商標取消審判
2023-300674
ベッセル
- 審判番号
- 2023-300674
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2020-017746
- 登録番号
- 6294011
- 請求日
- 2023年09月19日
- 審決日
- 2024年12月09日
- 公報発行日
- 2025年07月25日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【請求人】株式会社 ベッセル工業
- 【請求人代理人】弁理士法人藤本パートナーズ
- 【被請求人】北京艾夫邑楽商貿有限公司
- 【被請求人代理人】弁理士法人Smarca
- 審判長/審判官
- 審判長 鈴木 雅也
- 審判官 板谷 玲子
- 審判官 富澤 哲生
- 分類
- T132 .1 -Z (W25)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第2条第3項、商標法第50条第1項、商標法第50条、商標法第50条第2項、商標法第2条第3項第8号、商標法第2条第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第6294011号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
登録第6294011号商標の指定商品中、第25類「ワイシャツ類及びシャツ,下着,ズボン,コート,カモフラージュ用シャツ,トッパーコート,ティーシャツ,ウール製の履物,編上靴,スリッパ,サンダル靴及びサンダルげた,ゴム製の靴,運動靴,帽子,ネクタイ,スカーフ,ガードル」についての商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6294011号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、令和2年2月19日に登録出願、同年9月17日に第25類「ワイシャツ類及びシャツ,下着,ズボン,コート,カモフラージュ用シャツ,トッパーコート,ティーシャツ,ウール製の履物,乗馬用ブーツ,編上靴,スリッパ,サンダル靴及びサンダルげた,ゴム製の靴,運動靴,乗馬用靴,帽子,ネクタイ,スカーフ,ガードル」を指定商品として設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録は、令和5年10月5日になされたものであり、この登録前3年以内の期間(令和2年10月5日~令和5年10月4日)を以下「要証期間」という。
第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書及び令和6年3月21日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対する同年5月1日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)にて、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
なお、以下、証拠の表記に当たっては、甲第1号証を「甲1」、乙第1号証を「乙1」のように省略して表示する場合があり、枝番号の全てを示すときは、枝番号を省略する。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中、第25類「ワイシャツ類及びシャツ,下着,ズボン,コート,カモフラージュ用シャツ,トッパーコート,ティーシャツ,ウール製の履物,編上靴,スリッパ,サンダル靴及びサンダルげた,ゴム製の靴,運動靴,帽子,ネクタイ,スカーフ,ガードル」(以下「請求に係る指定商品」という。)について、継続して3年以上日本国内において、本件商標の権利者(以下「商標権者」という。)、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 弁駁書による主張
(1)被請求人の答弁について
被請求人の主張及び被請求人提出の乙各号証のいずれをもってしても、被請求人は、要証期間に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、請求に係る指定商品について本件商標(社会通念上同一のものを含む。)の使用をしていることを証明したものとは認められないことから、本件審判請求の趣旨のとおり、本件商標の登録は取り消されるべきである。以下にその理由を述べる。
(2)使用商標と本件商標の社会通念上同一性について
ア 本件商標は、黒地の横長長方形の枠内を有し、その内部の上段に白抜きで表記されたと思しき図形部分(以下「図形部分」という。)、中段に図形部分と横幅を揃えて水平方向に引かれた白抜きの直線部分(以下「分割線」という。)及び下段に(左から右に順に)「VESSEL」の欧文字を配置した構成からなるものである。
