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意匠無効審判

2023-880008

マッサージ器

審判番号
2023-880008
法域
意匠
審判種別
無効審判(無効の審決)
出願番号
意願2022-025948
登録番号
1747830
請求日
2023年11月07日
審決日
2024年07月16日
公報発行日
2025年01月31日
結論
請求成立(無効)
当事者
  • 【請求人】株式会社 ファイブスター
  • 【請求人代理人】▲高▼山 嘉成
  • 【被請求人】呉 智星
  • 【被請求人代理人】有馬 百子
審判長/審判官
  • 審判長 内藤 弘樹
  • 審判官 前畑 さおり
  • 審判官 松田 光太郎
分類
D1113.113-Z (J7-1)
条文(本文から自動抽出・参考)
意匠法第3条第1項第1号、意匠法第3条第1項第3号、意匠法第3条第1項第2号、意匠法第48条、意匠法第52条、特許法第169条第2項
データ出所
審決公報(XML)

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上記当事者間の意匠登録第1747830号「マッサージ器」の意匠登録無効審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 意匠登録第1747830号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本件意匠登録1747830号の意匠(以下「本件登録意匠」という。別紙第1参照)は、令和4年(2022年)12月1日に意匠登録出願(意願2022-025948)されたものであって、令和5年(2023年)5月23日付けで登録査定がなされ、同年6月23日に意匠権の設定の登録がされた後、同年7月3日に意匠公報が発行され、その後、当審において、概要、以下の手続を経たものである。 令和5年(2023年)11月 7日付け 審判請求書の提出 令和6年(2024年) 1月30日付け 請求書副本の送達通知 同年 5月16日付け 書面審理通知 同年 6月12日付け 審理終結通知 第2 請求の趣旨及び理由 請求人は、請求の趣旨を 「登録第1747830号意匠の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。」とし、その理由として、要旨以下のとおり主張し、その主張事実を立証するため、甲第1号証の1及び甲第1号証の2を提出した。 1 請求の理由 (1)本件登録意匠 本件登録意匠は、意匠登録第1747830号公報に記載の意匠であり、意匠に係る物品をマッサージ器とするものである。本件登録意匠については、参考資料として、別紙にて添付する。 (2)手続の経緯 出願 令和4年(2022年)12月 1日 登録 令和5年(2023年) 6月23日 登録意匠公報の発行日 令和5年(2023年) 7月 3日 (3)意匠登録無効の理由の要点 甲第1号証の1は、令和元年(2019年)8月20日に、中華人民共和国国家知識産権局によって発行された意匠公報である。 よって、甲第1号証の1に記載された意匠は、令和元年(2019年)8月20日に、公然知られた若しくは刊行物等公知となった意匠である。 本件登録意匠は、甲第1号証の赤枠矢印で示した設計2意匠(以下、「甲1意匠」という)と同一又は類似する意匠である。 したがって、本件登録意匠は、意匠法第3条第1項第1号、第2号、又は第3号の規定により意匠登録を受けることができない意匠であり、本件意匠登録は、同法第48条第1項第1号の規定により、無効とすべきである。 (4)本件意匠登録を無効とすべき理由 ア 本件登録意匠の説明 本件登録意匠は、基本的構成態様として、把持部と、把持部の先端で二股に分かれた二股部と、二股部の先端に取付けられた一対のボールとを備える。 本件登録意匠は、具外的構成態様として、以下のような態様を有する。 (ア)把持部は、その正面視の中心から基端部にかけて、下から3分の1程度の箇所が最も膨らむような形状を有している。 (イ)把持部は、その正面視において、二股部にかけて、くびれるような形状を有している。 (ウ)把持部は、その側面視において、基端部の下部が少し膨れ上がるような形状を有している。 (エ)把持部は、その側面視において、中心部分を分割するようなラインを有している。 (オ)把持部は、その正面視において、二股部との境界部分あたり中心部分にかけて、細長い略楕円状の模様を有している。 (カ)一対のボールは、共に、略球体で複数の菱形状にカットされたような表面模様を有している。 (キ)二股部において、二股に分かれる根元部分には、小さい半球状の突出が設けられている。 以下に、本件登録意匠の上記分説に該当する箇所を図示する。 [図:0001418288000001.jpg] イ 甲第1号証の意匠の説明 甲第1号証に示すように、甲1意匠は、基本的構成態様として、把持部と、把持部の先端で二股に分かれた二股部と、二股部の先端に取付けられた一対のボールとを備える。 本件登録意匠は、具外的構成態様として、以下のような態様を有する。 (ア)把持部は、その正面視の中心から基端部にかけて、下から3分の1程度の箇所が最も膨らむような形状を有している。 (イ)把持部は、その正面視において、二股部にかけて、くびれるような形状を有している。 (ウ)把持部は、その側面視において、基端部の下部が少し膨れ上がるような形状を有している。 (エ)把持部は、その側面視において、中心部分を分割するようなラインを有している。 (オ)把持部は、その正面視において、二股部との境界部分あたり中心部分にかけて、細長い略楕円状の模様を有している。 (カ)一対のボールは、共に、略球体で複数の菱形状にカットされたような表面模様を有している。 (キ)二股部において、二股に分かれる根元部分には、小さい半球状の突出が設けられている。 以下に、引用意匠の上記分説に該当する箇所を図示する。 [図:0001418288000002.jpg] ウ 本件登録意匠と甲1意匠との対比 (ア)本件登録意匠と甲1意匠に係る物品の対比 本件登録意匠の意匠に係る物品は、マッサージ器である。 一方、引用意匠の意匠に係る物品は、按摩棒(日本語訳:マッサージ棒)である。 したがって、本件登録意匠及び甲1意匠の物品は同一である。 (イ)本件登録意匠と甲1意匠の形態の共通点及び差異点 前記した文言分説のとおり、本件登録意匠と甲1意匠とは、具体的構成態様及び基本的構成態様において、完全に一致している。 微細な差異点として、本件登録意匠と甲1意匠との表面に施された色彩に関する差異が存在する。すなわち、本件登録意匠の表面に施された色彩は、甲1意匠の表面に施された色彩に比べて、僅かに灰色が薄い。 さらに、微細な差異点として、本件登録意匠の半球状の突起は、甲1意匠の半球状の突起に比べて、僅かに大きい。 (ウ)共通点及び相違点に関する評価 本件登録意匠と甲1意匠とは、具体的構成態様及び基本的構成態様において、完全に一致しており、両意匠は同一の意匠である。 仮に、上記した色彩及び半球状の突起の僅かな差異を意匠の認定に加えたとしても、その差異は、極めて僅かであり、両意匠の類否判断に与える影響は皆無である。よって、両意匠は類似する意匠となる。 以上より、本件登録意匠と甲1意匠とは、同一又は類似する意匠であると言える。 (4)むすび したがって、本件登録意匠は、甲1意匠と同一又は類似する意匠であり、意匠法第3条第1項第1号、第2号、又は第3号の規定により意匠登録を受けることができない意匠であり、本件意匠登録は、同第48条第1項第1号の規定により、無効とすべきである。 2 証拠方法 (1)及び(2)は、写しである。 (1)甲第1号証の1 中華人民共和国意匠公報 CN305313600S (2)甲第1号証の2 中華人民共和国意匠公報 CN305313600Sの翻訳文 第3 答弁の趣旨及び理由 審判長は、被請求人に対し、審判請求書の副本を送達し、期間を指定して答弁書の提出を求めたが、被請求人からの応答はなかった。 第4 書面審理及び審理終結 当審は、本件審判について、両当事者に対し、令和6年5月16日付けで書面審理に付する旨を通知し、同年6月12日付けで審理を終結する旨を通知した。 第5 当審の判断 1 本件登録意匠 本件登録意匠(意匠登録第1747830号、別紙第1参照)は、願書及び願書に添付された図面の記載によれば、意匠に係る物品を「マッサージ器」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形状等」という。)を、願書及び願書に添付した図面に表されたとおりとしたものであり、具体的な形状等は、以下のとおりである。 (1)基本的構成態様 全体は、略縦長棒状の持ち手上端を二股に分けてローラー支持軸とし、そのローラー支持軸を介して略球体状のローラーを2個取り付けたものであって、持ち手、ローラー支持軸、ローラーから構成されるものである。 (2)各部の態様 ア 持ち手 (ア)正面 外形は、なめらかに湾曲した下窄まりの左右対称形で、上端を最も細く形成したうえで、下から約3分の1の箇所が最も膨らむように緩やかな弧状に膨らませて、下端を略放物線状に形成し、全体として略茄子形状としている。 表面は、上方に持ち手全長の約3分の1の長さの略縦長細紡錘形の浅い凹み部を設けている。 (イ)側面 外形は、背面側に緩やかに湾曲した弧状とし、下端を略V字状としている。 表面は、縦方向中央付近を分割するようなラインを設けており、そのラインは持ち手の湾曲に沿った形状としている。 イ ローラー支持軸 二股部の開き角度は約80度としている。 この二股部に小さな略半球状の小突起を形成し、周りの明暗調子より明るい調子としている。 ウ ローラー 表面は、略斜め格子状の凹凸を形成し、かつ、ローラー先端側と支持軸側の中間部には細幅で平滑な略帯状円環部を形成している。 2 無効理由の要点 請求人が主張する無効理由の要旨は、以下のとおりである。 本件登録意匠は、甲第1号証と同一又は類似する意匠である。したがって、本件登録意匠は、意匠法第3条第1項第1号(以下「無効理由1」という。)、第2号(以下「無効理由2」という。)、又は第3号(以下「無効理由3」という。)の規定により意匠登録を受けることができない意匠であり、本件意匠登録は、同法第48条第1項第1号の規定により、無効とすべきである。 3 無効理由の判断 (1)無効理由1について 請求人は、前記第2の1(3)に示すとおり、「甲第1号証の1は、令和元年(2019年)8月20日に、中華人民共和国国家知識産権局によって発行された意匠公報である。よって、甲第1号証の1に記載された意匠は、・・・、公然知られた若しくは刊行物等公知となった意匠である。本件登録意匠は、甲第1号証の・・・設計2意匠・・・と同一又は類似する意匠である。したがって、本件登録意匠は、意匠法第3条第1項第1号、第2号、又は第3号の規定により意匠登録を受けることができない意匠であり、本件意匠登録は、同法第48条第1項第1号の規定により、無効とすべきである。」と、主張しているが、前記意匠公報の発行により公衆の閲覧に供せられるようになったからといって、そのことから直ちに、当該意匠公報に記載された意匠が、意匠法第3条第1項第1号にいう「日本国内又は外国において公然知られた意匠」になったものであるとはいえず、「公然知られた」の意味は、単に公然と知られうるべき状態になっただけでは足りず、公然知られたことを要するものと解すべきであることから、本件登録意匠は無効理由である意匠法第3条第1項第1号には該当しないものであるというほかない。 (2)無効理由2及び無効理由3について 本件登録意匠が、頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠である甲第1号証と同一又は類似する意匠であるか否かについて以下検討する。 なお、甲第1号証には、「設計1」と「設計2」の2つの意匠が表されているが、当合議体は、「設計2」の意匠を甲第1号証の意匠と認定する(以下「甲第1号証の意匠」を「甲1意匠」という。)。 4 甲1意匠 甲1意匠は、審判請求書に添付された証拠説明書によれば、2019年(令和元年)8月20日に公開された、中華人民共和国国家知識産権局(CNIPA)発行の意匠公報に掲載の「按摩棒」の意匠(公告番号第305313600号)である(別紙第2参照)。 (1)意匠に係る物品 甲1意匠の意匠に係る物品は、人体マッサージのために用いられるマッサージ器である。 (2)形状等 ア 基本的構成態様 全体は、略縦長棒状の持ち手上端を二股に分けてローラー支持軸とし、そのローラー支持軸を介して略球体状のローラーを2個取り付けたものであって、持ち手、ローラー支持軸、ローラーから構成されるものである。 イ 各部の態様 (ア)持ち手 a 正面 外形は、なめらかに湾曲した下窄まりの左右対称形で、上端を最も細く形成したうえで、下から約3分の1の箇所が最も膨らむように緩やかな弧状に膨らませて、下端を略放物線状に形成し、全体として略茄子形状としている。 