審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
商標無効審判

2023-890046

スタディサプリ、スタディ

審判番号
2023-890046
法域
商標
審判種別
無効審判(無効の審決)
出願番号
商願2021-135164
登録番号
6560722
請求日
2023年06月16日
審決日
2024年02月27日
公報発行日
2024年05月31日
結論
請求成立(無効)
当事者
  • 【請求人】株式会社 リクルート
  • 【請求人代理人】佐藤 大輔
  • 【請求人代理人】橘 哲男
  • 【被請求人】株式会社 ビタブリッドジャパン
  • 【被請求人代理人】田中 豊
  • 【被請求人代理人】大宅 達郎
  • 【被請求人代理人】北村 亮典
審判長/審判官
  • 審判長 高野 和行
  • 審判官 大森 友子
  • 審判官 板谷 玲子
分類
T111 .22 -Z (W05) / T111 .271-Z (W05)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法4条1項15号商標法46条1項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項第19号、商標法第46条の2第1項、商標法第4条第1項第11号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の登録第6560722号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 登録第6560722号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6560722号商標(以下「本件商標」という。)は、「スタディサプリ」の文字を標準文字で表してなり、令和3年10月29日に登録出願、第5類「サプリメント」を指定商品として、同4年4月14日に登録査定、同年5月24日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 本件商標の無効の理由において引用する商標は、以下のとおりであり(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。 1 登録第5852013号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の態様 スタディサプリ(標準文字) 指定商品・役務 第9類、第16類、第35類、第42類及び第45類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務 登録出願日 平成27年8月6日 設定登録日 平成28年5月20日 2 登録第5852142号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の態様 STUDYSAPURI(標準文字) 指定商品・役務 「技芸・スポーツ又は知識の教授」を含む第41類並びに第9類、第16類、第35類、第42類及び第45類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務 登録出願日 平成27年12月4日 設定登録日 平成28年5月20日 3 登録第5866569号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の態様 スタディサプリ(標準文字) 指定役務 「技芸・スポーツ又は知識の教授」を含む第41類に属する商標登録原簿に記載の役務 登録出願日 平成28年2月17日 設定登録日 平成28年7月15日 第3 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第61号証(甲第13号証は欠番。)を提出した。 1 請求の理由 本件商標は、商標法第4条第1項第15号、同項第19号、同項第7号に違反して登録されたものであるから、商標法第46条の2第1項の規定に基づいて、その登録は無効とされるべきものである。 2 請求人適格について 請求人は、令和5年2月28日付で、商品の区分第5類に属する商品を指定商品として「スタディサプリ」の文字を標準文字で表したものを登録出願しており当該登録出願は、本件商標が引用され商標法第4条第1項第11号の規定により拒絶される可能性が極めて高い。 そのため、請求人は、本件審判請求についての利害関係を有することから、本件審判の請求人適格を有する。 3 商標法第4条第1項第15号該当性 (1)請求人及び引用商標について 請求人は、1960年(昭和35年)3月に創業され、その後商号変更や組織変更を繰り返し、2018年(平成30年)4月に現在の商号へ変更した。 請求人の企業規模は、資本金3億5000万円、売上高6586億円(令和3年度)、連結従業員数1万7327人(令和4年4月1日時点)であり、名実ともに我が国を代表する企業の一角を占める。 さらに、請求人は、子会社、関連会社を含む海外拠点を設けることにより、常にグローバルマーケットを視野において事業を展開するものである。そのため、請求人は日本国内のみならず外国においても取引者、需要者の間に広く知れ渡っている。 (2)最高裁判所判例等にもとづく詳述 商標法第4条第1項第15号については、最高裁平成10年(行ヒ)第85号同12年7月11日第三小法廷判決(甲3)の判例や、これに加えて特許庁商標課編商標審査基準15版(甲4)の基準、すなわち(ア)当該商標と他人の表示との類似性の程度、(イ)他人の表示の周知著名性及び(ウ)独創性の程度や、(エ)当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに(オ)商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情、(カ)ハウスマークか否か(キ)企業における多角経営の可能性などをもとに詳述する。 ア 類似性の程度について 本件商標は、標準文字の「スタディサプリ」よりなるところ、引用商標1及び引用商標3も、標準文字の「スタディサプリ」よりなるものである。 そのため、本件商標と引用商標1及び引用商標3とは、同一の商標であることは明らかである。 さらに、引用商標2も、標準文字の「STUDYSUPURI」(審決注:「STUDYSAPURI」の誤記と認める、以下同じ。)よりなるものであるため、「スタディサプリ」の称呼において共通する。 そうすると、外観・称呼・観念の各観点を総合的に考慮すると、本件商標と引用商標2とは、互いに類似するものといわなければならない。 イ 周知著名性について (ア)請求人提供役務について 請求人が提供する「スタディサプリ」の名称の役務(以下「請求人提供役務」という。)は、小学生・中学生・高校生、さらに、学習意欲が高い社会人や主婦を対象として、授業動画を配信するオンライン学習サービスであり、旧サービスと統合する形で2016年2月25日にその提供が開始されたサービスである。 請求人提供役務は、140万人を超える個人の利用者のみならず(甲5)、その実績や高い学習効果が認められた結果、全国約2500校もの教育機関や自治体でも導入、活用されている実績がある(甲6)。 このように、請求人提供役務は、裾野が広い取引者、需要者に幅広く受け入れられている。 (イ)広告宣伝について 請求人提供役務についての、有名なタレント、俳優を起用したTVCM(甲7~甲12)は、全国各地の放送局において、昼夜を問わす放送されている(甲14~甲50)。 その結果、請求人提供役務は、学習者、受験生、教育機関などの取引者、需要者はもとより一般的な取引者、需要者からも広い認知を獲得するに至っている。 (ウ)小括 以上のとおり、引用商標は、請求人の業務に係る商品・役務を表示するものとして、取引者、需要者の間では本件商標の登録出願時及び登録査定時において広く認識されその結果、周知著名性を獲得したものである。 ウ 独創性の程度について 引用商標は「勉強する、学習する」を意味するものとして広く知られた語である「スタディ」、「STUDY」と「栄養補助食品,健康機能食品」を意味する「supplement」、「サプリメント」の略称として広く知られている「サプリ」、「SUPURI」の文字を結合させたものであり、この点において引用商標は請求人の創出に係る造語よりなるものといわなければならない。このことは「スタディサプリ」、「STUDYSUPURI」の各文字が一般的、専門的な辞書、辞典類に一切掲載されていないことからも首肯できる。 エ 役務及び商品の性質・用途・目的における関連性について 引用商標を使用する役務(請求人提供役務)は、主にアプリケーションソフトウェアを通じて学習の機会を与える教育サービスである。これに対して、本件商標の指定商品は、第5類「サプリメント」(以下「本件指定商品」という。)であることから、アプリケーションソフトウェア、教育サービスとの間に商品・役務の性質上の共通性は確かに認められない。 しかしながら、請求人提供役務においても、本件指定商品においても、共通する用途は「勉強用、学習用」であり、その共通する目的は「高い学習効果を得ること」である。そのため、請求人提供役務と本件指定商品とは、役務及び商品の性質こそことなるものの、その役務及び商品の用途・目的は共通するものといわなければならない。 したがって、請求人提供役務と本件指定商品とは、役務及び商品の用途・目的が共通する。 オ 取引者、需要者の共通性その他取引の実情について 教育業界においては、学習・勉強を継続する際に、記憶力/集中力向上を目的として、主に学習者や受験生がサプリメントを摂取する傾向にある。そのため、サプリメント業界においては、学習者・受験生向けに多くのサプリメントが販売されている実情がある(甲51~甲53)。そして、上記のとおり、教育業界においては、請求人提供役務は、学習者や受験生などの個人はもとより、学校その他の教育機関においても幅広く利用されている実情がある。 そのため、請求人提供役務と本件指定商品とはその取引者、需要者の範囲が大部分において重なり合うこととなり、その取引者、需要者は共通するといって差し支えない。 カ ハウスマークか否かについて 引用商標は、請求人及びそのグループ企業のハウスマークを表すものではない。 キ 企業における多角経営の可能性について 現在、請求人及び請求人のグループ企業(以下「請求人グループ」という。)は、国内外に渡る複数の事業会社を通じて多角的、かつ、多種多様な事業を展開している取引の実情がある。 とりわけ、請求人グループの中核会社である請求人においては、13の事業を展開しており、その各々の事業分野でトップランナーの位置づけにある。このような取引の実情に鑑みれば、たとえ現時点において、サプリメントの製造販売に関する事業を開始していない状況であったとしても、将来的に請求人が現に推進している多角的経営の一環として、サプリメント事業を展開する可能性は十分に存在するものといわなければならない。 (3)小括 以上に述べたとおり、本件商標と同一又は類似性が極めて高い引用商標は、上述のとおり、周知著名性を獲得しているため、被請求人が本件商標を本件指定商品に使用する場合には、これに接する取引者、需要者は、請求人の多角的経営の一環にかかる製品であると誤認混同し、あるいは、請求人と経済的・組織的に何らかの関係がある者の業務に係る製品であるものと誤認するものといわなければならない。その結果、取引者、需要者が商品の出所について混同するおそれが極めて高いものといえる。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 4 商標法第4条第1項第19号該当性 本件商標は、周知著名性を獲得した引用商標と同一又は少なくとも互いに類似する商標であって、不正の目的をもって使用するものである。 (1)引用商標が周知著名性を獲得していること 前記3(2)イのとおり、引用商標は、請求人の業務に係る商品・役務を表示するものとして、わが国において周知著名性を獲得し、周知著名性は現在においてもなお継続しているものである。 (2)本件商標と引用商標が同一又は互いに類似する関係にあること 前記3(2)アのとおり、本件商標と引用商標とは同一であるか、又は、少なくとも互いに類似する関係にあることは明らかである。 (3)被請求人が不正の目的を有していること 本件商標は、その商標採択の段階から被請求人に「不正の目的」があったものといわざるを得ない。 この点、本件商標について、本件審判の請求前である令和4年9月28日ないし令和5年4月24日に、請求人と被請求人間で商標権に関する交渉を書面上で行った(甲54~甲59)。 当該交渉において、請求人は、当初、本件商標に関する商標権の譲渡を申し入れており、これに対して、被請求人側も適正価格であれば本件商標の商標権譲渡を検討する意思を有していた。 そこで、請求人側で検討を重ね、一般的な商標権譲渡価格としては比較的高額である50万円を提示したところ、被請求人は、当該譲渡価格を無視した上で常軌を逸した譲渡価格である3億7000万円を提示した(甲54~甲59)。 このように、被請求人は、周知著名性を獲得した引用商標と同一又は少なくとも互いに類似する関係にある本件商標をあえて登録出願した点、本件商標に関する事業の準備を何ら執り行っていないにもかかわらず、不当に高額、かつ、根拠に乏しい非合理的な価格での買い取りを迫った被請求人による一連の行為を考慮すると、被請求人には、請求人が第5類において商標登録を得ていないことを奇貨として、不当に高額で買い取らせるために先取り的に出願したものといわなければならず、この点において被請求人に「不正の目的」があったことを強く推認せざるを得ない。 (4)小括 以上より、本件商標は、既に周知著名性をゆうに獲得した引用商標と同一又は少なくとも互いに類似する商標であって、不正の目的をもって使用するものであることは明らかである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。 5 商標法第4条第1項第7号該当性 (1)裁判例について 商標法第4条第1項第7号については、知的財産高等裁判所において、「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」には,当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり,登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合などが含まれるというべきである(平成17年(行ケ)第10349号平成18年9月20日判決(甲60))旨判示され、「他人の商標の剽窃的な出願であるか否か」については、平成21年(行ケ)第10297号平成22年8月19日判決(甲61)において判示されている。 (2)被請求人が登録出願時に悪意であったこと 請求人提供役務は、前記3(2)イのとおり、周知著名性を獲得したものといえ、その周知著名性は現在に至るまで継続している。そうであるにもかかわらず、被請求人のみが引用商標を知り得ないとする特別な事情は全く存在しない。 このように、被請求人は、引用商標の存在を十分に認識し得る状況下において、引用商標と同一又は少なくとも互いに類似する文字構成よりなる「スタディサプリ」の文字を含む商標態様について登録出願を行っている。そうすると、被請求人は、遅くとも本件商標の登録出願時には請求人提供役務である「スタディサプリ」ブランドの存在については悪意であったものと容易に推認し得る。 (3)本件商標が剽窃的な出願であること さらに、前記3(2)アのとおり、本件商標と引用商標とは同一又は少なくとも互いに類似するものであるところ、引用商標に係る「スタディサプリ」の語は請求人が独自に採択した独創的な造語であり、さらに、被請求人が本件商標を採択する必然的な理由が見出だせないことからすれば、被請求人が本件商標の採択において引用商標と偶然に一致したとするのは、極めて不自然であるものといわなければならない。さらに、被請求人は、引用商標に化体した業務上の信用、グッドウィルにフリーライドする意思を持っていることは明らかである。 そのため、被請求人は、前記意思を持って剽窃的に本件商標を登録出願し、請求人に無断で登録を得たものと考えざるを得ない。 (4)小括 以上より、本件商標は、登録に至る出願の経緯において著しく社会的妥当性を欠くものであり、この登録を認めることは、商標法の予定する秩序を害するおそれがあることは明らかである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。 第4 被請求人の主張 被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第14号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 被請求人が本件商標の登録出願をした経緯 (1)被請求人について ア 被請求人は、平成26年に設立された化粧品や健康食品などの企画開発・販売事業を行う会社である。その企業規模は、資本金1億4000万円(資本準備金含む)であり(乙1)、従業員数は70名(令和5年8月末時点)である(乙2)。 イ 被請求人の主な商品は、スキンケア製品や、多種多様なサプリメントである(乙3~乙6、乙9)。 ウ 被請求人の商品の販売事業は、主に製造業者やブランドが直接消費者に製品やサービスを提供する手法(Direct-to-Consumer)(以下「D2Cマーケティング」という。)により行われており、被請求人のサイトでの通販やAmazon、楽天市場などのECサイトでの販売を中心に事業を展開している。 商品の販売実績は、設立から5年でEC売上高が65億円(平成31年2月期)に達し(乙7)、直近(令和5年2月期)の売上高は125億4396万円に及んでいる(乙8)。 エ 上記のとおり、被請求人は、化粧品やサプリメント等の健康補助食品の企画開発・販売事業において、一定の実績と規模を有している。 (2)被請求人が本件商標の登録出願をした理由 ア 被請求人は、子供の成長期をサポートするサプリメントを企画開発・販売しており、市場において一定の認知度を得ており(乙6)、今後この分野のサプリメントの企画開発と販売を更に進めていくことを予定している。 そこで、被請求人は、下記イのとおりの考え方と客観的状況についての検討結果に基づき、子供の学習能力支援をコンセプトとするサプリメント商品又は商品シリーズの名称として用いるために本件商標の登録出願を行ったものである。 イ 被請求人の商品の主たる販売手法であるD2Cマーケティングは、オンラインで商品を直接消費者に販売するアプローチであるところ、サプリメント商品は市場に多数存在することから、その商品名は、消費者の目に止まりやすく、他の商品から差別化されるほどの訴求力とインパクトが必要である。また、消費者がサプリメント商品の効果や成分を直感的に理解できるように、明瞭で簡潔な商品名が望ましい。 以上の観点を踏まえ、子供の学習能力支援をコンセプトとするサプリメント商品の名称とした本件商標は、構成中の「スタディ」、「サプリ」のいずれの単語も普通名詞である上、既に日本語の一部を成すものとして我が国の日常生活に根を下ろしていることから、被請求人は、一般消費者に対して直感的に学習能力の向上を連想・想起させる用語の組み合わせとして訴求力が高く、かつ、商品の効果や特性を明瞭かつ簡潔に消費者に伝えられる名称として、極めて重要な価値を有するものと判断した。 また、後述のとおり、請求人のグループの事業範囲には、サプリメントの開発・製造・販売やそれに類似する事業は含まれていない。 そこで、被請求人は、現在はもちろん予測可能な近い将来において、請求人グループが本件商標を用いてサプリメントの開発・製造・販売を行い、請求人と被請求人との間に事業の競合が生ずることはないと判断した。 このような検討と判断を経て、被請求人は、本件商標の登録出願に至ったものである。 2 商標法第4条第1項第15号に該当しないこと (1)「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれ」について 請求人は、前記第3の3(3)のとおり本件商標が、「広義の混同のおそれ」にあると主張するものであるところ、特許庁の商標審査基準においても、「混同を生ずるおそれがある商標」に「広義の混同のおそれ」が生ずる場合も含むことが明記されているから、「広義の混同のおそれ」が生ずるか否かは本件商標の登録出願時に既に審査済みの事柄である。 さらに、下記(2)ないし(5)のとおり、前記第3の3(2)の判示に沿って検討してみると、本件商標が請求人提供役務と混同を生ずるおそれがある商標には該当しないことは明らかである。 なお、本件商標と引用商標が類似するものであることについては、ここでは特に争わない。 (2)引用商標の周知著名性について ア オンライン教育サービスという分野においては、請求人提供役務の他に多くの提供事業者やサービスが存在しているところ(乙10)、請求人は、請求人提供役務に係る売上高、市場シェア、占有率など販売実績に係る客観的で具体的な主張を全くしておらず、その証拠も提出していない。 そうすると、引用商標及び請求人提供役務は、オンライン教育サービスという分野に限ってみてもその認知度、知名度は明らかではないというべきであり、したがって、需要者の間に広く知られていると認めることはできない。 イ また、教育産業市場全体の売上が2兆8399億円(2021年度)であるのに対し(乙11)、請求人提供役務を含むデジタル教育コンテンツ市場規模(「映像授業」「デジタル教材」「授業・学習支援ツール」3分野の合計)は、569億円(2021年度)であって(乙12)、市場規模でみれば教育産業全体の約2%にすぎない。 