商標拒絶査定不服審判
2023-650049
- 審判番号
- 2023-650049
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 1599413
- 請求日
- 2023年06月20日
- 審決日
- 2025年08月26日
- 公報発行日
- 2026年03月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】TISSA FONTANEDA, S.L.
- 【請求人代理人】阿部 達彦
- 【請求人代理人】小暮 理恵子
- 【請求人代理人】行田 朋弘
- 審判長/審判官
- 審判長 豊瀬 京太郎
- 審判官 清川 恵子
- 審判官 目黒 潤
- 分類
- T18 .16 -Z (W18)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項6号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第6号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
国際登録第1599413号に係る国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。
結論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
1 手続の経緯
本願は、2021年(令和3年)4月19日に国際商標登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和 4年 4月11日付け:暫定拒絶通報
令和 4年 8月17日 :意見書の提出
令和 5年 2月24日付け:拒絶査定
令和 5年 6月20日 :審判請求書の提出
令和 6年 8月20日付け:審尋
令和 6年12月10日 :回答書の提出
2 本願商標
本願商標は、別掲1の構成よりなり、日本国を指定する国際登録において指定された第18類「Bags; tote bags, bags, handbags, shoulder bags, clutch bags, traveling bags, pouches; trunks, suitcases, hip bags, rucksacks; purses, pocket wallets, wallets, credit card sleeves; traveling sets [leatherware], credit card cases [wallets], vanity cases, not fitted, tie cases.」を指定商品として、2020年10月22日にSpainにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2021年(令和3年)4月19日に国際商標登録出願されたものである。
3 原査定の拒絶の理由(要旨)
原審において、「本願商標は、別掲1のとおり、複数の丸みを帯びた三角形状の立体要素を互いにずらした反復模様からなるものであるところ、本願商標の構成態様において、特徴的な形態は見いだせず、これよりは何らの特定の称呼及び観念を認識させるものではない。したがって、本願商標は、構成全体のみならず、自他商品の識別機能を果たすような特徴的な部分を見いだすことはできないというべきものである。してみれば、本願商標は、一般的に、単なる地模様(模様的なものが連続反復するもの)からなるものと認識され得るものというのが相当である。また、本願商標のような、地模様のみからなるものが出所表示として需要者に認識されるのは、ある一定の周知性を獲得した場合であって、商品に施された地模様をもって直ちにそれが出所表示として需要者に認識されるものということはできない。そして、出願人の商品について、いわゆる著名人が使用していることがうかがえるものの、本願商標を使用した出願人の商品の売り上げの規模や、使用している期間、市場シェア等は不明といわなくてはならない。そうすると、本願商標は、これが使用された結果、全国的に周知性を獲得したとはいい難く、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているものとは認められない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、拒絶したものである。
4 当審における審尋(要旨)
当審において、令和6年8月20日付け審尋により、別掲2に掲げる事実を提示した上で、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、請求人に対し、意見を求めた。
5 審尋に対する請求人の回答(要旨)
請求人は、上記4の審尋に対し、令和6年12月10日に回答書を提出し、要旨以下のとおりの意見を述べた。
(1)本願商標は、縁が丸みを帯びた三角形の立体要素を、縦と横をそれぞれそろえないで配置した反復模様からなるものであることから、審尋で引用されたバッグの模様における立体要素と配置方法が異なる。
(2)本願商標の立体要素は、縁が丸みを帯びた三角形状の立体であり、「泡」、「縦長のおにぎり」あるいは「伸びた爪」のように見える幾何学図形であるが、審尋で引用されたバッグの立体要素は、いずれも本件幾何学図形とは明白に異なり、また、配置についても、本願商標は、一つ一つの上端部が他の2つの本件幾何学図形の下端部に接触しているか又はほぼ隙間なく密接しているが、審尋で引用されたバッグの表面に設けられた立体要素は、それぞれが互いに離れていて明らかに互いに一切接触していない態様である。
(3)本願商標は、複数の丸みを帯びた三角形状の立体要素を、互いにずらし、密接に、規則的に配して成る独特の外観を有しており、この態様を使用しているのは、請求人に係るものを除き、皆無であるから、この事実は、本願商標が、本願の指定商品との関係において、「泡」等の如く見える「特徴的な形態」を有していることの証左に他ならない。
6 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第6号該当性について
