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商標無効審判

2023-890058

マフィアアンドパズル、マフィアパズル

審判番号
2023-890058
法域
商標
審判種別
無効審判(無効の審決)
出願番号
商願2021-080360
登録番号
6531471
請求日
2023年07月19日
審決日
2025年05月21日
公報発行日
2025年12月26日
結論
請求成立(無効)
当事者
  • 【請求人】テイクツー インタラクティブ ソフトウェア インク
  • 【請求人代理人】稲葉 良幸
  • 【請求人代理人】田中 克郎
  • 【請求人代理人】石田 昌彦
  • 【請求人代理人】右馬埜 大地
  • 【請求人代理人】平井 沙恵子
  • 【被請求人】上海易娯網絡科技有限公司
審判長/審判官
  • 審判長 山田 啓之
  • 審判官 杉本 克治
  • 審判官 渡邉 あおい
分類
T111 .251-Z (W0941) / T111 .252-Z (W0941) / T111 .253-Z (W0941) / T111 .261-Z (W0941) / T111 .262-Z (W0941) / T111 .263-Z (W0941) / T111 .271-Z (W0941)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項第19号、商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の登録第6531471号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 登録第6531471号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6531471号商標(以下「本件商標」という。)は、「マフィア&パズル」の文字を標準文字で表してなり、令和3年6月28日に登録出願、第9類及び第41類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務(別掲1)を指定商品及び指定役務として、同4年2月14日に登録査定され、同年3月22日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 請求人が、本件審判の請求の理由において引用する登録第5375408号商標(以下「引用商標」という。)は、「MAFIA」の文字を標準文字で表してなり、平成20年10月17日に登録出願、第9類及び第41類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務(別掲2)を指定商品及び指定役務として、同22年12月10日に設定登録されたものであり、その商標権は、現に有効に存続している。 第3 請求人の主張 1 請求の趣旨 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第73号証(以下「甲第○号証」を「甲○」のように省略して表記する。)を提出した。 2 請求の理由(要旨) (1)引用商標の周知・著名性について ア 請求人について 請求人は、1993年に米国で創業されたゲームソフトメーカーの持ち株会社であって、請求人の関連会社は様々なゲームソフト及びその周辺機器の開発・販売事業を営んでいる。 請求人及びその関連会社は、世界各地に開発拠点を有し、請求人及びその関連会社が開発・販売を行っているゲームソフトは、国内外を問わず、取引者及び需要者に広く親しまれており、請求人は世界的ヒットゲームメーカーとして取引者及び需要者に広く知られている。 イ 請求人による引用商標の使用 請求人は、我が国を含む全世界でゲームソフト関連事業を展開しており、2002年には、大ヒットゲームシリーズ「MAFIA」の第1作目をリリースし、それ以来、現在に至るまで我が国を含む全世界でその事業について「MAFIA」の名称を継続して使用している。引用商標に係る「MAFIA」は、組織犯罪を題材としたクライムアクション・アドベンチャーゲームシリーズであり、傑作として高い評価を受けている。請求人の「MAFIA」シリーズは、PlayStation 4、PlayStation 3、PlayStation 2、XboxOne、Xbox 360、PCなどの代表的なハードウェアで提供されており、シリーズを通して、国内外を問わず、高い人気を博している。 第1作目である「MAFIA」は、2002年、チェコ共和国のゲーム製作会社Illusion Softworks, a.s.(現2K Czech, s.r.o.。以下「2K Czech社」という。)により開発され、請求人の子会社であるGathering of Developers, Inc.(以下「Gathering社」という。)により、北米及びヨーロッパにおいて発売された。本作は、2002年当初はWindows版のみが発売されたが、2004年にはPlayStation 2版及びXbox版も発売され、また、我が国においては、2003年に株式会社ズーより日本語Windows版が発売された。本作は、世界的なコンピュータゲーム用プラットフォームであるSTEAMにおいて現在も販売がされている(甲3)。 次作である「MAFIA II」は、2010年、請求人の孫会社である2K Czech社により開発され、請求人の子会社である2K Games Inc(以下「2K Games社」という。)により、北米、オーストラリア、ヨーロッパにおいて、PlayStation 3、Windows、Xbox 360向けに発売された。我が国においては、2010年、請求人の子会社であるテイクツー・インタラクティブ・ジャパン合同会社(以下「テイクツー社」という。)により、PS3、Xbox360、Windows向けに発売された。また、2010年、モバイル版の「Mafia II Mobile」もリリースされた。2011年にはMac OS X版が、2020年にはPlayStation 4、Xbox One版が全世界で発売された。本作は、STEAMにおいて現在も販売がされている(甲4)。 