商標取消審判
2023-300654
ホーライエン
- 審判番号
- 2023-300654
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2016-048189
- 登録番号
- 5925076
- 請求日
- 2023年09月11日
- 審決日
- 2024年06月04日
- 公報発行日
- 2024年11月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】蓬莱閣景区管理服務中心
- 【請求人代理人】SK弁理士法人
- 【請求人代理人】奥野 彰彦
- 【請求人代理人】伊藤 寛之
- 【被請求人】藤田観光 株式会社
- 【被請求人代理人】井上 春季
- 審判長/審判官
- 審判長 旦 克昌
- 審判官 小林 裕子
- 審判官 相崎 裕恒
- 分類
- T132 .1 -Y (W41)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条第1項、商標法第2条第3項第8号、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第5925076号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第5925076号商標(以下「本件商標」という。)は、「蓬莱園」の文字を標準文字で表してなり、平成28年4月28日に登録出願され、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,植物の供覧,動物の供覧,庭園の供覧,洞窟の供覧,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),娯楽施設の提供,娯楽施設の提供に関する情報の提供,写真の撮影」(以下「請求に係る指定役務」という。)を含む第41類並びに第43類、第44類及び第45類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として、同29年2月24日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和5年10月6日であり、その請求の登録前3年以内の同2年10月6日から同5年10月5日までの期間を以下「要証期間」という。
第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定役務中、請求に係る指定役務についての商標登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出している。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務中、請求に係る指定役務について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
請求人は、答弁に対し弁駁していない。
第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第8号証(枝番を含む。)を提出している。
1 本件商標権者は、国内外において幅広い事業を展開する企業であり、その中でも神奈川県足柄下群箱根町小涌谷エリア(「箱根小涌園」)で展開するホテル・旅館・飲食店・レジャー施設等は特に有名である。
本件商標権者は、上記エリア内において、本件商標を使用して「庭園の供覧」を行っており、庭園の入り口等には、本件商標である「蓬莱園」の文字が表示された看板が複数設置されている(乙1等)。この庭園は、箱根の人気観光スポットの一つとして好評を博しており、庭園の名称である「蓬莱園」は、箱根登山バス等の停留所にもなっている。
箱根の観光情報サイト「箱根ナビ」において、令和4(2022)年11月14日付けで「蓬莱園」が紹介され(乙3)、令和3(2021)年1月12日付の特集のおすすめスポット50選の一つとして「蓬莱園」が選ばれている(乙3の2)。
「箱根の観光情報 はこねの手引き 令和4年(2022年)」(乙4)によれば、「観光施設」の「公園」のカテゴリーにおいて、「蓬莱園」の名称とその管理者である本件商標権者の記載がある。
「はこね文化財ぶらりMAP」(乙5)によれば、「蓬莱園」の看板と庭園の写真が掲載され、「現在は藤田観光が所有しています。」と記載されている。
「るるぶ箱根’24最新版」(2023年6月1日発行)においても、「箱根小涌園 蓬莱園」が紹介されており、庭園の写真も掲載されている。
