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商標無効審判

2023-890068

フォートナイト

審判番号
2023-890068
法域
商標
審判種別
無効審判(無効の審決)
出願番号
商願2018-079647
登録番号
6389929
請求日
2023年08月22日
審決日
2024年05月09日
公報発行日
2024年10月25日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】エピック・ゲームズ・インコーポレーテッド
  • 【請求人代理人】田中 克郎
  • 【請求人代理人】稲葉 良幸
  • 【請求人代理人】廣中 健
  • 【請求人代理人】小林 奈央
  • 【被請求人】知財防衛 株式会社
  • 【被請求人代理人】小野寺 隆
審判長/審判官
  • 審判長 大橋 良成
  • 審判官 小林 裕子
  • 審判官 阿曾 裕樹
分類
T111 .271-Y (W091628354143) / T111 .222-Y (W091628354143)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法4条1項15号商標法4条1項19号商標法46条1項1号
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項第19号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の登録第6389929号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6389929号商標(以下「本件商標」という。)は、「FORTNIGHT」の文字を標準文字で表してなり、平成30年6月4日に登録出願、令和3年3月17日に登録審決され、第9類、第16類、第28類、第35類、第41類及び第43類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年5月17日に設定登録され、その後、同4年11月18日の異議申立の確定登録により、指定商品及び指定役務の一部が取り消された結果、その指定商品及び指定役務は別掲1のとおりの商品及び役務となったものである。 第2 引用商標 請求人が、本件審判の請求の理由において引用する商標は、請求人が販売・配信するオンラインゲームの名称として、周知著名になっていたと主張されている、別掲2から別掲4のとおり、「FORTNITE」又は「フォートナイト」の文字を構成文字とする引用商標1から引用商標3(以下、これらをまとめて「引用商標」という場合がある。)である。 第3 請求人の主張 1 請求の趣旨 請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由(商標法第4条第1項第15号及び同項第19号)を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証から甲第29号証(枝番号を含む。以下「甲○」と表記する。)を提出した。 2 請求の理由(要旨) (1)引用商標の周知著名性について ア 請求人のオンラインゲーム「FORTNITE(フォートナイト)」について 引用商標は、2017年7月から現在に至るまで、請求人が世界中で販売・配信するオンラインゲームの名称として、また請求人の業務に係るオンラインゲームに関連した各種の商品について、我が国を含む世界中で継続して使用された結果、請求人の業務に係る商品及び役務を表す商標として、我が国及び世界中の需要者、取引者の間に広く認識されている周知著名な商標である。 請求人は、アメリカ合衆国ノースカロライナ州ケーリーに本社を置く、コンピュータゲーム用ソフトウェアの開発及び販売並びにオンラインによるコンピュータゲームの提供等を手がける企業である(甲2、甲10の1、2)。 請求人のオンラインゲーム「FORTNITE(フォートナイト)」(以下「請求人ゲーム」という。)は、世界中から参加する他のプレイヤーとチームを組んで相手チームを攻撃する「バトルロイヤル」モード、プレイヤーが自分の島やゲームを構築して他のプレイヤーに公開する「クリエイティブ」モード、最大4人のプレイヤーがチームを組んでモンスターを撃退する「世界を救え」モードの3つの異なるモードから構成される(甲2、甲3、甲4の9)。「バトルロイヤル」及び「クリエイティブ」の各モードは基本的な一通りのプレイを無料で行うことができ、パソコンやゲーム機を通じて、又はスマートフォンにアプリをダウンロードして行う。「世界を救え」モードはパソコンやゲーム機にて有料でプレイすることができる(甲3)。 請求人は、2011年12月10日に米国のテレビネットワーク「スパイク」が主催したその年の最高のコンピュータゲーム及びビデオゲームを表彰する「Spike TV Video Game Awards 2011」において、請求人ゲームの制作を発表し、その公式サイト及びムービーを公開した(甲4の1)。その後、2017年7月25日に「世界を救え」モードの有料早期アクセスを開始し(甲2、甲4の2)、同年9月20日には「バトルロイヤル」モードの無料早期アクセスを開始した(甲2)。 請求人ゲームの登録プレイヤー数は、「バトルロイヤル」モードのリリースからわずか2週間あまり後の2017年10月には既に1000万人に達しており(甲2)、リリース当初から米国を中心にゲームファンの熱狂的な支持を集めていた。「バトルロイヤル」モードは基本的に無料でプレイできるが、「スキン」と呼ばれるプレイヤーの外見を変更することのできるアイテム等が有料で販売されている(甲2、甲4の10)。それらを収入源とする請求人ゲームの2018年2月の月間売上は1億2600万ドル(約133億円)にのぼり、米国ではプロゲーマーが人気アーティストとともに請求人ゲームをプレイする様子がストリーミング配信され、その同時視聴者数が63万人に達するなど、欧米のマスメディアで「社会現象になっているゲーム」として取り上げられ、配信開始から1年足らずで早くも人気の絶頂期を迎えたゲームとして我が国でも報道された(甲2、甲4の3)。 2018年3月8日には「バトルロイヤル」モードの日本語版(PlayStation4及びPC版)の配信が(甲2、甲4の4~6)、同年6月13日にはNintendo Switch版の配信(日本語版あり)が(甲2、甲4の7)、そして同年8月23日には「世界を救え」モードの日本語版の配信がそれぞれ開始された(甲2)。2018年5月には、請求人が2018~19年シーズンの請求人ゲームのeスポーツ大会に賞金総額1億ドル(約110億円)を提供すると発表し、従来のeスポーツ大会としては破格の賞金設定であることが世界中で話題となった(甲2、甲4の8)。 請求人ゲームの「バトルロイヤル」モードは、最大100人のプレイヤーがひとつの巨大な島に降下し、武器やアイテムを収集しながら他のプレイヤーと対戦して最後まで生き残ったプレイヤーが勝利するというゲームである(甲2、甲4の9及び甲4の10)。縮小していくプレイゾーンの中で最後の1人になるまで倒し合うという、いわゆるバトルロイヤルゲームのジャンルに属するものでありながら、木やレンガ、鉄などの資材を集めて壁や階段、床、屋根などを作る「クラフト」(建築)の要素や、ボイスチャット(音声通話)機能により他のプレイヤーと会話ができるというコミュニケーションツールも備えている点(甲4の10)が、他のバトルロイヤルゲームにはない魅力として広く一般の需要者に支持された結果、2017年9月のリリースから1年足らずの2018年6月の時点で世界の登録プレイヤー数が1億2500万人に達した(甲2、甲4の11、甲10の1、2)。 請求人ゲームの日本語版がリリースされたのは2018年3月であるが、その時点で既に米国を中心とする海外では同時接続数(同じタイミングに一つのオンラインゲームにアクセスしているプレイヤー数)が340万人を記録するほどの高い人気を誇るゲームであった(甲4の6)。参考までに、2021年10月30日にPCゲームのプラットフォーム「Steam」で配信されたゲームのうち、同時接続数が最も多かったゲームは約85万人であり(甲4の12)、これと比較すると、請求人ゲームの同時接続数340万人がいかに記録的なものであったかがわかる(なお、請求人ゲームはSteamで配信されていない(甲4の13))。 また、2018年6月には、同年4月の請求人ゲームの世界における月間売上が2億9600万ドル(約325億円)に達したことが報じられた(甲2、甲4の14)。単純に比較することはできないものの、例えば2020年にApp Store及びGoogle Playを通じて日本で最も売り上げたモバイルゲームアプリである「モンスターストライク」の推定年間売上が約872億円であったことを考慮すると(甲4の15)、ひと月の売上約325億円を配信開始からわずか9カ月で達成した請求人ゲームが、短期間で世界中の需要者からの爆発的な人気を集め、揺るぎない知名度を獲得したことがわかる。 日本においても、請求人ゲームは2018年3月の日本語版リリースよりも前から既に多くのゲームファンがプレイする人気ゲームとして業界の注目を集めていたが(甲4の1、2、4、甲6の1、2)、2018年3月8日の「バトルロイヤル」モードの日本語版や、同年6月13日のNintendo Switch版の配信(日本語版あり)をきっかけとして、我が国における請求人ゲームのプレイヤー層は一気に拡大し、現在では我が国の小学生の間にまで請求人ゲームの人気が浸透している(甲4の10)。