第3作目である「MAFIA III」は、2016年、請求人の孫会社であるHangar 13(以下「Hanger社」という。)により開発され、請求人の子会社である2K Games社により、PlayStation 4、Xbox One、Microsoft Windows向けに我が国を含む全世界で発売された。また、2016年、モバイル版の「Mafia III: Rivals」も発売された。2017年にはmacOS版が、2021年にはGoogle Stadia版が発売された。 その後、2020年には、第1作目「MAFIA」のリメイク作品として「Mafia: Definitive Edition」(邦題:マフィア コンプリート・エディション)が、請求人の関連会社であるHangar社により開発され、また、「MAFIA II」のリマスター作品として「Mafia II: Definitive Edition」(邦題:マフィアII コンプリート・エディション)が、D3T Ltdにより開発され、どちらも請求人の子会社である2K Games社により、PlayStation 4、Windows、Xbox One向けに発売された。また、2020年、「MAFIA」シリーズ全3作の完全版として、「Mafia: Definitive Edition」(邦題:マフィア コンプリート・エディション)、「Mafia II: Definitive Edition」(邦題:マフィアII コンプリート・エディション)及び「MAFIA III」のバージョンアップ版「Mafia III: Definitive Edition」(邦題:マフィアIII コンプリート・エディション)をまとめた「Mafia: Trilogy」(邦題:マフィア トリロジー)と題されたパック商品のデジタル版の配信及びパッケージ版の販売も開始された。これらの各作品及びパック版は、STEAMにおいて現在も販売されている(甲5~甲8)。 ウ 請求人の「MAFIA」商標の著名性 請求人がコンピュータゲームソフト、ビデオゲームソフト等について長年にわたって使用を行ってきた商標「MAFIA」は、その圧倒的な面白さから我が国及び外国の需要者及び取引者から熱烈な支持を受けており、我が国及び外国において広く知られるに至っている著名商標であって、需要者・取引者の間で広く知られるに至っている。 (ア)「MAFIA」シリーズの販売状況 第1作目「MAFIA」は、全世界で200万本以上の売上げを達成した(甲9)。「MAFIA III」は、全世界で700万本以上の売上げを達成した(甲10~甲13)。「Mafia: Trilogy」パックは、2020年11月までに全世界で200万セット以上を売り上げた(甲14~甲17)。全世界における「MAFIA」シリーズの累計販売本数は、2020年10月までに1,890万本に達している(甲18、甲19)。 なお、2010年以降に我が国で販売された「MAFIA」シリーズの本数は、「MAFIA」:23,761本、「MAFIA II」:21,176本、「MAFIA III」:225,348本、「Mafia Trilogy」:23,039本で、合計293,324本であり、30万本近くに達している。 以上より、請求人の「MAFIA」シリーズの存在は、我が国及び外国において広く浸透していることが分かる。 (イ)「MAFIA」シリーズのランキング等 「MAFIA」シリーズは、我が国及び外国において様々なランキングに名を連ねており、第1作目「MAFIA」は、米国のマーケットリサーチカンパニーであるThe NPD Group, Inc.が提供するコンピュータゲームの週間売上げランキングにおいて、初週6位を獲得した(甲20、甲21)。また、本作は、米国のテレビゲーム関連のニュースサイトであるGameSpotによる「2002年度ベストアンドワースト」において、コンピュータゲームの部でベストミュージック賞を獲得した(甲22、甲23)。 イギリスでは、本作は合計10万本以上を売り上げ、European Leisure Software Publishers Association(ELSPA)(現:The Association for UK Interactive Entertainment)のセールスアワードで銀賞を獲得した(甲24、甲25)。 ドイツにおいては、発売初週に4万本以上を売り上げ、また、ドイツ・オーストリア・スイスにおいて10万本以上を売り上げたことで、The Verband der Unterhaltungssoftware Deutschland(ドイツ・エンターテインメントソフトウェア協会)によるVUD-SALES-AWARDにおいて金賞を受賞した(甲26、甲27)。 「MAFIA III」は、イギリスにおいて、発売初週のセールスチャートで2位を獲得し(甲28~甲31)、我が国においては、発売初週に15,000本以上を売り上げ、週間ランキングにおいて9位を獲得した(甲32)。 イギリスの発売初週のセールスランキングにおいて、「Mafia: Definitive Edition」は3位を、「Mafia: Trilogy」は6位を獲得した(甲33~甲36)。 (ウ)「MAFIA」シリーズに関する記事 請求人の「MAFIA」シリーズは、その販売当初から現在に至るまで、ウェブサイトや雑誌等に記事として取り上げられている(甲37~甲60)。 (エ)「MAFIA」シリーズの広告宣伝 請求人は、世界三大ゲームショウと呼ばれるElectronic Entertainment Expo(E3)、gamescom、東京ゲームショウにおいて、「MAFIA」シリーズのブースを出展し、「MAFIA」シリーズを市場へ広く浸透させるために大々的な広告宣伝活動を行っている。 a E3におけるブース出展 E3は、米国のコンピュータゲーム産業の業界団体であるEntertainment Software Associationが、米国ロサンゼルスで開催する世界最大のコンピュータゲーム及びその関連製品等の見本市である。 請求人は、2010年及び2016年開催のE3において、「MAFIA」シリーズのブースを出展し、広告宣伝活動を行い(甲61、甲62)、請求人の出展に関し、インターネット上の記事として、2016年6月20日「Gamer」(甲63)に掲載されている。 