商標拒絶査定不服審判
2023-021011
ヨセミテストラップ、ヨセミテ
- 審判番号
- 2023-021011
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2022-135712
- 請求日
- 2023年12月11日
- 審決日
- 2024年11月13日
- 公報発行日
- 2025年02月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社SMOKEY SUNDAY
- 【請求人代理人】田中 克郎
- 【請求人代理人】遠山 友寛
- 【請求人代理人】稲葉 良幸
- 【請求人代理人】廣中 健
- 【請求人代理人】村瀬 純一
- 審判長/審判官
- 審判長 高野 和行
- 審判官 清川 恵子
- 審判官 白鳥 幹周
- 分類
- T18 .13 -Z (W0914) / T18 .272-Z (W0914)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号商標法4条1項16号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第3条第2項、商標法第4条第1項第16号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2022-135712拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和4年11月28日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和5年 4月27日付け:拒絶理由通知書
令和5年 6月23日 :意見書の提出
令和5年 9月11日付け:拒絶査定
令和5年12月11日 :審判請求書の提出
令和6年 6月28日付け:審尋
令和6年 8月 9日 :上申書の提出
令和6年 9月13日 :回答書の提出
令和6年 9月20日 :上申書の提出
2 本願商標
本願商標は、「YOSEMITE STRAP」の文字を標準文字で表してなり、第9類「スマートフォン用ストラップ,カメラ用ストラップ,携帯情報端末用ストラップ」及び第14類「ネックレス用のストラップ,身飾品用のストラップ,収納可能なキーホルダー用のストラップ,キーホルダー用のストラップ,宝飾品用チャーム用のストラップ,宝飾品用留め具用のストラップ,宝飾品用のストラップ,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品用のストラップ,時計用のストラップ」を指定商品として登録出願されたものである。
3 原査定の拒絶の理由(要旨)
本願商標は、「YOSEMITE STRAP」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「YOSEMITE」の文字は、「アメリカ合衆国の国立公園。カリフォルニア州の中部、シエラ‐ネヴァダ山脈中に位置し、マーセド川の作る峡谷美で名高い。世界遺産。」等の意味を有する語であり、ヨセミテ国立公園は世界遺産にも登録され、著名な観光地として知られているものである。
また、同構成中の「STRAP」の文字は、「紐・帯のこと。衣服ではドレス・ブラジャーなどの肩にかける紐。また、携帯電話・カメラ・鞄かばんなどに付ける吊り紐。」等の意味を有する語であり、本願の指定商品の品質を表すものといえる。
そうとすると、本願商標をその指定商品に使用しても、単に、商品の製造地、販売地、品質を表示するにとどまるというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、また、商品の品質の誤認を生じさせるおそれもあることから、商標法第4条第1項第16号に該当する。
そして、請求人提出の資料によっては、本願商標が、使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものになっているとはいえないことから、商標法第3条第2項の要件を具備するものともいえない。
4 当審における審尋及びそれに対する請求人の意見(要旨)
当審において、令和6年6月28日付け審尋により、別掲に掲げる事実を提示した上で、本願商標が、その指定商品との関係において、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する旨、並びに、本願商標が請求人の業務に係る商品を示すものとして広く認識されているとはいえない旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、請求人に対し、意見を求めた。
請求人は、この審尋に対し、令和6年9月13日に回答書、同20日に上申書を提出し、要旨下記5(2)イないしカのとおりの意見を述べるとともに、各種資料(甲第11号証ないし甲第25号証(枝番号を含む。以下同じ。)、及び、検証物1ないし検証物4)を提出した。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、「YOSEMITE STRAP」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中「YOSEMITE」の文字は、「ヨセミテ:米国California州中東部Sierra Nevada 山脈中の大峡谷」(出典:「ランダムハウス英和大辞典 第2版【DVD版】」株式会社小学館)を意味する語であり、これは同峡谷が存する「アメリカ合衆国の国立公園」(出典:「広辞苑 第七版」)を指称する語としても知られているものであって、それ以外の意味を認識させるというべき事情は見当たらない。また、ヨセミテ国立公園は、原審提示の情報にあるように、世界遺産にも登録され、著名な観光地として知られているものであり、上述のとおり我が国の国語辞典である「広辞苑」にも掲載されているなど、我が国においても一定程度知られているといえるものである。
また、本願商標の構成中「STRAP」の文字は、「ひも, つりひも, ストラップ」(出典:「新英和中辞典 第7版」株式会社研究社)などを意味する語であり、上記1のとおり、本願の指定商品がいずれも「ストラップ」であることからすると、同文字はその商品が「ストラップ」であること、すなわち、その商品の普通名称又は品質を表示したものといえる。
