商標取消審判
2023-300416
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- 審判番号
- 2023-300416
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願1996-054473
- 登録番号
- 4103864
- 請求日
- 2023年06月19日
- 審決日
- 2024年09月13日
- 公報発行日
- 2024年11月29日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【請求人】ビージーアールピー ゲーエムベーハー
- 【請求人代理人】弁理士法人東海特許事務所
- 【被請求人】帝人フロンティア 株式会社
- 審判長/審判官
- 審判長 鈴木 雅也
- 審判官 馬場 秀敏
- 審判官 富澤 哲生
- 分類
- T131 .1 -Z (025)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法2条3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条、商標法第50条第1項、商標法第2条第3号、商標法第50条第2項、商標法第2条第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第4103864号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
登録第4103864号商標の商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第4103864号商標(以下「本件商標」という。)は、「クリック」の片仮名と「CLICK」の欧文字を2段に表してなり、平成8年5月22日に登録出願、同10年1月16日に第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,靴下,スカーフ,手袋,ネクタイ,ずきん,帽子」を指定商品として設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録は、令和5年7月14日になされたものであり、この登録前3年以内の期間(令和2年7月14日~令和5年7月13日)を以下「要証期間」という。
第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書及び令和5年9月25日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対する同年11月21日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)にて、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証(枝番号を含む。以下、証拠の表記に当たっては、甲第1号証を「甲1」のように省略して表示する場合があり、枝番号を含む号証で枝番号の全てを引用するときは、枝番号を省略して記載する。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において本件商標の権利者(以下「商標権者」という。)、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条1項の規定により取り消されるべきものである。
2 弁駁書による主張
(1)被請求人の使用証拠について
被請求人は、要証期間に日本国内において、商標権者の許諾を受けた通常使用権者である株式会社ファイブフォックス(以下「ファイブフォックス社」という。)が、本件商標を指定商品「洋服」(メンズパンツ)に使用している旨を主張する。
しかしながら、被請求人が提出したいずれの証拠からも、通常使用権者が、要証期間に本件商標をその指定商品について使用している事実が証明されていない。
以下、被請求人が示した証拠に基づいて説明する。
ア 通常使用権者について
答弁書によれば、ファイブフォックス社は通常使用権者であると記載されているが、商標権者とファイブフォックス社との間の本件商標に関する使用許諾契約書等の証拠が提出されていない。
また、乙第4号証の2「素材下げ札写真」及び乙第5号証「ラベル支給依頼書 兼 確約書」からは、ファイブフォックス社は、商標権者から提供された素材を使用した二次製品としての「洋服」(メンズパンツ)を販売しているという事実は確認することができるものの、本件商標の通常使用権者であるということを確認することができない。
すなわち、被請求人が提出した証拠からは、ファイブフォックス社が本件商標に係る商標権の通常使用権者であることを確認することができない。
イ 各証拠が要証期間における本件商標の指定商品についての使用を証明するものであるかについて
(ア)乙第1号証「ファイブフォックス社オンラインストアでの広告」について
