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商標取消審判

2023-300504

ピープルアナリティクス、ピープル、アナリティクス

審判番号
2023-300504
法域
商標
審判種別
取消審判(商標取消の審決)
出願番号
商願2017-090128
登録番号
6027710
請求日
2023年07月18日
審決日
2024年07月24日
公報発行日
2024年10月25日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【請求人】ソサイエティ・フォー・ヒューマン・リソース・マネージメント
  • 【請求人代理人】弁理士法人R&C
  • 【被請求人】Institution for a Global Society 株式会社
  • 【被請求人代理人】デロイトトーマツ弁理士法人
審判長/審判官
  • 審判長 大橋 良成
  • 審判官 大島 康浩
  • 審判官 小林 裕子
分類
T132 .1 -Z (W41)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法50条1項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第50条第1項、商標法第38条第5項、商標法第2条第3項第8号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の登録第6027710号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 登録第6027710号商標の指定役務中、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,財務管理及び事業評価の分野における教育・訓練,試験の採点・集計及び評価,教育テストの分析・診断に基づいた助言及び指導,セミナーの企画・運営又は開催」についての商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6027710号商標(以下「本件商標」という。)は、「People Analytics」の文字を標準文字で表してなり、平成29年7月4日に登録出願、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,財務管理及び事業評価の分野における教育・訓練,試験の採点・集計及び評価,教育テストの分析・診断に基づいた助言及び指導,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,書籍の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。)」を指定役務として、同30年3月16日に設定登録されたものである。 そして、本件審判の請求の登録日は、令和5年7月31日である。 なお、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である令和2年7月31日から同5年7月30日までを、以下「要証期間」という。 第2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書及び審判事件弁駁書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第23号証を提出した。 1 請求の理由 本件商標は、その指定役務中、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,財務管理及び事業評価の分野における教育・訓練,試験の採点・集計及び評価,教育テストの分析・診断に基づいた助言及び指導,セミナーの企画・運営又は開催」(以下「請求に係る指定役務」という。)について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 2 答弁に対する弁駁 被請求人は、乙第1号証及び乙第2号証をもって、要証期間内に本件商標を請求に係る指定役務について使用したと主張する。しかしながら、以下に述べるとおり、乙第1号証及び乙第2号証は、いずれも要証期間内に本件商標を請求に係る指定役務について使用されたことを証明する証拠とはなり得ないものである。 (1)前提事実について 本件商標は欧文字「People Analytics」を標準文字にて書してなる商標であり、我が国においては「ピープルアナリティクス」と読むのが自然である。そして、「ピープルアナリティクス」の語は、社員・従業員等の人事関連データの収集・分析、そして、その分析結果を従業員の採用・評価・教育等の人事の領域において活用する手法を指す言葉であり、例えば、我が国において下記のように紹介されている。 ア ピープル・アナリティクスとは、社員や組織のデータを分析した結果を活用し、組織づくりや社員の採用、配置、育成、評価、モチベーション維持などの取り組みの質を高めていく取り組みのことである(甲3)。 イ ピープルアナリティクスとは、「人の分析」であり、個人のスキルや志向性をデータ化し、また企業としてもどのような人材をどの部署が必要としているのかをAI等で分析し、人事管理を最適化する方法である(甲4)。 