商標拒絶査定不服審判
2023-021141
イナサバ
- 審判番号
- 2023-021141
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2023-015559
- 請求日
- 2023年12月12日
- 審決日
- 2024年11月07日
- 公報発行日
- 2025年02月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】上県町漁業協同組合
- 【請求人代理人】原 信海
- 審判長/審判官
- 審判長 大森 友子
- 審判官 小俣 克巳
- 審判官 田中 瑠美
- 分類
- T18 .13 -Z (W2931) / T18 .272-Z (W2931) / T18 .261-Z (W2931) / T18 .262-Z (W2931) / T18 .263-Z (W2931)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号商標法4条1項11号商標法4条1項16号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第4条第1項第11号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2023- 15559拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和5年2月1日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和5年 5月29日付け:拒絶理由通知書
令和5年 7月 6日 :意見書の提出
令和5年 9月25日付け:拒絶査定
令和5年12月12日 :審判請求書の提出
令和6年 7月 8日付け:拒絶理由通知書、審尋
2 本願商標
本願商標は、別掲1のとおり、「いなサバ」の文字を筆文字風の書体で表してなり、第29類「サバ(生きているものを除く。)」及び第31類「サバ(生きているものに限る。)」を指定商品として登録出願されたものである。
3 原査定の拒絶の理由(要旨)
本願商標は、別掲1のとおり、「いなサバ」の文字を毛筆体で横書きに表してなるものであるが、当該構成態様は、一般的に使用される構成態様とみるのが相当である。
そして、本願の指定商品を取り扱う業界では、長崎県対馬市で水揚げされた鯖が注目され、インターネット等で多数紹介されている実情があり、加えて、長崎県対馬市で水揚げされる鯖を「いなさば」、「伊奈さば」、「伊奈サバ」と称して取引されている実情が認められるから、本願商標は、「長崎県対馬市伊奈地区で獲れるサバ」を表したものと容易に理解させるものであるところ、食品を取り扱う業界では、このように特定の地域で生産又は販売される商品について、当該地域名と商品名とを組み合わせて表示することは、商取引において一般的に行われているものである。
そうすると、「いなサバ」の文字を普通に用いられる方法で書してなる本願商標を、その指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、「長崎県対馬市伊奈地区で獲れるサバ(生きているものを除く。),長崎県対馬市伊奈地区で獲れるサバ(生きているものに限る。)」であること、すなわち、商品の品質、産地を表示したものとして認識するにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものとみるのが相当である。
また、上記認定によれば、本願商標を本願の指定商品について、上記商品以外の指定商品に使用した場合は、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるというべきある。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
4 当審における拒絶理由(要旨)
審判長は、令和6年7月8日付け拒絶理由通知書で、「仮に、請求人の提出した意見書、審判請求書等における請求人の主張を参酌した結果、本願商標が自他商品の識別標識として機能し得ると合議体が判断する場合であっても、本願商標は、登録第6678438号商標(以下「引用商標」という。)と同一又は類似の商標であって同一又は類似の商品について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。」旨の拒絶の理由を通知し、相当の期間を指定して、請求人に対し、意見を求めた。
請求人は、当該拒絶理由に対し、指定した期間を経過するも、何ら回答していない。
5 当審における審尋(要旨)
当審において、令和6年7月8日付け審尋により、別掲2に掲げる事実を提示した上で、本願商標が、その指定商品との関係において、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、請求人に対し、意見を求めた。
請求人は、当該審尋に対し、指定した期間を経過するも、何ら回答していない。
6 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、別掲1のとおり、「いなサバ」の文字を筆文字風の書体で表してなるところ、当該書体は普通に用いられる方法の範ちゅうのものと認められる。
そして、原審提示の情報に加え、別掲2の参考情報によると、長崎県対馬市上県町伊奈の沖合では、サバが漁獲されており、伊奈地区で水揚げされたサバが、「いなサバ」のブランド名で出荷され、取引されていることが確認できる。
また、上記長崎県対馬市上県町の伊奈漁協においては、「いなサバ」の鮮度保持及び規格統一を徹底するとともに、出荷後の状況確認や改善指導を行うなど、「いなサバ」の市場での評価や信頼度を高めるための取組を行い、「いなサバ」のブランド化に努めていることがうかがえるものである。
