商標拒絶査定不服審判
2023-017927
ザプレシャスリップスティック、プレシャスリップスティック、ザプレシャス、プレシャス
- 審判番号
- 2023-017927
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2022-144720
- 請求日
- 2023年10月23日
- 審決日
- 2024年04月30日
- 公報発行日
- 2024年07月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社 資生堂
- 【請求人代理人】田中 尚文
- 審判長/審判官
- 審判長 豊瀬 京太郎
- 審判官 板谷 玲子
- 審判官 白鳥 幹周
- 分類
- T18 .16 -Z (W03)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項6号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第6号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2022-144720拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和4年12月19日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和5年 5月18日付け:拒絶理由通知書
令和5年 6月20日 :意見書、手続補正書の提出
令和5年 7月13日付け:拒絶査定
令和5年10月23日 :審判請求書の提出
2 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第3類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として登録出願されたものである。
本願の指定商品は、原審における上記1の手続補正書により、第3類「リップスティック」と補正されたものである。
3 当審における拒絶理由通知
当審において、請求人に対し、令和6年1月30日付けで、別掲2のとおりの事実を示した上で、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であるから、商標法第3条第1項第6号に該当する旨の拒絶理由を通知し、相当の期間を指定して、これに対する意見を求めた。
4 拒絶理由に対する請求人の意見(要旨)
請求人は、上記3の拒絶理由通知に対し、令和6年3月18日に意見書を提出し、要旨以下(1)及び(2)のとおりの意見を述べた。
(1)「THE」の文字とその指定商品又は指定役務との関係で記述的と考えられる文字との結合からなる商標が広く登録を認められていることからすれば、本願商標構成中の「THE」の文字が、商品が優れたものであることを誇称的に、または、強調して理解させることはないというべきである。
(2)拒絶理由通知書に挙げられた別掲2の情報は、並行輸入品の情報や、極めて少量の商品販売しかなされていないと推測される商品の情報であるほか、「Precious」の英単語に照応する「貴重な、価値のある」といった表現が全く用いられていない情報であることからすれば、これらの情報をもって、本願の指定商品たる化粧品を取り扱う分野において、「Precious」又は「プレシャス」の文字が、商品の名称等を表す文字と結合し、その商品が優れたものであることを誇称的に表現するためのものとして、広く一般的に使用されている実情があるとはいえない。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第6号該当性について
本願商標は、別掲1のとおり、「The Precious Lipstick」の文字を横書きしてなるところ、その構成中の「The」の文字は、「普通名詞の前に付いて、同類のものの中で特に代表的・典型的なものとして強調する語。」(出典:「広辞苑 第七版」株式会社岩波書店)である英語の定冠詞であって、我が国においても広く理解されているものであり、また、同構成中の「Lipstick」の文字は、本願の指定商品「リップスティック」を欧文字で表したものである。
そして、同構成中の「Precious」の文字は、「貴重な、価値のある」(出典:「プログレッシブ英和中辞典」株式会社小学館)などを意味する語であるところ、原審提示の情報や、別掲2の情報にあるように、本願の指定商品を含む、化粧品を取り扱う分野においては、「Precious(precious)」の文字、又は、その読みを片仮名で表した「プレシャス」の文字と、商品の名称等を表す文字(○○)とを結合した「Precious(precious)○○」「プレシャス○○」の文字からなる標章が、その商品が優れたものであることを誇称的に表現するためのものとして、広く一般的に使用されている実情が認められ、また、「プレシャスリップスティック」「precious lipstick」の文字からなる標章の使用事例(別掲2(1)及び同(2))も見受けられるものである。
以上のことを総合的に勘案すれば、本願商標をその指定商品「リップスティック」に使用した場合には、これに接する需要者は、それより「貴重な、価値のあるリップスティック」など、本願商標を構成する各語の意味に相応する意味合いを容易に理解し、それが優れた商品であることを誇称的に、かつ、強調して表示したものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識としては認識し得ないものというのが相当であるから、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標というべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、「THE」の文字とその指定商品又は指定役務との関係で記述的と考えられる文字との結合からなる商標が広く登録を認められていることからすれば、本願商標構成中の「THE」の文字が、商品が優れたものであることを誇称的に、または、強調して理解させることはないというべきである旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第6号に該当するものであるか否かの判断は、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と指定商品・指定役務との関係や、その商品又は役務の分野における取引の実情をも踏まえて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、請求人の挙げた登録例は、商標の構成態様が本願商標とは異なるものである点において、本願とは、事案を異にするものというべきであり、また、過去の登録例が存在することをもって、本件判断が左右されるものではない。
そして、本願商標が、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標というべきであることは、上記(1)のとおりである。
イ 請求人は、拒絶理由通知書に挙げられた別掲2の情報をもってしては、化粧品を取り扱う分野において、「Precious」又は「プレシャス」の文字が、商品の名称等を表す文字と結合し、その商品が優れたものであることを誇称的に表現するためのものとして、広く一般的に使用されている実情があるとはいえない旨主張する。
しかしながら、別掲2の事例において、「Precious(プレシャス)」の語の意味に直接的に相応する商品の説明等の記述がないとしても、上記(1)のとおり、「Precious」の文字は、「貴重な、価値のある」などのいわゆる積極的、肯定的な意味を有する語である上、当該語と商品の名称等を表す文字(○○)とを結合した「Precious(precious)○○」「プレシャス○○」の文字からなる標章について、多数の使用事例が存在し、例えば「プレシャスクリーム」について「多機能保湿クリーム」(別掲2(4))、「プレシャスセラム」について「効果の高いフェイスセラム」(同(8))のように、それらの事例において商品が優れたものであることを誇称的に表現する説明がされていることも少なくないことからすれば、別掲2の事例の存在は、それらの「Precious(precious)○○」「プレシャス○○」の文字からなる標章が、その商品が優れたものであることを誇称的に表現するためのものとして、広く一般的に使用されていることを示すものであると理解するのが相当である。
ウ したがって、請求人の上記ア及びイの主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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