特許拒絶査定不服審判
2023-019557
ペレットの保管・輸送方法及びシステム
- 審判番号
- 2023-019557
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-121353
- 請求日
- 2023年11月17日
- 審決日
- 2025年06月03日
- 公報発行日
- 2025年08月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】UBE三菱セメント株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 有家 秀郎
- 審判官 油原 博
- 審判官 澤田 真治
- 分類
- P18 .121-WZ (B65D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019-121353「ペレットの保管・輸送方法及びシステム」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 8月31日出願公開、特開2020-132269〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和元年6月28日(国内優先権主張 平成31年2月15日)を出願日とする特許出願であって、令和5年3月28日付けで拒絶の理由が通知され、令和5年6月1日受付で意見書及び手続補正書が提出されたところ、令和5年9月25日付け(送達日:令和5年10月3日)で拒絶査定がなされ、これに対し、令和5年11月17日に審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ、前置審査においてした令和6年1月23日付けの拒絶理由(最後の拒絶理由)の通知に対し、指定した期間内に応答がなかったため、令和6年5月20日付けで前置報告がなされたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明は、令和5年11月17日に提出された手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める(以下「本願発明」という。なお、記号A等は、分説するため合議体が付した。記号A等が付された事項を以下「構成A」等という。)。
「【請求項1】
A 有蓋コンテナ内に木質又は草本系のペレットを収容して保管するステップと、
B 公道を走行可能な車両により、前記ペレットを収容した前記有蓋コンテナを、該ペレットの保管場所から消費施設まで輸送するステップと
を含み、
C 前記有蓋コンテナは、公道を走行可能な前記車両に積載可能なサイズを有し、
D 前記有蓋コンテナの屋根部には、前記有蓋コンテナ内へ前記ペレットを投入する際に開放され、前記ペレットを前記有蓋コンテナ内部に収容して保管する際に閉塞される開閉可能な受入扉が設けられ、
E 前記有蓋コンテナの長手方向の一方側の端面には、前記有蓋コンテナ内から前記ペレットを外部に抜き出すための開閉可能な抜き出し手段が設けられている
F ことを特徴とするペレットの保管・輸送方法。」
第3 拒絶の理由
前置審査における令和6年1月23日付けの拒絶理由は、請求項1についてみれば、次のとおりのものである。
(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1.特開2011-153025号公報
2.中国特許出願公開第101585440号明細書(周知技術を示す文献)
3.中国実用新案第2539720号明細書(周知技術を示す文献)
第4 引用文献の記載、引用発明及び周知技術
1 引用文献1の記載事項、引用発明
令和6年1月23日付けの拒絶理由で引用文献1として引用された本願の優先権主張日前に日本国内又は外国において頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2011-153025号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある。
(1)記載事項
「【背景技術】
【0002】
従来、木材を加工したときに発生する残材を原料として形成された木質ペレットを、燃料として使用することが知られている。例えば、石炭や石油を主燃料とし、木質ペレットを副燃料として燃焼させ、このときに発生する熱を用いて発電を行うことが知られている。
木質ペレットを消費する発電所などの施設は、港に面した場所に建設されていることが一般的である。このような施設では、海上輸送された石炭や木質ペレットを、石炭や木質ペレットを消費する発電所などの消費先へ搬送する荷役搬送システムが設けられていることがある。荷役搬送システムの例としては、石炭や木質ペレットを搬送するバラ積み船などの船舶が寄航するためのバースと、このバースに接岸した船舶から搬出されたワークを内部に収容して保管するサイロと、バースとサイロとの間に掛け渡されたコンベアとを備えたものを挙げることができる。
また、粒状の搬送対象物(以下、「ワーク」と称する。)を搬送するものとして、例えば特許文献1には、天井側のパネルにハッチが設けられた粉粒体輸送用コンテナが記載されている。」
「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、コンベアを用いてサイロまで石炭や木質ペレットを搬送し、サイロを用いて石炭や木質ペレットを保管するワーク搬送システムでは、港湾施設にサイロとコンベアとを建造する必要がある。このため、港湾施設に荷役搬送システムを設置するために要するコストが高くなるおそれがある。
また、石炭や木質ペレットをサイロまで搬送する搬送手段としてコンベアに代えて特許文献1に記載の粉粒体輸送用コンテナを用いることも考えられるが、特許文献1に記載の粉粒体輸送用コンテナ1つあたりの輸送能力は、石炭や木質ペレットをサイロへ搬送するコンベアによる輸送能力よりも低い。このため、船舶から石炭や木質ペレットを積み下ろしするための荷役時間が長く必要になり荷役効率が低下する。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、荷役効率が低下することを抑えつつ、設置及び運用に要するコストを下げることができる荷役搬送システムを提供することである。」
