使用取消審判の請求を行うことを内容証明郵便にて通知し、同通知を被請求人が受領したのと同日(甲89)であって、本件商標2は、本件商標1の不使用取消審判(取消2022-300396)がされることを知った上で出願されたものと推認される。 ここで、本件商標1は、漢字で表記された「【御金】」、カタカナで表記された「ミカネ」、ひらがなで表記された「みかね」及びアルファベットで表記された「MIKANE」を上から順に同一書体で4段に表してなるロゴで構成されており、本件商標2と同一である。 また、本件商標1に係る指定商品は、本件商標2に係る指定商品と同じ第30類と第33類を指定するものであって、第30類の指定商品については完全に一致し、第33類の指定商品は、「発泡性清酒,発泡性焼酎,マッコリ」において異なるが、それ以外の指定商品において同一である。 つまり、本件商標2は、本件商標1との関係において、同一人が同一の商標について同一の指定商品を指定して重複して出願されたものである。このように、同一権利者が、同一の商標について同一の指定商品を指定した重複する権利を有することは、他人が無効審判や取消審判を請求する場合に、本来一の審判請求で足りるものを二以上の審判請求をしなくてはならない事態を招くものであり、審判請求人に対し非常な不利益をもたらすものである。 加えて、同一の商標を同一の指定商品等について指定した二以上の商標権を設定した場合には、各商標権に係る同一の指定商品等について二以上の専用使用権を設定することも可能となり、設定行為で定める範囲が同一ないし重複する場合には、各専用使用権者にとっては、その同一ないし重複する範囲において登録商標の使用をする権利を専有することができない事態を招くおそれもある。そうすると、同一の商標について同一の指定商品を指定した重複する登録を認めることは、商標法の目的に反するものであるから、本件商標2は、商標登録を受ける権利の濫用であって、商標法第3条の趣旨(審決注:「制定の趣旨」は「3条の趣旨」の誤記と認められる。)に反する。 (2)商標法第3条第1項柱書に違反することについて 本件商標2がその登録時(2022年12月20日)において、本件商標権者が現に行っている業務に係る商品について使用している商標に該当していたか、あるいは、将来行う意思がある業務に係る商品について将来使用する意思を有する商標に該当するかについて検討するに、上記不使用取消審判において現在まで、本件商標権者から、本件商標1を指定商品に使用する証拠は一切提出されておらず、使用意思を確認することはできない。 なお、被請求人は不使用取消審判の審判事件答弁書(甲91)において「御金」とラベルが付された清酒を使用の証拠として提出しており(甲92)、現在も当該商品を熊野酒造有限会社のHPにおいて販売しているが、本件商標1は、別掲のとおりであり、当該ラベルはその一部の文字を抜き出したものであるため、直ちに社会通念上同一と認められるものではない(平成29年(行ケ)第10107号)。 加えて、「御金」は通常「オカネ」と称呼するものであるから、当該ラベルからは「オカネ」の称呼のみが生じるものであって、本件商標1と称呼を異にする。つまり、当該商品に付されたラベルの表記は、本件商標1と社会通念上同ーとは認められないものであり、被請求人が販売している商品をもって、本件商標1をその指定商品に使用していることは全く立証されない。 そのため、上記不使用取消審判にかかる商標権と同一の商標について同一の指定商品を指定する本件商標2についても同様に、本件商標2の登録査定時において、本件商標権者の使用意思を確認することができないことは容易に把握されるとともに、不使用取消審判を経てもなお、被請求人が「御金」と記載されたラベルの清酒を販売していることに鑑みても、今後も本件商標2と社会通念上同一となる商標を使用する意思は推認できないものであるから、本件商標2は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備しない。 第5 被請求人の答弁 被請求人は、請求人の主張に対して答弁していない。 第6 当審の判断 請求人が本件各審判を請求するにつき、被請求人は、利害関係については何ら争っておらず、また、当審は請求人が本件審判を請求する利害関係を有するものと認める。 以下、本案について判断する。 1 審判A請求の判断 (1)引用標章の周知性について 請求人の主張、提出に係る証拠及び職権調査によれば、以下のとおりである。 ア 請求人は、昭和28年2月11日に設立された宗教法人であり(甲11)、請求人が管理・運営する御金神社(以下、御金神社を「請求人神社」という場合がある。)は、明治16年に現在の所在地に社殿が建立され、金属類の守護神を祀る神社であって(甲3~甲8、甲10~甲15、ほか)、昭和27年に、宗教法人として申請した際に、その読みが「ミカネジンジャ」であることが公になったものであるが、それ以前より「ミカネジンジャ」と呼称されていたことが推認できる(請求人主張、甲5、甲6、甲7、甲20、甲21)。 