また、我が国の芸能人やスポーツ選手らの間にも請求人ゲームのファンであることを公言する者が多く、彼らのSNS等での投稿をきっかけにこれまで請求人ゲームを知らなかった者の間にも請求人ゲームが広く知られるようになっている(甲4の9、10)。 2018年9月には、一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会主催(後援:経済産業省)の「日本ゲーム大賞2018」の年間作品部門において、請求人ゲームが優秀賞を受賞した(甲4の18、19)。同賞は、2017年4月1日から2018年3月31日までの間に日本国内でリリースされたゲーム作品のうち、2017年度を代表するにふさわしい優れたコンピュータエンターテインメントソフトウェア作品を選考・表彰するものである(甲4の20)。一般ユーザーによる投票の後、選考委員会による審査を経て2018年9月20日に受賞が発表された(甲4の19、20)。一般投票の受付期間は2018年4月9日から同年7月20日であり(甲4の20)、本件商標の登録出願日(2018年6月4日)もこの期間に含まれる。受賞のプレスリリースには、選考委員会による請求人ゲームの選考理由として「爽快感バツグンの銃撃戦と、状況に応じた準備と対応が求められる戦略性の高さ、更には戦いで得られる限定スキンやアイテムなどの豊富なギミックでもユーザーからの人気を博し、多くの支持が寄せられての受賞となりました。」と記載されており(甲4の18、19)、本件商標の登録出願日を含む一般投票期間中に、多くの一般需要者が請求人ゲームに票を投じたことがうかがえる。 我が国を含む世界における請求人ゲームの爆発的な人気の広がりはとどまるところを知らず、2020年5月には全世界プレイヤー数が3億5000万人を突破し(甲4の9)、2020年12月には同時接続数が過去最高の1530万人に達するなど(甲4の21、甲10の1、2)、その後も世界中で飛躍的にプレイヤーの数を伸ばしている。 本件商標の出願前後における請求人ゲームの状況をまとめると以下のとおりとなる。 2011年12月10日 米国のテレビで請求人ゲームの制作を発表 2017年7月25日 「世界を救え」モードの有料早期アクセス開始 2017年9月20日 「バトルロイヤル」モードの無料早期アクセス開始 2018年2月 同時接続数340万人を記録 2018年3月8日 「バトルロイヤル」モードの日本語版の配信開始 2018年4月 月間売上2億9600万ドル(約325億円)を達成 2018年5月 請求人ゲームのeスポーツ大会に賞金総額1億ドル(約110億円)を提供することを発表 2018年6月 プレイヤー数1億2500万人に到達 2018年6月4日 本件商標出願 2018年6月13日 Nintendo Switch版の配信開始(日本語版あり) 2018年8月23日 「世界を救え」モードの日本語版の配信開始 2018年9月 「日本ゲーム大賞2018」年間作品部門優秀賞受賞 2020年5月 プレイヤー数3億5000万人に到達 2020年12月 同時接続数が過去最高の1530万人を記録 2021年4月6日 本件商標登録審決 イ 請求人ゲームに関連する各種ライセンス商品の販売 請求人ゲームは、その人気の高さにより、登場するキャラクターや引用商標2のロゴをあしらった文房具、被服、かばん類、袋物、タオル、寝具、マグカップ、人形、おもちゃ等の多種多様なライセンス商品が販売されている(甲5の1~7)。 ウ 我が国及び外国における請求人ゲームに関する報道 請求人ゲームについては、本件商標の登録出願日より前から今日に至るまで、我が国及び外国の新聞、雑誌、インターネットにおいて頻繁に報道されていた(甲4の1~6、8、甲6の1~21、甲15の1~24)。 なお、これらの資料にみられるとおり、我が国の報道における請求人ゲームの表記は、アルファベットの「FORTNITE」だけでなく、片仮名音訳の「フォートナイト」との併記又は「フォートナイト」の片仮名のみで表記されることも多い点に留意すべきである(甲6の2~4、7~12、14、16~21、甲15の1~24)。 エ このように、本件商標の登録出願日以前から、我が国及び外国において請求人ゲームに関する報道が頻繁になされていたとの事実は、請求人ゲームがそのリリース以来世界的な人気を得て知名度を高めていたことを示すものであり、本件商標の登録出願日までに、「FORTNITE」及びその片仮名音訳である「フォートナイト」が、請求人のオンラインゲームを示す商標として、我が国及び世界中の需要者、取引者の間で広く知られるに至っていた周知著名な商標であったことは明らかである。 本件異議決定においても、審判合議体は、職権調査の結果も踏まえ、「引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録審決時において、請求人の業務に係るオンラインゲームの提供を表示する商標として、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたというのが相当である。」と認定している。 オ 小括 以上のとおり、引用商標は、コンピュータゲーム用ソフトウェアの開発・販売及びオンラインによるコンピュータゲームの提供等に使用された結果、本件商標の登録出願時には、請求人の業務に係る商品・役務を表す商標として、我が国を始め世界中の需要者、取引者間において広く認識されていたものであって、かつ本件商標の審決時にもその周知著名性は継続していたものであり、加えて、その周知著名性の程度は極めて高い。 (2)商標法第4条第1項第15号該当性について ア 引用商標の周知著名性及び独創性 引用商標は、2017年7月から現在に至るまで請求人が世界中で販売・配信するオンラインゲームの名称として、また請求人の業務に係るオンラインゲームに関連した各種の商品について、我が国を含む世界中で継続して使用された結果、請求人の業務に係る商品及び役務を表す商標として、本件商標の登録出願時及び審決時において、我が国を含む世界中の需要者、取引者の間において広く知られるに至っている周知著名な商標である。 また、「FORTNITE」という語は既成語ではなく、一般の辞書にも載録のない語であって、請求人のオリジナルの創造語であり、その独創性の程度は高い。 イ 本件商標と引用商標との類似性の程度 本件商標は、「FORTNIGHT」の欧文字を標準文字で書してなる商標であり、その構成文字に照応して「フォートナイト」の称呼が生じる。「FORTNIGHT」は「2週間」の意味を有する語として主にイギリス英語で使用されるが、アメリカ英語ではほぼ使用されない語であって(甲8)、平均的な英語力をもつ日本人にはまず馴染みのない英単語であるから、そこから「2週間」との観念が自然に生じるとはいい難い。むしろ、本件商標の称呼「フォートナイト」は、2017年7月から請求人が世界中で販売・配信するオンラインゲームの名称として我が国を含む世界中で継続して使用された結果、請求人の業務に係る商品及び役務を表す商標として、本件商標の登録出願時において、我が国を含む世界中の需要者、取引者の間において広く知られるに至っていた周知著名な商標である。したがって、本件商標に接した需要者、取引者は、本件商標の称呼「フォートナイト」から請求人の業務に係るオンラインゲームを想起する。 とりわけ、甲4の10、甲6の8、甲15の2、甲15の8に言及されているように、請求人のオンラインゲームは子供たちの間で大人気となっている。株式会社ゲムトレが2020年5月に実施したアンケートの結果によると、小学生が一番遊んでいるゲームタイトルは「マリオシリーズ」(6.4%)でもなく。「ポケモンシリーズ」(6.9%)でもなく、請求人のオンラインゲーム「フォートナイト」(22.1%)であった(甲4の22)。この点に着目すると、そのような年少の需要者において、英文字の「FORTNITE」と「FORTNIGHT」が識別され、区別して認識、把握される可能性は低い。例えば、甲5の1から7は、子供用衣服やおもちゃ、文房具等がオンラインストアで販売されている状況を示すものであるが、これらの商品説明には「フォートナイトグッズ」のように片仮名でのみ表示されているか、片仮名を併記しているものがほとんどである。このような取引の実情に照らせば、本件商標がその指定商品・役務について使用された場合には「フォートナイト」の称呼が共通することをもって出所の混同を生じる危険は極めて高い。 一方、引用商標1及び引用商標2「FORTNITE」並びにその片仮名音訳である引用商標3「フォートナイト」は、いずれも「フォートナイト」の称呼を生じ、既述のとおり、2017年7月から現在に至るまで請求人が世界中で販売・配信するオンラインゲームを指称するものとして理解し認識されていることから、引用商標から請求人の業務に係るオンラインゲームとしての観念が生じる。 本件商標と引用商標1及び引用商標2は外観において、商標の識別上もっとも重要な部分である語頭を含め「FORTNI」の6文字を共通にするものであって、語尾の「GHT」及び「TE」の文字においてのみ異なり、しかも異なる文字の中にも「T」の文字を共通に含むことから、これらは外観上極めて相紛らわしい商標である。 したがって、本件商標と引用商標は、称呼を同一にし、観念において共通する場合があり、外観において極めて相紛らわしい商標であることから、両商標が類似することは明らかであり、その類似性の程度は極めて高い。 