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商標無効審判

2023-890012

ジコ

審判番号
2023-890012
法域
商標
審判種別
無効審判(無効の審決)
出願番号
商願2020-084387
登録番号
6434255
請求日
2023年02月16日
審決日
2024年04月11日
公報発行日
2024年09月27日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】ジンコ・ソーラー・カンパニー・リミテッド
  • 【請求人代理人】弁理士法人深見特許事務所
  • 【被請求人】ホアン エヌジーオーシー ニュー テクノロジー セービング エネルギー カンパニーリミテッド
  • 【被請求人代理人】小原 弘揮
審判長/審判官
  • 審判長 鈴木 雅也
  • 審判官 山田 啓之
  • 審判官 杉本 克治
分類
T111 .255-Y (W11) / T111 .261-Y (W11) / T111 .262-Y (W11) / T111 .263-Y (W11) / T111 .271-Y (W11)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法4条1項10号商標法4条1項11号商標法4条1項15号商標法46条1項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号、商標法第46条第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の登録第6434255号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6434255号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、令和2年7月8日に登録出願、第11類「ランプ,ガスバーナー,冷蔵庫,空気清浄装置,暖房装置,圧力水槽,浴室用湯沸器,淡水化プラント,浄水用機器,電気式放熱器」を指定商品として、同3年6月15日に登録査定、同年8月26日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 1 請求人が、本件商標の登録の無効の理由において、商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する国際登録第1539829号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、2020年(令和2年)4月21日に国際商標登録出願、第9類「Solar panels for production of electricity; photovoltaic modules; photovoltaic apparatus and installations for generating solar electricity; photovoltaic cells; solar-powered battery chargers; chargers for electric batteries; batteries, electric; solar batteries; power inverters; photovoltaic inverters.」を指定商品として、令和3年10月1日に設定登録され、その商標権は現に有効に存続しているものである。 2 請求人が、本件商標の登録の無効の理由において、商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に該当するとして引用する商標は引用商標1を構成する「JinKO Solar」の文字部分からなる別掲3のとおりの構成よりなる商標(以下「引用商標2」という。)及び「JinKO」の文字部分からなる別掲4のとおりの構成よりなる商標(以下「引用商標3」という。)である。 以下、引用商標1ないし引用商標3をまとめて「引用商標」という。 第3 請求人の主張 1 請求人は、本件商標についての登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次の2のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第9号証(枝番号を含む。)を提出した。 2 本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、同法第46条第1項第1号により、その登録を無効にすべきものである。 (1)引用商標の周知性について 引用商標は、請求人が、主に「太陽電池」や「電池」について、2016年以降現在に至るまで日本国内で使用し、日本国内において広く知られるに至っている周知商標である。 請求人は、太陽光発電産業の世界最大手企業であって、中国、アメリカ、我が国等の国や地域において、太陽光発電製品、蓄電池製品、ソリューションと技術サービスを、大型のメガソーラー太陽光発電所用から住宅用まで様々な要望に合わせて提供している(甲3)。 