商標拒絶査定不服審判
2023-020412
エビゾー
- 審判番号
- 2023-020412
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2022-033747
- 請求日
- 2023年12月01日
- 審決日
- 2024年10月15日
- 公報発行日
- 2025年01月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】有限会社アカウントプランニング
- 【請求人代理人】弁理士法人IPRコンサルタント
- 審判長/審判官
- 審判長 大島 康浩
- 審判官 阿曾 裕樹
- 審判官 吉沢 恵美子
- 分類
- T18 .261-Z (W43) / T18 .262-Z (W43) / T18 .263-Z (W43) / T18 .264-Z (W43)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項7号商標法4条1項11号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第55条の2第1項、商標法第4条第1項第7号、商標法第56条、特許法第158条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2022-33747拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和4年3月24日に登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年 8月17日付け:拒絶理由通知書
令和4年 9月30日受付:意見書
令和5年 3月27日付け:拒絶理由通知書
令和5年 4月28日受付:意見書
令和5年 8月31日付け:拒絶査定
令和5年12月 1日 :審判請求書
令和6年 6月10日付け:審尋
令和6年 7月 8日受付:回答書
2 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第43類「もんじゃ焼きを主とする飲食物の提供」を指定役務として登録出願されたものである。
3 原査定の拒絶の理由の要旨
本願商標は、その構成中に「海老蔵」の文字を有してなるところ、これは、歌舞伎界における成田屋の著名な名跡として使用され、代々襲名されている「市川海老蔵」の略称として知られるものである。
そうすると、歌舞伎界における成田屋の著名な名跡を需要者に認識させる本願商標を、成田屋と関係のない出願人が、自己の商標として、その指定役務について独占的に使用することは、重要無形文化遺産として登録されている歌舞伎の運営を阻害するおそれがあり、また、国民や歌舞伎関係者等の反発も否定できない。
したがって、本願商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標であるから、商標法第4条第1項第7号に該当する。
4 当審における審尋
当審において、審尋(令和6年6月10日付け)により、本願商標は、原審において通知した拒絶理由(令和4年8月17日付け拒絶理由通知書)の理由2で引用された登録第6107957号商標(以下「引用商標」という。)と類似する商標であり、本願商標の指定役務と引用商標の指定役務とは類似するから、商標法第4条第1項第11号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、これに対する意見を求めた。
5 審尋に対する請求人の回答(要旨)
(1)審尋で指摘されている商標法第4条第1項第11号該当性は、拒絶査定の理由とは異なるものであり、拒絶理由通知書の形式で通知されるべきものである。したがって、今回の審尋は商標法第55条の2第1項に違反する不適法な手続であり、また審判便覧にも反するものであるから、この不適法でかつ明らかに不当な審尋の撤回を求める。
(2)本願商標に接した需要者・取引者は、独特な海老様図形に強く印象付けられ、格別の特徴を有しない文字要素は本願商標において付加的な意味合いを持つにすぎないから、本願商標が「海老蔵」の文字に応じて「エビゾウ」の称呼を生じるとしても、強い印象を与える図形要素を無視し、称呼の共通性だけを重視して類否判断を行うことは不自然である。さらに、引用商標「えび蔵」と本願商標に含まれる「海老蔵」とは、異なる文字構成であり、需要者・取引者に対して異なる印象を与える。
(3)本願商標の指定役務と引用商標の指定役務は、飲食業という広い意味では共通するとしても、事業の実態として明らかに異なる。
6 当審の判断
(1)本願商標と引用商標の類否
ア 本願商標について
本願商標は、別掲のとおり、黒地の円内右側に円弧に沿うように丸まった海老の図形(赤色)を配し、円内左側に「海老蔵」の漢字(白色)を縦書きし、その下にへらと覚しき図形(白色)を配した構成よりなるものである。
そして、その構成中「海老蔵」の文字部分は、黒地の円内に、他の構成要素(海老及びへらの図形)とともに配置されているものの、目立つ位置に、相応の大きさ、かつ、読み取りやすい色と書体で、唯一の文字部分として明瞭に記載されているから、外観上、見る者に強い印象を与えるとともに、看者の注意を強く引くものである。
また、本願商標の構成中「海老蔵」の文字部分は、辞書等に掲載された成語ではなく、その他の構成要素(海老及びへらの図形)とは、その意味合いにおいて密接な関連性を有しているものではなく、称呼における関連性もない。
そうすると、本願商標は、「海老蔵」の文字部分とその他の図形部分(海老及びへらの図形)とを、分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものではなく、それぞれが独立して出所識別機能を発揮し得る要部といえる。
以上によれば、本願商標は、その要部である「海老蔵」の構成文字に相応して、「エビゾー」の称呼が生じるが、特定の観念は生じない。
イ 引用商標について
引用商標は、「えび蔵」の文字を標準文字で表してなり、平成30年3月19日に登録出願、第30類「調理済み麺類,調理済みのラーメン,即席ラーメン,ラーメン用のつゆ」及び第43類「麺類を主とする飲食物の提供,ラーメンの提供」を指定商品及び指定役務として、同年12月21日に設定登録されたものである。
そして、引用商標の構成文字は、辞書に掲載された成語ではない。
そうすると、引用商標は、その構成文字に相応して、「エビゾー」の称呼が生じるが、特定の観念は生じない。
ウ 本願商標と引用商標の比較
本願商標の要部である「海老蔵」の文字部分と引用商標を比較すると、漢字と平仮名の差違があるとしても、「エビゾー」と発音できる同一の語を表してなる点で共通するから、記憶される印象は近似したものとなる。
次に、両商標から生じる「エビゾー」の称呼は同一である。
さらに、両商標は、いずれも特定の観念を生じるものではなく、比較できない。
そうすると、本願商標と引用商標は、観念において比較できないとしても、称呼が同一で、外観において記憶される印象が近似したものとなるから、それらによって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両商標は、互いに相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
(2)本願商標の指定役務と引用商標の指定役務の類否
本願の指定役務「もんじゃ焼きを主とする飲食物の提供」と、引用商標の指定商品及び指定役務中、第43類「麺類を主とする飲食物の提供,ラーメンの提供」は、いずれも飲食物を提供する飲食店により提供される役務であり、需要者の範囲も一般需要者である点で共通するから、それらを総合的に考慮すれば、同一又は類似の商標を使用するときは、同一事業主の提供する役務であると誤認されるおそれがあり、類似する役務というべきである。
したがって、本願商標の指定役務は、引用商標の指定役務と同一又は類似する。
(3)請求人の主張について
請求人は、審尋で指摘されている商標法第4条第1項第11号該当性は、拒絶査定の理由とは異なるものであり、拒絶理由通知書の形式で通知されるべきものであるから、当審における審尋は商標法第55条の2第1項に違反する不適法な手続である旨主張する。
しかしながら、審査と拒絶査定不服審判とは続審であり、商標法第56条で準用する特許法第158条によれば、「審査においてした手続は、拒絶査定不服審判においても、その効力を有する」とされるから、原審で通知された拒絶理由(引用商標に基づく商標法第4条第1項第11号該当性)は、当審において改めて通知しなくとも効力を有する。そして、当審においては、当該拒絶理由は原査定の根拠とはされていないことに鑑みて、審尋により請求人に念のため反論の機会を与えたものであり、その手続に何ら瑕疵はない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標は、引用商標と類似する商標であって、それら指定役務は同一又は類似するから、商標法第4条第1項第11号に該当し、同法第4条第1項第7号に該当しないとしても、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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