商標無効審判
2023-890039
ラークボックス、ラーク、ボックス、ビイオオエックス
- 審判番号
- 2023-890039
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 無効審判(無効の審決)
- 出願番号
- 商願2021-051321
- 登録番号
- 6517943
- 請求日
- 2023年05月12日
- 審決日
- 2024年09月25日
- 公報発行日
- 2025年04月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】フーベイ ジー スー カン ディエン テクノロジー シーオー., エルティーディー.
- 【請求人代理人】稲葉 良幸
- 【請求人代理人】田中 克郎
- 【請求人代理人】石田 昌彦
- 【請求人代理人】栗下 清治
- 【被請求人】馳為創新科技(深▲せん▼)有限公司
- 【被請求人代理人】岡村 太一
- 審判長/審判官
- 審判長 山田 啓之
- 審判官 杉本 克治
- 審判官 渡邉 あおい
- 分類
- T111 .261-Y (W09) / T111 .262-Y (W09) / T111 .263-Y (W09)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号商標法46条1項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第6517943号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
1 本件商標
本件登録第6517943号商標(以下「本件商標」という。)は、「LarkBox」の文字を標準文字で表してなり、令和3年4月26日に登録出願、第9類「ノートブック型コンピュータ,タブレット型コンピュータ,コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),ラップトップ型コンピューター,モニター,携帯型メディアプレーヤー,テレビジョン受信機,コンピュータ,コンピュータ周辺機器,イヤホン」を指定商品として、同4年1月27日に登録査定、同年2月24日に設定登録されたものである。
2 請求人が引用する商標
請求人が、本件商標の登録の無効の理由において引用する登録商標(以下、まとめていうときは「引用商標」という。)は、次の(1)及び(2)のとおりであり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
(1)登録第6192156号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様:LARK(標準文字)
登録出願日:平成30年11月8日
設定登録日:令和元年10月25日
指定商品・指定役務:第9類「スマートフォン・携帯電話用カバー,スマートフォン・携帯電話用ケース,スマートフォン用保護ケース,その他のスマートフォン・携帯電話用の附属品,アプリケーションソフトウェア,スマートフォン用アプリケーションソフトウェア,ダウンロード可能なコンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア,業務の生産性向上を支援するためのアプリケーションソフトウェア」のほか、第35類、第38類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務
(2)登録第6369844号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様:LARK(標準文字)
登録出願日:令和2年3月18日
設定登録日:令和3年3月29日
指定商品:第9類「テレビ会議システム用電気通信機械器具及びソフトウェア,リアルタイムで行う会議用ソフトウェア,コンピュータハードウェア,タブレット型コンピュータ,コンピュータ周辺機器,コンピュータ,携帯電話機,スマートフォン,腕時計型スマートフォン,増幅器,ヘッドホン,スピーカー用ホーン,相互通信装置,スキャナー,スピーカー,マイクロホン,映写装置,スライド映写機,眼鏡型携帯情報端末,録音装置,遠隔制御装置,スピーカー用筐体,カメラ,撮影機,データ処理装置,電子書籍リーダー,小型電子翻訳機,眼鏡,自撮り棒(手持用一脚),バッテリーチャージャー,電話機械器具,テレビジョン受信機,バーチャルリアリティ用ヘッドセット,測定装置,光学用機器,音響式警報器,電気アダプター,空気分析装置,アニメーションを内容とする記録済み媒体及び動画ファイル,留守番電話機,混信防止装置,盗難警報器,教育用映像周波機械器具・教育用音声周波機械器具・その他の教育用視聴覚機械器具,未記録の生体認証身分証明書用磁気カード,インボイス作成機,時間記録用装置」
3 請求人の主張
請求人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、その登録は同法第46条第1項第1号により無効とされるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
なお、以下、証拠の表示については、「甲第○号証」を「甲○」のように、簡略して記載する。
(1)商標法第4条第1項第11号
ア 本件商標について
本件商標は、「Lark」と「Box」を結合してなり、先頭の文字が大文字で表されていることから、それぞれの構成文字が分離して認識され得る。
その構成文字のうち、「Box」の文字は、「箱」といった意味のほか「コンピュータ」の俗称としても用いられるものである(甲4)。
そうすると、本件商標の指定商品であるコンピュータ関連製品との関係では、「Box」の文字部分の識別力は弱く、「Lark」の文字部分のみが出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる。