また、請求人は、太陽光パネルの開発からパーツの組立て、さらには発電所の開発を一貫して自社で行う垂直統合型経営を行い、垂直統合型ソーラー製品のバリューチェーンを構築しており、生産能力については2022年4月において、シリコンウェーハが約65GW、太陽電池が55GW、太陽光発電モジュールが70GWの年間容量を達成している。 そして、請求人は、世界に14か所の生産拠点、18の海外子会社を有し、日本国内には東京と大阪の2か所に「ジンコソーラージャパン株式会社」という子会社を有しており、販売チームは中国、イギリス、フランス、スペイン等に広がっており、引用商標を日本国内及び上記の国々において継続して使用している。 請求人は、2006年に創立し、2013年に日本法人ジンコソーラージャパンを設立したが、翌年の2014年には業界最高の年間利益率を達成し、2016年以後4年連続出荷量世界No.1を達成するとともに、2019年から2020年には2年連続日本出荷量No.1も達成し、2020年グローバル市場シェアを12.6%まで伸ばし、まぎれもなく業界のトップリーダーとして君臨している(甲4)。 さらに、請求人の受賞歴についてみると、SWAN両面発電モジュールがインターソーラーにおいて2019年Leading Solar Technologyを受賞した他、Swanモジュールがインドのニューデリーで開催されたインドソーラーウィーク2019で年間最優秀技術賞を受賞し、欧州では「トップブランドPVヨーロッパシール2019」を初めて受賞、オーストラリアでも2年連続でトップブランドシールを取得している(甲5)。 請求人は、一貫して引用商標を使用しており、上記業績及び受賞歴に鑑みれば、引用商標は、本件商標の登録出願時には既に周知性を獲得していることは疑いないものというべきである。 引用商標が周知性を獲得していることは、例えば、請求人の評判(甲6~甲9)に裏打ちされている。 (2)本件商標と引用商標との類似性について 本件商標は、その構成中、文字部分は、「JiKO」の文字構成よりなるところ、構成文字の大部分をなす「J」、「K」、「O」の3文字が大文字からなり、第2番目の「i」の文字のみが小文字からなる。このような構成のものは、本件商標の指定商品を扱っている業界では珍しいもので、ほかの指定商品に関してはともかく、本件商標の指定商品との関係では、引用商標の周知性に鑑みれば、これに接する需要者、取引者をしてこの構成が強く印象付けられて注目されるといえる。 特に、本件商標と引用商標とは、その構成文字の大部分をなす「J」、「i」、「K」、「O」の文字構成を共通にしており、両者の差異は「n」の文字の有無のみであるから、外観上相紛れるおそれが高いというべきものである。 また、本件商標からは構成文字に照応した「ジコ」の称呼が生じ、引用商標からは構成文字に照応した「ジンコ」の称呼が生じ、両者は2音ないし3音の音構成にあって、語頭音の「ジ」と語尾音の「コ」の2音を共通にしており、差異は中間音の「ン」の有無のみであるから、称呼上も相紛れるおそれが高いものである。 そして、観念においては、本件商標を構成する「JIKO」の文字はスワヒリ語で「かまど」を意味するが、一般に知られておらず、また、一般の英語辞書に掲載されるものでもないから、特定の観念を生じるとはいえない。引用商標を構成する「JinKO」の文字は、引用商標の周知性に鑑みれば、請求人の業務に係る商品を想起、連想する場合があるが、請求人が創出した造語であって一般の英語辞書に掲載されるものでなく、両商標を観念上対比することはできない。 以上からすれば、本件商標中、取引者、需要者の間に強く支配的な印象を与える「JiKO」の文字部分と、引用商標中、取引者、需要者の間に強く支配的な印象を与える「JinKO」の文字部分との類似性の程度は、外観上及び称呼上、とりわけ外観上高いというべきものであり、本件商標と引用商標との類似性の程度は高いというべきものである。 (3)引用商標の独創性について 引用商標が請求人の周知商標であること、及び「JINKO」の文字は請求人が創出した造語であり、引用商標は高い顕著性を有し、十分な独創性を有するものといえる。 (4)本件商標と引用商標の指定商品(使用商品)の類似性について 本件商標の指定商品は、第11類に属する商品であって、引用商標1の指定商品は、第9類に属する商品であるところ、両指定商品は、異なる区分に属するといえども、実生活においては極めて密接な関係が認められるものである。 引用商標が使用される商品(以下「使用商品」という。)は、主に「太陽電池」や「電池」であって、これらの商品との関係で引用商標は周知なものとなっており、本件商標の指定商品は家電製品に関係し、家電製品は電力を使用して作動する商品であることから、直流電力を生み出して電極から電気を外に流す「太陽電池」や「電池」とは極めて密接な関係にあるといえる。 そうすると、本件商標に係る指定商品と引用商標に係る指定商品及び使用商品とは、商品の販売部門の共通性、需要者・取引者の範囲の共通性及び完成品・部品といった関連性が高く、同一営業主の販売に係る商品と誤認されるおそれがあると認められる関係にあるというべきものであり、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品及び使用商品との類似性の程度は高いといえる。 (5)需要者、取引者の共通性について 本件商標の指定商品は電力を使用して作動する家電製品に関係し、引用商標が使用される商品は電力を生み出す「太陽電池」や「電池」であって、両者は実生活において極めて密接な関係にあることは先に述べたとおりであり、本件商標の需要者、取引者は、請求人の商品の需要者、取引者と同じとなることが明白である。 (6)取引の実情について 近年はネット販売の増加が著しいところ、本件商標の指定商品中、「冷蔵庫,空気清浄装置,暖房装置,圧力水槽,浴室用湯沸器,淡水化プラント,浄水用機器,電気式放熱器」や引用商標の使用商品「太陽電池、蓄電池」などは、大型商品であることもあり、ネット上において電子化カタログが用意され、インターネット上の販売サイトで取引される実情がある。かかる実情に照らせば、本件商標と引用商標との対比においては、その称呼、観念に比し外観が最も重要視されているのは否めない事実である。 また、ネット販売を利用する一般の消費者は、商品の購入に際し、メーカー名やハウスマークなどについて常に注意深く確認するとは限らず、短時間のうちに購入商品を決定するということも少なくないから、需要者が商品購入時に払う注意力は必ずしも高いものということはできないとの実情がある。 (7)事業の多角化の可能性について 請求人は、太陽光パネルの開発からパーツの組立て、さらには発電所の開発を一貫して自社で行う垂直統合型経営を行い、垂直統合型ソーラー製品のバリューチェーンを構築し、太陽光発電製品、ソリューションと技術サービスを、大型のメガソーラー太陽光発電所から住宅用まで様々な要望に合わせて提供していることは先に述べたとおりである。今後、太陽光パネルや太陽電池の更なる需要の拡大のため、これらと極めて密接な関係にある家電製品等にも引用商標及び「JinKO」の文字を広く使用し、多角的に事業を行っていく可能性も十分にあるといえる。 (8)商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号該当性について 以上の事情を総合的に勘案すれば、本件商標と引用商標1とは、特定の明確な観念は生じないものの、両商標は、外観及び称呼において類似する商標であり、その指定商品も互いに類似するから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号にいう「先願に係る他人の登録商標に類似する商標」に該当するというべきである。 また、引用商標は、本件商標の登録出願時において我が国における需要者、取引者の間で請求人の商標として広く知られていた商標であり、本件商標と引用商標とは類似する商標であって、その指定商品と使用商品とは互いに類似するから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号にいう「他人の周知商標に類似する商標」に該当するというべきである。 さらには、本件商標は、これに接する需要者、取引者に対して、引用商標を連想させて商品の出所について誤認を生じさせ、その登録を認めた場合には、引用商標の持つ顧客吸引力ヘのただ乗りや、その希釈化を招くという結果を免れないといえ、よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号にいう「混同を生ずるおそれがある商標」に該当するというべきである。 第4 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べた。 1 引用商標の周知性及び著名性について 本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が周知性や著名性を獲得していた証拠が、請求人から提出されておらず、また、これらの時点において、例えばテレビ、新聞などのメディアで話題になっていたという事実も見受けられない。さらに、現時点においても、引用商標が周知性や著名性を獲得している事実はなく、インターネットで検索すると、辛うじて自社サイトや口コミサイトが僅かに表示されるだけであり、これでは引用商標が周知性や著名性を獲得しているとはいえず、商品の出所について混同するおそれがあるとはいえない。 2 本件商標と引用商標1との類否について 本件商標と、引用商標1とは、外観、称呼及び観念のいずれにも類似しない。 まず、外観の点について比較すると、本件商標は、図案化された四角形状のマークの右側に英語で「JiKO」と横書きしてなるものであるのに対し、引用商標1は、英語で「JinKO」と横書きしてなる文字列の右上方に英語の「Solar」を配置するとともに、文字列「JinKO」の下方に英語の「Building Your Trust in Solar」を配置したものである。 したがって、本件商標と引用商標1は、明らかに外観を異にし、外観上類似することはない。 次に、観念の点についてみると、本願商標の「JiKO」は、造語であるから、特定の意味合いを生じさせるものではない。これに対し、引用商標1は、その文字列のうち、2回出現する「Solar」は、「太陽」や「太陽光発電」を想起させるものであり、全体としても、「太陽」や「太陽光発電」を想起させる。 したがって、本件商標と引用商標1は、観念上類似することはない。 続いて、本件商標は、上述のように、英語で「JiKO」と記したものであるから、「ジコ」の称呼が生じるのに対し、引用商標1は、英語で「Solar\JinKO\Building Your Trust in Solar」と記したものであるから、「ソーラージンコビルディングユアトラストインソーラー」の称呼が生じるものであり、明らかに称呼上非類似である。