本件商標の構成中、上段の図形部分については、たとえこれが点字であるとしても、我が国一般の国民における点字の普及の程度や理解度を考慮すると、取引者、需要者が、図形部分の点字と思しきものがいかなる文字を表したものであるかを正確に認識、理解することは困難というのが相当であり、図形部分からは特定の称呼、観念が生じないと考えるのが相当である。
一方、本件商標の構成中、下段の「VESSEL」の文字部分は、「船、容器」等の意味合いを有する英語であることから(甲2)、本件商標は、下段の欧文字「VESSEL」に相応して、「ベッセル」の称呼及び「船、容器」の観念が生じるものと認められる。
イ 被請求人が使用を主張する商標は、答弁書において明確に特定がなされていないためその正確な態様は定かではないが、乙第1号証に表された商標(別掲2。以下「使用商標1」という。)は、おおむね、上段に本件商標の構成中の図形部分と同一の点字と思しきものを有し、中段に上段の点字と横幅を揃えて水平方向に引かれた分割線を有し、下段に左から右に順に「L」、「E」、「S」、「S」及び「E」の欧文字をいずれも左右反転させて表記したと思しきものと欧文字「V」を等間隔で横一連に書した構成からなるものである。
使用商標1の構成中、上段の図形部分は、点字と思しきものであって、これより特定の称呼及び観念は生じないものであり、また、下段部分は、その構成文字6文字のうち、5文字が欧文字を左右反転したと思しきものであって、下段全体として特定の文字を表したものと直ちに認識することはできないことから、使用商標1からは、特定の称呼及び観念は生じないと考えるのが相当である。
ウ ここで、答弁書において、被請求人は、使用商標1と本件商標とは同一ではなく、アレンジして使用されており、本件商標と使用商標1との差異は、分割線の下の「VESSEL」文字が左右反転しているか否かの違いのみであり、その他の特徴的な要素は共通すること、特に本件商標の「点字」で記載した「VESSEL」の文字は極めて特徴的な外観を有しており、この特徴的な点字部分を使用商標1も有しており、十分に商標の自他商品識別機能等を発揮できるものであるから、使用商標1と本件商標とは、社会通念上同一と認められる商標に該当する旨主張する。
エ しかしながら、本件商標と使用商標1を対比すると、確かに上段の図形部分と中段の水平方向に伸びた分割線はほぼ同一と認められるが、下段部分が、本件商標は英語の「VESSEL」が表記されているのに対し、使用商標1は、左から右に順に「L」、「E」、「S」、「S」及び「E」の欧文字をいずれも左右反転させて表記したと思しきものと欧文字「V」を配置した構成からなるものであることから、両者は下段部分の外観構成が明らかに相違し、外観上同視できるものとはいえないものである。
また、本件商標からは、「ベッセル」の称呼及び「船、容器」の観念が生じるものであるのに対し、使用商標1からは、上記のとおり特定の称呼及び観念は生じないことから、称呼及び観念についても相違するものである。
以上の点を総合的に勘案すると、本件商標と使用商標1を商標全体として対比した場合、外観、称呼及び観念のいずれの点も顕著に相違するものであり、両商標は、社会通念上同一の商標に該当しないものであると考えるのが相当である。
(3)使用期間、使用商品及び使用場所について
ア 被請求人が本件商標の使用を示す証拠として提出した乙第1号証ないし乙第9号証、乙第12号証及び乙第13号証は、いずれもウェブページの写しであるが、出力(プリントアウト)した日付が記載されておらず、要証期間内に実際に使用商標1が使用されていた事実を立証するものとは認められない。
また、乙第3号証、乙第5号証及び乙第9号証は、ウェブページ内にそれぞれ2023年12月14日、2023年11月1日及び2020年2月6日の日付が記載されているが、いずれも要証期間外である。
イ 乙第2号証及び乙第5号証はインスタグラム、乙第3号証はフェイスブックのウェブページであるが、これらは特定の商標を付した具体的な商品の販売を目的とする広告、宣伝に該当するものとは認められないことから、請求に係る指定商品についての商標の使用を示すものとはいい難い。
乙第4号証は商品「自動車」に使用商標1が付されているものであり、請求に係る指定商品についての使用商標1の使用事実を示す証拠に該当しないことは明らかである。
ウ 乙第3号証ないし乙第5号証及び乙第7号証は、ウェブページを構成する言語が英語であり、日本の一般の取引者、需要者を対象としたウェブページとはいえないことから、日本国内における本件商標の使用を示す証拠に該当するものではないというべきものである。
(4)使用者について
ア 被請求人は、答弁書において、(ア)本件商標「VESSEL」などは、台湾系アメリカ人の俳優、歌手、クリエイターであるヴァネス・ウーが、2017年に立ち上げたブランドであり、そのデザイン性の高さから短期間で莫大な人気を獲得し、「Benz」、「Yohji Yamamoto」、「G-Shock」、「Readymade」などのブランドやデザイナーとのコラボレーションを行ってきた、(イ)日本においては、「Yohji Yamamoto」「Readymade」などとのコラボレーション商品が発売されていると主張し、かかる使用権者による使用商標1の使用を示す証拠として乙第4号証ないし乙第13号証を提出した。