ウ 本件商標の指定商品・役務と引用商標の使用商品・役務との関連性並びに商品・役務の取引者及び需要者の共通性 請求人ゲームが我が国の一般の需要者間で広く支持されていることから、請求人ゲームに関連する各種ライセンス商品が販売されていることは、既に述べたとおりである。これらのライセンス商品には、本件商標の指定商品のうち、例えば第16類「文房具類」や第28類「運動用具」などに該当するものも含まれる(甲5の3、5~7)。これらは本件商標の指定商品又は指定役務と用途・目的・販売場所等を同じくし、商品・役務の関連性は極めて高いものであり、またその取引者及び需要者層も共通するものである。以下、商品・役務ごとに詳述する。 (ア)第9類について 本件商標の指定商品中、第9類「メトロノーム、電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCDROM」については、東京2020オリンピックの開会式で人気ゲーム「ドラゴンクエスト」のテーマ音楽「序曲:ロトのテーマ」等のゲーム音楽が選手団の入場行進曲として使用され、全世界を驚愕させたこと(甲9の1、2)からも明らかなように、人気オンラインゲームに基づいた音楽コンテンツが市場で流通し、商業的のみならず、文化的にも莫大な人気と注目を集めている実情がある。そして、コンピュータゲームに付随する音楽は、「ゲームミュージック」「ゲーム音楽」などと呼ばれており、特にゲームを愛好する消費者の間では根強い人気を博している音楽の一ジャンルとなっているもので、このことは、例えば「スーパーマリオブラザーズ」のテーマ曲は「ゲーム史に残る伝説的な作品であり、世界中で演奏され、過去40年間で最も愛された楽曲の1つ」であるとされてアメリカ議会図書館において、ジョン・レノンの「イマジン」やマライア・キャリーの「恋人達のクリスマス」などと共にゲーム音楽として初めて全米録音資料登録簿に収蔵され、永久保存することが発表されていることにも如実に表れている(甲16)。しかるに、「電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCDROM」に「スーパーマリオブラザーズ」との商標が付されたとすれば、これが周知著名なゲームコンテンツと何らかの関係を有する商品ではないかとその出所について混同を生ずるおそれがあることは明らかであり、このことは同様に周知著名な引用商標がそれに付された場合に出所混同を生ずるおそれがあることと何ら変わりはない。また、「メトロノーム」は特許庁の類似商品役務審査基準においても「電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCDROM」と同じ類似群コードが付されているものであって、前者は後者に類似すると推定される関係にある。 したがって、本件商標の指定商品中、第9類「メトロノーム、電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCDROM」は、いずれも、引用商標が周知著名性を確立した「オンラインゲームの提供」との商品・役務と密接な関連性を有するものであって、その取引者及び需要者が共通する。 (イ)第16類について 本件商標の指定商品「紙類、紙製包装用容器、家庭用食品包装フィルム、衛生手ふき、紙製タオル、紙製手ふき、紙製ハンカチ、型紙、紙製テーブルクロス、紙製のぼり、紙製旗、紙製荷札、書画、事務用又は家庭用ののり及び接着剤、製図用具、タイプライター」のうち、「書画」は、本件異議申立事件において取消理由が通知され、「写真、写真たて、文房具類」とともに商標法第4条第1項第15号に該当すると一旦認定されたものであるが、本件商標の商標権者によって「引用商標はもちろんのこと、一般的なゲームのキャラクターやロゴなどを使用したライセンス商品が販売されている事実もなく、またそのような具体的なサービスも行われていないのが実情である点を鑑みれば、(中略)一定程度の関連性はないと思料されます」との主張がされたことを受けて、取消の対象から除外されたものである。しかしながら、「書画」には「アニメーションのセル画」といった商品も含まれ、請求人オンラインゲームのような人気ゲームに登場するキャラクターを描いたものが非常に人気のあるものとして取引されることは明白である。してみれば、「アニメーションのセル画」を含む「書画」について本件商標が使用された場合に、本件商標と類似の程度の高い周知著名な引用商標を想起し、これが請求人と何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品ではないかと、出所について混同を生ずるおそれがある。「書画」と同様に、第35類の「店舗における書画・絵画・版画の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について本件商標が使用された場合にも、出所の混同を生ずるおそれがある。 また、「紙類、事務用又は家庭用ののり及び接着剤、製図用具、タイプライター」については、本件異議決定において出所混同のおそれがあると認められた「文房具類」と販売部門が一致し、同じ流通経路で販売されるものであるから、これらの商品に本件商標が使用された場合には、「文房具類」と同様に、出所の混同を生じるおそれが高い。 本件商標の指定商品中、第16類「紙製包装用容器、家庭用食品包装フィルム、衛生手ふき、紙製タオル、紙製手ふき、紙製ハンカチ、型紙、紙製テーブルクロス、紙製のぼり、紙製旗、紙製荷札」についても、例えば、「紙製テーブルナプキン」については「スーパーマリオ」「ドラゴンクエスト」「ポケモンGO」といったゲームキャラクターなどをあしらった商品が市場に流通している(甲17の1~3)から、同じ類似群に属する「衛生手ふき、紙製タオル、紙製手ふき、紙製ハンカチ、紙製テーブルクロス」については、出所の混同のおそれが認められてしかるべきである。 紙製包装容器についても、ゲームキャラクターをあしらった商品(紙袋)が人気を博し、市場で取引されていることがうかがわれる(甲17の4)。このような紙製包装容器に、周知著名な引用商標に類似する本件商標が使用されたならば、出所の混同を生じるおそれがある。 (ウ)第35類について 「電気機械器具類(電気通信機械器具・電子応用機械器具及びその部品を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について、例えば、任天堂株式会社が運営するオンラインサイト「My Nintendo Store」では、ゲーム機器に使用する「拡張バッテリー」や、「電源アダプター」が販売されている(甲18)。このことに照らせば、本件商標が例えばバッテリーや電源アダプターの小売の業務について使用された場合には、本件商標と類似の程度の高い周知著名な引用商標を想起し、これが請求人と何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品ではないかと、出所について混同を生ずるおそれがある。 「織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について、例えば、任天堂株式会社が運営するオンラインサイト「My Nintendo Store」では、人気ゲームコンテンツのタイトルやキャラクターを使用した様々なグッズが販売されており、その中には、クッションや、ブランケットも含まれる(甲19)。かかる取引の実情に徴すれば、本件商標が上記役務について使用された場合には、本件商標と類似の程度の高い周知著名な引用商標を想起し、これが請求人と何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品ではないかと、出所について混同を生ずるおそれがある。 「履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について、例えば、人気ゲームキャラクターである「スーパーマリオブラザース」を使用した子供用の履物が販売されている事実がある(甲20)。また、株式会社シー・エヌ・エスグループが運営するウェブメディア「FINDERS(ファインダーズ)」に2018年7月2日にアップロードされた「ソニック、FF、プレステまで!?『有名ゲーム×スニーカー』のコラボが急増中」との記事では、「2016年にはVANSが任天堂とコラボした、『VANS×NINTENDO COLLECTION』というスニーカーを発売している。こうしたゲーム(あるいはゲームキャラ)×アパレルのコラボは、任天堂の版権ビジネス強化戦略の一環。任天堂に遅れを取るなと言わんばかりに、最近はコラボの流れが加速しているようだ」、「2018年6月5日、プーマはセガの『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』とコラボしたスニーカー、『RS-0 X SONIC』と『RS-0 X DR EGGMAN』(各l万8、000円)の2モデルを、原宿と大阪のプーマストア及びプーマ取り扱いの限定店舗で発売開始した」との記載がある(甲21)。かかる取引の実情に徴すれば、本件商標が上記役務について使用された場合には、本件商標と類似の程度の高い周知著名な引用商標を想起し、これが請求人と何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品ではないかと、出所について混同を生ずるおそれがある。 「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について、例えば、任天堂株式会社の人気ゲームコンテンツ「スプラトゥーン」のコラボカップ麺が発売されている(甲22の1)。