以上を総合的に考慮すると、「いなサバ」の文字のみからなる本願商標は、長崎県対馬市の地名である「伊奈」に通じる「いな」と、本願の指定商品の普通名称である「サバ」とを組み合わせた構成よりなるものと理解されるというべきであるから、本願商標全体からは、「長崎県対馬市の地名である伊奈(いな)産のサバ」程の意味合いを容易に理解、認識させるものといえる。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、当該商品が「長崎県対馬市伊奈(いな)産のサバ(生きているものを除く。)」又は「長崎県対馬市伊奈(いな)産のサバ(生きているものに限る。)」であると理解、認識するにとどまり、本願商標は、商品の産地、品質を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものと判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、その指定商品中、「長崎県対馬市伊奈(いな)産のサバ(生きているものを除く。)」又は「長崎県対馬市伊奈(いな)産のサバ(生きているものに限る。)」に使用するときは、商標法第3条第1項第3号に該当し、上記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
本願商標は、別掲1のとおり、「いなサバ」の文字を筆文字風の書体で表してなるものであり、当該文字は、上記(1)のとおり、商品の産地、品質を普通に用いられる方法で表示するものであって、自他商品の識別標識としての機能を有しないかあるいは極めて弱いものと認められるところ、当該文字が上記4の拒絶理由通知の前提である「本願商標が自他商品の識別標識として機能し得る場合」には、該文字に相応して「イナサバ」の称呼を生ずるものであり、特定の観念を生じないものと認められる。
他方、引用商標は、別掲3のとおり、上部には、青色の円形の中央に大きく魚の図形を表し、該魚の図形の上に「一本釣り」及び「対馬」の文字を2列に、該魚の図形の下に、「特大」の文字及び筆文字風の書体の「いなサバ」の文字を2段に表してなる標章(以下「上部の標章」という。)及び、下部には、魚の図形を表し、該魚の図形の下に「対馬」の文字をやや小さめに縦書きし、その隣に「いなサバ」の筆文字風の文字を横書きした標章(以下「下部の標章」という。)を配した構成よりなるところ、上部の標章の「一本釣り」及び「特大」並びに上部の標章及び下部の標章の「対馬」及び「いなサバ」の文字(以下、まとめて「文字部分」という。)は、上部の標章においては、青色の円形内にまとまりよく配してなるものの、色彩、文字の大きさ等から、当該青色の円形や魚の図形から独立して看取され、引用商標を見る者に強い印象を与えるとともに、その注意を強く引くものである。
また、下部の標章の図形部分と文字部分とは、重なり合うことなく、独立して表されていることから、視覚上分離して看取し得るものである。
そして、文字部分のうち、「一本釣り」の文字は、指定商品との関係においてその漁獲方法を示す文字であり、「特大」の文字は商品の大きさを示す文字であって、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものである。
加えて、「対馬」の文字は、長崎県に属する地名を表すものとして知られているばかりでなく、その指定商品との関係においては、商品の産地、販売地を表すものであり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものであるから、文字部分のうちの「一本釣り」、「特大」及び「対馬」の文字を捨象し、上部の標章及び下部の標章の「いなサバ」の文字部分を要部として抽出し(以下「引用要部」という。)、他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるというべきである。
そして、当該「いなサバ」の文字は、本件商標と同様に「イナサバ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと認められる。
そこで、本願商標と引用商標の類否を検討すると、両商標は、それぞれ別掲1及び別掲3の構成からなるところ、両者は全体の外観においては図形部分の有無等の相違があるものの、本願商標と引用要部は、「いなサバ」の文字が筆文字風の書体からなる点において近似した印象を与えるものであり、また、該文字に相応して生ずる「イナサバ」の称呼を共通にするものであり、観念については、比較できないものである。
そうすると、本願商標と引用商標の要部は、観念において比較できないとしても、外観において近似した印象を与えるものであり、「イナサバ」の称呼を共通にするものであるから、これらを総合的に勘案すれば、両商標は互いに類似の商標というのが相当である。
さらに、本願の指定商品である第29類「サバ(生きているものを除く。)」及び第31類「サバ(生きているものに限る。)」は、引用商標の指定商品である第29類「長崎県対馬市で水揚げされたサバ(生きているものを除く。)」と同一又は類似の商品である。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、登録することができない。
また、仮に、本願商標が自他商品の識別標識として機能し得る場合であっても、本願商標は、同法第4条第1項第11号に該当する。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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