また、被請求人は、商標権者と株式会社ヨウジヤマモト(以下「ヨウジヤマモト社」という。)が使用権契約を結んでいる旨の証拠として製造委託個別契約書及び商品販売に関する契約の写し(乙10)を提出した。
イ 使用権者による使用商標1の使用を示す証拠として提出された乙第4号証ないし乙第13号証のうち、ヨウジヤマモト社に関するものは、乙第6号証ないし乙第11号証であり、その他の乙第4号証、乙第5号証、乙第12号証及び乙第13号証に示す使用については、答弁書において商標の使用者が誰であったか明らかにされておらず、また、商標権者が当該商標の使用者に対し本件商標の使用を許諾している事実も立証されていないため、通常使用権者による本件商標の使用とは認められない。
ウ また、被請求人は、乙第10号証を根拠として、商標権者とヨウジヤマモト社が使用権契約を結んでいる旨主張するが、乙第10号証は「製造委託個別契約書及び商品販売に関する契約の写し」であり、当該契約書内に商標権者がヨウジヤマモト社に対し、本件商標の使用について通常使用権を許諾する旨の条項は一切含まれていないことから(乙10)、ヨウジヤマモト社が要証期間内に日本国内での本件商標の通常使用権者であったとの事実を認めることはできない。
(5)まとめ
上記のとおり、被請求人が提出した証拠によっては、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、要証期間に請求に係る指定商品について、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の商標法第2条第3項各号にいう使用があったことを認めるに足る事実を見いだすことはできない。
第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする旨の審決を求め、答弁書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第13号証を提出した。
なお、審判長は、被請求人に対し、令和6年6月26日付けで、合議体の暫定的見解を示した審尋を送付し、相当の期間を指定して、当該審尋に対する回答を求めたが、被請求人は、何ら応答していない。
1 答弁の理由
(1)本件商標の構成について
本件商標は、触って読む文字、いわゆる「点字」で表したVESSELの文字の下に、大文字英語アルファベットで表したVESSELの文字を表記した図形商標である。
具体的には、本件商標は全体において白色と黒色の二色のみから構成され、形状としては長方形となっており、黒色の長方形の背景の中に反転色である白色を用いて真ん中に分割線を設け、分割線の上には白色の点字でアルファベットの「VESSEL」を配置し、分割線の下にはやや扁平な書体で大文字英語アルファベット「VESSEL」が配置されている。
(2)本件商標の使用形態について
本件商標は、実際に使用される際に登録されている商標と全く同一のものを使用しておらず、アレンジして使用している。
具体的には、全体において白色と黒色の二色のみから構成され、形状としては長方形となっており、黒色の長方形の背景の中に反転色である白色を用いて真ん中に分割線を設け、分割線の上には白色の点字でアルファベットの「VESSEL」を配置し、分割線の下にはやや扁平な書体で大文字英語アルファベット「VESSEL」を左右反転して配置している(別掲3。以下「使用商標2」という。)。
本件商標と、使用商標2との差異は、分割線の下の文字を左右反転しているか否かの違いのみであり、「白色と黒色の二色のみから構成」「商標全体が長方形」「背景の反転色を用いて真ん中に分割線を設け」「分割線の上に白色の点字からなるVESSELを配置」「分割線の下に扁平な書体のVESSELの文字を配置」という本件商標の特徴的な要素はいずれも共通する。
特に、本件商標の「点字」で記載した「VESSEL」の文字は極めて特徴的な外観を有しており、後述するように、様々なブランドやアーティストからの賛同を得てコラボレーションをしているものであって、この特徴的な点字の「VESSEL」は使用態様と同一のものであり、本件商標に係るアパレル関連商品分野の需要者はもとより一般需要者でさえも、商標権者が実際に使用している図形は、本件商標と同視できるものであり、十分に商標の自他商品識別機能、出所表示機能、品質保証機能を発揮できるものであって、社会通念上同一と認められる商標に該当するものである。
(3)本件商標の商標権者による使用について
商標権者が、本件商標に対して、以下のウェブサイト及びソーシャルメディアにおいて上記の本件商標と社会通念上同一な商標を使用している証拠を示す。
ア 公式ホームページ(乙1)
イ Instagram(乙2)
ウ Facebook(乙3)
(4)本件商標の使用権者による使用について
