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特許無効審判

2023-800070

飲料自動提供システム

審判番号
2023-800070
法域
特許
審判種別
無効審判(無効の審決)
出願番号
特願2021-115072
登録番号
7303573
請求日
2023年11月07日
審決日
2025年04月23日
公報発行日
2026年02月27日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】有限会社 kt-s
  • 【請求人代理人】橘 哲男
  • 【請求人代理人】藤本 正紀
  • 【請求人代理人】佐藤 大輔
  • 【被請求人】TechMagic 株式会社
  • 【被請求人代理人】米山 毅
審判長/審判官
  • 審判長 窪田 治彦
  • 審判官 柿崎 拓
  • 審判官 長馬 望
分類
P1113.113-YAA(B67D) / P1113.112-YAA(B67D) / P1113.121-YAA(B67D)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法135条特許法169条2項民事訴訟法61条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第134条の2第9項、特許法第134条の2第1項、特許法第134条の2第3項、特許法第29条第2項、特許法第134条第6項、特許法第126条第6項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項第2号、特許法第135条、特許法第169条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の特許第7303573号発明「飲料自動提供システム」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 特許第7303573号の明細書、特許請求の範囲を令和6年12月16日付けの訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-6〕、〔7、8〕について訂正することを認める。 特許第7303573号の請求項2ないし8に係る発明についての本件審判請求は成り立たない。 特許第7303573号の請求項1に係る発明についての審判請求を却下する。 審判費用は、その8分の7を請求人の負担とし、8分の1を被請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本件特許第7303573号の請求項1ないし8に係る発明についての出願は、令和3年7月12日(優先権主張 令和2年7月21日(以下、「優先日」という。)の出願であって、令和5年6月27日に特許権の設定登録がなされた(請求項の数8)。 これに対し、本件特許について令和5年11月7日に有限会社kt-sから、特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された発明についての特許を無効とすることを求める旨の無効審判(以下、「本件審判」という。)が請求された。 以下に、本件審判の請求以後の経緯を示す。 令和5年11月 7日 審判請求書及び甲第1ないし15号証(枝番を含む)の提出(請求人) 令和6年 2月15日 答弁書及び訂正請求書の提出(被請求人) 令和6年 3月 8日付 手続補正指令書 令和6年 4月 1日 答弁書に対する手続補正書(方式)及び訂正請求書に対する手続補正書(方式)の提出(被請求人) 令和6年 5月15日付 審理事項通知書 令和6年 5月31日 口頭審理陳述要領書(以下、「口頭審理陳述要領書(請求人)」という。)及び甲第16ないし24号証(枝番を含む)の提出(請求人) 令和6年 6月14日 口頭審理陳述要領書(以下、「口頭審理陳述要領書(被請求人)」という。)の提出(被請求人) 令和6年 6月28日 口頭審理 令和6年 7月 4日 上申書の提出(請求人) 令和6年 7月12日 上申書の提出(被請求人) 令和6年10月 2日付 審決の予告 令和6年12月16日 訂正請求書の提出(被請求人 以下、この訂正請求書による訂正を「本件訂正」という。) 令和7年 2月19日 弁駁書の提出(請求人) なお、令和6年12月16日に提出された訂正請求書により訂正の請求がされたことにより、令和6年2月15日に提出された訂正請求書による訂正の請求は、取り下げられたとみなされる(特許法第134条第6項)。 第2 本件訂正について 1 被請求人の求める訂正請求の内容 被請求人の求める訂正請求の内容は、次の訂正事項1ないし12のとおりである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1を削除する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2を独立形式に改める訂正を行い、請求項2の冒頭に、「飲料の注文を受け付ける注文受付部と、飲料を供給する飲料供給部と、飲料容器を前記飲料供給部による飲料の供給位置に移動する飲料容器搬送部とが設けられた飲料自動提供システムであって、複数の前記飲料容器が保管される飲料容器保管部と、前記注文受付部により受け付けられた注文に基づき、前記飲料容器搬送部を制御する制御装置と、が設けられ、」との記載を追加し、訂正前の請求項2の末尾の段落の「前記飲料容器保管部が前記ロボットアームの下方に位置すると共に、前記ロボットアームが前記飲料容器取上位置、前記飲料供給部による飲料の供給位置、又は、飲料の提供位置の間で飲料容器を移動させることを特徴とする請求項1に記載の飲料自動提供システム」との記載を、「前記飲料容器保管部が前記ロボットアームの下方に位置すると共に、前記ロボットアームが、少なくとも、前記飲料容器取上位置、前記飲料供給部による飲料の供給位置、及び、飲料の提供位置の間で共通の前記飲料容器を移動させることによって前記注文受付部により受け付けられた注文に応じた飲料を自動で提供することを特徴とする飲料自動提供システム」との記載に訂正する。(請求項2の記載を直接的又は間接的に引用する請求項3~6も同様に訂正する)。 (3)訂正事項3 請求項6の「請求項1~5のいずれか1項」との記載を「請求項2~5のいずれか1項」との記載に訂正する。 (4)訂正事項4 願書に添付した明細書の段落[0009]及び[0010]の 「【0009】 本発明の上記目的は、以下の構成によって達成できる。すなわち、本発明の第1の態様の飲料自動提供システムは、 飲料の注文を受け付ける注文受付部と、 飲料を供給する飲料供給部と、 飲料容器を前記飲料供給部による飲料の供給位置に移動する飲料容器搬送部と が設けられた飲料自動提供システムであって、 複数の前記飲料容器が保管される飲料容器保管部と、 前記注文受付部により受け付けられた注文に基づき、前記飲料容器搬送部を制御する制御装置と、 が設けられ、 前記飲料容器搬送部が、少なくとも、前記飲料容器保管部の前記飲料容器の取上位置、前記飲料供給部による飲料の供給位置、及び、飲料の提供位置の間で共通の前記飲料容器を移動させることによって前記注文受付部により受け付けられた注文に応じた飲料を自動で提供することを特徴とする。 【0010】 本発明の第2の態様の飲料自動提供システムは、第1の態様の飲料自動提供システムにおいて、前記飲料容器搬送部が、 ロボットアームと、前記飲料容器保管部内に保管された飲料容器を前記飲料容器保管部から前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置に供給する飲料容器供給機構と、を有し、 前記飲料容器保管部が前記ロボットアームの下方に位置すると共に、前記ロボットアームが前記飲料容器取上位置、前記飲料供給部による飲料の供給位置、又は、飲料の提供位置の間で飲料容器を移動させることを特徴とする。」 との記載を 「【0009】 本発明の上記目的は、以下の構成によって達成できる。 【0010】 本発明の第2の態様の飲料自動提供システムは、 飲料の注文を受け付ける注文受付部と、 飲料を供給する飲料供給部と、 飲料容器を前記飲料供給部による飲料の供給位置に移動する飲料容器搬送部と が設けられた飲料自動提供システムであって、 複数の前記飲料容器が保管される飲料容器保管部と、 前記注文受付部により受け付けられた注文に基づき、前記飲料容器搬送部を制御する制御装置と、 が設けられ、 前記飲料容器搬送部が、 ロボットアームと、前記飲料容器保管部内に保管された飲料容器を前記飲料容器保管部から前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置に供給する飲料容器供給機構と、を有し、 前記飲料容器保管部が前記ロボットアームの下方に位置すると共に、前記ロボットアームが、少なくとも、前記飲料容器取上位置、前記飲料供給部による飲料の供給位置、及び、飲料の提供位置の間で共通の前記飲料容器を移動させることによって前記注文受付部により受け付けられた注文に応じた飲料を自動で提供することを特徴とする。」 との記載に訂正する。 (5)訂正事項5 願書に添付した明細書の段落[0017]の「本発明の第1の態様の飲料自動提供システムによれば、」との記載を、「本発明の第2の態様の飲料自動提供システムによれば、」との記載に訂正する。 (6)訂正事項6 願書に添付した明細書の段落[0014]の「第1~5のいずれかの態様の飲料自動提供システムにおいて」との記載を「第2~5のいずれかの態様の飲料自動供給システムにおいて」との記載に訂正する。 (7)訂正事項7 願書に添付した明細書の段落[0018]の「本発明の第2の態様の飲料自動提供システムによれば、」との記載を「また、本発明の第2の態様の飲料自動提供システムによれば、」との記載に訂正する。 (8)訂正事項8 特許請求の範囲の請求項7の「飲料容器搬送部により飲料容器を該飲料供給部による飲料の供給位置に移動するステップ」との記載を、「ロボットアームを有する飲料容器搬送部により飲料容器を該飲料供給部による飲料の供給位置に移動するステップ」との記載に訂正し、さらに、特許請求の範囲の請求項7の「前記飲料容器搬送部が、少なくとも、飲料容器保管部の前記飲料容器の取上位置、前記飲料供給部による飲料の供給位置、及び、飲料の提供位置の間で共通の前記飲料容器を移動させることによって前記注文受付部により受け付けられた注文に応じた飲料を自動で提供するステップ」との記載を、「前記飲料容器搬送部に設けられて前記飲料容器を供給する飲料容器供給機構により、前記ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器を前記飲料容器保管部から前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置に供給するステップと、前記ロボットアームが、少なくとも、前記ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器が供給され前記ロボットアームによって取り上げ可能な前記飲料容器の取上位置、前記飲料供給部による飲料の供給位置、及び、飲料の提供位置の間で共通の前記飲料容器を移動させることによって前記注文受付部により受け付けられた注文に応じた飲料を自動で提供するステップ」との記載に訂正する(請求項7の記載を引用する請求項8も同様に訂正する)。 (9)訂正事項9 願書に添付した明細書の段落[0015]の 「【0015】 本発明の第7の態様の飲料自動提供方法は、 注文受付部により飲料の注文を受け付けるステップと、 飲料供給部により飲料を供給するステップと、 飲料容器搬送部により飲料容器を該飲料供給部による飲料の供給位置に移動するステップと、 を含む飲料自動提供方法であって、 前記飲料容器搬送部が、少なくとも、飲料容器保管部の前記飲料容器の取上位置、前記飲料供給部による飲料の供給位置、及び、飲料の提供位置の間で共通の前記飲料容器を移動させることによって前記注文受付部により受け付けられた注文に応じた飲料を自動で提供するステップを含むことを特徴とする。」 との記載を 「【0015】 本発明の第7の態様の飲料自動提供方法は、 注文受付部により飲料の注文を受け付けるステップと、 飲料供給部により飲料を供給するステップと、 ロボットアームを有する飲料容器搬送部により飲料容器を該飲料供給部による飲料の供給位置に移動するステップと、 を含む飲料自動提供方法であって、 前記飲料容器搬送部に設けられて前記飲料容器を供給する飲料容器供給機構により、前記ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器を前記飲料容器保管部から前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置に供給するステップと、 前記ロボットアームが、少なくとも、前記ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器が供給され前記ロボットアームによって取り上げ可能な前記飲料容器の取上位置、前記飲料供給部による飲料の供給位置、及び、飲料の提供位置の間で共通の前記飲料容器を移動させることによって前記注文受付部により受け付けられた注文に応じた飲料を自動で提供するステップを含むことを特徴とする。」 との記載に訂正する。 (10)訂正事項10 願書に添付した明細書の段落[0016]の「第7の態様の各ステップ」との記載を、「第7の態様の飲料自動提供方法の各ステップ」との記載に訂正する。 (11)訂正事項11 願書に添付した明細書の段落[0023]の「第1の態様の飲料自動提供システムと同様な効果」との記載を、「第2の態様の飲料自動提供システムと同様な効果」との記載に訂正する。 (12)訂正事項12 願書に添付した明細書の段落[0024]の「第1の態様の飲料自動提供システムと同様な効果」との記載を、「第2の態様の飲料自動提供システムと同様な効果」との記載に訂正する。 2 訂正の適否 (1)訂正事項1 訂正事項1は、請求項1を削除するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合し、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 (2)訂正事項2 訂正事項2は、訂正前の請求項2が請求項1の記載を引用する記載であったものを、この請求項1の記載を引用しないものとする訂正であるから、特許法第134条の2第1項ただし書第4号に掲げる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。 また、訂正事項2は、訂正前の請求項1の「飲料の注文を受け付ける注文受付部と、飲料を供給する飲料供給部と、飲料容器を前記飲料供給部による飲料の供給位置に移動する飲料容器搬送部とが設けられた飲料自動提供システムであって、複数の前記飲料容器が保管される飲料容器保管部と、前記注文受付部により受け付けられた注文に基づき、前記飲料容器搬送部を制御する制御装置と、が設けられ」との記載を訂正後の請求項2に記載すると共に、訂正前の請求項1の記載である「前記飲料容器搬送部が、少なくとも、前記飲料容器保管部の前記飲料容器の取上位置、前記飲料供給部による飲料の供給位置、及び、飲料の提供位置の間で共通の前記飲料容器を移動させることによって前記注文受付部により受け付けられた注文に応じた飲料を自動で提供する」と、訂正前の請求項2の記載である「前記飲料容器搬送部が、ロボットアームと、前記飲料容器保管部内に保管された飲料容器を前記飲料容器保管部から前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置に供給する飲料容器供給機構と、を有し、前記飲料容器保管部が前記ロボットアームの下方に位置すると共に、前記ロボットアームが前記飲料容器取上位置、前記飲料供給部による飲料の供給位置、又は、飲料の提供位置の間で飲料容器を移動させる」とを整理して、訂正後の請求項2に「前記飲料容器搬送部が、ロボットアームと、前記飲料容器保管部内に保管された飲料容器を前記飲料容器保管部から前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置に供給する飲料容器供給機構と、を有し、前記飲料容器保管部が前記ロボットアームの下方に位置すると共に、前記ロボットアームが、少なくとも、前記飲料容器取上位置、前記飲料供給部による飲料の供給位置、及び、飲料の提供位置の間で共通の前記飲料容器を移動させることによって前記注文受付部により受け付けられた注文に応じた飲料を自動で提供する」と記載するものであって、特許法第134条の2第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合し、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 (3)訂正事項3 訂正事項3は、訂正事項1により、請求項1の記載が削除されたことに伴い、請求項6に「請求項1~5のいずれか1項」とあるのを「請求項2~5のいずれか1項」との記載に訂正するものであって、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするもの又は同項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合し、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 (4)訂正事項4 訂正事項4は、訂正事項1により、請求項1の記載を削除し、訂正事項2により、請求項2の記載を訂正したことに伴い、対応する明細書の記載を訂正するものであって、特許法第134条の2第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合し、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 (5)訂正事項5 訂正事項5は、訂正事項1により、請求項1の記載を削除し、訂正事項2により、請求項2の記載を訂正したことに伴い、対応する明細書の記載を訂正するものであって、特許法第134条の2第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合し、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 (6)訂正事項6 訂正事項6は、訂正事項3により、請求項6の記載を訂正したことに伴い、対応する明細書の記載を訂正するものであって、特許法第134条の2第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合し、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 (7)訂正事項7 訂正事項7は、訂正事項1により、請求項1の記載を削除し、訂正事項2により、請求項2の記載を訂正したことに伴い、対応する明細書の記載を訂正するものであって、特許法第134条の2第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合し、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 (8)訂正事項8 訂正事項8は、訂正前の請求項7に係る発明では、「飲料容器搬送部により飲料容器を該飲料供給部による飲料の供給位置に移動するステップ」と特定されていたものを、この飲料容器搬送部が「ロボットアームを有する」ことを特定すると共に、請求項7に係る発明である飲料自動提供方法が、「前記飲料容器搬送部に設けられて前記飲料容器を供給する飲料容器供給機構により、前記ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器を前記飲料容器保管部から前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置に供給するステップ」を含むことを特定し、さらに、訂正前の請求項7に係る発明では、「前記飲料容器搬送部が、・・・共通の前記飲料容器を移動させることによって前記注文受付部により受け付けられた注文に応じた飲料を自動で提供するステップ」と特定されていたものを、飲料容器搬送部が有する「ロボットアームが、・・・共通の前記飲料容器を移動させることによって前記注文受付部により受け付けられた注文に応じた飲料を自動で提供するステップ」と特定し、訂正前の請求項7に係る発明の「飲料容器保管部の前記飲料容器の取上位置」を「前記ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器が供給され前記ロボットアームによって取り上げ可能な前記飲料容器の取上位置」と訂正するものであって、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項において準用する特許法第126条第6項に適合する。 また、訂正前の明細書の段落[0029]に「尚、本実施形態では、飲料容器搬送部130が、ロボットアーム150と、飲料容器供給機構160と、を有し、飲料容器保管部170、飲料供給部120による飲料の供給位置、又は、飲料の提供位置の間で飲料容器105を移動させることによって注文受付部110により受け付けられた注文に応じた飲料を自動で提供する。」と記載され、段落[0072]に「飲料容器供給機構160は、飲料容器保管部170内に保管された飲料容器105を飲料容器保管部170の上方位置にあるロボットアーム150による取り上げ可能な飲料容器取上位置Pに供給するものである。」と記載され、さらに、訂正前の請求項2に「前記飲料容器搬送部が、ロボットアームと、前記飲料容器保管部内に保管された飲料容器を前記飲料容器保管部から前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置に供給する飲料容器供給機構と、を有し、前記飲料容器保管部が前記ロボットアームの下方に位置すると共に、前記ロボットアームが前記飲料容器取上位置、前記飲料供給部による飲料の供給位置、又は、飲料の提供位置の間で飲料容器を移動させる」と記載されていることから、訂正事項8は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 (9)訂正事項9 訂正事項9は、訂正事項8により、請求項7の記載を訂正したことに伴い、対応する明細書の記載を訂正するものであって、特許法第134条の2第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合し、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 (10)訂正事項10 訂正事項10は、訂正前の明細書の段落[0016]にある「各ステップ」が段落[0015]に記載された第7の態様の飲料自動提供方法の各ステップであることを明確にするものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合し、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 (11)訂正事項11 訂正事項11は、訂正事項4により、明細書の段落[0009]及び[0010]が訂正されたことに伴い、対応する明細書の記載を訂正するものであって、特許法第134条の2第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合し、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 (12)訂正事項12 訂正事項12は、訂正事項4により、明細書の段落[0009]及び[0010]が訂正されたことに伴い、対応する明細書の記載を訂正するものであって、特許法第134条の2第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合し、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 (13)一群の請求項について 本件訂正前の請求項2ないし6は、請求項1を直接又は間接的に引用する形式で記載され、請求項1ないし6は、特許法第134条の2第3項に規定する一群の請求項である。また、本件訂正前の請求項8は、請求項7を引用する形式で記載され、請求項7及び8は、特許法第134条の2第3項に規定する一群の請求項である。 そして、本件訂正は、請求項〔1-6〕、〔7、8〕について訂正の請求をするものであるから、特許法第134条の2第3項に規定する一群の請求項ごとに訂正の請求をするものである。 3 訂正についての結論 上記2に示すように本件訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第3項、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、本件特許の願書に添付した明細書及び特許請求の範囲を令和6年12月16日付けの訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項〔1-6〕、〔7、8〕について訂正することを認める。 第3 本件発明 上記のとおり、本件訂正を認めるので、本件特許の請求項1ないし8に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」ないし「本件発明8」といい、これらを総称して「本件発明」という。)は、令和6年12月16日付けの訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項によって特定される以下のとおりのものと認める。 「【請求項1】 (削除) 【請求項2】 飲料の注文を受け付ける注文受付部と、 飲料を供給する飲料供給部と、 飲料容器を前記飲料供給部による飲料の供給位置に移動する飲料容器搬送部と が設けられた飲料自動提供システムであって、 複数の前記飲料容器が保管される飲料容器保管部と、 前記注文受付部により受け付けられた注文に基づき、前記飲料容器搬送部を制御する制御装置と、 が設けられ、 前記飲料容器搬送部が、 ロボットアームと、前記飲料容器保管部内に保管された飲料容器を前記飲料容器保管部から前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置に供給する飲料容器供給機構と、を有し、 前記飲料容器保管部が前記ロボットアームの下方に位置すると共に、前記ロボットアームが、少なくとも、前記飲料容器取上位置、前記飲料供給部による飲料の供給位置、及び、飲料の提供位置の間で共通の前記飲料容器を移動させることによって前記注文受付部により受け付けられた注文に応じた飲料を自動で提供することを特徴とする飲料自動提供システム。 【請求項3】 前記飲料容器保管部が、内部を冷却する冷却部を有することを特徴とする請求項2に記載の飲料自動提供システム。 【請求項4】 前記ロボットアームが、複数仕様の飲料容器を把持可能なハンド部を有し、 前記飲料容器供給機構が、複数仕様の飲料容器を搬送可能であることを特徴とする請求項2又は3に記載の飲料自動提供システム。 【請求項5】 前記飲料の供給位置又は前記飲料の提供位置の少なくともいずれか一方に飲料容器に注入される飲料の分量を測定する計量装置を設けたことを特徴とする請求項2~4のいずれか1項に記載の飲料自動提供システム。 【請求項6】 前記注文受付部が前記制御装置との無線通信が可能な携帯端末であり、 前記携帯端末により受け付けられた注文に応じた飲料を前記携帯端末の位置情報を用いて顧客の位置に自動で配膳する飲料配膳装置がさらに設けられたことを特徴とする請求項2~5のいずれか1項に記載の飲料自動提供システム。 【請求項7】 注文受付部により飲料の注文を受け付けるステップと、 飲料供給部により飲料を供給するステップと、 ロボットアームを有する飲料容器搬送部により飲料容器を該飲料供給部による飲料の供給位置に移動するステップと、 を含む飲料自動提供方法であって、 前記飲料容器搬送部に設けられて前記飲料容器を供給する飲料容器供給機構により、前記ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器を前記飲料容器保管部から前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置に供給するステップと、 前記ロボットアームが、少なくとも、前記ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器が供給され前記ロボットアームによって取り上げ可能な前記飲料容器の取上位置、前記飲料供給部による飲料の供給位置、及び、飲料の提供位置の間で共通の前記飲料容器を移動させることによって前記注文受付部により受け付けられた注文に応じた飲料を自動で提供するステップを含むことを特徴とする飲料自動提供方法。 【請求項8】 請求項7記載の飲料自動提供方法の各ステップをコンピュータにより実行することを特徴とする飲料自動提供プログラム。」 第4 請求人の主張の概要 1 請求の趣旨 請求人は、「特許第7303573号発明の特許請求の範囲の請求項1乃至請求項8に記載された発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求めている(審判請求書 「6 請求の趣旨」)。 2 請求人の証拠方法 請求人は、審判請求書に添付して、以下の甲第1号証ないし甲第15号証(枝番を含む。