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商標無効審判

2023-890049

ゲキメツ

審判番号
2023-890049
法域
商標
審判種別
無効審判(無効の審決)
出願番号
商願2019-019085
登録番号
6403702
請求日
2023年06月27日
審決日
2024年03月27日
公報発行日
2024年06月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】アース製薬 株式会社
  • 【請求人代理人】田中 克郎
  • 【請求人代理人】中村 勝彦
  • 【請求人代理人】佐藤 俊司
  • 【請求人代理人】関川 淳子
  • 【請求人代理人】小林 奈央
  • 【被請求人】フマキラー 株式会社
  • 【被請求人代理人】柴田 昭夫
審判長/審判官
  • 審判長 高野 和行
  • 審判官 豊瀬 京太郎
  • 審判官 板谷 玲子
分類
T111 .25 -Y (W0521) / T111 .261-Y (W0521) / T111 .262-Y (W0521) / T111 .263-Y (W0521) / T111 .271-Y (W0521)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法4条1項10号商標法4条1項11号商標法4条1項15号商標法46条1項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号、商標法第46条第1項第1号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の登録第6403702号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6403702号商標(以下「本件商標」という。)は、「激滅」の漢字を標準文字で表してなり、平成31年1月31日に登録出願、第5類「薬剤」及び第21類「ねずみ取り器,はえたたき,ハチ捕獲器,ゴキブリ捕獲器,その他の害虫捕獲器」を指定商品として、令和3年5月25日に登録審決され、同年6月17日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 1 請求人が、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録第263594号の2商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、昭和9年8月4日に登録出願、第1類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同10年3月26日に設定登録され、その後、平成17年8月10日に指定商品を第5類「駆虫剤,殺虫剤」とする指定商品の書換登録がされたものであって、その商標権は現に有効に存続しているものである。 2 請求人が、本件商標は商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に該当するとして引用する商標(以下「引用商標2」という。)は、「撃滅」の漢字からなり、同人が「殺虫剤、防虫剤」などについて使用し、需要者の間に広く認識されているとするものである。 第3 請求人の主張 請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第86号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 請求の理由 本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第10号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は商標法第46条第1項第1号によって無効とされるべきである。 2 具体的な理由 (1)商標法第4条第1項第11号について ア 本件商標と引用商標1の類否について 本件商標と引用商標1の類否について、最高裁判所の昭和43年2月27日第三小法廷判決(甲4)が示した判断要素に基づいて、以下検討する。 (ア)本件商標の称呼・観念・外観 本件商標は、「激滅」の漢字からなるところ、これより「ゲキメツ」との称呼を生じる。 「激滅」を構成する「激」と「滅」の文字は、いずれもよく知られた文字であり、かつ一般人にとって観念を容易に想起し得る漢字である。そして、2文字程度の漢字を組み合わせた単語について、これを構成する文字からその意味を理解することも通常のことであるから、本件商標からは、「激」と「滅」から生じる観念を組み合わせた「激しく滅ぼすこと」「急激に絶やしてしまう」といった観念を生じる。この点、本件商標に係る審決(不服2020-13960)においては、本件商標が辞書等に掲載のないものであることから特定の観念(意味合い)を生じさせないものと認定しているが、これは漢字が表意文字であることを看過したものであり、本件商標は「激」と「滅」という広く一般に親しまれている漢字から構成されているものであるから、「激しく滅ぼすこと」といった観念が容易に生じ得ることは明らかである。加えて、本件商標の指定商品が第5類「薬剤」及び第21類「ねずみ取り器、はえたたき、ハチ捕獲器、ゴキブリ捕獲器、その他の害虫捕獲器」であることを考慮するならば、害虫や人体に害を与えるようなものを徹底的に絶やしてしまう、といった観念を容易に生じさせるものということができる。 (イ)引用商標1の称呼・観念・外観 引用商標1は、「撃滅」(審決注:引用商標1の「撃」の文字は旧字体で表されているが、本審決においてはそれを新字体の「撃」と表すこととする。)の漢字を手書き風の書体で縦書きし、その右側に「ゲキメツ」の片仮名を手書き風の書体で、また左側には「げきめつ」の平仮名を手書き風の書体で縦書きしてなり「ゲキメツ」との称呼を生じる。 当該文字は、先頭の文字が「撃」の旧字体であることは顕著であるから、「うちほろぼすこと。」を意味する語であって、そのような観念を生じるものである。 (ウ)本件商標と引用商標1の類否 まず、上記(ア)及び(イ)のとおり、本件商標と引用商標1とは「ゲキメツ」の称呼を共通にするものである。 また、観念についてみると、本件商標が「激しく滅ぼすこと。」であるのに対し、引用商標1は「うちほろぼすこと。」であって、格別な差異は存在しない。さらに、本件商標の「激滅」のうち先頭の「激」は「勢いが強いさま」という意味を有する(甲5)のに対し、引用商標1の「撃滅」のうち同じく先頭の「撃」の文字は「強くたたく」「ぶち当たる」という意味を有すること(甲6)や、本件商標の「激滅」及び引用商標1の「撃滅」の二文字目がいずれも「滅」の文字で共通することからすれば、本件商標及び引用商標1は近似した印象を与えるものであり、それぞれ取引者、需要者に与える印象ないし連想は共通している。この点、実際、「撃滅」と表示するところを誤って「激滅」と表示している例は散見されており(例えば、甲7~甲10)、かかる事実は、本件商標と引用商標1が観念においても相紛れることを端的に示すものである。また、本件商標及び引用商標1の各指定商品にそれぞれが使用された場合には、いずれも、害虫のようなものを徹底的に絶やしてしまうといった観念を生じさせるものと考えられる。 そして、外観についてみると、まず、本件商標が横書きであるのに対し、引用商標1が縦書きであるという相違については、漢字から構成される商標の横書きと縦書きとを相互に変更することは一般に行われることであって、その差異が強く印象に残ることはない。また、両商標は、そのうち「撃」と「激」の各文字及び書体において相違するものではあるものの、後述する取引の実情も併せ鑑みればなおのこと、これらの外観における相違は、両商標における称呼及び観念の共通性を凌駕するほどのものではないことは明らかであり、このことは、上述したとおり「撃滅」と表示するところを誤って「激滅」と表示している例が散見されることからも裏付けられる。 (エ)取引の実情 a 指定商品の需要者 本件商標及び引用商標1の指定商品は「薬剤」とりわけそのうちの「駆虫剤、殺虫剤」において、同一又は類似するものであるところ、このような、いわゆる「虫ケア用品(殺虫剤・防虫剤)」(甲74)の単価は1,000円前後と比較的安価なものが多く、また、その需要者も一般消費者であるため、通常、需要者において虫ケア用品を慎重に選択するものとはいえない。 また、マスメディアの発達している現在においては、活字媒体である新聞、雑誌に限らず、音声・映像の複合媒体であるテレビ、ラジオによる広告、宣伝が大々的に行われているのが実情であり、これは虫ケア用品等の商品についても例外となるものではない。したがって、これらの広告、宣伝に接した一般消費者は、音声を媒体とする記憶に残った商標より生ずる称呼を頼りに商品を購入することも十分にあり得る。 b 「撃滅シリーズ商品」の周知性 (a)請求人の撃滅シリーズ商品(甲11) 請求人は、請求人が製造販売する「アースガーデン」という園芸用の殺虫剤・除草剤・動物忌避剤等を扱うブランドにおいて、2017年1月以降、「撃滅」との文字からなる商標をその商品名や商品ラベル等に使用した虫ケア用品(以下「撃滅シリーズ商品」と総称する。)を広く展開しており、毎年、新しい撃滅シリーズ商品を発売し、現在まで合計26種類のシリーズラインナップを擁している(甲12~甲37)。 (b)撃滅シリーズ商品の販売実績(甲11) 請求人の撃滅シリーズ商品は、主としてホームセンターやドラッグストアなどで全国的に取り扱われている。取扱い店舗数については、例えば、2017年に発売された「クモの巣撃滅」の同年における取扱い店舗数は7,789店舗、2018年に発売された「シロアリ撃滅」及び「シロアリの巣撃滅」の同年における取扱い店舗数は、それぞれ2,012店舗、1,325店舗である。これらの店舗のほか、インターネット通信販売サイトでも撃滅シリーズ商品は広く販売されている。 2017年の発売以来、撃滅シリーズ商品は、同年が7,000万円、2018年が1.2億円、2019年が3.1億円、2020年が6億円、2021年が8.6億円と、毎年大幅に販売金額を伸ばしており、その年平均成長率は84.2%にも上る。特に、2018年から2019年にかけては、撃滅シリーズ商品の販売金額が前年の2倍を優に超える程飛躍的に売上げが伸びている。 また、2021年における撃滅シリーズ商品の販売金額は、2021年における園芸不快害虫製剤市場全体の合計販売金額(52億円)のうち、16.5%ものシェアを占めるに至っている。 (c)撃滅シリーズ商品の宣伝広告実績(甲11) 請求人は、新たな撃滅シリーズ商品が発売される度に、ニュースリリースを出したり(甲38)、株式会社PR TIMESが運営するプレスリリース・ニュースリリース配信サービスである「PR TIMES」にニュースリリースを投稿するなどして(甲39)、新商品の情報を拡散させてきた。その結果、撃滅シリーズ商品の発売は、全国紙である日本経済新聞、産経新聞及び毎日新聞の各ウェブ版(甲40)やその他のニュースサイトでも取り上げられている(甲41)。このようにして請求人は、撃滅シリーズ商品を積極的に世に知らしめてきた。 加えて、請求人は、撃滅シリーズ商品の需要者に含まれる園芸を行う消費者、あるいは園芸に興味のある消費者に対して、相応の広告宣伝費をかけて、効果的な方法で広告宣伝を継続して実施している(甲42~甲56)。 例えば、請求人は、月間ユニークユーザー数915万人で3年連続国内No.1(2021年5月時点)のガーデニングWEBメディア「LOVEGREEN」(甲42)において撃滅シリーズ商品のタイアップ記事を掲載してきた。そのうち、2021年4月22日に公開された「ムカデ撃滅」シリーズ商品に関する記事(甲43)は同年8月29日までの約4か月間で15万9,823PV(ページビュー。以下同じ。)、2021年7月30日に公開された「スズメバチの巣撃滅 駆除エサタイプ」のタイアップ記事(甲44)は同年8月29日までの約1か月間で1万2,083PVをそれぞれ獲得した。この点、いわゆる会社のコーポレートサイトの場合、1か月あたりのPV数の目安は3,000ないし1万PV程であるとされている(甲57)ことからすれば、同記事によって相当数の消費者に撃滅シリーズ商品が認知されるようになったことが窺える。 また、請求人は、相応の広告宣伝費をかけて、配布部数30万部、全国約1,300店(2021年7月9日時点)のホームセンター店頭で配布される月刊フリーマガジン「Pacoma」(甲45)でも撃滅シリーズ商品のタイアップ記事を掲載している。2019年から2021年までの期間においては、合計7回、撃滅シリーズ商品のタイアップ記事を見開きページで掲載した(甲46~甲51)。これに加えて、「Pacoma」が展開するWEBマガジンにおいても、2019年から2020年までの期間、複数回、撃滅シリーズ商品のタイアップ記事を掲載している(甲52~甲54)。 (d)撃滅シリーズ商品が新聞やSNS等で取り上げられたこと等 撃滅シリーズ商品の中でも、特に2020年1月に発売された「スズメバチの巣撃滅 駆除エサタイプ」は、「日本唯一巣に近づかなくても巣ごと退治できるスズメバチの巣駆除剤」(甲38の5、甲39の4、甲40の3・7)として大きな関心を集め、第31回日本環境動物昆虫学会で優秀講演発表賞を受賞するなどしている(甲58)。同商品は、その手軽さや効果の高さなどから消費者の間でも大きな話題を呼び(甲59)、朝日新聞WEB版で「「巣撃滅」は強力すぎる?対スズメバチ新商品巡り騒動」との記事(甲60)や朝日新聞朝刊で「スズメバチ駆除剤、「巣撃滅」に騒然」との記事(甲61)が掲載されるなど、その過熱ぶりが撃滅シリーズ商品の名称とともにメディアでも多く取り上げられた。 このような「スズメバチの巣撃滅 駆除エサタイプ」のインパクトの強さ及び注目度の高さは、そのタイアップ記事のPV数にも表れている。例えば、月間ユニークユーザー数1,200万人、ダウンロード数270万回(2022年6月28日時点)の植物コミュニティサービスを提供するアプリ「Green Snap」(甲55)において、2021年6月28日に掲載された「スズメバチの巣撃滅 駆除エサタイプ」のタイアップ記事(甲56)は、同年10月11日までの約3か月間で1万4,670PVを獲得しており、これは同年春に「Green Snap」で掲載開始された記事広告の同じ時期までの平均PV(1万PV)を上回るものであり、上記「スズメバチの巣撃滅 駆除エサタイプ」のタイアップ記事の露出度が平均以上に高いことが窺える。 (e)コロナ禍以降における撃滅シリーズ商品の更なる需要の拡大等 2020年1月以降、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による在宅時間の増加や、それに伴う家庭での園芸の流行による園芸市場の活性化に応じて(甲62)、虫ケア用品の国内市場は、2020年には1,312億円となり、前年比の16.4%増となった(甲63)。請求人の同市場シェアは、もともと業界トップではあったが、国内市場が成熟化する中で、2020年12月期は55.0%にまで上昇した(甲63)。このように昨今の生活様式の変容等に伴い、請求人の撃滅シリーズ商品の需要は益々高まり、より一層注目を集めることとなった。 さらに、請求人は、家庭での園芸の流行に伴うムカデ専用剤の需要増加を狙って、2021年1月には撃滅シリーズ商品として、新たに「ムカデよけ撃滅 置くタイプ」「ムカデ取り撃滅 捕獲器」「ムカデ撃滅」の3商品を発売し、これらの商品は、前年2020年10月に開催された、園芸業界における日本最大の商談展である「国際ガーデンEXPO(第14回)」でも来場者の注目を集めた(甲64)。 「ムカデ撃滅」シリーズ商品の注目度の高さはその販売金額にも表れている(甲11)。すなわち、園芸ムカデ市場全体の売上金額が前年2020年においては合計約2億5,000万円弱であったのに対し、2021年における請求人の「ムカデ撃滅」シリーズ商品の販売金額は2億8,600万円であり、前年の同市場全体の売上金額を上回っている。この結果、それまで同市場のトップシェアを占めていた他社商品を抜いて請求人の商品がシェア第1位となり、また、園芸ムカデ市場の売上金額が前年比220.9%となるなど同市場の規模自体を大幅に拡大させることとなった。 (f)「撃滅シリーズ商品」の周知性のまとめ 以上のとおり、虫ケア用品市場でシェアトップを誇る請求人(甲63)が販売する撃滅シリーズ商品は、新商品が毎年発売され、その度に全国紙のウェブ版等で取り上げられたり、請求人が広告宣伝費をかけて効果的な方法で広告宣伝したりするだけでなく、そのラインナップの中には、メディアやSNS等を賑わせた商品や、発売によって市場を2倍以上拡大させた商品をも含んでいることなどに鑑みれば、虫ケア用品業界において請求人の撃滅シリーズ商品は、遅くとも2019年1月頃までには高い周知性を獲得するに至り、当該周知性が2021年6月に至るまで保たれ続けていたことは明らかである。 したがって、撃滅シリーズ商品を表す「撃滅」との文字からなる商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、本件商標の指定商品である虫ケア用品の分野において、高い周知性を有していたといえる。 このように「撃滅」との文字からなる商標が請求人の虫ケア用品を示すものとして周知になっていたことからすれば、虫ケア用品の多くの需要者において、商品に付された標章に注意深く観察することはせず、あるいは単に称呼である「ゲキメツ」のみを頼りにして、商品を購入することが合理的に推認される。 (オ)非類似と判断された裁判例・審決との相違等 被請求人は、本件商標の出願に対する拒絶査定に対し審判請求した際、互いに称呼において共通する商標で非類似の商標と判断された事例として以下を主張するが、いずれの事例についても、外観において相違するだけでなく、観念においても紛れるものではないことを理由として非類似と判断されたものであり、本件のように観念において明らかに近似した印象を与え、取引者、需要者に与える印象ないし連想が共通する商標同士の比較とは全く事案が異なるものである。 ・「源気」×「元気」(平成17年(行ケ)10764号)、「海葉」×「海陽」(平成23年(行ケ)10252号)、「皇寿」×「紅寿」(不服2007-5814)、「溥天」×「普天」(不服2010-13614)、「楽園」×「楽宴」(不服2011-19735)、「清龍」×「清流」(不服2014-14155)、「心龍」×「神隆」(不服2011-6171)、「紅潤」×「高潤・光潤・コウジュン/洸潤」(不服2012-20834)、「妙煎」×「妙泉」(不服2012-25859) なお、外観において相違し、観念について比較することができない商標同士について、互いに称呼において共通することを理由として類似すると判断された事例は枚挙に暇がない。最近の例でいえば、「冨源」と「普賢」、「皇陽」と「向洋」及び「交洋」、「日美」と「日日」、「茶療」と「茶良」及び「茶涼」等が挙げられる(甲65)。 (カ)商標の類否のまとめ 以上のとおり、本件商標と引用商標1は称呼及び観念を共通にするものであり、両商標の外観における相違は、上記(エ)の取引の実情を総合的に判断すればなおのこと、両商標における称呼及び観念の共通性を凌駕するほどのものではなく、両商標は互いに相紛れるおそれのある類似の商標であることは明らかである。また、上記(オ)のとおり、このように解することは先行商標裁判例や審決とも何ら矛盾するものでもない。 イ 本件商標の指定商品と引用商標1の指定商品の類似性について 指定商品の類似性の有無について、最高裁判決(甲66~甲68)、知財高裁判決(甲69)及び特許庁の「商標審査基準」「類似商品・役務審査基準」を踏まえて、以下検討する。 (ア)本件商標の指定商品のうち第5類「薬剤」(類似群コード:01B01 01B02。甲1の2)と、引用商標1の指定商品である第5類「駆虫剤、殺虫剤」(類似群コード:01B01 01B02。甲2の2)とは、一般に、生産部門、販売部門、原材料、品質、用途及び需要者の範囲が一致するため、互いに類似する商品である。 (イ)本件商標の指定商品のうち第21類「ねずみ取り器、はえたたき、ハチ捕獲器、ゴキブリ捕獲器、その他の害虫捕獲器」(類似群コード:19B30)と、引用商標1の指定商品である第5類「駆虫剤、殺虫剤」(類似群コード:01B01 01B02)とは類似群コードが異なり、原則として非類似と推定される商品である。 しかしながら、取引の実情を具体的に検討すると、家庭向け虫ケア用品市場シェアのほとんどが3社に占められており、同3社である請求人、被請求人及び大日本除虫菊株式会社(KINCHO)(甲62)の各社において、殺虫剤に加えて、害獣であるねずみの捕獲器、はえ、ハチ及びゴキブリをはじめとする害虫の捕獲器が製造・販売されている(甲70~甲83)。このように、これらの商品の製造・販売は現に同一事業者によって行われており、その用途も人の生活に害となる害獣ないし害虫の退治と共通し、販売される場所も薬局やドラッグストア等の同じ場所であり(甲84)、需要者の範囲も一致するため、商品上極めて密接に関連する商品である。また、害虫の捕獲器(類似群コード:19B30)には、害虫の誘引剤(類似群コード:01B01)が塗布される場合があり、製造上も密接に関連する商品である。 そうすると、「ねずみ取り器、はえたたき、ハチ捕獲器、ゴキブリ捕獲器、その他の害虫捕獲器」と「駆虫剤、殺虫剤」に同一又は類似の商標を使用すると出所の誤認混同を生じるおそれがあるというべきであるから、本件商標の指定商品と引用商標1の指定商品とは類似する。 (ウ)以上のとおり、本件商標の指定商品と引用商標1の指定商品とは、上記(ア)及び(イ)の取引の実情を総合的に判断すれば、それらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは、同一営業主の提供に係る商品と誤認されるおそれがあると認められる関係にあるから、本件商標の指定商品と引用商標1の指定商品とは類似することは明らかである。 ウ 小括 以上のとおり、本件商標は、引用商標1に類似する商標であり、引用商標1に係る指定商品と同一又は類似する商品を指定商品とするものであって、引用商標1の後願に係るものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (2)商標法第4条第1項第10号該当性について ア 引用商標2の周知性について 上記(1)ア(エ)bのとおり、撃滅シリーズ商品を表す「撃滅」との文字からなる商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、本件商標の指定商品である虫ケア用品の分野において、高い周知性を有していたといえる。 そうすると、「撃滅」の文字からなる引用商標2は、同様に高い周知性を有していたといえる。 イ 本件商標と引用商標2の類否について 上記(1)ア(ウ)のとおり、本件商標と引用商標1は称呼及び観念を共通にするものであり、両商標の外観における相違は、上記(1)ア(エ)の取引の実情を総合的に判断すればなおのこと、両商標における称呼及び観念の共通性を凌駕するほどのものではなく、両商標は互いに相紛れるおそれのある類似の商標であることは明らかである。 そうすると、本件商標と「撃滅」の漢字からなる引用商標2も、類似する商標であるというのが合理的である。 ウ 本件商標の指定商品と引用商標2が使用される商品の類否について 上記(1)イのとおり、本件商標の指定商品と引用商標1の指定商品「駆虫剤、殺虫剤」とは類似することは明らかである。 そして、引用商標2が使用される商品(虫ケア用品)は、「殺虫剤、防虫剤」であるから、本件商標の指定商品と引用商標2が使用される商品とは、同一又は類似する商品というのが合理的である。 エ 小括 以上のとおり、本件商標は、請求人の業務に係る虫ケア用品として日本国内の需要者の間で広く認識された撃滅シリーズ商品を表す引用商標2に類似する商標であり、引用商標2が周知性を獲得した虫ケア用品と同一又は類似する商品を指定商品とするものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当する。 (3)商標法第4条第1項第15号該当性について 本号該当性について、最高裁判決(甲85)を踏まえて、以下検討する。 