「【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態の荷役搬送システムを備えるワーク輸送システム1について説明する。
まず、本実施形態のワーク輸送システム1の構成について図1ないし図7を参照して説明する。図1は、ワーク輸送システム1を示す全体図である。また、図2は、ワーク輸送システム1の積み下ろし部30の構成を示す部分断面図である。また、図3(A)及び図3(B)は、ワーク輸送システム1における一時貯留部37の一部の構成を示す模式図である。また、図4は、一時貯留部37の一部の構成を示す模式図である。また、図5は、ワーク輸送システム1における集積部50を示す平面図である。図6は、ヤードクレーン55を示す正面図である。また、図7(A)は集積車両60を示す側面図、図7(B)は加振装置63を示す平面図である。また、図8は、ワーク輸送システム1におけるコンテナ70の構成を示す斜視図である。
【0020】
ワーク輸送システム1は、船舶10と、コンテナターミナル(荷役搬送システム)20とを備えており、ワークWを船舶10によってコンテナターミナル20内へと輸送するものである。
【0021】
船舶10は、例えばワークWをバラ積みして輸送するバラ積み船であり、船体11にはワークWを格納するための船倉12が複数形成されている。なお、船舶10は、ワークWを輸送することができるバラ積み船であればどのような船舶であっても構わない。」
「【0030】
図1及び図2に示すように、吸引搬送機構34は、アーム部33の一端に取り付けられた吸引ノズル35と、吸引ノズル35と連通された搬送管路36と、搬送管路36と連通された積み下ろし部30上に設けられた一時貯留部37とを有している。
【0031】
吸引ノズル35は、船倉12の内部にあるワークWを吸引して船倉12の外へワークWを移動させるものである。吸引ノズル35は、ブーム33Bの先端部から吊り下げられている。また吸引ノズル35は筒状に形成され、開口が船倉12の底まで届く長さに形成されている。
【0032】
搬送管路36は、図2に示す吸引ノズル35によって吸引されたワークWを図1に示すように一時貯留部37まで搬送するための管である。搬送管路36は筒状に形成されており、搬送管路36は吸引ノズル35に連通され、積み下ろし部30側に向かって延ばされている。さらに、搬送管路36は、積み下ろし部30の地面に沿って一時貯留部37まで延ばされている。
【0033】
図3(A)、図3(B)、及び図4に示すように、一時貯留部37は、搬送管路36の内部を通じて搬送されたワークWを収容して一時的に保管し、後述するコンテナ70へ移送するものである。一時貯留部37は、搬送管路36に連通された分岐管路38と、分岐管路38に設けられた調整弁39と、分岐管路38に連通されたホッパー部40とを有している。
【0034】
分岐管路38は、搬送管路36の下側に設けられており、搬送管路36側からホッパー部40側に向かうにしたがって管の数が増えるように分岐して形成されている。本実施形態では、分岐管路38は、搬送管路36側に設けられた1つの開口部38Aと、ホッパー部40側に設けられた8つの開口部38B1ないし38B8とを有している。また、分岐管路38は、搬送管路36からホッパー部40側に向かってまず二つに分岐され、二つに分岐された先でそれぞれの管が二つに分岐され、これらの管がさらにそれぞれ二つに分岐されている。
分岐管路38の内径の大きさは、分岐管路38の内部を通じて搬送されるワークWの流量を調整するために適宜調整された大きさとすることができる。本実施形態では、分岐管路38の内径の大きさは、分岐管路38のいずれの箇所でも略等しい大きさである。また、分岐管路38の分岐部分の形状は、分岐部分においてワークWを略均等に分けることができる形状であることが好ましい。
【0035】
調整弁39は、分岐管路38の分岐部分においてワークWの流路を切り替えるものである。調整弁39は、分岐管路38において最も搬送管路36に近い側の枝分かれ部分に設けられている。調整弁39としては、例えばモータによって分岐管路38の枝分かれ部分を開閉するバタフライバルブやシャッターバルブなどを採用することができる。なお、調整弁39としては粉粒体の流量を調整するバルブを適宜選択して採用することもでき、一方の管路へ流れるワークWの流量を0%とすることで他方の流路へ流れるワークWの流量を100%とすることもできる。なお、調整弁39を用いて、分岐された管路の分岐先へ流れるワークWの流量の比率を適宜の比率に定めてワークWを分配しても良い。
【0036】
ホッパー部40は、分岐管路38の下に設けられており、8つのホッパー(ホッパー41ないし48)を有している。
ホッパー41ないし48は、同形同大に形成されており、筒状に形成された収容体41Aないし48Aと、収容体41Aないし48Aの下流にそれぞれ連通された排出管41Bないし48Bとを有している。
【0037】
収容体41Aないし48Aは、上側に配置された分岐管路38の開口部38B1ないし38B8にそれぞれ連通されている。すなわち、本実施形態では、調整弁39によって分岐管路38の流路が切り替わると、収容体41Aないし44Aに向かう流路と、収容体45Aないし48Aに向かう流路とが切替わるようになっている。
【0038】
排出管41Bないし44Bは、水平方向に等間隔で一列に配列されている。また、排出管45Bないし48Bは、水平方向に等間隔で一列に配列されている。排出管41Bないし44Bの配列方向と排出管45Bないし48Bの配列方向とは互いに平行である。また、排出管41Bないし44Bの配列間隔と排出管45Bないし48Bの配列間隔とは等しい。
【0039】
