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商標拒絶査定不服審判

2023-018567

ヒャクパーセントイイブイ、イチゼロゼロパーセントイイブイ

審判番号
2023-018567
法域
商標
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
商願2022-116027
請求日
2023年11月01日
審決日
2024年10月01日
公報発行日
2024年12月27日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】日産自動車株式会社
  • 【請求人代理人】塚田 美佳子
  • 【請求人代理人】山田 薫
  • 【請求人代理人】桶川 美和
審判長/審判官
  • 審判長 大森 友子
  • 審判官 小俣 克巳
  • 審判官 田中 瑠美
分類
T18 .16 -Z (W12)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法3条1項6号
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第3条第1項第6号、商標法第3条第1項第3号、商標法第4条第1項第16号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

商願2022-116027拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 1 手続の経緯 本願は、令和4年10月11日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和5年 3月16日付け:拒絶理由通知書 令和5年 5月24日 :意見書の提出 令和5年 7月26日付け:拒絶査定 令和5年11月 1日 :審判請求書の提出 令和6年 5月28日付け:審尋 令和6年 7月16日 :回答書の提出 2 本願商標 本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第12類「鉄道車輌・自動車・二輪自動車・自転車,自動車並びにその部品及び附属品,電気自動車並びにその部品及び附属品,トラック,自動車(バンタイプ),スポーツユーティリティービークル,スポーツカー,レーシングカー,トラクター」を指定商品として登録出願されたものである。 3 原査定の拒絶の理由(要旨) (1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について 本願商標は、別掲1のとおり、上底が下底よりも長く、左上の角と左下の角が直角である、横長の茶色の台形の内部に、黒色で「100%ev」の文字を普通に用いられる方法で表してなるところ、四角形の内部に黒色で文字を表示する方法は一般に行われているものであるから、いまだ普通に用いられる域を脱しない程度で表示してなるものと認められるものである。 本願商標構成中の「100%」の文字部分は、「10割。ある量の全部。」の意味を有しており、「ev」の文字部分は、「electric vehicle」の略を表し、「電気自動車」の意味を有しているから、全体としては、「全て電気自動車」程の意味合いを認識させる。 そして、本願の指定商品の業界においては、動力源の100%を電気で走行する電気自動車が一般に取引されており、「100%ev」に通ずる「100%EV」の文字が前記商品を表す語として使用されている実情が認められる。 そうすると、本願商標をその指定商品中、「動力源の100%を電気で走行する電気自動車」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、商品の品質を表したものと認識するにすぎないから、本願商標は、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示するものと判断するのが相当である。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。 (2)商標法第3条第1項第6号について 本願商標は、別掲1のとおり、上底が下底よりも長く、左上の角と左下の角が直角である、横長の茶色の台形の内部に、黒色で「100%ev」の文字を普通に用いられる方法で表してなるところ、四角形の内部に黒色で文字を表示する方法は一般に行われているものであるから、いまだ普通に用いられる域を脱しない程度で表示してなるものと認められるものである。 本願商標構成中の「100%」の文字部分は、「10割。ある量の全部。」の意味を有しており、「ev」の文字部分は、「electric vehicle」の略を表し、「電気自動車」の意味を有しているから、全体としては、「全て電気自動車」程の意味合いを認識させる。 そして、自動車業界においては、我が国の方針として、2035年までに新車販売で電気自動車100%を実現することが宣言されたことを踏まえ、多数の自動車メーカーが製造、販売する自動車をすべて電気自動車にする方針を発表し、そのような経営方針等を表す文言として「100%ev」に通ずる「100%EV」の文字が使用されている実情が見受けられる。 