表面は、上方に持ち手全長の約3分の1の長さの略縦長細紡錘形の浅い凹み部を設けている。 b 側面 外形は、背面側に緩やかに湾曲した弧状とし、下端を略V字状としている。 表面は、縦方向中央付近を分割するようなラインを設けており、そのラインは持ち手の湾曲に沿った形状としている。 (イ)ローラー支持軸 二股部の開き角度は約80度としている。 この二股部にごく小さな略半球状の小突起を形成し、周りの明暗調子と同程度の調子としている。 (ウ)ローラー 表面は、略斜め格子状の凹凸を形成し、かつ、ローラー先端側と支持軸側の中間部には細幅で平滑な略帯状円環部を形成している。 5 本件登録意匠と甲1意匠(以下「両意匠」ともいう。)の形状等の対比 (1)意匠に係る物品 両意匠は、表記は異なるが、いずれもマッサージ器であるから、両意匠の意匠に係る物品は、一致する。 (2)両意匠の形状等 両意匠の形状等を対比すると、主として、以下の共通点及び相違点が認められる。 ア 共通点 (ア)基本的構成態様 全体を、略縦長棒状の持ち手上端を二股に分けてローラー支持軸とし、そのローラー支持軸を介して略球体状のローラーを2個取り付けた点において、共通する。 (イ)各部の態様 A 持ち手 (A)正面 外形を、なめらかに湾曲した下窄まりの左右対称形とし、上端を最も細く形成したうえで、下から約3分の1の箇所が最も膨らむように緩やかな弧状に膨らませて、下端を略放物線状に形成し、全体として略茄子形状としている点、 表面を、上方に持ち手全長の約3分の1の長さの略縦長細紡錘形の浅い凹み部を設けている点、 (B)側面 外形を、背面側に緩やかに湾曲した弧状とし、下端を略V字状としている点、 表面を、縦方向中央付近を分割するようなラインを設け、そのラインは持ち手の湾曲に沿った形状としている点、 B ローラー支持軸 二股部の開き角度を約80度としている点、 C ローラー 表面を、略斜め格子状の凹凸を形成し、かつ、ローラー先端側と支持軸側の中間部には細幅で平滑な略帯状円環部を形成している点において共通する。 イ 相違点 ローラー支持軸の二股部に設けられた小突起の大きさが、本件登録意匠の方が甲1意匠と比して、平面から見た直径も正面からみた高さも僅かに大きく、該部の明暗調子も、本件登録意匠が周りの明暗調子より明るい調子(略白色状)としているのに対して、甲1意匠は周りの明暗調子と同程度の調子(略灰色状)としている点において両意匠は相違する。 6 両意匠の類否判断 前記5(2)の認定に基づいて、両意匠の形状等を検討すると、両意匠に共通するとした、全体の基本的構成態様及び各部の態様は、需要者に形態上の特徴を強く印象付けていると共に、形態全体の基調を形成するところであって、意匠の類否判断を左右するに十分な影響を与えているものである。 一方、相違点については、ローラー支持軸の二股部の小突起において、大きさと明暗調子が僅かに異なるのみであり、加えて全体の中でごく小さく、見えづらい位置に設けられていることから、この相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さく、限定的なものである。 したがって、両意匠は、意匠に係る物品が一致し、形状等においては、意匠全体として観察すると、類似する意匠であるという他ない。 7 小括 以上のとおり、本件登録意匠は、甲1意匠に類似するため、意匠法第3条第1項第2号に掲げる意匠には該当しないが、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するから、請求人が主張する本件登録意匠の無効理由3には、理由がある。 第6 むすび 以上のとおりであって、本件登録意匠は、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当し、同条同項柱書の規定に違反して登録されたものであるから、本件登録意匠は、意匠法第48条1項1号の規定に該当し、無効とすべきものである。 審判に関する費用については、意匠法第52条で準用する特許法第169条第2項で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。

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