ア 本件商標「VESSEL」及び他の文字商標「VESSEL(登録第6369180号商標)」、「XVESSEL(登録第6218477号商標)」などは、台湾系アメリカ人の俳優、歌手、クリエイターであるヴァネス・ウーが、2017年に立ち上げたブランドであり、そのデザイン性の高さから短期間で莫大な人気を獲得し、「Benz」、「Yohji Yamamoto」、「G-Shock」、「Readymade」などのブランドやデザイナーとのコラボレーションを行ってきた。
(ア)xVESSEL x Mercedes-Benz AMG(乙4)
(イ)G-SHOCK 40th Anniversary(乙5)
イ なお、日本においては、「Yohji Yamamoto」「Readymade」などとのコラボレーション商品が発売されている。
(ア)Y’s|xVessel THE SHOP YOHJIYAMAMOTO(乙6)
(イ)yohjiyamamotoofficial Instagram(乙7)
(ウ)Yohji Yamamoto × XVESSEL(乙8)
(エ)YOHJI YAMAMOTO × XVESSEL High & Low Sneaker RELEASE START!!!(乙9)
ウ ヨウジヤマモト社と使用権契約を結んでいる旨の証拠である、製造委託個別契約書及び商品販売に関する契約の写し(乙10)に記載されているように、本件契約は、甲である「ヨウジヤマモト社」と、乙である「Beijing Aifuyile Trading Co.,Ltd.」との契約である。
また、「Beijing Aifuyile Trading Co.,Ltd.」は本件商標の権利者「北京艾夫邑楽商貿有限公司」の英語表記であって、かつxVESSEL Official Website(乙11)の同ブランドの英語版ホームページには権利者の情報が記載されている。
エ その他、日本において上記以外の本件商標のコラボレーション状況を紹介する記事の証拠を示す。
(ア)機動戦士ガンダムを河村康輔によるコラージュで国内外著名4ブランドから発売(乙12)
(イ)FORSOMEONE GUNDAM xVESSEL G.O.P LOWS(乙13)
2 まとめ
上記の証拠により、本件商標の商標権者及び通常使用権者は、継続して3年以上日本国内において、請求に係る指定商品について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていることが明白であり、商標法第50条第1項の規定に該当しない。
第4 当審の判断
1 被請求人の立証責任
商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、請求に係る指定商品のいずれかについて登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
すなわち、本件商標の使用をしていることを証明するには、商標法第50条第2項に規定されているとおり、被請求人は、要証期間に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、請求に係る指定商品のいずれかについて、本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の使用(商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する使用行為)をしていることを全て証明する必要がある。
2 事実認定
(1)被請求人の提出した乙各号証によれば、以下の事実が確認できる。
ア 乙第1号証について
乙第1号証は、被請求人が、本件商標の公式ホームページと主張するものであり、1葉目及び2葉目に、それぞれウェブページの内容が提示されている。
そして、1葉目において、上部のURLの表示欄に「https://www.xvessel.jp」の記載、その下に、使用商標1の表示があり、その下に、スニーカーを履いた人物の写真に重ねて、使用商標2(黒色の長方形に内包された部分のみ。以下同様に、これも含めて「使用商標2」という。)の表示がある。
また、2葉目において、上部のURLの表示欄に「https://www.xvessel.jp/shoes/jn05bxc3.html」の記載、その下に、使用商標1の表示、その下に、「ホーム スニーカー xVESSEL G.O.P Lows Black メンズ レディースブラック」の記載があり、その下に、かかと付近に使用商標2の表示があるスニーカーの写真が掲載され、その右上に、「xVESSEL G.O.P Lows Black メンズ レディースブラック」の記載、その下に、「¥24,590 税込」の記載がある。
しかしながら、本号証において、当該ウェブサイトの開設者が特定できる内容は存在せず、2葉目のウェブページの公開時期が特定できる内容も存在しない。
イ 乙第2号証について
乙第2号証は、被請求人が、本件商標のインスタグラムと主張するものであり、左上に「Instagram」すなわちSNSの名称の記載、その下に、使用商標2の表示、その右に「xvessel_official」の記載、下部に、スニーカーを撮影したもの等の複数の写真が左右に並べて掲載されている。