以下、「甲1」ないし「甲15」などといい、枝番のある証拠については、「甲2の1」などという。)を提出し、さらに、令和6年5月31日付けの口頭審理陳述要領書(請求人)に添付して、甲16ないし甲24を提出している。 甲1 :変なカフェ(渋谷区)のコーヒー提供ロボット等の動画 甲2の1 :変なカフェ(渋谷区)のコーヒー提供ロボット等のWebページ 甲2の2 :変なカフェ(渋谷区)のコーヒー提供ロボット等の動画 甲2の3 :変なカフェ(渋谷区)のコーヒー提供ロボット等の動画 甲3 :変なカフェ(渋谷区)のコーヒー提供ロボット等のWebページ 甲4の1 :上島珈琲店No.11(港区)のコーヒー提供ロボット等のWebページ 甲4の2 :上島珈琲店No.11(港区)のコーヒー提供ロボット等の動画 甲5 :一軒め酒場(豊島区)のドリンク提供ロボット等の動画 甲6 :一軒め酒場(豊島区)のドリンク提供ロボット等のWebページ 甲7 :国際ホテル・レストラン・ショーで展示されたビール提供ロボット等の動画 甲8 :特開2003-160197号公報 甲9 :特表2016-524570号公報 甲10:変なカフェ(佐世保市)のコーヒー提供ロボット等のWebページ 甲11:コネクテッドロボティクス株式会社のビール提供ロボット等の動画 甲12:Canadian Electronics社のビール提供ロボット等の動画 甲13:特開2018-62371号公報 甲14:特開2019-153070号公報 甲15の1:QBIT Robotics社およびコネクテッドロボティクス社のロボット等のWebページ 甲15の2:QBIT Robotics社およびコネクテッドロボティクス社のロボット等のWebページ 甲16の1:甲1の公知日が示された画面 甲16の2:甲1の公知日が示された画面 甲17の1:甲2の2の公知日が示された画面 甲17の2:甲2の2の公知日が示された画面 甲18の1:甲2の3の公知日が示された画面 甲18の2:甲2の3の公知日が示された画面 甲19の1:甲4の2の公知日が示された画面 甲19の2:甲4の2の公知日が示された画面 甲20の1:甲5の公知日が示された画面 甲20の2:甲5の公知日が示された画面 甲21の1:甲7の公知日が示された画面 甲21の2:甲7の公知日が示された画面 甲22の1:甲11の公知日が示された画面 甲22の2:甲11の公知日が示された画面 甲23の1:甲12の公知日が示された画面 甲23の2:甲12の公知日が示された画面 甲24:実用新案審決公報(無効2019-400001号) 3 請求人の主張する無効理由 請求人が主張する無効理由は、次のとおりである(審判請求書、第1回口頭審理調書)。 (1)無効理由1 本件発明7及び8は、甲1において本件特許の優先日前に開示されたものであるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。 ア 甲1には、「レポーターがコップを保管用のラックから掴んで、ロボットアームの「<1>(当審注:「<1>」は、○に数字の1を表す。以下、他の数字についても同様とする。)飲料容器の取上位置」に置く様子が示されている。これは、外的要因(レポーター)によって飲料容器が飲料容器保管部から<1>飲料容器の取上位置に供給されることにほかならない。」(口頭審理陳述要領書(請求人)34ページ1行ないし5行) 請求項7には、「「前記ロボットアームが、少なくとも、前記ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器が供給され前記ロボットアームによって取り上げ可能な前記飲料容器の取上位置、・・・」と記載されているとおり、単に「供給され」と記載されているだけであ」る(同90ページ27行ないし91ページ3行)。「例えば、単に「供給され」としか記載されていない以上、飲料容器が人の手作業によって供給されることを除外する根拠はない。」(同91ページ5行ないし6行) 甲1には、「人(レポーター)が手作業により飲料容器保管部内に保管された飲料容器を飲料容器に取上位置に置く様子が開示されている。」(同91ページ9行ないし11行) イ 甲1には、「コップの保管用のラックが設置されている白色のテープルとほぼ同じ高さにロボットアームの基台が設置されていることが示されている。ロボットアームは上方からコップを取上げる構造上、コップの保管位置の一部は、その本体アーム部分よりも下方となる」。このため、甲1には、「前記飲料容器保管部が前記ロボットアームの下方に位置すると共に、」が開示されている(口頭審理陳述要領書(請求人)31ページ8行ないし13行)。 ウ 甲1には、「ロボットアームが「共通のコップ」をコップが置かれた位置(<1>飲料容器の取上位置)からコーヒーの注ぎ位置(<2>飲料の供給位置)に移動させ、コーヒーの注ぎ位置(<2>飲料の供給位置)からコーヒーの提供位置(<3>飲料の提供位置)へ移動させる様子が示され、これは、飲料の自動提供装置が、<1>飲料容器の取上位置、<2>飲料の供給位置、<3>飲料の提供位置の間で単一の「共通の飲料容器」を移動させることに他ならない。」(口頭審理陳述要領書(請求人)32ページ1行ないし6行) エ 「甲第16号証乃至甲第23号証には、甲1~7、10(当審注:「11」の誤記),12号証の公知日が明記されており、本件特許の優先日前に甲1~7、10(当審注:「11」の誤記)、12号証の各動画(・・・)が開示されていたことは明らかである。」(口頭審理陳述要領書(請求人)82ページ3行ないし5行)。 (2)無効理由2 本件発明7及び8は、甲1ないし甲3及び甲15に基づいて本件特許の優先日前に日本国内において公然実施された事実が認められるものであるから、特許法第29条第1項第2号の規定により特許を受けることができないものであり、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。 ア 甲1ないし3には、「変なカフェ(東京都渋谷区神南1丁目21-3 渋谷モディB1F)」において、コーヒー提供ロボットおよびその制御装置が、コーヒーの注文を受け付けると、ロボットアームにより、コップを自動的に、コップの置かれた位置からコーヒーの注ぎ位置へ移動させ、コーヒーの注ぎ位置からコーヒーの提供位置へ移動させた実施の事実が開示されている。そして、甲第1号証乃至甲第3号証に関示されるコーヒー提供ロボットおよびその制御装置は、訂正発明7,8(当審注:「本件発明7,8」のこと。以下同様。)のすべての構成要件を含むものである。」(口頭審理陳述要領書(請求人)80ページ2行ないし9行) (3)無効理由3 ア 請求項2、7及び8に対して 本件発明2、7及び8は、甲1ないし甲7に開示された発明および甲9に記載された発明に基づいて、本件特許の優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。 (ア)「甲第9号証の【0041】【0042】【図12】【図13】には、グラス15をラック51から抜き出してコンベヤ4‘上に供給するアーム52が示されており、訂正発明2(当審注:「本件発明2」のこと。以下同様。)の構成要件H1「飲料容器保管部内に保管された飲料容器を前記飲料容器保管部から前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置に供給する飲料容器供給機構」および訂正発明7の構成要件V1の「・・・飲料容器保管部内に保管された飲料容器が供給され・・・」の事項が開示されている。 また、甲第9号証の【0041】の「ディスペンサ50は、グラスを積み重ねるためのラック51および、傾斜剛性アーム52を備える。」および「好ましくは、ディスペンサ50は、カウンタートップ3の下にある(図11)。」との記載および【図12】【図13】には、グラスを保管するラック51(本件特許の飲料容器保管部(170)に相当)がカウンタートップ3(本件特許の飲料提供テープル103に相当)より下方に位置することが示されている。したがって、甲第9号証には、訂正発明2の構成要件I1「前記飲料容器保管部が前記ロボットアームの下方に位置すると共に、」および訂正発明7の構成要件V1「・・・前記ロボットアーAの下方に位置する飲料容器保管部・・・」の事項が開示されている。」(口頭審理陳述要領書(請求人)79ページ1行ないし17行) 「訂正発明2の構成要件H1を除くすべての構成要件は、甲第1号証乃至甲第7号証のいずれかにおいて開示されており、甲第9号証には訂正発明2の構成要件H1が開示されている。したがって、訂正発明2,7,8は、甲第1号証乃至甲第7号証のいずれかの発明に甲第9号証に記載の事項(飲料容器供給機構)を適用することにより、当業者が容易に想到し得るものである。」(同81ページ1行ないし6行) 甲9に記載された発明は、甲1ないし甲3に開示された発明と同一の技術分野に属し、課題が共通し、作用及び機能が共通しており(令和7年2月19日付け弁駁書6ページ3行ないし7ページ27行)、甲1ないし甲3に開示された発明は、「飲料を自動提供するうえで、保管用のラックからロボットアームによる飲料容器の取上位置までの前半の区間の移動を人間の手に委ねており、飲料の自動提供化を課題とする他の各甲発明においては改良の余地のある過渡的な状態であるともいえる。当業者は、一部に自動化が成されていない飲料の提供装置に対して、その部分も自動化しようとする動機は自然といえる。」(令和7年2月19日付け弁駁書8ページ3行ないし同ページ8行) 甲9には、「飲料容器取上位置から飲料の供給位置までの区間において飲料容器を自動供給する「飲料容器供給機構」に相当する構成は開示されていない。しかしながら、他の各甲発明では、飲料容器取上位置から飲料の供給位置までの区間を含め、飲料容器保管部から飲料容器取上位置までの区間以外は、ロボットアームが飲料容器を移動させることは開示されており、残りの飲料容器保管部から飲料容器取上位置までの区間における飲料容器の自動供給機構としては、甲9において「アーム52」が開示されている。つまり、他の各甲発明において飲料容器の自動供給化が施されていない区間は、甲9に開示されていることから、当業者が他の各甲発明に甲9発明を適用することにより、容易に実現可能である」(令和7年2月19日付け弁駁書9ページ11行ないし同ページ21行)。 イ 請求項3ないし6に対して 本件発明3ないし6は、甲1ないし甲7に開示された発明および甲8、甲9、甲13、甲14に記載された発明に基づいて、本件特許の優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。 (ア)「本件特許の請求項3に記載の事項は、甲第13号証に記載されている。」(審判請求書123ページ2行ないし3行) (イ)「本件特許の請求項4に記載の事項は、甲第8号証に記載されている。」(審判請求書124ページ21行ないし22行) (ウ)「本件特許の請求項5に記載の事項は、甲第9号証に記載されている。」(審判請求書126ページ5行ないし6行) (エ)本件特許の請求項5に記載の「Q 前記注文受付部が前記制御装置との無線通信が可能な携帯端末であり、」は、甲9または甲13に記載されている。また、構成要件Rの「前記携帯端末により受け付けられた注文に応じた飲料を前記携帯端末の位置情報を用いて顧客の位置に自動で配膳する飲料配膳措置」については、甲第14号証において記載されているように周知の技術である。」(審判請求書130ページ15行ないし20行) 第5 被請求人の主張の概要 1 答弁の趣旨 被請求人は、令和6年4月1日付け手続補正書(方式)により補正された答弁書において、「本件無効審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする」との審決を求めている。 2 被請求人の主張の内容 (1)無効理由1に対して 本件発明7及び8には無効理由1はない(答弁書37ページ17行及び25行)。 ア 甲1には、ロボットアームが共通の前記飲料容器を移動させる位置として「ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器が供給され前記ロボットアームによって取り上げ可能な前記飲料容器の取上位置」が含まれる事項は開示されていない(答弁書37ページ3行ないし7行)。本件発明7では、「ロボットアームを有する飲料容器搬送部により飲料容器を該飲料供給部による飲料の供給位置に移動するステップ」を有する「飲料自動提供方法」であること、及び、「前記ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器が供給され前記ロボットアームによって取り上げ可能な前記飲料容器の取上位置」が特定されているのであるから、ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器が、飲料容器保管部から、ロボットアームによって取り上げ可能な前記飲料容器の取上位置まで、供給されることが構成となっていることは明らかである(口頭審理陳述要領書(被請求人)21ページ1行ないし8行)。 イ 甲1の動画では、「コップの保管用のラックは、ロボットアームの側方に配置されている」から、請求人の「前記飲料容器保管部が前記ロボットアームの下方に位置すると共に、」が開示されているといえる。」とする認定は誤りである(口頭審理陳述要領書(被請求人)18ページ25行ないし19ページ14行)。 ウ 甲1に開示されたロボットアームは「ドリッパー」でコーヒー豆を受け取り、所定位置にセットし、ドリップし、ドリップしたコーヒーを別の容器である「紙コップ」で受けている。これは、本件発明7の「共通の前記飲料容器」をロボットアームで取りまわすこととは相違している(口頭審理陳述要領書(被請求人)20ページ2行ないし6行)。 エ 請求人が提出した甲16ないし23は、甲1、甲2の2、甲2の3、甲4の2、甲5、甲7、甲11及び甲12の日付情報であり、これらに表示された日付情報は、「投稿日」として表示されている情報であるところ、この投稿日の表示があることをもって、請求人が主張するとおりの技術事項が本願優先日よりも前に公知ないし公然実施であるとの請求人の主張は必ずしも成り立つものではない(口頭審理陳述要領書(被請求人)17ページ21行ないし18ページ4行)。 (2)無効理由2に対して 本件発明7及び8には無効理由2はない。(答弁書41ページ13行) ア 甲1ないし3及び15には、飲料容器保管部が「ロボットアームの下方に位置する」ことも、ロボットアームが共通の前記飲料容器を移動させる位置として「飲料容器保管部内に保管された飲料容器が供給され前記ロボットアームによって取り上げ可能な前記飲料容器の取上位置」が含まれる事項も、いずれの事項も開示されていない(答弁書40ページ24行ないし41ページ1行)。 (3)無効理由3に対して 本件発明2ないし8には、無効理由3はない(答弁書53ページ7行)。 ア 本件発明2に対して 本件発明2の「飲料容器搬送部が、ロボットアームと、飲料容器保管部内に保管された飲料容器を前記飲料容器保管部から前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置に供給する飲料容器供給機構と、を有し、前記飲料容器保管部が前記ロボットアームの下方に位置する」という発明特定事項Aは、甲1ないし7及び9のいずれにも開示されていない(答弁書30ページ9行ないし12行及び41ページ23行ないし24行)。 イ 本件発明7に対して 本件発明7の「ロボットアームが、少なくとも、前記ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器が供給され前記ロボットアームによって取り上げ可能な前記飲料容器の取上位置、前記飲料供給部による飲料の供給位置、及び、飲料の提供位置の間で共通の前記飲料容器を移動させることによって注文受付部により受け付けられた注文に応じた飲料を自動で提供するステップを含むこと」(発明特定事項F)は、甲1ないし7及び9のいずれにも開示されていない(答弁書36ページ21行ないし37ページ2行及び51ページ16行ないし17行)。 「訂正発明7では、「ロボットアームを有する飲料容器搬送部により飲料容器を該飲料供給部による飲料の供給位置に移動するステップ」を有する「飲料自動提供方法」であること、及び、「前記ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器が供給され前記ロボットアームによって取り上げ可能な前記飲料容器の取上位置」が特定されているのであるから、ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器が、飲料容器保管部から、ロボットアームによって取り上げ可能な前記飲料容器の取上位置まで、供給されることが構成となっていることは明らかであ」る(口頭審理陳述要領書(被請求人)21ページ1行ないし8行)。 ウ 本件発明3ないし6及び8に対して 本件発明3ないし6及び8は、本件発明2又は7をさらに限定した下位概念の発明であるから、上記ア又はイと同様に無効理由3を有さない。 第6 甲号証に開示された事項及び発明 1 甲1 (1)甲1に開示された事項 甲1は、https://www.youtube.comに公開された動画であり(甲16の1)、次の事項が開示されている。 ア 甲1には、コーヒーの自動提供を行うシステム(甲1の動画全体)が開示されており、このコーヒーの自動提供を行うシステムは、チケットを読み取る読み取り機(00:13時点の映像。以下、括弧内に各動画の時間のみ示す。)、コーヒーをドリップするドリップマシン(00:38)、紙コップをドリップマシンにセットするロボットアーム(00:16)とが設けられている。 イ 上記アに示すチケットを読み取る読み取り機の奥側には、逆さまにした紙コップが積み重ねられている状態が見て取られ(00:13)、これより、甲1に開示されたコーヒーの自動提供を行うシステムは、複数の紙コップの保管場所が設けられているといえる。 ウ 甲1に開示されたコーヒーの自動提供を行うシステムの読み取り機に読み込ませるチケットを発券する機械には、複数の種類の飲み物がリスト表示されており(00:00)、リストから選択された飲み物(甲1では、本格ドリップコーヒー)のチケットが発券されているといえる。このチケットを読み取り機にかざす(00:13)と、ロボットアームが動き出して、紙コップをドリップマシンにセットし(00:16)、前記選択された飲み物に対応するコーヒー豆をひいたもの(甲1の音声によれば、ブラジル、エチオピア、グァテマラの豆をブレンドしたもの)をドリッパーにセットし(00:26)、ドリッパーをドリップマシンにセットして(00:30)、コーヒーのドリップをはじめている(00:38)。ロボットアームにこれらの一連の動きを行わせるには、ロボットアームの制御を行う制御装置が必要であることが明らかである。したがって、甲1に開示されたコーヒーの自動提供を行うシステムは、読み取り機にかざされたチケットの内容に基づき、ロボットアームを制御する制御装置が設けられているといえる。 エ 上記イに示す複数の紙コップの保管場所から、コーヒーの提供を受ける者は、一つの紙コップをとり、ロボットアームによって取り上げられる位置に、置いている(00:10、00:15)。 また、この複数の紙コップの保管場所は、ロボットアームが稼働する範囲とほぼ同じ高さの位置にあるから(00:10)、ロボットアームの横に位置しているといえる。さらに、このロボットアームは、紙コップが置かれた位置(00:15)、ドリップマシン(00:16)、及び、トレー(00:41)の間で一つの紙コップを移動させている。そして、このトレーに移動させられた紙コップには、チケットが発券された飲み物(上記ウ参照)がドリップされていると解される(00:38)。これらのことから、甲1に開示されたシステムは、複数の紙コップの保管場所がロボットアームの横に位置するとともに、ロボットアームが、紙コップが置かれた位置、ドリップマシン、及び、トレーの間で一つの紙コップを移動させることによって、読み取り機にかざされたチケットの内容に応じたコーヒーの自動提供を行っているといえる。 オ 以下に、甲1の各時点での映像を示す。なお、映像の下の数字は、各映像の表示時点の経過時間である。 [図:0001431562000001.jpg] [図:0001431562000002.jpg] [図:0001431562000003.jpg] (2)甲1に開示された発明 上記(1)より、甲1には、次のシステムについての発明(以下、「甲1-1発明」という。)と方法の発明(以下、「甲1-2発明」という。)が開示されていると認められる。 ・甲1-1発明 「チケットを読み取る読み取り機と、 コーヒーをドリップするドリップマシンと、 紙コップをドリップマシンにセットするロボットアームとが設けられたコーヒーの自動提供を行うシステムであって、 複数の紙コップの保管場所と、 読み取り機にかざされたチケットの内容に基づき、ロボットアームを制御する制御装置と、が設けられ、 前記ロボットアームと、複数の紙コップの保管場所からコーヒーの提供を受ける者によって一つの紙コップが置かれる位置と、を有し、 複数の紙コップの保管場所が前記ロボットアームの横に位置するとともに、前記ロボットアームが、紙コップが置かれる位置、ドリップマシン、及び、トレーの間で一つの紙コップを移動させることによって、前記読み取り機にかざされたチケットの内容に応じたコーヒーの自動提供を行うシステム。」 ・甲1-2発明 「読み取り機によりチケットを読み取るステップと、 ドリップマシンによりコーヒーをドリップするステップと、 ロボットアームにより紙コップをドリップマシンにセットするステップと、 を含むコーヒーを自動で提供する方法であって、 コーヒーの提供を受ける者により、ロボットアームの横に位置する複数の紙コップの保管場所に保管された紙コップを前記複数の紙コップの保管場所から前記ロボットアームによって取り上げられる所定の位置に置くステップと、 前記ロボットアームが、前記ロボットアームの横に位置する複数の紙コップの保管場所に保管された紙コップが置かれ前記ロボットアームによって取り上げられる紙コップが置かれる前記所定の位置、前記ドリップマシン、及び、トレーの間で一つの紙コップを移動させることによって、前記読み取り機にかざされたチケットの内容に応じたコーヒーの自動提供を行うステップを含むコーヒーを自動で提供する方法。」 さらに、甲1-2発明のロボットアーム、読み取り機、ドリップマシンは、その動作がコンピュータにより実行されるプログラムを用いて制御されていると解されることから、次の甲1-3発明も甲1に開示されていると認められる。 ・甲1-3発明 「甲1-2発明のコーヒーを自動で提供する方法の読み取り機によりチケットを読み取るステップと、ドリップマシンによりコーヒーをドリップするステップと、ロボットアームにより紙コップをドリップマシンにセットするステップと、前記ロボットアームが、前記ロボットアームの横に位置する複数の紙コップの保管場所に保管された紙コップが置かれ前記ロボットアームによって取り上げられる紙コップが置かれる前記所定の位置、前記ドリップマシン、及び、トレーの間で一つの紙コップを移動させることによって、前記読み取り機にかざされたチケットの内容に応じたコーヒーの自動提供を行うステップをコンピュータにより実行するコーヒーを自動で提供するプログラム。」 2 甲2の1、甲2の2及び甲2の3 (1)甲2の1、甲2の2及び甲2の3に開示された事項 甲2の1は、2018年1月30日に公開された「ロボットがコーヒーを入れる「変なカフェ」 渋谷にオープン」と題するWebページ(https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1801/30/news098.html)であって、このページに甲2の2の動画及び甲2の3の動画が表示されている(以下、甲2の1、甲2の2及び甲2の3をあわせて、「甲2」という。)。 そして、この甲2の1には、次の事項が開示されている(下線は、当審で付与した。以下同様。)。 ア 「変なカフェはアームロボット「Sawyer」1機と、コーヒー豆のセットやトラブル対応などをするスタッフ“0.5人”で運営するカフェ。発券機にお金を入れ、注文したい商品を選択するとQRコードが付いた紙が発券される。」 イ 「紙コップを指定の位置に置き、先ほどのQRコードをバーコードリーダーにかざすと、ロボットのプログラムが再生され、あらかじめ設定された軌道通りに動く。指定の位置に置かれた紙コップをつかむと、フィルターがセットされた台(Poursteady)に紙コップを移動。その後、フィルターの外に取り付けられた透明の枠をつかみ、コーヒー豆を削る機械の近くへと持っていく。」 ウ 「続いて、コーヒー豆をひく作業へ。銀色の計量カップのようなものを機械に押し当てると、削られたコーヒー豆が出てくる。そのカップを先ほどのフィルター上部まで持っていき、逆さにして豆をフィルターの中へ落とす。 コーヒー豆が入ったフィルターを台に戻すと、いよいよコーヒーを入れる作業に。すると、台に設置されたノズルからお湯が出てくる。しかし、お湯が出てくるのはフィルターをセットした場所とは異なる。理由は、ここで温度の調整をするため。調整が終わると、セットしたフィルターの上部からお湯が出て、コーヒーが濾される。」 エ 「ドリップの時間は2分30秒ほど。センサーではなく、時間が経過するとロボットが受け取りカウンターへとコーヒーを移動させる。受け取りカウンターに設置したタブレットには番号が表示され、その番号と同じQRコードを持っている人がコーヒーを受け取る仕組みだ。」 オ 「受け取りカウンターにコーヒーを置いたあと、Sawyerは手を振ってバイバイをするかのような動作をし、「アトカタズケ、アトカタズケ」と言いながらフィルターの中に入った豆を捨てて洗浄。洗浄が終わると、元の位置にフィルターを戻し、プログラムが終了する。 センサーは空のコーヒーカップを置く場所と取る場所にしか設置しておらず、土台が10センチずれるとうまく作動しないという。センサーを最小限にしたのは、コスト削減のため。ロボットは発券機とも連携しておらず、あくまでのQRコードを読み取った時点で作動するよう設計されているという。」 カ 甲2の3の動画には、複数の紙コップの保管場所が甲2のコーヒーの自動提供を行うシステムには、設けられていることが示され(01:36)、この複数の紙コップの保管場所は、ロボットアームが稼働する範囲とほぼ同じ高さの位置にあるから(01:36及びその前後の時間帯)、ロボットアームの横に位置しているといえる。甲2の3の01:36時点の映像は、次のとおりである。 [図:0001431562000004.jpg] (2)甲2に開示された発明 上記(1)及び甲2の2、甲2の3の動画より、甲2には、次の発明(以下、「甲2-1発明」という。)が開示されていると認められる。 ・甲2-1発明 「QRコードを読み取るバーコードリーダーと、 フィルターがセットされ、コーヒーが濾される台と、 紙コップをフィルターがセットされ、コーヒーが濾される台に移動するアームロボットと が設けられたコーヒーの自動提供を行うシステムであって、 複数の紙コップの保管場所と、 バーコードリーダーで読み取られたQRコードの内容に基づき、アームロボットを制御する制御装置と、 が設けられ、 アームロボットと、複数の紙コップの保管場所の紙コップからコーヒーの提供を受ける者によって一つの紙コップが置かれる指定の位置と、を有し、 複数の紙コップの保管場所がアームロボットの横に位置するとともに、アームロボットが、紙コップが置かれる指定の位置、フィルターがセットされ、コーヒーが濾される台、及び、受け取りカウンターの間で一つの紙コップを移動させることによって、バーコードリーダーに読み取られたQRコードの内容に応じたコーヒーの自動提供を行うシステム。」 また、上記(1)より、甲2には、次の発明(以下、「甲2-2発明」という。)も開示されていると認められる。 ・甲2-2発明 「バーコードリーダーによりQRコードを読み取るステップと、 フィルターがセットされ、コーヒーが濾される台においてコーヒーが濾されるステップと、 アームロボットにより紙コップをフィルターがセットされ、コーヒーが濾される台に移動するステップと、 を含むコーヒーの自動提供を行う方法であって、 コーヒーの提供を受ける者により、前記アームロボットの横に位置する複数の紙コップの保管場所に保管された紙コップを前記複数の紙コップの保管場所から前記アームロボットがつかむ指定の位置に置くステップと、 前記アームロボットが、前記アームロボットの横に位置する複数の紙コップの保管場所に保管された紙コップが置かれ前記アームロボットがつかむ指定の位置、フィルターがセットされ、コーヒーが濾される台、及び、受け取りカウンターの間で一つの前記紙コップを移動させることによって、バーコードリーダーに読み取られたQRコードの内容に応じたコーヒーを自動提供するステップを含むコーヒーの自動提供を行う方法。」 さらに、甲2に開示されたアームロボットは、「ロボットのプログラムが再生され、あらかじめ設定された軌道通りに動く」(上記(1)イ参照)ものであり、このプログラムはコンピュータにより実行されるものと解され、また、バーコードリーダーによりQRコードを読み取ること、及びコーヒーが濾されることも、プログラムをコンピュータにより実行することにより行われると解されるから、次の甲2-3発明も開示されていると認められる。 ・甲2-3発明 「甲2-2発明のコーヒーの自動提供を行う方法のバーコードリーダーによりQRコードを読み取るステップ、フィルターがセットされ、コーヒーが濾される台においてコーヒーが濾されるステップ、アームロボットにより紙コップをフィルターがセットされ、コーヒーが濾される台に移動するステップ、及び、前記アームロボットが、前記アームロボットの横に位置する複数の紙コップの保管場所に保管された紙コップが置かれ前記アームロボットがつかむ前記指定の位置、フィルターがセットされ、コーヒーが濾される台、及び、受け取りカウンターの間で一つの前記紙コップを移動させることによって、バーコードリーダーに読み取られたQRコードの内容に応じたコーヒーを自動提供するステップをコンピュータにより実行するコーヒーの自動提供プログラム。」 