答弁書には、通常使用権者であるファイブフォックス社は、乙第1号証に示すオンラインストアのウェブページにおいて、「【CLICK】ライトクロス イージースラックス」という名称の商品を販売しているとの記載があり、乙第1号証にはメンズパンツの写真が表示されている。
ここで、本件商標は、片仮名「クリック」と欧文字「CLICK」とが上下2段で併記された商標である一方、乙第1号証には欧文字「CLICK」の表示はあるものの、片仮名「クリック」の表示がない。
すなわち、乙第1号証に示される商標は、本件商標と片仮名「クリック」の有無において相違し、社会通念上同一の商標ということはできない。
また、乙第1号証は、答弁書に記載されるように2023年(令和5年)9月15日に印刷されたものであり、要証期間において、乙第1号証に示すウェブページが公開されていたということを示す証拠ではない。
さらに、乙第1号証は、ウェブページ上の一部の画像が切り取られた証拠であり、このウェブページには、実際には甲第3号証に示すように「《素材》帝人フロンティアのCLICKを使した、繊細な杢調が特徴のライトクロス。やや薄手で自然な伸縮が快適な着心地を提供します。」との記載がある。
したがって、乙第1号証に示すウェブページは、「CLICK」が「洋服」(メンズパンツ)の商標ではなく、「洋服」用の何らかの「素材」の商標として使用されていることを示すものである。
このように、乙第1号証は、他の証拠類が紙面縦向きに印刷されているのに対して、あえて紙面横向きに印刷することで、ウェブページ上の下部に表された「CLICK」が「素材」の商標であることを示す部分を削除して、あたかも「CLICK」が「洋服」の商標であると見せかけるように提出された証拠であり、乙第1号証における「【CLICK】ライトクロス イージースラックス」中の「【CLICK】」は、実際には素材の商標を表すものである。
以上により、乙第1号証は、要証期間における本件商標の使用を示す証拠ではなく、本件商標と社会通念上同一の商標の使用を示す証拠ではなく、本件商標の指定商品についての商標の使用証拠を表すものではない。
(イ)乙第2号証「商品写真」、乙第4号証「素材下げ札写真」及び乙第5号証「ラベル支給依頼書 兼 確約書」について
乙第2号証には、英文字「CLICK」が表された「素材下げ札」が商品「洋服」(メンズパンツ)に付された写真が表され、乙第4号証には、この「素材下げ札」の拡大写真が表されている。
本件商標は片仮名「クリック」と欧文字「CLICK」とが上下2段で併記された商標である一方、乙第2号証及び乙第4号証の「素材下げ札」には欧文字「CLICK」が表されるものの、片仮名「クリック」の表示がない。
すなわち、乙第2号証及び乙第4号証に示される商標は、本件商標と片仮名「クリック」の有無において相違し、社会通念上同一の商標とはいうことはできない。
また、乙第2号証及び乙第4号証の商品及び「素材下げ札」が撮影された日についての情報がなく、要証期間において、商品「洋服」(メンズパンツ)にこの「素材下げ札」が付されて販売等されていたことが証明されるものではない。
なお、答弁書には、この「素材下げ札」が、乙第5号証に示す2022年(令和4年)10月21日付けの「ラベル支給依頼書 兼 確約書」に基づき提供されたものであると記載されているものの、乙第5号証は、手書きの書類であり、この日付の信ぴょう性について客観的に証明できるものではない。
さらに、乙第2号証及び乙第4号証に示される「CLICK」が表された札は、被請求人自ら答弁書において「素材下げ札」と称するように、「素材」の商標を表すための下げ札であって、「洋服」(メンズパンツ)の商標を表す札ではない。
このことは、乙第4号証の2の「「CLICK(R)」は繊細な杢調が特長の素材です。」(審決注:「(R)」は丸囲みの「R」。以下同じ。)、「素材提供 帝人フロンティア株式会社」との記載からも、素材の商標として「CLICK」が用いられていることは明らかである。
また、乙第5号証の「ラベル支給依頼書 兼 確約書」においても、ラベルを「添付する二次製品名」が「メンズパンツ」と記載されていることから、「洋服」(メンズパンツ)はあくまで商標「CLICK」の素材を用いた二次製品であって、支給される「CLICK」のラベルが「洋服」(メンズパンツ)の商標として使用されるものではないことは明らかである。
以上により、乙第2号証、乙第4号証及び乙第5号証についても、いずれも要証期間における商標の使用を示す証拠ではなく、本件商標と社会通念上同一の商標の使用を示す証拠ではなく、本件商標の指定商品についての商標の使用証拠を表すものではない。
(ウ)乙第3号証「製品下げ札写真」について
乙第3号証の「製品下げ札写真」は、製造者「株式会社ファイブフォックス」の商標「COMME CA MEN」(審決注:6文字目の「C」の文字の下部には記号が付されている。以下、同じ。)が表された「製品下げ札」を表すものであり、本件商標の使用を証明する証拠ではない。
以上により、乙第3号証は、本件商標の使用について証明する証拠ではない。
(エ)乙第6号証「ファイブフォックス社HPコラム」について
