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特許拒絶査定不服審判

2023-019879

屈折異常を判定するための方法及び装置

審判番号
2023-019879
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2022-566104
請求日
2023年11月24日
審決日
2025年07月28日
公報発行日
2026年01月30日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】カール ツァイス ヴィジョン インターナショナル ゲーエムベーハー
  • 【請求人代理人】杉村 憲司
  • 【請求人代理人】杉村 光嗣
審判長/審判官
  • 審判長 南 宏輔
  • 審判官 北島 拓馬
  • 審判官 宮澤 浩
分類
P18 .121-WZ (A61B) / P18 .537-WZ (A61B) / P18 .14 -WZ (A61B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

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特願2022-566104「屈折異常を判定するための方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔令和3年11月4日国際公開、WO2021/219728、令和5年4月13日国内公表、特表2023-515716〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2021年(令和3年)4月28日(パリ条約に基づく優先権主張外国庁受理 2020年(令和2年)4月29日 欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、令和5年4月6日付けで拒絶理由が通知され、これに対して同年7月3日に意見書の提出とともに手続補正がなされ、同年7月25日付けで拒絶査定がされ、その後、同年11月24日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされた。 その後、令和7年3月17日付けで拒絶理由を通知し、これに対して、同年6月16日に意見書の提出とともに手続補正がなされた。 第2 本件発明 本願の請求項1~28に係る発明は、令和7年6月16日になされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~28に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は、次のとおりのものである。 「 装置(110)を使用して、ユーザ(114)の少なくとも1つの眼(112)の少なくとも1つの屈折異常を決定するための方法(210)であって、 a)スクリーン(118)を使用して、少なくとも1つの空間変調(132)を含む少なくとも1つの画像(120)を前記ユーザ(114)に表示するステップ、 c)評価ユニット(150)を使用して、前記少なくとも1つの画像(120)における前記少なくとも1つの空間変調(132)の少なくとも1つの変化に対する前記ユーザ(114)の反応によって前記ユーザ(114)の知覚閾値が示される時点を検出するステップ、及び d)前記評価ユニット(150)を使用して、前記時点での前記少なくとも1つの画像(120)における前記少なくとも1つの空間変調(132)から、前記ユーザ(114)の前記少なくとも1つの眼(112)の前記少なくとも1つの屈折異常の値(220)を決定するステップ を含む、方法(210)において、 前記少なくとも1つの画像(120)が、複数の画像要素(130)を有するソース画像(128)を含み、少なくとも1つの画像パラメータの値が、前記複数の画像要素(130)に割り当てられており、前記少なくとも1つの画像(120)における前記少なくとも1つの空間変調(132)は、前記複数の画像要素(130)の前記少なくとも1つの画像パラメータの前記値が前記少なくとも1つの画像(120)における前記少なくとも1つの空間変調(132)の前記少なくとも1つの変調パラメータの値を定めることによって生成され、 前記ユーザ(114)の前記少なくとも1つの眼(112)の前記屈折異常の前記値(220)が、前記少なくとも1つの画像(120)を復調することによって決定され、ここで、変調パラメータによって変調された前記少なくとも1つの画像(120)を復調することは、その時点における前記少なくとも1つの画像(120)を光学的又は解析的にフィルタリングすることを含む、ことを特徴とする、方法(210)。」 第3 令和7年3月17日付けで通知した拒絶理由の概要 審判合議体が令和7年3月17日付けで通知した拒絶理由は、この出願の請求項1~30に係る発明は、その優先権主張の日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先権主張の日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。 <引用文献等一覧> 引用文献1:Torsten Strasser,Bettina Spieth,Eberhart Zrenner, Dorothea Besch,and Carina Kelbsch,Can you see the panda? Visual acuity assessment using the pandacuity test in children- preliminary results, ARVO Annual Meeting Abstract, IOVS 59(9),July 2018 引用文献2:特開昭61-284228号公報 引用文献3:特開平5-253187号公報 引用文献4:特開2005-342042号公報 引用文献5:特開2015-223518号公報 引用文献6:国際公開第2014/133166号 引用文献7:特表2018-518231号公報 なお、引用文献1を主引用発明が記載された文献として引用し、引用文献2~7を、それぞれ、周知技術が記載された文献として引用している。 第4 当審の判断 1 引用文献に記載された発明及び周知技術 (1) 引用文献1に記載された発明 ア 引用文献1の記載事項 審判合議体が令和7年3月17日付けで通知した拒絶の理由で、主引用発明が記載された文献として引用され、本願の優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、Torsten Strasser,Bettina Spieth,Eberhart Zrenner,Dorothea Besch,and Carina Kelbsch,Can you see the panda? Visual acuity assessment using the pandacuity test in children-preliminary results,ARVO Annual Meeting Abstract,IOVS 59(9),July 2018(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、以下の記載事項がある。なお、括弧内に当審による翻訳文を付した。また、引用発明の認定に用いた箇所に下線を付した。 (ア)「Purpose : Visual acuity (VA) testing in preschool or developmentally delayed children can be challenging and is highly reliant on the child’s compliance. Typically used acuity charts with simple optotypes (e. g. Landolt-C, Snellen-E, LEA) could bore the child, making it difficult to distinguish between non-compliance and decreased VA. At ARVO 2017, we presented an approach for assessing VA using the hidden panda illusion, in which the silhouette of a panda is formed by varying the thickness of zig-zagged lines (Fig. 1a). We found a linear relationship between the spatial frequency of the lines and the VA. Here we present results of a pilot study on using the hidden panda illusion for assessing VA in preschool children.」 (目的:就学前児童や発達遅滞児童の視力検査は困難を伴うことがあり、児童の従順さに大きく依存する。通常使用される視力検査表は、単純な視力検査表(ランドルトC、スネレンE、LEAなど)であるため、児童が退屈してしまい、従順でないことと、視力が低下していることの区別を困難となる。ARVO2017において我々は、隠れパンダの錯視を使用した視力評価の手法を発表した。この錯視では、ジグザグ線の太さを変えることでパンダのシルエットが形成される(図1a)。我々は、線の空間周波数と視力の間には線形関係があることを発見した。ここで、我々は、隠れパンダの錯視を使用して就学前児童の視力を評価するための予備的な研究の結果について紹介する。) (イ)「Methods : A flip book (30x30 cm, Fig. 1b) with a panda illusion-like image with decreasing VA score on each page was created based on the linear relationship described previously (Fig. 1c). The pandacuity test was performed on both eyes of 20 randomly selected children (4-12 yrs, Fig. 2a) in addition to conventional VA testing (depending on the child’s capabilities: Snellen-E, LEA symbols, or numbers) during a routine visit to the pediatric ophthalmology unit of the University Eye Hospital Tuebingen. Acuity charts were presented at 3 m distance and performed monocularly with best corrected visual acuity in a quiet room with standardized lighting by a trained orthoptist. LogMAR scaled VA scores of both eyes were used for statistical analysis.」 (方法:上記線形関係に基づき、各ページ毎に視力スコアが減少するようにパンダ錯視画像を配置したフリップブック(30×30cm、図1b)を作成した(図1c)。 テュービンゲン大学眼科病院の小児眼科を定期的に受診する、無作為に選択された20人の小児(4~12歳、図2a)の両眼に対し、従来の視力検査(小児の適応力に応じて、スネルレンE、LEA記号、又は、数字)に加えて、パンダ視力検査を実施した。視力検査表を3mの距離に提示し、訓練された視能訓練士により、標準的な照明の静かな部屋で、単眼に対して最良矯正視力で行った。両眼のLogMARスケール視力スコアを統計解析に使用した。) (ウ)「Results : All children completed the test successfully. One eye was excluded since the child could not complete the test. VA assessed using conventional eye charts showed a strong correlation to VA assessed using the pandacuity test (r = .78, n = 39, p < .001, Fig. 2b). A two-tailed paired sample t-test showed no statistically significant differences between the two methods (t(38) = -1.3838, p = .1751, MD = 0.06, Fig. 2c).」 (結果:すべての小児が検査を無事完了した。検査を完了できなかった1つの目を除外した。従来の視力検査表を使用して評価した視力は、パンダ視力検査を使用して評価した視力と強い相関関係を示した(r=.78、n=39、p<.001、図2b)。対応のあるサンプルの両側t検定では、2つの方法の間に統計的有意差は見られなかった(t(38)=-1.3838、p=.1751、MD=0.06、図2c)。) (エ)「Conclusions : The pandacuity test is rapid, simple and well-accepted, making it a suitable addition to conventional acuity testing for clinical assessment of VA in children. Because of its counter-intuitive application (more seen images means worse VA), it can be used to cross-validate conventional acuity tests to assure the child's compliance. We plan to validate the pandacuity test in comparison to conventional VA testing in a prospective study including 150 children.」 (結論:パンダ視力検査は、迅速で、簡単で、広く受け入れられるため、小児の視力の臨床評価において、従来の視力検査に追加するのに適している。直感に反する用途(画像が多く表示されるほど視力が低下する)のため、このテストは、従来の視力テストを相互検証するために使用され、子供のコンプライアンスを保証する。150人の小児を対象とした研究を今後行い、従来の視力検査と比較し、パンダ視力検査の検証を行う予定。) イ 引用発明 引用文献1の上記記載に基づけば、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「隠れパンダの錯視を使用した就学前児童の視力を評価する視力評価方法であって、従来の視力検査表を使用して評価した視力と、パンダ視力検査を使用して評価した視力とは、強い相関関係を示すものであり、 各ページ毎に視力スコアが減少するようにパンダ錯視画像を配置したフリップブックを作成し、このパンダ錯視画像は、ジグザグ線の太さを変えることでパンダのシルエットが形成され、このジグザグ線の空間周波数と視力の間には線形関係があり、 従来の視力検査表に加えてパンダ錯視画像を3mの距離に提示し、訓練された視能訓練士により、標準的な照明の静かな部屋で、単眼に対して最良矯正視力で行う、視力評価方法。」 (2)周知技術 ア 引用文献2の記載事項 審判合議体が令和7年3月17日付けで通知した拒絶の理由で、周知技術が記載された文献として引用され、本願の優先権主張の日前に頒布された引用文献である、特開昭61-284228号公報(昭和61年12月15日出願公開、以下「引用文献2」という。)には、図面とともに、以下の記載事項がある。なお、周知技術の認定に用いた箇所に下線を付した。 「特許請求の範囲 1.