3 甲3 (1)甲3に記載された事項 甲3は、2018年2月8日に公開された「変なカフェ ロボットが入れる本格コーヒーにうなる」と題するWebページ(https://xtrend.nikkei.com/atcl/trn/column/15/1019373/020500121/)であって、次の事項が記載されている。 ア 「同店で使用するロボットは、米Rethink Robotics社が開発・生産する、単腕型・高性能協働ロボット「Sawyer(ソーヤー)」と、最大5杯のドリップコーヒーを同時に入れられるバリスタマシンの「Poursteady(ポアステディ)」の2台。さっそく、コーヒーを注文してみた。」 イ 「券売機で好きなメニューを選んで購入すると、2次元コードリーダー付きのチケットが出てくる。そのチケットを隣の2次元コードリーダーにかざすと、オーダーが終了し、ソーヤーが動きだす。7つある関節を駆使して紙コップをバリスタマシンのポアステディに移し、コーヒー豆をひいて金属製のコーヒーフィルターにセットする。「コーヒーを入れますよ」と客に語りかけながらソーヤーがポアステディのボタンを押すと、お湯が出てきてコーヒーが抽出される。その後、ソーヤーが受け取りカウンターまでコーヒーを運び、お客に「本格ドリップコーヒーが出来上がりました」と知らせるという流れだ。」 ウ 「オーダーしてからコーヒーを手にとるまでの時間は3~4分。一般的なコーヒースタンドならやや長く感じるが、ロボットの動きを目で追っているうちに、あっという間にできたという印象だ。ロボットの作業をハンドドリップと呼んでいいのかは微妙な気もするが、目の前でコーヒーをひき、フィルターを通してドリップしてくれているのは間違いない。また、コーヒーは文句のない味だった。」 エ 「だが、ロボットにも弱点がある。中野氏によると、左右に開くだけの機構で異なるサイズのものをつかむのは非常に難しいことなのだという。そこでカップとドリッパーの両方をつかめるように、ドリッパーに特注の筒をかぶせてカップと同じ幅にした。ロボット側の設計を変えるのではなく、つかむ対象をロボットの仕様に合わせることで問題を解決したというわけだ。」 オ 甲3には、次の図面が記載されており、これより、甲3に示されるシステムは、複数の紙コップの保管場所が設けられ、この保管場所は、単腕型ロボットの横に位置しているといえる。そして、上記アの記載からこの単腕型ロボットは、ソーヤーであるといえる。なお、甲3には、紙コップを移すことについて、「7つある関節を駆使して紙コップをバリスタマシンのポアステディに移」すことは、記載されているが、この紙コップをどこからポアステディに移すにかについては、記載されておらず、また、複数の紙コップの保管場所にある紙コップを何が(誰が)最初に取り上げ、移動させるかについては、記載されていない。 [図:0001431562000005.jpg] (2)甲3に記載された発明 上記(1)より、甲3には、次の発明(以下、「甲3-1発明」という。)が記載されていると認められる。 ・甲3-1発明 「2次元コードリーダー付きのチケットを読み取る2次元コードリーダーと、 コーヒーを抽出するバリスタマシンと、 紙コップをバリスタマシンのポアステディに移動するソーヤーと が設けられたコーヒーの自動提供を行うシステムであって、 複数の紙コップの保管場所と、 2次元コードリーダーにかざされたチケットの注文に基づき、ソーヤーを制御する制御装置と、が設けられ、 ソーヤーを有し、 複数の紙コップの保管場所がソーヤーの横に位置するとともに、ソーヤーが、紙コップをバリスタマシンのポアステディ、及び、受け取りカウンターに運ぶことによって注文に応じたコーヒーの自動提供を行うシステム。」 また、上記(1)より、甲3には、次の発明(以下、「甲3-2発明」という。)も記載されていると認められる。 ・甲3-2発明 「2次元コードリーダーにより2次元コードリーダー付きのチケットを読み取るステップと、 バリスタマシンによりコーヒーを抽出するステップと、 ソーヤーにより紙コップをバリスタマシンに移動するステップと、 を含むコーヒーの自動提供を行う方法であって、 ソーヤーが、紙コップをバリスタマシンのポアステディ、及び、受け取りカウンターに運ぶことによって注文に応じたコーヒーを自動提供するステップを含むコーヒーの自動提供を行う方法。」 さらに、甲3-2発明のソーヤーは、その動作がコンピュータにより実行されるプログラムを用いて制御されていると解され、コーヒーを抽出するステップも「ソーヤーがポアステディのボタンを押す」ことでコーヒーが抽出されるものであり、また2次元コードリーダーにより2次元コードリーダー付きのチケットを読み取るステップもプログラムをコンピュータにより実行することにより行われると解されるから、次の甲3-3発明も甲3に記載されていると認められる。 ・甲3-3発明 「甲3-2発明のコーヒーの自動提供を行う方法の各ステップをコンピュータにより実行するコーヒーの自動提供プログラム。」 4 甲4の1及び甲4の2 (1)甲4の1及び甲4の2に開示された事項 甲4の1は、「上島珈琲とQBITがコーヒーを淹れるロボット・パッケージを発表!この夏、UCC旗艦店で見られる(https://robotstart.info/2019/06/26/ucc-qbit-2.html)」と題するWebページであって、このページに甲4の2の動画が開示されている(以下、甲4の1、甲4の2をあわせて、「甲4」という。)。 そして、この甲4の1には、次の事項が記載されている。 ア 「UCCホールディングス(上島珈琲)とロボティクス・サービスプロバイダーの株式会社QBIT Roboticsは、カフェ業態における提携の一環としてロボットカフェのパッケージ「&robot cafe system」(アンドロボットカフェシステム)を、本日6月26日より正式に販売開始することを発表した。」(当審注:「cafe」の「e」は、アクサン・テギュ付き。以下同様。) イ 「「&robot cafe system」はいわゆるKIOSKタイプのパッケージで、ロボット本体、コーヒーマシン、カウンター筐体があらかじめセットで設計されたもの。人が運び込んで、配管さえ行えば、比較的簡単に設置でき、コーヒー店舗が開店できるという。必要なスペースは1.8坪。」 ウ 「ロボットカフェのパッケージ 「&robot cafe system」は専用のカウンター筐体とアームロボットやカフェマシンなどの機器の組み合わせで提供されます。カウンター筐体は電気水道の設備から外装までを整えた完成品として(もしくは現地組立用の半完成品として)QBITの指定工場から直送、アームロボットは店舗作業用にプログラミングの済んだものが出荷されます。ここにカフェマシンを設置して調整を施せば数時間でロボットカフェを設営することができます。プロフェッショナル仕様のマシンを採用しているのでドリンク類の味は一流。ドリップコーヒーをはじめ、アイスコーヒーやカフェラテも有名店にひけをとりません。」 また、甲4の2の動画には、次の事項が示されている。 エ 甲4の2には、「ドリップコーヒー」、「¥600-」の記載と共に2次元バーコードが記載されたチケットを読み取らせることが示されている(00:00)から、アンドロボットカフェシステムには、チケット読み取り口が設けられていることがわかる。 オ 上記イに示すロボット本体(以下、単に「ロボット」という。)は、積み重なった複数の紙コップのうちの一つをつかみ上げ(00:29)、次に、つかんだ紙コップを上記イに示すコーヒーマシンに移動させている(00:39)。 カ 上記オに示す積み重なった複数の紙コップは、カウンターの上に置かれており、この場所が紙コップの保管場所であるといえ、この保管場所は、ロボットが稼働する範囲とほぼ同じ高さの位置にあるから、ロボットアームの横に位置しているといえる(01:28)。 キ 上記オに示すように、ロボットは、積み重なった複数の紙コップのうちの一つをつかみ上げ、このつかんだ紙コップをコーヒーマシンに移動させていると共に、この紙コップをコーヒーマシンから(01:28)受取口に移動させている(01:39)。 ク 上記キに示す受取口に移動させた紙コップには、コーヒーマシンでドリップしたコーヒーがいれられており(01:14)、これは、上記エに示すチケットの内容に応じたコーヒーであると解されるから、甲4に示されたアンドロボットカフェシステムは、チケット読み取り口にかざされたチケットの内容に応じたコーヒーの自動提供を行うものである。 ケ 以下に、甲4の2の各時点での映像を示す。 [図:0001431562000006.jpg] [図:0001431562000007.jpg] (2)甲4に開示された発明 上記(1)より、甲4には、次の発明(以下、「甲4-1発明」という。 )が開示されていると認められる。 ・甲4-1発明 「チケット読み取り口と、 コーヒーをドリップするコーヒーマシンと、 複数の紙コップの保管場所から紙コップをコーヒーマシンに移動するロボットとが設けられたコーヒーの自動提供を行うアンドロボットカフェシステムであって、 複数の紙コップの保管場所と、 チケット読み取り口にかざされたチケットの内容に基づき、ロボットを制御する制御装置と、が設けられ、 ロボットを有し、 複数の紙コップの保管場所がロボットの横に位置するとともに、ロボットが、当該複数の紙コップの保管場所、コーヒーマシン、及び、受取口の間で一つの紙コップを移動させることによってチケット読み取り口にかざされたチケットの内容に応じたコーヒーの自動提供を行うアンドロボットカフェシステム。」 また、上記(1)より、甲4には、次の発明(以下、「甲4-2発明」という。)も開示されていると認められる。 ・甲4-2発明 「チケット読み取り口によりかざされたチケットを読み取るステップと、 コーヒーマシンによりコーヒーをドリップするステップと、 ロボットにより紙コップをコーヒーマシンに移動するステップと、 を含むコーヒーの自動提供を行う方法であって、 ロボットが、ロボットの横に位置する複数の紙コップの保管場所、コーヒーマシン、及び、受取口の間で一つの紙コップを移動させることによってチケット読み取り口にかざされたチケットの内容に応じたコーヒーを自動提供するステップを含むコーヒーの自動提供を行う方法。」 さらに、甲4に開示されたロボットは、「店舗作業用にプログラミングの済んだもの」(上記(1)ウ参照)であり、このプログラミングされたものはコンピュータにより実行されるものと解されるから、次の甲4-3発明も開示されていると認められる。 ・甲4-3発明 「甲4-2発明のコーヒーの自動提供を行う方法の各ステップをコンピュータにより実行するコーヒーの自動提供プログラム。」 5 甲5 (1)甲5に開示された事項 甲5は、https://www.youtube.comに公開された動画であり(甲20の1)、次の事項が開示されている。 ア 甲5には、ドリンクの自動提供を行うシステム及び方法が示されている(甲5の動画全体)。 イ 甲5には、「ロボと泪とカシスとソーダ」、「181」の文字と共に2次元バーコードが記載されたチケットをチケット読み取り機が読み取ることが示されている(00:09)。 ウ 甲5には、ロボットアームが示されており、このロボットアームは、複数のコップが積み重ねられた保管場所から、一つのコップをつかみ(00:17)、飲み物を供給するサーバーに移動させている(00:25、00:36、00:50)。 エ 甲5に開示されたロボットアームは、サーバーで飲み物が注がれ、マドラーでコップの中の飲み物をかき混ぜたコップ(01:37)を提供口に移動させている(01:52)。そして、これにより、かざされたチケットに応じたドリンクの自動提供を行っている(甲5の動画全体)。 オ 上記ウに示す複数のコップが積み重ねられた保管場所は、ロボットアームの稼働する範囲とほぼ同じ高さの位置にあるから、ロボットアームの横に位置しているといえる。 カ 以下に、甲5の各時点での映像を示す [図:0001431562000008.jpg] [図:0001431562000009.jpg] [図:0001431562000010.jpg] (2)甲5に開示された発明 上記(1)より、甲5には、次の発明(以下、「甲5-1発明」という。)が開示されていると認められる。 ・甲5-1発明 「チケット読み取り機と、 ドリンクを供給するサーバーと、 複数のコップの保管場所からコップをサーバーに移動するロボットアームと が設けられたロボットがドリンクの自動提供を行うシステムであって、 複数のコップの保管場所と、 チケットが読み取られた後に、ロボットアームを制御する制御装置と、 が設けられ、 ロボットアームを有し、 複数のコップの保管場所がロボットアームの横に位置するとともに、ロボットアームが、複数のコップの保管場所、サーバー、及び、提供口の間で一つのコップを移動させることによって、かざされたチケットに応じたドリンクの自動提供を行うシステム。」 また、上記(1)より、甲5には、次の発明(以下、「甲5-2発明」という。)も開示されていると認められる。 ・甲5-2発明 「チケット読み取り機によりチケットを読み取るステップと、 サーバーによりアルコール飲料を供給するステップと、 ロボットアームによりコップをサーバーに移動するステップと、 を含むドリンクの自動提供を行う方法であって、 ロボットアームが、ロボットアームの横に位置する複数のコップの保管場所、サーバー、及び、提供口の間で一つのコップを移動させることによって、かざされたチケットに応じたドリンクを自動提供するステップを含むドリンクの自動提供を行う方法。」 さらに、甲5-2発明のロボットアームは、その動作がコンピュータにより実行されるプログラムを用いて制御されていると解されることから、次の甲5-3発明も甲5に開示されていると認められる。 ・甲5-3発明 「甲5-2発明のドリンクの自動提供を行う方法の各ステップをコンピュータにより実行するドリンクの自動提供プログラム。」 6 甲6 (1)甲6に記載された事項 甲6は、2020年1月29日に更新された「「ロボ軒め酒場」にいってきました!ビールもカクテルもロボメイド大衆酒場に酒注ぎロボット!Aiで接客もバッチリやん」と題するWebページ(https://ascii.jp/elem/000/004/001/4001122/)であって、次の事項が記載されている。 ア 「「ゼロ軒めロボ酒場」(一軒め酒場)に入るとすぐ、多関節なアームが特徴的なロボットがいるではないですか!パイプのような軸を中心に回転して動くタイプの据え置き型ロボット。ペッパーのようにヒューマン型ではありません。」 イ 「このQBITのロボ、お酒を自動で作ってくれるんです。 メニューは全6種。「ロボ生ビール」「スコッチハイロボール」「ロボレモンサワー」「白加賀でつくったロボ梅酒ソーダ」「ロボと泪とカシスとソーダ」「桃色ロボ想い」。いずれも500円。なお、一軒め酒場の通常メニューと異なります。」 ウ 「お酒を購入してみました。最初にレジに行って店員さんに注文。QRコードが印刷されたレシートを発行してもらいます。QRをロボットブースにある読み取り部分にかざすとお酒作りがスタートします。」 エ 「まずはビール。ロボットは「おいしいお酒を作りますね」といったフレーズを発しながら(女性の声で、かわいい)アームを伸ばして器用にコップを取り、サーバーに移してビールを注いでくれました。」 オ 「ハイボール。最初に氷を入れ、それからリカー類のサーバーにコップを移し、ウイスキーを注入。最後に炭酸。通常のドリンク作りの手順で進めてくれるわけです。」 カ 「できあがったお酒は所定の取り出し口に置かれます。ロボットメイドのお酒、人がつくるのと同じ手順で作られているから、違和感なくおいしいです!」 キ 甲6には、次の図面が記載されている。図1は、上記ウの下に示され、図2は、上記エの下に「アームでコップを取ります。」の記載と共に示されている。図3は、図2の下に「ビールサーバーにのせればワンプッシュ」の記載と共に示され、さらに1つ図面(非提示)をおいて、図4が「はいどうぞ」の記載と共に示されている。なお、図番は、当審で付与した。 [図:0001431562000011.jpg] [図:0001431562000012.jpg] ク 上記キに示す図2及び図3の左下付近に、複数のコップが積み重ねられた状態で置かれているのが見て取れ、上記エに示すロボットが「アームを伸ばして器用にコップを取」ることは、この積み重ねられたコップを取るものと解される。これより、この積み重ねられたコップは、ロボットが取るためのコップを保管場所に置いてあるものと理解できる。そして、図2及び図3の記載からみて、積み重ねられたコップは、ロボットが有するアームの稼働する範囲とほぼ同じ高さの位置にあるから、ロボットアームの横に位置しているといえる。 (2)甲6に記載された発明 上記(1)より、甲6には、次の発明(以下、「甲6-1発明」という。)が記載されていると認められる。 ・甲6-1発明 「QRコードが印刷されたレシートを読み取る読み取り部分と、 お酒を注ぐサーバーと、 コップをサーバーに移すアームを有するロボットと が設けられたお酒の自動提供を行うシステムであって、 複数のコップの保管場所と、 QRが読み取り部分にかざされた後、ロボットを制御する制御装置と、 が設けられ、 ロボットを有し、 複数のコップの保管場所がアームの横に位置するとともに、アームが、複数のコップの保管場所、お酒を注ぐサーバー、及び、取り出し口の間で一つのコップを移動させることによって、読み取り部分にかざされたレシートの内容に応じたお酒の自動提供を行うシステム。」 また、上記(1)より、甲6には、次の発明(以下、「甲6-2発明」という。)も記載されていると認められる。 ・甲6-2発明 「読み取り部分によりQRコードが印刷されたレシートを読み取るステップと、 サーバーによりお酒を注ぐステップと、 ロボットによりコップをサーバーに移すステップと、 を含むお酒の自動提供を行う方法であって、 アームが、アームの横に位置する複数のコップの保管場所、お酒を注ぐサーバー、及び、取り出し口の間で一つのコップを移動させることによって、読み取り部分にかざされたレシートの内容に応じたお酒を自動提供するステップを含むお酒の自動提供を行う方法。」 さらに、甲6-2発明のロボットは、その動作がコンピュータにより実行されるプログラムを用いて制御されていると解されることから、次の甲6-3発明も甲6に記載されていると認められる。 ・甲6-3発明 「甲6-2発明のお酒の自動提供を行う方法の各ステップをコンピュータにより実行するお酒の自動提供プログラム。」 7 甲7 (1)甲7に開示された事項 甲7は、https://www.youtube.comに公開された動画であり(甲21の1)、次の事項が開示されている。 ア 甲7には、お酒の自動提供を行うロボットシステム及びお酒の自動提供を行う方法が示されている(甲7の動画全体)。 イ 甲7には、「オーダーを受けるとロボットが動き出し、」の文字と共に、アームロボットが動き始める様子が示されており(00:26)、これより、「オーダーを受ける」ためのオーダー受付部をお酒の自動提供を行うロボットシステムは設けられているといえる。 ウ 甲7には、「ビールサーバーにコップをセットすると、」の文字と共に、アームロボットがもつコップがサーバーにセットされ(00:37)、その後、コップにサーバーからお酒(ビール)が注がれる(00:43)様子が「ビールが自動で注がれていきます」の文字と共に示されている。したがって、甲7のお酒の自動提供を行うロボットシステムは、お酒を供給するサーバーが設けられている。 エ 甲7には、オーダーを受け付けると、「コップを取りに行きます。」の文字と共に、アームロボットが積み重ねられたコップを取りに行く様子が示されている(00:30)。このコップは、複数個のコップが積み重ねられており、この場所はコップの保管場所であるといえる。そして、アームロボットは、取ったコップをサーバーに移動させている(00:37)。 オ 甲7には、「本ロボットシステムでは、」(01:22)「アームロボットを本体上部に配置するデザインで、」(01:25)「省スペースを実現しています。」(01:30)と示されており、上記エに示すコップの保管場所は、ロボットアームの高さ方向の稼働範囲内であってシステムの下部にあることが わかる(00:26)。 カ 甲7には、サーバーにセットされ、お酒(ビール)が注がれたコップ(上記ウ参照)を指定のカップホルダーへ運ぶことが示されている(01:00、01:06)。 キ 以下に、甲7の各時点での映像を示す。 [図:0001431562000013.jpg] [図:0001431562000014.jpg] [図:0001431562000015.jpg] (2)甲7に開示された発明 上記(1)より、甲7には、次の発明(以下、「甲7-1発明」という。 )が開示されていると認められる。 ・甲7-1発明 「オーダー受付部と、 お酒を供給するサーバーと、 複数のコップの保管場所からコップをサーバーに移動するアームロボットと が設けられたお酒の自動提供を行うロボットシステムであって、 複数のコップの保管場所と、 オーダーに基づき、アームロボットを制御する制御部と、 が設けられ、 アームロボットを有し、 複数のコップの保管場所がアームロボットの高さ方向の稼働範囲内であってシステムの下部に位置するとともに、アームロボットが、複数のコップの保管場所、サーバー、及び、指定のカップホルダーの間で一つのコップを移動させることによって、オーダーに応じたお酒の自動提供を行うロボットシステム。」 また、上記(1)より、甲7には、次の発明(以下、「甲7-2発明」と いう。)も開示されていると認められる。 ・甲7-2発明 「オーダー受付部によりオーダーを受け付けるステップと、 サーバーによりお酒を供給するステップと、 アームロボットによりコップを複数のコップの保管場所からサーバーに移動するステップと、 を含むお酒の自動提供を行う方法であって、 アームロボットが、アームロボットの高さ方向の稼働範囲内であってシステムの下部に位置する複数のコップの保管場所、サーバー、及び、指定のカップホルダーの間で一つのコップを移動させることによってオーダーに応じたお酒を自動提供するステップを含むオーダーに応じたお酒の自動提供を行う方法。」 さらに、甲7-2発明のアームロボットは、その動作がコンピュータにより実行されるプログラムを用いて制御されていると解されることから、次の甲7-3発明も甲7に開示されていると認められる。 ・甲7-3発明 「甲7-2発明のオーダーに応じたお酒の自動提供を行う方法の各ステップをコンピュータにより実行するオーダーに応じたお酒の自動提供プログラム。」 8 甲8 (1)甲8に記載された事項 甲8には、次の事項が記載されている。 ア 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は飲料製造装置に関し、特に、カップに供給されたシロップと氷を前記カップ内で混合してシャーベット状の飲料(フローズン飲料)を製造する飲料製造装置に関する。」 イ 「【0063】図10は、第2の実施の形態として、上記したフローズン飲料製造部1で説明したカップ内での原料混合機構を適用したカップ式飲料の自動販売機を示し、調理部60は、水平方向に延びる搬送機構61と、カップCを供給するカップ供給装置62と、クリーム、コーヒー、および砂糖等の粉末原料をカップCに供給する原料貯蔵部63A、63B,および63Cを備えたキャニスタ63と、カップCにレモンシロップ、生クリーム等のシロップをシロップポンプ64Aの送出動作に基づいて送出管64Bから送出するシロップ供給装置64と、カップCに湯を供給する湯タンク65と、粉末原料と湯との攪拌(調理)、氷等の固形分の粉砕を行う回転可能なカッター部66Aを有する攪拌機構66と、アイス飲料の調理に使用する氷を製氷し、貯水する製氷機67を有する。」 ウ 「【0073】以下に、上記したカップ式飲料の自動販売機で、フローズン飲料を製造する動作を説明する。 【0074】購買者によって図示しない飲料選択ボタンが押されると、制御部は、カップ供給装置62にカップ供給動作を実行させる。カップ供給装置62はカップ保持機構81にカップCを供給する。カップ保持機構81は、カップ受台83でカップCを受けるとともにカップ把持アーム84でカップCを保持固定する。次に、制御部は、搬送モータ71と搬送モータ77を駆動してカップ保持機構81を原料の供給位置に移動させる。この移動によって、カップCにはシロップと氷が供給される。 【0075】次に、制御部は、カップ保持機構81を攪拌機構66のある位置に移動させる。制御部は、カップ把持アーム84で把持しているカップCを図示しない昇降装置によってカップ受台83とともにカッター660の方向に上昇させる。まず、下蓋662がカップC内に挿入され、続いて、上蓋663がカップCの上部に当接する。次に、下蓋662がカップCの内壁に密接する。次に、上蓋663がスプリング664の弾性力に基づいてカップCの上部に密接することによりカップCを封止する。制御部は、上蓋663がカップCの上部に当接した後にカッター660を回転駆動する図示しないモータに通電してカッター660を回転駆動する。カッター660は、封止されたカップ内の氷およびシロップを粉砕、混合する。このカップ受台83は、カッター部66Aで原料の粉砕、混合を行っている間に上下に移動する。このことにより、カップC内のフローズン飲料を深さ方向に攪拌する。 【0076】制御部は、上記した深さ方向の攪拌が規定の回数となったとき、カップ受台83を図11(a)に示す高さ位置に配置させる。次に、カップ保持機構搬送部80を駆動してカップ保持機構81を図示しない販売口に移動させる。カップ把持アーム84は、把持しているカップCを販売口で分離する。制御部は、カップ保持機構81を待機位置に移動させる。このようにしてフローズン飲料を購入客に販売する。」 エ 甲8には、図10として、次の図が記載されている。 [図:0001431562000016.jpg] 9 甲9 (1)甲9に記載された事項 甲9には、次の事項が記載されている。 ア 「【0001】 提案される発明は、大規模産業用ロボットの技術分野にある。」 イ 「【0004】 より詳しくは、提案される発明は、大規模産業用ロボットを通じてユーザ生成入力によって作動される自動化飲料製造、特にカクテル製造ラインの技術分野にある。」 ウ 「【0041】 自動化ライン40はまた、グラス15をコンベヤ4’の上に置くためのカップまたはグラスディスペンサ50も備える。ディスペンサ50は、グラスを積み重ねるためのラック51および傾斜剛性アーム52を備える。好ましくは、ディスペンサ50は、カウンタートップ3の下にある(図11)。 【0042】 ディスペンサ50は、次の通りに働く(図12詳細「a」から「d」)。アーム52は、空のグラス15をラック51から抜き取るようにバックエンドソフトウェアによって制御され、アーム52は、空のグラス15をコンベヤ4’の上に置いてカクテルを受け取る用意ができるように傾きまたは動き、ロボットアーム1a、1cは、飲み物をエンドエフェクタ14からグラス15に注ぎ、コンベヤ4’は、グラス15の飲み物をユーザに配送する。好ましくは、ラック51は、アーム52が、空のグラス15をラック51からつかみ取るためのピックアップ位置(図12a)と空のグラス15をコンベヤ4’の上に置くための解放位置(図12b)との間を離散的方式で移動するように、空のグラス15がアーム52によって実質的に一定の高さに抜き取られる状態に保つための移動プラットフォーム53を備える。ロボットアーム1a、1cとの可能性がある干渉を回避するために、アーム52は、飲み物がエンドエフェクタ14からグラス15に注がれる前に解放位置からつかみ取る位置に戻る(図13)。代替案として、カップまたはグラスディスペンサは、例えば重力によって、図12bに例示される直立位置にグラスを提供するようなものであり、ロボットアームは、カップをディスペンサから充填領域に移動させ、その後、飲み物をカップ内部に注ぐ。」 エ 甲9には、図11、図12aないしd及び図13として、次の図が記載されている。 [図:0001431562000017.jpg] [図:0001431562000018.jpg] 10 甲13 (1)甲13に記載された事項 甲13には、次の事項が記載されている。 ア 「【0001】 本発明は、容器を飲料注出部の近傍に供給し飲料を注出する飲料サーバーに関する。」 イ 「【0041】 図1に示すように、飲料サーバー10は、トレー1に載置されたグラス2に対してビールを注出する飲料注出部としての注出コック19を有する上部筐体14と、飲料管5を介して注出コック19と接続される飲料樽3を載置する載置部15を有する下部筐体16と、を一体的に備えている。上部筐体14及び下部筐体16は、ステンレス鋼製の板材を加工して形成され、適宜断熱材を備えている。上部筐体14が本発明の第一の筐体であり、下部筐体16が本発明の第二の筐体である。」 ウ 「【0051】 本実施形態においては、上部筐体14は、その天面に上昇限界位置にあるトレー1に載置されているグラス2の存在を検知する容器検知部としての容器検知センサを備えている。容器検知センサは、衛生面の観点から、好ましくは非接触センサから構成される。前記搬送制御部は、前記容器検知部によってグラス2の存在が検知されないときは、アクチュエータ18を駆動してスクリュー体17を回転させ、トレー1を上昇限界位置まで上昇させる。 【0052】 飲料サーバー10に対するグラス2の搬入位置と、グラス2に対するビールの注出位置とが異なるので、予めグラス2が載置されたトレー1を搬入し、注出位置にグラス2が載置されたトレー1を搬送しておき、必要に応じてグラス2にビールを注出するという運用が可能となる。 