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商標拒絶査定不服審判

2023-019770

イイポスター、エポスター、ポスター

審判番号
2023-019770
法域
商標
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
商願2023-007653
請求日
2023年11月22日
審決日
2025年02月13日
公報発行日
2025年05月30日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】シャープ株式会社
  • 【請求人代理人】野口 茂孝
審判長/審判官
  • 審判長 大橋 良成
  • 審判官 渡邉 潤
  • 審判官 渡邉 あおい
分類
T18 .13 -Z (W09)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法3条1項3号商標法3条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第3条第1項第3号、商標法第3条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

商願2023- 7653拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和5年1月27日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和5年 6月21日付け:拒絶理由通知書 令和5年 8月 3日 :意見書の提出 令和5年 8月16日付け:拒絶査定 令和5年11月22日 :審判請求書の提出 令和6年 9月24日付け:審尋 令和6年11月11日 :意見書、手続補正書の提出 第2 本願商標 本願商標は、「ePoster」の文字を標準文字で表してなり、第9類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として登録出願されたものであり、その後、指定商品については、上記1の手続補正により、第9類「電気泳動ディスプレイ,電子看板,電子式数値表示ディスプレイ,電子広告表示装置,電子表示装置」(以下「当審補正商品」という。)に補正されたものである。 第3 原査定の拒絶の理由の要旨 原査定は、「本願商標は、「ePoster」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「e」の文字は、「電子の。インターネットの。」の意味を、「Poster」の文字は、「広告・宣伝のための、図案・写真・文章などからなるはり紙。」の意味を有するものである。そして、学会等で発表を行う際には、発表資料として使用するポスターを掲示して行われるところ、これを紙のポスターではなく、「データ化したポスターをディスプレイに映して行う形式又はシステム」を表示するものとして「eポスター」又は「電子ポスター」の文字が使用され、これに関するシステムやディスプレイが取引されている実情が見受けられる。さらに、「電子ポスター」の文字が、「ディスプレイやプロジェクターなどの電子的な表示機器を使って情報を発信するシステム」程の意味合いで使用され、これに関するソフトウェアも一般に取引されている。上記の実情を考慮すると、本願商標は、全体として「電子ポスター」程の意味合いを容易に認識させ、これを、その指定商品中、例えば「電子ポスターを表示するための電気泳動ディスプレイ」、「電子ポスター用のコンピュータソフトウェア(記憶されたもの)」等、「電子ポスター用の商品」に使用するときは、これに接する需要者・取引者は、単に「電子ポスター用の商品」であるという、商品の品質・用途・機能を表示するものと認識するにすぎないから、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示するにすぎないというのが相当である。また、前記以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じるおそれがある。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 第4 当審における審尋 当審において、上記第1の審尋により、請求人に対し、別掲1(審決注:(5)は除く。)ないし別掲3のとおりの事実を提示した上で、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、これに対する回答を求めた。 第5 審尋に対する請求人の回答(要旨) 請求人は、上記第4の審尋に対し、令和6年11月11日付けの意見書を提出し、要旨、以下のとおりの意見を述べた。 1 本願商標を実際に使用している商品は、情報掲示板及び案内表示として、広く一般の者の目に触れるものである。