2 本件商標権者のホームページの令和5(2023)年7月14日付のニュースリリース(乙2)、「FUJITA KANKO BLOG」(乙3)には、「蓬莱園」についての記載(紹介)がある。
3 本件商標権者が運営する箱根小涌園の総合パンフレット(乙6)によれば、本件商標権者が箱根で行っているサービス全般が写真付きで掲載されており、その中に「箱根小涌園 蓬莱園」として「庭園の供覧」を行っていることが記載されている。当該パンフレットは、被請求人から依頼を受けた有限会社ネージュデザインが、令和5(2023)年1月から9月にかけて6回にわたり合計約20,000部を作成したものであり(乙6の2)、そのうち一部については、同年6月8日からJTBテラスモール湘南店等で展示・頒布されている。
また、本件商標権者が運営する旅館のパンフレット(乙7)にも、本件商標権者が「箱根小涌園 蓬莱園」として「庭園の供覧」を行っていることが記載されている。
第4 当審の判断
1 被請求人が提出した証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)「箱根の観光情報 はこねの手引き 令和4年(2022年)」(乙4)は、箱根町によって、箱根を訪れる観光客をガイドする資料として編集され、令和4年11月に発行されたものである。そして、その「C.観光施設」の「4.公園」のページにおいて、「蓬莱園」について、その所在地が「小涌谷」である旨、その展示物の概要が「大正のはじめに開かれた16,000m2の庭園。数十種3万株のつつじやさつき、アジサイ・紅葉などがあり四季を通じて散策できる。」である旨、「交通の便・その他」が「小田原駅から「箱根町」行バス40分「蓬莱園」下車」である旨、及び、この「蓬莱園」の管理者が本件商標権者と「箱根小涌園」である旨が記載されている。
(2)小田急箱根ホールディングス株式会社による「箱根ナビ」のホームページ(乙3、乙3の2)において、2021年1月12日付けで「箱根観光の見どころが一目でわかる!おすすめスポット50選【2021年最新】」と題する特集記事が掲載されている。そして、そのうちの「寺社・公園・自然」のカテゴリーのスポットの一つとして、「箱根小涌園 蓬莱園」の紹介記事が掲載されている。その紹介記事においては、「箱根小涌園 蓬莱園」が小涌谷温泉が配給される「三河屋旅館」に隣接する庭園である旨等が説明されており、さらに、別掲1の看板(以下「本件看板」という。)の写真が掲載されており、本件看板に「箱根小涌園」「蓬莱園」等の文字が表示されている様子が示されている。
(3)「HAKONE KOWAKIEN 箱根小涌園」というタイトルのパンフレット(乙6。以下「本件パンフレット」という。)は、その表紙にタイトルとともに「FUJITA KANKO」の欧文字が表示されたものである。そして、その次のページには、「大正からの長い歴史を紡ぐ『箱根小涌園』」、「「温泉」・「食事」・「遊び」・「宿泊」すべてが体験できる新しい一体型リゾートとして、皆様をお待ちしております。」との記載があり、さらに、一体型リゾート全体が示された絵の中に、宿泊施設である「箱根ホテル 小涌園」、「箱根小涌園 三河屋旅館」等とともに、「箱根小涌園 蓬莱園」の場所が示されている。さらに、他のページには、別掲2(1)のとおり「箱根小涌園 蓬莱園」の文字が表示された欄があり、そこでは、「四季折々の景色を楽しめる自然豊かな庭園」である旨の記載とともに、別掲2(2)の写真が示されている。この写真は、看板の表示や周囲の植物等からみて、本件看板を撮影したものであると認められる。
(4)本件パンフレットは、本件商標権者が有限会社ネージュデザインに依頼して作成されたものであり、同社は、令和5年1月から9月にかけて6回にわたり合計約20,000部を作成しており(乙6の2)、本件商標権者は、同社より6回にわたってこの納品を受けた。さらに、少なくとも、そのうちの最後の回である6回目の作成及び納品の時点で、それ以前の5回の納品分がまったく頒布されておらずに在庫として残存していたとは考え難く、少なくとも所定の部数が6回目の作成及び納品以前に頒布されたとみられることから、令和5年1月から9月の間に、本件商標権者は、本件パンフレットを旅行会社等に展示し頒布したものと推認できる。
この点、被請求人は、本件パンフレットが令和5年6月からJTBテラスモール湘南店等で展示・頒布されている旨を主張しており、この主張を疑う理由も見当たらない。
2 上記1において認定した事実によれば、以下のとおり判断できる。
(1)使用商標について