b gamescomにおけるブース出展 gamescomは、ドイツの業界団体BIU(Bundesverband Interaktive Unterhaltungssoftware)が、ドイツで開催する欧州最大のコンピュータゲーム関連の見本市である。 請求人は、2009年及び2016年開催のgamescomにおいて、「MAFIA」シリーズのブースを出展し、広告宣伝活動を行い、請求人の出展に関し、インターネット上の記事として、2009年8月20日「4Gamer.net」(甲64)、同月23日「ファミ通.com」(甲65)、2016年8月18日「4Gamer.net」(甲66)に掲載されている。 c 東京ゲームショウにおけるブース出展 東京ゲームショウは、一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会が、東京で開催するアジア最大級のコンピュータゲーム及びコンピューターエンタテイメントの総合展示会である。 請求人は、2016年の東京ゲームショウにおいて、「MAFIA」シリーズのブースを出展し、広告宣伝活動を行い(甲67、甲68)、請求人の出展に関し、インターネット上の記事として、2016年9月8日「doope!」(甲69)、同日「ファミ通.com」(甲70)、同月13日「ファミ通.com」(甲71)、同月16日「ファミ通.com」(甲72)及び同月17日「4Gamer.net」(甲73)に掲載されている。 (オ)まとめ 上記のとおり、引用商標「MAFIA」は、請求人の継続的な営業努力等の結果、極めて多くのユーザーを獲得するに至り、多数のランキングにランクインし、メディアに紹介されるとともに、自らも積極的な広告宣伝を行うなどすることによって、非常に高い認知度を獲得し、周知著名なものとなっており、「MAFIA」は請求人の業務を表す商標として我が国及び外国において広く知られていることは明らかである。 してみると、引用商標は、本件商標の登録出願時である令和3年(2021年)6月28日当時はもちろんのこと、設定登録時である令和4年(2022年)3月22日当時においても、請求人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、我が国の取引者及び需要者間において広く認知されるに至っていた。 (2)本件商標と引用商標の類似性について 本件商標は、「マフィア」の片仮名、「&」の記号、「パズル」の片仮名を標準文字で書してなるものであるが、「マフィア&パズル」は既成語ではなく、複数の文字を組み合わせた結合商標を構成するものである。 そして、本件商標の文字部分の前半部をなす「マフィア」の片仮名と後半部の「パズル」の片仮名は、英語における接続詞「and」の略記号として一般に親しまれている「&」でつながれているものの、その意味内容において、なじまれた熟語的意味合いを有しているなど、密接あるいは自然なけん連性は全くなく、その他両者を常に一体のものとして把握しなければならない格別の事情も見当たらない。 むしろ、上記(1)ウのとおり、「MAFIA」の文字が、請求人が長年にわたって使用を継続し、我が国において周知著名なものになっているという取引の実情に鑑みれば、本件商標の構成中の、「マフィア」の片仮名部分こそが本件商標に接する取引者、需要者の脳裏に印象付けられ、商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える部分である。 その余の「&パズル」の文字部分のうち、「&」は、前後の語を単に結合するにすぎない記号と認められるものであるから、自他商品役務の識別機能を有さず、また、「パズル」の片仮名は、本件商標の指定商品又は指定役務中、例えば、第9類「コンピュータ用ゲームソフトウェア」、第41類「オンラインによるゲームの提供」との関係では、単に商品の品質又は役務の質を普通に用いられる方法で表す語というべきものである。 したがって、本件商標の文字部分のうち、「&パズル」の部分を除いた「マフィア」の片仮名部分が、自他商品役務の識別標識としての機能を果たす要部である。 これに対して、引用商標は、「MAFIA」の欧文字からなるところ、上記(1)ウのとおり、当該文字が、請求人によって長年にわたって使用を継続され、我が国において周知著名なものになっているという取引の実情に鑑みれば、引用商標からは、その構成文字に照応した「マフィア」の称呼とともに、「請求人であるテイクツー インタラクティブ ソフトウェア インク及びその関連会社の提供するゲームソフト又はゲームソフト関連サービス」に関連する商品又は役務を想起、連想する。 そして、本件商標と引用商標とを比較対照して観察すると、本件商標のうち、「マフィア」の片仮名部分が需要者に対し出所識別標識として強く支配的な印象を与える要部といえるのに対し、「&」部分が自他商品役務の識別機能を有しないこと、「パズル」部分が本件商標の指定商品又は指定役務との関係で、商品の品質又は役務の質を表すものであって、自他商品役務の識別機能を有しないことに照らすと、本件商標は、「マフィア」との称呼も生じるものといえ、引用商標の称呼「マフィア」と類似する。 次に、観念においても、本件商標は、請求人の周知・著名商標を含んでいるところから、「請求人であるテイクツー インタラクティブ ソフトウェア インク及びその関連会社の提供するゲームソフト又はゲームソフト関連サービス」に関連する商品又は役務を想起、連想する点において、引用商標と相当程度類似する。 さらに、外観については、本件商標の「マフィア」の部分は片仮名表記であるのに対し、引用商標は欧文字表記であり、外観において相違はあるものの、文字商標等において、片仮名表記の一部を欧文字表記にすることは一般に行われることであるから、上記の点は、本件における類否を判断するに当たり、重視されるべき要素ではない。 加えて、本件商標と引用商標とは、いずれも、ゲームソフト又はゲームソフト関連サービス等に関する業務を行うものと考えられるため、取引の実情に照らしても、極めて類似性が高いといえることに加え、その需要者は、一般消費者を含むものであり、特別高い注意力をもって常に商標に接するとはいえない点をも考慮すれば、本件商標は、引用商標と全体として類似していることは明らかであり、混同を生じさせるおそれが極めて高いものである。 (3)商標法第4条第1項第10号について 上記(1)及び(2)のとおり、本件商標は、その登録出願時及び登録査定時において、請求人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている引用商標と類似する商標である。 また、本件商標の指定商品及び指定役務中、第9類「コンピュータプログラム(記憶されたもの),コンピュータソフトウェア(記憶されたもの),コンピュータ用プログラム(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),コンピュータ用ゲームソフトウェア,移動電話用のコンピュータアプリケーションソフトウエア,バーチャルリアリティ用ヘッドセット」、第41類「娯楽の提供,会員制による教育・娯楽の提供,娯楽情報の提供,パーティの企画,レクリエーション情報の提供,オンラインによるゲームの提供,興行(歌劇・音楽会)の企画・運営,コスチュームプレイに関する娯楽イベントの運営及び企画」は、引用商標が使用される商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと同一又は類似の商品又は役務を指定商品又は指定役務とするものである。 よって、本件商標は、引用商標との関係において、本件商標の指定商品又は指定役務中、第9類「コンピュータプログラム(記憶されたもの),コンピュータソフトウェア(記憶されたもの),コンピュータ用プログラム(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),コンピュータ用ゲームソフトウェア,移動電話用のコンピュータアプリケーションソフトウエア,バーチャルリアリティ用ヘッドセット」、第41類「娯楽の提供,会員制による教育・娯楽の提供,娯楽情報の提供,パーティの企画,レクリエーション情報の提供,オンラインによるゲームの提供,興行(歌劇・音楽会)の企画・運営,コスチュームプレイに関する娯楽イベントの運営及び企画」について、商標法第4条第1項第10号に該当する。 (4)商標法第4条第1項第11号について 上記(2)のとおり、本件商標は、引用商標と類似する商標である。 また、本件商標の指定商品又は指定役務中、第9類「コンピュータプログラム(記憶されたもの),コンピュータソフトウェア(記憶されたもの),コンピュータ用プログラム(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),コンピュータ用ゲームソフトウェア,移動電話用のコンピュータアプリケーションソフトウエア,バーチャルリアリティ用ヘッドセット」、第41類「娯楽の提供,会員制による教育・娯楽の提供,娯楽情報の提供,パーティの企画,レクリエーション情報の提供,オンラインによるゲームの提供,興行(歌劇・音楽会)の企画・運営,コスチュームプレイに関する娯楽イベントの運営及び企画」は、引用商標の指定商品又は指定役務と同一又は類似のものである。 よって、本件商標は、引用商標との関係において、その指定商品又は指定役務中、第9類「コンピュータプログラム(記憶されたもの),コンピュータソフトウェア(記憶されたもの),コンピュータ用プログラム(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),コンピュータ用ゲームソフトウェア,移動電話用のコンピュータアプリケーションソフトウエア,バーチャルリアリティ用ヘッドセット」、第41類「娯楽の提供,会員制による教育・娯楽の提供,娯楽情報の提供,パーティの企画,レクリエーション情報の提供,オンラインによるゲームの提供,興行(歌劇・音楽会)の企画・運営,コスチュームプレイに関する娯楽イベントの運営及び企画」について、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (5)商標法第4条第1項第15号について 商標法第4条第1項第15号は、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標については、商標登録を受けることができない旨規定する。 ア 本件商標と引用商標との類似性の程度について 本件商標「マフィア&パズル」は、「マフィア」の片仮名、「&」の記号、「パズル」の片仮名を標準文字で書してなるものであるが、「マフィア」の片仮名と「パズル」の片仮名は、英語における接続詞「and」の略記号として一般に親しまれている「&」でつながれているものであるが、これは既成語ではなく、なじまれた熟語的意味合いを有しないものであり、「マフィア」の片仮名と「パズル」の片仮名との間に、切り離せない密接な関連性があるということはできない。 むしろ、本件商標の構成に含まれる「マフィア」の片仮名が、上記(1)ウのとおり、我が国において周知・著名な商標「MAFIA」を片仮名表記したものであることに鑑みれば、これに接する需要者・取引者をして、本件商標が「マフィア」の片仮名を顕著に含むことを容易に理解させるだけでなく、これが特に注目されて、強く印象付けられる。 また、本件商標の「マフィア」の片仮名部分が需要者に対し出所識別標識として強く支配的な印象を与える要部といえるのに対し、その余の「&パズル」のうち、「&」部分が自他商品役務の識別機能を有しないこと、また、「パズル」片仮名部分が本件商標の指定商品又は指定役務との関係で、商品又は役務の品質又は質を表すものであって、自他商品役務の識別機能を有しないことに照らすと、本件商標は「マフィア」の称呼が生じるものといえる。 そうすると、本件商標と引用商標とは、「マフィア」の称呼を共通にするのみならず、「請求人であるテイクツー インタラクティブ ソフトウェア インク及びその関連会社の提供するゲームソフト及びゲームソフト関連サービス」に関連する商品又は役務を想起、連想させるから、観念上も、引用商標と類似する。 よって、本件商標と引用商標との類似性は高いといわなければならない。 イ 引用商標の周知著名性及び独創性の程度について 引用商標の著名性は、上記(1)ウのとおり、極めて高い。 ウ 本件商標と引用商標の指定商品等の性質等における関連性の程度について 上記(2)のとおり、本件商標の商標権者と請求人は、いずれもゲームソフト及びゲームソフト関連サービス等に関する業務を行うものと考えられる。 