しかしながら、本号証において、当該SNSのアカウントの所有者や公開時期が特定できる内容は存在せず、商品に関する広告を目的としていることが理解できる内容も存在しない。
ウ 乙第3号証について
乙第3号証は、被請求人が、本件商標のFacebookと主張するものであり、左上に「facebook」すなわちSNSの名称の記載、その下に、炎に包まれたスニーカーの写真、その右上に、使用商標2の表示、その左下に「xVESSEL」の記載、その下に、「自己紹介」の記載、その下に、「Official xVESSEL FB Page」の記載、その右に、「xVESSEL」の記載、その下に、「2023年12月14日」の記載がある。
しかしながら、本号証の内容が要証期間に公開されたことは確認できず、また、本号証において、当該SNSのアカウントの所有者が特定できる内容は存在せず、商品に関する広告を目的としていることが理解できる内容も存在しない。
エ 乙第4号証について
乙第4号証は、動画投稿サイトの動画の再生画面であり、1葉目において、当該動画の再生開始から52秒経過後に、灰色のボディを背景として使用商標2が表示された自動車が映っており、2葉目において、当該動画の再生開始から59秒経過後に、上記ボディとおおむね同色の領域を背景として使用商標2が映っており、1葉目及び2葉目に共通して、再生画像の左下に「xVESSEL」の記載があり、その下に、「131回視聴 1年前」の記載がある。
しかしながら、当該動画が要証期間に公開されたことは確認できず、また、本号証において、当該動画の投稿者が特定できる内容は存在せず、商品に関する広告を目的としていることが理解できる内容も存在しない。
オ 乙第5号証について
乙第5号証は、被請求人が、本件商標とG-SHOCKとのコラボレーションの宣伝写真と主張するものであり、左上に「Instagram」、すなわちSNSの名称の記載があり、その下に、腕時計を着用した人物の写真が掲載され、当該人物の上における当該写真の黒色の領域を背景として、使用商標2の表示及び「G-SHOCK」の記載があり、当該写真の右上に、「xvessel_official」の記載、同右下に、「2023年11月1日」の記載がある。
しかしながら、本号証の内容が要証期間に公開されたことは確認できず、また、本号証において、当該SNSへの投稿者が特定できる内容は存在せず、商品に関する広告を目的としていることが理解できる内容も存在しない。
カ 乙第6号証について
乙第6号証は、被請求人が、Yohji Yamamotoの公式オンラインショップと主張するものであり、1葉目において、スニーカーを履いた人物の足下の写真が掲載され、当該写真の中央付近の暗色の領域を背景として、使用商標2の表示があり、2葉目において、スニーカーの写真が掲載され、その右に、「Y’s × xVessel HIGH-CUT SNEAKERS」の記載、その下に「Special price ¥33,000(税込)」の記載があり、3葉目において、2葉目の上記写真を拡大したものに相当するスニーカーの写真があり、当該写真から、スニーカーのかかと付近に使用商標2の表示があることが見て取れる。
また、1葉目及び2葉目に共通して、上部に「THE SHOP」の記載、その下に「YOHJI YAMAMOTO」の記載がある。
しかしながら、本号証において、当該オンラインショップに係るウェブページの公開時期が特定できる内容は存在しない。
キ 乙第7号証について
乙第7号証は、被請求人が、Yohji Yamamotoの公式Instagramと主張するものであり、左上に、「Instagram」の記載があり、その下に、スニーカーを履いた人物の足下の写真が掲載され、当該写真の右上に、「yohjiyamamotoofficial」の記載、同右下に、「2022年2月6日」の記載がある。
また、上記写真におけるスニーカーのかかと付近には、不鮮明かつ一部が視認できないものの、使用商標2と思われる表示があることが見て取れる。
しかしながら、本号証において、当該スニーカーが商品として販売されていることが特定できる内容は存在しない。
ク 乙第8号証について
乙第8号証は、被請求人が、Yohji Yamamotoとのコラボレーション商品のオンラインショップと主張するものであり、1葉目において、スニーカーの写真が掲載され、その右に、「yohji yamamoto」の記載、その下に「¥42,900 税込」の記載があり、2葉目において、1葉目の上記写真を拡大したものに相当するスニーカーの写真が掲載され、当該写真から、スニーカーのかかと付近に使用商標2の表示があることが見て取れる。
しかしながら、本号証において、当該ウェブサイトの開設者が特定できる内容は存在せず、当該オンラインショップに係るウェブページの公開時期が特定できる内容も存在しない。
ケ 乙第9号証について