【0053】 上部筐体14は、上部筐体14の内部を冷却する第一の冷却装置(図示せず)を備えている。前記第一の冷却装置は、熱交換器により冷却した空気を送風機によって上部筐体14の内部に供給するように構成されている。前記第一の冷却装置によって上部筐体14の内部は、好ましくは-15°Cから5°Cくらいに維持される。上部筐体14に覆われた空間内を冷却することによって、予めグラス2を冷却しておくことができる。なお、前記第一の冷却装置は設定時間に応じて自動的な電源の入り切りが可能に構成されている。」 エ 「【0069】 図4に示すように、飲料サーバー10は、該飲料サーバー10が設置される店舗の客席において店員Hが受けた注文を入力可能な注文用端末22から送信された発注情報を受信する受信部23と、受信部23が受信した発注情報に基づいて、注出コック19を制御する注出指令部と、前記発注情報に応じた伝票25を出力する印字装置24と、を備えている。 【0070】 前記注出指令部は、受信部23が受信した発注情報に基づいて、必要数のグラス2にビールが注出される。このとき、印字装置24から前記発注情報に対応する情報が印字された伝票25が出力される。 【0071】 グラス2へビールの注出が完了すると、伝票25の内容に基づいて、店員Sは飲料サーバー10からトレー1を搬出し、該トレー1から所定数のグラス2を取り出し、所定の客席に配膳する。」 オ 甲13には、図1及び図4として、次の図が記載されている。 [図:0001431562000019.jpg] 11 甲14 (1)甲14に記載された事項 甲14には、次の事項が記載されている。 ア 「【0008】 以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。 図1は、本実施形態の注文処理システムの構成を示すブロック図である。注文処理システムは、例えば飲食店に設置されて稼働する。 【0009】 注文処理システムは、オーダーステーション10、POS(Point Of Sales)端末12、キッチンプリンタ14、ホールコントローラ16、及び少なくとも1つの複数のアクセスポイント(AP)18(18-1,…,18-m)がLAN(Local Area Network)等のネットワーク19を介して相互に接続される。また、注文処理システムは、アクセスポイント18との無線通信を介して、タブレット端末16K、複数のハンディターミナル20(20-1,…,20-n)、店舗内のテーブル毎に設置された複数台の注文受付端末22(22-1,…,22-x)及び複数台のテーブルロボット24(24-1,…,24-x)、少なくとも1台のフロアロボット26(26-1,…,26-y)が、ネットワーク19と接続される。」 イ 「【0022】 フロアロボット26は、店舗内で商品の各テーブルへの配膳、及び各テーブルから食器、グラス、ゴミ等の物品の回収(バッシング)のために使用されるロボットである。フロアロボット26は、食器等を載置することができる、少なくとも1つの載置台が設けられている。フロアロボット26は、自律走行する機能が設けられており、店舗内のテーブルの配置に応じて設定された経路に応じて、指定された目的とするテーブルの位置まで走行することができる。フロアロボット26には、例えば衝突防止センサが設けられ、障害物を回避しながら走行する。 【0023】 フロアロボット26は、アクセスポイント18を介した無線通信機能が設けられており、例えば客により注文受付端末22あるいはテーブルロボット24から入力された指示、ホールコントローラ16からの客の状況に応じた指示、あるいは従業員による操作により入力された指示を受信して、指示に応じた動作をすることができる。また、フロアロボット26は、走行に伴って、現在位置を示す位置データを、アクセスポイント18を介してホールコントローラ16に通知する。ホールコントローラ16は、フロアロボット26から受信される位置データをもとに、例えば店舗のテーブル配置などを表示するフロアマップに、フロアロボット26が走行する経路上における現在位置(動作状況)を示す情報を表示することができる。」 ウ 「【0076】 一方、フロアロボット26は、ホールコントローラ16からの指示を受信すると(ActD1、Yes)、移動先を示すテーブル番号をもとに、現在位置から目的とするテーブルまでの経路を設定して、移動制御を開始する。フロアロボット26は、店舗内における走行に伴って、現在位置を示す位置データを、アクセスポイント18を介してホールコントローラ16に通知する。」 エ 甲14には、図1として、次の図が記載されている。 [図:0001431562000020.jpg] 第7 無効理由についての判断 1 無効理由1について (1)本件発明7について 本件発明7と甲1-2発明とを対比する。 甲1-2発明の「読み取り機によりチケットを読み取るステップ」は、チケットを読み取ることにより、飲料であるコーヒーの注文を受け付けているから、甲1-2発明の「読み取り機によりチケットを読み取るステップ」は、本件発明7の「注文受付部により飲料の注文を受け付けるステップ」に相当する。 甲1-2発明の「ドリップマシン」、「コーヒー」、「ドリップする」は、それぞれ本件発明7の「飲料供給部」、「飲料」、「供給する」に相当する。したがって、甲1-2発明の「ドリップマシンによりコーヒーをドリップするステップ」は、本件発明7の「飲料供給部により飲料を供給するステップ」に相当する。 甲1-2発明の「紙コップ」は、本件発明7の「飲料容器」に相当する。また、甲1-2発明において、「紙コップをドリップマシンにセットする」ことは、紙コップをドリップマシンによるコーヒーの供給位置に移動させてセットすることにほかならない(上記第6・1(1)ウ参照)から、甲1-2発明の「紙コップをドリップマシンにセットする」ことは、本件発明7の「飲料容器を該飲料供給部による飲料の供給位置に移動する」ことに相当する。さらに、本件発明7の「ロボットアームを有する飲料容器搬送部により飲料容器を」「移動する」ことには、ロボットアームにより飲料容器を移動することが含まれるから、甲1-2発明の「ロボットアームにより紙コップを」「セットする」ことは、本件発明7の「ロボットアームを有する飲料容器搬送部により飲料容器を」「移動する」ことに相当する。よって、甲1-2発明の「ロボットアームにより紙コップをドリップマシンにセットするステップ」は、本件発明7の「ロボットアームを有する飲料容器搬送部により飲料容器を該飲料供給部による飲料の供給位置に移動するステップ」に相当する。 甲1-2発明の「コーヒーを自動で提供する方法」は、本件発明7の「飲料自動提供方法」に相当する。 甲1-2発明の「複数の紙コップの保管場所」は、本件発明7の「飲料容器保管部」に相当し、甲1-2発明の「複数の紙コップの保管場所に保管された紙コップ」は、本件発明7の「飲料容器保管部内に保管された飲料容器」に相当する。また、甲1-2発明の「前記ロボットアームによって取り上げられる所定の位置」は、本件発明7の「前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置」に相当し、甲1-2発明の「置く」は、本件発明7の「供給する」に相当する。そうすると、甲1-2発明の「コーヒーの提供を受ける者により、ロボットアームの横に位置する複数の紙コップの保管場所に保管された紙コップを前記複数の紙コップの保管場所から前記ロボットアームによって取り上げられる所定の位置に置くステップ」と、本件発明7の「前記飲料容器搬送部に設けられて前記飲料容器を供給する飲料容器供給機構により、前記ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器を前記飲料容器保管部から前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置に供給するステップ」とは、飲料容器保管部内に保管された飲料容器を前記飲料容器保管部から前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置に供給するステップである点で共通する。 甲1-2発明の「複数の紙コップの保管場所に保管された紙コップが置かれ前記ロボットアームによって取り上げられる紙コップが置かれる前記所定の位置」は、本件発明7の「飲料容器保管部内に保管された飲料容器が供給され前記ロボットアームによって取り上げ可能な前記飲料容器の取上位置」に相当する。また、甲1-2発明において、「ロボットアームが」「紙コップが置かれる前記所定の位置」、「ドリップマシン、及び、トレーの間で一つの紙コップを移動させること」は、「紙コップが置かれる前記所定の位置」とドリップマシンのコーヒーの供給位置、及び、トレーの間で一つの、すなわち共通の紙コップを移動させることにほかならない。ここで甲1-2発明における「トレー」は、コーヒーの提供を受ける者に紙コップに入れたコーヒーを提供する位置である(上記第6・1(1)エ参照。)。そして、甲1に開示された発明は、ロボットアームが一つの紙コップと共に、ドリッパーも移動させている(上記第6・1(1)オに示す00:26、00:30時点の映像参照)が、ロボットアームが紙コップだけでなくドリッパーを移動させていたとしても共通の紙コップ、すなわち共通の飲料容器を移動させていることに変わりはなく、甲1-2発明の「一つの紙コップを移動させること」は、本件発明7の「共通の前記飲料容器を移動させること」に相当するから、甲1-2発明の「前記ロボットアームが、前記ロボットアームの横に位置する複数の紙コップの保管場所に保管された紙コップが置かれ前記ロボットアームによって取り上げられる紙コップが置かれる前記所定の位置、前記ドリップマシン、及び、トレーの間で一つの紙コップを移動させること」は、本件発明7の「前記ロボットアームが、少なくとも、前記ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器が供給され前記ロボットアームによって取り上げ可能な前記飲料容器の取上位置、前記飲料供給部による飲料の供給位置、及び、飲料の提供位置の間で共通の前記飲料容器を移動させること」と、ロボットアームが、少なくとも、飲料容器保管部内に保管された飲料容器が供給され前記ロボットアームによって取り上げ可能な前記飲料容器の取上位置、前記飲料供給部による飲料の供給位置、及び、飲料の提供位置の間で共通の前記飲料容器を移動させることで共通する。 甲1-2発明の「読み取り機にかざされたチケットの内容」は、本件発明7の「注文受付部により受け付けられた注文」に相当し、甲1-2発明の「コーヒーの自動提供を行うステップを含む」ことは、本件発明7の「自動で提供するステップを含む」ことに相当する。 そうすると、本件発明7と甲1-2発明とは、次の一致点7-1で一致し、相違点7-1で相違する。 ・一致点7-1 「注文受付部により飲料の注文を受け付けるステップと、 飲料供給部により飲料を供給するステップと、 ロボットアームを有する飲料容器搬送部により飲料容器を該飲料供給部による飲料の供給位置に移動するステップと、 を含む飲料自動提供方法であって、 飲料容器保管部内に保管された飲料容器を前記飲料容器保管部から前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置に供給するステップと、 前記ロボットアームが、少なくとも、飲料容器保管部内に保管された飲料容器が供給され前記ロボットアームによって取り上げ可能な前記飲料容器の取上位置、前記飲料供給部による飲料の供給位置、及び、飲料の提供位置の間で共通の前記飲料容器を移動させることによって前記注文受付部により受け付けられた注文に応じた飲料を自動で提供するステップを含む飲料自動提供方法。」 ・相違点7-1 飲料容器保管部内に保管された飲料容器を前記飲料容器保管部から前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置に供給するステップが、本件発明7では、「前記飲料容器搬送部に設けられて前記飲料容器を供給する飲料容器供給機構により」飲料容器を供給するものであって、飲料容器保管部が「前記ロボットアームの下方に位置する」のに対し、甲1-2発明では、「コーヒーの提供を受ける者により」、紙コップを所定の位置に置くものであって、複数の紙コップの保管場所が「ロボットアームの横に位置する」点。 上記相違点7-1について検討する。 飲料容器を供給するのが、「飲料容器供給機構」であるか、「コーヒーの提供を受ける者」であるかは、飲料容器を供給する主体が明らかに異なるから、上記相違点7-1は、実質的な相違点である。また、飲料容器を保管する飲料容器保管部をロボットアームの下方とするか、あるいは、甲1-2発明のようにロボットアームの横に位置するものとするかは、明らかにその場所が異なるものであるから、この点からみても、上記相違点7-1は、実質的な相違点である。 そうすると、本件発明7は、甲1-2発明であるとはいえない。 請求人は、「ロボットアームは上方からコップを取上げる構造上、コップの保管位置の一部は、その本体アーム部分よりも下方となる」と主張している(上記第4・3(1)イ参照)が、甲1の開示によれば、コップの保管位置が下方となるのは、ロボットアームの先端部分であるコップを取り上げる部分に対してであり、ロボットアームのこのような特定の部分の下方にコップの保管位置があるからといって、ロボットアームそのものに対して、コップの保管位置が下方に位置するとはいえないから、請求人の上記主張は採用することができない。 なお、甲1-2発明に基づく本件発明7の進歩性については、「3 無効理由3について」の「(3)本件発明7について」において検討する。 (2)本件発明8について 本件発明8と甲1-3発明とを対比すると、本件発明7と甲1-2発明と同様に対比できるから、甲1-3発明の「甲1-2発明のコーヒーを自動で提供する方法の読み取り機によりチケットを読み取るステップと、ドリップマシンによりコーヒーをドリップするステップと、ロボットアームにより紙コップをドリップマシンにセットするステップと、前記ロボットアームが、前記ロボットアームの横に位置する複数の紙コップの保管場所に保管された紙コップが置かれ前記ロボットアームによって取り上げられる紙コップが置かれる前記所定の位置、前記ドリップマシン、及び、トレーの間で一つの紙コップを移動させることによって、前記読み取り機にかざされたチケットの内容に応じたコーヒーの自動提供を行うステップ」は、本件発明8の「請求項7記載の飲料自動提供方法の各ステップ」と、「注文受付部により飲料の注文を受け付けるステップと、飲料供給部により飲料を供給するステップと、ロボットアームを有する飲料容器搬送部により飲料容器を該飲料供給部による飲料の供給位置に移動するステップと、前記ロボットアームが、少なくとも、飲料容器保管部内に保管された飲料容器が供給され前記ロボットアームによって取り上げ可能な前記飲料容器の取上位置、前記飲料供給部による飲料の供給位置、及び、飲料の提供位置の間で共通の前記飲料容器を移動させることによって前記注文受付部により受け付けられた注文に応じた飲料を自動で提供するステップ」である点で共通する。また、甲1-3発明の「コーヒーを自動で提供するプログラム」は、本件発明8の「飲料自動提供プログラム」に相当する。 そうすると、本件発明8と甲1-3発明とは、次の一致点8-1で一致し、相違点8-1で相違する。 ・一致点8-1 「注文受付部により飲料の注文を受け付けるステップと、飲料供給部により飲料を供給するステップと、ロボットアームを有する飲料容器搬送部により飲料容器を該飲料供給部による飲料の供給位置に移動するステップと、前記ロボットアームが、少なくとも、飲料容器保管部内に保管された飲料容器が供給され前記ロボットアームによって取り上げ可能な前記飲料容器の取上位置、前記飲料供給部による飲料の供給位置、及び、飲料の提供位置の間で共通の前記飲料容器を移動させることによって前記注文受付部により受け付けられた注文に応じた飲料を自動で提供するステップをコンピュータにより実行する飲料自動提供プログラム。」 ・相違点8-1 本件発明8の飲料自動提供プログラムは、「前記飲料容器搬送部に設けられて前記飲料容器を供給する飲料容器供給機構により、前記ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器を前記飲料容器保管部から前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置に供給するステップ」をコンピュータにより実行するものであるのに対し、甲1-3発明のコーヒーを自動で提供するプログラムは、このようなステップをコンピュータにより実行するものではない点。 そして、上記相違点8-1は、相違点7-1が実質的な相違点であるのと同様に、実質的な相違点であるから、本件発明8は、甲1-3発明であるとはいえない。 なお、甲1-3発明に基づく本件発明8の進歩性については、「3 無効理由3について」の「(4)本件発明8について」において検討する。 (3)無効理由1についてのまとめ 上記のとおり、本件発明7は、甲1-2発明であるとはいえず、また、本件発明8は、甲1-3発明であるとはいえないから、本件発明7及び8は、無効理由1によって、無効とすることはできない。 2 無効理由2について (1)公然実施された発明について 甲1ないし3に開示された発明は、上記第6・1ないし第6・3に示すとおりであるところ、甲1ないし3は、いずれも本件特許の優先日前に「変なカフェ(東京都渋谷区神南1丁目21-3 渋谷モディB1F)」において実施されたコーヒーを自動で提供する方法を撮影した動画(甲1,甲2の2、甲2の3)であり、また、これを紹介するWebページ(甲2の1、甲3、甲15)である。そうすると、これら甲1ないし3には、上記第6・1ないし第6・3に示す発明が開示されているが、これらは、「変なカフェ(東京都渋谷区神南1丁目21-3 渋谷モディB1F)」において同じ装置を用いて、同じ方法で実施されているものと理解できる。 そうすると、上記第6・1ないし第6・3で認定した甲1-2発明、甲2-2発明、甲3-2発明は、いずれも同じ方法で実施されたものの動画及びWebページに基づいて認定した発明であるから、これらより、本件特許の優先日前に、「変なカフェ(東京都渋谷区神南1丁目21-3 渋谷モディB1F)」において、次の発明(以下、「公然実施発明1」という。)が実施されていたと認められる。 ・公然実施発明1 「読み取り機によりチケットを読み取るステップと、 ドリップマシンによりコーヒーをドリップするステップと、 ロボットアームにより紙コップをドリップマシンにセットするステップと、 を含むコーヒーを自動で提供する方法であって、 コーヒーの提供を受ける者により、前記ロボットアームの横に位置する複数の紙コップの保管場所に保管された紙コップを前記複数の紙コップの保管場所から前記ロボットアームによって取り上げられる所定の位置に置くステップと、 前記ロボットアームが、前記ロボットアームの横に位置する複数の紙コップの保管場所に保管された紙コップが置かれ前記ロボットアームによって取り上げられる紙コップが置かれる前記所定の位置、前記ドリップマシン、及び、トレーの間で一つの紙コップを移動させることによって、前記読み取り機にかざされたチケットの内容に応じたコーヒーの自動提供を行うステップを含むコーヒーを自動で提供する方法。」 さらに、この公然実施発明1のロボットアームは「ロボットのプログラムが再生され、あらかじめ設定された軌道通りに動く」(上記第6・2(1)イ参照)ものであり、このプログラムはコンピュータにより実行されるものと解され、また、読み取り機及びドリップマシンもコンピュータにより実行されるものと解されるから、次の発明(以下、「公然実施発明2」という。)も本件特許の優先日前に公然実施されていたと認められる。 ・公然実施発明2 「公然実施発明1のコーヒーを自動で提供する方法の読み取り機によりチケットを読み取るステップと、ドリップマシンによりコーヒーをドリップするステップと、ロボットアームにより紙コップをドリップマシンにセットするステップと、前記ロボットアームが、ロボットアームの横に位置する複数の紙コップの保管場所に保管された紙コップが置かれ前記ロボットアームによって取り上げられる位置、前記ドリップマシン、及び、トレーの間で一つの紙コップを移動させることによって、読み取り機にかざされたチケットの内容に応じたコーヒーの自動提供を行うステップをコンピュータにより実行するコーヒーを自動で提供するプログラム。」 (2)対比及び判断 上記公然実施発明1は、甲1-2発明と同じであり、また、公然実施発明2は、甲1-3発明が、「甲1-2発明のコーヒーを自動で提供する方法の各ステップ」としているのを「公然実施発明1のコーヒーを自動で提供する方法の各ステップ」としている点を除いて、同じである。 そうすると、上記「1 無効理由1について」に示すとおり、本件発明7及び本件発明8が甲1-2発明及び甲1-3発明であるとはいえないのと同様の理由により、本件発明7及び本件発明8は、公然実施発明1及び公然実施発明2であるとはいえないから、無効理由2により、本件発明7及び本件発明8を無効とすることはできない。 3 無効理由3について (1)本件発明2について ア 甲1-1発明に基づく進歩性 本件発明2と甲1-1発明とを対比する。 甲1-1発明の「チケットを読み取る」ことは、チケットに記載された飲み物の種類であるコーヒーの注文を受け付けることとなるから、甲1-1発明の「チケットを読み取る」ことは、本件発明2の「飲料の注文を受け付ける」ことに相当し、甲1-1発明の「読み取り機」は、本件発明2の「注文受付部」に相当する。したがって、甲1-1発明の「チケットを読み取る読み取り機」は、本件発明2の「飲料の注文を受け付ける注文受付部」に相当する。 甲1-1発明の「コーヒー」は、本件発明2の「飲料」に相当し、甲1-1発明の「コーヒーをドリップする」ことは、本件発明2の「飲料を供給する」ことに相当する。また、甲1-1発明の「ドリップマシン」は、本件発明2の「飲料供給部」に相当する。したがって、甲1-1発明の「コーヒーをドリップするドリップマシン」は、本件発明2の「飲料を供給する飲料供給部」に相当する。 甲1-1発明の「紙コップ」は、本件発明2の「飲料容器」に相当し、甲1-1発明において「紙コップをドリップマシンにセットする」ことは、紙コップをドリップマシンのコーヒーのドリップされる位置にセットすることをいうから、甲1-1発明の「紙コップをドリップマシンにセットする」ことは、本件発明2の「飲料容器を前記飲料供給部による飲料の供給位置に移動する」ことに相当する。そして、甲1-1発明の「紙コップをドリップマシンにセットするロボットアーム」は、紙コップをドリップマシンのドリップされる位置に移動させる搬送部であるから、甲1-1発明の「紙コップをドリップマシンにセットするロボットアーム」は、本件発明2の「飲料容器を前記飲料供給部による飲料の供給位置に移動する飲料容器搬送部」に相当する。 甲1-1発明の「コーヒーの自動提供を行うシステム」は、本件発明2の「飲料自動提供システム」に相当する。 甲1-1発明の「保管場所」は、本件発明2の「飲料容器保管部」に相当する。したがって、甲1-1発明の「複数の紙コップの保管場所」は、本件発明2の「複数の前記飲料容器が保管される飲料容器保管部」に相当する。 甲1-1発明の「読み取り機にかざされたチケットの内容」は、本件発明2の「前記注文受付部により受け付けられた注文」に相当し、甲1-1発明の「ロボットアームを制御する制御装置」は、本件発明2の「前記飲料容器搬送部を制御する制御装置」に相当する。 甲1-1発明の「ロボットアーム」をコーヒーの自動提供を行うシステムが有することは、本件発明2の飲料自動提供システムに設けられた「飲料容器搬送部が、ロボットアーム」を有することに相当する。 甲1-1発明の「紙コップが置かれる位置」は、この位置に置かれた紙コップがロボットアームに取り上げられる(上記第6・1(1)エ及びオに示す00:15の映像参照。)から、甲1-1発明の「紙コップが置かれる位置」は、本件発明2の「飲料容器取上位置」に相当する。また、甲1-1発明において「ロボットアームが」「ドリップマシン」及び、「トレー」の「間で一つの紙コップを移動させること」は、本件発明2の「ロボットアームが」「前記飲料供給部による飲料の供給位置」及び、「飲料の提供位置」の「間で共通の前記飲料容器を移動させること」に相当する。また、甲1-1発明の「読み取り機にかざされたチケットの内容に応じたコーヒーの自動提供を行うシステム」は、本件発明2の「前記注文受付部により受け付けられた注文に応じた飲料を自動で提供する」「飲料自動提供システム」に相当する。 そうすると、本件発明2と甲1-1発明とは、次の一致点2-1で一致し、相違点2-1で相違する。 ・一致点2-1 「飲料の注文を受け付ける注文受付部と、 飲料を供給する飲料供給部と、 飲料容器を前記飲料供給部による飲料の供給位置に移動する飲料容器搬送部と が設けられた飲料自動提供システムであって、 複数の前記飲料容器が保管される飲料容器保管部と、 前記注文受付部により受け付けられた注文に基づき、前記飲料容器搬送部を制御する制御装置と、 が設けられ、 前記飲料容器搬送部が、 ロボットアームを有し、 前記ロボットアームが、少なくとも、飲料容器取上位置、前記飲料供給部による飲料の供給位置、及び、飲料の提供位置の間で共通の前記飲料容器を移動させることによって前記注文受付部により受け付けられた注文に応じた飲料を自動で提供する飲料自動提供システム。」 ・相違点2-1 本件発明2が「前記飲料容器搬送部が」、「前記飲料容器保管部内に保管された飲料容器を前記飲料容器保管部から前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置に供給する飲料容器供給機構と、を有し」、「前記飲料容器保管部が前記ロボットアームの下方に位置する」のに対し、甲1-1発明は、「複数の紙コップの保管場所からコーヒーの提供を受ける者によって一つの紙コップが置かれる位置」を有しており、「複数の紙コップの保管場所がロボットアームの横に位置する」点。 上記相違点2-1について検討する。 甲1-1発明は、コーヒーの提供を受ける者が紙コップを置いた所定の位置から、1台のロボットアームが紙コップを移動させて、コーヒーの自動提供をおこなうシステムであって、この1台のロボットアーム以外に紙コップを移動させる手段を必要としていないものである。そして、このような甲1-1発明は、複数の紙コップの保管場所からコーヒーの提供を受ける者によって一つの紙コップが、ロボットアームによって取り上げることができる位置に置かれることが想定されており、この点を含めて1つの完結したシステムを構成しているものである。そうすると、甲1-1発明には、この1台のロボットアーム以外に紙コップを移動させる手段を適用する動機はなく、上記相違点2-1に係る本件発明2の発明特定事項を適用することは、当業者であっても容易であるとはいえない。 この点、請求人は、甲9には、「グラス15をラック51から抜き出してコンベヤ4‘上に供給するアーム52が示されており」、これらを甲1-1発明に適用し、上記相違点2-1に係る本件発明2の発明特定事項を得ることは容易である旨を主張し(上記第4・3(3)ア参照。)、また、甲9に記載された発明と甲1に記載された発明とは、同一の技術分野に属し、課題が共通し、作用及び機能が共通しており、甲1に記載された発明は、「飲料を自動提供するうえで、保管用のラックからロボットアームによる飲料容器の取上位置までの前半の区間の移動を人間の手に委ねており、飲料の自動提供化を課題とする他の各甲発明においては改良の余地のある過渡的な状態であるともいえ」、「当業者は、一部に自動化が成されていない飲料の提供装置に対して、その部分も自動化しようとする動機は自然といえる。」(上記第4・3(3)ア参照。)旨を主張している。 しかし、甲1-1発明は、紙コップの移動を1つのロボットアームで行うことにより、コーヒーの自動提供を実現したものと解され、それによって、装置間での紙コップの受け渡し等が必要でない簡素なシステムを実現しコストを低減したものと解される。この点は、甲1-1発明と同じシステムを記載した甲2に「センサーを最小限にしたのは、コスト削減のため」(上記第6・2(1)オ)と記載されていることとも整合する。そうすると、甲1-1発明に「一部に自動化が成されていない飲料の提供装置に対して、その部分も自動化しようとする動機」があるとしても、その自動化のためにロボットアームに加えて、別の紙コップの供給機構を設けることは、甲1に接した当業者にとって、容易であるとはいえない。 また、甲9についてみると、「アーム52が、空のグラス15をラック51からつかみ取」り、この「空のグラス15をコンベヤ4’の上に置」き、また、「アーム52は、空のグラス15をコンベヤ4’の上に置いてカクテルを受け取る用意ができるように傾きまたは動」くと共に、この状態で、「ロボットアーム1a、1cは、飲み物をエンドエフェクタ14からグラス15に注」ぐことが記載(上記第6・9(1)ウ参照)されている。この記載によれば、甲9に記載されているものは、ラック51にある空のグラス51をアーム52でつかみ取り、このアーム52がロボットアーム1a,1cによって飲み物が注がれる位置であるコンベア4’の上まで移動させるものとなる。そして、甲1-1発明において、紙コップに飲み物であるコーヒーが注がれるのは、ドリップマシンであるから、仮に、甲9に記載されたものを甲1-1発明に適用したとすると、甲9に記載されたアーム52によって甲1-1発明の紙コップが供給される位置は、ドリップマシンとなり、「前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置」ではない。