また、「大人気ゲームシリーズ「ポケットモンスター」×バンダイキャンディによる、『ポケモン 釣りグミ』が2023年8月より全国の量販店にて発売される。」との報道がされている。他にも、人気ゲーム「PIKMIN」がファミリーマートとコラボしたデザートや、アプリゲーム「転生したらスライムだった件」をフィーチャーしたウエハースや、「スーパーマリオ」とコラボしたクッキー菓子「オレオ」などが販売されている(甲22の2、3)。また、任天堂株式会社はそのオフィシャルサイトで「大公開!マリオキャラ弁の作り方」との記事において「お家の人にたのんで作ってもらえば、友達にじまんできることまちがいなし?」と記載するなど(甲22の4)、「スーパーマリオブラザーズ」のような人気ゲームのキャラクターが、お弁当のおかずのモチーフとして活用される等、人気ゲームと、とりわけ低若年者層を需要者とする飲食料品との関連性は、極めて高いものがある。かかる取引の実情に徴すれば、本件商標が上記役務について使用された場合には、本件商標と類似の程度の高い周知著名な引用商標を想起し、これが請求人と何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品ではないかと、出所について混同を生ずるおそれがある。 「自動車の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について、自動車の小売の分野においても周知著名なゲームタイトルやそのキャラクターとコラボして販売促進に用いられる可能性は優にある。オンラインサイト「ベストカーWeb」における「キティちゃんと!?日本の有名キャラクターとコラボしたクルマ8選」との記事においては、「ハローキティ」「機動戦士ガンダム」「ウルトラマン」「デビルマン」「ドラえもん」といった人気キャラクターとのコラボによって宣伝広告活動が活発に行われていることがうかがわれ、ベンツGLAは、「スーパーマリオブラザーズのマリオをキャラクターに抜擢し、TVのCMのほかいろいろなところで積極的にコラボ」したと記載されている(甲23の1)。また、オンラインサイト「MANTANWEB」には、「痛車:お台場に1000台集結『艦これ』デザインも続々」との記事(2014年10月5日)が掲載され(甲23の1)、「アニメやゲームなどのキャラクターを描いた自動車『痛車(いたしゃ)』の大規模展示イベント『第10回痛Gふぇすたinお台場』が5日、東京・お台場の『レインボータウン』で開かれ、大型で強い台風18号の接近にもかかわらず約1000台の『痛車』が集結した。ブラウザーゲーム『艦隊これくしょん』(艦これ)の『艦娘』(かんむす)と呼ばれる美少女キャラクターの『大和』や『榛名』などが描かれた痛車も多数お目見えした」との記載がある(甲23の2)。このように、アニメやゲームのキャラクターが自動車の販売促進に利用され、自動車の需要者(ユーザー)のなかには、愛車の車体にアニメやゲームのキャラクターを大きく描いたり、ステッカーを張ったりしてデザインした「イタいデザインの車=『痛車』」が人気を博している。また、逆に、実在する自動車をキャラクターにしたゲーム「車なごコレクション」が人気を博している実情もある(甲23の3)。このように、ゲームに興味を有する者が自動車の需要者には少なからず存在し、自動車に興味を有する者がゲームで遊ぶという関係も存在するから、上記役務と「オンラインゲームの提供」の間には関係性があり、かかる取引の実情に徴すれば、本件商標が上記役務について使用された場合には、本件商標と類似の程度の高い周知著名な引用商標を想起し、これが請求人と何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品ではないかと、出所について混同を生ずるおそれがある。 「二輪自動車の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、自転車の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について、例えば、大型自転車専門店「サイクルスベースあさひ」を全国にチェーン展開する株式会社あさひのウェブサイトでは「マリオカートコラボレーションモデル」として、「スーパーマリオブラザーズ」のキャラクターを使用したトレーニングバイクや自転車が販売されている(甲24)。かかる取引の実情に徴すれば、本件商標が上記役務について使用された場合には、本件商標と類似の程度の高い周知著名な引用商標を想起し、これが請求人と何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品ではないかと、出所について混同を生ずるおそれがある。 「家具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、建具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、畳類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について、例えば、株式会社くろがね工作所では古く昭和61年には「スーパーマリオブラザーズ」をキャラクターとした児童向け学習机を製造、販売していた(甲25)。かかる取引の実情に徴すれば、本件商標が上記役務について使用された場合には、本件商標と類似の程度の高い周知著名な引用商標を想起し、これが請求人と何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品ではないかと、出所について混同を生ずるおそれがある。 「手動利器・手動工具及び金具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、台所用品・清掃用具及び洗濯用品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について、人気ゲームタイトルのキャラクターなどを利用した様々な食器類が市場で販売されている事実がある(甲26)。引用商標についても、ショットグラス、マグカップ、コップといった食器類に使用されて商品化されている事実がある(甲5の4)。かかる取引の実情に徴すれば、本件商標が上記役務について使用された場合には、本件商標と類似の程度の高い周知著名な引用商標を想起し、これが請求人と何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品ではないかと、出所について混同を生ずるおそれがある。 「薬剤及び医療補助品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について、例えば、株式会社バンダイのオンラインストアにおいては、人気ゲームタイトル「妖怪ウォッチ」のキャラクターを使用したばんそうこうや、「スーパーマリオブラザーズ」のリンスインポンプシャンプーを販売している。また、「SHU UEMURA」と「スーパーマリオブラザーズ」との「コラボコスメ」が販売された事実がある。フェアリーテイル株式会社が、落ち物パズルゲーム「ぷよぷよ」のキャラクターをイメージした香水を販売した事実がある(甲27の1~3)。かかる取引の実情に徴すれば、本件商標が上記役務について使用された場合には、本件商標と類似の程度の高い周知著名な引用商標を想起し、これが請求人と何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品ではないかと、出所について混同を生ずるおそれがある。 「時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について、例えば、「楽天市場」のオンラインストアにおいては、人気ゲームタイトル「スーパーマリオブラザーズ」のキャラクターを使用した腕時計、「ポケットモンスター」を使用した置時計、「ドラゴンクエスト」の壁掛け時計等が販売されている(甲28の1)。また、長時間ゲームを楽しむユーザーの間では、ゲームによる目の疲労を軽減するためのゲーム専用眼鏡が「ゲーミングメガネ」、「ゲーミンググラス」などと呼ばれて取引されている事実がある(甲28の2)。かかる取引の実情に徴すれば、「オンラインゲームの提供」と上記役務とは一定の関係性が認められ、本件商標が上記役務について使用された場合には、本件商標と類似の程度の高い周知著名な引用商標を想起し、これが請求人と何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品ではないかと、出所について混同を生ずるおそれがある。 「店舗における測定機械器具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について、株式会社タニタの2023年1月22日付プレスリリースによれば、同社が「アプリゲーム『プルーアーカイブ』とコラボレーションした音声体組成計「BC-203-BAブルーアーカイブ早瀬ユウカモデル」を発売したことが報じられている(甲29の1)。オンラインストア「amazon.co.jp」では、「スーパーマリオブラザーズ」のキャラクターを使用した体重計が販売されている(甲29の2)。かかる取引の実情に徴すれば、「オンラインゲームの提供」と上記役務とは一定の関係性があり、本件商標が上記役務について使用された場合には、本件商標と類似の程度の高い周知著名な引用商標を想起し、これが請求人と何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品ではないかと、出所について混同を生ずるおそれがある。 (エ)本件異議決定で取り消された商品又は役務に類似する商品又は役務について 本件異議決定においては、本件商標の一部の指定商品及び指定役務について、請求人の業務に係る「オンラインゲームの提供」との間で一定程度の関連性があり、引用商標との間で出所の混同のおそれがあるとして、商標法第4条第1項第15号に該当すると判断された。 他方、本件異議決定では、同じ類似群コードに属し、審査において相互に類似すると推定される商品や役務の一部について「出所の混同のおそれ」を認め、一部については「出所の混同のおそれ」はないという判断がされている。 しかしながら、かかる判断は極めて不自然であって、妥当なものとはいいがたい。 本件異議決定において商標法第4条第1項第15号に該当するとされた商品又は役務に類似する商品又は役務についても、出所の混同を生ずるおそれがある。よって、具体的には、第28類の「囲碁用具、将棋用具、手品用具、愛玩動物用おもちゃ」、第35類の「紙類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」「楽器の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」「店舗における愛玩動物用ベッド・犬小屋・小鳥用巣箱・愛玩動物用食器・愛玩動物用ブラシ・愛玩動物用おもちゃ・愛玩動物用ケージ・愛玩動物用トイレ・愛玩動物の給水給餌器・愛玩動物用の首輪及び引きひもの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」、第41類の「教育・文化・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)、教育研修のための施設の提供、遊園地用機械器具の貸与」、第43類の「会議室の貸与」についての本件商標の登録は無効とされるべきである。 以上のとおり、本件商標の指定商品・役務と引用商標の使用商品・役務とは一定の関連性があり、またその取引者及び需要者は、いずれも一般の消費者であるといえ、需要者は共通している。そして、需要者が一般の消費者であること、とりわけ請求人ゲームの需要者には上記のとおり小学生などの年少者も含まれることからすれば、取引の際に払われる注意力はさほど高いとはいえない。 エ 出所の混同を生ずるおそれ 上記のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び審決時において、請求人の商品及び役務を表示するものとして、取引者、需要者の間に広く認識されていたものであり、その周知著名性の程度は極めて高い。また、本件商標と引用商標とは、称呼を同一にし、観念を共通にする場合があり、外観において極めて相紛らわしい商標であることから、類似性の程度は極めて高い。そして、本件商標の指定商品及び役務には、第28類「囲碁用具、将棋用具、手品用具」、第41類「教育・文化・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)、教育研修のための施設の提供、遊園地用機械器具の貸与」のように、「オンラインゲーム」と密接な関連性を有する商品・役務が含まれており、また、現に取引市場においては、引用商標のように周知著名なゲームタイトルが宿泊・旅行・飲食まで含めた総合娯楽産業全体に波及する強力な顧客吸引力を発揮し、利・活用されていることから、本件商標の指定商品・役務と引用商標の使用商品・役務とは一定の関連性があり、またその取引者及び需要者は、いずれも一般の消費者であるといえ、需要者は共通している。そして、需要者が一般の消費者であることからすれば、取引の際に払われる注意力はさほど高いとはいえない。 これらのことを併せ考慮すれば、本件商標をその指定商品及び役務について使用する場合、これに接する取引者、需要者は、請求人のオンラインゲームについて周知著名性を獲得した請求人の引用商標を連想、想起し、本件商標を使用した商品・役務が請求人又は請求人と経済的もしくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品・役務であるかのように誤認し、その出所について混同を生ずるおそれがある。 オ 小括 以上の事実に基づき総合的に勘案すれば、本件商標をその指定商品及び役務について使用する場合、これに接する取引者、需要者は、請求人のオンラインゲームについて周知著名性を獲得した請求人の引用商標を連想、想起し、本件商標を使用した商品・役務があたかも請求人又は請求人と同一の営業主体の業務に係る商品・役務、又は請求人と経済的・組織的に何らかの関係を有する者の取り扱う業務に係る商品・役務であると誤認して取引にあたると考えられるから、その商品の出所について混同を生ずるおそれがある。そして、本件商標の登録を認めた場合には、請求人の引用商標が持つ願客吸引カヘのただ乗り(いわゆるフリーライド)やその希釈化(いわゆるダイリューション)を招くという結果を免れない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 (3)商標法第4条第1項第19号該当性について ア 引用商標の周知性 上記で詳述したとおり、引用商標は、請求人がコンピュータゲーム用ソフトウェアの開発・販売及びオンラインによるコンピュータゲームの提供等に使用した結果、請求人の業務に係る商品及び役務を表す商標として、世界中、とりわけアメリカ合衆国で高い周知性を獲得するに至った商標である。したがって、引用商標は、商標法第4条第1項第19号に規定される、他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び審決時において、日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標に該当する。 イ 本件商標と引用商標の類似性 上記でみたとおり、本件商標と引用商標とは、称呼を同一にし、観念を共通にする場合があり、外観において極めて相紛らわしい商標であることから、類似性の程度は極めて高いものである。したがって、両商標が需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、本件商標と引用商標が類似し、その類似性の程度は極めて高い。 ウ 被請求人の「不正の目的」 引用商標は、本件商標の登録出願時において、既に請求人のオンラインゲームついて世界的な周知著名性を獲得していたことを考慮すると、被請求人が引用商標の存在を知らなかったものとは考え難い。よって、被請求人が、世界的に周知著名であった引用商標と同一の称呼を生じ、外観においても相紛らわしい「FORTNIGHT」の文字からなる本件商標を意図的に採択・出願し登録したことは明白であり、引用商標の有する高い名声・信用・評判にただ乗り(フリーライド)する目的、すなわち不正の目的をもって、本件商標の登録出願をしたものである。 さらに、請求人において調査したところ、被請求人は、2016年7月以降、160件の商標登録出願を行っており、このうち設定登録されたものは34件にすぎず、残りの126件の内訳は、拒絶査定が60件、手続補正指令(方式)に応答しないことによる出願却下処分が48件、出願取下が4件、登録料不納による出願却下処分が2件、査定不服審判中の審判拒絶が1件である(甲12)。 登録に至らなかった商標(甲13の1~7)には、被請求人の事業と無関係とみられるゲーム会社の人気ゲームタイトルの名称及びその略称に類似する商標を剽窃的に出願したと思われるものがある。 また、被請求人は、任天堂株式会社のゲーム「スーパーマリオゲームブラザーズ」に登場するキャラクター「マリオ」が着用している赤いキャップの前面部に顕著に表示されている「下方部分が緩やかな弧により切り取られた横長円とその内側中央に配されたデザイン化した欧文字『M』」からなる標章」と酷似する図形についての出願(商願2016-147390、甲13の8)や、同ゲームに登場するキャラクター「ルイージ」が着用している緑色のキャップの前面部に顕著に表示されている「下方部分が緩やかな弧により切り取られ楕円形状の図形とその内側中央に配されたデザイン化した欧文字『L』からなる標章」と酷似する図形についての出願(商願2016-147392、甲13の9)などを行っており、いずれも商標法第4項第1項第15号に該当するとして出願が拒絶されている(甲13の10、11)。 さらに、被請求人は、「任天堂は無関係」(商願2018-152596、甲13の12)、「任〇堂は無関係」(商願2019-016777、甲13の13)、「Unrelated to Nintendo」(商願2018-152583、甲13の14)など、他人の著名商標と同一あるいはそれを構成中に含む商標を出願しており、いずれも商標法第4条第1項第15号及び/又は同第19号等に該当するとして出願が拒絶されている(甲13の15~17)。 被請求人のこれらの出願行動からすると、被請求人が、とりわけゲームの分野に強い関心を有しており、自らの事業に関わらず、人気ゲームに関連する商標を取得しようとしている者であることは明らかであって、そのような者が、本件商標の登録出願時には既にアメリカ合衆国をはじめとして世界的な人気ゲームタイトルとなっていた請求人の「FORTNITE(フォートナイト)」を全く認識することなく、たまたま偶然請求人の周知著名な人気オンラインゲーム「FORTNITE(フォートナイト)」の名称に極めて類似する本件商標を出願したとは到底考えられない。 