そのため、本件商標からは、その全体から生じる「ラークボックス」の称呼のほか、その要部に応じて「ラーク」の称呼も生じる。また、「Lark」の語は、「ヒバリ」の意味を有しているため、全体として「ヒバリのコンピュータ」といった観念のほか、その要部に応じて「ヒバリ」の観念も生じる。
イ 引用商標
引用商標は、「LARK」の欧文字を、一連に横書きしてなるものであり、「ラーク」の称呼と、「ヒバリ」の観念を生じる。
ウ 本件商標と引用商標の比較
本件商標と引用商標とは、特に目につきやすい語頭の「Lark」の文字部分が共通するため、両者は外観上も一定の類似性を有している。
本件商標からは「ラークボックス」の称呼を生じるほか、その要部に応じて「ラーク」の称呼も生じるのに対し、引用商標からは、「ラーク」の称呼が生じ、両者は「ラーク」の称呼が共通する。したがって、本件商標と引用商標は、称呼上類似である。
本件商標からは「ヒバリのコンピュータ」といった観念のほか、「ヒバリ」の観念も生じるのに対して、引用商標からは、「ヒバリ」の観念が生じるため、両者は「ヒバリ」の観念が共通する。したがって、本件商標と引用商標は、観念上類似である。
エ 取引の実情
請求人は、引用商標以外にも「Lark」の文字をその構成に有する複数の商標を使用し、また、出願・登録も行っている。したがって、本件商標に接する需要者、取引者が「Lark」の文字をその構成に有する本件商標を請求人の識別標識と誤認混同する可能性は高い。
オ 指定商品の類否
本件商標の指定商品は、引用商標1の指定商品中、第9類の指定商品と、及び引用商標2の指定商品中、第9類「テレビ会議システム用電気通信機械器具及びソフトウェア,リアルタイムで行う会議用ソフトウェア,コンピュータハードウェア,タブレット型コンピュータ,コンピュータ周辺機器,コンピュータ,携帯電話機,スマートフォン,腕時計型スマートフォン,増幅器,ヘッドホン,スピーカー用ホーン,相互通信装置,スキャナー,スピーカー,マイクロホン」と、同一又は類似する。
カ 小括
以上のとおり、本件商標は、引用商標と、少なくとも称呼及び観念が共通し、取引の実情も総合的に考慮すると、両者は類似と判断される。また、その指定商品と同一又は類似の商品について使用するものである。
(2)むすび
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
4 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第8号証を提出した。
なお、以下、証拠の表示については、「乙第○号証」を「乙○」のように、簡略して記載する。
(1)本件商標について
請求人は、本件商標の「Lark」及び「Box」の先頭の文字が大文字で表されていることから、それぞれの構成文字が分離され得る旨を主張する。しかし、各構成文字の先頭を大文字にした商標が一体不可分に捉えられている例は一般に見受けられ(乙1、乙2)、それのみをもって「Lark」と「Box」が分離するとはいえない。むしろ、「Lark」と「Box」は、文字間にスペースがなく、一般的な英文では単語間にスペースが入ることからすると、外観上一体的である。
また、請求人は、「Box」の文字が「コンピュータ」の俗称として用いられることから、本件商標の指定商品との関係では識別力が弱い旨を主張する。しかし、辞書に「コンピュータ」の俗語である旨の記載があっても、それが一般の需要者に認識されていることを示す証拠は示されていない。むしろ、甲第4号証には「〈米俗〉コンピューター」との記載があり、これは米国での俗語を意味するから(乙3)、米国の俗語が我が国における主な需要者である日本人一般に理解されているとは到底いえない。さらに、日本人に馴染みのある英単語は日本語として国語辞典にも掲載されているところ、「ボックス(box)」の国語辞典上の意味に「コンピュータ(一)」はない(乙4)。このため、「Box」は、「コンピュータ」を意味する語として需要者に理解されるとはいえず、自他商品識別力を有する。したがって、本件商標の「Box」が商品の出所識別標識としての称呼、観念が生じないとは認めらない。また、「Lark」の文字部分のみが出所識別標識として強く支配的な印象を与えることもない。
さらに、請求人は、「Lark」の語が「ヒバリ」の意味を有している旨を主張する。しかし、この意味が一般に認識されているとはいい難い上、これを示す証拠は提出されていない。
したがって、本件商標は「ラークボックス」のみの称呼を生じ、特定の観念を生じない。また、仮に「Lark」が「ヒバリ」の意味として需要者に認識されることがあったとしても、全体として「ヒバリ(という鳥)の箱」のような観念を生じることになり、「ヒバリ」の観念を生じない。
(2)引用商標1との類否について
請求人は、引用商標1から「ヒバリ」の観念が生じる旨を主張する。しかし、上記(1)のとおり、「Lark」から特定の観念は生じない。したがって、本件商標と引用商標1とは観念上類似するといえない。また、仮に本件商標の「Lark」及び引用商標1の「LARK」の文字部分が「ヒバリ」の観念を生じるとしても、全体として「ヒバリ(という鳥)の箱」と「ヒバリ」とでは異なり、観念上非類似である。
請求人は、両商標が外観上一定の類似性を有している旨主張する。しかし、両商標は「Box」の有無という点で明らかに異なり、僅か7文字中3文字の相違が全体としての印象に与える影響は大きい。また、本件商標の「Box」は「Lark」と同じ大きさ、書体及び色彩で横書きに表示されているため、「Lark」のみが目につきやすいということはない。このため、両商標は、外親上も非類似である。
請求人は、本件商標から「ラーク」の称呼が生じる旨を主張する。しかし、上記(1)のとおり、本件商標から「ラーク」の称呼は生じない。そして、両商標の称呼は「ラークボックス」と「ラーク」とで、明瞭に聴別可能である。
したがって、両商標は、称呼上非類似である。