以上のことに加え、同構成中「YOSEMITE」の文字と「STRAP」の文字との間には1文字分の空間(スペース)があることからすれば、本願商標は、「YOSEMITE」の語と「STRAP」の語を結合したものであると、容易に理解できるものであって、これよりは「ヨセミテ(ヨセミテ峡谷又はヨセミテ国立公園。以下、これらをまとめていうときは、単に「ヨセミテ」という。)のストラップ(ひも、つりひも)」ほどの意味合いが認識し得るものというのが相当である。
そして、各種の「ストラップ」は、観光地などの土産物として、地域の形状や観光名所、特産品などをモチーフにしたチャームとともに販売されることも少なくないものであるところ、別掲1の情報にあるように、その中には「観光地や観光名所の名称(○○)」を表す文字と「ストラップ」の文字とを結合した「○○ストラップ」の文字を使用している事例も複数見受けられる。
また、ヨセミテ国立公園は上述のとおり著名な観光地であって、別掲2の情報にあるように、一般的な観光地と同様、各種の土産物が公園内施設又はその周辺地域で販売等されている実情が認められる。
以上のことを総合的に勘案すれば、本願商標をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、それが「ヨセミテ及びその周辺地域で販売、製造等されるストラップ」であるという、商品の品質を表示したものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識としては認識し得ないというべきであるから、本願商標は、その商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。
また、本願商標を、上述の商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じるおそれがあるといえる。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、「YOSEMITE」(ヨセミテ)は、アメリカに興味関心を有する者、その地理や観光地に詳しい者は格別、例えば「ロサンジェルス」や「マンハッタン」ほどに誰もが日常的に耳にするような、身近で著名な地理的名称とはいえないから、広く需要者一般において一義的に商品の製造地や販売地としての特定の土地を想起、認識させるものではない旨主張する。
しかしながら、上記(1)のとおり、「YOSEMITE(ヨセミテ)」の文字は、ヨセミテ峡谷又はヨセミテ国立公園を指称する語として知られているものであって、それ以外の意味を認識させるというべき事情は見当たらないものである。また、ヨセミテ国立公園は、原審提示の情報にあるように、世界遺産にも登録され、著名な観光地として知られているものであり、我が国の国語辞典にも掲載されているなど、我が国においても一定程度知られているといえるものであるから、本願商標に接する取引者、需要者は、その構成中の「YOSEMITE」の文字よりヨセミテ峡谷又はヨセミテ国立公園を容易に想起し得るものというのが相当である。
イ 請求人は、ヨセミテは、自然の景観や生態系を保護するための活動が行われているところであり、ありふれた観光地とはいえないものであって、また、その周辺地域の人口及び産業構造などからすれば、ヨセミテが、現実に本願の指定商品の産地又は販売地ではないことは明らかであり、我が国の取引者、需要者において、ヨセミテが本願の指定商品の産地又は販売地であろうとの認識が一般的に存するとみるに足りる事情もないことから、本願商標構成中の「YOSEMITE」の文字は、その指定商品の産地又は販売地とはいえない旨主張する。
しかしながら、ある商標が商標法第3条第1項第3号にいう商品の産地又は販売地に該当するというためには、必ずしも当該指定商品が当該商標の表示する土地において現実に生産され又は販売されていることを要せず、需要者又は取引者によって、当該指定商品が当該商標の表示する土地において生産され又は販売されているであろうと一般に認識されることをもって足りるというべきであるところ、上記(1)のとおり、ヨセミテが我が国において著名な観光地として一定程度知られた地理的名称であり、また、各種の「ストラップ」は、観光地などの土産物として、地域の形状や観光名所、特産品などをモチーフにしたチャームとともに販売されることも少なくないものであり、その中には「観光地や観光名所の名称(○○)」を表す文字と「ストラップ」の文字とを結合した「○○ストラップ」の文字を使用している事例も複数見受けられ、加えて、一般的な観光地と同様、各種の土産物がヨセミテ国立公園内施設又はその周辺地域で販売等されている実情が認められるものである。
また、実際にヨセミテ及び周辺地域において、請求人の述べるような事実があるとしても、「YOSEMITE」の文字に接する取引者、需要者において、それが本願の指定商品の産地又は販売地であると認識することが妨げられるといえるほどに、実際にヨセミテを訪れる際の注意事項・制限事項やその周辺地域の人口及び産業構造などといった子細な情報が、我が国において広く知られているというべき事情は見当たらないものである。
そうすれば、本願商標をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、それが「ヨセミテ及びその周辺地域で販売、製造等されるストラップ」であるという、商品の品質を表示したものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識としては認識し得ないというべきである。
ウ 請求人は、本願の指定商品の「ストラップ」は、単なる「ひも、つりひも」ではなく、素材にクライミングロープを使用した強靭なストラップであり、この用語が「YOSEMITE」と結合することにより、普通名称又は品質を表示したものではなく、岩山をアタックするクライマーにも安心して使用してもらえるような、使いやすく強靭なストラップという意味合いを持つものとなるのであって、本願商標中の各用語は、それらの語が持つ普通の意味合いを表示するものではなく、それぞれの言葉が結合・融合することにより、全体として不可分一体の、請求人の創作に係る意外性のある一種の造語からなる商標として認識され、把握されるとみるべきである旨主張する。