ウ 以上の諸点を踏まえると、仮に、引用商標及び請求人提供役務がオンライン教育サービスにおいて一定の知名度を有していたとしても、教育産業全体でみれば、その取引者や需要者への周知度は極めて限定的なものにすぎないというべきである。 エ さらに、請求人提供役務に係るTVCMの内容(甲7)をみても、引用商標1及び引用商標3は、画面上に瞬間的に表示されはするものの、ナレーションでは請求人において商標登録をしている「スタサプ」との呼称(登録第5833440号)が主に用いられており、ナレーションで「スタディサプリ」との呼称が一切使用されていないTVCMも多く存在している。 このようなTVCMに接した視聴者からすれば、請求人提供役務を示す呼称を「スタサプ」と認知することはあっても引用商標1及び引用商標3とは認識しない可能性が高い。このように、請求人提出に係るTVCMの証拠に照らしても、引用商標が必ずしも広く周知されているとはいえないことがわかる。 また、引用商標2については、そもそもTVCMにおいて全く表示されていない上、請求人自身が「STUDYSAPURI」につき、複数回にわたって「SUPURI」又は「STUDYSUPURI」と表記している(審判請求書11頁)ことは、引用商標2が全く周知されていないことをわかりやすく示す証拠になっている。 オ 以上の諸点からすれば、引用商標は、著名性はおろか、広く周知性を有しているとはいえない。また、仮に周知性が認められるとしても、それは教育事業の中でも極めて限定的な分野であるオンライン教育サービスの取引者、需要者に対しての一定の知名度にとどまるものであって、その周知性が請求に係る商品に及んでいないことは明らかである。 (3)引用商標の独創性の程度について 引用商標は、「スタディ」と「サプリ」の文字からなり、いずれも一般に親しまれた既存の英単語又はその略語の組合せからなるものであり、その独創性の程度は低いものである。 また、一般的な用語と「サプリ」との用語の組合せからなる商標は、様々な指定商品において多数の商標登録がなされている(「ミュージックサプリ」登録4954556号等)。 このような観点からしても、引用商標の独創性は低いものであることがよくわかる。 (4)本件指定商品と請求人提供役務との間の性質、用途又は目的における関連性の程度 ア 本件商標は、サプリメント(商品)を対象とするものである。これに対し、引用商標が対象とするものは、サービス(役務)であり、そもそも対象を全く異にするものである。 具体的にみても、請求人提供役務は、インターネットやアプリケーションソフトウェアを通じて提供されるサービスであるのに対し、本件指定商品はサプリメントであり、需要者が一般消費者であるという以外に共通点はなく、その性質や用途、目的は全く異なるものであり、関連性は極めて薄いというべきである。 イ この点につき、請求人は、本件指定商品と請求人提供役務が「勉強用、学習用」であり「高い学習効果を得る」という点において用途、目的が共通するものであると述べる。 しかし、本件指定商品である知的能力向上のサプリメント商品の主な目的は、脳の機能を最適化することや集中力を向上させることなどであり、直接的な知識の習得は期待されていない。一方、オンライン教育サービスは、具体的な知識やスキルの習得を目的とするものである。 また、サプリメントは体の中から認知能力を高める手段であるのに対し、オンライン教育サービスは具体的な情報や知識、スキル獲得の手段である。 このように、本件指定商品と請求人提供役務とは、その性質が基本的に異なるばかりか、その利用する目的や用途においても大きな違いが存在する。 (5)商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情 ア 需要者の共通性について 需要者において出所の混同を生ずるおそれがあるか否かという点が問題となっていることを踏まえれば、それぞれの商品、役務の需要者の範囲を「学習者や受験生など」と抽象的に画定することは相当ではなく、その需要者を各商品又は役務に即して具体的に画定して論ずるべきである。 このような観点から検討すると、本件指定商品の需要者として想定されるのは、「成長期の子供」であり、主に義務教育対象年齢である小学生、中学生を中心とした子供及び高校生(さらに具体的にいえば、その保護者)である。他方、請求人提供役務の需要者は、英会話やTOEIC対策講座、大学受験講座がその多くを占めている(甲7)ことからすれば、その需要者は、小学生や中学生等の子供ではなく、主に英語学習を行う成人や大学受験生であると考えられ、本件指定商品の需要者と一部重なる部分がないとはいえないものの、大部分において一致するものではない。 この点に加え、上記(4)のとおり、サプリメントとオンライン教育サービスは、その利用する目的や用途において基本的な違いが明確に存在するものである。同じ学習者、受験生であっても、サプリメント商品によって知的能力向上を欲する者と、オンライン教育サービスによって知識とスキルを獲得することを欲する者は、そのニーズやアプローチが異なるから、需要者が全く異なるとはいえないとしても、大部分において一致するものでないことは明らかである。 以上のとおり、それぞれの商品、役務の需要者が重なり合う部分は極めて乏しいというべきである。 イ 引用商標がハウスマークであるか否かについて 引用商標は、請求人の一サービスの名称を示すものにとどまり、請求人のハウスマークでないことについては争いがない。 