ホッパー部40は、ホッパー41ないし44によってコンテナ70にワークWを移載する第一移載系統40Aと、ホッパー45ないし48によってコンテナ70にワークWを移載する第二移載系統40Bとに系統分けされている。第一移載系統40Aに系統分けされたホッパー41ないし44の排出管41Bないし44Bは同期して開閉動作できるようになっており、これにより排出管41Bないし44BからワークWを同時に排出させられるようになっている。また、第二移載系統40Bに系統分けされたホッパー45ないし48の排出管45Bないし48Bは、同期して開閉動作できるようになっている。第一移載系統40Aと第二移載系統40Bとの間では、排出管41Bないし44Bと、排出管45Bないし48Bとの間では開閉動作が同期している必要はない。」
「【0048】
集積車両60は、コンテナターミナル20(図1参照)内でコンテナ70(図7参照)を搬送する搬送車両である。
図7(A)に示すように、集積車両60は、走行装置61と、走行装置61に連結された載置部62と、載置部62に載置された加振装置63とを有している。本実施形態では、コンテナターミナル20には複数台の集積車両60が設けられている。集積車両60の数量は、船舶10(図1参照)から積み下ろすワークWの量や、集積部50に設けられたヤードクレーン55の数量、及び一時貯留部37における移載系統の数などに応じて適宜定めることができる。」
「【0054】
図8に示すように、コンテナ70は、内部にワークWを収容するものである。コンテナ70は略直方体形状に形成されており、板状の基部71と、基部71から垂直に立てられた壁部72と、壁部72の上部に張り渡された天井部73とを有している。
【0055】
本実施形態では、コンテナ70は図示しないバンプールに多数保管されている。そのため、コンテナ70を使用するときに、必要な数量のコンテナ70をバンプールからコンテナヤード51(図1参照)に移動させて使用できるようになっている。また、コンテナ70は、内部にワークWが収容された状態で集積部50(図1参照)に集積されることで集積部50にワークWを保管することができるようになっている。
【0056】
また、天井部73には、コンテナ70の上側から落下するワークWを受け入れるためのハッチ部74が設けられている。
ハッチ部74は、天井部73を貫通して形成された貫通孔75と、貫通孔75を塞ぐことができる大きさに形成された蓋体76とを有している。
【0057】
本実施形態では、貫通孔75は、コンテナ70の天井部73における短手幅方向の中央に形成され、貫通孔75は、天井部73の長手方向に一定間隔置きに4つ形成されている。4つの貫通孔75の間隔は、上述のホッパー部40(図3及び図4参照)における排出管41Bないし44Bの間隔、及び排出管45Bないし48Bの間隔と等しい。
このため、コンテナ70は、ホッパー部40の排出管41Bないし44B、あるいは排出管45Bないし48Bの下に配置されたときに、4つの貫通孔75を通じて、コンテナ70の内部にワークWを落下させて収容できるようになっている(図3参照)。
【0058】
蓋体76は、天井部73に連結されており、貫通孔75を開放状態にしたり貫通孔75を塞いだりするものである。すなわち、貫通孔75を通じてワークWをコンテナ70の内部に収容させているときには蓋体76を開けて貫通孔75を開放状態にし、集積部50においてワークWを保管しているときには蓋体76を閉めて貫通孔75を塞ぐようになっている。これにより、ワークWがコンテナ70の外部の気象条件などによって影響を受けることを軽減できるようになっている。
以下では、ワークWが内部に収容されていない状態のコンテナ70を「空コンテナ70A」とし、ワークWが内部に収容されている状態のコンテナ70を「実入りコンテナ70B」として区別して表記する。
【0059】
図1に示すように、搬出車両80は、ワークWが船舶10から積み下ろしされて集積部50に集積されたあとに、ワークWを消費する消費先100へワークWをコンテナ70ごと搬送するものである。搬出車両80としては、例えばコンテナ70を搬送するトラックや牽引車両など、あるいはコンテナターミナル20と消費先100との間でワークWをコンテナ70ごと搬送する自動搬送台車などを適宜選択して採用することができる。
本実施形態では、搬出車両80は、搬出車両80を運転する運転者によって走行されるようになっている。」
「【0061】
以上に説明した構成の、本実施形態のコンテナターミナル(荷役搬送システム)20を備えるワーク輸送システム1の使用時の動作について説明する。図9は、コンテナターミナル(荷役搬送システム)20の使用時の動作を示すフローチャートである。また、図10ないし図12は、コンテナターミナル(荷役搬送システム)20の使用時の動作を説明するための動作説明図である。
【0062】
コンテナターミナル20に船舶10が寄航する予定がコンテナターミナル20に通知されると、コンテナターミナル20では、空コンテナ70Aをコンテナヤード51の蔵置領域53に搬入する搬入工程S1が行われる。
【0063】
搬入工程S1では、複数の空コンテナ70Aをコンテナターミナル20のバンプールからコンテナヤード51へ搬出車両80が搬送する。このとき、搬出車両80は、コンテナターミナル20に到着する船舶10に格納されたワークWの総量以上の容積となるように複数の空コンテナ70Aを搬送する。なお、空コンテナ70Aをバンプールからコンテナヤード51へ集積車両60が搬送してもかまわない。
【0064】
コンテナヤード51へ複数の空コンテナ70Aが搬送されたら、ヤードクレーン55が搬出車両80(あるいは集積車両60)から蔵置領域53へ空コンテナ70Aを搬送する(例えば図6参照。)。本実施形態では、蔵置領域53には、空コンテナ70Aが4段に段積みされており、空コンテナ70Aは蔵置領域53の列方向に6つ、高さ方向に4段積まれる。このように、搬入工程S1では、蔵置領域53の一列には24個の空コンテナ70Aが配置される。
【0065】
また、図5に示すように、蔵置領域53においてクレーン走行レーン52の長手方向の一端に位置する1列は、空コンテナ70Aを配置しないことで空きスペース53Aとなる。本実施形態では、開きスペース53Aには24個のコンテナ70を配置できるようになっている。
以上で搬入工程S1は終了し、コンテナターミナル20ではワークWを積載した船舶10がコンテナターミナル20に到着するまで待機する。