被請求人は、乙第6号証に示すファイブフォックス社のウェブページにおけるコラム「STYLING」(以下「コラム」という。)の「2023.06.09 UP」の表示に基づいて、令和5年6月9日付けで「洋服」(メンズパンツ)が紹介されているとしているが、ウェブページ上の「2023.06.09 UP」の表示をもって、このウェブページが令和5年6月9日に現に公開されていたということを証明することはできない。
このウェブページは、インターネットで検索したところ、甲第4号証の1に示すURLのウェブページであるものと思料するが、Internet Archiveにおいて、このURLを入力したところ、過去のウェブページの履歴を確認することができなかった(甲4の2)。
すなわち、このURLのウェブページがいつからどのような表示内容で存在しているのかを証明することはできず、換言すれば、令和5年6月9日に現在と同じ内容で公開されたということを証明することはできない。
さらに、仮にこのURLのウェブページが令和5年6月9日に公開されていたとしても、ウェブページ公開後に「【CLICK】ライトクロス イージースラックス」等の文字を追加表示することは可能であることから、乙第6号証は令和5年6月9日に「【CLICK】ライトクロス イージースラックス」と表示されたウェブページが公開されていたことを証明するものではない。
また、令和5年6月9日に「【CLICK】ライトクロス イージースラックス」と表示されたウェブページが公開されていたとしても、この「【CLICK】」の表示は、上記(ア)で述べたように、本件商標とは片仮名「クリック」の有無において相違する社会通念上同一ではない商標であり、「洋服」(メンズパンツ)ではなく、「洋服」の「素材」に使用されている。
以上により、乙第6号証についても、要証期間における商標の使用を示す証拠ではなく、本件商標と社会通念上同一の商標の使用を示す証拠ではなく、本件商標の指定商品についての商標の使用証拠を表すものではない。
(2)他の審決例・裁判例について
取消2002-31120号審決(被請求人:帝人株式会社)及びその審決取消訴訟の判決(平成16年(行ケ)第404号 審決取消請求事件)においても、使用商品(生地)に係る「ラベル支給依頼書兼確約書」において生地を購入した縫製業者に使用商品を生地とする二次製品に限り付すことを確約させている場合において、「使用商品(生地)が二次製品として別の商品に加工され、その新たな商品に本件ラベルによって使用商標が表示されたとしても、その使用商標は生地(織物)である使用商品の商標であることに変わりなく、二次製品に付した新たな商標ということはできない。」とし、「使用商標は、被服の生地、すなわち、織物について使用しているものであって、本件審判請求に係る指定商品に含まれるスラックス等の被服について使用されていたものということはできない」と判断されている(甲5、甲6)。
この審決例及び裁判例に基づけば、本件の被請求人が提出した証拠についても、上記(1)で述べた理由により、商標「CLICK」は二次製品「洋服」に付した新たな商標ということはできず、素材(生地)について使用していることを示すものであることは明らかである。
(3)まとめ
以上により、答弁書は、本件商標の使用を証明するものではないことから、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、登録を取り消すべきものである。
第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする旨の審決を求め、答弁書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第6号証(枝番号を含む。)を提出した。
なお、審判長は、被請求人に対し、令和6年2月2日付けで、合議体の暫定的見解を示した審尋を送付し、相当の期間を指定して、当該審尋に対する回答を求めたが、被請求人は、何ら応答していない。
1 答弁の理由
本件商標は、以下に述べるように、指定商品「洋服」について、令和4年(2022年)から通常使用権者により現在に至るまで継続して使用されているので、商標法第50条第1項の規定による取消しの対象になるものではない。
通常使用権者による使用の詳細は、下記のとおりである。
(1)通常使用権者について
通常使用権者であるファイブフォックス社は、本件商標を冠したメンズパンツを、商標権者が支給する「素材下げ札」を付けた状態で販売している。
(2)販売を示す証拠について
商標権者の許諾の下、実際に販売されていることを示すものとして、以下の証拠を提出する。
ア ファイブフォックス社HP上のオンラインストアでの広告
ファイブフォックス社は、自らのオンラインストア上にて、「【CLICK】ライトクロス イージースラックス」という名称の商品(以下「本件商品」ということがある。)を販売しており、その証拠として、画像をプリントアウトしたものを提出する(乙1)。
この写真は令和5年(2023年)9月15日にプリントアウトされたものである。
イ 本件商品の画像