また、本件商標はその登録出願当時においては、最終的に登録が認められた本件指定商品・役務のみならず、第9類「家庭用テレビゲームおもちゃ、家庭用テレビゲームおもちゃ用プログラム」などを指定したものであった点を看過してはならない(甲14)。すなわち、このような出願当時の事情は、被請求人が、請求人の世界的に周知著名なゲームタイトル「FORTNITE(フォートナイト)」と極めて類似する本件商標「FORTNIGHT」を、家庭用テレビゲームおもちゃ用プログラム、業務用テレビゲーム機用プログラム、携帯電話機用ゲームプログラムについて使用する意思があったことを示しているのであって、請求人の引用商標「FORTNITE(フォートナイト)」が有する高い信用や名声等にただ乗り(フリーライド)しようとする、被請求人の不正の目的を裏付けるものである。その後の審査の過程においてこれらの指定商品を削除したとしても、本件商標の出願時において、被請求人が、当該不正の目的を有していたことが否定されるものではない。 以上のとおり、本件商標は、その登録出願時において、アメリカ合衆国をはじめとして世界的な人気ゲームタイトルとして話題となり、少なくともアメリカ合衆国において周知商標となっていた請求人の「FORTNITE(フォートナイト)」に係る引用商標と同一の称呼を有し、観念上も、外観上も極めて相紛らわしい構成であった。被請求人の過去の出願行動などからしてみても、引用商標が世界的に周知著名であるにもかかわらず、我が国において登録されていないことを奇貨として、不正の利益を得る目的で、又はコンピュータゲームソフトウェアをはじめとする様々な商品・役務に使用することで請求人の周知著名な引用商標が有する高い信用や名声等にただ乗り(フリーライド)する目的で、本件商標を出願したものである。 したがって、本件商標は、他人である請求人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内及び外国における需要者の間に広く認識されている引用商標と類似の商標であって、不正の目的をもって使用するものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。 第4 被請求人の答弁 1 答弁の趣旨 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証(枝番号あり。以下、「乙○」と表記する。)を提出した。 2 答弁の理由(要旨) (1)引用商標の周知・著名性について 本件商標の登録出願日は平成30年(2018年)6月4日であり、この日以降の主張は何ら根拠にならない。 例えば、日本語版の配信としてNintendo Switch版の配信について示しているが、請求人が示すように配信開始は2018年6月13日で、周知著名性の根拠にはならない。また「日本ゲーム大賞2018」年間作品部門優秀賞受賞について示されているが、この受賞は出願日の後となる2018年9月であり、出願より3月が経過している。この点、Nintendo Switch版の配信が出願日直後にあったことを考慮すれば、この配信が需要の根拠になったことも推認されるため、この受賞の事実についても周知著名性の根拠にはならない。 また、請求人の主張の中で同時接続数が340万人を記録した証拠や月間売上が2億9600万ドルを達成した、eスポーツ大会に賞金1億ドルを提供することを発表した等の主張がされているか、これらはすべて日本国内ではなく米国をはじめとする海外の事実であって、日本国内での周知著名性を要件とする商標法第4条第1項第15号の周知著名性の根拠にはならない。 このことは、本件商標の登録出願を行った2018年当時のオンラインゲームをはじめとするゲームソフトウェア市場のランキング情報を参酌するに、2017年、2018年、2019年のダウンロードゲームにおける売上ランキングによると、2017年、2018年のランキングでは、引用商標に係るゲームソフトウェアはいずれもランキング外であるのに対して、2019年のランキングではダウンロード本数及び購入のいずれのランキングにも引用商標のゲームが登場している(乙1の1~3)。 このように引用商標に係るゲームについては、いわゆる出願後である2018年の下半期以降、2019年頃から日本の需要者に認識されるようになったことが明らかであり、それまでは、海外のニュースとして発信されることはあっても、実際にゲームとして広く認知されるに至っていない。 以上により、引用商標については、本件商標の登録出願時点において、日本国内において非類似の商品又は役務に至るまで取引者及び需要者に広く認識されるほどの周知著名性を有しているものとはいい難い。 (2)本件商標と引用商標の類似性について 本件商標「FORTNIGHT」と引用商標を対比するに、請求人は、本件商標の「FORTNIGHT」は「2週間」の意味を有する語としてイギリス英語で使用されるが、アメリカ英語では使用されず、平均的な英語力を持つ日本人には馴染みがないとして、請求人の業務に係るオンラインゲームを想起すると主張する。 しかしながら、「FORTNIGHT」の語が「2週間」の意味を有する語と認知する知識を有さない者であっても、「FORT」と「NIGHT」の語より構成されている語において、「NIGHT」の語が認識できない者は想定し難く、そうとするのであれば引用商標における「FORT」「NITE」より構成される語とは「NIGHT」と「NITE」の差異を有する明らかに異なる語であると認識し得るものであって、具体的に出所の混同が生じるおそれはない。 なお、請求人は需要者の認識として株式会社ゲムトレが実施したアンケート結果を証拠資料として提示しているが、この資料は2020年に実施されたものであって、出願時における取引者の実情を示したものとはいえないため証拠としては採用すべきではない。 したがって、本件商標と引用商標とは、構成態様及び構成文字数において明らかに相違するものであるから、外観においては、判然と区別し得る。 してみるならば、本件商標と引用商標とは、その観念及び外観において顕著に相違する商標であって、その称呼においても観念を無視して認識、把握するものではないといえるから、両商標は具体的に出所の混同が生じるおそれはない。 (3)本件商標の指定商品及び指定役務と請求人の業務に係る商品及び役務との関連性の程度並びに取引者及び需要者の共通性について ア 請求人は、請求人ゲームに関連する各種ライセンス商品が販売されており、これらのライセンス商品には、本件商標の指定商品のうち、例えば第16類「文房具類」や第28類「運動用具」などに該当するものも含まれると主張する。 しかしながら、第16類「文房具類」や第28類「運動用具」については本件商標の範囲ではないので、主張自体が失当である。また、ゲームに関する各種ライセンス商品が販売されており、として甲5の5から7の証拠資料を提示しているが、そもそも本件商標の登録出願時以降に示されている資料であって、出願時における取引実情を説明する証拠資料としては採用できない。 イ 請求人は、第9類「メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCDROM」について、ゲームミュージックとして使用されることがある、またゲームコンテンツと何らかの関係を有する商品であると推測を交えて主張を行っている。また、共通の類似群コードが付されているので取引者及び需要者が共通すると主張する。 しかしながら、類似群コードが共通するため出所の混同が生じるとの論理は、商標審査基準においても、また類似群コードを定める類似商品・役務審査基準のいずれにも示されておらず、請求人の傍論であるといわざるを得ない。さらには音楽コンテンツと装置やプログラムは、商品の生産部門・販売部門、原材料・品質・用途のいずれも共通するものではなく、到底出所の混同が生じ得るものとはいえない。 ウ 請求人は、第16類「書画」に「アニメーションのセル画」が含まれるとの理由で出所の混同が生じるとしているが、類似商品・役務審査基準によると「書画」に含まれるのは「絵画,軸,書,版画」であって「アニメーションのセル画」は類似群コードにおいて共通するものの「書画」とは同一ではない。 そして、「紙類,事務用又は家庭用ののり及び接着剤,製図用具,タイプライター」とは文房具類と販売部門が共通するとの根拠で出所の混同が生じるおそれがあるとしているが、生産部門、原材料・品質・用途のいずれも共通するものではなく、具体的な出所の混同が生じ得るとはいいがたい。 さらに「紙製包装用容器,家庭用食品包装フィルム,衛生手ふき,紙製タオル,紙製手ふき,紙製ハンカチ,型紙,紙製テーブルクロス」とは、ゲームキャラクターをあしらった商品があることを根拠に出所の混同が生じるおそれがあるとしているが、提示されている証拠資料はキャラクターを使用した商品であってオンラインゲームとは関係性がないといえるものであって、引用商標に著名なキャラクターを有する場合はキャラクターとして、使用される例があるともいえるが、引用商標に関しては事案を異にするものといえる。なお、提示された証拠資料は、本件商標の登録出願時の取引実情を示したものではないため、証拠資料としては採用されるべきではない。 エ 請求人は、第35類の小売等役務について、取扱商品となる商品が使用されている実情を示して類似群コードが共通する小売等役務についても出所の混同が生じるおそれがあると主張する。 