別掲2及び別掲3で紹介されている学会の場のような、本願商標の使用商品を直接的に表現する言葉ではなく、極めて狭い限定された分野で使用されていて、かつ、周知されていない言葉を例示して、本願商標が商品の品質、用途等を表示する標章と判断するのは相当ではない。 2 本願商標は、請求人の商品の識別標識として、需要者に十分に認識されており、商標としての自他商品識別力を有するものである。 第6 当審の判断 1 商標法第3条第1項第3号について 商標法第3条第1項第3号に掲げる商標が、商標登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、指定商品との関係で、その商品の品質、用途等その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品の識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解される。 そうすると、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには、本件審決時において、本願商標がその指定商品との関係で、商品の品質、用途等その他の特性を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本願商標がその指定商品に使用された場合に、将来を含め、指定商品の取引者、需要者によって商品の上記特性を表示したものと一般に認識されるものであれば足りると解される(最高裁昭和53年(行ツ)第129号判決、平成27年(行ケ)第10107号判決参照)。 2 商標法第3条第1項第3号該当性について 本願商標は、「ePoster」の欧文字を標準文字で表してなるところ、その構成は、同じ書体、同じ色、同程度の大きさで横一列に表されているとしても、「e」が小文字で書され、「P」が大文字で書されているから、「e」の欧文字と「Poster」の欧文字を組み合わせてなるものであると容易に理解できるものである。 そして、「e」(「E」)の欧文字は、「e-book」、「e-commerce」などの語のほか、別掲1の例にも見られるように、語頭に冠することで、「電子の」の意味を表す語として使用されており、「Poster」の欧文字は、「〔広告・選挙などのための〕(絵・写真などが入った)ポスター,大型張り紙」(いずれも「ジーニアス英和辞典 第6版」発行者:株式会社大修館書店)の意味を有する語である。 ところで、昨今、主に学術会議や商品の広告宣伝のための展示などにおいて、ディスプレイなどの電子的な表示機器を使って情報伝達をするメディアの利用が増加しており、音声や動画などを組み込んだ電子的なポスターが、液晶ディスプレイ等の表示機器と共に紹介され、別掲2のとおり、「電子ポスター」と称されていることに加え、別掲3のとおり、「eポスター」、「ePoster」などとも称されて取引されている実情にあることが確認できる。 そうすると、本願商標は、語頭の「e」の文字が「電子の」を意味する語として極めて一般に使用されていることや、上記取引の実情をも併せ考慮すると、その構成全体として、「電子的なポスター」ほどの意味合いを容易に認識させるものである。 してみると、本願商標を、当審補正商品に使用しても、これに接する取引者・需要者は、当該商品が、「電子的なポスターに関する商品」、「電子的なポスター用の商品」であることを理解するにとどまるから、本願商標は、商品の品質、用途を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものであり、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものというべきものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのは適当でないとともに、自他商品の識別力を欠くものである。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。 3 請求人の主張について (1)請求人は、「本願商標を実際に使用している商品は、情報掲示板及び案内表示として、広く一般の者の目に触れるものである。別掲2及び別掲3で紹介されている学会の場のような、極めて狭い限定された分野で使用されていて、本願商標の使用商品を直接的に表現する言葉ではなく、かつ、周知されていない言葉を例示して、本願商標が商品の品質、用途等を表示する標章と判断するのは相当ではない。」旨主張する。 しかしながら、上記1のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かは、その指定商品の取引者、需要者の認識を基準として判断すべきところ、本願商標構成中の語頭の「e」の文字は、別掲1の例にも見られるように、「電子の」を意味する語として極めて一般に使用されている語であり、「Poster」の欧文字は、「〔広告・選挙などのための〕(絵・写真などが入った)ポスター,大型張り紙」の意味を有する語である。 