商標拒絶査定不服審判
2023-021021
ニッタゼラチン、ニッタジェラチン、ニッタ、ゼラチン、ジェラチン
- 審判番号
- 2023-021021
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2023-020588
- 請求日
- 2023年12月11日
- 審決日
- 2024年04月23日
- 公報発行日
- 2024年05月31日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】新田ゼラチン株式会社
- 【請求人代理人】辻本 希世士
- 審判長/審判官
- 審判長 豊瀬 京太郎
- 審判官 板谷 玲子
- 審判官 白鳥 幹周
- 分類
- T18 .16 -WY (W010305102930313235414344) / T18 .272-WY (W010305102930313235414344)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項6号商標法4条1項16号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第6号、商標法第4条第1項第16号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2023- 20588拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願商標は、登録すべきものとする。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和5年2月28日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和5年 6月 6日付け:拒絶理由通知書
令和5年 7月 5日 :意見書、手続補正書の提出
令和5年 9月21日付け:拒絶査定
令和5年12月11日 :審判請求書の提出
2 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第1類、第3類、第5類、第10類、第29類ないし第32類、第35類、第41類、第43類及び第44類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として登録出願されたものである。
本願の指定商品及び指定役務は、原審における上記1の手続補正書により、別掲2のとおり補正されたものである。
3 原査定の拒絶の理由(要旨)
本願商標は、別掲1のとおり、「Nitta Gelatin」の文字を書してなるところ、その構成中、「Nitta」の文字は、「姓氏の一つ。」であって、ありふれた氏といえる「新田」の文字をローマ字表記したものといえ、「Gelatin」の文字は、「誘導蛋白質の一種。食用のほか、接着剤・培養基・写真感光材料などに用いる。」の意味を有する語であるから、本願商標は、全体として、「(ありふれた氏である)新田氏の取扱いに係るゼラチン」ほどの意味合いを理解させるものといえる。
そうすると、本願商標をその指定商品又は指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は、その商品が「(ありふれた氏である)新田氏の取扱うゼラチン」又はそれに関連する商品であること、又は、その役務が「(ありふれた氏である)新田氏の取扱うゼラチンに係る役務」であることを認識するにとどまるというのが相当であるから、本願商標は、自他商品役務の識別標識としての機能を果し得るとはいい難いものであり、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標といわざるを得ない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、上記に照応する商品又は役務以外の商品又は役務に使用するときは、商品の品質又は役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。
4 当審の判断
本願商標は、別掲1のとおり、「Nitta Gelatin」の文字を一列に横書きしてなるものであるところ、その構成中「Nitta」の文字は、それ自体は一般的な辞書類に掲載されている語ではないものの、「姓氏の一つ。」などを意味する「新田」の語の読みをローマ字で表記したといえるものであって、また、同構成中「Gelatin」の文字は、「誘導蛋白質の一種。」を意味する「ゼラチン」の欧文字表記である(出典:「広辞苑 第七版」株式会社岩波書店)。
ここで、本願の指定商品及び指定役務中、「ゼラチン」又はこれと直接関連し得る商品及び役務(例えば、第1類「化粧品原料用ゼラチン」や、第3類「化粧品」、第35類「食用ゼラチンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」。以下「ゼラチン関連指定商品役務」という。)との関係においては、本願商標は、比較的ありふれた人の姓氏を表したといえる「Nitta」の文字と、それら商品又は役務の普通名称又は商品の品質、原材料若しくは役務の質などを表す「Gelatin」の文字とを結合したに過ぎないといい得るものである。
しかしながら、本願商標は、請求人「新田ゼラチン株式会社」の略称を欧文字で表したといえるものであるところ、請求人提出の証拠(甲第1号証ないし甲第48号証。以下、表記に当たっては「甲○」(「○」部分は数字)のように省略して記載する。)及び職権による調査によれば、請求人は、創業から100年以上の歴史があり、ゼラチンの製造販売で国内シェア6割を占め、世界シェアも5位である大手ゼラチンメーカーであって(甲1、甲9、甲10)、2023年(令和5年)3月期の売上高は約392億円(甲7)、東京証券取引所の「プライム市場」に上場していたこともあり(甲6、職権による調査)、また、遅くとも2012年(平成24年)以降、各種メディアを通じて請求人又は請求人の製造販売する商品「ゼラチン」に係る宣伝広告活動を広く行っていること(甲11ないし甲47)、その際に「Nitta Gelatin」の文字からなる商標も使用していること(甲18、甲22、甲39、甲40 ほか)などからすれば、ゼラチン関連指定商品役務を取り扱う分野において、請求人の名称は、その欧文字表記も含め、相当程度知られているといえるものである。
また、本願商標は、その構成文字すべてが、丸みを帯びた特徴的な同一の書体で一体的に表されており、かかる構成においては、これに接する需要者が、それぞれの文字の意味を個別に理解するというよりは、むしろ、本願商標全体として特定の事業者の名称を表したものとして理解するとみるのが自然である。
そして、当審において職権をもって調査するも、請求人以外の者が「Nitta Gelatin」の文字又はこれに通じる「新田ゼラチン」の文字からなる商標を使用している事実を発見することはできなかったことなどからすれば、本願商標を、ゼラチン関連指定商品役務に使用する場合、それに接する取引者、需要者は、それが請求人の略称を欧文字で表したものと認識するといえ、本願商標は、十分に自他商品役務の識別標識としての機能を果たし得るものとみるのが相当であって、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標ではないというべきであり、さらに、上述のとおり一体的に請求人の略称の欧文字表記として認識されるものであることからすれば、商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがあるものともいえない。
また、本願の指定商品及び指定役務中、ゼラチン関連指定商品役務以外の商品又は役務との関係においては、本願商標が自他商品役務の識別標識として認識されないというべき事情や、商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがあるというべき事情を発見することはできなかった。
以上のことからすれば、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができないものとはいえないものであり、かつ、商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがあるものということもできない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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