また、請求人は、上記4の審尋において示された「観光地や観光名所の名称(○○)」を表す文字と「ストラップ」の文字とを結合した「○○ストラップ」の文字を使用している事例は、その事例における商品が携帯電話等に装飾の目的で取り付ける装飾品(チャーム)の部類に属する「ストラップ」であって、本願の指定商品とは用途や形状、価格帯などが異なるものであることなどからすれば、当該事例は本件に係る判断の参考とするべきではない旨主張する。
しかしながら、本願の指定商品は、上記2のとおり、いずれも使用する商品(付随する商品)が特定された「ストラップ」であって、その中に、請求人の主張に係る「素材にクライミングロープを使用した強靭なストラップ」が含まれ得ることは否定できないものの、別掲1にあるような、観光地などの土産物として、地域の形状や観光名所、特産品などをモチーフにしたチャームとともに販売される「ストラップ」も含まれるといえるものであり、また、一般に「ストラップ」といった場合に、もっぱら「素材にクライミングロープを使用した強靭なストラップ」のみが想起されるというべき事情も見当たらないものである。
そうすると、本願の指定商品の表示内容からすれば、それが「単なる「ひも、つりひも」」や、「携帯電話等に装飾の目的で取り付ける装飾品(チャーム)の部類に属する「ストラップ」」ではないとする請求人の主張は、妥当とはいえず、上記(1)のとおり、本願商標よりは「ヨセミテのストラップ(ひも、つりひも)」ほどの意味合いが認識し得るものであり、それが「ヨセミテ及びその周辺地域で販売、製造等されるストラップ」であるという、商品の品質を表示したものと理解されるにとどまるものというのが相当である。
エ 請求人は、著名な観光地名と商品の普通名称とを結合してなる商標について登録を認めた、過去の審決例・決定例を挙げ、それらに見られる判断手法に照らせば、本願商標も登録を認められるべきである主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かの判断は、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と指定商品・指定役務との関係や、その商品又は役務の分野における取引の実情をも踏まえて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、請求人の挙げた審決例・決定例は、商標の構成態様が本願商標とは異なり、本願とは、事案を異にするものというべきであり、また、過去の登録例が存在することをもって、上記判断が左右されるものではない。
オ 請求人は、本願商標は、請求人の業務に係る商品を表示するものとして広く認識されており、仮に、商標法第3条第2項に該当するに足りる高度の周知著名性を具備するに至っているとまでは認められないとしても、その使用実情等からすれば、本願商標は、請求人の取扱いに係る「スマートフォン用ストラップ,カメラ用ストラップ,携帯情報端末用ストラップ」の出所を指標する商標として十分に機能していることは明らかであって、取引者、需要者の間で「ヨセミテ及びその周辺地域で販売、製造等されるストラップ」を意味するものとして理解される可能性は全くない旨主張し、各種資料(甲第3号証ないし甲第7号証、甲第10号証及び甲第25号証)を提出している。
そして、提出された資料によれば、請求人は、2017年以降、本願商標を自己の業務に係る「スマートフォン用ストラップ」及び「カメラ用ストラップ」に使用しており、累計で17万本以上の商品が販売され、その推定売上高は約14億円にのぼり、また、複数の他ブランドとのコラボ商品を製造販売したり、第三者のウェブサイトにおいて複数回商品が紹介されたことなどが認められることからすれば、本願商標は、「スマートフォン用ストラップ」及び「カメラ用ストラップ」の需要者において、請求人の業務に係る商品を表示するものとして、一定程度知られていると考えられるものである。
しかしながら、上記4の審尋において指摘した、商品の販売地域や販売された商品数の内訳(「スマートフォン用ストラップ」「カメラ用ストラップ」それぞれの数)、請求人自身による広告宣伝活動の規模等は依然として不明であり、需要者の認識度合いを客観的に示す資料(アンケート調査の結果等)も提出されていない上、請求人も認めるとおり、本願の指定商品には、請求人が本願商標をいまだ使用していない(将来の商品展開を予定している)商品が含まれていることからすれば、本願商標が、その指定商品を取り扱うすべての分野において、それが「ヨセミテ及びその周辺地域で販売、製造等されるストラップ」であるという、商品の品質を表示したものであると理解されるとはいえないほどに、請求人の業務に係る商品を表示するものとして、広く一般に認識されているとはいえないものである。
カ 請求人は、「YOSEMITE STRAP」の文字からなる商標が請求人以外によって使用されている事実はなく、公益の観点からみて本願商標を拒絶すべき理由は認められない旨主張する。
しかしながら、本願商標は、それ自体としては一般的な使用例が見受けられないとしても、上記(1)のとおり、本願商標を構成する「YOSEMITE」及び「STRAP」の各文字の意味や、「ストラップ」の文字の使用実情など(別掲)に照らせば、本願商標をその指定商品に使用するときには、これに接する取引者、需要者によって、その商品が「ヨセミテ及びその周辺地域で販売、製造等されるストラップ」であることを表示するものとして一般に認識されるものであり、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものというべきものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのは適当でないとともに、自他商品識別力を欠くものというのが相当である。
キ したがって、請求人の上記アないしカの主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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