視標を提示する視標呈示手段と、前記視標に対する応答を入力する応答入力手段と、該応答入力手段による入力内容から視力値を決定する視力決定手段と、該視力決定手段による視力値を出力する視力値出力手段とを有し、呈示すべき視標群を任意に設定する呈示視標群設定手段を設けたことを特徴とする自動視力検査装置。 2.前記視標呈示手段は選択的に視標を1個ずつ呈示するようにした特許請求の範囲第1項に記載の自動視力検査装置。 3.前記応答入力手段を多方向入力装置とした特許請求の範囲第1項に記載の自動視力検査装置。 4.前記視力決定手段をマイクロプロセッサによる制御部とプログラム部とにより構成した特許請求の範囲第1項に記載の自動視力検査装置。」 イ 引用文献3の記載事項 審判合議体が令和7年3月17日付けで通知した拒絶の理由で、周知技術が記載された文献として引用され、本願の優先権主張の日前に頒布された引用文献である、特開平5-253187号公報(平成5年10月5日出願公開、以下「引用文献3」という。)には、図面とともに、以下の記載事項がある。なお、周知技術の認定に用いた箇所に下線を付した。 「【請求項1】 被検査者の視力の程度を判断するために種々のサイズの文字・図形を備えた視力判断手段と、 前記視力判断手段の文字・図形を被検査者に示す指示手段と、 被検査者の解答を受領する音声入力手段と、 この音声入力手段から入力された音声を認識する音声認識手段と、 この音声認識手段で認識した被検査者の解答と指示手段で示された文字・図形とが一致しているかどうかを判断する比較手段と、 この比較手段での判断の結果、解答が正しい場合にはさらに小さい文字・図形を、解答が誤っている場合には同じ大きさの文字・図形を所定回数指示するよう指示手段を制御して、どのレベルの文字・図形まで判読できるかを決定する視力決定手段とを具備したことを特徴とする視力検査装置。」 ウ 引用文献4の記載事項 審判合議体が令和7年3月17日付けで通知した拒絶の理由で、周知技術が記載された文献として引用され、本願の優先権主張の日前に頒布された引用文献である、特開2005-342042号公報(平成17年12月15日出願公開、以下「引用文献4」という。)には、図面とともに、以下の記載事項がある。なお、周知技術の認定に用いた箇所に下線を付した。 (ア)「【技術分野】 【0001】 本発明は、被検者に各種の視標を提示し、その視標の見え方に基づいて被検眼の視力値を求める自覚検査を行う検眼装置に関するものである。」 (イ)「【0043】 (光学系の構成) 次に、光学ヘッド部5l、5rに格納された、被検者4の左右眼の屈折力を測定するための測定光学系の構成について詳細に説明する。まず、被検者4の左眼に対する測定を行う光学ヘッド部5lの測定光学系は、・・・前眼部撮影光学系30Lと、XYアライメント光学系31Lと、固視光学系32Lと、屈折力測定光学系33Lとを含んで構成されている。 ・・・ 【0049】 固視光学系32Lは、各種の視標(チャート)を表示する液晶表示器53と、この液晶表示器53からの光を反射するハーフミラー54と、コリメータレンズ55と、斜位検査においてプリズム度数及びプリズム基底方向を調整するためのロータリープリズム55A、55Bと、反射ミラー56と、被検眼ELを固視雲霧するときなどに用いられる移動レンズ57と、リレーレンズ58、59と、乱視検査において乱視度数及び乱視軸角度を調整するためのバリアブルクロスシリンダレンズ(VCCレンズ)59A、59Bと、反射ミラー60と、ダイクロイックミラー61、39と、対物レンズ38と、プリズムPとを備えている。」 (ウ)「【0080】 (1)視力測定 ステップS21に示す視力測定では、例えば図15(A)に示すような視力測定用の視標(ランドルト環100)が被検者4に提示される。この視標の提示処理は、制御部80によりランドルト環100の画像が光学ヘッド部5rの液晶表示器53に表示され、その画像を固視光学系32Rにより右被検眼ERに投影させることによってなされる。提示されるランドルト環100は、その切れ目101が8方向(上、下、右、左、右上、右下、左上、左下)のいずれかの方向に位置するように形成される。図15(A)に示すランドルト環100は、右方向に切れ目101が形成されている。なお、4方向(上下左右)のいずれかに切れ目をもつランドルト環を使用することもできる。 ・・・ 【0085】 制御部80は、前述の制御プログラムにしたがい、被検者4の応答の正誤に対応して視標を被検者4に順次提示することにより、右被検眼ERの視力値を決定する。制御部80は、その視力値を自身の記憶装置やコンピュータ装置90の記憶装置に格納する。」 エ 引用文献5の記載事項 審判合議体が令和7年3月17日付けで通知した拒絶の理由で、周知技術が記載された文献として引用され、本願の優先権主張の日前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2015-223518号公報(平成27年12月14日出願公開、以下「引用文献5」という。)には、図面とともに、以下の記載事項がある。なお、周知技術の認定に用いた箇所に下線を付した。 (ア)「【技術分野】 【0001】 この発明は眼科装置に関する。」 (イ)「【発明を実施するための形態】 【0011】 〔第1実施形態〕 第1実施形態に係る眼科装置は、任意の自覚検査および任意の他覚検査の少なくとも一方を実行することが可能である。以下の第1実施形態に係る眼科装置は、自覚検査として、遠用検査、近用検査、コントラスト検査、グレア検査などを実行可能であり、かつ、他覚検査として、他覚屈折測定、角膜形状測定などを実行可能な検眼装置である。