仮に文字列「JinKO」のみに着目した場合には、「ジンコ」の称呼が生じるが、この場合でも、本件商標は2音、引用商標1は3音といういずれも短い音で構成され、「ン」の音の有無の相違は称呼全体に与える影響は大きい。 したがって、本件商標の「ジコ」と、引用商標の「ジンコ」とは、称呼についても非類似の商標である。 3 本件商標の指定商品と引用商標1の指定商品との類否について 本件商標の指定商品は、第11類の商品であって、引用商標1の指定商品は、第9類の商品である。 これらは区分や類似群コードが相違する上に、生産部門、販売部門、原材料及び品質、用途、需要者の範囲がいずれも一致せず、また完成品と部品との関係にもないことから、本件商標の指定商品と、引用商標1の指定商品とは、非類似である。 4 むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号のいずれにも該当しない。 第5 当審の判断 1 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標と引用商標1との類否について ア 本件商標は、別掲1のとおり、白抜きの正方形を内部に有する青色正方形及びその右上に小さい青色正方形を配した図形を左に配し、その右に「JiKO」の欧文字を黒色で表した構成よりなるものである。 そして、本件商標は、その構成文字に相応して、「ジコ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないと判断するのが相当である。 イ 引用商標1は、別掲2のとおり、「JinKO」の欧文字を中央に大きく表し、その右上に「Solar」の欧文字を、下に横線及び「Building Your Trust in Solar」の欧文字をそれぞれ表した構成よりなるものである。 そして、引用商標1は、その構成からして、中央に大きく表された「JinKO」の欧文字が取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであるから、この部分を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるというべきである。 したがって、引用商標1は、「JinKO」の文字部分から「ジンコ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないと判断するのが相当である。 ウ 本件商標と引用商標1とを比較すると、外観においては、図形の有無及び構成文字において明らかに相違するものであり、本件商標の構成中「JiKO」の文字部分と引用商標の構成中「JinKO」の文字部分との比較においても、中間における「n」の文字の有無の差異により、外観上の印象が異なり、相紛れるおそれはないものである。 また、称呼においては、本件商標から生じる「ジコ」の称呼と引用商標から生じる「ジンコ」の称呼とは、中間に位置する「ン」の音の有無において差異を有し、2音又は3音という短い音構成における該差異音は、称呼全体に与える影響は小さくなく、それぞれを一連に称呼しても、その音調、音感が異なり、相紛れるおそれはないものである。 さらに、観念においては、両商標はいずれも特定の観念を生じないものであるから、観念において比較することはできない。 そうすると、本件商標と引用商標1の外観、称呼及び観念等によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、たとえ観念において比較できないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれのない両商標は、商品の出所について誤認混同を生じさせるおそれのない非類似の商標というべきである。 (2)本件商標の指定商品と引用商標1の指定商品との類否について ア 指定商品が類似のものであるかどうかは、商品自体が取引上誤認混同のおそれがあるかどうかにより判定すべきものではなく、それらの商品が通常同一営業主により製造又は販売されている等の事情により、それらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれがあると認められる関係にある場合には、たとえ、商品自体が互いに誤認混同を生ずるおそれがないものであっても、類似の商品に当たると解するのが相当である(最高裁判所昭和33年(オ)第1104号同36年6月27日判決)。 そして、商品の類否の判断は、取引の実情、すなわち、商品の生産部門、販売部門、原材料及び品質、用途、需要者の範囲が一致するかどうか、完成品と部品との関係にあるかどうか等を総合的に考慮して判断をすべきである(東京高等裁判所平成7年(行ケ)第161号同8年3月21日判決)。 イ 本件商標の指定商品は、前記第1のとおり、第11類「ランプ,ガスバーナー,冷蔵庫,空気清浄装置,暖房装置,圧力水槽,浴室用湯沸器,淡水化プラント,浄水用機器,電気式放熱器」であり、これらは、照明用、暖房用、冷却用、空気清浄用、浄水用、浴室用又は加熱調理用等の商品であり、それぞれの機器のメーカーで製造され、電気店又は家電量販店等で販売され、それぞれの機器を必要とする者を需要者とするものである。 