そうすると、本願商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、自他商品の識別標識として認識するというよりも、商品を製造、販売する企業の経営方針等をうたう語と理解するにとどまるというのが相当であるから、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標というべきである。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。 4 当審における審尋 当審において、令和6年5月28日付け審尋により、別掲2及び別掲3に掲げる事実を提示した上で、本願商標が、その指定商品との関係において、商標法第3条第1項第6号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、請求人に対し、意見を求めた。 5 審尋に対する請求人の意見(要旨) 請求人は、上記4の審尋に対し、令和6年7月16日に回答書を提出し、要旨以下(1)ないし(3)のとおりの意見を述べた。 (1)本願商標の構成は、単色の「茶色」ではなく、下方にむけて色が濃くなっているグラデーションがあることで、やや丸みがかった立体形状が想起されるものであり、かかる色の選択やグラデーションがあることは、請求人がいかに取引者、需要者にアピールできるかを考えた上で選択されたものであって、スタイライズされた「100%」及び「ev」の文字は、これまでの請求人の登録商標を踏まえた選択であることから、本願商標に接する取引者、需要者はかかる文字を見ただけでも請求人を想起できるものである。また、「EV」は、「電気自動車」の意味で用いられているが、一般的には大文字で記載され、小文字で「ev」と記載されることはないことから、本願商標は文字部分のデザインのみでも自他商品の出所識別標識としての機能を有し、普通に用いられる方法で表示したものでないことは明らかである。 (2)別掲2で挙げられたとおり、文字の形に合わせて背景図形を切り欠いたデザインが商標に採択されているところ、本願商標には文字の形に合わせて背景図形を切り欠いた部分があるが、それだけが特徴ではないことに加え、別掲2で挙げられた上記商標の例には、本願商標と同一又は類似する枠形状のものはないことから、本願商標を構成する図形デザイン自体がユニークであり、自他商品の識別標識としての機能を備えていることを示すものといえる。また、本願商標とほぼ同一形状の請求人の商標、具体的には、左上下隅において左辺はわずかに丸みを帯び、右辺は「v」の文字の傾斜する形状に沿って右上から左下に斜めに切り欠いた鋭角な形状を有し、全体としては右側に向かう矢印形状も想起させる特徴的な枠形状を共通とする上、同一のスタイライズされた「e」の文字が採択された商標(登録第6720173号)が登録になっている。「EV」が一般的には「電気自動車」を指すとすれば、本願商標よりも識別力の弱い言葉から構成されている商標が登録されているということは、図形の枠形状が独特であり、文字がスタイライズされ、文字の配置等に工夫がなされ、さらに、商標の重要な構成要素である色彩においても、独特の茶色と黒色が採択され、かかる組み合わせであることにより、自他商品の識別標識としての機能を備えていることに他ならない。 (3)別掲3に挙げられた参考情報をみれば、日本国政府によって、2035年までに日本の企業が販売する新車を全て電気自動車にするという目標が掲げられている事実については承服するが、そのような目標が、例えば、「働き方改革」や「一億総活躍社会」のように、「100%EV」という言葉として広く知れ渡り、社会に浸透しているかについては疑問を呈さざるを得ず、別掲3においても「100%EV」の使用例はないことから、「100%EV」の語が企業の経営方針や施策運営に関する取組等に一般的に使用されている点については、承服することができない。 6 当審の判断 (1)商標法第3条第1項第6号該当性について 本願商標は、別掲1のとおり、茶色の横長四角形の内部に黒色で書した「100%ev」の文字を配し、当該四角形を「v」の文字部分に合わせて切り欠いたような構成よりなり、その構成中、「100%」の文字部分は、「1パーセントの百倍。10割。ある量の全部。」等の意味を表すものであり、「ev」の文字部分は、「electric vehicle」の略で「電気自動車」を意味する「EV」を小文字で表したもの等であると認められるところ(いずれも出典は、株式会社岩波書店「広辞苑第七版」)、我が国において「EV」の語は、当該「電気自動車」を表すものとして広く認識されている。 また、本願商標の指定商品との関係からも「ev(EV)」の語は「電気自動車」を示すものとするのが自然である。 そして、一般に、商品又は役務に標章等を使用する際に、文字やその背景等に様々なデザイン化が行われている現状にあっては、本願商標の構成態様が殊更特殊なものであるとはいえないものである。 