しかしながら、本発明に係る眼科装置はこれに限定されるものではない。 ・・・ 【0018】 (光学系の構成) 眼科装置1は被検眼の検査を行うための光学系を有する。この光学系の構成例について図2~図6を参照して説明する。光学系はヘッド部4内に設けられている。光学系は、観察系12と、固視標投影系13と、他覚式測定系14と、自覚式測定系15と、アライメント系16および17とを含む。処理部9は、各種の処理を実行する。 【0019】 観察系12は、被検眼Eの前眼部を観察するための機能を有する。固視標投影系13は、被検眼Eに固視標を提示するための機能を有する。他覚式測定系14は、他覚検査を行うための機能を有する。本例の他覚式測定系14は、被検眼Eの眼底Efに所定の測定パターンを投影する機能と、眼底Efに投影された測定パターンの像を検出する機能とを有する。自覚式測定系15は、自覚検査を行うための機能を有する。本例の自覚式測定系15は、被検眼Eに視標を提示する機能を有する。アライメント系16および17は、被検眼Eに対する光学系の位置合わせ(アライメント)を行うための機能を有する。アライメント系16は、観察系12の光軸に沿う方向(前後方向)のアライメントを行うための機能を有する。アライメント系17は、観察系12の光軸に直交する方向(上下方向、左右方向)のアライメントを行うための機能を有する。 ・・・ 【0038】 (自覚測定機能) 図5を参照する。自覚測定モードが選択されると、処理部9はLED光源13aを点灯させる。LED光源13aから出力された光束は、色補正フィルタ13bを介してチャート板13cを照明する。チャート板13cには、各種の視標(チャート)が設けられている。また、処理部9は、他覚測定の結果に応じた位置に合焦レンズ13gを移動させる。同様に、処理部9は、他覚測定で得られた被検眼Eの乱視状態(乱視度数、乱視軸角度)に基づいて、この乱視状態が矯正されるようにバリアブルクロスシリンダレンズ13jを制御する。乱視度数は、バリアブルクロスシリンダレンズ13jを構成する2つのシリンダレンズを独立に互いに逆方向に回転させることにより変更可能である。乱視軸角度は、バリアブルクロスシリンダレンズ13jを構成する2つのシリンダレンズを同方向に同じ角度だけ回転させることにより変更可能である。 【0039】 検者または処理部9により視標が選択されると、処理部9は、選択された視標が光路に配置されるようにチャート板13cを制御する。この視標を経由した光束は、ハーフミラー13d、リレーレンズ13e、反射ミラー13f、合焦レンズ13g、リレーレンズ13h、フィールドレンズ13i、バリアブルクロスシリンダレンズ13j、反射ミラー13k、ダイクロイックフィルタ13mおよび12b、対物レンズ12aを経由して眼底Efに投影される。 【0040】 被検者は、眼底Efに投影された視標に対する応答を行う。視標の選択とそれに対する応答が、検者または処理部9の判断により繰り返し行われる。検者または処理部9は、被検者からの応答に基づいて処方値を決定する。 【0041】 たとえば、処理部9が処方値を決定する場合、処理部9は、まず、他覚測定の結果に応じた基準位置に合焦レンズ13gを移動させるとともに、他覚測定の結果に応じた回転角度にバリアブルクロスシリンダレンズ13jを構成する2つのシリンダレンズを回転させる。次に、被検者からの応答に基づき合焦レンズ13gの位置が決定されると、処理部9は、上記の基準位置を基準として合焦レンズ13gの移動量に応じた球面度数の補正分を求める。処理部9は、求められた補正分を用いて、他覚測定により得られた球面度数を補正することにより新たな球面度数を求める。次に、乱視軸角度を測定するための視標チャートを被検者に提示させ、この視標チャートが提示された被検者の応答に基づきバリアブルクロスシリンダレンズ13jの回転角度が決定されると、処理部9は、当該決定された回転角度により乱視軸角度を補正する。次に、乱視度数を測定するためのクロスシリンダチャートを被検者に提示させ、このクロスシリンダチャートが提示された被検者の応答に基づきバリアブルクロスシリンダレンズ13jを構成する2つのシリンダレンズの回転角度が決定されると、処理部9は、当該決定された2つのシリンダレンズの回転角度により乱視度数を補正する。次に、両眼バランスを測定するためのレッドグリーンチャートを被検者に提示させ、このレッドグリーンチャートが提示された被検者の応答に基づき合焦レンズ13gの位置が決定されると、処理部9は、上記の基準位置を基準として合焦レンズ13gの移動量に応じた球面度数の補正分を再び求め、上記と同様に球面度数を補正することにより新たな球面度数を求める。以上のように、処理部9は、被検者からの応答に基づいて、自覚検査による球面度数、乱視度数、および乱視軸角度を決定する。 ・・・ 【0045】 (検査部110) 検査部110は、複数の異なる種別の検査を行うことが可能である。図2などに示す構成を有する眼科装置1においては、他覚屈折測定、自覚屈折測定(遠用検査、近用検査、コントラスト検査、グレア検査など)、角膜形状測定を含む、複数の検査を実行することができる。検査部110は、自覚測定部111と、他覚測定部112とを含む。自覚測定部111は、被検眼Eに対して自覚測定を実施することにより測定値(自覚測定値)を取得する。自覚測定部111は、視標提示部111aと、屈折力適用部111bとを含む。視標提示部111aは、自覚屈折測定の種別に応じた視標を被検眼Eに提示する。屈折力適用部111bは、変更可能な屈折力を被検眼Eに適用する。