しかしながら、第35類の小売等役務については、商標審査基準の第6条の解説によると、「小売等役務とは、小売又は卸売の業務において行われる総合的なサービス活動(商品の品揃え、陳列、接客サービス等といった最終的に商品の販売により収益をあげるもの)をいうものとする。」と定義されており、便宜上類似群は共通するとしても生産部門、原材料・品質・用途のいずれも共通するものではなく、具体的な出所の混同が生じ得るとはいい難い。 オ 請求人は、登録異議申立(異議2021-900304号)に商標法第4条第1項第15号に該当するとして取り消された商品又は役務に類似する指定商品又は指定役務について、相互に類似すると推定される商品や役務の一部について「出所の混同のおそれ」を認め、一部については「出所の混同のおそれ」はないと判断がなされており、極めて不自然な判断であると主張する。 しかしながら、このような解釈は、商標審査基準の判断基準を何ら考慮せずに主張されている傍論であり、失当である。 すなわち、類似群コードにおいて共通する商品又は役務については、審査の迅速から便宜上、出所の混同が生じると推認して付されているコードであり、この基準は商標法第4条第1項第15号では採用されておらず、本号における出所の混同は個別具体的に示されて基準に照らして判断されるべきものであり、形式的に判断されるものではないことは商標審査基準などからも明らかである。 カ 以上により、請求人が主張するいずれの指定商品又は指定役務についても、販売部門、生産部門、原材料・品質・用途を総合的に判断するに共通するものではなく、具体的な出所の混同が生じ得るとはいえない。 (4)商標法第4条第1項第15号の該当性について 上述したとおり、本件商標と引用商標とは、商標法第4条第1項第15号における商標審査基準の各要件に徴してみても、類似するものではなく、また、商品と役務間の関連性から見ても、販売部門、生産部門、原材料・品質・用途を総合的に判断するに共通するものではないことから、一定程度の関連性を有することはない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (5)商標法第4条第1項第19号の該当性について 請求人は、世界的に周知著名であった引用商標と同一の称呼を生じ、外観においても相紛らわしい「FORTNIGHT」の文字からなる本件登録商標を意図的に採択したことをもって、フリーライドする目的ともって、本件商標の出願をしたと主張する。 しかしながら、上述したとおり、本件商標「FORTNIGHT」は、造語ではなく「2週間」の意味合いを有する既成語であって、全体の構成から、何らかの意図をもって出願されたと客観的に判断することはできない。 特に、被請求人が我が国で登録されていないことを奇貨として、高額で買い取らせるために何らかの行動を起こしたこともなく、そのような事実もない。さらに、造語である引用商標に対して、「2週間」の意味合いを有する本件登録商標が、引用商標の名声を毀損することはなく、また意味合いも大きく相違することから、引用商標が希釈化されることもない。 また、請求人は、本件商標とは関係のない権利を示して被請求人に不正の目的があると主張する。 しかしながら、本件商標とは全く関係のない権利や出願を行うことが不正の目的に該当しないことは、商標審査基準や裁判例を踏まえても明白であって、請求人の主張自体が失当である。またこのことは、異議2021-900304号の決定における判断においても「本件商標権者が、本件商標を高価で買い取らせることを行っているとか、申立人の国内参入を阻止しようとしている等、不正の目的を持って本件商標を登録出願し、登録を受けたと認めるに足る具体的事実を見いだすことはできない。」と同様の判断を行っている。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 第5 当審の判断 1 利害関係について 請求人が本件審判を請求することの利害関係の有無については、当事者間に争いがなく、当審は請求人が本件審判の請求について利害関係を有すると認める。 2 引用商標の周知著名性について (1)請求人の提出証拠及び主張によれば、以下のとおりである。 ア 請求人は、米国ノースカロライナ州ケーリーに本社を置く、ビデオゲーム、ゲームエンジン及びコンテンツ作成ツールの開発会社である(甲10の2)。 イ 請求人は、2011年12月に新作ビデオゲーム「Fortnite」(以下「請求人商品」という。)の制作を発表し(甲4の1)、当該ビデオゲームは2017年に公開、サービス開始された(甲10の2)。 ウ 請求人商品は、基本プレイ無料のフリートゥープレイ型サードパーソンシューティングゲームで、対応プラットフォームは、PlayStation 4、Nintendo Switch、Xbox One、iOS、Android、Windows、Macなどである(甲4の18)。 エ 請求人商品は、2018年3月に、日本語版がプレイステーション4及びPC向けに配信、販売が開始された(甲6の2、3)。 オ 請求人商品は、2017年のサービス開始から1年の間に、1億2,500万人超のプレイヤー数を記録し、我が国においては、2018年6月4日までの収益が1900万米ドル超あったとされる(甲10の2)。 カ 請求人商品は、「日本ゲーム大賞2018 年間作品部門」において、優秀賞を受賞した(甲4の19)。 キ 請求人商品は、我が国のインターネット上の記事情報やメディアなどにおいて、2011年12月から本件商標の登録出願日(平成30年(2018年)6月4日)までの間に、商品紹介や販売実績、イベントなどを紹介する記事が掲載されている(甲4の1~6、8、11、甲6の1~21)。 上記記事の中には、請求人商品について、「欧米国のマスメディアで「社会現象になっているゲーム」として紹介されるのは・・・『フォートナイト』であり、今年に入り人気の絶頂期を迎えている。」(甲4の3)、「2017年7月にアーリーアクセス版がリリースされた「Fortnite」・・・は、仲間と協力して異星人の襲撃を迎え撃つCo-opアクション。その後、「Battle Royle」モードが実装されると、飛躍的にプレイヤー数を伸ばし、一躍バトルロイヤルゲームの代表格に躍り出た。」(甲4の4)、「欧米で大人気のバトルロイヤルゲームが日本上陸!『フォートナイト』へようこそ!」(甲4の5)、「海外では以前から配信されており、同時接続数が340万人を記録するほどの超人気タイトルだ。」(甲4の6)、「『フォートナイト』の登録プレイヤー数が2億人を突破。「人口の多い国」世界6位を超える世界規模の現象に」(甲4の11)などと記載するものがある。 (2)上記認定事実によれば、請求人商品「Fortnite」は、我が国における2018年3月の日本語版の発売以降、本件商標の登録出願日までは約3ヶ月の販売実績があるところ、その発売以前から海外では配信、販売され、2017年頃から既にその配信開始や評判なども我が国で報道されており、我が国での配信は順調で、発売年の「日本ゲーム大賞2018 年間作品部門」の優秀賞も受賞していることなどを踏まえると、引用商標1及び引用商標2「FORTNITE」並びに引用商標3「フォートナイト」は、本件商標の登録出願時点で、我が国のビデゲーム産業における需要者、取引者の間においては、請求人の業務に係るビデオゲームと関連して、広く認識されていた商標と認められる。 他方、請求人商品は本件商標の登録出願日までは約3ヶ月程度の販売実績しかないから、ビデオゲーム以外の産業分野においてまで、業種横断的に広く知られているとは考えにくく、その周知著名性の範囲は限定的である。 3 商標法第4条第1項第15号該当性について (1)引用商標の周知著名性及び独創性の程度について 引用商標は、上記2(2)のとおり、我が国のビデオゲーム産業における需要者、取引者の間においては、請求人の業務に係るビデオゲームと関連して、広く認識されているとしても、その周知著名性の範囲は限定的である。 また、引用商標に相当する「FORTNITE」及び「フォートナイト」の文字は、我が国で親しまれた外来語ではないから、それら独創性の程度は高い。 (2)本件商標の指定商品及び指定役務と請求人の業務に係る商品及び役務との関連性の程度並びに取引者及び需要者の共通性について ア 本件商標の指定商品及び指定役務は、異議申立の確定登録により、その一部が取り消された結果、別掲1のとおりの商品及び役務となったところ、いずれもビデオゲーム制作又は配信事業者が製造、販売又は提供するような商品又は役務ではなく、引用商標の使用に係るビデオゲームと密接に関連するものではない。 加えて、本件商標の指定商品及び指定役務(現在のもの)は、様々な需要者層を含むとしても、少なくともビデオゲーム愛好者を主たる需要者とするものでない。 イ 引用商標の使用に係る商品及び役務は、「ビデオゲーム」や「ビデオゲームの提供」などの、ビデオゲーム制作又は配信事業者が製造、販売又は提供する商品又は役務であり、ビデオゲーム愛好者を主な需要者とするものである。 ウ そうすると、本件商標の指定商品及び指定役務(現在のもの)は、引用商標の使用に係る商品又は役務とは、その製造、販売又は提供する事業者を異にし、また、需要者層も相違するから、互いの関連性の程度は低い。 エ 請求人は、本件商標の指定商品・役務と引用商標の使用商品・役務とは一定の関連性があり、また、その取引者及び需要者は、いずれも一般の消費者であるといえ、需要者は共通している旨を主張する。 