商標異議申立
2023-685005
パフォーモンスター、パフォー、モンスター
- 審判番号
- 2023-685005
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- —
- 請求日
- 2023年09月04日
- 審決日
- 2025年03月27日
- 公報発行日
- 2025年06月27日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】FOKUS BILGISAYAR SANAYI VE TICARET LIMITED SIRKETI
- 【権利者代理人】長谷川 芳樹
- 【権利者代理人】黒川 朋也
- 【権利者代理人】魚路 将央
- 【異議申立人】モンスター エナジー カンパニー
- 【異議申立人代理人】柳田 征史
- 【異議申立人】モンスター,インコーポレイテッド
- 【異議申立人代理人】古谷 聡
- 審判長/審判官
- 審判長 山田 啓之
- 審判官 杉本 克治
- 審判官 渡邉 あおい
- 分類
- T1651.22 -Y (W09) / T1651.25 -Y (W09) / T1651.261-Y (W09) / T1651.262-Y (W09) / T1651.263-Y (W09) / T1651.271-Y (W09) / T1651.222-Y (W09)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項7号商標法4条1項10号商標法4条1項11号商標法4条1項15号商標法4条1項19号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第19号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
国際登録第1668629号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
国際登録第1668629号商標の商標登録を維持する。
理由
第1 本件商標
本件国際登録1668629号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、2022年(令和4年)4月11日に国際商標登録出願、第9類「Computers, notebook computers, laptop computers, tablet computers, computer mouses, mouse pads [computer peripheral], laptop carrying cases, sleeves for laptops, notebook computer carrying cases, cases adapted for notebook computers.」を指定商品として、令和5年4月6日に登録査定、同年8月10日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
登録異議申立人(以下、登録異議申立人「モンスター エナジー カンパニー」を「申立人1」と、登録異議申立人「モンスター, インコーポレイテッド」を「申立人2」という。)2名が引用する商標は次のとおりである。
1 申立人1が引用商標として明示した商標
(1)登録第5379390号商標(以下「引用商標1(申立1)」という。)
商標の態様 MONSTER(標準文字)
指定商品 第32類「アルコール分を含まない飲料,清涼飲料,果実飲料」
登録出願日 平成22年7月8日
設定登録日 平成22年12月24日
(2)登録第5057229号商標(以下「引用商標2(申立1)」という。)
商標の態様 別掲2のとおり
指定商品 第32類「エネルギー補給用清涼飲料,スポーツ用清涼飲料,その他の清涼飲料,果実飲料,エネルギー補給用のアルコール分を含有しない飲料,スポーツ用のアルコール分を含有しない飲料,ビール風味の麦芽を主体とするアルコール分を含有しない飲料,その他のアルコール分を含有しない飲料」
(3)登録第5393681号商標(以下「引用商標3(申立1)」という。)
商標の態様 MONSTER ENERGY(標準文字)
指定商品 第32類「アルコール分を含まない飲料,清涼飲料,果実飲料」
登録出願日 平成22年7月8日
設定登録日 平成23年2月25日
(4)登録第5788676号商標(以下「引用商標4(申立1)」という。)
商標の態様 MONSTER ENERGY(標準文字)
指定商品 第9類、第16類、第18類及び第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
登録出願日 平成26年12月25日
設定登録日 平成27年8月28日
以下、引用商標1(申立1)ないし引用商標4(申立1)をまとめて「引用商標(申立1)」という場合がある。
なお、引用商標(申立1)に係る商標権は、いずれも現に有効に存続している。
2 申立人2が引用商標として明示した商標
(1)登録第2715891号商標(以下「引用商標1(申立2)」という。)
商標の態様 別掲3のとおり
指定商品 第9類「スピーカー用接続コード,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極」(書換登録日:平成20年3月5日)
登録出願日 昭和59年7月30日
設定登録日 平成8年8月30日
(2)登録第5579974号商標(以下「引用商標2(申立2)」という。)
商標の態様 MONSTER DNA(標準文字)
指定商品 第9類「ヘッドホン及びその構成部品,オーディオスピーカー,ノートブック型パーソナルコンピュータの機能拡張用接続器,携帯型音楽プレーヤーの機能拡張用接続器,スマートフォンの機能拡張用接続器,ケーブル,AV機器用ケーブル及び動力ケーブル,コネクタ,その他の電気的および電磁気的信号伝送装置・増幅装置・受信装置・変換装置,その他の電線及びケーブル,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」及び第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
登録出願日 平成24年11月2日
優先権主張 アメリカ合衆国 2012年(平成24年)5月4日
設定登録日 平成25年5月2日
(3)登録第5905518号商標(以下「引用商標3(申立2)」という。)
商標の態様 MOUTH MONSTER
指定商品 第9類「電子計算機用プログラム,スマートフォン用アプリケーションソフトウェア,スマートフォン用ゲームプログラム,電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具」を含む第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
登録出願日 平成28年5月25日
設定登録日 平成28年12月16日
(4)国際登録第1447810号商標(以下「引用商標4(申立2)」という。)
商標の態様 GENTLE MONSTER
指定商品 第9類「Smartglasses.」
国際商標登録出願日 2018年(平成30年)12月31日
設定登録日 令和2年4月17日
(5)国際登録第1391114号商標(以下「引用商標5(申立2)」という。)