このことは、別掲2に挙げるとおり、文字の形に合わせて背景図形を切り欠いたデザインが一般に使用されていることからも裏付けられるものであるから、本願商標は、いまだ普通に用いられる方法の範囲内で表示したものと理解、認識されるにすぎないというのが相当である。 さらに、原審提示の情報に加え、別掲3の参考情報にもあるとおり、地球温暖化への対応の取組として、我が国では、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラル(脱炭素社会の実現)を2050年までに達成すると宣言しており、これを実現する上では、運輸部門の中でも大きな割合を占める自動車をEV化することが重要であるとの認識の下、日本政府は、2035年までに新車販売を100%電動化、つまり、100%電気自動車(EV)にするという目標を掲げている(別掲3(1)ないし(4))。今後は、EVの普及に関する各自動車メーカーの取組や市場の動向が注目されるところ、実際に、多くの国内自動車メーカーが、EVの開発、販売に注力するなど、100%EVに向けた取組を進めていることがうかがえる(別掲3(5)(6))。 そのうえ、脱炭素社会へ向けて、EVの使用や環境整備促進を目指す国際イニシアティブ(企業集団)として知られる「EV100」に参加する日本企業も増えており、100%EVに向けた取組が世界的な規模で進められていることもうかがえるものである(別掲3(7)(8)及び原審の拒絶査定【別掲4】)。 このような社会情勢において、本願の指定商品を取り扱う分野では、多くの自動車メーカーが企業経営に関連して、「100%」と「EV」を組み合わせた「100%EV」若しくはこれに類する語を使用している実情にある(原審の拒絶査定【別掲3】)。 そうすると、本願商標は、100%電気自動車(EV)にするという政府目標を表すものとして、企業の経営方針や政策運営に関する取組等に一般に使用される語であって、いまだ普通に用いられる方法の範囲内で表示したものと理解、認識されるにすぎないものであるから、自他商品の識別標識としての機能を有しないものとみるのが相当である。 してみれば、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、これらの商品が、「100%EV」の取組に関する商品であることを認識、理解するにとどまり、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものというべきである。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。 (2)請求人の主張について ア 請求人は、本願商標の構成は、単色の「茶色」ではなく、下方にむけて色が濃くなっているグラデーションがあることで、やや丸みがかった立体形状が想起されるものであり、かかる色の選択やグラデーションがあることは、請求人がいかに取引者、需要者にアピールできるかを考えた上で選択されたものであって、スタイライズされた「100%」及び「ev」の文字は、これまでの請求人の登録商標を踏まえた選択であることから、本願商標に接する取引者、需要者はかかる文字を見ただけでも請求人を想起できるものである旨主張する。また、「EV」は、「電気自動車」の意味で用いられているが、一般的には大文字で記載され、小文字で「ev」と記載されることはないことから、本願商標は文字部分のデザインのみでも自他商品の出所識別標識としての機能を有し、普通に用いられる方法で表示したものでないことは明らかである旨主張する。 しかしながら、上記(1)で述べたとおり、一般に、商品又は役務に標章等を使用する際に、文字やその背景等に様々なデザイン化が行われている現状にあっては、本願商標の構成態様が殊更特殊なものであるとはいえず、仮に、本願商標の構成文字がこれまでの請求人の登録商標を踏まえて採択されたものであったとしても、かかる文字に接する取引者、需要者が、これより請求人を想起するものと認めるに足る具体的かつ客観的な事実は見当たらないものである。 そして、本願商標の構成文字から生じる意味及び別掲3の事実から、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、これらの商品が、「100%EV」の取組に関する商品であることを認識、理解するにとどまり、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものといわざるを得ない。 また、本願商標は、小文字で「ev」と表されているとしても、別掲3が示す実情及び社会情勢を踏まえれば、「100%」及び「ev」の文字の組合せよりなる本願商標の構成文字からは、「100%EV」、つまり、100%電気自動車(EV)にするという政府目標を表すものとして、企業の経営方針や政策運営に関する取組等に一般に使用される語を表したものと認識されるにすぎない点において、上記認定、判断は妥当なものというべきである。 