請求人は、同人が「Lark」を含む複数の商標を使用し出願・登録を行っている旨を主張する。しかし、これらの商標が使用されている事実を示す証拠は提出されていない上、出願・登録されていることは取引の実情ではない。したがって、これらを取引の実情として考慮することはできないし、その他、本件商標に係る指定商品と引用商標1及び引用商標2に係る商品の属する分野(以下、まとめて「本件商品分野」という。)において、商品の出所の混同のおそれがあることを示す取引の実情も示されていない。
以上により、本件商標と引用商標1とは、外観、観念及び称呼のいずれの観点からも非類似である。
(3)引用商標2との類否について
請求人は、引用商標2についても引用商標1と同様の主張をしている。したがって、上記(2)と同様の理由で、本件商標と引用商標2とは、外観、観念及び称呼のいずれの観点からも非類似である。
(4)その他
請求人は本件商標に係る登録に対する異議申立てをし、特許庁は当該登録を維持する旨の決定をした(乙5)。理由は、本件商標と引用商標1及び引用商標2とは非類似であるため本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当しないというものであった。請求人は、本件審判において、この異議申立てと同一の事実及び同一の証拠に基づき同一の主張をしている(乙6)。そうすると、このような請求人の主張が認められる理由はない。また、本件商品分野において、「Box」の有無が相違する商標が非類似と判断されその登録が維持決定された事例があり、ここでは「Box」を含む商標が一体のものと認識されるべき旨が述べられている(乙7)。その他、本件商品分野において、「Box」や「BOX」の有無が相違する商標が非類似と判断され併存登録している例が複数存在する(乙8)。
したがって、一般的に見ても個別具体的に見ても、本件商品分野において「Box」等が捨象されないというべきである。
(5)むすび
よって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当せず、本件商標に係る商標登録は同法第46条の規定により無効にされるべきでない。
5 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、「LarkBox」の文字を標準文字でまとまりよく表してなるところ、当該文字は、辞書等に載録されている語ではなく、特定の意味合いをもって認識されているような事情も見いだせないものであるから、構成全体として、一種の造語として理解されるというのが自然である。
そして、本件商標の係る構成においては、これの「Lark」又は「Box」文字部分に着目して、いずれかの文字部分が独立して取引者、需要者に対して、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるというような事情を見いだすことはできず、その構成文字に相応して生じる「ラークボックス」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。
そうすると、本件商標は、その構成全体をもって一体のものとして認識されるというべきであるから、その構成文字に相応して、「ラークボックス」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものである。
なお、請求人は、本件商標の構成中「Box」の語が「コンピュータ」の俗称として用いられるもので、本件商標の指定商品との関係では、識別力が弱いものであると主張するが、たとえ、「Box」の語が、米国において「コンピュータ」の俗称である旨辞書に掲載があるとしても、我が国において、当該意味を有するものとして使用されている事実は認められず、また一般に広く認識されているともいい難いことから、請求人の主張は採用することができない。
イ 引用商標
引用商標は、「LARK」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字に相応して「ラーク」の称呼を生じ、当該文字が「ヒバリ」の意味があるとしても、我が国において、当該意味を有するものとして一般に親しまれているともいい難いから、特定の観念を生じない。
ウ 本件商標と引用商標との類否
本件商標と引用商標とは、本件商標の前半に配された「Lark」の文字つづりが引用商標と同一の文字つづりであるとしても、「Box」の文字の有無に差異を有し、かつ、4文字と7文字の構成文字数の差異によって両者の印象が異なるから、本件商標と引用商標とは、外観において紛れるおそれはないというべきである。
次に、本件商標から生じる「ラークボックス」の称呼と引用商標から生じる「ラーク」の称呼は、後半部分における「ボックス」の音の有無に差異を有するものであるから、これらを一連に称呼しても、両商標は、語調、語感が相違し聞き誤るおそれはないというべきである。
さらに、本件商標及び引用商標からは、特定の観念が生じないので、観念において比較することができない。
そうすると、本件商標と引用商標は、観念において比較することができないものであるとしても、外観、称呼において相紛れるおそれがないから、両者の外観、称呼及び観念によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
その他、両商標が類似するというべき事情は見いだせない。
エ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、両商標の指定商品が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものとはいえないから、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効にすべきでない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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