商標の態様 BRUSHMONSTER
指定商品 第9類「Computer application program with added artificial intelligence for recorded wireless terminal; computer application program with added artificial intelligence for downloadable wireless terminal; downloadable smart phone application (software); smart phone application (software); application software for smart phone; 」を含む第9類及び第21類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品
国際商標登録出願日(事後指定) 2018年(平成30年)5月15日
設定登録日 令和元年12月20日
なお、引用商標1(申立2)、引用商標3(申立2)ないし引用商標5(申立2)に係る商標権は、現に有効に存続しており、引用商標2(申立2)に係る商標権は、存続期間満了により令和6年1月24日に抹消登録されている(権利満了日:令和5年5月2日)。
以下、引用商標1(申立2)ないし引用商標5(申立2)をまとめて「引用商標(申立2)」という場合がある。
3 申立人2が、本件商標は商標法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第19号に該当するとして引用する商標
商標の態様 MONSTER(以下「申立人2使用商標」という。)
使用する商品 申立人2の業務に係る「イヤホン、ヘッドホン、ダウンロード可能なスマートフォン用のアプリケーションソフトウェア、オーディオ用ケーブル」等。
第3 登録異議の申立ての理由
1 申立人1による申立ての理由
申立人1は、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により、取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第511号証(枝番号を含む。)を提出した(以下、申立人1の提出に係る甲号証については、例えば「甲第1号証」を「甲1」のように記載する。)。
(1)申立人1の使用に係る「MONSTER」の周知著名性について
申立人1は、2002年に「MONSTER」なるエナジードリンクのブランドを創設し、これ以降、現在に至るまで、「MONSTER」をMONSTERブランドのエナジードリンク(以下「申立人1商品」という。)の出所識別標識として使用している。
申立人1商品は、2002年に米国でMONSTERブランドの第1号の個別製品「MONSTER ENERGY」を発売後、世界各国における販売も開始し、現在では我が国を含む世界130以上の国及び地域で販売中である。
2002年以降現在まで継続して、申立人1商品には、一貫して「MONSTER」の文字を基調とする個別商品名(例えば、「MONSTER ENERGY」、「MONSTER ASSAULT」、「MONSTER KHAOS」等)が採用されている。また、これらの個別製品の包装容器(缶、瓶)は同じデザインで統一されており、特徴的な書体で大きく表示した「MONSTER」の文字(甲416)を独立して見る者の目をひきつける態様で顕著に表示している。
このように、規則的なネーミング法(すなわち「MONSTER」に他の語を結合する方法)で命名された個別製品名と特徴的な書体で表示した「MONSTER」の文字を顕著に表示した統一的デザインの包装容器を特徴とする申立人1商品は、需要者の間でたちまち人気となり、申立人1のMONSTERブランドのエナジードリンク事業は急速に業績を拡大し、その成功は経済界で高い評価を受けている(甲2~甲33、甲51~甲58、甲391~甲393)。
国内では、2012年5月のMONSTERブランド初上陸以降、現在までに、2012年5月8日発売の「MONSTER ENERGY」(モンスターエナジー 缶355ml)及び「MONSTER KHAOS」(モンスターカオス 缶355ml)等を発売し、販売を継続している。
申立人1商品に関する広告宣伝活動は、幅広く継続的なものであり、国際的に活躍する多数の有名アスリート・チーム及びイベントに対するスポンサー活動を中核として、ウェブサイト及びプレスリリースによる広告、申立人1商品サンプルの配布、大手コンビニエンスストアやイベント主催者と提携した大規模な販売キャンペーン、スポーツイベント等の開催、契約アスリート等の動画・画像の公開、MONSTERブランドのライセンス商品の開発及び販売、ビデオゲーム会社と提携したMONSTERブランドを使用したビデオゲームの開発及び共同販売促進活動の実施など極めて多彩な内容である。こうした広告宣伝活動は、「MONSTER」の文字(特徴的な書体で表示したものを含む。)、爪の図柄と特徴的な書体で表示した「MONSTER」の文字と活字体で表示した「ENERGY」の文字からなるロゴマーク、「MONSTER ENERGY」の文字を使用して、本件商標の登録出願日前から継続的かつ頻繁に全国規模で実施されている。
また、申立人1は、申立人1商品の中心的需要者層である10ないし30代の若い世代(特に男性)に人気が高いF1自動車レースなどのモータースポーツなどのエクストリームスポーツの分野を中心にスポンサー活動を行い、また、全16の異なるウェブサイト及びソーシャルメディアのアカウントを開設して、こうした若い世代が多く利用するインターネットメディアによる大規模な情報発信を通じてMONSTERブランドを需要者に強くアピールするための効果的な広告を実施している。
複数の第三者が実施したエナジードリンクに関する市場調査及び消費者アンケート調査によれば、既に2013年時点で申立人1商品の国内市場占有率は25%を超えており、一般消費者におけるブランド認知度も第2位であった(甲311~甲322、甲383~甲385)。
申立人1商品は、2018年に国内エナジードリンク市場でトップシェアを獲得後は、首位を独走状態であり(甲448、甲476、甲479)、第三者の市場調査では2022年時点における申立人1商品の市場占有率は約40%であった(甲450)。
申立人1商品は、飲料業界で「モンスター」と称され、「MONSTER」「モンスター」と表示され、「MONSTER(モンスター)」のブランドとして認識されている(甲10、甲16、甲17、甲34の1、甲34の2、甲42の3、甲51~甲53、甲56、甲57、甲58、甲63、甲64、甲69、甲71、甲79、甲90、甲92、甲96、甲98、甲101~甲103、甲112、甲113、甲117、甲118、甲120、甲124、甲128、甲132、甲135、甲145、甲162、甲165、甲168、甲229、甲232、甲233、甲235~甲240、甲242、甲244、甲245、甲247、甲248、甲250、甲251、甲256~甲260、甲262、甲270、甲272~甲276、甲282、甲283、甲286、甲291~甲293、甲312、甲320、甲321、甲323、甲324、甲326、甲335~甲347、甲349、甲351、甲352、甲364、甲371、甲372、甲374~甲376、甲380、甲391~甲393、甲434、甲437~甲440、甲442、甲444~甲446、甲451、甲453、甲455~甲459、甲461、甲463~甲465、甲467~甲470、甲472、甲473、甲475~甲480、甲482~甲484)。