その他、「ピープルアナリティクス」の語が、上記意味合いを持つものとして、我が国において広く使用されていることが甲第5号証ないし甲第17号証にて確認でき、さらに、「ピープルアナリティクス」の語が、その役務の質(内容)を表すものとして使用されている事例が、以下のとおり確認できる。 ウ CODE.SCOREは、ITエンジニアの実務スキルを信頼性の高い試験によって統計的に定量化し、企業が保有する人事データと掛け合わせ、解析することによって、採用、最適配置、社員の能力開発、評価等の課題解決や効率化の実現につなげるピ一プルアナリティクスサービス(甲18)。 エ テンプホールディングス ピープルアナリティクスサービスを提供するhiQ Labs,INC.へ出資(甲19)。 オ ウェアラブルセンサーを活用したピープル・アナリティクスサービスを提供しているHumanyze社CEOのBen Waber氏に聞きました(甲20)。 カ Percolataは、小売店舗で働く人の人事情報やパフォーマンスなどのデータから、最適なシフトを予測し売り上げに貢献する、小売店舗向けのピープルアナリティクスサービスを提供しています(甲21)。 以上より、「ピープルアナリティクス」の語が、社員・従業員等の人事関連データの収集・分析、また、その分析結果を従業員の採用・評価・教育等の人事の領域において活用する手法を指す言葉として、我が国において特定の語義を有するものと定義付けられていること、「ピープルアナリティクス」の語が、役務の質(内容)を表すものとして一般的に使用されていることは明らかである。 以上を前提に、被請求人の主張・証拠について検討する。 (2)乙第1号証について 被請求人は、第41類「セミナーの企画・運営又は開催」について、2019年8月8日以来現在に至るまで被請求人のウェブサイト(https://i-globalsociety.com/news/180707)において本件商標を使用していると主張し、その証拠として、セミナー開催(2019年9月2日、3日もしくは9月4日~6日開催)についての2019年8月8日付のプレスリリース(乙1)を提出しているが、当該URLヘアクセスしたところ、乙第1号証の存在は確認できなかった(甲22)。 仮に、被請求人が主張するとおり、乙第1号証に記載のセミナーにおいて本件商標を使用し、かつ、役務を提供していたとしても、当該セミナーの開催日である2019年9月2日から9月6日は要証期間外であり、また、仮に乙第1号証が被請求人のウェブサイトに現在掲載されていたとしても、それは単に過去の事例を紹介しているだけにすぎず、本件商標が要証期間内に使用されたことを証明するものではない。さらに、乙第1号証内における「ピープルアナリティクス」(PeopleAnalytics)の語の使用例をみると、以下のように使用されていることが確認できる。 ア 「ケンブリッジ大学とIGSがビッグデータと機械学習を人事に活用するピープルアナリティクスセミナーを開催」との見出しがある。 イ 「『ピープルアナリティクスセミナー』第2弾を開催いたします。」との記載がある。 ウ 「人事戦略や戦術を中心に学ぶ2日コース『ピープルアナリティクス戦略セミナー』と、人事データ分析の手法を3日間で習得を目指す『ピープルアナリティクスデータサイエンス/機械学習セミナー』の2つに分割して実施します。」との記載がある。 エ 受講修了書のサンプルヘの「People Analytics Strategy Seminar」の文字の記載がある。 オ 「ケンブリッジ大学サイコメトリックスセンターが実施するピープルアナリティクスセミナーは、Industry4.0時代に対応するべく、・・・」との記載がある。 カ 「参加者の声」として「講演者のピーター・ロメロ氏のピープルアナリティクスに関するデータの専門知識が非常に高い」との記載がある。 キ 「参加者の声」として「ピープルアナリティクスの導入方法(失敗例やプロジェクトの勧め方)について具体的に理解できた。」との記載がある。 ク <ピープルアナリティクスデータサイエンス/機械学習セミナー(日英)>との表示がある。 ケ 「講師プロフィール」として「ピーター・ロメロ氏は、ケンブリッジ大学サイコメトリックスセンターの精神測定学者及びピープルアナリティクス部署のリードです。」との記載がある。 コ 「講師プロフィール」として「ロメロ氏は2017年から5つのピープルアナリティクスセミナーを設計し開催してきました。」との記載がある。 サ 「講師プロフィール」として「イギリス人事教育協会(CIPD)の管理職教育に加え、彼は9つの大企業の社内ピープルアナリティクス部署を設立しました。」との記載がある。 先ず、上記アないしオ及びクないしコについてみると、例えば「ピープルアナリティクスセミナー」や「People Analytics Strategy Seminar」のように、「ピープルアナリティクス」(People Analytics)の語が他の語と結合した一連一体の態様で主に文章中に使用されている。このような使用商標から「ピープルアナリティクス」(People Analytics)の一部だけを抽出又は分離するのは不自然であり、むしろ、当該使用商標はその構成全体をもって一体不可分のものと認識し把握されるとみるのが自然である。 そうすると、本件商標と当該使用商標は社会通念上同一であるとはいえない。 また、本件商標「People Analytics」と片仮名文字「ピープルアナリティクス」は、その外観の違いにより全体から受ける印象が大きく異なることから、社会通念上同一の商標とはいえない。 