イ 引用標章1について (ア)引用標章1(「御金神社」)に関する新聞記事(甲12~甲21) a 京都新聞「お金を祭る神社として知られる御金(みかね)神社」(平成22年4月19日、甲12)、「金色の鳥居がある御金神社」(令和4年1月28日、甲15 ほか)との記載。 b 読売新聞「住宅街にたたずむ金色の鳥居が面白いと評判の御金(みかね)神社」(平成30年9月20日、甲17 ほか)との記載がある。 c 毎日新聞「金運呼ぶ黄金の鳥居」「金運アップを願う人々の信仰を集める御金(みかね)神社」(平成28年9月29日、甲18)との記載がある。 d 日本経済新聞「御金(みかね)神社は金色の鳥居が目を引く。」(令和4年5月11日、甲19)との記載がある。 e 朝日新聞「・・・「御金神社」という。おかね神社?いいえ、みかね神社と読むのです。」(2019年(平成25年)10月2日、甲21 ほか)との記載がある。 f 以上aないしeの新聞記事には上記のような記載とともに、請求人神社が紹介され、金色の鳥居や鳥居の上部に引用標章1が記載された看板やイチョウをかたどった絵馬の写真等が掲載されている。 (イ)引用標章1(「御金神社」)に関するテレビ放送(甲22~甲49) a NHK放送「不景気知らず?!の神様」の表示(甲22の2、平成20年12月25日放送)、「京都で御利益巡り」の表示がある(甲28の2、平成23年12月10日放送)。 b フジテレビジョン「京都金運巡り」「【御金】神社」の表示がある(甲29の2、令和3年11月17日放送)。 c 日本テレビ放送網「御金神社です」の表示(甲30の2、平成22年1月28日放送)、「【御金】神社」の表示(甲31の2、平成28年1月8日放送)、「御金神社金運UP」の表示がある(甲32の2、令和2年1月14日放送)。 d テレビ朝日「金運あがる?その名も・・・「御金神社」」の表示(甲33の2、平成27年5月5日放送)、「鳥居が金ピカ」の表示(甲34の2、平成31年1月19日放送)、「金運の御利益!御金神社」の表示(甲35の2、令和3年8月21日放送)、「金ピカ神社」「金運アップ祈願」の表示がある(甲36の2、令和3年11月24日放送)。 e BS日本「御金神社」「日本神話に登場する鉱山・鉱物の神」の表示がある(甲39の2、平成29年2月5日放送)。 f 地方局の毎日放送「金運UPの「御金神社」」の表示(甲40の2、平成22年11月24日放送)、「住宅街に長蛇の列」「御金神社」の表示(甲41の2、令和3年11月29日放送)、「金色の鳥居で金運アップ!御金神社」の表示がある(甲42の2、令和4年9月21日放送 ほか)。 g BS KBS京都「金運 【御金】神社」の表示がある(甲44の2、令和2年1月5日放送)。 h 関西テレビ「金運ご利益神社」「【御金】神社」の表示がある(甲45の2、令和3年2月7日放送)。 i 以上aないしhのテレビ放送においては上記のような記載とともに請求人神社が紹介され、金色の鳥居や鳥居の上部に引用標章1が記載された看板、引用標章1が付された提灯などの画像などとともに、放送されている。 (ウ)引用標章1(「御金神社」)に関する雑誌や書籍(甲50~甲69) a 「すてきな奥さん 2021年 新春1月号」(株式会社主婦と生活社)に「金運アップスピリチュアルスポット厳選5」として「御金神社(みかねじんじゃ) 京都府」「黄金に輝く鳥居が目印の神社です。・・・特徴的なのが、イチョウ形の絵馬。イチョウは黄金色の実をつけるので、金運アップの象徴です。」との記載がある(甲50、2020年11月20日発行)。なお、当該雑誌の発行部数は25万500部である(甲51)。 b 「願いを叶える全国の神社・お寺の絵馬」(株式会社マイナビ出版)に「御金神社(みかねじんじゃ)」「金運アップのパワースポット」との記載がある(甲52、2021年11月30日発行)。 c 「歩く地図 京都散歩2023」(成美堂出版)に、「御金神社」「みかねじんじゃ」「お金にまつわるご利益の神様」の記載がある(甲53、2022年4月20日発行)。 d 「るるぶ京都’21」「るるぶ京都’22」(JTBパブリッシング)に、「御金神社(みかねじんじゃ)」「お金の神様に金運アップ祈願」の記載がある(甲56、2020年2月1日発行、甲57、2021年2月1日発行)。 e 「まっぷる京都’21」「まっぷる京都’22」(昭文社)に、「御金神社(みかねじんじゃ)」「金運も運気も上昇の黄色い福つつみ守」の記載がある(甲59、2020年2月15日発行、甲61(2021年2月15日発行)。 f 「sweet特別編集 私の開運スポット」(株式会社宝島社)に、「金運ならここへGO!」「御金神社(みかねじんじゃ)」の記載がある(甲62、2022年5月7日発行)。 なお、2022年上半期(1月~6月)雑誌販売部数で「sweet(スイート)」は、58,522部となっている(甲63)。 g 「突然ですが占っていいですか?・・・最強開運スポットガイド!」(株式会社扶桑社)に、「御金神社(みかねじんじゃ)」「黄金の鳥居が目を引く 最強の金運神社」との記載がある(甲64、2022年7月4日発行)。 