ア 引用商標2の周知性について 上記(2)アのとおり、引用商標2は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、本件商標の指定商品である虫ケア用品の分野において、高い周知性を有していたといえる。 イ 本件商標と引用商標2との類似性の程度について 上記(2)イからすれば、本件商標と引用商標2は称呼及び観念を共通にするものであり、両商標の外観における相違は、両商標における称呼及び観念の共通性を凌駕するほどのものではなく、両商標は互いに相紛れるおそれのある類似の商標であることは明らかといえる。 したがって、本件商標と引用商標2の類似性の程度は、相当程度高いものである。 ウ 本件商標の指定商品と請求人の業務に係る商品等との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性について 上記(2)ウからすれば、本件商標は、請求人が使用し周知性を有する虫ケア用品と同一又は類似する商品について使用される商標といえるから、商品の性質等及び商品の取引者及び需要者において互いに共通性が高いことは明らかである。 エ 需要者において普通に払われる注意力について 引用商標2が周知性を獲得した虫ケア用品の単価は1,000円前後と比較的安価なものが多く、また、その需要者も一般消費者であり、必ずしも商標やブランドについて詳細な知識を持たない者も多数含まれていることに加え、商品の購入に際し、メーカー名等について常に注意深く確認するとは限らず、小売店の店頭等で短時間のうちに購入商品を決定するということも少なくないことからすれば、商品購入時に払う注意力は高いものとはいえない(知的高裁判決 平成17年(行ケ)第10230号。甲86)。特に、虫ケア用品のような一定の効果を訴求する商品については、繰り返し購入する傾向が強いため、購買判断においてその商品の出所やブランドを購入の度にきちんと確認することが少なくなる傾向がさらに高いと考えられる。 オ 小括 以上のとおり、引用商標2が請求人の業務に係る撃滅シリーズ商品を表すものとして周知な商標であること、本件商標は引用商標2と高い類似性を有すること、本件商標の指定商品は引用商標2が周知性を獲得した商品と関連性が高く、需要者の範囲も一致するものであり、本件商標は取引者・需要者にとって引用商標2と強い関連性を持って認識されること、需要者が商品購入時に払う注意力は高いものとはいえないこと、本件商標を使用した指定商品が請求人の撃滅シリーズ商品と並べて販売される可能性が高いことなどを総合して考慮すると、本件商標をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者・需要者は、請求人の撃滅シリーズ商品を想起・連想し、あたかも請求人が取り扱う業務に係る商品であるかの如く認識して取引にあたると考えられるため、その出所について混同を生ずるおそれがあることは明白である。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 第4 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第23号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 商標法第4条第1項第11号について (1)はじめに 本件商標は、先の不服2020-13960号審決はその中で、「・・・当該文字は辞書等に掲載のないものであって,特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として理解されるものである。したがって,本願商標は,その構成文字に相応して,「ゲキメツ」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。」として、本件商標からは特定の観念は生じないことをもって、本件商標は引用商標1とは非類似との結論を導き出したものである。 しかしながら、被請求人は、同事案(不服2020-13960号)の「審判請求書」において、本件商標からは特定の観念を生じるとの主張をしたところ、仮に本答弁書において本件商標からは特定の観念を生じない、あるいは特定の観念を生じるとしたとしても、いずれにおいても下記に述べるように、最終的に両商標は非類似との結論に異同はないから、本答弁書においては、上記審判請求と同様、本件商標からは特定の「観念を生ずる」とした上で、以下、本件商標と引用商標1は互いに非類似の商標であることを述べる。 (2)本件商標について 本件商標は、「激滅」の漢字を標準文字により横書きしてなるものであり、当該「激滅」の文字は、国語辞典に掲載された特定の意味合いを有する既存の語ではない(乙3)。 ところで、漢字は表意文字であるから、漢字1字ごとに特定の意味合いを有するところ、「激滅」を構成する冒頭の「激」の漢字は「はげしい。勢いが強い。」といった意を、後部の「滅」の漢字は「ほろびる。消えてなくなる。ほろぼす。」といった意を有するものとして、一般に使用されているものである(乙4)。 そして、「激」は、「はげしい、勢いが強い」の意を有する漢字であるが、かかる意味合いは何れも力強い様(さま)を表すものではあるとしても、例えば、「激流」(水勢のはげしい流れ)、「激動」(はげしくゆれ動く)、「激突」(はげしくつき当たる、ぶつかる)といったように、「自ずと生ずる激しい様」を表す文字として用いられているものであるから、「激滅」からは「はげしく消えてなくなる」「はげしく消え失せる」といった意味合いを理解させる(乙4)。 加えるに、被請求人は、先の「審判請求書」においても述べたように、「激滅」からは、「はげしく滅ぼす」といった如き意を理解させる場合のあることも必ずしも否定するものではない。 しかしながら、「激滅」の漢字は、そもそも辞書等に掲載のある既存の熟語ではなく、かかる意味合いをもって一般に馴染まれたものともいえないから、「激滅」の文字から理解される上記の意味合いは、これに接する者をして、一種漠然と認識させるにとどまるというべきである。 そして、本件商標からは、その構成文字に照応し、「ゲキメツ」の称呼を生じる。 (3)引用商標1について 引用商標1は、毛筆風の縦書きにした「撃滅」の漢字と、その左側に同じく縦書きにした平仮名の「げきめつ」、右側に同じく縦書きにした片仮名の「ゲキメツ」の文字をそれぞれ配した構成からなるものである。 「撃滅」は、「撃」(うつ。攻める。)と「滅」(ほろびる。ほろぼす。消えてなくなる。)の二字を結合した既存の二字熟語であり、「うちほろぼすこと。」の意を有し、例えば「敵の艦隊を撃滅する。」あるいは「攻撃して全滅させること。」といった意味合いで、日頃頻繁に使用される極めて親しまれた語であるから、これに接する者をして、一見して直ちにその意味合いが認識されるものである(乙3、乙5)。 このことは、請求人の提出した証拠(甲8)に表記された「ナチス撃滅空爆作戦」にも認められる。 上記によれば引用商標1からは、「うちほろぼすこと」の観念を生じる。 そして、引用商標1は、「撃滅」の漢字及び「げきめつ」「ゲキメツ」の平仮名と片仮名を左右に配してなるものであり、これら仮名文字は漢字「撃滅」の読みに通じるものであるから、引用商標1からはその構成文字より「ゲキメツ」の称呼を生じる。 (4)本件商標と引用商標1との類否 ア 称呼について 本件商標と引用商標1は、各々より生ずる称呼「ゲキメツ」を同じくするものの、下記に述べるように外観、観念においては互いに紛れるものではない。 イ 外観について 本件商標は、「激滅」の漢字を標準文字により横書きにしてなるものである。 一方、引用商標1は、「撃滅」の漢字の左右に平仮名の「げきめつ」及び片仮名の「ゲキメツ」の各文字を3列の縦書きに書してなるものである。 本件商標と引用商標1は、各々の全体の構成文字の比較においては、その差異は明瞭であるから、「激滅」と「げきめつ/撃滅/ゲキメツ」は、視覚上、容易に区別し得るものである。 また、本件商標「激滅」と引用商標1の構成中の「撃滅」との比較においても両者は、外観上、紛れるおそれはないものである。 すなわち、両者はともに漢字2字を前者は横書きに、後者は縦書きに書してなるものであるが、両者は2字目の「滅」を共通にするものの、印象の強い語頭において「激」と「撃」を異にするものである。