本件商品の全体画像(乙2の1)と下げ札部を拡大した写真(乙2の2)を、本件商品が実際に販売されている証拠として提出する。
ウ 下げ札類
本件商品には、裏面に通常使用者名と品質・価格等が記載された「製品下げ札」、表面に本件商標と同じ名称、及び商標権者が使用している「TEIJINロゴ」が記載され、裏面には素材提供者として商標権者の名前が付いた「素材下げ札」、及び使用上の注意を記した表示が付された状態で販売されている(乙3、乙4)。
エ ラベル支給依頼書 兼 確約書
上記ウの「素材下げ札」(乙4)は、令和4年(2022年)10月21日付けの株式会社サンウェル(以下「サンウェル社」という。)によるファイブフォックス社向けのラベル支給依頼に基づいて提供したものであり、その証拠として、ファイブフォックス社の名称と本件商品の名称(メンズパンツ)が記載された商標権者宛のサンウェル社の「ラベル支給依頼書 兼 確約書」を提出する(乙5)。
(3)本件商品の販売時期について
ファイブフォックス社は、ラベルの支給を受け、令和4年末から本件商品の販売を開始している。
ファイブフォックス社は、そのHPのコラムの中で、令和5年(2023年)6月9日付けで本件商品を紹介しており、その開始時期が少なくとも審判請求日である令和5年(2023年)6月19日以前に遡ることは明らかである。
これを示すものとして、令和5年(2023年)6月9日の日付が付いた「【CLICK】ライトクロス イージースラックス」が載っているコラムを提出する(乙6)。
これは、令和5年(2023年)9月15日にプリントアウトしたものである。
2 まとめ
以上のとおり、本件商標は、その指定商品「洋服」について、通常使用権者により本件審判請求以前より現在に至るまで継続して使用されていることが乙各号証により明らかであり、取り消されるべきものではない。
第4 当審の判断
1 被請求人の立証責任
商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
すなわち、本件商標の使用をしていることを証明するには、商標法第50条第2項に規定されているとおり、被請求人は、ア 要証期間に、イ 日本国内において、ウ 商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、エ その指定商品のいずれかについての、オ 本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の使用(商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する使用行為)をしていることをすべて証明する必要がある。
2 事実認定
(1)被請求人の提出した乙各号証及び請求人が提出した甲第3号証によれば、以下の事実が確認できる。
ア 乙第1号証
乙第1号証は、被請求人が、ファイブフォックス社のオンラインストアに係るウェブページと主張するものであり、左上に「FIVE FOXes ONLINE STORE」の記載があり、その下に、スラックスを着用した人物の下半身の写真が掲載され、その右に、「【CLICK】ライトクロス イージースラックス」の記載、その下に、取消し線が付された「¥23,100(税込み)」及び取消し線が付されていない「¥12,474(税込み)46%OFF」の記載、その下に、上記写真を縮小したものに相当する写真を挟んで、「グレー」及び「ブラック」の記載がある。
乙第1号証において、当該ウェブページが掲載されていた日付についての記載は見いだせない。
イ 乙第2号証
乙第2号証は、被請求人が、本件商品の全体画像(乙2の1)及び「下げ札部」を拡大した写真(乙2の2)と主張するものである。
そして、乙第2号証の1においては、下げ札が取り付けられた黒色のスラックスの全体写真が見て取れ、乙第2号証の2においては、灰色のスラックスにおける、「CLICK」の欧文字が記載された下げ札を含む、3枚の下げ札が取り付けられた部位を拡大した写真が見て取れる。
ウ 乙第3号証
乙第3号証は、被請求人が、本件商品が販売される際に本件商品に付される「製品下げ札」の表裏面の画像と主張するものであり、一方の面に「COMME CA MEN」の欧文字の記載があり(乙3の1)、他方の面に「(株)ファイブ フォックス」及び「¥23,100(本体¥21,000)」の記載がある(乙3の2)。
ここで、「製品下げ札」は、上記イの3枚の下げ札のうちの最も左のものであると認められる。
また、上記アのウェブページにおける取消し線が付された「¥23,100(税込み)」は、「製品下げ札」の「¥23,100(本体¥21,000)」の記載に対応して記載されたものと認められる。
エ 乙第4号証
乙第4号証は、被請求人が、本件商品が販売される際に本件商品に付される「素材下げ札」の表裏面の画像と主張するものである。