イ 請求人は、別掲2で挙げられたとおり、文字の形に合わせて背景図形を切り欠いたデザインが商標に採択されているところ、本願商標には文字の形に合わせて背景図形を切り欠いた部分があるが、それだけが特徴ではないことに加え、別掲2で挙げられた上記商標の例には、本願商標と同一又は類似する枠形状のものはないことから、本願商標を構成する図形デザイン自体がユニークであり、自他商品の識別標識としての機能を備えていることを示すものといえる旨主張する。また、本願商標とほぼ同一形状の請求人の商標、具体的には、左上下隅において左辺はわずかに丸みを帯び、右辺は「v」の文字の傾斜する形状に沿って右上から左下に斜めに切り欠いた鋭角な形状を有し、全体としては右側に向かう矢印形状も想起させる特徴的な枠形状を共通とする上、同一のスタイライズされた「e」の文字が採択された商標(登録第6720173号)が登録になっていると述べ、「EV」が一般的には「電気自動車」を指すとすれば、本願商標よりも識別力の弱い言葉から構成されている商標が登録されているということは、図形の枠形状が独特であり、文字がスタイライズされ、文字の配置等に工夫がなされ、さらに、商標の重要な構成要素である色彩においても、独特の茶色と黒色が採択され、かかる組み合わせであることにより、自他商品の識別標識としての機能を備えていることに他ならない旨主張する。 しかしながら、請求人も認めるとおり、商品又は役務に標章等を使用する際、文字の形に合わせて背景図形を切り欠いたデザインが一般に採択、使用されている実情にあることからも、本願商標は、いまだ普通に用いられる方法の範囲内で表示したものと理解、認識されるにすぎないというのが相当であり、別掲2において、本願商標と同一又は類似の枠形状の商標が示されていないからといって、上記判断が左右されるものではない。 さらに、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第6号に該当するものであるか否かの判断は、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と指定商品・指定役務との関係や、その商品又は役務の分野における取引の実情をも踏まえて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、請求人の登録第6720173号商標とは、文字の書体、文字の配置、構成文字が異なり、商標全体の構成態様が異なるものである点において、本願とは、事案を異にするものというべきである。 そして、別掲3が示す実情及び社会情勢を踏まえれば、「100%」及び「ev」の文字の組合せよりなる本願商標の構成文字からは、「100%EV」、つまり、100%電気自動車(EV)にするという政府目標を表すものとして、企業の経営方針や政策運営に関する取組等に一般に使用される語を表したものとして認識されるといわざるを得ず、また、過去の登録例が存在することをもって、上記判断が左右されるものではない。 ウ 請求人は、別掲3に挙げられた参考情報をみれば、日本国政府によって、2035年までに日本の企業が販売する新車を全て電気自動車にするという目標が掲げられている事実については承服するが、そのような目標が、例えば、「働き方改革」や「一億総活躍社会」のように、「100%EV」という言葉として広く知れ渡り、社会に浸透しているかについては疑問を呈さざるを得ず、別掲3においても「100%EV」の使用例はないことから、「100%EV」の語が企業の経営方針や施策運営に関する取組等に一般的に使用されている点については、承服することができない旨主張する。 しかしながら、上記(1)で述べたとおり、地球温暖化への対応の取組として、我が国政府が掲げる目標に関連し、多くの国内自動車メーカーが、EVの開発、販売に注力するなど、100%電気自動車(EV)にするための取組を進めていることがうかがえることに加え、脱炭素社会へ向けて、EVの使用や環境整備促進を目指す国際イニシアティブ(企業集団)として知られる「EV100」に参加する日本企業も増えており、100%EVに向けた取組が世界的な規模で進められていることもうかがえること、また、そのような社会情勢において、本願の指定商品を取り扱う分野では、多くの自動車メーカーが企業経営に関連して、「100%」と「EV」を組み合わせた「100%EV」若しくはこれに類する語を使用している実情にあることに鑑みれば、本願商標は、100%電気自動車(EV)にするという政府目標を表すものとして、企業の経営方針や政策運営に関する取組等に一般に使用される語であって、いまだ普通に用いられる方法の範囲内で表示したものと理解、認識されるにすぎず、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものというべきである。 エ したがって、請求人の上記アないしウの主張は、いずれも採用することができない。 (3)まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから、登録することができない。 よって、結論のとおり審決する。

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