仮に、本件商標と当該使用商標が社会通念上同一であるとしても、例えば「ピープルアナリティクスセミナー」という表記であれば、上記の前提事実からすると、「社員・従業員等の人事関連データの収集・分析、また、その分析結果を従業員の採用・評価・教育等の人事の領域において活用する手法」に関するセミナーというように、その使用はあくまで役務の質(内容)を表すものであり、出所標識としての使用、つまり商標としての使用であるということは到底できない。 例えば、上記オにおいて「ケンブリッジ大学サイコメトリックスセンターが実施するピープルアナリティクスセミナーは、・・・」と、上記ケにおいて「ケンブリッジ大学サイコメトリックスセンターの精神測定学者及びピープルアナリティクス部署」と記載されていること等からして、乙第1号証に示される2019年8月8日より前から、ケンブリッジ大学にて「ピープルアナリティクス」の語がその役務の質(内容)を表すものとして使用されていたことがわかる。なお、そもそも上記オ及びケないしサは被請求人による使用であるとはいえず、ケンブリッジ大学による使用を示すものといえる。 次に、上記カ及びキについては、セミナー参加者の声であり、被請求人による本件商標の使用とはいえない。また、いずれの発言も「ピープルアナリティクス」が「社員・従業員等の人事関連データの収集・分析及び活用」のような特定の語義を有するものと定義付けられたうえでの発言と考えられ、「ピープルアナリティクス」の語は具体的な役務の質(内容)を表す語として使用されており、商標として使用されているとはいえない。 さらに、上記サについては、「イギリス人事教育協会(CIPD)の管理職教育」と並列する形で「9つの大企業の社内ピープルアナリティクス部署」と記載されていることからして、やはり、「ピープルアナリティクス」の語は具体的な役務の質(内容)を表す語として使用されており、商標として使用されているとはいえない。 したがって、乙第1号証によっては、本件商標が要証期間内に請求に係る指定役務である第41類「セミナーの企画・運営又は開催」について使用されたとはいえない。 (3)乙第2号証について 被請求人は、第41類「教育テストの分析・診断に基づいた助言及び指導」について、2018年7月6日以来現在に至るまで被請求人のウェブサイト(https://i-globalsociety.com/news/180706)において本件商標を使用していると主張し、その証拠として、2018年7月6日付のウェブサイトとおぼしき書類の写し(乙2)を提出している。 仮に、被請求人が主張するとおり、乙第2号証に記載のとおり本件商標を使用していたとしても、当該記事のリリース日である2018年7月6日は要証期間外であり、また、仮に乙第2号証が被請求人のウェブサイトに現在掲載されていたとしても、それは単に過去の事例を紹介しているだけにすぎず、乙第2号証では、本件商標が要証期間内に使用されたことを証明するものではない。 さらに、乙第2号証内における「ピープルアナリティクス」の語の使用例を見てみると、下記のように使用されていることが確認できる。 ア 「採用もできるピープルアナリティクス『GROW360』に7月10日より新機能搭載。」との見出しがある。 イ 「Institution for a Global Society株式会社(本社・東京都渋谷区、代表取締役社長、以下IGS)が提供する採用もできるピープルアナリティクスツール『GROW360』は、・・・」との記載がある。 ウ 「『GROW360』は、個人の能力をAIで定量化・可視化するともに、学生や企業で働く人材の潜在能力を発見できる、ピープルアナリティクスツールです。」との記載がある。 エ 「採用もできるピープルアナリティクス『GROW360』に7月10日より新機能搭載」との見出しがある。 しかしながら、上記ア及びエに記載の「採用もできるピープルアナリティクス」の文言は、その後に続く「GROW360」という商品が「採用の場面でも活用できる、社員・従業員等の人事関連データの収集・分析のためのツール」であることを説明しているにすぎず、また、上記イ及びウは「GROW360」という商品が「社員・従業員等の人事関連データの収集・分析のためのツール」であることを説明しているにすぎない。 つまり、上記アないしエに記載の「ピープルアナリティクス」の語は、「GROW360」の役務の質(内容)を表しているにすぎず、出所標識としての商標の使用であるということはできない。 なお、仮に、出所標識としての商標の使用であるとしても、「採用もできるピープルアナリティクス」や「ピープルアナリティクスツール」と一連一体の態様の使用商標から「ピープルアナリティクス」の一部だけを抽出又は分離するのは不自然であり、むしろ、当該使用商標はその構成全体をもって一体不可分のものと認識し把握されるとみるのが自然である。そうすると、本件商標と当該使用商標は社会通念上同一であるとはいえない。 また、そもそも、上記(2)に記載のとおり、本件商標「People Analytics」と片仮名文字「ピープルアナリティクス」は、社会通念上同一の商標とはいえない。 さらに、乙第2号証には、その役務について以下のように記載されている。 「GROW360」は、個人の能力をAIで定量化・可視化するとともに、学生や企業で働く人材の潜在能力を発見できる、ピープルアナリティクスツールです。