そして、「激」と「撃」の漢字は、前者は部首を「さんずい」とし、後者は「てへん」とする相異を有するほか、互いの漢字の構成において共通する要素はなく、また、後者の「撃」は通常目にするところの少ない旧字体による印象に強いものである等、各々の字体の相異は視覚において明瞭である。 しかも、両者がともに僅か2字の短い字数によりなるものであることに照らせば、「激滅」と「撃滅」の両文字は、外観において紛れるおそれはないものである。 加えるに、「〇滅」のように、「滅」との組み合わせによる単語は非常に多く存することから、「〇滅」からなる単語の外観を識別するに際し、語頭の漢字は互いを外観上識別する構成要素として看過できない相異といい得るものである(乙6)。 上記によれば、本件商標と引用商標1は、全体の構成においてはもとより、「激滅」と「撃滅」の比較においても外観において紛れるおそれはないものである。 ウ 観念について 本件商標「激滅」からは、「はげしく消えてなくなる」「はげしく消え失せる」といった観念を生ずるほか、「はげしく滅ぼす」ほどの観念を生じる。 他方、引用商標1「撃滅」からは「うちほろぼすこと」の観念を生ずるが、前者より生ずる「はげしく消えてなくなる」「はげしく消え失せる」と、後者より生ずる「うちほろぼすこと」との観念は、「消えてなくなる」「消え失せる」と「うちほろぼす」とに大きな意味上の相異があるから、かかる観念の比較において、両者は紛れるおそれはない。 また、たとえ「激滅」から「はげしくほろぼすこと」の観念を生じるとしても、「はげしくほろぼすこと」と「撃滅」から生ずる「うちほろぼすこと」との観念は非類似である。 すなわち、「激滅」と「撃滅」は、いずれも一つのまとまった漢字として把握されるものであるが、前者は、一般に馴染まれた熟語を形成するものではないのに対し、後者の「撃滅」は、各種の国語辞典(広辞苑等)や漢和辞典、さらにはウェブサイト等からも、その意味合いを含め容易に確認することのできる身近な漢字であり、一般に馴染まれた熟語である(乙3~乙5)。 そうすると、前者の「激滅」は、文字どおりには「はげしくほろぼすこと」の観念を理解させる場合があったとしても、その意味合いは一種漠然としたものであるのに対し、後者の「撃滅」は「うちほろぼすこと」、すなわち「攻撃して全滅させること」といった明確な意味合いをもって一般に知られ用いられている漢字であるから、その意味合いの相異は明らかであり、各々の意味合いにおいて一方が一方に誤って認識されることはないというべきである。 エ 小括 上記によれば本件商標と引用商標1は、各々より生ずる「ゲキメツ」と「ゲキメツ」の称呼を同じくするとしても、外観においては明らかに相違し、観念において紛れるものでないことは、上記アないしウのとおりのところ、次に本件商標と引用商標1に関わる取引の実情について考察する。 オ 取引の実情 本件商標と引用商標1は、各々の指定商品の(内の)第5類の「駆虫剤,殺虫剤」が抵触するものであるが、そもそも需要者が、駆虫剤や殺虫剤等を購入する場合、その購入の目的は当該商品の効能、効果である、駆虫効果、殺虫効果等を期待して購入するものであるから、当該商品がたとえ安価なものであったとしても、同種商品との選択においては、その商品の用途、用法、効果、効能等を十分に吟味し購入するのが常である。 この場合、店頭販売であれ、通信販売であれ、あるいはウェブサイト上の通販サイトであれ、需要者は、当該商品が購入希望の商品であるか否か、それに付された商標や製造元等を目で確認し、その上で商品を選択し購入するから、その際、商品に付された商標を識別する手段としての、目で確認する商標の識別機能としての外観の果たす役割は大きいというべきである。 とりわけ、近時における通販サイトやネットスーパー等の需要は、コロナ禍による非接触ニーズの高まりや、高齢化社会の進展とともに、ますます身近な商品購入手段として定着し市場規模は伸長しており、このことは本件商品の分野においても例外ではなく、各種通販サイトやネットスーパーのサイト上には、多くの本件商品と同種商品が当該商品の写真や使用方法、効能、効果等、商品説明と共に展示され販売されている実情にある(乙7)。 商標の識別手段としての称呼の重要度が決して失われているものではないが、上記した商品の購入手段の多様化のなか、ますます商標を目で見て確認し、そしてその出所を識別する手段としての外観の果たす役割が増大しているものである。 上記のとおりのところ、本件商標と引用商標1は称呼を同じくするものの、外観が明確に相異し、観念においても紛れるおそれはないこと、そして指定商品に関わるかかる取引の実情を踏まえると、これらを総合して考察すれば、本件商標と引用商標1との間で需要者が商品の出所について誤認混同を生じるおそれがあるとはいえないから、両者は、互いに非類似の商標というべきである。 この点について、請求人は、「駆虫剤、殺虫剤」等の、いわゆる「虫ケア用品」の単価は1,000円前後の比較的安価なものが多いこと、その需要者は一般消費者であるため、通常、需要者において虫ケア用品を慎重に選択するものとはいえないこと、また、現在においては音声・映像の複合媒体であるテレビ、ラジオによる広告、宣伝が大々的に行われている実情があるから、これらの広告、宣伝に接した一般消費者は、音声を媒体とする記憶に残った商標より生ずる称呼を頼りに商品を購入することも十分にあり得る旨述べている。 被請求人は、上記したように、今日の商取引においても音声による称呼の識別標識としての機能の重要度が決して失われているものでないことは、これを承知するものである。 しかしながら、インターネット等の通信手段の発達に伴い、これら通信手段を媒介にした商取引が日頃拡大している今日の状況において、商品購入の場面においては目で商品を確認し行う商取引が急速に進展しているといい得るものであり、かかる状況に照らせば、商標の識別標識としての機能において外観の果たす役割が相対的に増していると考えるものである。 2 請求人の主張と考察 (1)請求人は、本件商標登録の無効理由を「本件商標が「激しくほろぼすこと。」であるのに対し、引用商標1は「うちほろぼすこと。」であって、(両者の観念に)格別な差異は存在しない。」旨述べている。 しかしながら、請求人は、かかる主張に関しその具体的な理由を言及していない。また、前述したように、「激滅」は熟語ではないところ、一種漠然と「はげしくほろぼすこと」の意味合いを理解させる程度の漢字であるのに対し、後者の「撃滅」は、これに接する者をして「うちほろぼすこと」、すなわち(敵を)「攻撃して全滅させること」といった明確な意味合いを認識せしめる二字熟語であるから、両者にはかかる観念上の大きな相異があり、互いに紛れるおそれのないものである。 (2)請求人は、「「激滅」の「激」は「勢いが強いさま」の意味合いを有するのに対し、「撃滅」の「撃」は「強くたたく」「ぶち当たる」との意味合いを有すること、二字目の「滅」を共通にすることからすれば、両者は近似した印象を与える。実際、「撃滅」と表示するところを誤って「激滅」と表示している例が散見されており、かかる事実は、両者が観念においても相紛れることを端的に示している。」旨述べている。 しかしながら、「激滅」と「撃滅」は、ひとまとまりの語であるから、これに接する者をして、全体の意味合いから離れて語頭の「激」と「撃」のみを分離して単独で辞書上の意味合いを認識させることはないというべきである。 そして、前者の「激」は「はげしい」、後者の「撃」は「うつ(撃ち)」の意味合いをもって理解されているものである。 かかる意味合いの相異からみて、両者がたとえ二字目の「滅」を同じくするとしても互いに近似した印象を与えることはないというべきである。仮に、百歩譲ったとしても、両者は、前者の「勢いが強いさま」と後者の「強くたたく」「ぶち当たる」の意においても互いを誤るおそれはないものである。 なお、上記1(4)に記したように、現に、「〇滅」からなる漢字は極めて多く存するが、その意味合いがすべて理解されているとはいえないと思われるにも関わらず、各々は区別されているものである。 これらの内、とりわけ「廃滅」(すたれほろびること。)と「敗滅」(負けて滅びること。)は、いずれも「ハイメツ」と読むが、共に区別して熟語として存在している(乙6)。 (3)請求人は、「「撃滅」と表示するところを誤って「激滅」と表示している例は散見されており(例えば、甲7~甲10)、かかる事実は、本件商標と引用商標1が観念においても相紛れることを端的に示すものである。」旨述べている。 ア 甲第7号証は、「増養殖対策」と題した「水産庁栽培養殖課」の印刷物であるが、確かにここには「〇駆除技術を高度化し、10湖沼で外来種を激滅(平成26年度)」と記載されていることが確認できる。 しかしながら、行政官庁である水産庁ともあろうものが、外来魚を駆除する公的施策を推進しようとする文章において、「うちほろぼすこと。」、すなわち(敵を)「攻撃して全滅させること」との意を有する「撃滅」の文言を使用する等ということはおおよそ考えられないことである。 ここは、むしろ「激減」(げきげん)と記すべきところを「激滅」と、単に「減」(げん)と「滅」(めつ)の漢字を取り違えたものと理解するのが適切な解釈というべきと考える。 ちなみに、乙第8号証は、NHK「関西NEWSWEB」であるが、同ニュースウェーブには、「びわ湖の外来魚「ブルーギル」生息量激減か滋賀県調査で判明」との記事中で「激減」(げきげん)の漢字を用いている。 そうすると、この水産庁栽培養殖課の「増養殖対策」の記事をもって、「撃滅」と「激滅」とが観念においても相紛れることを端的に示すものとはいえないものである。 イ 甲第8号証は、アマゾンの通販サイトに掲載された「ナチス撃滅空爆作戦」と題する単行本の販売情報であるが、この商品紹介には確かに「DVD>ナチス激滅空爆作戦」との記事の掲載がある。 しかしながら、この記事は「撃滅」と「激滅」の読みが同じであることから、当該広告の編集者が単に「撃滅」の文字使いを「激滅」と誤ったものと見るべきと考える。 この商品広告をもって、「撃滅」と「激滅」が観念においても相紛れることを端的に示すものとまではいえないものである。 ウ 甲第9号証は、「PRTImES」に掲載された、「外来生物大集合!おさわがせいきもの事典」と題する高橋書店刊の書籍のプレスリリースであるが、この商品紹介記事には確かに「・・・在来種を激滅させたり・・・」との記載がある。 しかしながら、この記事は、むしろ同記事中の第5頁の「・・・、在来種を絶滅させたり・・・」、あるいは第9頁の「・・・、実は絶滅に危機に瀕していた!・・・」の記載のあることに照らせば、本来「絶滅」と記載すべきところを「激減」と表記してしまったものと見るべきであり、当該広告の編集者による、単なる「絶滅」の文字使いの誤りと考えられる。 「撃滅」と「激滅」が、観念においても相紛れることを端的に示すものとまではいえないものである。 エ 甲第10号証の1・2・3のうち、2及び3はともに楽天市場に掲載された「ドラッグフォーユー」の商品情報と認められ、両者は同一の商品広告である。「証拠説明書」では、3は「Yahoo!ショッピング販売ページ」と記載されている。 これら3件の通販サイトに掲示された「ドラッグフォーユー」の商品広告は、同じ商品「アリ撃滅」(4901080043818)のものであるから、実質的には1件の間違い広告であるが、この商品説明の見出しには確かに「アリ激滅」との掲載がある。しかしながら、この記事は「撃滅」と「激滅」の読みが同じであることから、当該広告の編集者が、単に「撃滅」の文字使いを「激滅」と誤ったものと見るべきと考える。 この商品広告をもって、「撃滅」と「激滅」が観念においても相紛れることを端的に示すものとまではいえないものである。 (4)請求人は、「本件商標と引用商標1が各指定商品に使用された場合、いずれも、害虫のようなものを徹底的に絶やしてしまうといった観念を生じさせる。」旨述べている。 「激滅」は熟語ではないところ、漠然と「はげしくほろぼすこと」程の意味合いを理解させる漢字であるのに対し、引用商標1「撃滅」は「うちほろぼすこと」との明確な観念をもって理解されているものである。 本件商標と引用商標1が、各々の指定商品(殺虫剤、等)について使用されたとしても、とりわけ本件商標「激滅」から「害虫のようなものを徹底的に絶やしてしまうといった観念」を生ずるとの主張は、単に請求人の知見のみから導き出されたものであって、これに接する需要者の多くがかかる観念をもって同様に理解するとはいえないものである。 したがって、請求人のかかる主張は飛躍したものというほかはないものである。 (5)請求人は、「漢字から構成される商標の場合、横書きと縦書きとを相互に変更することは一般に行われていることであって、その差異が強く印象に残ることはない。両者は、「激」と「撃」の各文字及び書体に相異があるものの、後述する取引の実情を併せ鑑みれば、これら外観における相異は、両者における称呼及び観念の共通性を凌駕するほどのものではない。このことは「撃滅」を誤って「激滅」と表示している例が散見されることからも裏付けられる。」旨述べている。 被請求人は、漢字が横書き、若しくは縦書きに普通に使い分けされていることを否定するものではない。 しかしながら、請求人の提出した使用証拠で使用している商標とは、新字体の「撃滅」(引用商標2)であるから、ここでの類否の判断は、あくまでも引用商標1との間でなされるべきである。 本件商標と引用商標1が外観において紛れるものではないことは、上記1(4)イのとおりであり、また、「撃滅」を誤って「激滅」と表示している例が散見されるとの主張も適切でないことは、上記(3)のとおりである。 3 判決、審判例等 上記1及び2に述べたとおり、本件商標と引用商標1は、外観、観念の相異、そして取引の実情を勘案し、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、たとえ称呼を同じくするとしても、互いに紛れるおそれのない非類似の商標であることは明らかというべきである。 被請求人が、上記において述べたところは、商標の類否の判断に関し、例えば、知財高裁判決(平成17(行ケ)10764)において、「源気」と「元気」の文字よりなる商標の類否について、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれはない旨の判断がなされていることからも首肯し得るものである。 また、多くの審決及び判決(乙9~乙17)において、商標が互いに称呼において共通性を有するとしても、外観において相異し、観念において紛れるものではないことを理由として、その商品(役務)の出所について誤認混同を生ずるおそれのない非類似の商標との判断がなされていることからみても妥当なものと考える。なお、付言すると、本件商標と引用商標1は、外観において紛れるものでないことは、上記に述べたところである。 上記と関連し、請求人は、外観において相異し、観念においては比較できないものの、称呼において共通していることから互いに類似するとして拒絶査定された次の事例を掲示している。 ・商願2018-31063「冨源」×「普賢」「FUGEN」、商願2020-47974「皇陽」×「向洋」「交洋」、商願2020-112981「日美」×「日日/hibi」「図/Nichibi」、商願2021-8578「茶療」×「茶良/図」「茶涼」 しかしながら、本件事案においては、本件商標「激滅」は既存の語ではないとしても、引用商標1及び2の「撃滅」は「うちほろぼすこと。」の意を有し、日頃頻繁に使用される極めて親しまれた語であるところに、本件事案の特徴を有するものであるから、かかる点において請求人の挙げる事例とは事案を異にするというべきであり、本件事案の参考例とはならないものである。 4 周知性の主張、立証の考察 (1)証拠の提出について 請求人は、引用商標2の周知性を立証する資料として多数の証拠(甲11~甲86)を提出しているが、これらのうち、甲各号証を簡潔にまとめた乙第18号証にある黄色マーカー以外のものは、本件商標の商標出願日以降のものである。また、甲第12号証ないし甲第17号証は本件商標出願日前のものであることを知り得るが、当該資料からは引用商標2を使用した時期を特定できない。 (2)販売高等について 次に述べるところは、上記を前提とするものとする。 請求人は、2021年における撃滅シリーズの合計販売額は52億円あり、園芸不快害虫製剤市場全体の合計販売額の16.5%のシェアを占めていると述べている。 