よって、引用商標の指定商品又は指定役務に係る商品又は役務は、上記(1)イに述べた請求人の商品又は役務と実質的に同一の商品又は役務といえるほど、関連性が強い。 エ 需要者・取引者の共通性その他の取引の実情 本件商標の商標権者の取引者・需要者は、紛れもなく、ゲームソフトの利用者やゲームソフト関連サービスの利用者となる。 そして、請求人も、ゲームソフトやゲームソフト関連サービス等を提供しており、ゲームソフト・ゲームソフトの関連サービスを利用する者をターゲットとしているのであるから、本件商標と引用商標の取引者・需要者は完全に同じとなる。 なお、前記したように、本件商標の商標権者の需要者等は、ゲームソフト、ゲームソフト関連サービス等の利用者であり、老若男女を含む一般消費者であって、その注意力の程度は決して高くはない。 請求人が、「MAFIA」、「MAFIA II」、「MAFIA III」といった「MAFIA」関連のシリーズものを商品展開しているという取引の実情(甲3~甲8)から、本件商標をゲームソフトやゲームソフト関連サービス等に使用した場合には、請求人のマフィアシリーズの商品の1つであると需要者等が誤認するおそれがある。 オ まとめ 以上のとおり、本件商標は、その出願時及び登録査定時において、請求人の業務に係る商品又は役務と混同を生じるおそれがある商標であるから、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。 (6)商標法第4条第1項第19号について 引用商標が我が国及び外国の需要者間で広く知られた商標であること、さらに、本件商標がその著名な引用商標と類似する商標であることは、上記(1)ウ及び(2)のとおりであり、本件商標が不正の目的で使用されるものか否かが問題となる。 この点、請求人とは何らの関係を有しない他人が著名な引用商標と類似する本件商標を採択することは、本来自らの営業努力によって得るべき業務上の信用を、著名商標に化体した信用にただ乗り(フリーライド)することによって得ようとするものであり、同時に、著名商標「MAFIA」に化体した莫大な価値を希釈化させるおそれがある。 してみると、本件商標は不正の目的をもって使用をするものということができる。 以上より、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。 第4 被請求人の答弁 被請求人は、請求人の主張に対し、何ら答弁していない。 第5 当審の判断 1 利害関係について 請求人が本件審判を請求する利害関係を有することについては、当事者間に争いがなく、当審は請求人が本件審判を請求する利害関係を有するものと認める。 2 引用商標の周知著名性について (1)請求人の提出証拠及び主張によれば、以下の事実が認められる。 ア 請求人は、1993年に米国で創業されたゲームソフトウェアメーカーの持ち株会社であって、同人の関連会社は、様々なゲームソフトウェア及びその周辺機器の開発・販売事業を全世界で展開している(請求人の主張)。 イ 請求人は、2002年に、ゲームソフトウェアである「MAFIA」の第1作目を、請求人の子会社(Gathering社)により、北米及びヨーロッパにおいて、Windows版で発売し、2004年にはPlayStation 2版及びXbox版も発売した。我が国においては、2003年に、株式会社ズーから日本語Windows版を発売し、現在もSTEAMにおいて販売している(請求人の主張、甲3)。 ウ 請求人は、2010年に、第2作目の「MAFIA II」を、請求人の子会社(2K Games社)により、北米、オーストラリア、ヨーロッパにおいて、PlayStation 3、Xbox360、Windows向けに発売した。我が国においては、2010年、請求人の子会社(テイクツー社)から発売し、同年にモバイル版も発売した。その後、2011年にはMac OS X版を、2020年にはPlayStation 4、 Xbox One版を全世界で発売し、現在もSTEAMにおいて販売している(請求人の主張、甲4)。 エ 請求人は、2016年に、第3作目の「MAFIA III」を、請求人の子会社(2K Games社)により、我が国を含む全世界において、PlayStation 4、Xbox One、Microsoft Windows向けに発売し、同年には、モバイル版も発売した。その後、2017年にはmacOS版を、2021年にはGoogle Stadia版を発売した(請求人の主張)。 オ 請求人は、2020年に、第1作目「MAFIA」のリメイク作品「Mafia: Definitive Edition」(邦題:マフィア コンプリート・エディション)及び第2作目「MAFIA II」のリマスター作品「Mafia II: Definitive Edition」(邦題:マフィアII コンプリート・エディション)を、請求人の子会社(2K Games社)により、PlayStation 4、Windows、Xbox One向けに発売した。また、同年に、第1作目から第3作目までの「MAFIA」全3作(以下「「MAFIA」シリーズ」という。)の完全版「Mafia: Definitive Edition」(邦題:マフィア コンプリート・エディション)、「Mafia II: Definitive Edition」(邦題:マフィアII コンプリート・エディション)及び「MAFIA III」のバージョンアップ版「Mafia III: Definitive Edition」(邦題:マフィアIII コンプリート・エディション)をまとめたパック版「Mafia: Trilogy」(邦題:マフィア トリロジー)のデジタル版の配信及びパッケージ版の販売も開始し、これらの各作品及びパック版は、現在もSTEAMにおいて販売している(甲5~甲8)。 カ 第1作目「MAFIA」の売上げは、全世界で200万本以上(甲9)、第3作目「MAFIA III」の売上げは、全世界で700万本以上(甲10~甲13)、パック版「Mafia: Trilogy」の売上げは、2020年11月までに全世界で200万セット以上(甲14~甲17)である。全世界における「MAFIA」シリーズの累計販売本数は、2020年10月までに1,890万本である(甲18、甲19)。 