他覚測定部112は、被検眼Eに対して他覚測定を実施することにより測定値(他覚測定値)を取得する。」 合議体注:図5は次のものである。 [図:0001430467000001.jpg] オ 周知技術1 前記ア、前記イ及び前記ウ(ウ)に基づけば、本願の優先権主張の日前において、次の周知技術(以下「周知技術1」という。)が存在したといえる。 「視力を評価するにあたり、スクリーン状の手段を用いて視力の判定に用いる図形を提示し、被検査者が当該図形を認識できなくなる時点の検出及び視力の判定を、視力決定手段などの装置を用いること。」 といえる。 カ 周知技術2 前記ウ(イ)及びエ(イ)に基づけば、本件の優先権主張の日前において、次の周知技術(以下「周知技術2」という。)が存在したといえる。 「視力評価を行うにあたり、被検者と指標との間にレンズを挿入して視力評価を行うこと。」 2 対比 本件発明と引用発明とを対比する。 (1)屈折異常の決定 引用発明の「視力評価方法」は、「就学前児童の視力を評価する」ものであって、「単眼に対して最良矯正視力」で実施されるものである。そして、「従来の視力検査表を使用して評価した視力と、パンダ視力検査を使用して評価した視力とは、強い相関関係を示すもの」であるから、引用発明の「視力評価方法」によって評価される「視力」は、本件発明の「屈折異常」に相当する。 そうすると、引用発明の「視力評価方法」は、本件発明の「ユーザ(114)の少なくとも1つの眼(112)の少なくとも1つの屈折異常を決定するための方法(210)」に相当する。 (2)空間変調を含む画像 引用発明の「パンダ錯視画像」は、「ジグザグ線の太さを変えることでパンダのシルエットが形成」されるものであり、この「ジグザグ線の空間周波数」は、「視力の間には線形関係」があり、「各ページ毎に視力スコアが減少するように」作成されたものである。そうすると、引用発明における、各ページ毎に作成された「パンダ錯視画像」は、視力スコアが減少するように、「ジグザグ線の空間周波数」を変更して作成されたものといえる。したがって、引用発明の「パンダ錯視画像」は、本件発明の「少なくとも1つの空間変調(132)を含む少なくとも1つの画像(120)」に相当する。 また、引用発明の「パンダ錯視画像」は、「ジグザグ線の太さを変えることでパンダのシルエットが形成され」たものである。そうすると、引用発明の「パンダ錯視画像」には、「パンダ錯視画像」の元となる「パンダ」の画像が含まれているといえる。そして、この元となる「パンダ」の画像は、複数の画像要素からなり、この複数の画像要素の各々に、パンダの形状を構成するように特定の色彩を割り当てることによって「パンダ」の画像が構成されている。したがって、引用発明の「パンダ錯視画像」は、本件発明の「複数の画像要素(130)を有するソース画像(128)を含み」とする要件、及び、「少なくとも1つの画像パラメータの値が、前記複数の画像要素(130)に割り当てられており」とする要件を満たしている。 そして、引用発明の「パンダ錯視画像」は、この「パンダ」の画像を元にして、「ジグザグ線の太さを変えることでパンダのシルエットが形成」されるように各画像要素の値を特定して作成されたものであり、このジグザグ線の「空間周波数」は、上記のとおり、「各ページ毎に視力スコアが減少するように」変更して作成されたものである。そうすると、引用発明の「パンダ錯視画像」は、本件発明の「前記少なくとも1つの画像(120)における前記少なくとも1つの空間変調(132)」を、「前記複数の画像要素(130)の前記少なくとも1つの画像パラメータの前記値が前記少なくとも1つの画像(120)における前記少なくとも1つの空間変調(132)の前記少なくとも1つの変調パラメータの値を定めることによって生成される」とする要件を満たしている。 (3)表示するステップ 引用発明の「パンダ錯視画像を3mの距離に提示」することは、本件発明の「少なくとも1つの空間変調(132)を含む少なくとも1つの画像(120)を前記ユーザ(114)に表示するステップ」に相当する。 (4)検出及び決定するステップ 引用発明の「単眼に対して最良矯正視力で行う、視力評価方法」は、「視能訓練士」によって、就学前児童が知覚閾値に達した時点を検出し、それによって、就学前児童の視力の値を決定しているといえる。そうすると、本件発明の「評価ユニット(150)を使用して、前記少なくとも1つの画像(120)における前記少なくとも1つの空間変調(132)の少なくとも1つの変化に対する前記ユーザ(114)の反応によって前記ユーザ(114)の知覚閾値が示される時点を検出するステップ」及び「前記評価ユニット(150)を使用して、前記時点での前記少なくとも1つの画像(120)における前記少なくとも1つの空間変調(132)から、前記ユーザ(114)の前記少なくとも1つの眼(112)の前記少なくとも1つの屈折異常の値(220)を決定するステップ」と、引用発明の「単眼に対して最良矯正視力で行う、視力評価方法」とは、「前記少なくとも1つの画像(120)における前記少なくとも1つの空間変調(132)の少なくとも1つの変化に対する前記ユーザ(114)の反応によって前記ユーザ(114)の知覚閾値が示される時点を検出するステップ」及び「前記時点での前記少なくとも1つの画像(120)における前記少なくとも1つの空間変調(132)から、前記ユーザ(114)の前記少なくとも1つの眼(112)の前記少なくとも1つの屈折異常の値(220)を決定するステップ」である点で共通する。 (5)一致点及び相違点 以上より、本件発明と引用発明とは、 「 ユーザ(114)の少なくとも1つの眼(112)の少なくとも1つの屈折異常を決定するための方法(210)であって、 a)少なくとも1つの空間変調(132)を含む少なくとも1つの画像(120)を前記ユーザ(114)に表示するステップ、 c)前記少なくとも1つの画像(120)における前記少なくとも1つの空間変調(132)の少なくとも1つの変化に対する前記ユーザ(114)の反応によって前記ユーザ(114)の知覚閾値が示される時点を検出するステップ、及び d)前記時点での前記少なくとも1つの画像(120)における前記少なくとも1つの空間変調(132)から、前記ユーザ(114)の前記少なくとも1つの眼(112)の前記少なくとも1つの屈折異常の値(220)を決定するステップ を含む、方法(210)において、 前記少なくとも1つの画像(120)が、複数の画像要素(130)を有するソース画像(128)を含み、少なくとも1つの画像パラメータの値が、前記複数の画像要素(130)に割り当てられており、前記少なくとも1つの画像(120)における前記少なくとも1つの空間変調(132)は、前記複数の画像要素(130)の前記少なくとも1つの画像パラメータの前記値が前記少なくとも1つの画像(120)における前記少なくとも1つの空間変調(132)の前記少なくとも1つの変調パラメータの値を定めることによって生成される、方法(210)。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点1] 画像(120)をユーザ(114)に表示するにあたり、本件発明は「スクリーン(118)」を使用するのに対し、引用発明は「フリップブック」を使用する点。 [相違点2] 本件発明は、知覚閾値が示される時点を検出するステップ、及び、屈折異常の値を決定するステップを「評価ユニット(150)」を使用して行い、屈折異常を「装置(110)」を使用して決定するのに対し、引用発明は「評価ユニット」及び「装置」を使用していない点。 [相違点3] 本件発明は、ユーザの屈折異常の値を、「光学的又は解析的にフィルタリング」することを含む「前記少なくとも1つの画像(120)を復調」することによって決定するのに対し、引用発明は、視力評価を最良矯正視力で行う点。 3 判断(1)[相違点1]及び[相違点2]について 上記[相違点1]及び[相違点2]について、まとめて検討すると、前記1(2)オに記載したとおり、本願の優先権主張の日前において、次の「周知技術1」が存在したといえる。 「視力を評価するにあたり、スクリーン状の手段を用いて視力の判定に用いる図形を提示し、被検査者が当該図形を認識できなくなる時点の検出及び視力の判定を、視力決定手段などの装置を用いること。」 といえる。 引用発明は、視力評価に関する発明であって、その省力化や自動化に係る課題を当然有しているといえる。そうすると、引用発明においても、上記周知技術1を採用し、スクリーンを使用してパンダ錯視画像を表示し、評価ユニットを使用して視力評価を行うことにより、装置を使用して視力の決定を行うように構成することは、当業者が容易に想到し得ることである。 (2)[相違点3]について 上記[相違点3]について検討すると、引用発明は視力評価を最良矯正視力で行うものであるから、矯正視力とするための眼鏡レンズを使用するものといえる。そして、矯正視力とするための眼鏡レンズは、画像を復調する機能を有するものであるから、上記[相違点3]は、実質的な相違点とはいえない。 また、仮に上記[相違点3]が実質的な相違点であるとしても、前記1(2)カに記載したとおり、本件の優先権主張の日前において、次の「周知技術2」が存在したといえる。 「視力評価を行うにあたり、被検者と指標との間にレンズを挿入して視力評価を行うこと。」 そうすると、引用発明において、上記周知技術2を採用し、パンダ錯視画像を復調することによって、視力評価を行うように構成することは、当業者が容易に想到し得ることである。 審判請求人は、令和7年6月16日に提出した意見書において、「矯正視力とするための眼鏡レンズは、画像を復調するものではなく、光線の屈折を変更するのみのもの」と主張している。 しかし、本願の段落【0044】~【0046】には、「画像を復調すること」について、以下の記載がある。なお、下線は合議体が付した。 「【0044】 本発明の特に好ましい実施形態では、ユーザの少なくとも1つの眼の屈折異常の値は、以前に、変調パラメータを使用する変調タイプによってステップa)の間に変調された少なくとも1つの画像を復調することによって判定することができる。その時点での変調パラメータの値を考慮することにより、少なくとも1つの画像の復調は、その時点における少なくとも1つの画像を光学的又は解析的にフィルタリングすることであるとみなすことができる。その結果として、フィルタ、特にフィルタ関数を、少なくとも1つの画像の復調のために使用することができ、それによって、その時点に関連する追加の情報が導出され得る。特に、ソース画像を変調するために使用される周波数は、したがって、ユーザの屈折異常の値に比例するフィルタ関数のべき乗に比例するとみなすことができる。 【0045】 特に好ましい実施形態では、復調のために使用されるようなフィルタは、典型的には、少なくとも1つの画像から高周波部分を除去するように構成されたローパスフィルタ関数を含む。ここでは、フィルタは、少なくとも1つの画像から空間変調を少なくとも部分的に除去することができ、それによってソース画像を大幅に復旧させることができる。