そうすると、仮に、甲1-1発明に甲9に記載されたものを適用したとしても、上記相違点2-1に係る本件発明2の発明特定事項を得ることはできないから、本件発明2は、当業者が容易になし得たものとはいえない。 また、他の証拠をみても、上記相違点2-1に係る本件発明2の発明特定事項が開示されたものはなく、甲1-1発明において、上記相違点2-1に係る本件発明2の発明特定事項を得ることが当業者にとって容易であるとはいえない。 よって、本件発明2は、甲1-1発明及び甲9に記載された事項及び他の証拠に基づいて、本件特許の優先日前に、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 イ 甲2-1発明に基づく進歩性 本件発明2と甲2-1発明とを対比する。 甲2-1発明の「QRコードを読み取る」ことは、QRコードに記載された飲み物の種類であるコーヒーの注文を受け付けることとなるから、甲2-1発明の「QRコードを読み取る」ことは、本件発明2の「飲料の注文を受け付ける」ことに相当し、甲2-1発明の「バーコードリーダー」は、本件発明2の「注文受付部」に相当する。したがって、甲2-1発明の「QRコードを読み取るバーコードリーダー」は、本件発明2の「飲料の注文を受け付ける注文受付部」に相当する。 甲2-1発明の「コーヒー」は、本件発明2の「飲料」に相当し、甲2-1発明の「フィルターがセットされ、コーヒーが濾される」ことは、本件発明2の「飲料を供給する」ことに相当する。また、甲2-1発明の「台」は、「コーヒーが濾される」部位であるから、本件発明2の「飲料供給部」に相当する。したがって、甲2-1発明の「フィルターがセットされ、コーヒーが濾される台」は、本件発明2の「飲料を供給する飲料供給部」に相当する。 甲2-1発明の「紙コップ」は、本件発明2の「飲料容器」に相当し、甲2-1発明において「紙コップをフィルターがセットされ、コーヒーが濾される台に移動する」ことは、紙コップをコーヒーが濾されてドリップされる部位に移動することをいうから、甲2-1発明の「紙コップをフィルターがセットされ、コーヒーが濾される台に移動する」ことは、本件発明2の「飲料容器を前記飲料供給部による飲料の供給位置に移動する」ことに相当する。そして、甲2-1発明の「紙コップをフィルターがセットされ、コーヒーが濾される台に移動するアームロボット」は、紙コップをコーヒーが濾される台のドリップされる部位に移動させる搬送部であるから、甲2-1発明の「紙コップをフィルターがセットされ、コーヒーが濾される台に移動するアームロボット」は、本件発明2の「飲料容器を前記飲料供給部による飲料の供給位置に移動する飲料容器搬送部」に相当する。 甲2-1発明の「コーヒーの自動提供を行うシステム」は、本件発明2の「飲料自動提供システム」に相当する。 甲2-1発明の「保管場所」は、本件発明2の「飲料容器保管部」に相当する。したがって、甲2-1発明の「複数の紙コップの保管場所」は、本件発明2の「複数の前記飲料容器が保管される飲料容器保管部」に相当する。 甲2-1発明の「バーコードリーダーで読み取られたQRコードの内容」は、本件発明2の「前記注文受付部により受け付けられた注文」に相当し、甲2-1発明の「アームロボットを制御する制御装置」は、本件発明2の「前記飲料容器搬送部を制御する制御装置」に相当する。 甲2-1発明のシステムが「アームロボット」を有することは、本件発明2の飲料自動提供システムに設けられた「飲料容器搬送部がロボットアーム」を有することに相当する。 甲2-1発明の「紙コップが置かれる指定の位置」は、この位置に置かれた紙コップをアームロボットがつかむ(上記第6・2(1)イ参照。)から、甲2-1発明の「紙コップが置かれる指定の位置」は、本件発明2の「飲料容器取上位置」に相当する。また、甲2-1発明において「アームロボットが」「フィルターがセットされ、コーヒーが濾される台」及び、「受け取りカウンター」の「間で一つの紙コップを移動させること」は、本件発明2の「ロボットアームが」「前記飲料供給部による飲料の供給位置」及び、「飲料の提供位置」の「間で共通の前記飲料容器を移動させること」に相当する。また、甲2-1発明の「バーコードリーダーに読み取られたQRコードの内容に応じたコーヒーの自動提供を行うシステム」は、本件発明2の「前記注文受付部により受け付けられた注文に応じた飲料を自動で提供する」「飲料自動提供システム」に相当する。 そうすると、本件発明2と甲2-1発明とは、次の一致点2-2で一致し、相違点2-2で相違する。 ・一致点2-2 「飲料の注文を受け付ける注文受付部と、 飲料を供給する飲料供給部と、 飲料容器を前記飲料供給部による飲料の供給位置に移動する飲料容器搬送部と が設けられた飲料自動提供システムであって、 複数の前記飲料容器が保管される飲料容器保管部と、 前記注文受付部により受け付けられた注文に基づき、前記飲料容器搬送部を制御する制御装置と、 が設けられ、 前記飲料容器搬送部が ロボットアーム、を有し、 前記ロボットアームが、少なくとも、飲料容器取上位置、前記飲料供給部による飲料の供給位置、及び、飲料の提供位置の間で共通の前記飲料容器を移動させることによって前記注文受付部により受け付けられた注文に応じた飲料を自動で提供する飲料自動提供システム。」 ・相違点2-2 本件発明2が「前記飲料容器搬送部が」、「前記飲料容器保管部内に保管された飲料容器を前記飲料容器保管部から前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置に供給する飲料容器供給機構と、を有し」、「前記飲料容器保管部が前記ロボットアームの下方に位置する」のに対し、甲2-1発明は、「複数の紙コップの保管場所の紙コップからコーヒーの提供を受ける者によって一つの紙コップが置かれる指定の位置」を有しており、「複数の紙コップの保管場所がロボットアームの横に位置する」点。 上記相違点2-2について検討する。 相違点2-2は、本件発明2と甲1-1発明との相違点である相違点2-1と同様の相違点である。そうすると、相違点2-1に係る本件発明2の発明特定事項を得ることが当業者であっても容易とはいえないのと同様の理由により、相違点2-2に係る本件発明2の発明特定事項を得ることは、当業者であっても容易であるとはいえない。 よって、本件発明2は、甲2-1発明及び甲9に記載された事項及び他の証拠に基づいて、本件特許の優先日前に、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 ウ 甲3-1発明に基づく進歩性 本件発明2と甲3-1発明とを対比する。 甲3-1発明の「2次元コードリーダー付きのチケットを読み取る」ことは、チケットの2次元コードリーダーに記載された飲み物の種類であるコーヒーの注文を受け付けることとなるから、甲3-1発明の「2次元コードリーダー付きのチケットを読み取る」ことは、本件発明2の「飲料の注文を受け付ける」ことに相当し、甲3-1発明の「2次元コードリーダー」は、本件発明2の「注文受付部」に相当する。したがって、甲3-1発明の「2次元コードリーダー付きのチケットを読み取る2次元コードリーダー」は、本件発明2の「飲料の注文を受け付ける注文受付部」に相当する。 甲3-1発明の「コーヒー」は、本件発明2の「飲料」に相当し、甲3-1発明の「コーヒーを抽出する」ことは、本件発明2の「飲料を供給する」ことに相当する。また、甲3-1発明の「バリスタマシン」は、本件発明2の「飲料供給部」に相当する。したがって、甲3-1発明の「コーヒーを抽出するバリスタマシン」は、本件発明2の「飲料を供給する飲料供給部」に相当する。 甲3-1発明の「紙コップ」は、本件発明2の「飲料容器」に相当し、甲3-1発明において「紙コップをバリスタマシンのポアステディに移動する」ことは、紙コップをバリスタマシンのポアステディのコーヒーがドリップされる位置に移動することをいうから、甲3-1発明の「紙コップをバリスタマシンのポアステディに移動する」ことは、本件発明2の「飲料容器を前記飲料供給部による飲料の供給位置に移動する」ことに相当する。そして、甲3-1発明の「ソーヤー」は、紙コップをバリスタマシンのポアステディのコーヒーがドリップされる位置に移動させる搬送部であるから、甲3-1発明の「紙コップをバリスタマシンのポアステディに移動するソーヤー」は、本件発明2の「飲料容器を前記飲料供給部による飲料の供給位置に移動する飲料容器搬送部」に相当する。 甲3-1発明の「コーヒーの自動提供を行うシステム」は、本件発明2の「飲料自動提供システム」に相当する。 甲3-1発明の「保管場所」は、本件発明2の「飲料容器保管部」に相当する。したがって、甲3-1発明の「複数の紙コップの保管場所」は、本件発明2の「複数の前記飲料容器が保管される飲料容器保管部」に相当する。 甲3-1発明の「2次元コードリーダーにかざされたチケットの注文」は、本件発明2の「前記注文受付部により受け付けられた注文」に相当し、甲3-1発明の「ソーヤーを制御する制御装置」は、本件発明2の「前記飲料容器搬送部を制御する制御装置」に相当する。 甲3-1発明において、システムが「ソーヤーを有」することは、本件発明2において、飲料自動適用システムに設けられた「飲料容器搬送部がロボットアーム」を有することに相当する。 甲3-1発明において「ソーヤーが」「紙コップをバリスタマシンのポアステディ」及び、「受け取りカウンターに運ぶこと」は、本件発明2の「ロボットアームが」「前記飲料供給部による飲料の供給位置」及び、「飲料の提供位置」の「間で共通の前記飲料容器を移動させること」に相当する。また、甲3-1発明の「注文に応じたコーヒーの自動提供を行うシステム」は、本件発明2の「前記注文受付部により受け付けられた注文に応じた飲料を自動で提供する」「飲料自動提供システム」に相当する。 そうすると、本件発明2と甲3-1発明とは、次の一致点2-3で一致し、相違点2-3で相違する。 ・一致点2-3 「飲料の注文を受け付ける注文受付部と、 飲料を供給する飲料供給部と、 飲料容器を前記飲料供給部による飲料の供給位置に移動する飲料容器搬送部と が設けられた飲料自動提供システムであって、 複数の前記飲料容器が保管される飲料容器保管部と、 前記注文受付部により受け付けられた注文に基づき、前記飲料容器搬送部を制御する制御装置と、 が設けられ、 前記飲料容器搬送部が、 ロボットアーム、を有し、 ロボットアームが、少なくとも、前記飲料供給部による飲料の供給位置、及び、飲料の提供位置の間で共通の前記飲料容器を移動させることによって前記注文受付部により受け付けられた注文に応じた飲料を自動で提供する飲料自動提供システム。」 ・相違点2-3 本件発明2が「前記飲料容器搬送部が」、「前記飲料容器保管部内に保管された飲料容器を前記飲料容器保管部から前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置に供給する飲料容器供給機構と、を有し」、「前記飲料容器保管部が前記ロボットアームの下方に位置する」と共に「ロボットアームが」、「前記飲料供給部による飲料の供給位置、及び、飲料の提供位置」に加え、「飲料容器取上位置」の間で共通の前記飲料容器を移動させるのに対し、甲3-1発明は、ロボットアームであるソーヤーが設けられているものの、複数の紙コップの保管場所からソーヤーが紙コップを取り上げる位置まで紙コップを供給する機構を有しておらず、「複数の紙コップの保管場所がロボットアームの横に位置」し、ソーヤーが、紙コップをバリスタマシンのポアステディ、及び、受け取りカウンターに運ぶものの、紙コップを取り上げる位置との間で移動させるか不明な点。 上記相違点2-3について検討する。 相違点2-3は、本件発明2と甲1-1発明との相違点である相違点2-1と同様の相違点を含むものである。そうすると、相違点2-1に係る本件発明2の発明特定事項を得ることが当業者であっても容易とはいえないのと同様の理由により、相違点2-3に係る本件発明2の発明特定事項を得ることは、当業者であっても容易であるとはいえない。 よって、本件発明2は、甲3-1発明及び甲9に記載された事項及び他の証拠に基づいて、本件特許の優先日前に、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 エ 甲4-1発明に基づく進歩性 本件発明2と甲4-1発明とを対比する。 甲4-1発明の「チケット読み取り口」は、チケットに記載された注文を読み取るものと解されるから、甲4-1発明の「チケット読み取り口」は、本件発明2の「飲料の注文を受け付ける注文受付部」に相当する。 甲4-1発明の「コーヒー」は、本件発明2の「飲料」に相当し、甲4-1発明の「コーヒーをドリップする」ことは、本件発明2の「飲料を供給する」ことに相当する。また、甲4-1発明の「コーヒーマシン」は、本件発明2の「飲料供給部」に相当する。したがって、甲4-1発明の「コーヒーをドリップするコーヒーマシン」は、本件発明2の「飲料を供給する飲料供給部」に相当する。 甲4-1発明の「紙コップ」は、本件発明2の「飲料容器」に相当し、甲4-1発明において「紙コップをコーヒーマシンに移動する」ことは、紙コップをコーヒーマシンのコーヒーがドリップされる位置に移動することをいうから、甲4-1発明の「紙コップをコーヒーマシンに移動する」ことは、本件発明2の「飲料容器を前記飲料供給部による飲料の供給位置に移動する」ことに相当する。そして、甲4-1発明の「紙コップをコーヒーマシンに移動するロボット」は、紙コップをコーヒーマシンのドリップされる位置に移動させる搬送部であるから、甲4-1発明の「紙コップをコーヒーマシンに移動するロボット」は、本件発明2の「飲料容器を前記飲料供給部による飲料の供給位置に移動する飲料容器搬送部」に相当する。 甲4-1発明の「コーヒーの自動提供を行うアンドロボットカフェシステム」は、本件発明2の「飲料自動提供システム」に相当する。 甲4-1発明の「保管場所」は、本件発明2の「飲料容器保管部」に相当する。したがって、甲4-1発明の「複数の紙コップの保管場所」は、本件発明2の「複数の前記飲料容器が保管される飲料容器保管部」に相当する。 甲4-1発明の「チケット読み取り口にかざされたチケットの内容」は、本件発明2の「前記注文受付部により受け付けられた注文」に相当し、甲4-1発明の「ロボットを制御する制御装置」は、本件発明2の「前記飲料容器搬送部を制御する制御装置」に相当する。 甲4-1発明のアンドロボットカフェシステムが「ロボットを有」することは、本件発明2において、飲料自動提供システムに設けられた「飲料容器搬送部がロボットアーム」を有することに相当する。 甲4-1発明の「当該複数の紙コップの保管場所」は、この位置に置かれた紙コップがロボットに把持される場所でもある(上記第6・4(1)オ及びケに示す00:29の映像参照。)から、甲4-1発明の「当該複数の紙コップの保管場所」と本件発明2の「飲料容器取上位置」とは、飲料容器把持位置である点で共通する。また、甲4-1発明において「ロボットが」「コーヒーマシン」及び、「受取口」の「間で一つの紙コップを移動させること」は、本件発明2の「ロボットアームが」「前記飲料供給部による飲料の供給位置」及び、「飲料の提供位置」の「間で共通の前記飲料容器を移動させること」に相当する。また、甲4-1発明の「チケット読み取り口にかざされたチケットの内容に応じたコーヒーの自動提供を行うアンドロボットカフェシステム」は、本件発明2の「前記注文受付部により受け付けられた注文に応じた飲料を自動で提供する」「飲料自動提供システム」に相当する。 そうすると、本件発明2と甲4-1発明とは、次の一致点2-4で一致し、相違点2-4で相違する。 ・一致点2-4 「飲料の注文を受け付ける注文受付部と、 飲料を供給する飲料供給部と、 飲料容器を前記飲料供給部による飲料の供給位置に移動する飲料容器搬送部と が設けられた飲料自動提供システムであって、 複数の前記飲料容器が保管される飲料容器保管部と、 前記注文受付部により受け付けられた注文に基づき、前記飲料容器搬送部を制御する制御装置と、 が設けられ、 前記飲料容器搬送部が、 ロボットアームを有し、 ロボットアームが、少なくとも、飲料容器把持位置、前記飲料供給部による飲料の供給位置、及び、飲料の提供位置の間で共通の前記飲料容器を移動させることによって前記注文受付部により受け付けられた注文に応じた飲料を自動で提供する飲料自動提供システム。」 ・相違点2-4 本件発明2は、「前記飲料容器搬送部が」、「前記飲料容器保管部内に保管された飲料容器を前記飲料容器保管部から前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置に供給する飲料容器供給機構と、を有し」、飲料容器把持位置が、飲料容器供給機構によって飲料容器が供給される「飲料容器取上位置」であって、「前記飲料容器保管部が前記ロボットアームの下方に位置する」のに対し、甲4-1発明は、飲料容器把持位置が「複数の紙コップの保管場所」であって、「ロボット」が「複数の紙コップの保管場所」と「コーヒーマシン、及び、受取口の間で一つの紙コップを移動させる」ものであって、「複数の紙コップの保管場所」から飲料容器把持位置へ紙コップを供給する「飲料容器供給機構」を有しておらず、「複数の紙コップの保管場所がロボットの横に位置する」点。 上記相違点2-4について検討する。 甲4-1発明は、「ロボットが、当該複数の紙コップの保管場所、コーヒーマシン、及び、受取口の間で一つの紙コップを移動させること」ができるものであって、これにより、1台のロボットで、紙コップの保管場所からコーヒーマシン及び受取口まで紙コップを移動させて、コーヒーの自動提供を行うものである。すなわち、紙コップの保管場所からコーヒーマシンへは、このロボットにより紙コップを移動させることができるから、このロボットとは別に飲料容器供給機構を設ける必要がないものである。そうすると、甲4-1発明において、ロボットとは別に、「前記飲料容器保管部内に保管された飲料容器を前記飲料容器保管部から前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置に供給する飲料容器供給機構」を設けることの動機はなく、上記相違点2-4に係る本件発明2の発明特定事項を得ることは、当業者であっても容易であるとはいえない。 また、甲4-1発明は、1台のロボットにより、「複数の紙コップの保管場所、コーヒーマシン、及び、受取口の間で一つの紙コップを移動させる」ことができるように、紙コップの保管場所もロボットの稼働範囲内である「ロボットの横に位置する」ようにしたものであり、この紙コップの保管場所を「飲料容器供給機構」によって紙コップが供給される位置であるロボットの下方とすること、すなわち、紙コップの保管場所がロボットの「下方に位置する」ようにすることは、当業者であっても容易であるとはいえない。 また、甲9には、「アーム52が、空のグラス15をラック51からつかみ取」り、この「空のグラス15をコンベヤ4’の上に置」き、また、「アーム52は、空のグラス15をコンベヤ4’の上に置いてカクテルを受け取る用意ができるように傾きまたは動」くと共に、この状態で、「ロボットアーム1a、1cは、飲み物をエンドエフェクタ14からグラス15に注」ぐことが記載(上記第6・9(1)ウ参照)されている。しかし、この記載によれば、甲9に記載されているものは、ラック51にある空のグラス51をアーム52でつかみ取り、このアーム52がロボットアーム1a,1cによって飲み物が注がれる位置であるコンベア4’の上まで移動させるものであり、甲4-1発明において、紙コップに飲み物であるコーヒーが注がれるのは、コーヒーマシンであるから、仮に、甲9に記載されたものを甲4-1発明に適用したとすると、甲9に記載されたアーム52によって甲4-1発明の紙コップが供給される位置は、コーヒーマシンとなり、「前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置」ではない。そうすると、仮に、甲4-1発明に甲9に記載されたものを適用したとしても、上記相違点2-4に係る本件発明2の発明特定事項を得ることはできないから、本件発明2は、当業者が容易になし得たものとはいえない。 また、他の証拠をみても、上記相違点2-4に係る本件発明2の発明特定事項が開示されたものはなく、甲4-1発明において、上記相違点2-4に係る本件発明2の発明特定事項を得ることが当業者にとって容易であるとはいえない。 よって、本件発明2は、甲4-1発明、甲9に記載された事項及び他の証拠に基づいて、本件特許の優先日前に、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 オ 甲5-1発明に基づく進歩性 本件発明2と甲5-1発明とを対比する。 甲5-1発明の「チケット読み取り機」は、チケットに記載された注文を読み取るものと解されるから、甲5-1発明の「チケット読み取り機」は、本件発明2の「飲料の注文を受け付ける注文受付部」に相当する。 甲5-1発明の「ドリンク」は、本件発明2の「飲料」に相当し、甲5-1発明の「サーバー」は、本件発明2の「飲料供給部」に相当する。したがって、甲5-1発明の「ドリンクを供給するサーバー」は、本件発明2の「飲料を供給する飲料供給部」に相当する。 甲5-1発明の「コップ」は、本件発明2の「飲料容器」に相当し、甲5-1発明において「複数のコップの保管場所からコップをサーバーに移動する」ことは、コップをサーバーの飲料が供給される位置に移動することをいうから、甲5-1発明の「コップをサーバーに移動する」ことは、本件発明2の「飲料容器を前記飲料供給部による飲料の供給位置に移動する」ことに相当する。そして、甲5-1発明の「コップをサーバーに移動するロボットアーム」は、コップをサーバーの飲料が供給される位置に移動させる搬送部であるから、甲5-1発明の「複数のコップの保管場所からコップをサーバーに移動するロボットアーム」は、本件発明2の「飲料容器を前記飲料供給部による飲料の供給位置に移動する飲料容器搬送部」に相当する。 甲5-1発明の「ロボットがドリンクの自動提供を行うシステム」は、本件発明2の「飲料自動提供システム」に相当する。 甲5-1発明の「保管場所」は、本件発明2の「飲料容器保管部」に相当する。したがって、甲5-1発明の「複数のコップの保管場所」は、本件発明2の「複数の前記飲料容器が保管される飲料容器保管部」に相当する。 甲5-1発明の「チケットが読み取られた後に、ロボットアームを制御する」ことは、読み取ったチケットの内容に基づいて、ロボットアームを制御するものと解されるから、甲5-1発明の「チケットが読み取られた後に、ロボットアームを制御する制御装置」は、本件発明2の「前記注文受付部により受け付けられた注文に基づき、前記飲料容器搬送部を制御する制御装置」に相当する。 甲5-1発明のドリンクの自動提供を行うシステムが「ロボットアームを有」することは、本件発明2の飲料自動提供システムに設けられた「飲料容器搬送部が、ロボットアーム」を有することに相当する。 甲5-1発明の「複数のコップの保管場所」は、この位置に置かれたコップがロボットアームに把持される場所でもある(上記第6・5(1)ウ及びカに示す00:17の映像参照。)から、甲5-1発明の「複数のコップの保管場所」と本件発明2の「飲料容器取上位置」とは、飲料容器把持位置である点で共通する。また、甲5-1発明において「ロボットアームが」「サーバー」及び、「提供口」の「間で一つのコップを移動させること」は、本件発明2の「ロボットアームが」「前記飲料供給部による飲料の供給位置」及び、「飲料の提供位置」の「間で共通の前記飲料容器を移動させること」に相当する。また、甲5-1発明の「かざされたチケットに応じたドリンクの自動提供を行うシステム」は、本件発明2の「前記注文受付部により受け付けられた注文に応じた飲料を自動で提供する」「飲料自動提供システム」に相当する。 そうすると、本件発明2と甲5-1発明とは、次の一致点2-5で一致し、相違点2-5で相違する。 ・一致点2-5 「飲料の注文を受け付ける注文受付部と、 飲料を供給する飲料供給部と、 飲料容器を前記飲料供給部による飲料の供給位置に移動する飲料容器搬送部と が設けられた飲料自動提供システムであって、 複数の前記飲料容器が保管される飲料容器保管部と、 前記注文受付部により受け付けられた注文に基づき、前記飲料容器搬送部を制御する制御装置と、 が設けられ、 前記飲料容器搬送部が、 ロボットアームを有し、 前記ロボットアームが、少なくとも、飲料容器把持位置、前記飲料供給部による飲料の供給位置、及び、飲料の提供位置の間で共通の前記飲料容器を移動させることによって前記注文受付部により受け付けられた注文に応じた飲料を自動で提供する飲料自動提供システム。」 ・相違点2-5 本件発明2は、「前記飲料容器搬送部が」、「前記飲料容器保管部内に保管された飲料容器を前記飲料容器保管部から前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置に供給する飲料容器供給機構と、を有し」、飲料容器把持位置が、飲料容器供給機構によって飲料容器が供給される「飲料容器取上位置」であって、「前記飲料容器保管部が前記ロボットアームの下方に位置する」のに対し、甲5-1発明は、飲料容器把持位置が「複数のコップの保管場所」であって、「ロボットアーム」が「複数のコップの保管場所」と「サーバー、及び、提供口の間で一つのコップを移動させる」ものであって、「複数のコップの保管場所」から飲料容器把持位置へコップを供給する「飲料容器供給機構」を有しておらず、「複数のコップの保管場所がロボットアームの横に位置する」点。 上記相違点2-5について検討する。 甲5-1発明は、「ロボットアームが、複数のコップの保管場所、サーバー、及び、提供口の間で一つのコップを移動させること」ができるものであって、これにより、1台のロボットアームで、コップの保管場所からサーバー及び提供口までコップを移動させて、ドリンクの自動提供を行うものである。すなわち、コップの保管場所からサーバーへは、このロボットアームによりコップを移動させることができるから、このロボットアームとは別に飲料容器供給機構を設ける必要がないものである。そうすると、甲5-1発明において、ロボットアームとは別に、「前記飲料容器保管部内に保管された飲料容器を前記飲料容器保管部から前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置に供給する飲料容器供給機構」を設けることの動機はなく、上記相違点2-5に係る本件発明2の発明特定事項を得ることは、当業者であっても容易であるとはいえない。 また、甲5-1発明は、1台のロボットアームにより、「複数のコップの保管場所、サーバー、及び、提供口の間で一つのコップを移動させる」ことができるように、複数のコップの保管場所もロボットアームの稼働範囲内である「ロボットアームの横に位置する」ようにしたものであり、この複数のコップの保管場所を「飲料容器供給機構」によってコップが供給される位置であるロボットアームの下方とすること、すなわち、コップの保管場所がロボットアームの「下方に位置する」ようにすることは、当業者であっても容易であるとはいえない。 また、甲9には、「アーム52が、空のグラス15をラック51からつかみ取」り、この「空のグラス15をコンベヤ4’の上に置」き、また、「アーム52は、空のグラス15をコンベヤ4’の上に置いてカクテルを受け取る用意ができるように傾きまたは動」くと共に、この状態で、「ロボットアーム1a、1cは、飲み物をエンドエフェクタ14からグラス15に注」ぐことが記載(上記第6・9(1)ウ参照)されている。しかし、この記載によれば、甲9に記載されているものは、ラック51にある空のグラス51をアーム52でつかみ取り、このアーム52がロボットアーム1a,1cによって飲み物が注がれる位置であるコンベア4’の上まで移動させるものであり、甲5-1発明において、コップに飲み物であるドリンクが注がれるのは、サーバーであるから、仮に、甲9に記載されたものを甲5-1発明に適用したとすると、甲9に記載されたアーム52によって甲5-1発明のコップが供給される位置は、サーバーとなり、「前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置」ではない。そうすると、仮に、甲5-1発明に甲9に記載されたものを適用したとしても、上記相違点2-5に係る本件発明2の発明特定事項を得ることはできないから、本件発明2は、当業者が容易になし得たものとはいえない。 また、他の証拠をみても、上記相違点2-5に係る本件発明2の発明特定事項が開示されたものはなく、甲5-1発明において、上記相違点2-5に係る本件発明2の発明特定事項を得ることが当業者にとって容易であるとはいえない。 よって、本件発明2は、甲5-1発明、甲9に記載された事項及び他の証拠に基づいて、本件特許の優先日前に、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 カ 甲6-1発明に基づく進歩性 本件発明2と甲6-1発明とを対比する。 甲6-1発明の「QRコードが印刷されたレシートを読み取る」ことは、レシートに印刷されたQRコードが示す注文を読み取るものと解されるから、甲6-1発明の「QRコードが印刷されたレシートを読み取る」ことは、本件発明2の「飲料の注文を受け付ける」ことに相当し、甲6-1発明の「読み取り部分」は、本件発明2の「注文受付部」に相当する。 甲6-1発明の「お酒」は、本件発明2の「飲料」に相当し、甲6-1発明の「お酒を注ぐ」ことは、本件発明2の「飲料を供給する」ことに相当する。また、甲6-1発明の「サーバー」は、本件発明2の「飲料供給部」に相当する。したがって、甲6-1発明の「お酒を注ぐサーバー」は、本件発明2の「飲料を供給する飲料供給部」に相当する。 