商標拒絶査定不服審判
2023-019939
ドッグビラ
- 審判番号
- 2023-019939
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2022-124302
- 請求日
- 2023年11月27日
- 審決日
- 2025年03月06日
- 公報発行日
- 2025年05月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社ブッキングリゾート
- 【請求人代理人】マークス国際弁理士法人
- 【請求人代理人】三上 真毅
- 審判長/審判官
- 審判長 大橋 良成
- 審判官 渡邉 あおい
- 審判官 渡邉 潤
- 分類
- T18 .13 -Z (W43) / T18 .272-Z (W43)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号商標法4条1項16号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第1条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2022-124302拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和4年10月31日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和5年 4月19日付け:拒絶理由通知書
令和5年 6月28日 :意見書の提出
令和5年 8月21日付け:拒絶査定
令和6年11月27日 :審判請求書の提出
令和6年12月17日付け:審尋
令和7年 1月20日 :意見書の提出
第2 本願商標
本願商標は、「ドッグヴィラ」の文字を標準文字で表してなり、第43類に属する別掲に記載のとおりの役務を指定役務として登録出願されたものである。
第3 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、「ドッグヴィラ」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「ドッグ」の文字は「犬」の意味を、「ヴィラ」の文字は「別荘」の意味を有する語であるところ、「ドッグヴィラ」の語は、「愛犬と泊まれる宿」ほどの意味合いをもって実際に使用されている実情がある。そうすると、本願商標を、その指定役務中、「愛犬と泊まることができる宿泊施設の提供,愛犬と泊まることができる宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,愛犬と泊まることができる動物の宿泊施設の提供,愛犬と泊まることができる一時宿泊施設の提供のための受付及び案内(鍵の授与),愛犬と泊まることができるテントの貸与,愛犬と泊まることができる可搬式建築物の貸与,インターネットによる愛犬と泊まることができる宿泊の予約の取次ぎ,愛犬と泊まることができる宿泊施設の予約状況に関する情報の提供」に使用した場合、これに接する需要者は、当該役務が「愛犬と泊まることができる宿等に関する役務」であること、すなわち、単に、役務の質を普通に用いられる方法で表示したものとして認識するというべきである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第4 当審における審尋
当審において、上記第1の審尋により、請求人に対し、別掲1ないし別掲3のとおりの事実を提示した上で、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、これに対する回答を求めた。
第5 審尋に対する請求人の回答(要旨)
請求人は、上記第4の審尋に対し、令和7年1月20日受付の意見書を提出し、要旨、以下のとおりの意見を述べた。
1 「ドッグヴィラ」の語は、請求人の事業に関連して、又は、当該事業を指称するものとして使用されている。請求人がインターネット検索をしたところによると、「ドッグヴィラ」又は「DOGVILLA」の文字を使用している宿泊施設は、原審で提示された5件以外に、国内に7件しかなく、当該使用をもって、本願の指定役務を取り扱う業界において、「ドッグヴィラ」の文字が、具体的な役務の質等を表示するものとして一般に使用されていると到底いい得るものではない。そして、これらの使用は、請求人の営業努力により、業界内で広く知られるに至った商標「ドッグヴィラ」及びその業務上の信用を無断で使用しているにすぎないものであり、出願から2年以上経過した後に、無断で使用する事業者が現われたことをもって、本願商標の識別力が否定されることは、「商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図る」商標法の法目的(商標法第1条)に反するものであり、到底容認されるものではない。
2 本願の指定役務を「ペット(愛犬)と泊まることができる宿泊施設の提供」等に補正することにより、原査定が解消するのであれば、そのように補正する意向がある。
3 本願商標と同様の意味合いが生じる語などの過去の登録例があり、本願商標も、同様に取り扱われるべきである。
第6 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号について
商標法第3条第1項第3号が、「その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、形状(包装の形状を含む。)、生産若しくは使用の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格」又は「その役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、態様、提供の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格」を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標について商標登録を受けることができない旨規定しているのは、このような商標は、指定商品又は指定役務との関係で、「その商品の産地、販売地、品質、形状その他の特性」又は「その役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途その他の特性」を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品又は自他役務の識別力を欠くものであることによるものと解される。