そして、当該「素材下げ札」には、一方の面に、灰色の比較的大きな文字による「CLICK(R)」、黒色の比較的小さな文字による「prodeuced by TEIJIN FRONTIER CO.,LTD.」、及び赤色の文字による「TEIJIN」の各記載があり(乙4の1)、他方の面に、灰色の比較的大きな文字による「CLICK(R)」、並びに、黒色の比較的小さな文字による「「CLICK(R)」は繊細な杢感が特長の素材です。ほどよいストレッチ性があり、美しい仕立て映えを実現。イージーケア性にも優れています。」、「製造販売元 株式会社ファイブフォックス」及び「素材提供 帝人フロンティア株式会社」の各記載がある(乙4の2)。
ここで、「素材下げ札」は、上記イの3枚の下げ札のうちの最も右のものであると認められる。
オ 乙第5号証
乙第5号証は、「ラベル支給依頼書 兼 確約書」であって、被請求人が、この書類に基づいて商標権者が上記エの「素材下げ札」を提供したと主張するものであり、標題の「ラベル支給依頼書 兼 確約書」の記載の下に、「帝人フロンティア株式会社 御中」及び「2022年10月21日」の記載があり、その下の表中、左側の「確約者及び支給依頼者」の列における「社名」欄に「(株)サンウェル」の記載、右側の「送付先(送付先が左記と違う場合記入する」の列における「刷り込みする社名」欄に「(株)ファイブフォックス」の記載がある。
また、上記表にはさらに、「ラベル等の名称」欄における「CLICK」、「添付する二次製品名」欄における「メンズパンツ」、「対象素材の生地品番又は銘柄」欄における「52234T」、「枚数」欄における「650枚」の各記載がある。
さらに、上記表の下に記載された「確約事項」の「5」として、「ラベルを添付した最終商品の品質、その他につき苦情があったときは、直ちに自己の責任において解決し、貴社に迷惑をかけない。万一貴社に損害が発生した場合、専ら貴社に責任があるときを除きその損害を賠償する。」と約定されている。
カ 乙第6号証
乙第6号証は、被請求人が、ファイブフォックス社のHPにおいて、同社が本件商品を紹介しているコラムと主張するものであり、左上に、「FIVEFOXes ONLINE STORE / STYLING / COMME CA MEN Hirano」の記載があり、その下に、スラックスを着用した人物の全身の写真が掲載され、その右に、「2023.06.09 UP」の記載がある。
また、本号証の右下における「着用アイテム」欄に、スラックスを着用した人物の下半身の写真に添えて、「【CLICK】ライトクロス イージースラックス」の記載がある。
キ 甲第3号証
甲第3号証は、弁駁書における請求人の、「【CLICK】ライトクロス イージースラックス」(乙1)の記載中の「【CLICK】」が、実際には素材の商標を表すものであるとの主張の根拠とされるものであり、その第1頁の内容は、各記載や写真の配置が異なること、取消し線が付されていない価格表示が異なること等を除き、乙第1号証における上記アと同様である。
そして、甲第3号証の2葉目には、「《素材》 帝人フロンティアのCLICKを使した、繊細な杢調が特徴のライトクロス。やや薄手で自然な伸縮が快適な着心地を提供します。比較的織密度が高くさらさらした手触りです。」の記載がある。
(2)上記(1)アないしキによれば、次の事実を認めることができる。
ア 上記(1)アによれば、ファイブフォックス社のHPにおいて、本件商品「イージースラックス」に関する広告が表示されたオンラインストアのウェブページに、「【CLICK】ライトクロス イージースラックス」の文字(「以下、「【CLICK】」の文字を「使用商標1」という。)が掲載されていることが認められる。
しかしながら、当該オンラインストアのウェブページを公開した時期を示す証拠は提出されていない。
イ 上記(1)アないしエ、カ及びキを総合的に検討すると、乙第2号証における写真は、「CLICK(R)」の文字(「以下「使用商標2」という。)が表示された「素材下げ札」が付された、ファイブフォックス社が販売する本件商品「イージースラックス」を撮影したものであることがうかがえるものの、本件商品がこの写真のように「素材下げ札」が付された状態で販売されたこと、及びその時期を示す証拠は提出されていない。
そして、上記(1)オの「ラベル支給依頼書 兼 確約書」により、「クリック」なる名称の「ラベル」が商標権者からサンウェル社に提供されたことがうかがえるとしても、そのことから直ちに、要証期間に本件商標が本件商品について使用された事実が具体的に示されたということはできないし、また、下記ウに照らせば、使用商標2は、商標権者によって提供され本件商品の製造に使用された素材を示すために使用されたものと認められるものの、本件商品について使用されたものということはできない。
ウ 上記(1)エの「素材下げ札」における「「CLICK(R)」は「繊細な杢感が特長の素材です。ほどよいストレッチ性があり、美しい仕立て映えを実現。イージーケア性にも優れています。」並びに「素材提供 帝人フロンティア株式会社」との記載、及びキのファイブフォックス社に係るオンラインストアのウェブページにおける「《素材》 帝人フロンティアのCLICKを使した、繊細な杢調が特徴のライトクロス。やや薄手で自然な伸縮が快適な着心地を提供します。比較的織密度が高くさらさらした手触りです。」との記載によれば、使用商標1における「【CLICK】」は、商標権者によって提供され本件商品の製造に使用された素材を示すために使用されたものであること、そして、「CLICK」という素材の品質、機能上の特徴、有用性などを説明し訴求するものであることが認められ、「素材下げ札」は、上記認定事実に照らせば、スラックスに使用された「CLICK」という「素材」の品質ないし機能を保証するものであると解し得るとしても、「素材」以外のスラックスそのものないしスラックス全体の品質ないし機能について保証する趣旨であると解し得る記載は見いだせない。