甲6-1発明の「コップ」は、本件発明2の「飲料容器」に相当し、甲6-1発明において「コップをサーバーに移す」ことは、コップをサーバーのお酒が供給される位置に移動することをいうから、甲6-1発明の「コップをサーバーに移す」ことは、本件発明2の「飲料容器を前記飲料供給部による飲料の供給位置に移動する」ことに相当する。そして、甲6-1発明の「コップをサーバーに移すアームを有するロボット」は、コップをサーバーのお酒が供給される位置に移動させる搬送部であるから、甲6-1発明の「コップをサーバーに移すアームを有するロボット」は、本件発明2の「飲料容器を前記飲料供給部による飲料の供給位置に移動する飲料容器搬送部」に相当する。 甲6-1発明の「お酒の自動提供を行うシステム」は、本件発明2の「飲料自動提供システム」に相当する。 甲6-1発明の「保管場所」は、本件発明2の「飲料容器保管部」に相当する。したがって、甲6-1発明の「複数のコップの保管場所」は、本件発明2の「複数の前記飲料容器が保管される飲料容器保管部」に相当する。 甲6-1発明の「QRが読み取り部分にかざされた後、ロボットを制御する制御装置」は、QRが示す注文に基づいて制御装置によりロボットを制御する制御装置であると解されるから、甲6-1発明の「QRが読み取り部分にかざされた後、ロボットを制御する制御装置」は、本件発明2の「前記注文受付部により受け付けられた注文に基づき、前記飲料容器搬送部を制御する制御装置」に相当する。 甲6-1発明のお酒の自動提供を行うシステムが、「ロボットを有」することは、本件発明2の飲料自動提供システムに設けられた「飲料容器搬送部がロボットアーム」を有することに相当する。 甲6-1発明の「当該複数のコップの保管場所」は、この位置に置かれたコップがロボットが有するアームに把持される場所でもある(上記第6・6(1)エ及びキに示す図2参照。)から、甲6-1発明の「複数のコップの保管場所」と本件発明2の「飲料容器取上位置」とは、飲料容器把持位置である点で共通する。また、甲6-1発明において「アームが」「お酒を注ぐサーバー」及び、「取り出し口」の「間で一つのコップを移動させること」は、本件発明2の「ロボットアームが」「前記飲料供給部による飲料の供給位置」及び、「飲料の提供位置」の「間で共通の前記飲料容器を移動させること」に相当する。また、甲6-1発明の「読み取り部分にかざされたレシートの内容に応じたお酒の自動提供を行うシステム」は、本件発明2の「前記注文受付部により受け付けられた注文に応じた飲料を自動で提供する」「飲料自動提供システム」に相当する。 そうすると、本件発明2と甲6-1発明とは、次の一致点2-6で一致し、相違点2-6で相違する。 ・一致点2-6 「飲料の注文を受け付ける注文受付部と、 飲料を供給する飲料供給部と、 飲料容器を前記飲料供給部による飲料の供給位置に移動する飲料容器搬送部と が設けられた飲料自動提供システムであって、 複数の前記飲料容器が保管される飲料容器保管部と、 前記注文受付部により受け付けられた注文に基づき、前記飲料容器搬送部を制御する制御装置と、 が設けられ、 前記飲料容器搬送部が、 ロボットアームを有し、 ロボットアームが、少なくとも、飲料容器把持位置、前記飲料供給部による飲料の供給位置、及び、飲料の提供位置の間で共通の前記飲料容器を移動させることによって前記注文受付部により受け付けられた注文に応じた飲料を自動で提供する飲料自動提供システム。」 ・相違点2-6 本件発明2は、「前記飲料容器搬送部が」、「前記飲料容器保管部内に保管された飲料容器を前記飲料容器保管部から前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置に供給する飲料容器供給機構と、を有し」、飲料容器把持位置が、飲料容器供給機構によって飲料容器が供給される「飲料容器取上位置」であって、「前記飲料容器保管部が前記ロボットアームの下方に位置する」のに対し、甲6-1発明は、飲料容器把持位置が「複数のコップの保管場所」であって、ロボットが有する「アーム」が「複数のコップの保管場所」と「お酒を注ぐサーバー、及び、取り出し口の間で一つのコップを移動させる」ものであって、「複数のコップの保管場所」から飲料容器把持位置へ紙コップを供給する「飲料容器供給機構」を有しておらず、「複数のコップの保管場所がアームの横に位置する」点。 上記相違点2-6について検討する。 甲6-1発明は、ロボットが有する「アームが、複数のコップの保管場所、お酒を注ぐサーバー、及び、取り出し口の間で一つのコップを移動させること」ができるものであって、これにより、1台のロボットで、コップの保管場所からお酒を注ぐサーバー及び取り出し口までコップを移動させて、お酒の自動提供を行うものである。すなわち、コップの保管場所からサーバーへは、ロボットの有するアームによりコップを移動させることができるから、このロボットとは別に飲料容器供給機構を設ける必要がないものである。そうすると、甲6-1発明において、ロボットとは別に、「前記飲料容器保管部内に保管された飲料容器を前記飲料容器保管部から前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置に供給する飲料容器供給機構」を設けることの動機はなく、上記相違点2-6に係る本件発明2の発明特定事項を得ることは、当業者であっても容易であるとはいえない。 また、甲6-1発明は、1台のロボットが有するアームにより、「複数のコップの保管場所、お酒を注ぐサーバー、及び、取り出し口の間で一つのコップを移動させる」ことができるように、コップの保管場所もロボットの有するアーム稼働範囲内である「アームの横に位置する」ようにしたものであり、このコップの保管場所を「飲料容器供給機構」によってコップが供給される位置であるロボットの下方とすること、すなわち、コップの保管場所がロボットの「下方に位置する」ようにすることは、当業者であっても容易であるとはいえない。 また、甲9には、「アーム52が、空のグラス15をラック51からつかみ取」り、この「空のグラス15をコンベヤ4’の上に置」き、また、「アーム52は、空のグラス15をコンベヤ4’の上に置いてカクテルを受け取る用意ができるように傾きまたは動」くと共に、この状態で、「ロボットアーム1a、1cは、飲み物をエンドエフェクタ14からグラス15に注」ぐことが記載(上記第6・9(1)ウ参照)されている。しかし、この記載によれば、甲9に記載されているものは、ラック51にある空のグラス51をアーム52でつかみ取り、このアーム52がロボットアーム1a,1cによって飲み物が注がれる位置であるコンベア4’の上まで移動させるものであり、甲6-1発明において、コップに飲み物であるお酒が注がれるのは、サーバーであるから、仮に、甲9に記載されたものを甲6-1発明に適用したとすると、甲9に記載されたアーム52によって甲6-1発明のコップが供給される位置は、「お酒を注ぐサーバー」となり、「前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置」ではない。そうすると、仮に、甲6-1発明に甲9に記載されたものを適用したとしても、上記相違点2-6に係る本件発明2の発明特定事項を得ることはできないから、本件発明2は、当業者が容易になし得たものとはいえない。 また、他の証拠をみても、上記相違点2-6に係る本件発明2の発明特定事項が開示されたものはなく、甲6-1発明において、上記相違点2-6に係る本件発明2の発明特定事項を得ることが当業者にとって容易であるとはいえない。 よって、本件発明2は、甲6-1発明、甲9に記載された事項及び他の証拠に基づいて、本件特許の優先日前に、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 キ 甲7-1発明に基づく進歩性 本件発明2と甲7-1発明とを対比する。 甲7-1発明の「オーダー受付部」は、本件発明2の「飲料の注文を受け付ける注文受付部」に相当する。 甲7-1発明の「お酒」は、本件発明2の「飲料」に相当し、甲7-1発明の「サーバー」は、本件発明2の「飲料供給部」に相当する。したがって、甲7-1発明の「お酒を供給するサーバー」は、本件発明2の「飲料を供給する飲料供給部」に相当する。 甲7-1発明の「コップ」は、本件発明2の「飲料容器」に相当し、甲7-1発明において「コップをサーバーに移動する」ことは、コップをサーバーのお酒が供給される位置に移動することをいうから、甲7-1発明の「コップをサーバーに移動する」ことは、本件発明2の「飲料容器を前記飲料供給部による飲料の供給位置に移動する」ことに相当する。そして、甲7-1発明の「コップをサーバーに移動するアームロボット」は、コップをサーバーのお酒が供給される位置に移動させる搬送部であるから、甲7-1発明の「コップをサーバーに移動するアームロボット」は、本件発明2の「飲料容器を前記飲料供給部による飲料の供給位置に移動する飲料容器搬送部」に相当する。 甲7-1発明の「お酒の自動提供を行うロボットシステム」は、本件発明2の「飲料自動提供システム」に相当する。 甲7-1発明の「保管場所」は、本件発明2の「飲料容器保管部」に相当する。したがって、甲7-1発明の「複数のコップの保管場所」は、本件発明2の「複数の前記飲料容器が保管される飲料容器保管部」に相当する。 甲7-1発明の「オーダーに基づ」くことは、オーダー受付部により受け付けられたオーダーに基づくこと解されるから、甲7-1発明の「オーダーに基づ」くことは、本件発明2の「前記注文受付部により受け付けられた注文に基づ」くことに相当する。さらに、甲7-1発明の「アームロボットを制御する制御部」は、本件発明2の「前記飲料容器搬送部を制御する制御装置」に相当する。 甲7-1発明のオーダーに応じたお酒の自動提供を行うロボットシステムが「アームロボット」を有することは、本件発明2の飲料自動提供システムに設けられた「飲料容器搬送部がロボットアーム」を有することに相当する。 甲7-1発明の「複数のコップの保管場所」は、この位置に置かれたコップがロボットに把持される場所でもある(上記第6・7(1)エ及びキに示す00:30の映像参照。)から、甲7-1発明の「複数のコップの保管場所」と本件発明2の「飲料容器取上位置」とは、飲料容器把持位置である点で共通する。また、甲7-1発明において「アームロボットが」「サーバー」及び、「指定のカップホルダー」の「間で一つのコップを移動させること」は、本件発明2の「ロボットアームが」「前記飲料供給部による飲料の供給位置」及び、「飲料の提供位置」の「間で共通の前記飲料容器を移動させること」に相当する。また、甲7-1発明の「オーダーに応じたお酒の自動提供を行うロボットシステム」は、本件発明2の「前記注文受付部により受け付けられた注文に応じた飲料を自動で提供する」「飲料自動提供システム」に相当する。 そうすると、本件発明2と甲7-1発明とは、次の一致点2-7で一致し、相違点2-7で相違する。 ・一致点2-7 「飲料の注文を受け付ける注文受付部と、 飲料を供給する飲料供給部と、 飲料容器を前記飲料供給部による飲料の供給位置に移動する飲料容器搬送部と が設けられた飲料自動提供システムであって、 複数の前記飲料容器が保管される飲料容器保管部と、 前記注文受付部により受け付けられた注文に基づき、前記飲料容器搬送部を制御する制御装置と、 が設けられ、 前記飲料容器搬送部が ロボットアームを有し、 ロボットアームが、少なくとも、飲料容器把持位置、前記飲料供給部による飲料の供給位置、及び、飲料の提供位置の間で共通の前記飲料容器を移動させることによって前記注文受付部により受け付けられた注文に応じた飲料を自動で提供する飲料自動提供システム。」 ・相違点2-7 本件発明2は、「前記飲料容器搬送部が」、「前記飲料容器保管部内に保管された飲料容器を前記飲料容器保管部から前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置に供給する飲料容器供給機構と、を有し」、飲料容器把持位置が、飲料容器供給機構によって飲料容器が供給される「飲料容器取上位置」であって、「前記飲料容器保管部が前記ロボットアームの下方に位置する」のに対し、甲7-1発明は、飲料容器把持位置が「複数のコップの保管場所」であって、「アームロボット」が「複数のコップの保管場所」と「サーバー、及び、指定のカップホルダーの間で一つのコップを移動させる」ものであって、「複数のコップの保管場所」から飲料容器把持位置へ紙コップを供給する「飲料容器供給機構」を有しておらず、そのため、複数のコップの保管場所が「アームロボットの高さ方向の稼働範囲内であってシステムの下部に位置する」点。 上記相違点2-7について検討する。 甲7-1発明は、「アームロボットが、複数のコップの保管場所、サーバー、及び、指定のカップホルダーの間で一つのコップを移動させること」ができるものであって、これにより、1台のアームロボットで、コップの保管場所からサーバー及び、指定のカップホルダーまでコップを移動させて、お酒の自動提供を行うものである。すなわち、コップの保管場所からサーバーへは、このアームロボットによりコップを移動させることができるから、このロボットとは別に飲料容器供給機構を設ける必要がないものである。そうすると、甲7-1発明において、ロボットとは別に、「前記飲料容器保管部内に保管された飲料容器を前記飲料容器保管部から前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置に供給する飲料容器供給機構」を設けることの動機はなく、上記相違点2-7に係る本件発明2の発明特定事項を得ることは、当業者であっても容易であるとはいえない。 また、甲7-1発明は、1台のアームロボットにより、「複数のコップの保管場所、サーバー、及び、指定のカップホルダーの間で一つのコップを移動させる」ことができるように、コップの保管場所も「アームロボットの高さ方向の稼働範囲内であってシステムの下部に位置する」ようにしたものであり、このコップの保管場所を「飲料容器供給機構」によってコップが供給される位置であるロボットの下方とすること、すなわち、コップの保管場所がロボットの「下方に位置する」ようにすることは、当業者であっても容易であるとはいえない。 また、甲9には、「アーム52が、空のグラス15をラック51からつかみ取」り、この「空のグラス15をコンベヤ4’の上に置」き、また、「アーム52は、空のグラス15をコンベヤ4’の上に置いてカクテルを受け取る用意ができるように傾きまたは動」くと共に、この状態で、「ロボットアーム1a、1cは、飲み物をエンドエフェクタ14からグラス15に注」ぐことが記載(上記第6・9(1)ウ参照)されている。しかし、この記載によれば、甲9に記載されているものは、ラック51にある空のグラス51を アーム52でつかみ取り、このアーム52がロボットアーム1a,1cによって飲み物が注がれる位置であるコンベア4’の上まで移動させるものであり、甲7-1発明において、コップに飲み物であるお酒が注がれるのは、サーバーであるから、仮に、甲9に記載されたものを甲7-1発明に適用したとすると、甲9に記載されたアーム52によって甲7-1発明のコップが供給される位置は、サーバーとなり、「前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置」ではない。そうすると、仮に、甲7-1発明に甲9に記載されたものを適用したとしても、上記相違点2-7に係る本件発明2の発明特定事項を得ることはできないから、本件発明2は、当業者が容易になし得たものとはいえない。 また、他の証拠をみても、上記相違点2-7に係る本件発明2の発明特定事項が開示されたものはなく、甲7-1発明において、上記相違点2-7に係る本件発明2の発明特定事項を得ることが当業者にとって容易であるとはいえない。 よって、本件発明2は、甲7-1発明、甲9に記載された事項及び他の証拠に基づいて、本件特許の優先日前に、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 ク 請求人の主張について 請求人は、本件発明2は、甲1ないし7に開示されたいずれかの発明に甲9に記載の事項を適用することにより、当業者が容易に想到し得るものであると主張する(上記第4・3(3)ア(ア)参照)。しかし、上記アないしキに示すように、甲1ないし7に開示されたいずれの発明にも、甲9に記載された事項を適用することには、動機付けがなく、仮に甲9に記載された事項を甲1ないし7に開示された発明に適用したとしても、本件発明2が得られるものではないから、請求人の主張は採用することができない。 (2)本件発明3ないし6について 本件発明3ないし6は、請求項3ないし6に記載された事項により特定されるものである。そして、この請求項3ないし6は、請求項2を直接又は間接的に引用する形式で記載されており、本件発明3ないし6は、本件発明2をさらに減縮したものである。 一方、本件発明3ないし6が容易である証拠として請求人が提出した甲8、甲9、甲13、甲14をみても、上記相違点2-1ないし相違点2-7に係る本件発明2の発明特定事項は、記載されていない(上記第6・8ないし11参照)。 そうすると、本件発明2が甲1-1発明ないし甲7-1発明及び甲9に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものといえないのと同様の理由により、本件発明3ないし6も、甲1-1発明ないし甲7-1発明及び甲8、甲9、甲13、甲14に記載された事項に基づいて、本件特許の優先日前に、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (3)本件発明7について ア 甲1-2発明に基づく進歩性 本件発明7(上記第3参照)と甲1-2発明(上記第6・1(2)参照)との相違点である相違点7-1について検討する。相違点7-1は、次のとおりである(上記第7・1(1)参照)。 ・相違点7-1 飲料容器保管部内に保管された飲料容器を前記飲料容器保管部から前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置に供給するステップが、本件発明7では、「前記飲料容器搬送部に設けられて前記飲料容器を供給する飲料容器供給機構により」飲料容器を供給するものであって、飲料容器保管部が「前記ロボットアームの下方に位置する」のに対し、甲1-2発明では、コーヒーの提供を受ける者により」、紙コップを所定の位置に置くものであって、複数の紙コップの保管場所が「ロボットアームの横に位置する」点。 上記相違点7-1について検討する。 甲1-2発明は、コーヒーの提供を受ける者が紙コップを置いた所定の位置から、1台のロボットアームが紙コップを移動させて、コーヒーを自動で提供する方法の発明であって、この1台のロボットアーム以外に紙コップを移動させる手段を必要としていないものである。そして、このような甲1-2発明は、複数の紙コップの保管場所からコーヒーの提供を受ける者によって一つの紙コップが、ロボットアームによって取り上げることができる位置に置かれることが想定されており、この点を含めて1つの完結したシステムを構成しているものである。そうすると、甲1-2発明には、この1台のロボットアーム以外に紙コップを移動させる手段を適用する動機はなく、上記相違点7-1に係る本件発明7の発明特定事項を得ることは、当業者であっても容易であるとはいえない。 請求人は、本件発明2と同様に、甲1-2発明に甲9に記載された事項を適用し、相違点7-1に係る本件発明7の発明特定事項を得ることは容易である旨を主張する(上記第4・3(3)ア参照。)。しかし、本件発明2が甲1-1発明及び甲9に記載された事項に基づいて容易に発明することができたものとはいえないのは、上記(1)アに示すとおりであり、同様に、本件発明7も甲1-2発明、甲9に記載された事項、及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、請求人の主張は、採用することができない。 以上のことから、本件発明7は、甲1-2発明、甲9に記載された事項及び他の証拠に基づいて、本件特許の優先日前に、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 イ 甲2-2発明に基づく進歩性 本件発明7と甲2-2発明とを対比する。 甲2-2発明の「バーコードリーダーによりQRコードを読み取るステップ」は、QRコードを読み取ることにより、飲料であるコーヒーの注文を受け付けているから、甲2-2発明の「バーコードリーダーによりQRコードを読み取るステップ」は、本件発明7の「注文受付部により飲料の注文を受け付けるステップ」に相当する。 甲2-2発明の「フィルターがセットされ、コーヒーが濾される台」は、本件発明7の「飲料供給部」に相当し、甲2-2発明の「コーヒー」は、本件発明7の「飲料」に相当する。そして、甲2-2発明の「フィルターがセットされ、コーヒーが濾される台においてコーヒーが濾されるステップ」は、本件発明7の「飲料供給部により飲料を供給するステップ」に相当する。 甲2-2発明の「紙コップ」は、本件発明7の「飲料容器」に相当する。また、甲2-2発明において、「紙コップをフィルターがセットされ、コーヒーが濾される台に移動する」ことは、紙コップを「フィルターがセットされ、コーヒーが濾される台」の濾されたコーヒーが供給される位置に移動させることにほかならないから、甲2-2発明の「紙コップをフィルターがセットされ、コーヒーが濾される台に移動する」ことは、本件発明7の「飲料容器を該飲料供給部による飲料の供給位置に移動する」ことに相当する。さらに、本件発明7の「ロボットアームを有する飲料容器搬送部により飲料容器を」「移動する」ことには、ロボットアームにより飲料容器を移動することが含まれるから、甲2-2発明の「アームロボットにより紙コップを」「移動する」ことは、本件発明7の「ロボットアームを有する飲料容器搬送部により飲料容器を」「移動する」ことに相当する。よって、甲2-2発明の「アームロボットにより紙コップをフィルターがセットされ、コーヒーが濾される台に移動するステップ」は、本件発明7の「ロボットアームを有する飲料容器搬送部により飲料容器を該飲料供給部による飲料の供給位置に移動するステップ」に相当する。 甲2-2発明の「コーヒーの自動提供を行う方法」は、本件発明7の「飲料自動提供方法」に相当する。 甲2-2発明の「複数の紙コップの保管場所」は、本件発明7の「飲料容器保管部」に相当し、甲2-2発明の「複数の紙コップの保管場所に保管された紙コップ」は、本件発明7の「飲料容器保管部内に保管された飲料容器」に相当する。また、甲2-2発明の「前記アームロボットがつかむ指定の位置」は、本件発明7の「前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置」に相当し、甲2-2発明の「置く」は、本件発明7の「供給する」に相当する。そうすると、甲2-2発明の「複数の紙コップの保管場所に保管された紙コップを前記複数の紙コップの保管場所から前記アームロボットがつかむ指定の位置に置くステップ」は、本件発明7の「飲料容器保管部内に保管された飲料容器を前記飲料容器保管部から前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置に供給するステップ」に相当する。 甲2-2発明の「複数の紙コップの保管場所に保管された紙コップが置かれ前記アームロボットがつかむ指定の位置」は、この位置に置かれた紙コップがアームロボットによって取り上げられている(上記第6・2(1)イ参照)から、アームロボットによって取り上げ可能な紙コップの取上位置である。したがって、甲2-2発明の「複数の紙コップの保管場所に保管された紙コップが置かれ前記アームロボットがつかむ指定の位置」は、本件発明7の「飲料容器保管部内に保管された飲料容器が供給され前記ロボットアームによって取り上げ可能な前記飲料容器の取上位置」に相当するから、甲2-2発明の「前記アームロボットが、前記アームロボットの横に位置する複数の紙コップの保管場所に保管された紙コップが置かれ前記アームロボットがつかむ指定の位置、フィルターがセットされ、コーヒーが濾される台、及び、受け取りカウンターの間で一つの前記紙コップを移動させること」は、本件発明7の「前記ロボットアームが、少なくとも、前記ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器が供給され前記ロボットアームによって取り上げ可能な前記飲料容器の取上位置、前記飲料供給部による飲料の供給位置、及び、飲料の提供位置の間で共通の前記飲料容器を移動させること」と、ロボットアームが、少なくとも、飲料容器保管部内に保管された飲料容器が供給され前記ロボットアームによって取り上げ可能な前記飲料容器の取上位置、前記飲料供給部による飲料の供給位置、及び、飲料の提供位置の間で共通の前記飲料容器を移動させることで共通する。 甲2-2発明の「バーコードリーダーに読み取られたQRコードの内容」は、本件発明7の「注文受付部により受け付けられた注文」に相当し、甲2-2発明の「コーヒーを自動提供するステップを含む」ことは、本件発明7の「飲料を自動で提供するステップを含む」ことに相当する。 そうすると、本件発明7と甲2-2発明とは、次の一致点7-2で一致し、相違点7-2で相違する。 ・一致点7-2 「注文受付部により飲料の注文を受け付けるステップと、 飲料供給部により飲料を供給するステップと、 ロボットアームを有する飲料容器搬送部により飲料容器を該飲料供給部による飲料の供給位置に移動するステップと、 を含む飲料自動提供方法であって、 飲料容器保管部内に保管された飲料容器を前記飲料容器保管部から前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置に供給するステップと、 前記ロボットアームが、少なくとも、飲料容器保管部内に保管された飲料容器が供給され前記ロボットアームによって取り上げ可能な前記飲料容器の取上位置、前記飲料供給部による飲料の供給位置、及び、飲料の提供位置の間で共通の前記飲料容器を移動させることによって前記注文受付部により受け付けられた注文に応じた飲料を自動で提供するステップを含む飲料自動提供方法。」 ・相違点7-2 飲料容器保管部内に保管された飲料容器を前記飲料容器保管部から前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置に供給するステップが、本件発明7では、「前記飲料容器搬送部に設けられて前記飲料容器を供給する飲料容器供給機構により」飲料容器を供給するものであって、飲料容器保管部が「前記ロボットアームの下方に位置する」のに対し、甲2-2発明では、「コーヒーの提供を受ける者により」、紙コップを指定の位置に置くものであって、複数の紙コップの保管場所が「アームロボットの横に位置する」点。 上記相違点7-2について検討する。 一致点7-2と相違点7-2は、本件発明7と甲1-2発明との一致点及び相違点である一致点7-1と相違点7-1と実質的に同じ、一致点、及び相違点である。また甲2-2発明は、甲2に示された事項に基づいて認定した発明であるところ、甲2の1は、甲1によって示される「変なカフェ(東京都渋谷区神南1丁目21-3 渋谷モディB1F)」において実施されたコーヒーを自動で提供する方法を撮影した動画を紹介するWebページであり、甲2の2及び甲2の3は、これを撮影した動画である(上記第7・2(1)参照)。 そうすると、本件発明2が甲1-2発明、及び甲9に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない(上記ア参照。)のと同様の理由により、本件発明2は、甲2-2発明、甲9に記載された事項及び他の証拠に基づいて、本件特許の優先日前に、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 ウ 甲3-2発明に基づく進歩性 本件発明7と甲3-2発明とを対比する。 甲3-2発明の「2次元コードリーダーにより2次元コードリーダー付きのチケットを読み取るステップ」は、2次元コードを読み取ることにより、飲料であるコーヒーの注文を受け付けているから、甲3-2発明の「2次元コードリーダーにより2次元コードリーダー付きのチケットを読み取るステップ」は、本件発明7の「注文受付部により飲料の注文を受け付けるステップ」に相当する。 甲3-2発明の「バリスタマシン」は、本件発明7の「飲料供給部」に相当し、甲3-2発明の「コーヒー」は、本件発明7の「飲料」に相当する。そうすると、甲3-2発明の「バリスタマシンによりコーヒーを抽出するステップ」は、本件発明7の「飲料供給部により飲料を供給するステップ」に相当する。 甲3-2発明の「ソーヤー」は、単腕型ロボットである(上記第6・3(1)ア参照)から、本件発明7の「ロボットアーム」に相当し、甲3-2発明の「紙コップ」は、本件発明7の「飲料容器」に相当する。また、甲3-2発明において、「紙コップをバリスタマシンに移動する」ことは、紙コップをバリスタマシンのコーヒーが供給される位置に移動させることにほかならないから、甲3-2発明の「紙コップをバリスタマシンに移動する」ことは、本件発明7の「飲料容器を該飲料供給部による飲料の供給位置に移動する」ことに相当する。さらに、本件発明7の「ロボットアームを有する飲料容器搬送部により飲料容器を」「移動する」ことには、ロボットアームにより飲料容器を移動することが含まれるから、甲3-2発明の「ソーヤーにより紙コップを」「移動する」ことは、本件発明7の「ロボットアームを有する飲料容器搬送部により飲料容器を」「移動する」ことに相当する。よって、甲3-2発明の「ソーヤーにより紙コップをバリスタマシンに移動するステップ」は、本件発明7の「ロボットアームを有する飲料容器搬送部により飲料容器を該飲料供給部による飲料の供給位置に移動するステップ」に相当する。 