乙第9号証は、被請求人が、Yohji Yamamotoとのコラボレーション商品を紹介するウェブサイトと主張するものであり、1葉目において、スニーカーの写真が掲載され、その上に、「Feb.06.2020」、「YOHJI YAMAMOTO × XVESSEL High & Low Sneaker RELEASE START!!!」、及び「YOHJI YAMAMOTOと台湾の俳優・歌手 ヴァネス・ウーによるブランド「Xヴェセル(XVESSEL)」とコラボレーションしたスニーカーが本日より発売開始!!」の各記載があり、2葉目において、1葉目の上記写真を拡大したものに相当するスニーカーの写真が掲載され、当該写真から、スニーカーのかかと付近に使用商標2の表示があることが見て取れる。
しかしながら、本号証において、当該ウェブサイトの開設者が特定できる内容は存在しない。
コ 乙第10号証について
乙第10号証は、表題を「製造委託個別契約書及び商品販売に関する契約」とする書類(以下「契約書」という。)であり、1葉目において、その表題の記載の下に、「株式会社ヨウジヤマモト(以下「甲」といいます)と、株式会社ブラザーフッド・コーポレーション(以下「ブラザーフッド」といいます)及びBeijing Aifuyile Trading Co.,Ltd.(以下「Beijing Aifuyile」といい、ブラザーフッド及びBeijing Aifuyileを総称して「乙」といいます)は、甲乙間の製造委託基本契約書(以下「本基本契約」といいます)に基づき、以下のとおり契約(以下「本個別契約」といいます)を締結します。」の記載があり、2葉目において、「第3条(乙による商品販売)」の項目「1.」に、「甲は、甲の商標権その他の知的財産権を含む甲の権利、ブランド及び名声を維持する目的のもと、甲の商品をお客様に販売する小売店(甲にとっては卸売先)との間で必要な条項を定めることで、販売場所及び販売方法等の情報を把握し、ブランド価値の維持に努めています。」の記載があり、3葉目において、同じく項目「4.」に、「乙は、本商品の販売を行うにあたり、甲の商標権その他の知的財産権を含む甲の権利、ブランド及び名声を侵害しない方法によらなくてはなりません。」の記載がある。
しかしながら、契約書には、本件商標についての記載は存在しない。
サ 乙第11号証について
乙第11号証は、被請求人が、本件商標の情報が記載されたホームページと主張するものであり、上部のURLの表示欄に「https://www.xvessel.co」の記載、下部に、「○C 2024 xVESSEL Universal. All rights reserved.」(審決注:「○C」は「○」の中に「C」を表示した記号を表す。)の記載及び商標権者の社名の記載がある。
シ 乙第12号証について
乙第12号証は、被請求人が、日本における本件商標の他のコラボレーション状況を紹介する記事と主張するものであり、左上に、「HIGHSNOBIETY JAPAN」の記載、その下に、「機動戦士ガンダムを河村康輔によるコラージュで 国内外著名4ブランドから発売」の記載、その下に、「By HighsnobietyJapan in style 2021年2月28日」の記載、その下に、「「READYMADE(レディメイド)」「xVESSEL(ヴェセル)」「POGGYTHEMAN(ポギーザマン)」「FORSOMEONE(フォーサムワン)」ら国内外の4ブランドから、アニメ「機動戦士ガンダム」とコラージュアーティスト河村康輔とのコラボレーションアイテムが発売される。」の記載がある。
ス 乙第13号証について
乙第13号証は、被請求人が、日本における本件商標の他のコラボレーション状況を紹介する記事と主張するものであり、1葉目において、上から見たスニーカーの写真、2葉目において、かかとから見たスニーカーの写真がそれぞれ掲載され、両者に共通して、写真の右に「FORSOMEONE GUNDAM xVESSEL G.O.P LOWS ¥44,000」の記載がある。
(2)上記(1)によれば、次の事実を認めることができる。
ア 乙第1号証によれば、かかと付近に使用商標2の表示がある商品「スニーカー」に関する、当該商品の写真が掲載されかつ使用商標1が表示された広告を内容とするウェブページが、オンラインショップに係るウェブサイトにおいて公開されたことは認められる。
しかしながら、当該ウェブサイトの開設者を特定することはできず、また、当該広告が要証期間に公開されたことは確認できない。
イ 乙第6号証によれば、かかと付近に使用商標2の表示がある商品「スニーカー」に関する、当該商品の写真が掲載されかつ使用商標2が表示された広告を内容とするウェブページが、「Yohji Yamamoto」のオンラインショップに係るウェブサイトにおいて公開されたことは認められる。
しかしながら、当該広告が要証期間に公開されたことは確認できない。
ウ 乙第8号証によれば、「Yohji Yamamoto」が関与した商品であって、かかと付近に使用商標2の表示がある商品「スニーカー」に関する、当該商品の写真が掲載された広告を内容とするウェブページが、オンラインショップに係るウェブサイトにおいて公開されたことは認められる。