特許庁の審査においても、「モンスター」は、申立人1が飲料等について使用する商標「MONSTERENERGY(モンスターエナジー)」の略称として需要者の間で広く認識されていると認定されている(甲433)。
以上の事柄に照らせば、申立人1の使用に係る「MONSTER」の文字(以下「申立人1商標」という。)及びその音訳「モンスター」は、本件商標の登録出願時及び登録査定時には、申立人1の製造販売に係る商品を表示するものとして需要者の間で広く認識されていたことが明らかである。
(2)本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当する理由について
本件商標の構成文字「PERFORMONSTER」は、辞書等に掲載されている成語ではない。一方、「PER」、「FOR」、「MONSTER」の各文字は英単語の「per」(甲510)、「for」(甲511)、「monster」にそれぞれ通じ、このうち、「MONSTER」の文字部分はその音訳「モンスター(monster)」が「広辞苑」等に掲載される程度まで外来語として一般に広く親しまれている(甲508、甲509)から、「PERFORMONSTER」は、外来語の「モンスター」として親しまれている「MONSTER」に他の語(文字)を結合したものであると容易に認識、理解される。
本件商標は、「MONSTER」の文字、「モンスター」の音(称呼)、「モンスター」の観念を包含する点で、引用商標(申立1)及び「MONSTER」を使用した申立人1商品の個別製品名と一致し、これらの申立人1の使用に係る商標と外観、称呼及び観念の印象が類似する。
また、本件商標は、申立人1商品に使用されている全ての個別製品名と同一のネーミング規則、すなわち、「MONSTER」の欧文字と他の語を結合する方法によって構成されている。
したがって、本件商標は、申立人1の使用に係る商標と類似性の程度が極めて高いことが明らかである。
本件商標の指定商品は、引用商標4(申立1)の指定商品と同一又は類似のものであり、さらに、申立人1のMONSTERブランドの様々なライセンス商品、並びに、申立人1商品の販売キャンペーンの賞品・景品として一般消費者に提供されている様々な非売品MONSTERグッズ(殊に、テレビ、スピーカー、ヘッドフォン、ウェアラブルカメラ、ビデオゲーム機及びゲームソフトウエア、CDプレイヤー、録音済み又は録画済みのDVD及びCD等)と販売場所、需要者層を共通にし、関連性が密接である。
本件商標の指定商品の需要者は一般消費者を含むから、その通常の需要者の注意力の程度はさほど高いものとはいえない。
先に述べたとおり、「MONSTER」及びその表音「モンスター」は、本件商標の登録出願時及び登録査定時に申立人1の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間で広く認識されていた。
したがって、本件商標がその指定商品に使用された場合、これに接した需要者は、申立人1の使用に係る「MONSTER」及び申立人1を直観し、当該商品が申立人1又は同人と経済的若しくは組織的関係を有する者の取扱いに係るものであると誤信し、その出所について混同を生じるおそれがある。
また、本件商標の使用は、申立人1の商品の出所識別標識として広く認識されている「MONSTER」の出所表示力を希釈化するものであり、さらに、その名声、顧客吸引力にフリーライドするものといわざるを得ない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)本件商標が商標法第4条第1項第7号に該当する理由について
本件商標が使用された場合、申立人1の商品の出所識別標識として広く認識されている「MONSTER」の出所表示力が希釈化するおそれが高いものであり、また、本件商標の使用は、申立人1がこれらの商標について獲得した信用力、顧客吸引力にフリーライドするものといわざるを得ず、申立人1に経済的及び精神的損害を与える。
したがって、本件商標は、社会一般道徳及び公正な取引秩序の維持を旨とする商標法の精神及び国際信義に反するものであり、公の秩序を害するおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。
2 申立人2による申立ての理由
申立人2は、本件商標は商標法第4条第1項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第23号証を提出した(以下、申立人2の提出に係る甲号証については、例えば、「甲第1号証」を「甲2-1」のように記載する。)。
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標の要部
本件商標は、「PERFORMONSTER」の欧文字を横書きしてなるところ、当該文字は「PERFORM」と「MONSTER」という2つの英単語から、両者の共通する「M」の欧文字を重ね合わせて結合した造語と考えられる。
外観上、本件商標からは、「PERFORM」と「MONSTER」の2つの英単語をそれぞれ完全な形で認識することができ、そのうち「MONSTER」の文字部分からは、直前の「PERFOR」の文字部分の影響を受けることなく、単体で発音した時と全く同じ「モンスター」の称呼が生じる。
よって、本件商標に接した者が、本件商標を「MONSTER」の文字部分とその残部である「PERFOR」の文字部分に分けて分離観察することは、取引上何ら不自然なことではない。
また、本件商標の構成中「MONSTER」の文字部分からは、「怪物、化け物」等の観念も生じ、指定商品との関係で頻用されるものではないため、需要者等の印象、記憶、連想等に大きな影響を与え、一般的に需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるといえる。そのため、本件商標は、その構成全体から「MONSTER」の文字部分を要部として抽出し、これを引用商標と比較して、商標そのものの類否を判断することが許される。
イ 本件商標と引用商標1(申立2)との対比
本件商標は、その要部に当たる「MONSTER」の文字部分から、「モンスター」の称呼と「怪物、化け物」等の観念を生じる。
他方、引用商標1(申立2)は、別掲3のとおり、「monSTER」の欧文字を図案化した上段のロゴと、「CABLE」の欧文字を図案化した下段のロゴとを2段に配してなるものであり、上段のロゴ部分から、「モンスター」の称呼と「怪物、化け物」等の観念を生じる。
本件商標は、その要部「MONSTER」の文字部分が、引用商標1(申立2)の上段のロゴ部分と共通の称呼及び観念を有しているので、商標全体としても、引用商標1(申立2)と類似している。
また、本件商標の指定商品は、引用商標1(申立2)の第9類の指定商品中「電子応用機械器具及びその部品」と類似している。
ウ 本件商標と引用商標2(申立2)との対比
引用商標2(申立2)は、「MONSTER DNA」の文字を標準文字で表してなるものであり、その構成中「MONSTER」の文字部分から、「モンスター」の称呼と「怪物、化け物」等の観念を生じる。