【0066】
船舶10がコンテナターミナル20に到着したら、積み下ろし工程S2が開始する。
積み下ろし工程S2は、船舶10からワークWを積み下ろす工程である。
積み下ろし工程S2では、図1に示すように、船舶10を船舶係留部21に係留させ、積み下ろし部30の揚陸装置31を用いて船倉12からワークWを取り出す。このとき、船倉12から取り出されたワークWは、搬送管路36の内部を通じて一時貯留部37のホッパー部40まで送られる。
【0067】
図3(A)、図3(B)及び図4に示すように、ホッパー部40では、まず、調整弁39によってホッパー41ないし44側に流路が切り替えられる。すると、分岐管路38の内部を通じて送られたワークWはホッパー41ないし44に流入し、収容体41Aないし44Aの内部に貯留される。ここで、収容体41Aないし44Aに流れ込むワークWの流量は略均等である。収容体41Aないし44AにワークWがあらかじめ定められた規定量まで貯留されたら、調整弁39を動作させて、搬送管路36からホッパー45ないし48に向かう流路に切り替える。すると、ホッパー45ないし48にワークWが流れ込むようになる。
【0068】
なお、ホッパー41ないし44にワークWが上述の規定量まで貯留させることは必ずしも必須の動作ではない。例えば、ホッパー41ないし44内のワークWの量の合計がコンテナ70の容積以上であれば調整弁39によってホッパー41ないし44からホッパー44ないし48へ流路を切り替えてよい。この場合、ホッパー41ないし44にワークWがいっぱいまで貯留されるのを待つ場合よりも早くホッパー45ないし48にワークWを貯留させることができる。その結果、ホッパー41ないし44による第一移載系統40Aとホッパー45ないし48による第二移載系統40Bとを早い段階で共に使用可能にすることができる。
【0069】
続いて、集積部50の蔵置領域53に集積された空コンテナ70Aを集積車両60に積載する積載工程S3が開始される。なお、積載工程S3では、ホッパー41ないし48にワークWがいっぱいまで貯留された後に開始されることは必須ではない。例えば、船舶10の船倉12からワークWを取り出され始めたときからホッパー41ないし48にワークWが貯留されるまでの間のいずれかの時点で開始されてもよい。
【0070】
積載工程S3では、まず、図1に示す車両ヤード22に待機している集積車両60が車両ヤード22からコンテナヤード51へ移動する。このとき、集積車両60は車両ヤード22に待機しているすべての集積車両60が一列になって移動し、コンテナヤード51の車両走行路54へ進入して車両走行路54内で一列に停車する。
【0071】
続いて、図10に示すように、蔵置領域53に積み重ねられた空コンテナ70Aをヤードクレーン55が一つ吊り上げて、集積車両60の可動台64の上に載置する。
積載工程S3においてヤードクレーン55が吊り上げる空コンテナ70Aは、空きスペース53Aに最も近い列に配置された空コンテナ70Aの中から適宜選択することができる。
【0072】
本実施形態では、積載工程S3において、複数の集積車両60の可動台64の上に、1つずつの空コンテナ70Aを積載させる。このとき車両走行路54における進行方向の先頭側に位置している集積車両60から先に空コンテナ70Aを積載させることが好ましい。また、空コンテナ70Aが積載された順に集積車両60を車両走行路54から発車させてもよい。
以上で積載工程S3は終了し、空容器搬送工程S4が開始される。
【0073】
空容器搬送工程S4は、集積部50のコンテナヤード51に集積されて配置された空コンテナ70Aをホッパー部40まで集積車両60によって搬送する工程である。
空容器搬送工程S4では、図1に示すように車両走行路54から一時貯留部37へ集積車両60が移動する。図3(A)に示すように、ホッパー部40では、例えば先頭の集積車両60が第一移載系統40Aのホッパー41ないし44の下に停車し、二番目の集積車両60が第二移載系統40Bのホッパー45ないし48の下に停車する。
なお、三番目以降の集積車両60は、ホッパー部40の近傍で一列あるいはあらかじめ定められた配列に停車する。
以上で空容器搬送工程S4は終了し、移載工程S5が開始される。
【0074】
移載工程S5は、ホッパー部40に搬送された空コンテナ70Aの内部へホッパー41ないし48からワークWを移載する工程である。
移載工程S5では、図3(A)及び図3(B)に示すように、第一移載系統40Aのホッパー41ないし44の下に集積車両60が停車した後に、空コンテナ70Aの天井部73に設けられたハッチ部74の蓋体76を例えば手作業によって開ける。さらに、排出管41Bないし44Bを、例えば手作業によってそれぞれ貫通孔75(図8参照)に連通させて接続する。また、第二移載系統40Bにおいても同様に空コンテナ70Aの天井部73に設けられたハッチ部74の蓋体76をすべて開けて、排出管45Bないし48Bをそれぞれ貫通孔75(図8参照)に連通させて接続する。
【0075】
その後、ホッパー41ないし44の排出管41Bないし44が同時に開かれ、ホッパー45ないし48の排出管45Bないし48Bが同時に開かれる。すると、収容体41Aないし44A、及び収容体45Aないし48Aから空コンテナ70Aの内部へとワークWが落下する。
【0076】
空コンテナ70Aの内部では、空コンテナ70Aの長手方向に離間する4箇所で、傾斜角度がワークWの安息角の大きさとなり、且つ4つの貫通孔75のそれぞれの位置が最も高い山状にワークWが盛られる。
【0077】
空コンテナ70Aの内部へワークWが落下し始めた後、例えば手作業によって加振装置63のスイッチSW1(図7(B)参照。)が入れられる。すると、載置部62上の可動台64がアクチュエータ65によって往復移動する。これにより、可動台64上に積載された空コンテナ70Aは振動し、空コンテナ70Aの振動は空コンテナ70Aの内部のワークWに伝わる。
【0078】
ワークWに振動が伝わると、空コンテナ70Aの内部に収容されたワークWは振動し、安息角よりも小さい崩潰角をなす形状まで崩れる。これにより、貫通孔75の真下にワークWを流入させることができる隙間が生じる(図8参照)。