画像は、上記で示されたように、2次元表現を含むため、好ましくは、2次元ローパスフィルタがこの目的のために適用され、2次元ローパスフィルタは、通常、「ガウスフィルタ」又は「Sinc2フィルタ」の用語のうちの1つによって表記される。上記で定義されたように円柱度数及び円柱軸を判定できるようにするために、少なくとも1つの画像の異なる軸に対して2つ以上のフィルタを使用することができる。 【0046】 代替的に又は追加的に、同じ目的のために光学フィルタを使用することができる。本明細書で使用される場合、「光学フィルタ」という用語は、±ジオプタで示されるような所定の視力補正を有するシミュレーションされた眼鏡レンズを指す。この特定の実施形態では、光学フィルタは、補正された画像を生成するために、特に評価装置によって、少なくとも1つの画像上に重畳され得る。異なる光学フィルタを連続的に重畳することにより、各光学フィルタが視覚補正のための異なる値を有するシミュレーションされた異なる眼鏡レンズに対応し、ユーザの少なくとも1つの眼の屈折異常の所望の値に対応し得る補正画像を取得することができる。」 これらの記載に基づけば、本願の明細書において、「光学フィルタ」という用語は、所定の視力補正を有するシミュレーションされた「眼鏡レンズ」を指すものであって、本件発明における「光学的又は解析的にフィルタリング」することには、「異なる光学フィルタを連続的に重畳することにより、各光学フィルタが視覚補正のための異なる値を有するシミュレーションされた異なる眼鏡レンズに対応し、ユーザの少なくとも1つの眼の屈折異常の所望の値に対応し得る補正画像を取得すること」が含まれている。そして、「少なくとも1つの画像の復調は、その時点における少なくとも1つの画像を光学的又は解析的にフィルタリングすることであるとみなすことができる」ものである。そして、引用発明において、矯正視力とするための眼鏡レンズを使用して観察されるパンダ錯視画像は、ジグザグ線による変調を、本願の明細書でいうところの「復調」したものであることは明らかである。 そうすると、本件発明の「前記ユーザ(114)の前記少なくとも1つの眼(112)の前記屈折異常の前記値(220)が、前記少なくとも1つの画像(120)を復調することによって決定され、ここで、変調パラメータによって変調された前記少なくとも1つの画像(120)を復調することは、その時点における前記少なくとも1つの画像(120)を光学的又は解析的にフィルタリングすることを含む」とする要件は、視力評価の際に、矯正視力とするための眼鏡レンズを使用する態様を含むものである。 なお、本件発明の記載を引用する請求項11では、フィルタについて「前記少なくとも1つのフィルタは2次元ローパスフィルタであり、あるいは代替的に、所定の視力補正を有するシミュレーションされた眼鏡レンズを指す光学フィルタである」と特定している。請求項11の記載からみても、本件発明の「変調パラメータによって変調された前記少なくとも1つの画像(120)を復調すること」に、「所定の視力補正を有するシミュレーションされた眼鏡レンズ」を使用することが含まれることは、明らかである。 以上より、審判請求人の主張を採用することはできない。 なお、本件発明の「前記ユーザ(114)の前記少なくとも1つの眼(112)の前記屈折異常の前記値(220)が、前記少なくとも1つの画像(120)を復調することによって決定され、ここで、変調パラメータによって変調された前記少なくとも1つの画像(120)を復調することは、その時点における前記少なくとも1つの画像(120)を光学的又は解析的にフィルタリングすることを含む」とする構成が、その記載を離れて、審判請求人の主張するような「スクリーン上に提供される画像に、光学的又は解析的にローパスフィルタ関数を適用し、空間変調(高周波部分)を目立たなくしていき、ソース画像を認識するタイミングを測定し、異常屈折を決定するもの」に限定されていると仮定すると、ステップa)において、スクリーン(118)を使用して表示する「画像(120)」の「空間変調(132)」を調整する過程を、ローパスフィルタ関数を適用するものに特定するものと理解できる。しかし、引用発明の「フリップブック」は、「各ページ毎に視力スコアが減少するようにパンダ錯視画像を配置」したものであって、この「パンダ錯視画像」は、「視力」の間に線形関係があるとされる「ジグザグ線の空間周波数」を「視力スコアが減少するように」調整して得られたものである。そして、「空間周波数」を調整するために、ローパスフィルタ関数を適用することは、文献を提示するまでもない周知慣用技術である。そうすると、本件発明が、審判請求人の主張するような限定がなされていたと仮定しても、当業者が適宜なし得た事項であるといわざるを得ない。 (3)効果について 引用発明のパンダ視力検査は、「迅速で、簡単で、広く受け入れられる」という効果を奏するものである。そうすると、本件発明の効果は、引用発明及び周知技術による効果を足し合わせたものに過ぎないから、当業者が予測できる範囲のものである。 (4)まとめ 以上のとおり、[相違点1]~[相違点3]は、当業者が容易に想到し得る事項であるか、実質的な相違点とはいえないものである。 したがって、本件発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 第5 むすび 以上のとおり、本件発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-019879

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