本件商標は、その要部「MONSTER」の文字部分が、引用商標2(申立2)の「MONSTER」の文字部分と共通の称呼及び観念を有しているので、商標全体としても、引用商標2(申立2)と類似している。
また、本件商標の指定商品は、引用商標2(申立2)の第9類の指定商品中「ノートブック型パーソナルコンピュータの機能拡張用接続器,スマートフォンの機能拡張用接続器,コネクタ,電子応用機械器具及びその部品」と類似している。
エ 本件商標と引用商標3(申立2)との対比
引用商標3(申立2)は、「MOUTH MONSTER」の欧文字を横書きしてなるものであり、その構成中「MONSTER」の文字部分から、「モンスター」の称呼と「怪物、化け物」等の観念を生じる。
本件商標は、その要部「MONSTER」の文字部分が、引用商標3(申立2)の「MONSTER」の文字部分と共通の称呼及び観念を有しているので、商標全体としても、引用商標3(申立2)と類似している。
また、本件商標の指定商品は、引用商標3(申立2)の第9類の指定商品中「電子計算機用プログラム,スマートフォン用アプリケーションソフトウェア,スマートフォン用ゲームプログラム」と類似している。
オ 本件商標と引用商標4(申立2)との対比
引用商標4(申立2)は、「GENTLE MONSTER」の欧文字を横書きしてなるものであり、その構成中「MONSTER」の文字部分から、「モンスター」の称呼と「怪物、化け物」等の観念を生じる。
本件商標は、その要部「MONSTER」の文字部分が、引用商標4(申立2)の「MONSTER」の文字部分と共通の称呼及び観念を有しているので、商標全体としても、引用商標4(申立2)と類似している。
また、本件商標の指定商品は、引用商標4(申立2)の第9類の指定商品と類似している。
カ 本件商標と引用商標5(申立2)との対比
引用商標5(申立2)は、「BRUSHMONSTER」の欧文字を横書きしてなるものであり、その構成中「MONSTER」の文字部分から、「モンスター」の称呼と「怪物、化け物」等の観念を生じる。
本件商標は、その要部「MONSTER」の文字部分が、引用商標5(申立2)の「MONSTER」の文字部分と共通の称呼及び観念を有しているので、商標全体としても、引用商標5(申立2)と類似している。
また、本件商標の指定商品は、引用商標5(申立2)の第9類の指定商品中「Computer application program with added artificial intelligence for recorded wireless terminal; computer application program with added artificial intelligence for downloadable wireless terminal; downloadable smart phone application (software); smart phone application (software); application software for smart phone」と類似している。
キ 小括
上記のとおり、本件商標は、その商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人(申立人2)の登録商標である引用商標(申立2)に類似する商標であって、その登録商標に係る指定商品に類似する商品について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第10号について
ア 申立人2の業務と申立人2使用商標「MONSTER」の周知性
申立人2は、ノエル・リー氏によって1979年に設立された米国法人で、申立人2の製品「MONSTER CABLE」は、高性能・高品質のオーディオ用ケーブルであり、その性能からハリウッド映画の製作現場にも使用されている。
申立人2の製品「MONSTER CABLE」は、数多くのトッププロに認められて話題になり、瞬く間に我が国を含む世界中の一般の需要者にも知られるようになり、現在、高品質・高性能ケープルの世界的なトップメーカーに成長している。さらに、申立人2は、事業・製品の多角化の一環として2009年から「イヤホン・ヘッドホン」市場に参入している。
申立人2使用商標を付して販売されたイヤホン・ヘッドホンは、マイルス・デイヴィスなどの世界的ミュージシャンや、シャネルなどのファッションメーカーだけでなく、近年ではスポーツメーカーのアディダスや、世界的サッカー選手クリスティアーノ・ロナウドとのコラボレーションモデルにより、我が国を含む世界中の需要者等に幅広く受け入れられている。そのため申立人2使用商標を付した商品が、高性能・高品質で知られるケーブルだけでなく、イヤホン・ヘッドホンにも及んでいることが、本件商標についての登録出願前から日本国内の需要者の間に広く認識されている(甲2-7~甲2-11、甲2-13~甲2-19)。
また、スマートフォンで使用されるワイヤレスのイヤホン等は、スマートフォンにダウンロードされたアプリで設定・調整されるのが一般的であり、申立人2も申立人2使用商標が使用された、イヤホン等の設定・調整などを行うためのダウンロード可能なスマートフォン用アプリを提供している(甲2-12)。
上述した申立人2の商品は、キクタニミュージック株式会社、完実電気株式会社、オンキヨーマーケティング株式会社(2022年2月8日より事業停止)などの正規輸入・販売業者並びにそれを介した日本全国の取扱店舗及びオンライン販売サイトにより国内正規品として、又は並行輸入品等として、我が国で販売されている(甲2-7~甲2-19)。
イ 本件商標と申立人2使用商標との対比
本件商標の要部「MONSTER」の文字部分を、申立人2使用商標と対比すると、両者は、称呼が「モンスター」で同一、観念が「怪物、化け物」等で同一であるから、本件商標は、その構成全体としても、申立人2使用商標と類似している。
また、本件商標の指定商品は、需要者の間に広く認識されている申立人2使用商標が使用される商品「ダウンロード可能なスマートフォン用のアプリケーションソフトウェア」と類似している。
ウ 小括
上記のとおり、本件商標は、申立人2の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている申立人2使用商標に類似する商標であって、その商品に類似する商品について使用をするものであり、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号について
上記(2)アで述べたように、申立人2使用商標は、本件商標の登録出願前から、申立人2の商標として、日本国内の需要者の間に広く認識され(甲2-7~甲2-19)、本件商標の要部と申立人2使用商標とは、称呼が「モンスター」で同一、観念が「怪物、化け物」等で同一であるから、本件商標は、その構成全体としても、申立人2使用商標と類似している。
一方、申立人2使用商標は、申立人2のハウスマークでもあり、上述したような歴史的経緯から、「オーディオ用ケーブル」のような、本件商標の第9類の指定商品とは非類似の商品についても使用されている(甲2-7~甲2-19)。