h 「2021 秋の京都」(朝日新聞出版)に、「御金神社(みかねじんじゃ)」「金運金箔御朱印」との記載がある(甲66、令和3年9月1日発行)。 (エ)上記(ア)ないし(ウ)によれば、請求人は、御金神社を運営・管理しており、請求人の神社の名称として、引用標章1を使用し、請求人神社は「ミカネジンジャ」と呼ばれていたものといえる。 そして、請求人神社は、お金を祀る神社、金色の鳥居がある神社として、少なくとも平成20年(2008年)12月から本件商標2の登録査定時においても、全国新聞や全国放送のテレビ放送等で引用標章1が表示されて、多数紹介されていることが伺える。 また、令和2年(2020年)2月から本件商標2の登録査定時までに発行された雑誌や書籍においても、京都に所在の「金運アップ」「開運」スポットであり、金色の鳥居のある神社として、引用標章1が掲載され、多数紹介されているものである。 そうすると、請求人神社を表す引用標章1は、本件各商標の登録出願時及び登録査定時において、請求人神社及び請求人を表すものとして、我が国の需要者の間に広く知られていたものと判断するのが相当である。 ウ 引用標章2について 請求人は、引用標章2について、文化的所産等に該当する御金神社の主要な一部分であり、文化的所産等を表す標章からなる商標である旨主張しているが、請求人が引用標章2を使用していること、また、引用標章2が請求人神社及び請求人の略称や俗称として広く用いられている事情は見いだせない。さらに、引用標章2が請求人神社及び請求人の略称や俗称として需要者の間で周知となっている客観的証拠も見いだせないから、引用標章2が本件各商標の登録出願時及び登録査定日の時点において、請求人神社及び請求人を表すものとして、我が国の需要者の間に広く知られていたものと認めることはできない。 (2)商標法第4条第1項第15号について ア 引用標章1 引用標章1は、上記第3の1のとおり「御金神社」の文字からなるところ、上記(1)イ(エ)のとおり、請求人の長年の使用により、本件各商標の登録出願時及び登録査定時において請求人神社を表すものとして、我が国の需要者に広く知られており、「ミカネジンジャ」と称呼されているものである。 そして、上記(1)イ(エ)のとおり、引用標章1は、請求人神社を表すものとして知られているから、引用標章1よりは、「金運や開運スポットである請求人神社」との観念が生じるものである。 イ 引用標章2 引用標章2は、上記第3の2のとおり、「【御金】」の文字からなるものであるところ、上記(1)ウのとおり、請求人の使用及び周知性は認められない。 したがって、引用標章2よりは、その振り仮名から「ミカネ」の称呼が生じ、辞書に記載されている文字ではないから、特定の観念は生じない。 ウ 本件各商標 本件各商標は別掲のとおり、漢字で表記された「【御金】」、片仮名で表記された「ミカネ」、平仮名で表記された「みかね」及びアルファベットで表記された「MIKANE」を上から順に同一書体で4段に表してなるものである。 そうすると、本件各商標よりは、それらの文字に相応して「ミカネ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。 エ 本件各商標と引用標章の類似性の程度 (ア)本件各商標と引用標章1とは、外観においては、前者の上段の文字は引用標章1と同じ「御金」の漢字を含んでいるものの、表示段数など構成態様に差異があり、称呼においては、「ミカネ」と「ミカネジンジャ」であるから相違し、さらに、観念においては、引用標章1は、「金運や開運スポットである請求人神社」の観念を生じるが、本件各商標からは観念を生じるとはいえないから、本件各商標と引用標章1は、観念において相紛らわしいものとはいえない。 そうすると、本件各商標と引用標章1は、その構成全体においては、称呼及び外観において異なるものであり、観念は相紛らわしいものとはいえないから、両者の外観、称呼、観念等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、類似の商標とはいえないものの、本件各商標と引用標章1の語頭の「御金」の部分においては、下記オ(ア)のとおり、「ミカネ」の称呼を同じくするものであって、当該称呼は請求人神社を表すものとして特有のものであるといえるから、本件各商標と引用標章1は「御金」の文字及び「ミカネ」の称呼が含まれることにおいて、外観及び称呼において紛らわしい点を含むものである。 (イ)本件各商標と引用標章2は、構成中に同じ「【御金】」の文字を含むものであるから、外観上近似したものといえ、称呼においては「ミカネ」の称呼を同じくするから、観念上比較できないものであるとしても、外観及び称呼において類似性の程度は高いものといえる。 オ 引用標章の独創性の程度について (ア)引用標章1の構成中の「御金」の文字は、辞書に記載のとおり(「お‐かね【▽御金】貨幣。金銭。また、財産。お金持ち。」(出典:「デジタル大辞泉」)、「お‐かね【御金】[名詞] (「お」は接頭語 ) 金銭。または財産をいう。」