また、別掲2のとおり、音声や動画などを組み込んだ電子的なポスターが、液晶ディスプレイ等の表示機器と共に紹介され、「電子ポスター」と称されていることに加え、別掲3のとおり、「eポスター」、「ePoster」などとも称されて取引されている実情にあることが確認できるところ、別掲2及び別掲3で提示した事例には、必ずしも学会の場に関連するとは限らず、広く一般の目に触れることを目的とした商品広告の表示機器も含まれている(別掲2の1(3)及び(4)、別掲2の2、別掲3の2(8)及び(9))。 そして、仮に、別掲2及び別掲3の事例のうち、学会の場に関連する事例のみに着目したとしても、当該事例及び本願商標を構成する「e」の欧文字及び「Poster」の欧文字の語義を併せ考慮すると、本願商標は、その構成全体として、「電子的なポスター」ほどの意味合いを無理なく認識させることには変わりなく、商品の品質、用途を普通に用いられる方法で表示するにすぎないというべきものである。 さらに、商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解されるから(東京高裁平成12年(行ケ)第76号,同年9月4日判決参照)、仮に、別掲2及び別掲3の事例が学会の場のような、限定された分野での使用であるとしても、上記1の判断を左右するものではない。 (2)請求人は、「本願商標は、請求人の商品の識別標識として、需要者に十分に認識されており、商標としての自他商品識別力を有するものである。」旨主張する。 請求人は、本願商標は商標法第3条第2項の要件を具備し、登録されるべき旨主張しているものと解され、当審において、証拠方法を提出しているところ、その前提として、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであることは、上記1のとおりである。 そこで、請求人の主張及び同人が令和6年11月11日付けの意見書において提出した参考資料1ないし参考資料3及び参考資料5ないし参考資料22(参考資料4は本願商標の書誌参考資料のため省略。)を参照し、以下、本願商標が商標法第3条第2項に規定する要件(使用による自他商品の識別性)を具備するか否かについて検討する。 なお、請求人が令和5年11月22日付け審判請求書において提出した甲第18号証ないし甲第23号証は、上記参考資料に含まれているため、本審決において請求人が提出した証拠に言及する際は、上記参考資料についてのみ言及する。 ア 商標法第3条第2項について 商標法第3条第1項第3号から第5号に該当する商標について、同法第3条第2項所定の「使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるもの」に至ったか否かを判断するに当たっては、当該商標と外観において同一と見られる標章が指定商品又は指定役務とされる商品又は役務に使用されたことを前提として、その使用開始時期、使用期間、使用地域、使用態様、当該商品又は役務の販売数量又は売上高等及び当該商品又は役務やこれに類似した商品又は役務における当該商標又は標章に類似した他の標章の存否などの事情を総合的に考慮すべきものといえる(知財高裁平成27年(行ケ)第10019号同年10月29日判決参照)。 また、同法第3条第2項にいう「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるもの」とは、同法第3条第1項第3号ないし第5号に該当する出所表示機能を欠く商標であっても、永年使用されることにより、特定の者の出所表示としてその商品又は役務の需要者の間で全国的に認識されるに至っている(特別顕著性がある)をいうと解される(知財高裁平成19年(行ケ)第10127号同年11月22日判決参照)。 そこで、本願商標が使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているか否かについて、上記判決に照らし、以下、認定、判断する。 イ 事実認定 請求人の提出に係る証拠及びその主張によれば、次の事実が認められる。 (ア)本願商標を愛称として使用した商品「電子ペーパーディスプレイ」(以下「請求人商品」という。)は、2023年3月29日付ニュースリリースで発表された後(参考資料5)、2023年4月上旬にモノクロ表示の商品が発売され、2023年8月9日付のニュースリリース(参考資料6)にてカラー表示可能な商品が発表され、2023年10月30日付で、IGZO技術搭載のカラー表示モデルが発表された(参考資料7)。上記ニュースリリースにおいて、請求人商品には、本願商標と同じ文字構成からなる「ePoster」の文字(以下「使用商標」という。)が表記されている。 (イ)請求人商品は、ウェブサイトやカタログでも紹介されている(参考資料8及び参考資料9)。従来の液晶ディスプレイ等とは異なる表示技術により、バックライトは非搭載であり、外光の反射を利用して表示するため、明るい環境下でも高い視認性を確保でき、また、表示保持のための消費電力は0Wという特徴が、ウェブサイト上の記事でも取り上げられ(参考資料10)、2024年1月23日放送のテレビ東京系列「ワールドビジネスサテライト」のトレンドたまごのコーナーでも紹介されている(参考資料11)。