このことは、上記(1)オの「ラベル支給依頼書 兼 確約書」の「確約事項5」において、「ラベルを添付した最終商品の品質、その他につき苦情があったときは、直ちに自己の責任において解決し、貴社に迷惑をかけない。万一貴社に損害が発生した場合、専ら貴社に責任があるときを除きその損害を賠償する。」と記載され、商標権者は最終商品(「メンズパンツ」)の品質その他の苦情について責任を負わないと確約されていることからも裏付けられる。
したがって、「CLICK」の文字は、その「素材」についての商標というべきであって、本件商品「イージースラックス」についての商標ということはできない。
エ 上記(1)カによれば、ファイブフォックス社が、本件商品「イージースラックス」に関する広告が表示されたコラムのウェブページを、使用商標1を付して2023年6月9日に公開したことがうかがえるものの、上記ウで検討したように、「【CLICK】」は、本件商品の出所を表す商標とは認められない。
オ 使用商標1の使用者及び使用商標2の使用者は、いずれもファイブフォックス社であるところ、同社が商標権者から本件商標の使用の許諾を受けていることを示す証拠は提出されていない。
3 判断
上記2からすれば、次のとおり判断できる。
(1)オンラインストアにおける使用商標1の使用について
ア 商標の使用時期について
上記2(2)アのとおり、ウェブページの公開時期を示す証拠は提出されていないから、要証期間における商標の使用は認められない。
イ 商標を使用する商品について
本件商品「イージースラックス」は、本件商標の指定商品中の「洋服」の範ちゅうに属する商品であるところ、上記2(2)ウのとおり、オンラインストアにおける使用商標1は、本件商品について使用されたものとは認められないから、指定商品「洋服」についての商標の使用は認められない。
ウ 商標の使用者について
上記2(2)オのとおり、オンラインストアにおける使用商標1の使用者であるファイブフォックス社が、商標権者から本件商標の使用の許諾を受けていることを示す証拠は提出されていないから、通常使用権者による商標の使用は認められない。
エ したがって、オンラインストアにおいて、要証期間における、通常使用権者による、本件商標の指定商品についての使用は認められない。
(2)「素材下げ札」における使用商標2の使用について
ア 商標の使用時期について
上記2(2)イのとおり、本件商品が「素材下げ札」が付された状態で販売された時期を示す証拠は提出されていないから、要証期間における商標の使用は認められない。
イ 商標を使用する商品について
上記(1)イと同様の理由により、「素材下げ札」における使用商標2は本件商品について使用されたものとは認められないから、指定商品「洋服」についての商標の使用は認められない。
ウ 商標の使用者について
上記(1)ウと同様の理由により、通常使用権者による商標の使用は認められない。
エ したがって、「素材下げ札」において、要証期間における、通常使用権者による、本件商標の指定商品についての使用は認められない。
(3)コラムにおける使用商標1の使用について
ア 商標を使用する商品について
上記(1)イと同様の理由により、コラムにおける使用商標1は本件商品について使用されたものとは認められないから、指定商品「洋服」についての商標の使用は認められない。
イ 商標の使用者について
上記(1)ウと同様の理由により、通常使用権者による商標の使用は認められない。
ウ したがって、コラムにおいて、通常使用権者による本件商標の指定商品についての使用は認められない。
(4)小括
よって、被請求人は、要証期間に、通常使用権者が、本件商標をその指定商品のいずれかについて商標法第2条第3号各号に規定する態様で使用する行為を行ったことを証明したとはいえない。
4 まとめ
以上のとおり、被請求人が提出した証拠によっては、被請求人は、要証期間に、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)を、その指定商品のいずれかについて、商標法第2条第3号各号に規定する使用行為を行ったことを証明していない。
また、被請求人は、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしていない。
したがって、本件商標は、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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