(出典「精選版 日本国語大辞典」))、一般的には「オカネ」と称呼されるものであるところ、「御金」を「ミカネ」と称呼することは、請求人神社を表すものとして特有のものであるといえる。 したがって、引用標章1の独創性の程度は高いものといえる。 (イ)引用標章2は、上記(ア)と同様に「御金」の文字を「ミカネ」と称呼するものであるから、独創性の程度は高いものといえる。 カ 商品の関連性の程度、取引者及び需要者の共通性について 本件各商標の指定商品は、上記第1のとおり、第30類「茶,コーヒー,ココア,菓子,パン,・・・脱穀済みの大麦」及び第33類「泡盛,合成清酒,焼酎,白酒,清酒・・・薬味酒」であるから、これらの需要者は、一般的な消費者ということができる。 これに対し、請求人の主な業務は、祈祷やお祓い等の役務や絵馬やお守り等の販売等と推認され、財布等が販売されていること(甲78~甲80)が確認できるところ、これらの需要者も一般的な消費者ということができる。 そうすると、本件各商標の指定商品と上記請求人の業務に係る商品及び役務とは、関連性が深いものとはいえないが、日常生活で一般消費者を対象とするものであって、商品については比較的安価で販売されるものであるなど、性質等において一定の関連性を有するものといえる。 また、本件各商標の指定商品と請求人の業務に係る商品の需要者はともに一般消費者であって、その範囲は共通する。 キ 本件各商標の商標法第4条第1項第15号該当性について (ア)本件各商標と引用標章1は、構成文字全体としては、類似の商標であるとはいえないものの、両者は、いずれも同じ綴りの「御金」の文字を含み、当該文字を「ミカネ」と称呼するものであるから、当該部分において、外観及び称呼が紛らわしいと認められるものであって、引用標章1は、その独創性が高く、本件各商標の登録出願時及び登録査定時において、請求人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められることや、商品等の性質や需要者が共通することなどに照らし、本件各商標の指定商品の需要者において普通に払われる注意力を基準として総合的に判断すれば、本件各商標は、これを本件商標権者が、その指定商品に使用したときは、これに接する需要者が、当該商品から請求人神社の名称である引用標章1を想起し、当該商品が請求人又は同人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように誤認し、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものというべきである。 したがって、本件各商標は、引用標章1との関係で商標法第4条第1項第15号に該当する。 (イ)本件各商標と引用標章2は、類似性の程度が高く、引用標章2は、独創性が高いものの、引用標章2は請求人神社及び請求人を表すものとして、我が国の需要者の間に広く知られていたものと認めることはできない。 そうすると、本件各商標は、これを本件商標権者が、その指定商品に使用したときは、これに接する需要者が、引用標章2を想起するものとはいえないから、本件各商標は引用商標2との関係において、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (3)商標法第4条第1項第6号について ア 商標法第4条第1項第6号の規定は、同号に掲げる団体の公共性にかんがみ、その権威を尊重するとともに、出所の混同を防いで需要者の利益を保護しようとの趣旨に出たものであり、同号の規定に該当する商標、すなわち、これらの団体を表示する著名な標章と同一又は類似の商標については、これらの団体の権威を損ない、また、出所の混同を生ずるものとみなして、無関係の私人による商標登録を排斥するものであると解するのが相当である(知財高裁平成20年(行ケ)第10351号、参照)。 イ 本件各商標の商標法第4条第1項第6号該当性について 宗教法人法によれば、「宗教団体」とは、宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とする団体をいい、「宗教法人」とは、同法により法人となった宗教団体をいい、宗教法人は、公益事業を行うことができるとされている(宗教法人法第2条、第4条及び第6条)。 そうすると、請求人は、公益に関する団体であって営利を目的としないものに相当し、それら団体が行う活動は公益に関する事業であって営利を目的としないものに相当するといえる。 また、引用標章1は、本件各商標の登録出願時及び登録査定時において、請求人を表示するものとして、我が国の一般の需要者の間に広く知られていると認められる。 しかしながら、本件各商標と引用標章1は、上記(2)エ(ア)のとおり、称呼、外観及び観念において相違するものであるから、類似するものとはいえない。 そうすると、引用標章1が知られているとしても、本件各商標と引用標章1とは類似の商標とはいえないから、本件各商標は、引用標章1との関係で「国若しくは地方公共団体若しくはこれらの機関、公益に関する団体であって営利を目的としないもの又は公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章であって著名なものと同一又は類似の商標」でなく、商標法第4条第1項第6号に該当しない。 