請求人商品は、主に法人向けの商品として販売されており、一定の評価を得ている事例もある(参考資料1乃至3)。 (ウ)請求人商品は、2023年10月17日から20日まで開催された「CEATEC2023」(登録来場者総数89,047人)(参考資料12及び参考資料14)、2024年10月15日から18日まで開催された「CEATEC2024」(来場者数112,014人)(参考資料15)及び2023年11月10日から12日まで開催された請求人主催の「SHARP TECH-DAY」(5,000人以上が来場)(参考資料13)に出展されている。 (エ)請求人商品は、「CEATEC AWARD 2024」の『経済産業大臣賞』を受賞し(参考資料18)、当該受賞は新聞記事でも取り上げられた(参考資料19及び参考資料20)。また、請求人商品は、「2024年 iFデザイン賞」も受賞した(参考資料21及び参考資料22) (オ)請求人商品は、2024年10月15日放送の日本テレビ系「every.」(参考資料16)及び「NEWS ZERO」(参考資料17)の番組で紹介された。 ウ 判断 請求人は、本願商標の構成文字とつづりを同一にし、その書体は、本願商標と同一性を損なわない範囲のものと認められる使用商標を、本願の当審補正商品に係る請求人商品に使用していることが認められる。 しかしながら、本願商標が使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品及び役務であることを認識することができるに至っているか否かについては、上記アのとおり判断すべきところ、使用商標の使用開始時期は、請求人商品が発売された2023年4月上旬と認められるから、その使用期間は、本審決時点において、2年間にも満たない短期間であり、本願商標は、当審補正商品について、請求人により、永年の間、一貫して使用されてきたとはいえないものである。 また、請求人商品は、ウェブサイトやカタログにより紹介されているものの、請求人商品の販売活動にすぎないものであり、さらに、請求人商品は、テレビ番組で紹介されているが、2024年1月23日放送のテレビ東京系列「ワールドビジネスサテライト」、2024年10月15日放送の日本テレビ系「every.」及び「NEWS ZERO」の3回だけであるから、これらウェブサイトやカタログ及びテレビ番組における請求人商品の紹介が、本願商標について、請求人商品の出所表示としての全国的な認知度や知名度を直ちに向上させるものとはいえない。 加えて、請求人商品は、「CEATEC2023」、「CEATEC2024」及び「SHARP TECH-DAY」に出展され、「CEATEC AWARD 2024」の『経済産業大臣賞』及び「2024年 iFデザイン賞」を受賞しており、これら出展及び受賞については、テレビ番組や新聞記事で取り上げられているものの、これらの事実から、当審補正商品の需要者の間における本願商標の認識について推し量ることはできない。 そして、使用商標の使用地域、販売数量又は売上高等については、何ら証拠が提出されておらず評価することができない。 したがって、本願商標は、当審補正商品の需要者の間において、請求人商品の出所表示として全国的に周知であるとはいえないものである。 エ 小括 以上のとおり、本願商標と使用商標の同一性及び当審補正商品と請求人商品との同一性は認められるものの、ウェブサイトやカタログ及びテレビ番組による請求人商品の紹介は、請求人商品の出所表示としての全国的な認知度や知名度を直ちに向上させるものとはいえないこと、請求人商品の出展や受賞の事実及びこれがテレビ番組や新聞記事で取り上げられたことをもって、当審補正商品の需要者の間における本願商標の認識について推し量ることはできないこと、使用商標の使用地域、販売数量又は売上高等については評価することができないことを踏まえると、本願商標は、請求人により、永年の間、一貫して使用されてきたものとはいえず、我が国において、請求人の出所表示として、その商品の需要者の間で全国的に認識されるに至っているとはいえないものである。 そうすると、本願商標は、使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものとは認められない。 したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものではない。 (3)請求人の上記主張は、いずれも採用することができず、その他、請求人の主張は、採用するべき事情はない。 4 まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、かつ、同条第2項に規定する要件を具備するものではないから、登録することができない。 よって、結論のとおり審決する。

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