このため、空コンテナ70Aを振動させながらワークWを空コンテナ70Aに流入させることで、空コンテナ70AへのワークWの充填率を高めることができる。
【0079】
空コンテナ70AにワークWがあらかじめ定められた量だけ流入したら、ホッパー41ないし44の排出管41Bないし44B、及びホッパー45ないし48の排出管45Bないし48を閉じる。さらに、例えば手作業によって実入りコンテナ70Bのハッチ部74の蓋体76を閉める。これにより、空コンテナ70AはワークWが収容された実入りコンテナ70Bとなる。
以上で移載工程S5は終了し、実入り容器搬送工程S6が開始される。
【0080】
実入り容器搬送工程S6は、集積車両60によって、実入りコンテナ70Bをホッパー部40から集積部50へ搬送する工程である。
実入り容器搬送工程S6では、図3(A)に示すホッパー部40の第一移載系統40Aと第二移載系統40Bとのうちで先に実入りコンテナ70Bとなったほうから集積車両60がホッパー部40から発車する。実入りコンテナ70Bが積載された集積車両60は、図1に示すように一時貯留部37から集積部50のコンテナヤード51へ移動する。コンテナヤード51に到着した集積車両60は、コンテナヤード51の車両走行路54に進入して、上述の積載工程S3において空コンテナ70Aが積載されたときの集積車両60の停車位置の近傍に停車する。
以上で実入り容器搬送工程S6は終了し、容器下ろし工程S7が開始される。
【0081】
容器下ろし工程S7は、実入りコンテナ70Bを集積車両60から下ろして蔵置領域53に載置する工程である。
容器下ろし工程S7では、図11(A)及び図11(B)に示すように、ヤードクレーン55が集積車両60に積載された実入りコンテナ70Bを吊り上げ、蔵置領域53の空きスペース53Aに実入りコンテナ70Bを下ろす。ヤードクレーン55は、複数の集積車両60によってコンテナヤード51まで搬送された実入りコンテナ70Bを、蔵置領域53において空コンテナ70Aが集積されているのと同様の行列をなすように集積する。
【0082】
本実施形態では、空きスペース53Aには24個(1列あたり6つのコンテナ70を載置でき、各列においてコンテナ70を4段に積み重ねることができる。)の実入りコンテナ70Bを載置することができる。そのため、集積車両60によって一度に集積部50まで搬送される実入りコンテナ70Bが24個以下であれば、蔵置領域53に置かれた空コンテナ70Aを退避させることなく実入りコンテナ70Bを蔵置領域53に置くことができる。
以上で容器下ろし工程S7は終了する。
【0083】
容器下ろし工程S7が終了したら、実入りコンテナ70Bが下ろされた集積車両60は、その場に停車し続ける。さらに、実入りコンテナ70Bを空きスペース53Aに下ろしたヤードクレーン55は、蔵置領域53において空きスペース53Aに隣接した区画におかれた空コンテナ70Aを吊り上げて、集積車両60に再び積載する。すなわち、上述の容器積載工程S3が再び開始される。
【0084】
このように、集積車両60においては、実入りコンテナ70Bが空コンテナ70Aに入れ替えられる。すなわち、積み下ろし部30から集積部50までコンテナ70を搬送する集積車両(第一搬送手段)と、実入りコンテナ70Bが下ろされた後に空コンテナ70Aが積載されて空コンテナ70Aを積み下ろし部30まで搬送する集積車両(第四搬送手段)とは同じ集積車両60によって兼ねられている。
【0085】
そして、空コンテナ70Aが再び積載された集積車両60は、空容器積載工程S3、空容器搬送工程S4、移載工程S5、実入り容器移載工程S5、容器下ろし工程S7をこの順に繰り返す。これにより、蔵置領域53に置かれた空コンテナ70Aは実入りコンテナ70Bに置き換えられてゆく。
【0086】
このとき、搬入工程S1において空コンテナ70Aが置かれていなかった空きスペース53Aは、空きスペース53Aに実入りコンテナ70Bが置かれることで蔵置領域53において空コンテナ70Aが置かれた側へ移る。このため、空きスペース53Aは、空コンテナ70Aが置かれた区画に隣接した区画に常に位置している。その結果、空きスペース53Aに実入りコンテナ70Bを置いた後に空コンテナ70Aを吊り上げるためにヤードクレーン55がクレーン走行レーン52を走行する距離を短くすることができる。
【0087】
図1に示すように、ワークWを消費先100で使用するために消費先100までワークWを搬出するときには、車両ヤード22に待機している搬出車両80が車両ヤード22からコンテナヤード51へ移動する。
搬出車両80は、車両走行路54上で実入りコンテナ70Bの近傍の位置に停車する。続いて、ヤードクレーン55は蔵置領域53に置かれた実入りコンテナ70Bを蔵置領域53から搬出車両80へ搬送して、搬出車両80に実入りコンテナ70Bを積載する。
実入りコンテナ70Bが積載された搬出車両80は、消費先100まで移動する。さらに、消費先100においてワークWが実入りコンテナ70Bから下ろされる(ここで、実入りコンテナ70Bは空コンテナ70Aになる。)。
消費先100でワークWが下ろされたあとの空コンテナ70Aは、例えば上述のバンプールへと搬出車両80によって搬送されて、バンプールに保管される。
【0088】
なお、船舶10からワークWを積み下ろしている最中にワークWを消費先へ搬出する必要がある場合には、コンテナヤード51に複数のヤードクレーン55を配置してもよい。例えば、上述の容器積載工程S3と容器下ろし工程S7とを専ら行うヤードクレーン55と、専ら実入りコンテナ70Bを搬出車両80に積載するヤードクレーン55とに役割が分けられた複数のヤードクレーン55を一つのコンテナヤード51に配置することができる。この場合、蔵置領域53の長手方向に離間した位置に空コンテナ70Aと実入りコンテナ70Bとが分けて配置されているので、ヤードクレーン55が互いに干渉する可能性が低い。その結果、ワークWを船舶10から集積部50へと搬送する系統と、集積部50から消費先100へワークWを搬送する系統とを互いに独立して稼動させることができる。
【0089】