そうすると、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには、審決の時点において、本願商標が、その指定商品又は指定役務との関係で、「その商品の産地、販売地、品質、形状その他の特性」又は「その役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途その他の特性」を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本願商標の指定商品又は指定役務の取引者及び需要者によって本願商標がその指定商品又は指定役務に使用された場合に、将来を含め、商品の上記特性を表示したものと一般に認識されるものであれば足りると解される(知財高裁平成27年(行ケ)第10107号同年10月21日判決、知財高裁平成27年(行ケ)第10061号同年9月16日判決参照)。
そして、商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質(役務の質)を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解されるものである(東京高裁平成12年(行ケ)第76号同年9月4日判決参照)。
2 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、「ドッグヴィラ」の片仮名を標準文字で表してなるところ、その構成中の「ドッグ」の文字は、「犬」の意味を、「ヴィラ」の文字は、「別荘」(いずれも「広辞苑 第七版」発行者:株式会社岩波書店)の意味を有する語であるところ、別掲1のとおり、「ヴィラ」の文字は、別荘のように過ごすことができる戸建てタイプの宿泊施設を表す語として使用されている。
そして、別掲2のとおり、昨今、愛犬などペットと一緒に泊まれる宿が増加しているといわれているところ、別掲3のとおり、愛犬と一緒に過ごせる宿泊施設が、「ドッグヴィラ」、「Dog Villa(DOG VILLA)」と称されていることが確認できる。
そうすると、本願商標の構成文字の語義及び上記取引の実情をも併せ考慮すれば、本願商標は、その構成文字全体から、「愛犬と過ごせる宿泊施設」ほどの意味合いを認識、理解させるものであり、これを、その指定役務に使用しても、これに接する取引者・需要者は、当該役務が「愛犬と過ごせる宿泊施設に関する役務」であることを理解するにとどまるから、本願商標は、役務の質(内容)を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、本願商標を、その指定役務中、「愛犬と過ごせる宿泊施設に関する役務」と関連のない役務について使用をするときは、役務の質(内容)の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。
3 請求人の主張について
(1)請求人は、「「ドッグヴィラ」の語は、請求人の事業に関連して、又は、当該事業を指称するものとして使用されている。請求人がインターネット検索をしたところによると、「ドッグヴィラ」又は「DOGVILLA」の文字を使用している宿泊施設は、原審で提示された5件以外に、国内に7件しかなく、当該使用をもって、本願の指定役務を取り扱う業界において、「ドッグヴィラ」の文字が、具体的な役務の質等を表示するものとして一般に使用されていると到底いい得るものではない。そして、これらの使用は、請求人の営業努力により、業界内で広く知られるに至った商標「ドッグヴィラ」及びその業務上の信用を無断で使用しているにすぎないものであり、出願から2年以上経過した後に、無断で使用する事業者が現われたことをもって、本願商標の識別力が否定されることは、「商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図る」商標法の法目的(商標法第1条)に反するものであり、到底容認されるものではない。」旨主張する。
しかしながら、上記1のとおり、本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性の判断において問題となるのは、本願商標をその指定役務に使用したときに、これに接する取引者、需要者が、本願商標を、役務の質(内容)を表示するものとして認識するのか否かということであって、このことは、「ドッグヴィラ」又は「DOGVILLA」の文字が、役務の質(内容)を表示するものとして、現に一般に使用されているか否かのみによって決せられるものではない。
また、仮に、「ドッグヴィラ」の語が、請求人の事業に関連して、又は、当該事業を指称するものとして使用されているものであるとしても、そのことをもって、一般的な取引の実情とまで判断することはできない。むしろ、上記2のとおり、本願商標の語義及び別掲1ないし別掲3で提示した取引の実情をも併せ考慮すれば、本願商標は、その構成文字全体から、「愛犬と過ごせる宿泊施設」ほどの意味合いを認識、理解させるものであり、これを、その指定役務に使用しても、これに接する取引者・需要者は、当該役務が「愛犬と過ごせる宿泊施設に関する役務」であることを理解するにとどまるから、本願商標は、役務の質(内容)を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものである。
また、本願商標を、その指定役務中、「愛犬と過ごせる宿泊施設に関する役務」と関連のない役務について使用をするときは、役務の質(内容)の誤認を生ずるおそれがあるものといえる。
(2)請求人は、「本願の指定役務を「ペット(愛犬)と泊まることができる宿泊施設の提供」等に補正することにより、原査定が解消するのであれば、そのように補正する意向がある。」旨主張する。
しかしながら、上記(1)のとおり、本願商標は、「愛犬と過ごせる宿泊施設」ほどの意味合いを認識、理解させるものであり、本願の指定役務を上記のように補正したとしても、なお本願商標は、役務の質(内容)を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものであるから、原査定の拒絶の理由は解消しない。
(3)請求人は、「本願商標と同様の意味合いが生じる語などの過去の登録例があり、本願商標も、同様に取り扱われるべきである。」旨主張する。
しかしながら、出願された商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かは、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、これに接する取引者、需要者の認識を基準として判断されるべきであり、当該商標の構成態様と指定役務との関係や役務の取引の実情をも踏まえて、個別具体的に判断されるものであって、他の登録例の存在によって、本願商標が同項第3号に該当するという判断が左右されるものではない。
(4)したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができず、その他、請求人の主張は、採用するべき事情はない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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