そして、引用標章2は、上記(1)ウのとおり、請求人神社及び請求人を表すものとして、我が国の需要者の間に広く知られていたものと認めることはできないから、他の要件を判断するまでもなく本件各商標は引用標章2との関係においては、商標法第4条第1項第6号に該当しない。 (4)商標法第4条第1項第19号について 本件各商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、同項第19号かっこ書き「前各号に掲げるものを除く。」により、同号には該当しない。 2 審判B請求の判断 (1)商標法第3条第1項柱書に規定する要件を具備するか否かについて ア 商標法第3条第1項柱書の趣旨について 商標法第3条第1項柱書は、商標登録要件として、「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標」であることを規定するところ、「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標」とは、少なくとも登録査定時において、現に自己の業務に係る商品又は役務に使用をしている商標、あるいは将来自己の業務に係る商品又は役務に使用する意思のある商標と解される(知財高裁平成24年(行ケ)第10019号、参照)。 イ 商標法第3条第1項柱書の要件を具備するかについて 被請求人は、上記第5のとおり、何ら答弁していないものの、上記判決からすると、商標法第3条第1項柱書の要件を具備するためには、少なくとも本件商標2の登録査定(審決)時において、将来自己の業務に係る商品に使用する意思のある商標であれば足りると解されることから、たとえ、本件商標1の審判請求時において、被請求人(本件商標権者)による本件商標1の使用が確認できず、また、使用の蓋然性がみられないといったような事情がうかがえるとしても、それらを理由に、被請求人が、本件商標2の登録査定時において、将来、自己の業務に係る指定商品について本件商標2を使用する意思を有していた商標であることを否定することはできない。 したがって、本件商標2は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備しないものとはいえない。 (2)商標法第3条の趣旨に反するか否かについて 本件商標2と本件商標1は、いずれも別掲のとおりの構成よりなるものであるから、その商標は、同一の商標と認められるものである。 そして、本件商標2と本件商標1の指定商品について比較するに、本件商標2の指定商品中の第33類「発泡性清酒,発泡性焼酎,マッコリ」は、本件商標1の指定商品に含まれていないものである。 また、商標法第3条は、「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする」商標であることを要件とするところ、同一の商標の指定商品の一部が同一であることのみをもって、「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする」商標に該当しないものではない。 そうとすると、本件商標2については、「商標法第3条の趣旨に反する」ということはできない。 なお、請求人は同一権利者が、同一の商標について同一の指定商品を指定した重複する権利を有することは、他人が無効審判や取消審判を請求する場合に、本来一の審判請求で足りるものを二以上の審判請求をしなくてはならない事態を招くものであり、審判請求人に対し非常な不利益をもたらす旨主張する。 しかしながら、業として商品を取り扱う者(以下「企業等」という。)は、需要者のライフスタイルの変化等に応じて、それまでその企業等が扱ってこなかった商品等を開発、販売することがあり、企業等は、新たな商品等について既存の商品等に使用する商標と同一の商標を使用する場合には、当該商標について新たに使用する商品等について更に商標登録を受けることが必要となる。 このような場合に、既存の商標登録と指定商品等が重複する商標を登録することができないとすれば、企業等は、その商標及び指定商品等についての登録が必要な限り、半永久的に同一区分に複数の商標権を所有していくことになり、それらの商標権の存続期間の更新登録を行うには、当該商品等の区分の商標登録が一つの場合に比べて、多額の更新登録料が課されることとなり、合理的とはいえない。 したがって、請求人が主張するような事情があるとしても、請求人の主張は採用できない。 3 むすび 以上のとおり、本件各商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、無効とすべきである。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-890086

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