本件商標は、申立人2の商標として日本国内の需要者の間に広く認識された申立人2使用商標に類似しているから、本件商標をその指定商品に使用した場合、商品の類否に関わらず、需要者等に申立人2使用商標を連想させ、本件商標の指定商品とは非類似の申立人2の業務に係る商品との間にも、商品の出所の混同を生ずるおそれがある。
上記のとおり、本件商標は、他人である申立人2の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標であるから、仮に商標法第4条第1項第10号に該当しない場合でも、同項第15号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第19号について
申立人2使用商標は、日本国内の需要者の間に広く認識されており、本件商標は、申立人2使用商標に類似しているから、商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に該当しない場合でも、申立人2使用商標に化体した信用、名声、顧客吸引力等を毀損させる不正の目的が推認される。
また、申立人2が事業規模の拡大を計画している事実と、国際商標登録(甲2-20~甲2-23)を有すること、申立人2使用商標が申立人2の商標として日本国内の需要者の間に広く認識されている事実を考慮すれば、本件商標についての登録出願には、我が国において登録されていないことを奇貨として、先取的に出願するという不正の目的も推認される。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
第4 当審の判断
1 申立人1による申立ての理由について
(1)申立人1が使用する商標の周知著名性について
ア 申立人1提出の甲各号証及び同人の主張によれば、次のとおりである。
(ア)申立人1は、米国の飲料メーカーであって、我が国においてはアサヒ飲料株式会社(以下「アサヒ飲料社」という。)を通じて、2012年5月にエナジードリンク「MONSTER ENERGY(モンスターエナジー)」及び「MONSTER KHAOS(モンスターカオス)」の販売を開始し、その後、2022年まで毎年、新製品やリニューアル商品を合計29種類販売した(甲7、甲10、甲14、甲15、甲59~甲62、甲101~甲103、甲127~甲130、甲253、甲256、甲257、甲263、甲291、甲323、甲324、甲353~甲358、甲361、甲460、甲434、甲435~甲446、甲451~甲453、甲475~甲480ほか)。
(イ)申立人1商品のほとんどの種類の商品(の容器)には、爪痕のような図形(以下「爪の図柄」という。)並びにデザイン化された「MONSTER」の文字(以下「MONSTERロゴ」という。)及び「ENERGY」の文字からなる別掲4のとおりの商標(色彩が異なるものを含む。以下「別掲4商標」という。)が表示されている(甲7、甲10、甲15等、上記アと同じ。)。
(ウ)申立人1は、我が国で開催される各種のスポーツ競技会、イベントにおいて、看板、ユニフォーム、車体など多種多様なものに、別掲4商標又はこれとともに爪の図柄を表示している(甲44、甲64、甲68~甲71、甲73、甲76、甲78、甲82、甲90、甲141、甲145、甲146、甲150、甲152、甲155、甲362、甲365、甲368、甲369、甲370、甲371、甲375、甲376、甲402、甲403ほか)。
(エ)我が国において、別掲4商標又はこれとともに爪の図柄が表示されたステッカー、衣類、帽子、ヘルメットなどが販売されている(甲47、甲48、甲98ほか)。
(オ)平成25年7月以降、我が国の税関において、申立人1の商標権(国際登録第1048069号(甲492)など)を侵害する疑いがある貨物(帽子、ショートパンツ、Tシャツなど)が多数発見されている(甲169~甲224)。
(カ)有限会社飲料総研の調査によれば、我が国における2013年のエナジードリンクの出荷数は約950万ケース(1ケース30本換算)であり、首位のレッドブルが550万ケース、2位のモンスターエナジーは240万ケースであった(甲318、甲320)。
(キ)ジャストシステムによるエナジードリンクに関する調査(2014年4月)によれば、認知度が高い商品の1位は82.8%の「RedBull」、2位は47.6%の「MONSTERENERGY」であった(甲319)。
(ク)JMR生活総合研究所による消費者調査 No.196「エナジードリンク(2014年7月版)」によれば、ブランド認知率の1位は「レッドブル・エナジードリンク」で45%、2位が「モンスターエナジー」で31%であり、同消費者調査No.232「エナジードリンク(2016年8月版)」によれば、ブランド認知率の1位は「レッドブル・エナジードリンク」、2位は「モンスターエナジー」であったと推認できる(甲311、甲312)。
(ケ)株式会社商業界運営のウェブサイトにおいて2019年8月18日付けの「ドリンク剤とは対照的な市場動向 エナジードリンク市場:急成長の要因は若い男性の支持」の見出しの下「エナジードリンクは3年前に比べて市場規模が約1.4倍に拡大」との記載がある(甲401)。
(コ)申立人1、モンスターエナジージャパン合同会社及びアサヒ飲料社は、本件商標の登録出願の日前から、申立人1商品のキャンペーンに係るニュースリリース、ポスターなどで申立人1商品を「モンスター」と表示しているものが見受けられ、また、同社以外のウェブページにおける当該キャンペーンについてのポスターやその他の記事においても「MONSTER」及び「モンスター」の文字が表示されているところ、当該ニュースリリース、ポスター、ウェブサイト等には、申立人1商品の画像、別掲4商標、「モンスターエナジー」の文字又は別掲4商標とともに爪の図柄が表示又は掲載されている(甲69、甲71、甲79、甲101~甲103、甲111、甲113、甲115、甲118、甲119、甲124ほか)。
イ 申立人1が使用する商標の周知著名性についての判断
上記アのとおり、申立人1は、我が国において、2012年(平成24年)5月からエナジードリンク「MONSTER ENERGY」及び「MONSTER KHAOS」の販売を開始し、その後現在まで、29種類の申立人1商品を販売するとともに、各種のスポーツ競技会、イベント及びキャンペーンなどを通じ、申立人1商品の広告宣伝を行っていたこと、2013年(平成25年)のエナジードリンクの出荷数約950万ケースのうち、申立人1商品の出荷数は240万ケースで第2位であったこと、申立人1商品の認知度が2014年(平成26年)において、その数値は31%と47.6%と差異はあるものの、いずれの調査でも第2位であったことが認められ、2016年(平成28年)の認知度はその数値は不明であるものの2位であったと推認できる。そして、申立人1商品の2017年(平成29年)以降の認知度及び出荷数等に係る証拠の提出がないものの、エナジードリンクの市場は2019年(令和元年)において成長を続けており、現在においても、同様であると推認されることを併せみれば、申立人1商品は、本件商標の国際商標登録出願日(2022年(令和4年)4月11日)前から、登録査定日(令和5年4月6日)においても、我が国のエナジードリンクの需要者の間に広く認識されているものと判断するのが相当である。