甲3-2発明の「コーヒーの自動提供を行う方法」は、本件発明7の「飲料自動提供方法」に相当する。 甲3-2発明の「ソーヤーが、紙コップをバリスタマシンのポアステディ、及び、受け取りカウンターに運ぶこと」は、本件発明7の「前記ロボットアームが、少なくとも、前記ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器が供給され前記ロボットアームによって取り上げ可能な前記飲料容器の取上位置、前記飲料供給部による飲料の供給位置、及び、飲料の提供位置の間で共通の前記飲料容器を移動させること」と、ロボットアームが、少なくとも、前記飲料供給部による飲料の供給位置、及び、飲料の提供位置の間で共通の前記飲料容器を移動させることで共通する。 甲3-2発明の「注文に応じたコーヒー」は、「2次元コードリーダー付きのチケットを読み取る」ことで2次元コードリーダーで受け付けられた注文のコーヒーであると解されるから、甲3-2発明の「注文に応じたコーヒーを自動提供するステップ」は、本件発明7の「前記注文受付部により受け付けられた注文に応じた飲料を自動で提供するステップ」に相当する。 そうすると、本件発明7と甲3-2発明とは、次の一致点7-3で一致し、相違点7-3で相違する。 ・一致点7-3 「注文受付部により飲料の注文を受け付けるステップと、 飲料供給部により飲料を供給するステップと、 ロボットアームを有する飲料容器搬送部により飲料容器を該飲料供給部による飲料の供給位置に移動するステップと、 を含む飲料自動提供方法であって、 前記ロボットアームが、少なくとも、前記飲料供給部による飲料の供給位置、及び、飲料の提供位置の間で共通の前記飲料容器を移動させることによって前記注文受付部により受け付けられた注文に応じた飲料を自動で提供するステップを含む飲料自動提供方法。」 ・相違点7-3 本件発明7は、「前記飲料容器搬送部に設けられて前記飲料容器を供給する飲料容器供給機構により、前記ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器を前記飲料容器保管部から前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置に供給するステップ」を含み、「前記ロボットアームが、少なくとも、前記ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器が供給され前記ロボットアームによって取り上げ可能な前記飲料容器の取上位置、前記飲料供給部による飲料の供給位置、及び、飲料の提供位置の間で共通の前記飲料容器を移動させる」のに対し、甲3-2発明は、「ソーヤーが、紙コップをバリスタマシンのポアステディ、及び、受け取りカウンターに運ぶ」点。 上記相違点7-3について検討する。 甲3-2発明は、「ソーヤーにより紙コップをバリスタマシンに移動するステップ」を含むものであり、紙コップをバリスタマシンに移動するためには、当然、その紙コップをソーヤーが取り上げる必要があるから、甲3-2発明は、ソーヤーが紙コップを取り上げ可能な位置において、取り上げ、「紙コップをバリスタマシンのポアステディ、及び、受け取りカウンターに運ぶ」ものである。 そして、このようなソーヤーが紙コップを取り上げ可能な位置に、どこから、どのようにして紙コップを供給するかは、甲3に明記されてはいないものの、甲3に示された図面(上記第6・3(1)オ参照)には、ロボットアームの横に複数の紙コップが積み重ねられた状態が示されており、これより、コーヒーの提供を受ける者がロボットアームの横に積み重ねられたところから紙コップを一つ取り、ソーヤーの取り上げ可能な位置に置くことが想定され、この点は、甲1及び甲2の開示とも整合する。 そして、甲3-2発明は、このような紙コップが置かれた位置から、ソーヤー1台が紙コップを移動させて、コーヒーを自動で提供する方法の発明であって、この1台のソーヤー以外に紙コップを移動させる手段を必要とすることなく、1つの完結したシステムを構成しているものである。そうすると、甲3-2発明には、この1台のロボットアーム以外に紙コップを移動させる手段を適用する動機はなく、上記相違点7-3に係る本件発明7の発明特定事項を得ることは、当業者であっても容易であるとはいえない。 請求人は、本件発明2と同様に、甲3-2発明に甲9に記載された事項を適用し、相違点7-3に係る本件発明7の発明特定事項を得ることは容易である旨を主張する(上記第4・3(3)ア参照。)。しかし、本件発明2が甲1-1発明及び甲9に記載された事項に基づいて容易に発明することができたものとはいえないのは、上記(1)アに示すとおりであり、同様に、本件発明7も甲3-2発明、甲9に記載された事項、及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、請求人の主張は、採用することができない。 以上のことから、本件発明7は、甲3-2発明、甲9に記載された事項及び他の証拠に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 エ 甲4-2発明に基づく進歩性 本件発明7と甲4-2発明とを対比する。 甲4-2発明の「かざされたチケットを読み取る」ことは、チケットに示されたコーヒーの注文を読み取って、受け付けることと解されるから、甲4-2発明の「チケット読み取り口」は、本件発明7の「注文受付部」に相当し、甲4-2発明の「かざされたチケットを読み取る」ことは、本件発明7の「飲料の注文を受け付ける」ことに相当する。したがって、甲4-2発明の「チケット読み取り口によりかざされたチケットを読み取るステップ」は、本件発明7の「注文受付部により飲料の注文を受け付けるステップ」に相当する。 甲4-2発明の「コーヒーマシン」は、本件発明7の「飲料供給部」に相当し、甲4-2発明の「コーヒーをドリップする」ことは、本件発明7の「飲料を供給する」ことに相当するから、甲4-2発明の「コーヒーマシンによりコーヒーをドリップするステップ」は、本件発明7の「飲料供給部により飲料を供給するステップ」に相当する。 甲4-2発明の「紙コップをコーヒーマシンに移動する」ことは、紙コップをコーヒーマシンのドリップしてコーヒーが供給される位置に移動することと解されるから、甲4-2発明の「紙コップをコーヒーマシンに移動する」ことは、本件発明7の「飲料容器を該飲料供給部による飲料の供給位置に移動する」ことに相当する。また、本件発明7の「ロボットアームを有する飲料容器搬送部により飲料容器を」「移動する」ことには、ロボットアームにより飲料容器を移動することが含まれるから、甲4-2発明の「ロボットにより紙コップを」「移動する」ことは、本件発明7の「ロボットアームを有する飲料容器搬送部により飲料容器を」「移動する」ことに相当する。よって、甲4-2発明の「ロボットにより紙コップをコーヒーマシンに移動するステップ」は、本件発明7の「ロボットアームを有する飲料容器搬送部により飲料容器を該飲料供給部による飲料の供給位置に移動するステップ」に相当する。 甲4-2発明の「コーヒーの自動提供を行う方法」は、本件発明7の「飲料自動提供方法」に相当する。 甲4-2発明の「複数の紙コップの保管場所」は、この位置に置かれた紙コップがロボットに把持される場所でもある(上記第6・4(1)オ及びケに示す00:29の映像参照。)から、甲4-2発明の「複数の紙コップの保管場所」と本件発明2の「飲料容器取上位置」は、飲料容器の把持位置である点で共通する。また、甲4-2発明の「ロボットが」「コーヒーマシン、及び、受取口の間で一つの紙コップを移動させること」は、ロボットが一つの紙コップをコーヒーマシンによりコーヒーをドリップして供給される位置とコーヒーが供給された紙コップの受取口とに移動させることと解されるから、甲4-2発明の「ロボットが、ロボットの横に位置する複数の紙コップの保管場所、コーヒーマシン、及び、受取口の間で一つの紙コップを移動させること」は、本件発明7の「前記ロボットアームが、少なくとも、前記ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器が供給され前記ロボットアームによって取り上げ可能な前記飲料容器の取上位置、前記飲料供給部による飲料の供給位置、及び、飲料の提供位置の間で共通の前記飲料容器を移動させること」と、ロボットアームが、少なくとも、ロボットアームによって取り上げ可能な前記飲料容器の把持位置、前記飲料供給部による飲料の供給位置、及び、飲料の提供位置の間で共通の前記飲料容器を移動させることで共通する。さらに、甲4-2発明の「チケット読み取り口にかざされたチケットの内容に応じたコーヒーを自動提供するステップ」は、本件発明7の「前記注文受付部により受け付けられた注文に応じた飲料を自動で提供するステップ」に相当する。 そうすると、本件発明7と甲4-2発明とは、次の一致点7-4で一致し、相違点7-4で相違する。 ・一致点7-4 「注文受付部により飲料の注文を受け付けるステップと、 飲料供給部により飲料を供給するステップと、 ロボットアームを有する飲料容器搬送部により飲料容器を該飲料供給部による飲料の供給位置に移動するステップと、 を含む飲料自動提供方法であって、 前記ロボットアームが、少なくとも、前記ロボットアームによって取り上げ可能な前記飲料容器の把持位置、前記飲料供給部による飲料の供給位置、及び、飲料の提供位置の間で共通の前記飲料容器を移動させることによって前記注文受付部により受け付けられた注文に応じた飲料を自動で提供するステップを含む飲料自動提供方法。」 ・相違点7-4 本件発明7が「前記飲料容器搬送部に設けられて前記飲料容器を供給する飲料容器供給機構により、前記ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器を前記飲料容器保管部から前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置に供給するステップ」を含み、さらに、飲料容器の把持位置に関して、本件発明7は、「前記ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器が供給され」る「前記飲料容器の取上位置」であるのに対し、甲4-2発明は、そのようなステップを含まず、さらに、飲料容器の把持位置が「ロボットの横に位置する複数の紙コップの保管場所」である点。 上記相違点7-4について検討する。 甲4-2発明は、ロボットが、「複数の紙コップの保管場所、コーヒーマシン、及び、受取口の間で一つの紙コップを移動させること」により、ロボット以外の手段により紙コップを移動させる必要なく、「コーヒーの自動提供を行う」ようにしたものと理解できる。したがって、ロボットが、複数の紙コップの保管場所からコーヒーマシンの間の紙コップの移動を行うから、「前記飲料容器搬送部に設けられて前記飲料容器を供給する飲料容器供給機構により、前記ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器を前記飲料容器保管部から前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置に供給するステップ」を含む必要はないものと理解できる。そうすると、本件特許の優先日前において、コップに飲み物を注ぐなどの作業するエリア(例えば、カウンタートップ)の下方にコップ等の食器を置くことが周知技術である(甲9の上記第6・9(1)ウに示す【0041】の記載参照)としても、甲4-2発明の紙コップの保管場所をロボットの下方に位置するようにし、甲4-2発明において、「前記飲料容器搬送部に設けられて前記飲料容器を供給する飲料容器供給機構により、前記ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器を前記飲料容器保管部から前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置に供給するステップ」を含むものとして、上記相違点7-4に係る本件発明7の発明特定事項を得ることには、動機付けがなく、むしろ阻害要因がある。 また、他の証拠をみても、上記相違点7-4に係る本件発明7の発明特定事項が示されてはいない。 そうすると、本件発明7は、甲4-2発明及び周知技術及び他の証拠に基づいて、本件特許の優先日前に、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 請求人は、甲4に開示された発明に、甲9に記載された事項を適用し、本件発明7を得ることは容易であると主張するが、上記のように、甲4-2発明において、甲9に記載された事項等を適用することの動機付けはなく、むしろ阻害要因があるから、請求人の主張は採用することができない。 オ 甲5-2発明に基づく進歩性 本件発明7と甲5-2発明とを対比する。 甲5-2発明の「チケットを読み取る」ことは、チケットに示されたアルコール飲料の注文を読み取って、受け付けることと解されるから、甲5-2発明の「チケット読み取り機」は、本件発明7の「注文受付部」に相当し、甲5-2発明の「チケットを読み取る」ことは、本件発明7の「飲料の注文を受け付ける」ことに相当する。したがって、甲5-2発明の「チケット読み取り機によりチケットを読み取るステップ」は、本件発明7の「注文受付部により飲料の注文を受け付けるステップ」に相当する。 甲5-2発明の「サーバー」は、本件発明7の「飲料供給部」に相当し、甲5-2発明の「アルコール飲料」は、本件発明7の「飲料」に相当する。したがって、甲5-2発明の「サーバーによりアルコール飲料を供給するステップ」は、本件発明7の「飲料供給部により飲料を供給するステップ」に相当する。 甲5-2発明の「コップをサーバーに移動する」ことは、コップをサーバーのアルコール飲料が供給される位置に移動することと解されるから、甲5-2発明の「コップをサーバーに移動する」ことは、本件発明7の「飲料容器を該飲料供給部による飲料の供給位置に移動する」ことに相当する。また、本件発明7の「ロボットアームを有する飲料容器搬送部により飲料容器を」「移動する」ことには、ロボットアームにより飲料容器を移動することが含まれるから、甲5-2発明の「ロボットアームによりコップを」「移動する」ことは、本件発明7の「ロボットアームを有する飲料容器搬送部により飲料容器を」「移動する」ことに相当する。よって、甲5-2発明の「ロボットアームによりコップをサーバーに移動するステップ」は、本件発明7の「ロボットアームを有する飲料容器搬送部により飲料容器を該飲料供給部による飲料の供給位置に移動するステップ」に相当する。 甲5-2発明の「ドリンクの自動提供を行う方法」は、本件発明7の「飲料自動提供方法」に相当する。 甲5-2発明の「複数のコップの保管場所」は、この位置に置かれたコップがロボットアームに把持される場所でもある(上記第6・5(1)ウ及びカに示す00:17時点の映像参照)から、甲5-2発明の「複数のコップの保管場所」と本件発明2の「飲料容器取上位置」は、飲料容器の把持位置である点で共通する。また、甲5-2発明の「ロボットアームが」「サーバー、及び、提供口の間で一つのコップを移動させること」は、ロボットアームが一つのコップをサーバーのアルコール飲料が供給される位置とアルコール飲料が供給されたコップの提供口とに移動させることと解されるから、甲5-2発明の「ロボットアームが、ロボットアームの横に位置する複数のコップの保管場所、サーバー、及び、提供口の間で一つのコップを移動させること」は、本件発明7の「前記ロボットアームが、少なくとも、前記ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器が供給され前記ロボットアームによって取り上げ可能な前記飲料容器の取上位置、前記飲料供給部による飲料の供給位置、及び、飲料の提供位置の間で共通の前記飲料容器を移動させること」と、ロボットアームが、少なくとも、ロボットアームによって取り上げ可能な前記飲料容器の把持位置、前記飲料供給部による飲料の供給位置、及び、飲料の提供位置の間で共通の前記飲料容器を移動させることで共通する。さらに、甲5-2発明の「かざされたチケットに応じたドリンクを自動提供するステップ」は、本件発明7の「前記注文受付部により受け付けられた注文に応じた飲料を自動で提供するステップ」に相当する。 そうすると、本件発明7と甲5-2発明とは、次の一致点7-5で一致し、相違点7-5で相違する。 ・一致点7-5 「注文受付部により飲料の注文を受け付けるステップと、 飲料供給部により飲料を供給するステップと、 ロボットアームを有する飲料容器搬送部により飲料容器を該飲料供給部による飲料の供給位置に移動するステップと、 を含む飲料自動提供方法であって、 前記ロボットアームが、少なくとも、前記ロボットアームによって取り上げ可能な前記飲料容器の把持位置、前記飲料供給部による飲料の供給位置、及び、飲料の提供位置の間で共通の前記飲料容器を移動させることによって前記注文受付部により受け付けられた注文に応じた飲料を自動で提供するステップを含むこと飲料自動提供方法。」 ・相違点7-5 本件発明7が「前記飲料容器搬送部に設けられて前記飲料容器を供給する飲料容器供給機構により、前記ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器を前記飲料容器保管部から前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置に供給するステップ」を含み、さらに、飲料容器の把持位置に関して、本件発明7は、「前記ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器が供給され」る「前記飲料容器の取上位置」であるのに対し、甲5-2発明は、そのようなステップを含まず、さらに、飲料容器の把持位置が「ロボットの横に位置する複数の紙コップの保管場所」である点。 上記相違点7-5について検討する。 甲5-2発明は、ロボットアームが、「複数のコップの保管場所、サーバー、及び、提供口の間で一つのコップを移動させること」により、ロボットアーム以外の手段によりコップを移動させる必要なく、「ドリンクの自動提供を行う」ようにしたものと理解できる。したがって、ロボットアームが、複数のコップの保管場所からサーバーの間のコップの移動を行うから、「前記飲料容器搬送部に設けられて前記飲料容器を供給する飲料容器供給機構により、前記ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器を前記飲料容器保管部から前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置に供給するステップ」を含む必要はないものと理解できる。そうすると、本件特許の優先日前において、コップに飲み物を注ぐなどの作業するエリア(例えば、カウンタートップ)の下方にコップ等の食器を置くことが周知技術である(甲9の上記第6・9(1)ウに示す【0041】の記載参照)としても、甲5-2発明のコップの保管場所をロボットアームの下方に位置するようにし、甲5-2発明において、「前記飲料容器搬送部に設けられて前記飲料容器を供給する飲料容器供給機構により、前記ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器を前記飲料容器保管部から前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置に供給するステップ」を含むものとして、上記相違点7-5に係る本件発明7の発明特定事項を得ることには、動機付けがなく、むしろ阻害要因がある。 また、他の証拠をみても、上記相違点7-5に係る本件発明7の発明特定事項が示されてはいない。 そうすると、本件発明7は、甲5-2発明及び周知技術及び他の証拠に基づいて、本件特許の優先日前に、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 請求人は、甲5に開示された発明に、甲9に記載された事項を適用し、本件発明7を得ることは容易であると主張するが、上記のように、甲5-2発明において、甲9に記載された事項等を適用することの動機付けは、なく、むしろ阻害要因があるから、請求人の主張は採用することができない。 カ 甲6-2発明に基づく進歩性 本件発明7と甲6-2発明とを対比する。 甲6-2発明の「QRコードが印刷されたレシートを読み取る」ことは、レシートに印刷されたQRコードに示されるお酒の注文を読み取って、受け付けることと解されるから、甲6-2発明の「読み取り部分」は、本件発明7の「注文受付部」に相当し、甲6-2発明の「QRコードが印刷されたレシートを読み取る」ことは、本件発明7の「飲料の注文を受け付ける」ことに相当する。したがって、甲6-2発明の「読み取り部分によりQRコードが印刷されたレシートを読み取るステップ」は、本件発明7の「注文受付部により飲料の注文を受け付けるステップ」に相当する。 甲6-2発明の「サーバー」は、本件発明7の「飲料供給部」に相当する。甲6-2発明の「お酒」は、本件発明7の「飲料」に相当し、甲6-2発明の「お酒を注ぐ」ことは、本件発明7の「飲料を供給する」ことに相当する。したがって、甲6-2発明の「サーバーによりお酒を注ぐステップ」は、本件発明7の「飲料供給部により飲料を供給するステップ」に相当する。 甲6-2発明の「コップをサーバーに移す」ことは、コップをサーバーのお酒が注がれる位置に移すことと解されるから、甲6-2発明の「コップをサーバーに移す」ことは、本件発明7の「飲料容器を該飲料供給部による飲料の供給位置に移動する」ことに相当する。また、本件発明7の「ロボットアームを有する飲料容器搬送部により飲料容器を」「移動する」ことには、ロボットアームにより飲料容器を移動することが含まれるから、甲6-2発明の「ロボットによりコップを」「移す」ことは、本件発明7の「ロボットアームを有する飲料容器搬送部により飲料容器を」「移動する」ことに相当する。よって、甲6-2発明の「ロボットによりコップをサーバーに移すステップ」は、本件発明7の「ロボットアームを有する飲料容器搬送部により飲料容器を該飲料供給部による飲料の供給位置に移動するステップ」に相当する。 甲6-2発明の「お酒の自動提供を行う方法」は、本件発明7の「飲料自動提供方法」に相当する。 甲6-2発明の「複数のコップの保管場所」は、この位置に置かれたコップがロボットのアームに把持される場所でもある(上記第6・6(1)エ及びキに示す図2参照)から、甲6-2発明の「複数のコップの保管場所」と本件発明7の「飲料容器の取上位置」は、飲料容器の把持位置である点で共通する。また、甲6-2発明の「アームが」「お酒を注ぐサーバー、及び、取り出し口の間で一つのコップを移動させること」は、アームが一つのコップをサーバーのお酒が注がれる位置とお酒が供給されたコップの取り出し口とに移動させることと解されるから、甲6-2発明の「アームが、アームの横に位置する複数のコップの保管場所、お酒を注ぐサーバー、及び、取り出し口の間で一つのコップを移動させること」は、本件発明7の「前記ロボットアームが、少なくとも、前記ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器が供給され前記ロボットアームによって取り上げ可能な前記飲料容器の取上位置、前記飲料供給部による飲料の供給位置、及び、飲料の提供位置の間で共通の前記飲料容器を移動させること」と、ロボットアームが、少なくとも、ロボットアームによって取り上げ可能な前記飲料容器の把持位置、前記飲料供給部による飲料の供給位置、及び、飲料の提供位置の間で共通の前記飲料容器を移動させることで共通する。さらに、甲6-2発明の「読み取り部分にかざされたレシートの内容に応じたお酒を自動提供するステップ」は、本件発明7の「前記注文受付部により受け付けられた注文に応じた飲料を自動で提供するステップ」に相当する。 そうすると、本件発明7と甲6-2発明とは、次の一致点7-6で一致し、相違点7-6で相違する。 ・一致点7-6 「注文受付部により飲料の注文を受け付けるステップと、 飲料供給部により飲料を供給するステップと、 ロボットアームを有する飲料容器搬送部により飲料容器を該飲料供給部による飲料の供給位置に移動するステップと、 を含む飲料自動提供方法であって、 前記ロボットアームが、少なくとも、前記ロボットアームによって取り上げ可能な前記飲料容器の把持位置、前記飲料供給部による飲料の供給位置、及び、飲料の提供位置の間で共通の前記飲料容器を移動させることによって前記注文受付部により受け付けられた注文に応じた飲料を自動で提供するステップを含む飲料自動提供方法。」 ・相違点7-6 本件発明7が「前記飲料容器搬送部に設けられて前記飲料容器を供給する飲料容器供給機構により、前記ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器を前記飲料容器保管部から前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置に供給するステップ」を含み、さらに、飲料容器の把持位置に関して、本件発明7は、「前記ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器が供給され」る「前記飲料容器の取上位置」であるのに対し、甲6-2発明は、そのようなステップを含まず、さらに、飲料容器の把持位置が「アームの横に位置する複数のコップの保管場所」である点。 上記相違点7-6について検討する。 甲6-2発明は、アームが、「複数のコップの保管場所、お酒を注ぐサーバー、及び、取り出し口の間で一つのコップを移動させること」により、アーム以外の手段によりコップを移動させる必要なく、「お酒の自動提供を行う」ようにしたものと理解できる。したがって、アームが、複数のコップの保管場所からお酒を注ぐサーバーの間のコップの移動を行うから、「前記飲料容器搬送部に設けられて前記飲料容器を供給する飲料容器供給機構により、前記ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器を前記飲料容器保管部から前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置に供給するステップ」を含む必要はないものと理解できる。そうすると、本件特許の優先日前において、コップに飲み物を注ぐなどの作業するエリア(例えば、カウンタートップ)の下方にコップ等の食器を置くことが周知技術である(甲9の上記第6・9(1)ウに示す【0041】の記載参照)としても、甲6-2発明のコップの保管場所をアームの下方に位置するようにし、甲6-2発明において、「前記飲料容器搬送部に設けられて前記飲料容器を供給する飲料容器供給機構により、前記ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器を前記飲料容器保管部から前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置に供給するステップ」を含むものとして、上記相違点7-6に係る本件発明7の発明特定事項を得ることには、動機付けがなく、むしろ阻害要因がある。 また、他の証拠をみても、上記相違点7-6に係る本件発明7の発明特定事項が示されてはいない。 そうすると、本件発明7は、甲6-2発明及び周知技術及び他の証拠に基づいて、本件特許の優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 請求人は、甲6に記載された発明に、甲9に記載された事項を適用し、本件発明7を得ることは容易であると主張するが、上記のように、甲6-2発明において、甲9に記載された事項等を適用することの動機付けは、なく、むしろ阻害要因があるから、請求人の主張は採用することができない。 キ 甲7-2発明に基づく進歩性 本件発明7と甲7-2発明とを対比する。 甲7-2発明の「オーダー受付部」は、本件発明7の「注文受付部」に相当する。また、甲7-2発明の「オーダーを受け付ける」ことは、お酒のオーダーを受け付けることと解されるから、甲7-2発明の「オーダーを受け付ける」ことは、本件発明7の「飲料の注文を受け付ける」ことに相当する。したがって、甲7-2発明の「オーダー受付部によりオーダーを受け付けるステップ」は、本件発明7の「注文受付部により飲料の注文を受け付けるステップ」に相当する。 甲7-2発明の「サーバー」は、本件発明7の「飲料供給部」に相当し、甲7-2発明の「お酒」は、本件発明7の「飲料」に相当する。したがって、甲7-2発明の「サーバーによりお酒を供給するステップ」は、本件発明7の「飲料供給部により飲料を供給するステップ」に相当する。 甲7-2発明の「コップを複数のコップの保管場所からサーバーに移動する」ことは、コップをサーバーのお酒が供給される位置に移動することと解されるから、甲7-2発明の「コップを複数のコップの保管場所からサーバーに移動する」ことは、本件発明7の「飲料容器を該飲料供給部による飲料の供給位置に移動する」ことに相当する。また、本件発明7の「ロボットアームを有する飲料容器搬送部により飲料容器を」「移動する」ことには、ロボットアームにより飲料容器を移動することが含まれるから、甲7-2発明の「アームロボットによりコップを」「移動する」ことは、本件発明7の「ロボットアームを有する飲料容器搬送部により飲料容器を」「移動する」ことに相当する。よって、甲7-2発明の「アームロボットによりコップを複数のコップの保管場所からサーバーに移動するステップ」は、本件発明7の「ロボットアームを有する飲料容器搬送部により飲料容器を該飲料供給部による飲料の供給位置に移動するステップ」に相当する。 