ウ 企業における多角経営の可能性について 請求人グループの事業は、もっぱらヒューマンリソーステクノロジー事業、マッチング&ソリューション事業及び人材派遣事業であり、その事業範囲には、サプリメントの開発・製造・販売やそれに類似する事業は含まれていない。 また、請求人グループの中核をなす事業として広く知られるのは、あくまでも、請求人提供役務においてみられるようなインターネット上のコンテンツの配信や事業者と消費者をつなぐプラットフォームサービス事業であり、他方で、サプリメントを含む食品・薬品等の製造・販売に係る事業分野での知名度は全く無く、同分野への進出が公開資料等でアナウンスされたという事情もない(乙13)。 したがって、本件商標の登録出願時点において、請求人を含む請求人グループがサプリメント事業を展開する可能性は主観的にも客観的にも認められない状況であったというべきである。 (6)小括 上記事実を総合すると、本件指定商品の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準としても、被請求人が本件指定商品について本件商標を使用しても、当該商品が請求人又は同人と経済的若しくは経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じるおそれはないというべきである。 また、商標法第4条第1項第15号は、最高裁平成10年(行ヒ)第85号同12年7月11日第三小法廷判決(甲3)の判示のとおり、周知表示又は著名表示へのただ乗り(いわゆるフリーライド)及び当該表示の希釈化(いわゆるダイリューション)を防止し、商標の自他識別機能を保護することによって、商標を使用する者の業務上の信用の維持を図り、需要者の利益を保護することを目的とするものである。そうすると、引用商標は、オンライン教育サービスという教育産業の中でも極めて限られた分野において一定程度の認知度を有しているにとどまり、その周知性が本件指定商品には及んでいないこと、本件指定商品と請求人提供役務の性質、用途、目的が明確に異なり、需要者も大部分において一致しないことからすれば、被請求人において、引用商標の信用や顧客誘引力にフリーライドすることが考えられる客観的状況にないし、被請求人がそのような主観的意図を抱くこともなかったものである。 したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当しない。 3 商標法第4条第1項第19号に該当しないこと (1)引用商標が周知著名性を有していないこと 前記2(2)のとおり、引用商標は、オンライン教育サービスのユーザーにおいて一定の認知度しか有しておらず、広く周知性を有しているものではないことは明らかである。 (2)「不正の目的」をもって本件商標を使用するものではないこと ア 請求人は、被請求人が不当に高額で買い取らせるために先取的に本件商標出願したなどと述べて、被請求人に不正の目的があったなどと主張する。 イ しかし、上記(1)のとおり、引用商標は、広く周知性を有しているものではない。したがって、被請求人において、引用商標の信用や顧客誘引力にフリーライドする必要もない客観的状況であったことは明らかである。 ウ また、前記1(2)のとおり、被請求人は、子供の成長期をサポートしていくサプリメントの企画開発と販売を更に進めていくことを予定していること、及び、本件商標は、当該新商品の名称として重要な価値を有するものであるために登録出願されたものである。 エ 加えて、被請求人から請求人に対し、本件商標の買取りを持ち掛けたという事実もない。 すなわち、被請求人は、本件商標の登録出願した後、請求人に対して買取交渉等を持ち掛ける言動は一切しておらず、本件商標を用いた新商品の準備を進めていたところ、請求人からの令和4年9月28日付けの突然の通知により、本件商標の放棄を求められた(甲54)。 これに対し、被請求人は、自社の新商品に使用するために本件商標を取得したものであり、不当に高額な買取りを要求する意図はないこと、及び請求人が譲渡を希望しない場合は当初の予定どおり本件商標を新商品に使用する予定である旨回答している(甲55)。このように、上記交渉の経緯をみても、被請求人が、本件商標を高額で買い取らせることを目的として商標登録に及んだというべき事実は全くない。 また、前記3億7000万円という金額は、被請求人が買取価格として提示した金額ではない。すなわち、請求人は、被請求人の事業における本件商標の価値を全く考慮しない50万円という極端に低額で非常識な譲渡価格の提示に終始していたため、被請求人から請求人に対して、真面目に交渉をする気があるのであれば、サプリメント商品の製造・販売事業における本件商標の価値を再検討して適正または合理的な譲渡対価の検討をするよう求めたにすぎず、上記金額でなければ一切譲渡には応じない等と述べてはいない(甲57、甲58)。 オ 以上のとおり、被請求人は、本件商標の登録出願以前から子供の成長期向けの健康食品やサプリメント商品の企画開発・販売事業を行っていたばかりか、今後、子供の成長期をサポートするサプリメント商品の企画開発・販売事業を展開するという事業計画の下に、本件商標の登録出願に及んだのである。 したがって、本件商標の登録出願に不正の目的は全く存在しない。 4 商標法第4条第1項第7号に該当しないこと (1)既に述べたとおり、被請求人は、今後、子供の学習能力支援をコンセプトとするサプリメントの新商品の事業展開及び売上計画の達成において必要性が高いために本件商標を登録出願したのである。 