以上に説明したように、本実施形態のコンテナターミナル(荷役搬送システム)20によれば、集積車両60や搬出車両80によって搬送できるコンテナ70を複数用いてコンテナヤード51の蔵置領域53にワークWを保管することができる。その結果、ワークWを保管するための大掛かりなサイロなどの施設を建造する必要がないので、コンテナターミナル20を設置して運用するために要するコストを下げることができる。
【0090】
また、ワークWを保管するために特化したサイロなどの施設を建造する必要がないので、コンテナターミナルの用途を他の用途に変更したり、コンテナターミナルのレイアウトを変更したりするときに生じる手間とコストを低減することができる。
【0091】
また、集積部50に最初に配置されていた複数の空コンテナ70Aを取り出した位置の近傍に実入りコンテナ70Bを置いて、空コンテナ70Aを実入りコンテナ70Bに順次置き換えるようになっている。このため、集積部50においてヤードクレーン55を走行させるためにかかる時間を短くすることができ、コンテナターミナル20における荷役効率が低下することを軽減できる。」
【図1】
「
[図:0001425177000001.jpg]
」
【図2】
「
[図:0001425177000002.jpg]
」
【図3】
「
[図:0001425177000003.jpg]
」
【図7】
「
[図:0001425177000004.jpg]
」
【図8】
「
[図:0001425177000005.jpg]
」
【図9】
「
[図:0001425177000006.jpg]
」
(2)引用発明
上記(1)の記載事項からみて、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「粒状の搬送対象物(以下、「ワーク」と称する。)である石炭や木質ペレットを搬送し、保管する(【0003】、【0004】)、
ワーク輸送システム1の使用時の動作方法であって(【0061】)、
ワーク輸送システム1は、
内部にワークWを収容するコンテナ70と(【0054】)、
コンテナターミナル20内でコンテナ70を搬送する搬送車両である集積車両60と(【0048】)、
ワークWが船舶10から積み下ろしされて集積部50に集積されたあとに、ワークWを消費する消費先100へワークWをコンテナ70ごと搬送する搬出車両80と(【0059】)、を備え、
内部にワークWを収容するコンテナ70は、略直方体形状に形成されており、天井部73には、コンテナ70の上側から落下するワークWを受け入れるためのハッチ部74が設けられ、ハッチ部74は、天井部73を貫通して形成された貫通孔75と、貫通孔75を塞ぐことができる大きさに形成された蓋体76とを有し((【0054】)、【0056】)、
貫通孔75を通じてワークWをコンテナ70の内部に収容させているときには蓋体76を開けて貫通孔75を開放状態にし、集積部50においてワークWを保管しているときには蓋体76を閉めて貫通孔75を塞ぐようになっており(【0058】)、
ワーク輸送システム1を使用時に動作させる際には(【0061】)、
複数の空コンテナ70Aをコンテナターミナル20のバンプールからコンテナヤード51へ搬出車両80が搬送する搬入工程S1と(【0063】)、
船舶10を船舶係留部21に係留させ、積み下ろし部30の揚陸装置31を用いて船倉12からワークWを取り出し、船倉12から取り出されたワークWは、搬送管路36の内部を通じて一時貯留部37のホッパー部40まで送られる積み下ろし工程S2と(【0066】)、
集積部50の蔵置領域53に集積された空コンテナ70Aを集積車両60に積載する積載工程S3と(【0069】)、
集積部50のコンテナヤード51に集積されて配置された空コンテナ70Aをホッパー部40まで集積車両60によって搬送する空容器搬送工程S4と(【0073】)、
空コンテナ70Aの天井部73に設けられたハッチ部74の蓋体76を例えば手作業によって開け、ホッパー部40に搬送された空コンテナ70Aの内部へホッパー41ないし48からワークWを移載し、空コンテナ70AにワークWがあらかじめ定められた量だけ流入したら、ホッパー41ないし44の排出管41Bないし44B、及びホッパー45ないし48の排出管45Bないし48を閉じ、実入りコンテナ70Bのハッチ部74の蓋体76を閉める移載工程S5と(【0074】、【0079】)、
集積車両60によって、実入りコンテナ70Bをホッパー部40から集積部50へ搬送する、実入り容器搬送工程S6と(【0080】)、
実入りコンテナ70Bを集積車両60から下ろして蔵置領域53に載置する、容器下ろし工程S7と(【0081】)を実施し、
ワークWを消費先100で使用するために消費先100までワークWを搬出するときには、ヤードクレーン55は蔵置領域53に置かれた実入りコンテナ70Bを蔵置領域53から搬出車両80へ搬送して、搬出車両80に実入りコンテナ70Bを積載し、実入りコンテナ70Bが積載された搬出車両80は、消費先100まで移動し、さらに、消費先100においてワークWが実入りコンテナ70Bから下ろされる(【0087】)、
ワーク輸送システム1の使用時の動作方法(【0061】)。」
2 引用文献2及び3の記載事項、記載の技術事項及び周知技術
(1)引用文献2の記載事項
令和6年1月23日付けの拒絶理由で引用文献2として引用された本願の優先権主張日前に日本国内又は外国において頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった中国特許出願公開第101585440号明細書(以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある(日本語訳は、「当審訳」として、当審合議体が作成したものを示す。以下同様。)。
「
[図:0001425177000007.jpg]
」
(当審訳:
背景技術
中国の経済建設が急速に発展し、経済のグローバル化パターンが初期に形成されるにつれて、貨物輸送業界は急速に発展し、コンテナは現代の貨物輸送業界の主要な輸送手段となり、市場ではコンテナに対する需要が増加している。