本件商標は、標準文字の「蓬莱園」の文字からなるものである。これに対し、上記1の本件看板には、「蓬莱園」の文字(以下「使用商標1」という。)が表示されており、本件商標と使用商標1は、書体が異なるものの、同じ構成の文字からなるものである。また、上記1の本件パンフレットには、本件看板の写真のみならず、「箱根小涌園 蓬莱園」の文字が記載されている。ここでは、「蓬莱園」が本件パンフレットのタイトルでもある「箱根小涌園」という一体型リゾートの全体の中に位置づけられていることを示すとともに、「蓬莱園」の文字(以下「使用商標2」という。)が、「一体型リゾート」である「箱根小涌園」における「蓬莱園」に係る役務の提供を示すものとなっている。本件商標と使用商標2も、書体が異なるものの、同じ構成の文字からなるものである。
以上によれば、使用商標1及び使用商標2は、いずれも、本件商標の書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標であり、本件商標と社会通念上同一のものである。
(2)使用者について
上記1(4)のとおり、本件パンフレットは、本件商標権者の依頼により作成されたものであり、本件パンフレットを作成して頒布した者は、本件商標権者であるといえる。そして、上記1(1)によれば、箱根町の小涌谷に所在する「蓬莱園」という名称の庭園の管理者は、本件商標権者であるとともに「箱根小涌園」であるとされているところ、上記1(3)の本件パンフレットの表紙と次のページの記載は、全体として本件商標権者が「箱根小涌園」という一体型リゾートを運営し提供していること、「蓬莱園」がその一体型リゾートの中に位置づけられたものであることを示すものであるといえる。
これらを踏まえれば、本件商標権者と「箱根小涌園」が庭園の管理者である旨の記載は、本件商標権者が自身の一体型リゾートである「箱根小涌園」の一環として「蓬莱園」を管理していることを示していることが明らかであり、本件看板は、「蓬莱園」の管理者である本件商標権者の設置及び管理に係るものであることが明らかである。また、本件パンフレットについても、本件パンフレットに本件看板の写真を示し、また、使用商標2を含む「箱根小涌園 蓬莱園」の文字を表示したのは、本件パンフレットの作成を依頼し、本件パンフレットに一体型リゾートを運営し提供する者であることが示されている本件商標権者であることが明らかである。
これらを踏まえれば、使用商標1及び使用商標2の使用者は、本件商標権者である。
(3)使用役務について
上記1(1)ないし(3)からみて、使用商標1及び使用商標2が示す「蓬莱園」は「庭園」であり、使用商標1及び使用商標2が「庭園の供覧」の役務に関して使用されていることは明らかである。
よって、使用役務は、請求に係る指定役務である「庭園の供覧」である。
(4)使用時期及び使用場所について
上記1(2)のとおり、2021年(令和3年)1月12日掲載の特集記事における紹介記事において、本件看板を撮影した写真が掲載されている。また、上記1(3)のとおり、令和5年1月から9月にかけて作成された本件パンフレットにも本件看板を撮影した写真が示されている。これらを踏まえれば、令和3年から令和5年にかけて使用商標1を表示した本件看板が箱根町の小涌谷にある庭園に設置されて展示されていたことが明らかである。
また、上記1(4)のとおり、本件商標権者は、令和5年1月から9月の間に、6回にわたって使用商標1及び使用商標2を表示した本件パンフレットの納品を受けたことが明らかであり、少なくとも、そのうちの最後の回を除く5回分として納品されたもののうちの所定の部数については、令和5年1月から9月の間に、日本国内の旅行会社等に展示し頒布したものと推認できる。
以上によれば、使用商標1及び使用商標2のいずれについても、日本国内で要証期間内に使用されたものといえる。
(5)使用行為について
使用商標1を表示する本件看板及び使用商標1及び使用商標2を表示する本件パンフレットは、いずれも、請求に係る指定役務である「庭園の供覧」に関する広告に該当する。してみると、本件商標権者は、要証期間内に日本国内において、請求に係る指定役務に関する広告である本件看板に本件商標と社会通念上同一の商標である使用商標1を付して展示する行為を行い、また、請求に係る指定役務に関する広告である本件パンフレットに本件商標と社会通念上同一の商標である使用商標1及び使用商標2を付して展示し頒布する行為を行ったものといえ、これらの行為は、いずれも、商標法第2条第3項第8号の使用行為に該当する。
3 以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者が請求に係る指定役務について本件商標(社会通念上同一の商標を含む。)を使用していたことを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2023-300654