受検者は、気質診断(BIG5)とコンピテンシー(行動特性)及びスキルの360度評価をスマホで実施。 GROW360は、これまで蓄積した40万人のデータをもとに、評価者と被評価者の関係性や、評価者の評価方法の傾向をAIで予測・補正を可能にし、信頼性が高いタイムリーな評価を可能にした。 GROW360に登録した社員に対し、活躍度を5段階で評価します。GROW360で計測した行動特性の評価データをもとに、ハイパフォーマー社員に共通する能力をAIが分析し、活躍モデルを構築します。採用候補者がGROW360を受検すると、その結果に応じて、自動的に活躍予測度が表示されます。データを蓄積することによってAIの予測精度が向上します。人材採用において重要な「人材要件定義」をAIがサポートすることで、採用精度の向上と面接の効率化に貢献します。 360゜コンピテンシー評価とBIG5とIAT、2つのアカデミックな知見を取り入れた気質診断(国際特許取得済)の結果をもとに人工知能が評価を補正・分析し、企業の採用と育成、組織作りを支援しております。 これらからすると、乙第2号証に記載の役務は、従業員等がスマートホンで行った気質診断や他者評価等の結果をAIにて分析し、その分析結果を企業等が採用や人事に活用するためのアプリケーションソフトウェアやコンピュータソフトウェアプラットフォームの提供であると考えられる。そうすると、仮に乙第2号証における本件商標の使用が出所標識としての商標の使用であるとされたとしても、第41類「教育テストの分析・診断に基づいた助言及び指導」についての使用とはいえない。なお、実際に、乙第2号証に記載の「GROW360」は第42類の役務を指定のうえ商標登録されている(甲23)。 したがって、乙第2号証によっては、本件商標が要証期間内に請求に係る指定役務である「第41類 教育テストの分析・診断に基づいた助言及び指導」について使用されたとはいえない。 (4)結語 以上から、乙第1号証及び乙第2号証は、いずれも要証期間内に本件商標を、第41類「セミナーの企画・運営又は開催,教育テストの分析・診断に基づいた助言及び指導」について使用したことを証明する証拠とはなり得ないことが明らかである。 よって、審判請求書の「請求の趣旨」に記載のとおりの審決を求めるものである。 第3 被請求人の主張 被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を審判事件答弁書において要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証及び乙第2号証を提出した。 また、以下に示すとおり、本件商標を第41類「セミナーの企画・運営又は開催,教育テストの分析・診断に基づいた助言及び指導」について、本件審判の予告登録日である令和5年7月31日以前3年(以下、「本件期間」という。)以内に日本国内において使用している。 1 被請求人によるウェブサイトにおける本件商標の使用 被請求人は、請求に係る指定役務、第41類「セミナーの企画・運営又は開催」について、2019年8月8日以来、現在に至るまで被請求人のウェブサイト(https://i-globalsociety.com/news/180707)において本件商標を使用している(乙1)。 また、被請求人は、請求に係る指定役務、第41類「教育テストの分析・診断に基づいた助言及び指導」について2018年7月6日以来、現在に至るまで被請求人のウェブサイト(https://i-globalsociety.com/news/180706)において本件商標を使用している(乙2)。 なお、乙第1号証の一部及び乙第2号証に示す商標は片仮名であるが、これは商標法第38条第5項に定める「平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標」に該当し、本件商標と社会通念上同一と認められる商標に該当する。 したがって、本件商標の使用に該当する。 本件商標は、上記各ウェブサイトにおいて現在も継続して使用されており、上記各ウェブサイトは現在においてもアクセス可能である。 よって、被請求人による前記行為は、商標法第2条第3項第8号に規定する商標の使用に該当する。 2 以上述べたとおり、本件商標は、本件商標法第50条第1項の取消審判の請求に係る指定役務、第41類「セミナーの企画・運営又は開催,教育テストの分析・診断に基づいた助言及び指導」について本件期間内に日本国内において被請求人により使用されている。 よって、被請求人は、本件審判につき、答弁の趣旨通りの審決を求める次第である。 第4 当審における審尋 当審において、令和6年2月19日付け審尋により、被請求人に対し、被請求人の主張及び提出された証拠によっては、本件商標が、要証期間内に、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者によって、取消の請求に係る役務について使用されたことが確認できないこと。また、被請求人によるピープルアナリティクスツールを使用したサービスが、取消の請求に係る役務「教育テストの分析・診断に基づいた助言及び指導」であることを証明する旨の合議体による暫定的見解を示したうえで、請求人提出の審判事件弁駁書の主張及び上記暫定的見解に対し、意見があれば証拠とともに提出されたい旨の審尋を送付し、相当の期間を指定して、これに対する回答を求めた。 第5 審尋に対する被請求人の回答 被請求人は、上記第4の審尋に対し、何ら回答をしていない。 