他方で、引用商標は、オンライン教育サービスのユーザーにおいて一定の認知度しか有しておらず、その周知性は本件指定商品であるサプリメントまで及ぶものではなかった上、請求人グループの中核をなす事業として広く知られるのは、インターネット上のコンテンツの配信や事業者と消費者をつなぐプラットフォームサービス事業であり、サプリメント商品の製造・販売は行っていなかったものであるし、その予定や計画もなかった。 加えて、本件商標について、被請求人から積極的に請求人に対して買取等を要求したという事実もない。 このように、本件商標は、平成17年(行ケ)第10349号平成18年9月20日判決の「・・・引用商標を付した商品が市場に出回ることを想定して、先んじて商標を取得するために出願に及んだと認められること」及び「商標権譲渡による不正な利益を得る目的、あるいは損害を与える目的で出願されたものであること」(甲61)に当たる事実は全くない。 (2)以上のとおり、本件商標は、その登録出願について、他人の商標を不正目的で先回りして出願するといった剽窃的な出願であることを根拠づける事実は全くない。 このように、出願経緯等に社会通念に照らして社会的相当性を欠くところは全くないから、本件商標登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ない場合に該当しないことは明らかである。 第5 当審の判断 請求人が本件審判を請求するにつき、利害関係については何ら争っておらず、また、当審は請求人が本件審判を請求する利害関係を有するものと認める。 以下、本案について判断する。 1 商標法第4条第1項第15号について (1)引用商標の周知性について ア 請求人の提出した証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。 (ア)請求人は、2016年2月25日より「スタディサプリ」の名称のオンライン学習サービス(請求人提供役務)の提供を開始した(請求人主張)。 (イ)請求人提供役務は、2020年9月5日において140万人の有料会員が存在し、同年4月26日において2500校以上の高校(中高一貫も含む)が導入している(甲5、甲6)。 (ウ)請求人は、キー局、ローカル局を含む日本全国のテレビ局において2016年3月より請求人提供役務に係るテレビコマーシャルの放送を開始し、本件商標の登録査定日(令和4年(2022年)4月14日)及びそれ以降も継続的に放送を行っている。その放送回数は、放送局毎に1日に数回程度から、多いときには40回程度の放送が行われていることもある。また、東京及び大阪においてはほぼ毎日放送がされている。そして、その放送時刻も早朝から深夜にわたる(甲14~甲50)。 当該テレビコマーシャルは、2021年に開催された東京オリンピックやFIFAワールドカップカタールアジア地区最終予選、日本対オマーンのテレビ放送等、我が国において注目を集める内容の放送内においても放送された(甲20~甲23)。 (エ)当該テレビコマーシャルは多数の種類があるが、その全てにおいては、画面上に「スタディサプリ」の文字が表示される。また、「スタディサプリ中学受験」、「スタディサプリイングリッシュ」等、「スタディサプリ」の音声が使用されているものもある(甲7~甲12)。 イ 上記アの事実によると、請求人提供役務は、2016年2月より提供が開始され、同年3月より当該役務のテレビコマーシャルが開始されている。 そして、その放送回数は全国の各放送局において1日に数回程度から、多いときには40回程度の放送が行われていることもある。また、東京及び大阪においてはほぼ毎日放送がされていることに加え一地域には複数の放送局が存在することからすれば、当該地域におけるテレビコマーシャルの放送回数は相当数であったと推認でき、その放送時間帯も早朝から深夜におよぶことから、視聴者が視聴する機会の多いコマーシャルといえる。さらに、東京オリンピックやワールドカップアジア予選等、我が国において注目を集めるテレビ放送においても当該役務のテレビコマーシャルが放送された。 当該テレビコマーシャルにおいては、「スタディサプリ」の文字が表示され、「スタディサプリ中学受験」、「スタディサプリイングリッシュ」等、「スタディサプリ」の音声が発せられているものもある。 また、請求人提供役務は、提供開始から4年後の2020年には、140万人の有料会員が存在し、2500校以上の高校において導入されている。 そうすると、請求人提供役務は、本件商標の登録出願時(令和3年10月29日)及び登録査定時(令和4年4月14日)において、我が国の需要者の間に広く認識されているものと認められる。 ウ 請求人提供役務は、オンライン学習サービスであるところ、当該サービスは、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授」の範ちゅうの役務であると認められるから、当該役務を指定役務中に含む引用商標3は、請求人提供役務を表す商標として、我が国の需要者の間に広く認識されているものと判断するのが相当である。 しかしながら、引用商標1は、その指定商品及び指定役務中に、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授」は含まれていないことから、請求人提供役務に使用するものではなく、引用商標2は周知性はもとより使用の事実も立証されていないことから、引用商標1及び引用商標2は、我が国の需要者の間に広く認識されているものとは認められない。 (2)本件商標と引用商標3の類似性の程度について 本件商標と引用商標3とは共に「スタディサプリ」の文字を標準文字で表してなるものであるから、同一の商標と認められる。 なお、商標の類似性について両当事者に争いはない。 (3)引用商標3の独創性の程度について 引用商標3は、前記第2の3のとおり「スタディサプリ」の文字よりなるところ、当該文字は、「勉強する、学習する」の意味として広く知られている「study」の文字の表音を片仮名表記した「スタディ」の文字と「サプリメント」の略称として広く知られている「サプリ」の文字を結合したものと容易に認識できる。 そして、当該「スタディ」の文字は、請求人提供役務との関係では、役務の内容、用途を表す文字と理解できるところ、「サプリ」の文字は、「サプリメント」の略称として広く知られた文字であるとしても、請求人提供役務との関連はなく、「スタディ」の文字と一体となって何らかの意味を表すものでもないから、当該「スタディサプリ」の文字全体として、一種の造語というべきでありその独創性は低くはないといい得るものである。 (4)本件商標の指定商品と請求人提供役務の関連性及び需要者の共通性について 本件商標の指定商品は、第5類「サプリメント」であるのに対し、請求人提供役務はオンライン学習サービスであって、両者に関連性はあるとはいえないが、両者とも一般需要者を対象とするものであって、需要者においては共通する場合がある。 (5)出所混同のおそれについて 上記(4)のとおり、本件商標の指定商品と請求人提供役務とは商品及び役務の関連性はないものの、上記(2)のとおり、本件商標と引用商標3とは同一の商標であり、上記(1)のとおり、引用商標3は、請求人提供役務を表示するものとして我が国の需要者の間に広く認識されているものである。 そして、上記(3)及び(4)のとおり、請求人提供役務における引用商標3の独創性は低くはなく、本件商標の指定商品と請求人提供役務の需要者も一般需要者で共通にする場合がある。 そうすると、本件商標の指定商品に本件商標を使用した時には、これに接する需要者、取引者は、当該商品から請求人提供役務の名称である引用商標3を想起し、当該商品が請求人又は請求人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係若しくは同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品(サプリメント)であると誤信されるおそれがあるといわざるを得ない。 (6)小括 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 2 商標法第4条第1項第7号について 請求人は、本件商標が剽窃的に登録出願された等を主張しているが、請求人の提出した全証拠を見ても、本件商標が、その出願及び登録の経緯に社会的相当性を欠くなど、商標法第4条第1項第7号にいう「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に当たるというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は商標法第4条第1項第7号に該当しない。 3 商標法第4条第1項第19号について 前記1のとおり、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、同項第19号かっこ書き「前各号に掲げるものを除く。」により、同号には該当しない。 4 被請求人の主張について (1)被請求人は、請求人を含む請求人グループは、サプリメントの開発・製造・販売及びそれに類似する事業は含まれていないから請求人と被請求人に事業の競合はなく、特許庁の審査においても本件商標が請求人提供役務と混同のおそれはないと判断された旨を主張する。 しかしながら、商標登録の無効の審判制度は、過誤による商標登録を存続させておくことは、本来であれば権利として存在できないものに排他独占的な権利の行使を認める結果となるので妥当ではないからという点にあるから、登録出願の審査において登録すべきとされたものが、無効審判の審理においてその登録を無効にすべき旨の審決がされることはあり得るものであり、前記3(5)のとおり、本件商標は、その指定商品に使用した時には、商品の出所について混同を生ずるおそれがある商標というべきである。 (2)被請求人は、請求人が請求人提供役務に係る売上高、市場シェア、占有率などの販売実績を主張しておらず、また、オンライン教育サービスの市場規模は、教育産業全体の2%にすぎないから、引用商標は周知性を有さない旨主張する。 しかしながら、売上高、市場シェア、占有率などの販売実績は周知性を検討するための要件の一つに過ぎず、具体的な販売実績がなければ商標の周知性を判断することができないものではない。そして、引用商標3の周知性については、前記1(1)のとおり判断したものである (3)したがって、被請求人の主張はいずれも採用できない。 5 まとめ 以上のとおり、本件商標の登録は商標法第4条第1項第15号に違反してされたものであるから、同法第46条第1項の規定により、無効とすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2023-890046

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存