バルクコンテナは一般に、穀物などの包装済みまたは包装されていない固体ドライバルク貨物の輸送に使用され、貨物の輸送中に発生する様々な要因による荷重に耐えることができる。
図1を参照すると、図1は、先行技術における典型的なバルクコンテナの例示的な構造概略図である。
この先行技術では、バルクコンテナの主要構造は、鉄板を加工してなる波形板が4つの壁を形成する、ほぼ方形の箱体からなる;箱体の上部には投入口カバーが開く投入口11を設け、投入時は投入口カバーを開き投入口11から箱内に貨物を投入し、投入後は投入口カバーを閉じて箱内の貨物の安全を確保する。;その端部には排出扉12があり、この排出扉12はヒンジ121によって箱体の端部側壁に移動可能に連結されている。荷降ろし時には、まずコンテナを車両から持ち上げて荷降ろし場所に置き、次に排出扉12を開けて貨物を出す。;箱体側壁の上部には通風器13が設けられ、換気や冷却が必要な貨物を輸送する際には、通風器13によって箱体内の温度が維持されるため、より貨物の保存に適している。)
「
[図:0001425177000008.jpg]
」
(2)引用文献2記載の技術事項
上記(1)の記載事項からみて、引用文献2には、次の技術事項(以下「引用文献2記載の技術事項」という。)が記載されていると認められる。
「穀物などの包装されていない固体ドライバルク貨物の輸送に使用されるバルクコンテナであって、
ほぼ方形の箱体からなり、箱体の上部には投入口カバーが開く投入口11を設け、投入時は投入口カバーを開き投入口11から箱内に貨物を投入し、投入後は投入口カバーを閉じて箱内の貨物の安全を確保し、箱体の長手方向の端部には排出扉12があり、荷降ろし時には、まずコンテナを車両から持ち上げて荷降ろし場所に置き、次に排出扉12を開けて貨物を出す、
バルクコンテナ。」
(3)引用文献3の記載事項
令和6年1月23日付けの拒絶理由で引用文献3として引用された本願の優先権主張日前に日本国内又は外国において頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった中国実用新案第2539720号明細書(以下「引用文献3」という。)には、次の記載がある。
「
[図:0001425177000009.jpg]
」
「
[図:0001425177000010.jpg]
」
(当審訳:
図中のコンテナは、天板、底板、前板、背板及び両側板を含む6面からなる中空の直方体構造とし、両側板の上部付近には両面部に対応する溶接された4個のハンガ3があり、前板上に2個の前扉2を設け、天板の中部には1個の積み込み口1(同じく2個の積み込み口を設定することができる)を設け、1の側板の中下部には1個の蓋付の荷出し口を設ける。産地から埠頭に粒状穀物を運送する時、先に前扉2をプラグを挿して閉じ、荷出し口用プラグを挿して蓋4を閉じ、コンベアによって積み込み口から穀物を入れて、いっぱいになった後、防水布で積み込み口を封鎖し、埠頭に運ぶ時、このコンテナは船端あるいはその近傍に積み重ねることができる;船積みの時には、クレーンでコンテナを船倉に直接吊入することができ、前扉を開け、前扉の2個のハンガに近い吊紐を取り、クレーンで他の2個のハンガを引っ張って、あるいはクレーンを運転して前扉に近い2個のハンガの吊紐を下動作に向かわせて、前扉から離間する2個のハンガの吊紐は上に引っ張り、コンテナの穀物はすべて船倉内に排出される。上記の積出方式でまた粒状物、さらには粉状の鉱製品を運送することができ、その荷揚げ方式のためにとても簡単であり、容易であり、かつコンテナを引っ張らることによる方法は新規であり、つまりコンテナが引っ張られる時、その姿勢に傾斜が発生し、貨物は重力作用ですべて排出される。もし、運送した粒状穀物を宛先に到達した際に穀物倉庫に入れる必要があり、コンテナの荷出し口をコンベアに位置させることができる場合は、荷出し口の蓋4を開ければ、コンテナの大部分の穀物は重力作用によって荷出し口から流出し、穀物のごく一部は、積み込み口からコンテナに入った作業員によって荷出し口から排出される。)
(4)引用文献3記載の技術事項
上記(3)の記載事項からみて、引用文献3には、次の技術事項(以下「引用文献3記載の技術事項」という。)が記載されていると認められる。
「天板、底板、前板、背板及び両側板を含む6面からなる中空の直方体構造としたコンテナであって、
両側板の上部付近には両面部に対応する溶接された4個のハンガ3があり、前板上に2個の前扉2を設け、天板の中部には1個の積み込み口1(同じく2個の積み込み口を設定することができる)を設け、1の側板の中下部には1個の蓋付の荷出し口を設け、
粒状穀物を運送する時、コンベアによって積み込み口から穀物を入れて、いっぱいになった後、防水布で積み込み口を封鎖し、埠頭に運ぶ時、このコンテナは船端あるいはその近傍に積み重ねることができ、
船積みの時には、クレーンでコンテナを船倉に直接吊入することができ、前扉を開け、前扉の2個のハンガに近い吊紐を取り、クレーンで他の2個のハンガを引っ張って、あるいはクレーンを運転して前扉に近い2個のハンガの吊紐を下動作に向かわせて、前扉から離間する2個のハンガの吊紐は上に引っ張り、コンテナの穀物はすべて船倉内に排出される、
コンテナ。」
(5)周知技術
「穀物などの包装されていない固体ドライバルク貨物」及び「粒状穀物」は、いずれも粒状貨物といえることを踏まえて、上記(2)の引用文献2記載の技術事項及び上記(4)の引用文献3記載の技術事項を総合すると、
「天板に蓋付きの粒状貨物積込み口を設けたコンテナにおいて、コンテナの長手方向の一方端面に粒状貨物を排出する扉を設けること。」は、本願の優先権主張日前に、貨物用のコンテナの分野において周知(以下「周知技術」という。)であると認められる。
第5 対比
本願発明と引用発明を対比する。
1 構成Aについて
引用発明の「ワーク輸送システム1」が有する「天井部73に」「ハッチ部74が設けられ、ハッチ部74は、天井部73を貫通して形成された貫通孔75と、貫通孔75を塞ぐことができる大きさに形成された蓋体76とを有」する「コンテナ70」、及び搬送対象物の「ワークW」である「木質ペレット」は、それぞれ本願発明の「有蓋コンテナ」、及び「木質又は草本系のペレット」に相当する。