そして、申立人1商品は、そのほとんどの容器の中央に、「MONSTER ENERGY」の文字が別掲4のとおりの態様で表示されていること、常にこれとともに爪の図柄が表示されていること、さらに、ニュースリリース、各種記事などにおいて「MONSTER ENERGY」「モンスターエナジー」と表示され、「モンスターエナジー」と称されていることから、「MONSTER ENERGY」及び「モンスターエナジー」の文字並びに別掲4のとおりの構成に爪の図柄を加えた構成は、いずれも本件商標の登録出願日前から、登録査定日はもとより現在においても継続して、申立人1及びアサヒ飲料社の業務に係る商品(エナジードリンク)を表示するものとして、エナジードリンクの需要者の間に広く認識されているものといえる。
そうすると、「MONSTER ENERGY」の文字からなる引用商標3(申立1)、また、別掲4のとおりの構成に爪の図柄を加えた構成からなる引用商標2(申立1)は、いずれもその指定商品中にエナジードリンクを含むものであるから、申立人1商品(エナジードリンク)を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているものというべきである。
また、申立人1商品は、その容器に「MONSTER」及び「ENERGY」の各文字が比較的近接して表示されているもの(別掲4を含む。)がほとんどであり、MONSTERロゴのみが表示されている商品についての出荷数、シェア等の販売実績は確認できない。
さらに、「MONSTER」の文字(申立人1商標)は、ニュースリリース、ポスター、ウェブサイト等において、申立人1又は申立人1商品の略称として表示又は掲載が見受けられるとしても、常に申立人1商品、「モンスターエナジー」の文字、爪の図柄又は別掲4商標の文字とともに表示又は掲載されていることからすれば、これに接する需要者は、そこに表示又は掲載された「MONSTER」の文字(申立人1商標)を、申立人1商品(「モンスターエナジー」)の一連の名称として使用されていることを前提に、申立人1商品(「モンスターエナジー」)を指称する文字として理解するというべきである。
そうすると、申立人1商品又は「モンスターエナジー」の文字若しくは別掲4商標と関連なく表示されている「MONSTER」の文字(申立人1商標)までもが、需要者において申立人1商品を表示するものと理解されるとはいい難い。
したがって、申立人1商標と同一のつづりである「MONSTER」の文字からなる引用商標1(申立1)は、申立人1の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
さらに、引用商標4(申立1)は、「MONSTER ENERGY」の文字からなるところ、当該商標が使用された指定商品についての販売実績や取引実績が確認できないものであるから、申立人1の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
申立人1は、引用商標(申立1)との関係で、出所の混同を生ずるおそれがある旨主張していると認められるので、以下検討する。
ア 本件商標と引用商標(申立1)の類似性の程度
(ア)本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、「PERFORMONSTER」の欧文字を表してなるところ、構成各文字は、同書、同大、等間隔で外観上まとまりよく一体に表されており、本件商標の構成全体から生じる「パフォーモンスター」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものである。
そうすると、本件商標は、その構成全体をもって一体不可分のものと認識、把握されるとみるのが相当である。
したがって、本件商標は、その構成文字全体に相応して、「パフォーモンスター」の称呼を生じ、当該文字は、辞書等に掲載されている成語ではなく、特定の意味合いを有するものとして認識されているともいい難いことから、特定の観念を生じないものである。
(イ)引用商標(申立1)
引用商標1(申立1)は、「MONSTER」の文字からなるところ、その構成文字に相応して「モンスター」の称呼を生じ、「怪物、化け物」の観念を生じる。
引用商標2(申立1)は、別掲2の構成からなるところ、爪の図柄と文字部分とは、重なることなく配置されていることにより、両者を分離して看取する場合もあると考えられることから、文字部分を捉えて「モンスターエナジー」の称呼及び「怪物の力、化け物の力」の観念を生じる。
引用商標3(申立1)及び引用商標4(申立1)は、「MONSTER ENERGY」の文字よりなるところ、その構成文字に相応して「モンスターエナジー」の称呼及び「怪物の力、化け物の力」の観念を生じる。
(ウ)本件商標と引用商標(申立1)との類否
本件商標と引用商標1(申立1)は、外観においては、「PERFOR」の文字の有無の差異により相違し、称呼においては、「パフォー」の音の有無の差異により相違し、観念においては、本件商標が特定の観念を生じないものであるのに対し、引用商標1(申立1)からは、「怪物、化け物」の観念を生じるものであるから、相紛れるおそれはない。
また、本件商標と引用商標2(申立1)の文字部分、引用商標3(申立1)及び引用商標4(申立1)とは、外観においては、「PERFOR」及び「ENERGY」の文字部分の有無の差異、引用商標2(申立1)の全体との比較においては、図形の有無の差異により相違し、称呼においては、本件商標と引用商標2(申立1)、引用商標3(申立1)及び引用商標4(申立1)とは、「パフォー」及び「エナジー」の音の有無の差異で相違し、観念においては、本件商標が特定の観念を生じないものであるのに対し、引用商標2(申立1)、引用商標3(申立1)及び引用商標4(申立1)からは、「怪物の力、化け物の力」の観念を生じるものであるから、相紛れるおそれはない。
そうすると、本件商標と引用商標(申立1)は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、別異の商標というべきものである。
その他、本件商標と引用商標(申立1)が類似するというべき事情は見いだせない。
イ 本件商標の指定商品と申立人1商品との関連性並びに需要者の共通性
本件商標の指定商品は、第9類に属する商品であるところ、申立人1の業務に係るエナジードリンクとは、商品の生産部門、販売部門、提供場所、原材料、用途等が相違するといえるから、これら商品の関連性があるとはいえない。
ウ 出所混同のおそれ
上記イのとおり、本件商標の指定商品と申立人1商品との関連性はなく、上記(1)イのとおり、引用商標2(申立1)及び引用商標3(申立1)は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人1商品(エナジードリンク)を表示するものとして、その需要者の間に広く認識されているものと認めることはできるとしても、引用商標1(申立1)及び引用商標4(申立1)は、需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
そして、上記ア(ウ)のとおり、本件商標は引用商標(申立1)とは、相紛れるおそれのない非類似の商標であって別異の商標である。