しかしながら、上記アのとおり、本件商標の指定商品及び指定役務(現在のもの)は、いずれもビデオゲーム制作又は配信事業者が製造、販売又は提供するような商品又は役務ではなく、引用商標の使用に係るビデオゲームと密接に関連するものではない。 (ア)例えば、本件商標の指定商品及び指定役務中、第9類「メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCDROM」は、楽器製造業者などが製造、販売する商品であり、ビデオゲーム制作又は配信事業者が製造、販売又は提供するような商品ではない。 (イ)本件商標の指定商品及び指定役務中、第16類「紙製包装用容器,家庭用食品包装フィルム,衛生手ふき,紙製タオル,紙製手ふき,紙製ハンカチ,型紙,紙製テーブルクロス,紙製のぼり,紙製旗,紙製荷札,書画,事務用又は家庭用ののり及び接着剤,製図用具,タイプライター」は、紙製容器製造業者、紙加工品製造業者、接着剤製造業者、事務用品製造業者などが製造、販売する商品であり、ビデオゲーム制作又は配信事業者が製造、販売又は提供するような商品ではない。 (ウ)本件商標の指定商品及び指定役務中、第28類「囲碁用具,将棋用具,手品用具,愛玩動物用おもちゃ,釣り具,昆虫採集用具」は、囲碁用品製造業者、将棋用品製造業者、釣り用具製造業者などが製造、販売する商品であり、ビデオゲーム制作又は配信事業者が製造、販売又は提供するような商品ではない。 (エ)本件商標の指定商品及び指定役務中、第35類に属する役務は、広告制作業者、経営コンサルタント、各種商品の小売業者(娯楽用具の小売業者などは除かれている。)などが提供する役務であり、ビデオゲーム制作又は配信事業者が製造、販売又は提供するような役務ではない。 (オ)本件商標の指定商品及び指定役務中、第41類に属する役務は、教育機関、スポーツ競技団体、娯楽業者などが提供する役務であるが、ビデオゲーム制作又は配信事業者が製造、販売又は提供するような役務は含まれていない。 (カ)本件商標の指定商品及び指定役務中、第43類「宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,動物の宿泊施設の提供,保育所における乳幼児の保育,高齢者用入所施設の提供(介護を伴うものを除く。),会議室の貸与,布団の貸与,業務用加熱調理機械器具の貸与,加熱器の貸与,調理台の貸与,流し台の貸与,カーテンの貸与,家具の貸与,壁掛けの貸与,敷物の貸与,タオルの貸与,家庭用電子レンジの貸与」は、旅行代理店、保育所、介護事業者などが提供する役務であり、ビデオゲーム制作又は配信事業者が製造、販売又は提供するような役務ではない。 (3)本件商標と引用商標の類似性の程度について 本件商標の指定商品及び指定役務は、上記(2)のとおり、ビデオゲームと密接に関連するものではないところ、それら商品及び役務に係る取引一般における認識を前提として、以下判断する。 ア 本件商標について 本件商標は、「FORTNIGHT」の欧文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、「2週間」の意味を有する英語(「ジーニアス英和辞典 第5版」大修館書店)ではあるが、我が国では親しまれた外来語ではない。 そして、本件商標の構成文字は、英語風に「フォートナイト」と発音できるところ、当該表音は、上記2(2)のとおり、我が国のビデオゲーム産業における需要者、取引者の間において広く認識されているビデオゲームの名称に通じる可能性があるとしても、ビデオゲームと密接に関連しない取引一般において請求人商品を直ちに想起させることは考えにくい。 そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して、「フォートナイト」の称呼を生じるが、特定の観念は生じない。 イ 引用商標について 引用商標1は、別掲2のとおり、「FORTNITE」の欧文字を横書きし、引用商標2は、別掲3のとおり、横長長方形枠内に「FOTNITE」の欧文字を白抜きで横書きし、引用商標3は、別掲4のとおり、「フォートナイト」の片仮名を横書きしてなるところ、いずれも一般的な辞書等に掲載されている外来語ではない。 また、上記の「FORTNITE」及び「フォートナイト」の文字部分は、上記アのとおり、ビデオゲームと密接に関連しない取引一般において請求人商品を直ちに想起させることは考えにくい。 そうすると、引用商標は、それぞれの構成文字に相応して、「フォートナイト」の称呼を生じるが、特定の観念は生じない。 ウ 本件商標と引用商標の比較 (ア)本件商標と引用商標1及び引用商標2とを比較すると、外観においては、その構成文字が、語頭の「FORTNI」の文字部分を共通にするとしても、語尾の「GHT」と「TE」の文字部分に差違を有し、全体としてはつづりが異なる語を表してなるから、外観において記憶される印象には差違がある。 また、称呼においては、「フォートナイト」の称呼を共通にする。 さらに、観念においては、いずれも特定の観念は生じないから、比較できない。 そうすると、本件商標と上記引用商標は、称呼を共通にするとしても、外観において記憶される印象には差違があり、観念は比較できないから、それらが与える印象、記憶、連想等を総合し全体的に考察すれば、一定程度の類似性があるとしても、その類似性の程度は高くはない。 (イ)本件商標と引用商標3とを比較すると、外観においては、構成文字及び文字種(欧文字と片仮名)が異なるから、区別できる。また、称呼においては、「フォートナイト」の称呼を共通にし、観念においては、いずれも特定の観念は生じないから、比較できない。 そうすると、本件商標と引用商標3は、称呼を共通にするとしても、外観において区別でき、観念は比較できないから、それらが与える印象、記憶、連想等を総合し全体的に考察すれば、類似性の程度は高くはない。 (4)混同を生ずるおそれについて 上記のとおり、引用商標は、我が国のビデオゲーム産業における需要者、取引者の間においては、請求人の業務に係るビデオゲームと関連して、広く認識されているとしても、その周知著名性の範囲は限定的であり、また、本件商標の指定商品及び指定役務は、引用商標の使用に係る商品又は役務とは関連性の程度は低く、需要者層も相違し、さらに、本件商標と引用商標は類似性の程度は高くはないことを踏まえると、本件商標は、その指定商品及び指定役務に使用したとしても、これに接する需要者は、引用商標又は請求人を連想、想起し、当該商品及び役務が請求人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品又は役務であるかのように、商品又は役務の出所について混同を生ずるおそれはない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 4 商標法第4条第1項第19号該当性について (1)請求人は、引用商標は、本件商標の登録出願時において、既に請求人のオンラインゲームについて世界的な周知著名性を獲得していたことを考慮すると、本件商標権者が引用商標の存在を知らなかったものとは考え難いこと、本件商標権者は2016年7月以降に160件の商標登録出願をしており、中にはゲーム会社の人気ゲームタイトルの名称及びその略称に類似する商標を剽窃的に出願したと思われるものがあることなどを指摘して、本件商標は、引用商標が世界的に周知著名であるにもかかわらず、我が国において登録されていないことを奇貨として、不正の利益を得る目的で、又はコンピュータゲームソフトウェアをはじめとする様々な商品・役務に使用することで請求人の周知著名な引用商標が有する信用や名声にただ乗り(フリーライド)する目的で登録出願されたものである旨を主張する。 しかしながら、上記3(4)のとおり、引用商標は、我が国のビデオゲーム産業における需要者、取引者の間においては、請求人の業務に係るビデオゲームと関連して、広く認識されている商標であるとしても、その著名性の範囲は限定的であり、また、本件商標の指定商品及び指定役務は、引用商標の使用に係る商品又は役務とは関連性の程度は低く、需要者層も相違し、本件商標と引用商標は類似性の程度は高くはないことを踏まえれば、その構成態様のみから、本件商標の指定商品及び指定役務に係る登録出願の目的を推し測ることは難しい。 加えて、請求人提出の証拠からは、本件商標権者が、多数の商標登録出願をしている事実関係は把握できる(甲12)としても、それらによって何らかの不正の利益を得たり、他人に損害を与えるなど、具体的な行為をしているような事実関係は確認できない。 そうすると、本件商標は、請求人提出の証拠からは、その指定商品及び指定役務に係る登録出願の目的は必ずしも明らかではなく、不正の利益を得る目的又は他人に損害を加える目的などの不正の目的をもって登録出願されたものとは認められない。 (2)以上のとおり、本件商標は、不正の目的をもって使用をするものとはいえないから、その他の要件について検討するまでもなく、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 5 まとめ 以上によれば、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号及び同項第19号の規定に違反してされたものではないから、同法第46条第1項第1号の規定により、無効とすることはできない。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-890068

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