第6 当審の判断 1 被請求人の主張及び同人の提出に係る証拠によれば、以下のとおりである。 (1)乙第1号証について ア 「報道関係者各位 プレスリリース 2019.08.08 10:30」及び「大好評につき第2弾!ケンブリッジ大学とIGSがビッグデータと機械学習を人事に活用するピープルアナリティクスセミナーを開催 2019年9月2日・3日の2日間もしくは9月4日・5日・6日の3日間」の見出しの下、「Institution for a Global Society(東京都渋谷区・・・)は、世界を代表する教育研究機関であるケンブリッジ大学サイコメトリックスセンターと共同で、「ピープルアナリティクスセミナー」第2弾を開催いたします。本セミナーは、・・・人事戦略や戦術を中心に学ぶ2日コース「ピープルアナリティクス戦略セミナー」と、人事データ分析の手法を3日間で習得を目指す「ピープルアナリティクスデータサイエンス/機械学習セミナー」の2つに分割して実施します。」等の記載がある。 イ 「■セミナー概要」として、「セミナーは、ケーススタディとエクササイズを組み合わせ、自社の組織で実践できる現時点における世界最高レベルの人事へのデータや機械学習応用のスキル習得を目指します。 会場:東京都(他の会場)〈ピープルアナリティクスデータサイエンス/機械学習セミナー(日英)〉」等の記載がある。 (2)乙第2号証について 乙第2号証は、「採用もできるピープルアナリティクス 「GROW360」に7月10日より新機能搭載。評価面談が苦手な6割の上司のフィードバックをサポート。1回5問程度の他者評価で、成長と体調やメンタル変化を時系列で可視化(Release 2018.07.06)」の見出しの下、「Institution for a Global Society株式会社(本社・東京都渋谷区・・・、以下IGS)が提供する採用もできるピープルアナリティクスツール「GROW360」は、社員の定着率が課題の企業を支援するべく希望する頻度で定期評価&フィードバックをサポートする機能を2018年7月10日より搭載します。・・・「GROW360」は、個人の能力をAIで定量化・可視化するとともに、学生や企業で働く人材の潜在能力を発見できる、ピープルアナリティクスツールです。」等の記載がある。 2 上記1によれば、以下のとおり判断できる。 (1)使用商標及び使用時期について 乙第1号証によれば、被請求人である商標権者は、ケンブリッジ大学サイコメトリックスセンターと共同で、「ピープルアナリティクスセミナー」と題してセミナーを開催しているが、当該プレスリリースの日付及びセミナーの開催日等は要証期間外である。 また、乙第2号証は、商標権者が本件商標を、請求に係る指定役務中、「教育テストの分析・診断に基づいた助言及び指導」に使用しているとして提出されたものであり、当該証拠には、2018年7月10日よりピープルアナリティクスツール「GROW360」に新機能を搭載し、新たなサービスの提供を開始することが記載されているものの、当該ツールのリリース日は、要証期間外である。 さらに、当該ツールのリリース以降、要証期間において本件商標又は本件商標と社会通念上同一である商標を、請求に係る指定役務に使用している事実は認められない。その他、いずれの証拠からも商標権者が本件商標を要証期間内に当該役務に使用したものと認められない。 したがって、被請求人の提出証拠によっては、本件商標と関連して、請求に係る指定役務が、要証期間に提供されたと認めることができない。 (2)使用者について 上記(1)のとおり、商標権者が使用商標を請求に係る指定役務に使用しているとする証拠(乙1)は、要証期間外のものであり、要証期間内において使用商標の使用者が商標権者、専用使用権者又は通常使用権者であったことを示す証拠はない(乙1、乙2)。 よって、本件商標の使用者が、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかであるということはできない。 (3)小括 以上のことからすれば、被請求人が、要証期間に、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者が本件商標を使用していることを証明したと認めることはできない。 そして、その他、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、要証期間に日本国内において、本件商標を請求に係る指定役務について使用をしていることを認めるに足りる証拠の提出はない。 3 むすび 以上のとおり、被請求人が、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが請求に係る指定役務について、本件商標を使用していることを証明したものと認めることはできない。 また、被請求人は、本件審判の請求に係る指定役務について、本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしていない。 したがって、本件商標の登録は、その指定役務中、「結論掲記の指定役務」について、商標法第50条第1項の規定により、取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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