そうすると、これらを踏まえて、本件商標の指定商品の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として総合的に判断すれば、本件商標は、その商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標(申立1)を連想又は想起することはなく、その商品が他人(申立人1)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、申立人1のいずれの主張を検討しても、本件商標がその商品の出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
エ 小括
以上のとおりであるから、本件商標は、引用商標(申立1)との関係において、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標は、別掲1のとおりの構成からなるところ、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、きょう激又は他人に不快な印象を与えるような文字からなるものではない。
また、本件商標は、上記(2)ウのとおり、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることのないものである。
その他、本件商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ない場合等、本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標と認めるに足る具体的な証拠の提出はない。
そうすると、本件商標は、引用商標(申立1)の出所表示力を希釈化するとか、その名声にフリーライドするなど不正の目的をもって使用するものとはいえず、また、他に商標権者が本件商標をその指定商品に使用することが社会の一般的道徳観念に反し公正な取引秩序を乱す、あるいは国際信義に反するなど、公序良俗に反するものというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、引用商標(申立1)との関係において、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
2 申立人2による申立ての理由について
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標について
本件商標は、別掲1のとおり、「PERFORMONSTER」の欧文字を表してなるところ、構成各文字は、同書、同大、等間隔で外観上まとまりよく一体に表されており、本件商標の構成全体から生じる「パフォーモンスター」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものである。
そうすると、本件商標は、構成全体をもって一体不可分のものと認識、把握されるとみるのが相当である。
したがって、本件商標は、その構成文字全体に相応して、「パフォーモンスター」の称呼を生じ、当該文字は、辞書等に掲載されている成語ではなく、特定の意味合いを有するものとして認識されているともいい難いことから、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標(申立2)について
(ア)引用商標1(申立2)は、別掲3のとおり、かなりデザイン化された構成からなり、直ちには称呼し難いといえるが、「monSTER」の欧文字を図案化した上段のロゴと、「CABLE」の欧文字を図案化した下段のロゴとを2段に配してなるという申立人2の主張のとおりであれば、上下段とも同じデザインがなされ、まとまりよく一体的に表されていることから、全体を一つの商標とみるべきであり、その構成文字に相応して「モンスターケーブル」の称呼を生じ、当該文字は、辞書等に掲載が認められないから、特定の観念を生じない。
(イ)引用商標2(申立2)は、上記第2の2(2)のとおり、「MONSTER DNA」の文字を標準文字で表してなり、その構成中、「MONSTER」及び「DNA」のいずれかの文字部分を抽出し、商標の類否を判断することが許されるといった事情は見いだせない。
そうすると、引用商標2(申立2)は、「MONSTER」と「DNA」の間に1文字ほどの空きがあるとしても、同書、同大でまとまりよく横書きしてなるから、全体を一つの商標とみるべきであり、その構成文字に相応して「モンスターディーエヌエイ」の称呼を生じ、当該文字は、全体として辞書等に掲載が認められないから、特定の観念を生じない。
(ウ)引用商標3(申立2)は、上記第2の2(3)のとおり、「MOUTH MONSTER」の欧文字を横書きしてなり、その構成中、「MOUTH」及び「MONSTER」のいずれかの文字部分を抽出し、商標の類否を判断することが許されるといった事情は見いだせない。
そうすると、引用商標3(申立2)は、「MOUTH」と「MONSTER」の間に1文字ほどの空きがあるとしても、同書、同大でまとまりよく横書きしてなるから、全体を一つの商標とみるべきであり、その構成文字に相応して「マウスモンスター」の称呼を生じ、当該文字は、全体として辞書等に掲載が認められないから、特定の観念を生じない。
(エ)引用商標4(申立2)は、上記第2の2(4)のとおり、「GENTLE MONSTER」の欧文字を横書きしてなり、その構成中、「GENTLE」及び「MONSTER」のいずれかの文字部分を抽出し、商標の類否を判断することが許されるといった事情は見いだせない。
そうすると、引用商標4(申立2)は、「GENTLE」と「MONSTER」の間に1文字の空きがあるとしても、同書、同大でまとまりよく横書きしてなるから、全体を一つの商標とみるべきであり、その構成文字に相応して「ジェントルモンスター」の称呼を生じ、当該文字は、全体として辞書等に掲載が認められないから、特定の観念を生じない。
(オ)引用商標5(申立2)は、上記第2の2(5)のとおり、「BRUSHMONSTER」の欧文字を横書きしてなり、その構成は、同書、同大、等間隔でまとまりよく一連に横書きしてなるから、全体を一つの商標とみるべきであり、その構成文字に相応して「ブラッシュモンスター」の称呼を生じ、当該文字は、全体として辞書等に掲載が認められないから、特定の観念を生じない。
ウ 本件商標と引用商標(申立2)との類否
本件商標と引用商標(申立2)は、上記ア及びイのとおり「MONSTER(monSTER)」の構成文字において共通するとしても、引用商標1(申立2)は、かなり図案化され2段に表されているから本件商標とは外観において印象が相違し、また、引用商標2(申立2)ないし引用商標5(申立2)とは、それぞれ「PERFOR」と「DNA」、「MOUTH」、「GENTLE」及び「BRUSH」の各文字並びにそれらの構成において相違するものであるから、これらは、外観において相紛れるおそれはない。
また、本件商標は、「パフォーモンスター」の称呼を生じるのに対し、引用商標1(申立2)は、「モンスターケーブル」の称呼、引用商標2(申立2)は、「モンスターディーエヌエイ」の称呼、引用商標3(申立2)は、「マウスモンスター」の称呼、引用商標4(申立2)は「ジェントルモンスター」の称呼及び引用商標5(申立2)は、「ブラッシュモンスター」の称呼を生じるものであるから、本件商標と引用商標(申立2)との称呼は、それぞれの構成音が明らかに相違し、聴別できる。
さらに、本件商標及び引用商標(申立2)からは、いずれも特定の観念が生じないから、両商標は、観念において比較することができない。