本願商標は、別掲1のとおり、縁が丸みを帯びた三角様の立体要素を縦と横にそろえないで上下左右へ交互にずらして配置した反復模様からなるものである。
そして、本願の指定商品との関係において、商品の表面に立体要素を縦と横にそろえないで上下左右へ交互にずらして配置したものや、縦横にそろえて配置したものなど、いずれも立体要素を配置した規則的な反復模様からなるものが一般に製造、販売されていることが見受けられることからすると(別掲2)、本願商標の態様においては、地模様の形態を超えて、自他商品の識別標識としての機能を果たすことができるような特徴的な部分を見いだすことはできない。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用する場合は、これに接する取引者、需要者に、装飾的な立体要素の地模様からなるものと認識、理解させるにとどまり、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標というのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 本願商標は、縁が丸みを帯びた三角形の立体要素を、縦と横をそれぞれそろえないで配置した反復模様からなるものであり、その立体要素は、「泡」、「縦長のおにぎり」あるいは「伸びた爪」のように見える幾何学図形であり、また、その配置も上端部が他の2つの本件幾何学図形の下端部に接触又はほぼ隙間なく密接しているところ(回答書の第1号証)、引用されたバッグの立体要素やその配置方法等は、本願商標に係るものと異なっているから、引用された証左は、本願商標の自他商品識別力の有無の判断において比較すべき対象とはなりえない旨主張している。
しかしながら、本願商標は、一見して、「縁が丸みを帯びた三角様の立体要素を縦と横にそろえないで上下左右へ交互にずらして配置した反復模様」であることが視認されるものであって、本願商標と別掲2で提示した商品とを比較した場合、両者を子細に観察すれば、立体要素の形状や配置の方法の細部において差異はみられるものの、いずれも、商品の表面に立体要素を規則的に配置した反復模様からなるものと認識させるものである。
そして、上記(1)のとおり、別掲2で提示したような模様を有する商品が一般に製造、販売されている実情があることを考慮すれば、本願商標が「立体要素を縦と横にそろえないで上下左右へ交互にずらして配置した反復模様」により構成されていることに特異性はなく、また、その立体要素の表面も「丸みを帯びた三角様」にすぎず、その立体要素の上端部が他の下端部に接触している、又は、隙間なく密接している配置も格別特徴的な形態を見いだせるものではないとみるのが相当である。
イ 本願商標の態様を使用しているのは、請求人に係るものを除き皆無であるから、この事実は、本願商標が、本願の指定商品との関係において、「泡」等の如く見える「特徴的な形態」を有していることの証左に他ならない旨主張している。
しかしながら、商標法第3条第1項第6号は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、当該商標が取引上現実に使用されている事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである(平成25年(行ケ)第10142号、同年11月14日知財高裁判決)。
そして、本願商標のような態様が、請求人以外の者によって使用されていないとしても、本願商標をその指定商品に使用した場合における需要者の認識を推し量る際に、当該指定商品に係る取引の実情を勘案することは、合理的であるというべきであって、そのような取引の実情を勘案したときに、本願商標が、需要者をして何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であることは、上記(1)のとおりである。
ウ 請求人は、本願商標と同一の模様を使用したバッグは、著名人が愛用していることから(意見書の第4号証)、その結果、本願商標は、現在までに、世界中で周知となっている旨主張している。
しかしながら、ある標章が「使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるもの」に該当するか否かは、出願に係る商標と外観において同一とみられる標章が指定商品とされる商品に使用されたことを前提として、その使用開始時期、使用期間、使用地域、使用態様、当該商品の販売数量又は売上高等、当該商品又はこれに類似した商品に関する当該標章に類似した他の標章の存否などの事情を総合考慮して判断されるべきである(平成24年(行ケ)第10285号、同25年1月24日知財高裁判決)ところ、本願商標を使用した請求人の商品(バッグ)が、仮に著名人に使用されているとしても、請求人の商品の販売数、売上高及び市場シェア等の販売実績や広告宣伝の規模等について客観的に把握できる証拠は何ら提出されていないことから、商標の使用状況に基づき、その周知性を推し量ることができない。したがって、上記主張及び証拠のみをもって、本願商標が請求人の商品を表すものとして世界中で周知になっているものと認めることはできない。
エ 請求人は、本願商標と同一の商標が、米国、スペイン、アイルランド、ベネルクス、ブラジル、イタリア、メキシコにおいて登録が認められていることから(意見書の第5号証、審判請求書の第5号証)、日本において登録を拒絶することは、国際的調和を欠き、具体的妥当性を著しく欠くものである旨を主張している。
しかしながら、諸外国と我が国の商標保護に関する法制は、細部においては自ずと異なるものであるから、本願商標の登録の適否は、専ら我が国商標法の下において判断されるべきものであって、諸外国における登録状況等の事情をもって、上記(1)においてした本願商標についての判断が左右されるべきではない。
オ したがって、請求人の上記アないしエの主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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