また、引用発明では、「空コンテナ70Aの天井部73に設けられたハッチ部74の蓋体76を例えば手作業によって開け、ホッパー部40に搬送された空コンテナ70Aの内部へホッパー41ないし48からワークWを移載し、空コンテナ70AにワークWがあらかじめ定められた量だけ流入したら、・・・実入りコンテナ70Bのハッチ部74の蓋体76を閉める移載工程S5」と、「実入りコンテナ70Bを集積車両60から下ろして、蔵置領域53に載置する容器下ろし工程S7と」を有しており、「ワークW」を「コンテナ」内に収容して保管していることから、本願発明の「木質又は草本系のペレットを収容して保管するステップ」を有しているといえる。
よって、引用発明は、本願発明の構成Aに相当する構成を有する。
2 構成Bについて
引用発明では、「ワークWを消費先100で使用するために消費先100までワークWを搬出するときには、ヤードクレーン55は蔵置領域53に置かれた実入りコンテナ70Bを蔵置領域53から搬出車両80へ搬送して、搬出車両80に実入りコンテナ70Bを積載し、実入りコンテナ70Bが積載された搬出車両80は、消費先100まで移動」するところ、「蔵置領域53」から「消費先100」まで「搬出車両80」によって公道を走行することは明らかであることを踏まえると、引用発明の「搬出車両80」、「蔵置領域53」、「消費先100」、及び「移動」することは、本願発明の「公道を走行可能な車両」、「保管場所」、「消費施設」、及び「輸送する」ことにそれぞれ相当し、引用発明において前記の「ワークWを消費先100で使用するために・・・搬出車両80は、消費先100まで移動」する構成は、本願発明の構成Bに相当する。
よって、引用発明は、本願発明の構成Bに相当する構成を有する。
3 構成Cについて
引用発明では、「搬出車両80」は、「搬出車両80に実入りコンテナ70Bを積載し、実入りコンテナ70Bが積載された搬出車両80は、消費先100まで移動」することから、「コンテナ70」が公道を走行する車両に積載可能なサイズであることは明らかであるといえる。
よって、引用発明は、本願発明の構成Cに相当する構成を有する。
4 構成Dについて
引用発明では、「コンテナ70の上側から落下するワークWを受け入れるためのハッチ部74が設けられ、ハッチ部74は、天井部73を貫通して形成された貫通孔75と、貫通孔75を塞ぐことができる大きさに形成された蓋体76とを有し、貫通孔75を通じてワークWをコンテナ70の内部に収容させているときには蓋体76を開けて貫通孔75を開放状態にし、集積部50においてワークWを保管しているときには蓋体76を閉めて貫通孔75を塞ぐようになって」いるところ、引用発明の「コンテナ70」の「天井部73」は、本願発明の「前記有蓋コンテナの屋根部」に相当し、引用発明の「貫通孔75を通じてワークWをコンテナ70の内部に収容させているときには蓋体76を開けて貫通孔75を開放状態にし、集積部50においてワークWを保管しているときには蓋体76を閉めて貫通孔75を塞ぐようになって」いる「蓋体76」は、本願発明の「前記有蓋コンテナ内へ前記ペレットを投入する際に開放され、前記ペレットを前記有蓋コンテナ内部に収容して保管する際に閉塞される開閉可能な受入扉」に相当する。
よって、引用発明は、本願発明の構成Dに相当する構成を有する。
5 構成Fについて
引用発明の「粒状の搬送対象物(以下、「ワーク」と称する。)である・・・木質ペレットを搬送し、保管する、ワーク輸送システム1の使用時の動作方法」は、本願発明の「ペレットの保管・輸送方法」に相当する。
よって、引用発明は、本願発明の構成Fに相当する構成を有する。
上記1~5からみて、本願発明と引用発明とは、
<一致点>
「A 有蓋コンテナ内に木質又は草本系のペレットを収容して保管するステップと、
B 公道を走行可能な車両により、前記ペレットを収容した前記有蓋コンテナを、該ペレットの保管場所から消費施設まで輸送するステップと
を含み、
C 前記有蓋コンテナは、公道を走行可能な前記車両に積載可能なサイズを有し、
D 前記有蓋コンテナの屋根部には、前記有蓋コンテナ内へ前記ペレットを投入する際に開放され、前記ペレットを前記有蓋コンテナ内部に収容して保管する際に閉塞される開閉可能な受入扉が設けられる
F ペレットの保管・輸送方法。」
で一致し、以下の点で相違している。
<相違点(構成E)>
本願発明では、「前記有蓋コンテナの長手方向の一方側の端面には、前記有蓋コンテナ内から前記ペレットを外部に抜き出すための開閉可能な抜き出し手段が設けられている」のに対して、
引用発明では、「コンテナ70」から、どのようにして「消費先100においてワークWが実入りコンテナ70Bから下ろ」されるのかが明記されておらず、「コンテナ70」が「ワークW」を下ろすために設けられている手段が不明である点。
第6 判断
1 相違点について検討する。
上記「第4 2 (5) 周知技術」で示したとおり、「天板に蓋付きの粒状貨物積込み口を設けたコンテナにおいて、コンテナの長手方向の一方端面に粒状貨物を排出する扉を設けること。」は本願の優先権主張日前に貨物用のコンテナの分野において周知技術である。
そして、引用発明においても、消費先100において粒状の搬送対象物であるワークWが実入りコンテナ70Bから下ろされるのであるから、ワークWを下ろす手段が必要であることは明らかであって、その手段として、上記貨物用のコンテナの分野における周知技術を採用して、引用発明のコンテナ70の長手方向の一方端面に粒状の搬送対象物である木質ペレットを排出する扉を設けて、上記相違点に係る本願発明の構成とすることは当業者が容易になし得たことである。
また、本願発明の奏する効果は、引用発明及び上記周知技術が奏する効果から、当業者が予測することができた程度のものである。
2 まとめ
以上のとおりであるから、本願発明は、令和6年1月23日付けの拒絶理由のとおり、引用発明及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。
第7 むすび
本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2023-019557