そうすると、本件商標と引用商標(申立2)は、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において、相紛れるおそれがなく、これらを総合的に勘案すると、両者は相紛れるおそれがない非類似の商標というべきであるから、それらの指定商品の類否について判断するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するとはいえない。
(2)商標法第4条第1項第10号該当性について
ア 申立人2使用商標の周知性について
申立人2の主張及び提出された甲各号証によれば、以下のとおりである。
(ア)申立人2の製品の正規輸入代理店とされる「キクタニミュージック株式会社」のウェブサイト(甲2-7)には、「What’s MONSTER CABLE」の表題の下、「1979年にアメリカ合衆国カリフォルニア州サウス・サンフランシスコでノエル・リーが創設した音響機器メーカー[MONSTER]。」の記載があるものの、このサイトの掲載日は不明である。
(イ)「TOWER RECORDS」のウェブサイト(2011年2月15日掲載:甲2-9)には、「マイルス・モデルのヘッドフォンがMONSTER CABLE社から発売中!」として写真とともに「MONSTER Miles Davis Tribute インイヤー・ヘッドフォン」の記載がある。
(ウ)「セレブやおしゃれエリートも愛用する、スピーカー&ヘッドフォンをゲットせよ!・・・by HIROHIKO NAMBA」と題するウェブサイト(2019年12月6日公開:甲2-10)には、「モンスターケーブル(Monster Cable)」及び「Monster DNA オンイヤー・ヘッドフォン」の記載がある。
(エ)「価格.com」のウェブサイト(甲2-11)には、「「monster イヤホン」の検索結果」の記載の下、「MONSTER、ジュエリーライクな同ブランド初の完全ワイヤレスイヤホン/完実電気は、『MONSTER』ブランド・・・」(2019年5月27日)等、「完実電気は、『MONSTER』ブランド・・・」とする14件の記載がある。
(オ)「App Store」のウェブサイト(甲2-12)には、「App Storeプレビュー」の記載の下、「Purs Monster Sound Experience」、「Monster Inc.」及び「iPhone対応」の記載がある。
(カ)申立人2の中国関連会社とされる「Monster Greater China Limited」と我が国の「KANJITSU DENKI CO,LTD」との間の請求書6通(2018年2月12日~同年9月10日:甲2-13)には、申立人2使用商標は見当たらない。
(キ)「Amazon.co.jp」のウェブサイト(甲2-14~甲2-17)には、イヤホン、ヘッドホン、ギターケーブルについて、「ブランド:Monster」又は「ブランド:Monster Cable(モンスターケーブル)」の記載があるものの、それらのウェブサイトの掲載日は確認することができない。
(ク)以上(ア)ないし(キ)によれば、申立人2の業務に係るイヤホンやヘッドホンについて、「Monster」又は「Monster Cable(モンスターケーブル)」ブランドをもって本件商標の登録出願前に我が国において輸入され、販売されているとしても、申立人2使用商標の使用態様、当該商標が使用された商品の販売数量・売上高・市場シェア、申立人2使用商標を使用した広告の範囲等の具体的な証拠がないことから、申立人2の主張及び同人提出の証拠によっては、申立人2使用商標「MONSTER」が申立人2の業務に係る商品について使用する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたとは認めることができない。
イ 本件商標の商標法第4条第1項第10号該当性について
したがって、申立人2使用商標は、「需要者の間に広く認識されている商標」とはいえず、商標法第4条第1項第10号を適用するための要件を欠くものといわざるを得ないから、本件商標は、同号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
本件商標は、「PERFORMONSTER」の欧文字を表してなるところ、上記(1)アのとおり、特定の観念を生じないものであり、これに対し、申立人2使用商標は、「MONSTER」の欧文字からなり、その構成文字に相応して「モンスター」の称呼を生じ、「怪物、化け物」の観念を生じるといえるから、観念において相紛れるおそれのないものである。
また、本件商標と申立人2使用商標とは、外観上、「PERFOR」の文字の有無において相違するものであるから、これらは、外観において相紛れるおそれはない。
さらに、本件商標と申立人2使用商標とは、称呼上、「パフォー」の音の有無において相違するものであるから、これらは、称呼において聴別できる。
そうすると、本件商標と申立人2使用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれはなく、別異の商標であると認識できるものであり、その類似性の程度は高いとはいえない。
そして、申立人2使用商標は、上記(2)アのとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたとは認められないものである。
してみれば、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者が、申立人2使用商標を連想、想起することはなく、その商品が他人(申立人2)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であると誤認し、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものである。
その他、本件商標について、出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
以上のとおりであるから、本件商標は、申立人2使用商標との関係においても、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第19号該当性について
本件商標は、上記(3)のとおり、申立人2使用商標とは、類似性の程度は高いとはいえないものであり、申立人2使用商標は、上記(2)アのとおり、我が国の需要者の間において広く認識されているものとはいえず、また、外国における周知性を客観的に裏付ける証拠も提出されていない。
さらに、申立人2が提出した証拠からは、商標権者が本件商標を不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用するものと認めるに足りる具体的事実は見いだせない。
したがって、本件商標は、他人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的をもって使用をするものということはできないから、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
3 結論
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-685005