ウ 引用商標1の指定商品は、前記第2の1のとおり、発電用太陽パネルを始めとする「蓄電池,太陽電池」に関する商品であり、これらは、太陽光のエネルギーを電気エネルギーに変える装置又は電気を蓄え、電流を放出する装置であり、当該装置のメーカーで製造され、電気店又は家電量販店等で販売され、当該装置を必要とする者を需要者とするものである。 エ 本件商標の指定商品と引用商標1の指定商品とを比較すると、商品の販売部門を共通にするとしても、商品の生産部門、品質、用途、需要者の範囲を異にし、また、引用商標1の指定商品は、本件商標の指定商品の専用の部品とはいえず、汎用性のあるものであるから、完成品と部品との関係にあるともいえない。 そうすると、これらの指定商品に同一又は類似の商標を使用しても、同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれはないといわなければならない。 したがって、本件商標の指定商品と引用商標1の指定商品とは、非類似の商品というべきである。 (3)小括 以上により、本件商標は、引用商標1と同一又は類似する商標とはいえず、引用商標1の指定商品と同一又は類似する商品に使用をするものともいえないから、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 2 商標法第4条第1項第10号該当性について (1)引用商標の周知著名性について ア 請求人の提出に係る証拠によれば、次の事実が認められる。 (ア)請求人は、2006年に創立した太陽光発電産業の企業であり、2013年に日本法人を設立、2014年に業界最高の年間利益率を達成、2016年から2019年まで4年連続出荷量世界1位を達成、2020年に2年連続日本出荷量1位を達成した(甲3、甲4)。 (イ)請求人の「SWAN両面発でモジュール」がインターソーラーにおいて「2019年Leading Solar Technology」を受賞し、また、請求人は「トップブランドPVヨーロッパシール2019」を受賞した(甲5)。 (ウ)請求人は、請求人のウェブサイト及び総合カタログに引用商標を使用している(甲3~甲5)。 (エ)「ヒラソル」と称するウェブサイト、「Dream News」と称するウェブサイト及び「PVeyeweb」と称するウェブサイトにおいて、請求人を紹介する記事が掲載されている(甲6、甲8、甲9)。 (オ)「スリーアールエナジー」と称するウェブサイトにおいて、「世界No1の太陽光発電メーカー。2019年日本出荷量もNo.1。」の記載とともに引用商標2と同じ態様の着色された標章が掲載されている(甲7)。 イ 前記アで認定した事実によれば、請求人は太陽光発電産業の企業であり、世界及び我が国への出荷量は相当程度あり、受賞歴もあり、請求人を紹介する記事の掲載も一定程度あることが認められる。 しかしながら、引用商標は、請求人のウェブサイト及び総合カタログに僅かに使用されているのみであり、これら以外には、「スリーアールエナジー」と称するウェブサイトにおいて掲載されているのみである。 そうすると、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、請求人の業務に係る商品(太陽電池、蓄電池、電池等)を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。 (2)小括 前記(1)のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、請求人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないから、商標の類否及び商品の類否について言及するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。 3 商標法第4条第1項第15号該当性について 引用商標は、前記2(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、請求人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものである。 また、前記1(1)のとおり、本件商標と引用商標1とは非類似の商標であるから、同様の理由により、本件商標と引用商標2及び3とも非類似の商標というべきであり、そのため、本件商標と引用商標との類似性の程度は低いといわなければならない。 そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(請求人)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。 その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 4 まとめ 以上により、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号に該当するものではなく、その登録は、同項の規定に違反してされたものではない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第46条第1項により、無効とすることはできない。 よって、結論のとおり審決する。

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