しかしながら、当該ウェブサイトの開設者を特定することはできず、また、当該広告が要証期間に公開されたことは確認できない。
エ 乙第9号証によれば、「Yohji Yamamoto」が関与した商品であって、かかと付近に使用商標2の表示がある商品「スニーカー」に関する、当該商品の写真が掲載された広告を内容とするウェブページが、商品紹介に係るウェブサイトにおいて、要証期間前の2020年2月6日に公開されたことは認められる。
しかしながら、当該ウェブサイトの開設者を特定することはできず、また、当該広告が要証期間に公開されていたことは確認できない。
オ 上記イないしエに関して、「Yohji Yamamoto」が本件商標の使用の許諾を受けた者であることは確認できない。
仮に、「Yohji Yamamoto」が契約書(乙10)に記載の「株式会社ヨウジヤマモト」を指しているとしても、本件商標についての記載が何ら存在しない契約書によって、当該商標の使用許諾があったとの事実関係が確認できるものではない。
3 判断
上記2の事実認定からすれば、次のとおり判断できる。
(1)上記2(2)アないしエのとおり、かかと付近に使用商標2が表示された商品「スニーカー」に関する広告を内容とするウェブページが、オンラインショップ等の種々のウェブサイトにおいて公開されたことが認められ、さらに、一部のウェブページにおいては使用商標1も表示されている。
そして、商品「スニーカー」は、請求に係る指定商品中の「運動靴」に該当する商品である。
(2)しかしながら、上記いずれかのウェブページを公開した者が、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかであるとは認められない。
(3)また、それらのいずれかが、要証期間に公開されたとも認められない。
(4)さらに、使用商標1及び使用商標2はいずれも、以下の理由により本件商標と社会通念上同一の商標とは認められない。
本件商標と使用商標2を比較すると、本件商標の構成中、図形部分及び分割線については、使用商標2において、それぞれ同一のものが存在している一方、「VESSEL」の文字部分については、使用商標2において、本件商標の「V」ないし「L」の各欧文字がそれぞれ反転されたものが用いられおり、当該文字部分の外観上の印象は著しく異なるものである。
また、使用商標2において、「VESSEL」の文字が、その並び順を含めて全体的に反転されているのか、あるいは、「LESSEV」が、その並び順が維持されて文字単位で反転されているのか、にわかには判断がつきかねることに加え、「vessel」が「船、容器」等を意味する英語であり、かつ、図形部分が「vessel」を点字で表したものであることは、使用商標2の文字部分に接する商品の取引者、需要者が直ちに「VESSEL」が反転されたものと認識することを認めるに十分な事情であるとはいえない。
そうすると、使用商標2において、文字部分に関して本件商標と同一の称呼及び観念を生ずるものとはいえない。
よって、使用商標2は、本件商標と社会通念上同一の商標であるとは認められない。
また、使用商標1は、使用商標2の白黒を反転したものであるから、上記使用商標2に係る判断と同様の理由、すなわち、文字部分の外観上の印象は著しく異なること及び文字部分に関して本件商標と同一の称呼及び観念を生ずるものとはいえないことにより、本件商標と社会通念上同一の商標であるとは認められない。
(5)以上から、被請求人は、要証期間に商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、請求に係る指定商品のいずれかに関する広告を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する、商標法第2条第3項第8号に該当する使用行為を行ったことを証明したものとは認められない。
(6)また、その他、被請求人が提出した証拠からは、被請求人が、要証期間に商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、請求に係る指定商品のいずれかについて、商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する本件商標の使用行為を行ったことを証明したものとは認められない。
4 まとめ
以上のとおり、被請求人が提出した証拠によっては、被請求人は、要証期間に、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)を、請求に係る指定商品のいずれかについて、商標法第2条第3号各号の使用行為を行ったことを証明していない。
また、被請求人は、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしていない。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その指定商品中「結論掲記の指定商品」についての登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-300674