キ 2010年以降に我が国で販売された「MAFIA」シリーズの本数は、「MAFIA」が23,761本、「MAFIA II」が21,176本、「MAFIA III」が225,348本、「Mafia Trilogy」が23,039本で、合計293,324本である(請求人の主張)。 ク 第1作目「MAFIA」は、米国のマーケットリサーチカンパニーであるThe NPD Group, Inc.が提供するコンピュータゲームの週間売上げランキングにおいて、初週6位であり(甲20、甲21)、本作は、米国のテレビゲーム関連のニュースサイトであるGameSpotによる「2002年度ベストアンドワースト」において、コンピュータゲームの部でベストミュージック賞を受賞した(甲22、甲23)。イギリスでは、本作は合計10万本以上を売り上げ、European Leisure Software Publishers Association(ELSPA)(現:The Association for UK Interactive Entertainment)のセールスアワードで銀賞を受賞した(甲24、甲25)。ドイツにおいては、発売初週に4万本以上を売り上げ、また、ドイツ・オーストリア・スイスで10万本以上を売り上げたことで、The Verband der Unterhaltungssoftware Deutschland(ドイツ・エンターテインメントソフトウェア協会)によるVUD-SALES-AWARDにおいて金賞を受賞した(甲26、甲27)。 ケ 第3作目「MAFIA III」は、イギリスにおいて、発売初週のセールスチャートで2位であり(甲28~31)、我が国においては、発売初週に15,000本以上を売り上げ、週間ランキングにおいて9位であった(甲32)。 コ 「Mafia: Definitive Edition」は、イギリスの発売初週のセールスランキングにおいて3位であり、「Mafia: Trilogy」はイギリスの発売初週のセールスランキングにおいて6位であった(甲33~甲36)。 サ 「MAFIA」シリーズは、ウェブサイトや雑誌等に記事として取り上げられている(甲37~甲60)。 シ 請求人は、広告宣伝活動として、2010年及び2016年のElectronic Entertainment Expo(E3)(米国ロサンゼルス開催)、2009年及び2016年のgamescom(ドイツ開催)及び2016年の東京ゲームショウ(東京開催)において、「MAFIA」シリーズのブースを出展し、これら出展は、インターネット上の記事に掲載されている(甲63~甲66、甲69~甲73)。 (2)上記認定事実によれば、請求人は、「MAFIA」の名称を使用したゲームソフトウェアの第1作目「MAFIA」を2002年に発売して以降、2020年までに第2作目「MAFIA II」、第3作目「MAFIA III」を海外及び我が国において発売、これらのほか、リメイク作品、完全版等も発売し、全世界における「MAFIA」シリーズの累計販売本数は、2020年10月までに1,890万本、イギリス、ドイツにおいては、第1作目「MAFIA」を10万本以上売り上げたことにより、賞を受賞している。 また、2010年以降に我が国で販売された「MAFIA」シリーズの本数は29.3万本であり、第3作目「MAFIA III」は、発売初週に15,000本以上を売り上げ、週間ランキング9位であった。 さらに、「MAFIA」シリーズは、2010年から2021年までの間に、我が国のウェブサイトや雑誌等に多数記事として取り上げられている。 これらの事実を総合すれば、「MAFIA」シリーズに使用、表示されている引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、請求人の業務に係る商品(ゲームソフトウェア)を表示するものとして我が国の需要者の間に広く認識され、周知な商標となっていたと認められる。 3 商標法第4条第1項第10号について (1)引用商標の周知性について 上記2のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、請求人の業務に係る商品(ゲームソフトウェア)を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたものと認められる。 (2)本件商標と引用商標の類否について ア 本件商標について 本件商標は、上記第1のとおり、「マフィア&パズル」の文字を標準文字で表してなるところ、中間に「&」の記号を有してなることから、「マフィア」と「パズル」の文字部分からなると容易に認識されるものであり、視覚的にもそのように看取されるものである。 また、本件商標の構成中の「マフィア」、「&」及び「パズル」の各文字及び記号は、それぞれ、「犯罪組織」、「二つの語句を接続する語。」及び「なぞ解き。」の意味を有するいずれも親しまれた語であるところ(いずれも「デジタル大辞泉」)、本件商標全体として親しまれた意味合いを表す熟語等を表したものとはいえない。 そして、本件商標は、その構成中、「&」の記号が、2つの語句を接続する語として一般に用いられる記号であるから、本件商標は、「マフィア」の文字と「パズル」の文字とを「&」を介して結合させたものと容易に認識されるものである。 さらに、本件商標の構成中「マフィア」の文字部分は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、請求人の業務に係る商品(ゲームソフトウェア)、すなわち、本件商標の指定商品中の「コンピュータ用ゲームソフトウェア」を表示するものとして需要者の間に広く認識されていた「MAFIA」の文字からなる引用商標と、同一の称呼を生じるものであるから、本件商標の構成において目を引く部分といえる。 また、本件商標の構成中「パズル」の文字部分は、本件商標の指定商品中の「コンピュータ用ゲームソフトウェア」や指定役務中の「娯楽の提供,会員制による教育・娯楽の提供,娯楽情報の提供,パーティの企画,レクリエーション情報の提供,オンラインによるゲームの提供」との関係においては、商品の品質又は役務の質(内容)を表す語と理解されるものであって、自他商品及び自他役務の識別力が弱いものと認められるから、本件商標の構成において、目を引く部分とはいえない。 