甲7-2発明の「お酒の自動提供を行う方法」は、本件発明7の「飲料自動提供方法」に相当する。 甲7-2発明の「複数のコップの保管場所」は、この位置に置かれたコップがロボットのアームに把持される場所でもある(上記第6・7(1)エ及びキに示す00:30時点の映像参照)から、甲7-2発明の「複数のコップの保管場所」と本件発明7の「飲料容器の取上位置」は、飲料容器の把持位置である点で共通し、また、甲7-2発明の「アームロボットが」「サーバー、及び、指定のカップホルダーの間で一つのコップを移動させること」は、アームロボットが一つのコップをサーバーのお酒が供給される位置と指定のカップホルダーとに移動させることと解されるから、甲7-2発明の「アームロボットが、アームロボットの高さ方向の稼働範囲内であってシステムの下部に位置する複数のコップの保管場所、サーバー、及び、指定のカップホルダーの間で一つのコップを移動させること」は、本件発明7の「前記ロボットアームが、少なくとも、前記ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器が供給され前記ロボットアームによって取り上げ可能な前記飲料容器の取上位置、前記飲料供給部による飲料の供給位置、及び、飲料の提供位置の間で共通の前記飲料容器を移動させること」と、ロボットアームが、少なくとも、ロボットアームによって取り上げ可能な前記飲料容器の把持位置、前記飲料供給部による飲料の供給位置、及び、飲料の提供位置の間で共通の前記飲料容器を移動させることで共通する。さらに、甲7-2発明の「オーダーに応じたお酒を自動提供するステップ」は、本件発明7の「前記注文受付部により受け付けられた注文に応じた飲料を自動で提供するステップ」に相当する。 そうすると、本件発明7と甲7-2発明とは、次の一致点7-7で一致し、相違点7-7で相違する。 ・一致点7-7 「注文受付部により飲料の注文を受け付けるステップと、 飲料供給部により飲料を供給するステップと、 ロボットアームを有する飲料容器搬送部により飲料容器を該飲料供給部による飲料の供給位置に移動するステップと、 を含む飲料自動提供方法であって、 前記ロボットアームが、少なくとも、前記ロボットアームによって取り上げ可能な前記飲料容器の把持位置、前記飲料供給部による飲料の供給位置、及び、飲料の提供位置の間で共通の前記飲料容器を移動させることによって前記注文受付部により受け付けられた注文に応じた飲料を自動で提供するステップを含む飲料自動提供方法。」 ・相違点7-7 本件発明7が「前記飲料容器搬送部に設けられて前記飲料容器を供給する飲料容器供給機構により、前記ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器を前記飲料容器保管部から前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置に供給するステップ」を含み、さらに、飲料容器の把持位置に関して、本件発明7は、「前記ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器が供給され」る「前記飲料容器の取上位置」であるのに対し、甲7-2発明は、そのようなステップを含まず、さらに、飲料容器の把持位置が「アームロボットの高さ方向の稼働範囲内であってシステムの下部に位置する複数のコップの保管場所」である点。 上記相違点7-7について検討する。 甲7-2発明は、アームロボットが、「アームロボットの高さ方向の稼働範囲内であってシステムの下部に位置する複数のコップの保管場所、サーバー、及び、指定のカップホルダーの間で一つのコップを移動させること」により、アームロボット以外の手段によりコップを移動させる必要なく、「お酒の自動提供を行う」ようにしたものと理解できる。したがって、アームロボットが、複数のコップの保管場所からお酒を供給するサーバーの間のコップの移動を行うから、「前記飲料容器搬送部に設けられて前記飲料容器を供給する飲料容器供給機構により、前記ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器を前記飲料容器保管部から前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置に供給するステップ」を含む必要はないものと理解できる。そうすると、本件特許の優先日前において、コップに飲み物を注ぐなどの作業するエリア(例えば、カウンタートップ)の下方にコップ等の食器を置くことが周知技術である(甲9の上記第6・9(1)ウに示す【0041】の記載参照)としても、甲7-2発明のコップの保管場所をアームロボットの下方に位置するようにし、甲7-2発明において、「前記飲料容器搬送部に設けられて前記飲料容器を供給する飲料容器供給機構により、前記ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器を前記飲料容器保管部から前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置に供給するステップ」を含むものとして、上記相違点7-7に係る本件発明7の発明特定事項を得ることには、動機付けがなく、むしろ阻害要因がある。 また、他の証拠をみても、上記相違点7-7に係る本件発明7の発明特定事項が示されてはいない。 そうすると、本件発明7は、甲7-2発明及び周知技術及び他の証拠に基づいて、本件特許の優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 請求人は、甲7に開示された発明に、甲9に記載された事項を適用し、本件発明7を得ることは容易であると主張するが、上記のように、甲7-2発明において、甲9に記載された事項等を適用することの動機付けは、なく、むしろ阻害要因があるから、請求人の主張は採用することができない。 (4)本件発明8について ア 甲1-3発明に基づく進歩性 相違点8-1について検討する。本件発明8(第3参照)と甲1-3発明(第6・1(2)参照)との相違点である相違点8-1は、次のとおりである(第7・1(2)参照) ・相違点8-1 本件発明8の飲料自動提供プログラムは、「前記飲料容器搬送部に設けられて前記飲料容器を供給する飲料容器供給機構により、前記ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器を前記飲料容器保管部から前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置に供給するステップ」をコンピュータにより実行するものであるのに対し、甲1-3発明のコーヒーを自動で提供するプログラムは、このようなステップをコンピュータにより実行するものではない点。 上記相違点8-1について検討する。 まず、甲1-2発明において、相違点7-1(本件発明7と甲1-2発明との相違点)に係る本件発明7の発明特定事項を得ることが当業者であっても容易でないのは、上記(3)アに示すとおりである。 そうすると、甲1-2発明において、「前記飲料容器搬送部に設けられて前記飲料容器を供給する飲料容器供給機構により、前記ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器を前記飲料容器保管部から前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置に供給するステップ」を得ることが当業者であっても容易とはいえないのと同様に、甲1-3発明において、このようなステップをコンピュータにより実行する飲料自動提供プログラムを得ることは、当業者であっても容易であったとはいえない。 よって、本件発明8は、甲1-3発明、甲9に記載された事項及び他の証拠に基づいて、本件特許の優先日前に、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 イ 甲2-3発明に基づく進歩性 本件発明8と甲2-3発明とを対比すると、本件発明7と甲2-2発明と同様に対比することができる(第7・3(3)イ参照)から、甲2-3発明の「甲2-2発明のコーヒーの自動提供を行う方法のバーコードリーダーによりQRコードを読み取るステップ、フィルターがセットされ、コーヒーが濾される台においてコーヒーが濾されるステップ、アームロボットにより紙コップをフィルターがセットされ、コーヒーが濾される台に移動するステップ、及び、前記アームロボットが、前記アームロボットの横に位置する複数の紙コップの保管場所に保管された紙コップが置かれ前記アームロボットがつかむ指定の位置、フィルターがセットされ、コーヒーが濾される台、及び、受け取りカウンターの間で一つの前記紙コップを移動させることによって、バーコードリーダーに読み取られたQRコードの内容に応じたコーヒーを自動提供するステップ」は、本件発明8の「請求項7記載の飲料自動提供方法の各ステップ」と、「注文受付部により飲料の注文を受け付けるステップと、飲料供給部により飲料を供給するステップと、ロボットアームを有する飲料容器搬送部により飲料容器を該飲料供給部による飲料の供給位置に移動するステップと、前記ロボットアームが、少なくとも、飲料容器保管部内に保管された飲料容器が供給され前記ロボットアームによって取り上げ可能な前記飲料容器の取上位置、前記飲料供給部による飲料の供給位置、及び、飲料の提供位置の間で共通の前記飲料容器を移動させることによって前記注文受付部により受け付けられた注文に応じた飲料を自動で提供するステップ」である点で共通する。また、甲2-3発明の「コーヒーの自動提供プログラム」は、本件発明8の「飲料自動提供プログラム」に相当する。 そうすると、本件発明8と甲2-3発明とは、次の一致点8-2で一致し、相違点8-2で相違する。 ・一致点8-2 「注文受付部により飲料の注文を受け付けるステップと、飲料供給部により飲料を供給するステップと、ロボットアームを有する飲料容器搬送部により飲料容器を該飲料供給部による飲料の供給位置に移動するステップと、前記ロボットアームが、少なくとも、飲料容器保管部内に保管された飲料容器が供給され前記ロボットアームによって取り上げ可能な前記飲料容器の取上位置、前記飲料供給部による飲料の供給位置、及び、飲料の提供位置の間で共通の前記飲料容器を移動させることによって前記注文受付部により受け付けられた注文に応じた飲料を自動で提供するステップをコンピュータにより実行する飲料自動提供プログラム。」 ・相違点8-2 本件発明8の飲料自動提供プログラムは、「前記飲料容器搬送部に設けられて前記飲料容器を供給する飲料容器供給機構により、前記ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器を前記飲料容器保管部から前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置に供給するステップ」をコンピュータにより実行するものであるのに対し、甲2-3発明は、このようなステップをコンピュータにより実行するプログラムではない点。 上記相違点8-2について検討する。 まず、甲2-2発明において、相違点7-2(本件発明7と甲2-2発明との相違点)に係る本件発明7の発明特定事項を得ることが当業者であっても容易でないのは、上記(3)イに示すとおりである。 そうすると、甲2-2発明において、「前記飲料容器搬送部に設けられて前記飲料容器を供給する飲料容器供給機構により、前記ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器を前記飲料容器保管部から前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置に供給するステップ」を得ることが当業者であっても容易とはいえないのと同様に、甲2-3発明において、このようなステップをコンピュータにより実行する飲料自動提供プログラムを得ることは、当業者であっても容易であったとはいえない。 よって、本件発明8は、甲2-3発明、甲9に記載された事項及び他の証拠に基づいて、本件特許の優先日前に、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 ウ 甲3-3発明に基づく進歩性 本件発明8と甲3-3発明とを対比すると、本件発明7と甲3-2発明と同様に対比することができ(第7・3(3)ウ参照)、さらに、甲3-3発明の「コーヒーの自動提供を行う方法の各ステップ」は、本件発明8の「飲料自動提供方法の各ステップ」に相当し、甲3-3発明の「コーヒーの自動提供プログラム」は、本件発明8の「飲料自動提供プログラム」に相当する。 そうすると、本件発明8と甲3-3発明とは、一致点7-3(第7・3(3)ウ参照)と同様の点で一致するから、次の一致点8-3で一致し、相違点8-3-1及び相違点8-3-2で相違する。 ・一致点8-3 「一致点7-3の飲料自動提供方法の各ステップをコンピュータにより実行する飲料自動提供プログラム。」 ・相違点8-3 本件発明8の飲料自動提供プログラムは、「前記飲料容器搬送部に設けられて前記飲料容器を供給する飲料容器供給機構により、前記ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器を前記飲料容器保管部から前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置に供給するステップ」をコンピュータにより実行するものであるのに対し、甲3-3発明は、このようなステップをコンピュータにより実行するプログラムではない点。 上記相違点8-3について検討する。 まず、甲3-2発明において、相違点7-3(本件発明7と甲3-2発明との相違点)に係る本件発明7の発明特定事項を得ることが当業者であっても容易でないのは、上記(3)ウに示すとおりである。 そうすると、甲3-2発明において、「前記飲料容器搬送部に設けられて前記飲料容器を供給する飲料容器供給機構により、前記ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器を前記飲料容器保管部から前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置に供給するステップ」を得ることが当業者であっても容易とはいえないのと同様に、甲3-3発明において、このステップをコンピュータにより実行する飲料自動提供プログラムを得ることは、当業者であっても容易であったとはいえない。 よって、本件発明8は、甲3-3発明、甲9に記載された事項及び他の証拠に基づいて、本件特許の優先日前に、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 エ 甲4-3発明に基づく進歩性 本件発明8と甲4-3発明とを対比すると、本件発明7と甲4-2発明と同様に対比することができ(第7・3(3)エ参照)、さらに甲4-3発明の「コーヒーの自動提供を行う方法の各ステップ」は、本件発明8の「飲料自動提供方法の各ステップ」に相当し、甲4-3発明の「コーヒーの自動提供プログラム」は、本件発明8の「飲料自動提供プログラム」に相当する。 そうすると、本件発明8と甲4-3発明とは、次の一致点8-4で一致し、相違点8-4で相違する。 ・一致点8-4 「一致点7-4の飲料自動提供方法の各ステップをコンピュータにより実行する飲料自動提供プログラム。」 ・相違点8-4 本件発明8の飲料自動提供プログラムは、「前記飲料容器搬送部に設けられて前記飲料容器を供給する飲料容器供給機構により、前記ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器を前記飲料容器保管部から前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置に供給するステップ」と「前記ロボットアームが、少なくとも、前記ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器が供給され前記ロボットアームによって取り上げ可能な前記飲料容器の取上位置、前記飲料供給部による飲料の供給位置、及び、飲料の提供位置の間で共通の前記飲料容器を移動させることによって前記注文受付部により受け付けられた注文に応じた飲料を自動で提供するステップ」をコンピュータにより実行するものであるのに対し、甲4-3発明のコーヒーの自動提供プログラムは、「ロボットが、ロボットの横に位置する複数の紙コップの保管場所、コーヒーマシン、及び、受取口の間で一つの紙コップを移動させることによってチケット読み取り口にかざされたチケットの内容に応じたコーヒーを自動提供するステップ」をコンピュータにより実行するものである点。 上記相違点8-4について検討する。 甲4-3発明のように「複数の紙コップの保管場所」とコーヒーマシンなどの間で紙コップを移動させる場合と、紙コップの保管場所から紙コップを供給された位置とコーヒーマシンなどの間で紙コップを移動させる場合とでは、紙コップの取上位置における紙コップを取り上げる際の紙コップの状況が異なることから、ロボットの動作が異なり、その結果、この動作を行わせるステップを実行するプログラムも異なる。 そして、甲4-3発明において、「ロボットの横に位置する複数の紙コップの保管場所」と「コーヒーマシン、及び、受取口の間で一つの紙コップを移動させる」ことにおける「紙コップの保管場所」をロボットの下方に位置するようにし、この保管場所から紙コップを飲料容器の把持位置に供給するようにすることが容易ではないのは、本件発明7と甲4-2発明との相違点である相違点7-4について検討したとおりである(上記第7・3(3)エ参照)。 そうすると、本件発明7が甲4-2発明、周知技術及び他の証拠に基づいて、本件特許の優先日前に、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないのと同様に、本件発明8は、甲4-3発明、周知技術及び他の証拠に基づいて、本件特許の優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 オ 甲5-3発明に基づく進歩性 本件発明8と甲5-3発明とを対比すると、本件発明7と甲5-2発明と同様に対比することができ(第7・3(3)オ参照)、さらに甲5-3発明の「ドリンクの自動提供を行う方法の各ステップ」は、本件発明8の「飲料自動提供方法の各ステップ」に相当し、甲5-3発明の「ドリンクの自動提供プログラム」は、本件発明8の「飲料自動提供プログラム」に相当する。 そうすると、本件発明8と甲5-3発明とは、次の一致点8-5で一致し、相違点8-5で相違する。 ・一致点8-5 「一致点7-5の飲料自動提供方法の各ステップをコンピュータにより実行する飲料自動提供プログラム。」 ・相違点8-5 本件発明8の飲料自動提供プログラムは、「前記飲料容器搬送部に設けられて前記飲料容器を供給する飲料容器供給機構により、前記ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器を前記飲料容器保管部から前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置に供給するステップ」と「前記ロボットアームが、少なくとも、前記ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器が供給され前記ロボットアームによって取り上げ可能な前記飲料容器の取上位置、前記飲料供給部による飲料の供給位置、及び、飲料の提供位置の間で共通の前記飲料容器を移動させることによって前記注文受付部により受け付けられた注文に応じた飲料を自動で提供するステップ」をコンピュータにより実行するものであるのに対し、甲5-3発明のドリンクの自動提供プログラムは、「ロボットアームが、ロボットアームの横に位置する複数のコップの保管場所、サーバー、及び、提供口の間で一つのコップを移動させることによって、かざされたチケットに応じたドリンクを自動提供するステップ」をコンピュータにより実行するものである点。 上記相違点8-5について検討する。 甲5-3発明のように「複数の紙コップの保管場所」とサーバーなどの間でコップを移動させるのと、コップの保管場所からコップを供給された位置とサーバーなどの間でコップを移動させるのとでは、コップの取上位置におけるコップの状態が異なることから、ロボットアームの動作が異なり、その結果、この動作を行わせるステップを実行するプログラムも異なる。 そして、甲5-3発明において、「ロボットの横に位置する複数のコップの保管場所」と「サーバー、及び、提供口の間で一つのコップを移動させる」ことにおける「コップの保管場所」をロボットアームの下方に位置するようにし、この保管場所からコップを把持位置に供給するようにすることが容易ではないのは、本件発明7と甲5-2発明との相違点である相違点7-5について検討したとおりである(上記第7・3(3)オ参照)。 そうすると、本件発明7が甲5-2発明、周知技術、及び他の証拠に基づいて、本件特許の優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないのと同様に、本件発明8は、甲5-3発明、周知技術及び他の証拠に基づいて、本件特許の優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 カ 甲6-3発明に基づく進歩性 本件発明8と甲6-3発明とを対比すると、本件発明7と甲6-2発明と同様に対比することができ(第7・3(3)カ参照)、さらに甲6-3発明の「お酒の自動提供を行う方法の各ステップ」は、本件発明8の「飲料自動提供方法の各ステップ」に相当し、甲6-3発明の「お酒の自動提供プログラム」は、本件発明8の「飲料自動提供プログラム」に相当する。 そうすると、本件発明8と甲6-3発明とは、次の一致点8-6で一致し、相違点8-6で相違する。 ・一致点8-6 「一致点7-6の飲料自動提供方法の各ステップをコンピュータにより実行する飲料自動提供プログラム。」 ・相違点8-6 本件発明8の飲料自動提供プログラムは、「前記飲料容器搬送部に設けられて前記飲料容器を供給する飲料容器供給機構により、前記ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器を前記飲料容器保管部から前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置に供給するステップ」と「前記ロボットアームが、少なくとも、前記ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器が供給され前記ロボットアームによって取り上げ可能な前記飲料容器の取上位置、前記飲料供給部による飲料の供給位置、及び、飲料の提供位置の間で共通の前記飲料容器を移動させることによって前記注文受付部により受け付けられた注文に応じた飲料を自動で提供するステップ」をコンピュータにより実行するものであるのに対し、甲6-3発明のお酒の自動提供プログラムは、「アームが、アームの横に位置する複数のコップの保管場所、お酒を注ぐサーバー、及び、取り出し口の間で一つのコップを移動させることによって、読み取り部分にかざされたレシートの内容に応じたお酒を自動提供するステップ」をコンピュータにより実行するものである点。 上記相違点8-6について検討する。 甲6-3発明のように「複数のコップの保管場所」とお酒を注ぐサーバーなどの間でコップを移動させるのと、コップの保管場所からコップを供給された位置とサーバーなどの間でコップを移動させるのとでは、コップの取上位置におけるコップの状態が異なることから、アームの動作が異なり、その結果、この動作を行わせるステップを実行するプログラムも異なる。 そして、甲6-3発明において、「アームの横に位置する複数のコップの保管場所」と「お酒を注ぐサーバー、及び、取り出し口の間で一つのコップを移動させる」ことにおける「コップの保管場所」をアームの下方に位置するようにし、この保管場所からコップを飲料容器の把持位置に供給するようにすることが容易ではないのは、本件発明8と甲6-2発明との相違点である相違点7-6について検討したとおりである(上記第7・3(3)カ参照)。 そうすると、本件発明7が甲6-2発明、周知技術及び他の証拠に基づいて、本件特許の優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないのと同様に、本件発明8は、甲6-3発明、周知技術及び他の証拠に基づいて、本件特許の優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 キ 甲7-3発明に基づく進歩性 本件発明8と甲7-3発明とを対比すると、本件発明7と甲7-2発明と同様に対比することができ(第7・3(3)キ参照)、さらに甲7-3発明の「オーダーに応じたお酒の自動提供を行う方法の各ステップ」は、本件発明8の「飲料自動提供方法の各ステップ」に相当し、甲7-3発明の「オーダーに応じたお酒の自動提供プログラム」は、本件発明8の「飲料自動提供プログラム」に相当する。 そうすると、本件発明8と甲7-3発明とは、次の一致点8-7で一致し、相違点8-7で相違する。 ・一致点8-7 「一致点7-7の飲料自動提供方法の各ステップをコンピュータにより実行する飲料自動提供プログラム。」 ・相違点8-7 本件発明8の飲料自動提供プログラムは、「前記飲料容器搬送部に設けられて前記飲料容器を供給する飲料容器供給機構により、前記ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器を前記飲料容器保管部から前記ロボットアームによって取り上げ可能な飲料容器取上位置に供給するステップ」と「前記ロボットアームが、少なくとも、前記ロボットアームの下方に位置する飲料容器保管部内に保管された飲料容器が供給され前記ロボットアームによって取り上げ可能な前記飲料容器の取上位置、前記飲料供給部による飲料の供給位置、及び、飲料の提供位置の間で共通の前記飲料容器を移動させることによって前記注文受付部により受け付けられた注文に応じた飲料を自動で提供するステップ」をコンピュータにより実行するものであるのに対し、甲7-3発明のコーヒーの自動提供プログラムは、「アームロボットが、アームロボットの高さ方向の稼働範囲内であってシステムの下部に位置する複数のコップの保管場所、サーバー、及び、指定のカップホルダーの間で一つのコップを移動させることによってオーダーに応じたお酒を自動提供するステップ」をコンピュータにより実行するものである点。 上記相違点8-7について検討する。 甲7-3発明のように「複数のコップの保管場所」とサーバーなどの間でコップを移動させるのと、コップの保管場所からコップを供給された位置とサーバーなどの間でコップを移動させるのとでは、コップの取上位置におけるコップの状態が異なることから、アームロボットの動作が異なり、その結果、この動作を行わせるステップを実行するプログラムも異なる。 そして、甲7-3発明において、「アームロボットの高さ方向の稼働範囲内であってシステムの下部に位置する複数のコップの保管場所」と「サーバー、及び、指定のカップホルダーの間で一つのコップを移動させる」ことにおける「コップの保管場所」をロボットの下方に位置するようにし、この保管場所からコップを飲料容器の把持位置に供給するようにすることが容易ではないのは、本件発明7と甲7-2発明との相違点である相違点7-7について検討したとおりである(上記第7・3(3)キ参照)。 そうすると、本件発明7が甲7-2発明、周知技術及び他の証拠に基づいて、本件特許の優先日前に、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないのと同様に、本件発明8は、甲7-3発明、周知技術及び他の証拠に基づいて、本件特許の優先日前に、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 第8 むすび 以上のことから、本件発明7及び8は、甲1に開示されたものとはいえないから、請求項7及び8に係る特許は、無効理由1により、無効とすることはできない。 本件発明7及び8は、甲1ないし3、15に基づいて、本件特許の優先日前に公然実施されたものとはいえないから、請求項7及び8に係る特許は、無効理由2により、無効とすることはできない。 本件発明2、7及び8は、甲1ないし甲7に開示された発明および甲9に記載された発明に基づいて、本件特許の優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、請求項2、7及び8に係る特許は、無効理由3により、無効とすることはできない。 本件発明3ないし6は、甲1ないし甲7に開示された発明および甲8、甲9、甲13、甲14に記載された発明に基づいて、本件特許の優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、請求項3ないし6に係る特許は、無効理由3により、無効とすることはできない。 請求項1は、訂正により削除されたので、本件発明1についての本件審判の請求は、その対象が存在しないものとなったため、不適法な審判の請求であって、その補正をすることができないものであるから、特許法第135条の規定により却下する。 審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、これを8分し、その1を被請求人の負担とし、その余を請求人の負担とする。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-800070

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