商標拒絶査定不服審判
2023-020171
ハイスペックガレージキット、ハイスペック、スペック、ガレージキット
- 審判番号
- 2023-020171
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2022-103220
- 請求日
- 2023年11月29日
- 審決日
- 2025年10月09日
- 公報発行日
- 2025年11月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社ボークス
- 【請求人代理人】前川 真貴子
- 審判長/審判官
- 審判長 大橋 良成
- 審判官 馬場 秀敏
- 審判官 吉田 聡一
- 分類
- T18 .13 -WY (W28) / T18 .17 -WY (W28)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第3条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2022-103220拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願商標は、登録すべきものとする。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和4年9月6日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和5年 3月 7日付け:拒絶理由通知書
令和5年 7月18日 :意見書、手続補正書の提出
令和5年 7月19日 :物件提出書(甲第1号証ないし甲第12号証)の提出
令和5年 8月17日付け:拒絶査定
令和5年11月29日 :審判請求書の提出
令和6年 1月15日 :物件提出書(甲第20号証ないし甲第31号証)の提出
2 本願商標
本願商標は、別掲1の構成よりなり、第28類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、登録出願されたものであり、その後、指定商品については、上記1の手続補正により、第28類「小規模に生産されるロボット型の人形の組み立てセット,小規模に生産されるロボット型のおもちゃの組み立てセット」と補正されたものである。
3 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、「HIGH‐SPEC」「GARAGE KIT」の文字を普通に用いられる方法で二段で横書きしてなるものであり、その構成中の「HIGH‐SPEC」の文字は、「高性能の」の意味を有する語であり、「GARAGE KIT」の文字は、「小規模に生産される模型などの組立キット」を示す語として一般的に使用されているから、全体で「高性能の小規模に生産される模型などの組立キット」ほどの意味合いを容易に認識するものである。また、本願の指定商品を取り扱う業界において、「高性能」「ハイスペック」といった語が商品を説明する表現として親しまれている実情が見受けられる。そうすると、本願商標を、その指定商品に使用しても、これに接する需要者は、単に「高性能の小規模に生産される模型などの組立キット」であることを認識するにすぎないから、本願商標は、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものと判断するのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。加えて、提出された書類によっては、本願商標が使用された結果需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識できるものになったということはできないから、商標法第3条第2項の要件を具備するとはいえない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
4 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、別掲1のとおり、「HIGH‐SPEC」「GARAGE KIT」の文字を普通に用いられる方法で二段で横書きしてなるところ、その構成中の「HIGH‐SPEC」の文字は、「高性能の」の意味を有する語であり、「GARAGE KIT」の文字は、模型等を取り扱う業界において、「小規模に生産される模型などの組立キット」を示す語として一般的に使用されているものである(別掲2参照)。
そして、本願指定商品を含む模型及び玩具等を取り扱う業界においては、「ハイスペックキット」「ハイスペック・・・フィギュア」「HIGH SPEC SERIES」等、「ハイスペック」「HIGH SPEC」の文字が、「高性能の」ほどの意味合いで使用されている実情を確認できる(別掲2及び別掲3参照)。
以上の各語の意味合い及び取引の実情を考慮すると、本願商標は、その指定商品との関係で、「高性能の小規模に生産される模型などの組立キット」ほどの意味合いを容易に認識させるものであり、これをその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者は、前記意味合い、すなわち、単にその商品の品質を表示しているものと認識するにとどまるというのが相当である。
したがって、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と判断するのが相当であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)商標法第3条第2項の要件を具備するか否かについて
請求人は、「本願商標を付したGK(審決注:「GK」の記載は「ガレージキット」と読み替える。以下同じ。)は15年という長期間に亘って、日本全国で販売されており、また、ロボット型の人形等のGKの業界において出願人の商品のシェア率は高いと推察」され、「本願商標はロボット型の人形等のGKに対して既に周知・著名性を獲得している商標であり、商標法第3条第2項の規定により登録を受けるべき商標である」旨主張し、甲第1号証ないし甲第12号証及び甲第20号証ないし甲第31号証を提出している(以下、証拠の表記に当たっては、甲第1号証を「甲1」のように記載する。)。
そこで、請求人の主張及び同人の提出に係る証拠について、以下検討する。
ア 請求人は、個人の創作活動が盛んな業界にあって、小規模なメーカーが数多く撤退する中、2022年に創業50周年を迎えた総合的なガレージキットメーカーであり(甲1)、2008年頃から現在まで継続して、永野衛氏原作の漫画「ファイブスター物語」のロボット型の人形等のガレージキット(甲29)に対して、本願商標及び「HIGH-SPEC GARAGE KIT」の文字を使用しており(甲9等)、それら商品は、北海道、宮城県、栃木県、東京都、神奈川県、愛知県、京都府、兵庫県、広島県、及び福岡県の全14店舗の請求人の直営店、及び請求人のオンラインストアを通じて販売されている(甲20)。また、請求人は、直営店舗で開催する販売イベントのほか、年間2回程度、TRC東京流通センターにおいて展示販売イベントを開催しており、2023年10月開催時には約1,100名が参加したとされる(甲21)。
イ 模型等業界で知られている発行部数110,000部を有するホビー雑誌である「月刊ホビージャパン」において、2009年頃から現在に至るまで継続して本願商標及び「HIGH-SPEC GARAGE KIT」の文字と共に請求人のロボット型の人形等のガレージキットが掲載されている(甲3)。また、YAHOO JAPANニュース、ホビージャパンウェブ、HOBBY WATCH WEB等のWEBニュースにおいても頻繁に本願商標及び「HIGH-SPEC GARAGE KIT」の文字が使用されていることが確認できる(甲5~甲8等)。さらに、2023年10月31日に株式会社ホビージャパンから請求人に係るロボットのガレージキットを特集した雑誌が発行され(発行部数15,000部)、その中においても、本願商標及び「HIGH-SPEC GARAGE KIT」の文字が多用されており(甲29)、それらは各種書店、オンラインストアで販売されている(甲30)。
ウ 小括
上記ア及びイによれば、請求人は、2008年頃から、本願商標及びこれと同一視できる「HIGH-SPEC GARAGE KIT」の文字を本願指定商品に継続的に使用しており、その商品の販売地域は、全国の直営店のほか、通信販売も行っていることや各種展示販売イベントの内容等から全国に及ぶことが容易に推認され、本願商標を付した本願指定商品についての記事が、継続的に請求人発行物、並びに第三者の雑誌及びWEBニュース等に掲載されていることがうかがえる。
さらに、本願商標及び「HIGH-SPEC GARAGE KIT」の文字は、請求人以外の使用は見受けられない。
以上を総合的に考慮すれば、請求人は、小規模生産のガレージキッドと称される組み立て式のロボット型人形を取り扱う比較的ニッチな市場において、当該商品の販売を開始した2008年頃より自らの展示販売イベントや、業界誌やWebニュース等のメディアを通じた宣伝広告等を継続的に行った結果、本願指定商品である「小規模に生産されるロボット型の人形の組み立てセット,小規模に生産されるロボット型のおもちゃの組み立てセット」について、請求人の業務にかかる商品であることを表すものとして、上記商品を愛好する需要者に認識されるに至っているというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものとして、商標登録を受けることができるものである。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものの、同条第2項の規定により商標登録を受けることができるものであるから、原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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