しかし、この数値は販売開始時の2017年から2021年までの合算であり、本件商標が出願された出願日までのものではない。2019年の数値は3億1,000万円であるから、単純にみれば、一月約2,600万円であり、そうすると2017年からこの期間までのおおよその売上高は2億1,600万円である。この期間の園芸不快害虫製剤市場全体の市場規模がどの程度であったか不明ではあるが、2億1,600万円は2021年における同数値との比較でみれば、絶対値としてはるかに小さいといわざるを得ない。 ましてや、園芸不快害虫製剤市場以外の「殺虫剤」や「殺菌剤」、「エアゾール市場」「園芸用除草剤市場」あるいは「園芸用犬猫市場」等々の市場商品を考慮しこれを見れば、その数値をもって引用商標2の「撃滅」が本件商標の出願時、既に広く周知性を獲得していたとはいえないものである。 なお、請求人は「撃滅シリーズ」を2022年1月までに26種類のラインナップを揃えたと述べているが、本件商標の出願前まででは8種類である。 (3)情報誌、新聞等 請求人は、撃滅シリーズが発売されるたびにニュースリリースを出したりPRTImESに投稿したりした結果、日本経済新聞、産経新聞、毎日新聞及びそのウェブ版にも取り上げられたと述べているが、その投稿日は2016年のものが3件(甲38の1、甲40の1、甲41の1)、2018年のものが5件であり、それ以外のものは本件商標の出願日直近のものである。他方、例えば新聞等の販売地域や販売数量も不明であり、この広告の量的、質的な実際はどの程度のものであったか不明といわざるを得ない。 したがって、これら資料が請求人の述べる引用商標2の周知性の獲得にどの程度寄与したものか不明である。 (4)小括 上記(1)ないし(3)を総合しても、請求人の使用する引用商標2の「撃滅」が、請求人の取扱いに係る「虫ケア商品」、すなわち「撃滅シリーズ商品」について使用された結果、同商品を表示する商標として本件商標の出願時、既に周知性を獲得していたことを認めることができない。 5 本件商標の指定商品と引用商標1の指定商品の類似性について 請求人は、本件商標の指定商品のうち第21類の「ねずみ取り器,はえたたき,ハチ捕獲器,ゴキブリ捕獲器,その他の害虫捕獲器」(以下「本件21類商品」という。)と、引用商標1の第5類「駆虫剤,殺虫剤」(以下「引用1商品」という。)は、類似商品であると主張している。 商品の類否は対比される商品の如何によっては、「商標審査基準」では互いに非類似とされているものでも、最終的に類似すると判断される場合のあることはこれを否定するものではない。 これを本件についてみると、本件21類商品と引用1商品の類否の判断において、商標審査基準(乙19)に掲げる生産部門、販売部門、需要者の範囲等の一致性を重視した場合、そのような結論に至ることもないとはいえない。 しかしながら一方、現在においては、本件21類商品と引用1商品は非類似の商品と扱われているものであるが、その理由は両者の機能あるいは用途を異にしていることを重く見ていることによるものと考えられる。すなわち、前者は、当該商品の仕組み(典型的には「罠」)によって害獣、害虫を捕獲し駆除等をすることをその機能、用途としているのに対し、後者は「薬剤」(殺虫剤、等)の効果、効能によって害獣、害虫を駆除、殺虫等をすることをその主たる働き(機能、用途)としているものである。両者のこれら商品としての特徴は、互いの商品を非類似の商品と扱うことに寄与する考え方である。 上記の次第のところ、「国際分類」(乙20)は、その一般的注釈において、「ある商品を類別表、注釈及びアルファベット順一覧表によって分類することができない場合には、・・・」として、「完成品は、原則として、その機能又は用途によって分類する。」と定めているところ、かかる分類の考え方によれば、本件21類商品と引用1商品とは、非類似の商品と扱うことに各々の商品の属性からみて必ずしも不合理なものとはいえないといい得るものである。 なお、本件商標の第5類の商品と引用1商品が互いに類似するものであることは明らかである。 上記のとおりのところ、そもそも本件商標と引用商標1は、互いに紛れるおそれのない非類似の商標であるから、本件商標の登録の可否は商品の類否の判断如何に左右されるものではない。 6 商標法第4条第1項第10号の該当性 本件商標と引用商標2は、引用商標1の比較と同様、両者は称呼を同じくするものの、外観が明らかに相異し、観念においても紛れるおそれはなく、そして指定商品に関わる取引の実情を踏まえこれを総合して考察すれば、互いに非類似の商標といい得るものである。 そして、上記4のとおり請求人が「虫ケア商品」すなわち「殺虫剤、防虫剤」に使用する引用商標2の「撃滅」は、本件商標の登録出願前より取引者、需要者間に広く認識されていたものとはいえず、また、本件商標と引用商標2は非類似の商標であり、その使用商品においても、本件商標の第5類「駆虫剤、殺虫剤」を除き、本件21類商品とは非類似の商品である。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当するものではない。 7 商標法第4条第1項第15号の該当性 本号該当性について、特許庁商標課編「商標審査基準」、知財高裁判決(令和3年(行ケ)第10092号。乙21)及び最高裁判決(平成10年(行ヒ)第85号)を踏まえ、以下検討する。 引用商標2は「撃滅」の文字からなるものであるが、該文字は一般に広く知られ用いられている語であり、何ら独創性のないものであるばかりでなく、そもそも請求人が商品「駆虫剤、殺虫剤」に使用する商標として、本件商標の登録出願前より取引者、需要者間に広く知られていたとはいえないものである。しかも、本件商標と引用商標2は、僅か2字のうち識別要素としての機能の強い語頭において「激」と「撃」の相異を有し、また観念においても、前者の「激滅」は文字どおりには「はげしくほろぼすこと」の観念を理解させる場合があったとしても、その意味合いは漠然としたものであるのに対し、後者の「撃滅」は「うちほろぼすこと」、すなわち「攻撃して全滅させること」といった明確な意味合いをもって一般に知られ用いられていることに鑑みれば、たとえ両者が称呼「ゲキメツ」を同じくするとしても、互いに相紛らわしい類似する商標とはいえないものである。 したがって、本件商標は、これをその指定商品に使用しても、請求人又は同人と組織的、経済的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものである。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。 8 その他(被請求人の所有する「撃滅」の商標登録) 被請求人は、第5類「薬剤」を指定商品として、登録第5764704号「巣ごと撃滅」を所有しており、現に使用をしている(乙22)。 そうすると、かかる被請求人の「巣ごと撃滅」と、請求人の使用する「撃滅シリーズ」、たとえば登録第6334858号「ハチの巣撃滅」、登録第6334859号「スズメバチの巣撃滅」及び請求人の使用に係るその他の「○○撃滅」とは、現には市場において併存し使用されているものであることを付言する(乙23)。 第5 当審の判断 請求人が本件審判を請求することの利害関係の有無については、当事者間に争いがなく、また、当審は請求人が本件審判の請求について利害関係を有するものと認める。 以下、本案に入って審理する。 1 引用商標2の周知性について (1)請求人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、請求人は、2017年(平成29年)1月頃から、殺虫剤、防虫剤について引用商標2「撃滅」(書体や色彩の異なるものを含む。)を使用し、「クモの巣撃滅」「シロアリの巣撃滅」「シロアリ・羽アリ撃滅」「アリ撃滅」などといった商品を継続して販売してきたこと(甲12~甲17、甲38、ほか)及び引用商標2を使用した殺虫剤、防虫剤(以下「引用使用商品」という。)は、平成28年12月頃からウェブページ、新聞、雑誌等で相当数紹介等され、その商品情報の掲載があることや商品の発売を報じる記事があること(甲40~甲44、ほか)などが認められる一方、例えば引用使用商品が広く知られた商品であることを謳う第三者による紹介記事などは見あたらない。 