そうすると、本件商標は、その構成中の「マフィア」の文字部分が取引者又は需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるといえる。 してみると、本件商標は、その構成中「マフィア」の文字部分だけを取り出して、この部分だけを他人の商標と比較し、商標そのものの類否を判断することが許されるというべきである。 したがって、本件商標は、構成全体から生じる「マフィアアンドパズル」の称呼のほかに、本件商標の指定商品及び指定役務中「コンピュータ用ゲームソフトウェア」や「娯楽の提供,オンラインによるゲームの提供」等との関係では、その構成中「マフィア」の文字に相応して「マフィア」の称呼及び「犯罪組織」の観念が生じ、また、当該文字は請求人の業務に係る商品(ゲームソフトウェア)を表示するものとして周知である「MAFIA」と同一の称呼が生じる語であるから、「請求人の業務に係る商品(ゲームソフトウェア)の名称」の観念をも生じるものである。 イ 引用商標について 引用商標は、上記第2のとおり、「MAFIA」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、「犯罪組織」の意味を有する親しまれた語であり(「デジタル大辞泉」)、また、当該文字は、上記2のとおり、請求人の業務に係る商品(ゲームソフトウェア)を表示するものとして周知である。 したがって、引用商標は、その構成文字に相応して「マフィア」の称呼及び「犯罪組織」の観念が生じるほか、「請求人の業務に係る商品(ゲームソフトウェア)の名称」の観念をも生じるものである。 ウ 本件商標と引用商標との比較について 本件商標の要部である「マフィア」と引用商標「MAFIA」とは、その文字種が片仮名であるか欧文字であるかの相違にとどまり、このような文字種の変換が行われることは一般的であるから、外観において近似するものといえる。 また、上記ア及びイのとおり、本件商標と引用商標は、いずれも「マフィア」の称呼を生じ、また、「犯罪組織」及び「請求人の業務に係る商品(ゲームソフトウェア)の名称」の観念を生じるものである。 そうすると、本件商標と引用商標とは、外観において近似し、称呼及び観念において同一であるから、互いに紛れるおそれのある類似の商標というべきである。 (3)本件商標の指定商品及び指定役務と引用商標の使用に係る商品の類否について 本件商標の指定商品及び指定役務中「コンピュータプログラム(記憶されたもの),コンピュータソフトウェア(記憶されたもの),コンピュータ用プログラム(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),コンピュータ用ゲームソフトウェア,移動電話用のコンピュータアプリケーションソフトウエア,バーチャルリアリティ用ヘッドセット」は、引用商標を使用する商品(ゲームソフトウェア)と、同一又は類似の商品である。 (4)小括 以上のとおり、本件商標は、請求人の業務に係る商品(ゲームソフトウェア)に使用されて需要者の間において広く認識されるに至った引用商標と類似する商標であって、その商品に類似する商品に使用をするものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当する。 4 商標法第4条第1項第11号について (1)本件商標と引用商標の類否について ア 本件商標について 本件商標は、上記第1のとおり、「マフィア&パズル」の文字を標準文字で表してなるところ、上記3(2)アのとおり、その構成中の「マフィア」の文字部分が取引者又は需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるといえるから、当該文字部分だけを取り出して、他人の商標と比較し、商標そのものの類否を判断することが許されるというべきである。 したがって、本件商標は、構成全体から生じる「マフィアアンドパズル」の称呼のほかに、本件商標の指定商品及び指定役務中「コンピュータ用ゲームソフトウェア」や「娯楽の提供,オンラインによるゲームの提供」等との関係では、その構成中「マフィア」の文字に相応して「マフィア」の称呼及び「犯罪組織」の観念が生じ、また、当該文字は請求人の業務に係る商品(ゲームソフトウェア)を表示するものとして周知である「MAFIA」と同一の称呼が生じる語であるから、「請求人の業務に係る商品(ゲームソフトウェア)の名称」の観念をも生じるものである。 イ 引用商標について 引用商標は、上記第2のとおり、「MAFIA」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、「犯罪組織」の意味を有する親しまれた語であり(「デジタル大辞泉」)、また、当該文字は、上記2のとおり、請求人の業務に係る商品(ゲームソフトウェア)を表示するものとして周知である。 したがって、引用商標は、その構成文字に相応して「マフィア」の称呼及び「犯罪組織」の観念が生じるほか、「請求人の業務に係る商品(ゲームソフトウェア)の名称」の観念をも生じるものである。 ウ 本件商標と引用商標との比較について 本件商標の要部である「マフィア」と引用商標「MAFIA」とは、その文字種が片仮名であるか欧文字であるかの相違にとどまり、このような文字種の変換が行われることは一般的であるから、外観において近似するものといえる。 また、上記ア及びイのとおり、本件商標と引用商標は、いずれも「マフィア」の称呼を生じ、また、「犯罪組織」及び「請求人の業務に係る商品(ゲームソフトウェア)の名称」の観念を生じるものである。 そうすると、本件商標と引用商標とは、外観において近似し、称呼及び観念において同一であるから、その外観、称呼及び観念によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合すると、両者は、商品又は役務の出所について誤認混同を生じさせるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。 (2)本件商標の指定商品及び指定役務と引用商標の指定商品及び指定役務の類否について 本件商標の指定商品中、第9類「コンピュータプログラム(記憶されたもの),コンピュータソフトウェア(記憶されたもの),コンピュータ用プログラム(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),コンピュータ用ゲームソフトウェア,移動電話用のコンピュータアプリケーションソフトウエア,バーチャルリアリティ用ヘッドセット」及び第41類「娯楽の提供,会員制による教育・娯楽の提供,娯楽情報の提供,パーティの企画,レクリエーション情報の提供,オンラインによるゲームの提供,興行(歌劇・音楽会)の企画・運営,コスチュームプレイに関する娯楽イベントの運営及び企画」は、引用商標の指定商品及び指定役務と、同一又は類似の商品及び役務である。 (3)小括 以上によれば、本件商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、本件商標の指定商品及び指定役務は、引用商標の指定商品又は指定役務と同一又は類似の商品及び役務を包含しているから、商標法第4条第1項第11号に該当する。 5 商標法第4条第1項第15号について (1)引用商標の周知著名性について 上記2のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、請求人の業務に係る商品(ゲームソフトウェア)を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたものと認められるから、引用商標の周知著名性の程度は高いといえる。 (2)本件商標と引用商標の類似性の程度について 上記3のとおり、本件商標は引用商標と類似するものであるから、本件商標と引用商標との類似性の程度は高いといえる。 (3)引用商標の独創性の程度について 引用商標「MAFIA」は、我が国において親しまれた英語であるから、その独創性の程度は高いとはいえない。 (4)本件商標の指定商品及び指定役務と請求人の業務に係る商品(ゲームソフトウェア)との関連性の程度並びに取引者及び需要者の共通性について 本件商標の指定商品及び指定役務は、コンピュータゲームに関連する商品又は役務であることから、請求人の業務に係る商品(ゲームソフトウェア)との関連性の程度は高く、取引者及び需要者を共通にするものである。 (5)出所の混同のおそれについて 上記(1)ないし(4)のとおり、引用商標の独創性の程度は高いとはいえないものの、引用商標の周知著名性の程度は高く、本件商標と引用商標との類似性の程度も高く、本件商標の指定商品及び指定役務と請求人の業務に係る商品(ゲームソフトウェア)との関連性の程度も高く、それらの取引者及び需要者を共通にすることからすると、本件商標は、これをその指定商品及び指定役務に使用する場合には、これに接する需要者が、引用商標を連想、想起し、当該商品及び役務が請求人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生じるおそれがあるものというべきである。 (6)小括 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 6 商標法第4条第1項第19号について 上記2のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、請求人の業務に係る商品(ゲームソフト)を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたものと認められるものの、請求人が提出した証拠からは、商標権者が不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって本件商標を登録出願し、登録を受けたと認めるに足る具体的事実を見いだすことはできない。 そうすると、本件商標は、引用商標の周知著名性へのただ乗りをする等、不正の目的をもって使用されるものであるということはできない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 7 まとめ 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第19号には該当しないものの、その指定商品及び指定役務中、第9類「コンピュータプログラム(記憶されたもの),コンピュータソフトウェア(記憶されたもの),コンピュータ用プログラム(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),コンピュータ用ゲームソフトウェア,移動電話用のコンピュータアプリケーションソフトウエア,バーチャルリアリティ用ヘッドセット」について、同項第10号に該当し、その指定商品及び指定役務中、第9類「コンピュータプログラム(記憶されたもの),コンピュータソフトウェア(記憶されたもの),コンピュータ用プログラム(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),コンピュータ用ゲームソフトウェア,移動電話用のコンピュータアプリケーションソフトウエア,バーチャルリアリティ用ヘッドセット」及び第41類「娯楽の提供,会員制による教育・娯楽の提供,娯楽情報の提供,パーティの企画,レクリエーション情報の提供,オンラインによるゲームの提供,興行(歌劇・音楽会)の企画・運営,コスチュームプレイに関する娯楽イベントの運営及び企画」については、同項第11号に該当し、仮にこれらに該当しないとしても同項第15号に該当する。 また、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第9類「電子出版物(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる画像ファイル,アニメーションを内容とする記録済み媒体及び動画ファイル」及び第41類「ゲーム用具の貸与」について、商標法第4条第1項第15号に該当する。 そうすると、本件商標の登録は、商標法第4条第1項の規定に違反してされたものであるから、同法第46条第1項の規定に基づき、無効とすべきである。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-890058

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