また、引用使用商品の売上額、シェアなど販売実績を確認し得る証左は見いだせない。 (2)上記(1)のとおり、請求人は2017年(平成29年)1月頃から継続して引用使用商品を販売等していることが認められるものの、当該商品の販売実績を確認し得る証左は見いだせず、その他証拠からも当該商品が広く知られていたと認めるに足る事実は見いだせないから、引用使用商品及び同商品に使用されている引用商標2は、本件商標の登録出願時及び登録審決時において、請求人の業務に係る商品として及び同商品を表示するものとして、いずれも需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。 なお、請求人は、引用使用商品の販売金額は2017年(平成29年)が7,000万円、2018年が1.2億円、2019年が3.1億円、2020年が6億円、2021年が8.6億円である旨主張し、その証拠として請求人の管理本部法務部部長の陳述書(甲11)を提出しているが、かかる書面は請求人が容易に作成し得るものであり、客観的に裏付けるに足る証拠とはいえないから、それをもって当該販売金額を客観的な事実として認めることはできない。 さらに、仮に、請求人の主張する上記販売金額が事実であるとしても、2020年の販売金額6億円は、同年における引用商標2が使用される商品(虫ケア用品)の国内市場1,312億円(甲63)のわずか0.46%に過ぎないから、引用商標2は請求人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。 2 商標法第4条第1項第11号について (1)本件商標 本件商標は、上記第1のとおり、「激滅」の漢字を標準文字で表してなり、該文字に相応し「ゲキメツ」の称呼を生じるものである。 そして、観念については、本件商標は、それを構成する「激滅」の文字(語)は成語ではないものの、「激」及び「滅」の各漢字の有する意味に相応し「激しく滅ぼすこと」といった意味合いを想起させるもの(甲3、甲5、乙3、乙4)と判断するのが相当である。 (2)引用商標1 引用商標1は、別掲のとおり、「撃滅」の漢字を縦書きし、その右側に「ゲキメツ」の片仮名を、左側に「げきめつ」の平仮名をいずれも小さく縦書きしてなるものであり、それらの文字に相応し「ゲキメツ」の称呼を生じ、「撃滅」の文字(語)の意味に相応し「うちほろぼすこと」の観念を生じるもの(甲3、乙3~乙5)と判断するのが相当である。 (3)本件商標と引用商標1の類否 本件商標と引用商標1の類否を検討すると、両者の上記のとおりの外観は、片仮名及び平仮名の有無など構成態様が明らかに異なり、相紛れるおそれのないものである。また、本件商標「激滅」と引用商標1の構成中「撃滅」の文字の比較においても、両者は、外観の識別上重要な要素である語頭において、「激」と「撃」の文字の差異を有し、その差異が共に2文字という少ない文字構成である両者の外観全体の視覚的印象に与える影響は大きく、両者を離隔的に観察しても、相紛れるおそれのないものと判断するのが相当である。 次に、称呼については、本件商標から生じる「ゲキメツ」の称呼と引用商標1から生じる「ゲキメツ」の称呼は、同一のものである。 さらに、観念については、本件商標が「激しく滅ぼすこと」といった意味合いを想起させるものであるのに対し、引用商標1は「うちほろぼすこと」の観念を生じるものであるから、両者は相紛れるおそれのないものと判断するのが相当である。 そうすると、本件商標と引用商標1は、称呼を同一にするものの、外観、観念において相紛れるおそれのないものであるから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。 (4)請求人の主張について 請求人は、本件商標と引用商標1は前者の観念「激しく滅ぼすこと」と後者の観念「うちほろぼすこと」に格別な差異はなく、両者の外観における「激」と「撃」の文字の差異は、称呼及び観念の共通性を凌駕するほどではなく、実際に「撃滅」を「激滅」と誤って表示しているとして証拠(甲7~甲10)を提出するなどし、両商標が類似する旨主張している。 しかしながら、本件商標と引用商標1は、称呼については同一にするものの、観念については「激しく滅ぼすこと」と「うちほろぼすこと」とは観念(意味合い)が異なり、格別な差異はないとはいい難いものであるし、外観については本件商標と引用商標1の構成中の文字「撃滅」との比較においても、両者は2文字構成中の語頭の1文字が異なり、また、誤って表示しているとして提出された証拠は、「撃滅」以外の語を「激滅」と誤ったもの、意識的に「激滅」と(造語として)用いたものなどもあるとも考えられ、必ずしも「撃滅」を「激滅」と誤って表示したものとばかりはいい得ない。また、本件商標及び引用商標1の指定商品において、取引者、需要者が、専ら商品の称呼のみによって商品を識別し、商品の出所を判別するような実情があるものとは認められず、称呼による識別性が、外観及び観念による識別性を上回るともいえないことから、上記(3)のとおり、本件商標と引用商標1は相紛れるおそれのない非類似の商標と判断するのが相当である。 したがって、請求人のかかる主張は採用できない。 その他、本件商標と引用商標1が類似するというべき事情は見いだせない。 (5)小括 以上のとおり、本件商標と引用商標1は非類似の商標であるから、両商標の指定商品が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。 3 商標法第4条第1項第10号について 本件商標は上記第1のとおり「激滅」の漢字を標準文字で表してなるものであり、引用商標2は上記第2 2のとおり「撃滅」の漢字からなるものであるから、本件商標と引用商標2は、上記2と同様の理由により、相紛れるおそれのない非類似の商標というのが合理的である。 また、上記1のとおり引用商標2は、請求人の業務に係る商品であることを表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものである。 そうすると、本件商標の指定商品と引用使用商品が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当するものといえない。 4 商標法第4条第1項第15号について 本件商標は上記第1のとおり「激滅」の漢字を標準文字で表してなるものであり、引用商標2は上記第2 2のとおり「撃滅」の漢字からなるものであるから、本件商標と引用商標2は、上記2と同様の理由により、相紛れるおそれのない非類似の商標であって別異の商標というのが合理的である。 また、引用商標2は、上記1のとおり請求人の業務に係る商品であることを表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、上記2(2)からすれば成語であって独創性があるものとはいえない。 そうすると、本件商標は、本件商標の指定商品と引用使用商品との関連性の程度、需要者の共通性などを考慮しても、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標2を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(請求人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。 その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものといえない。 5 むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえないから、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効にすべきでない。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-890049

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