特許拒絶査定不服審判
2023-017353
イメージング・システムに給電するシステム及び方法
- 審判番号
- 2023-017353
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2022-020131
- 請求日
- 2023年10月12日
- 審決日
- 2025年02月10日
- 公報発行日
- 2025年07月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ジーイー・プレシジョン・ヘルスケア・エルエルシー
- 【請求人代理人】小倉 博
- 【請求人代理人】澤木 亮一
- 審判長/審判官
- 審判長 南 宏輔
- 審判官 宮澤 浩
- 審判官 北島 拓馬
- 分類
- P18 .113-Z (H05G) / P18 .121-Z (H05G) / P18 .572-Z (H05G) / P18 .575-Z (H05G)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第29条第1項第3号、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2022-20131「イメージング・システムに給電するシステム及び方法」拒絶査定不服審判事件〔令和4年9月15日出願公開、特開2022-135953〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1.手続の経緯
本件出願(以下「本願」という。)は、令和4年2月14日(優先権主張 2021年(令和3年)3月5日(以下「優先日」という。) 米国)を出願日とする外国語特許出願であって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。
令和5年 1月24日付け:拒絶理由通知
同年 4月27日:意見書の提出
同日:手続補正書の提出
(以下、当該手続補正書による補正を「査定前補正」という。)
同年 6月 8日付け:拒絶査定
同年10月12日:審判請求書及び手続補正書の提出
(以下、当該手続補正書による補正を「本件補正」という。)
第2.本件補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)査定時請求項1(本願発明)
査定前補正により補正された特許請求の範囲の請求項1(以下「査定前請求項1」という。)の記載は、以下のとおりである(各構成単位冒頭の「pA」などは当審で付した分説番号であり、後記において、前記各構成単位について前記分説番号を用い「構成pA」などということがある。以下、他の発明についても同様。また、該査定前請求項1に係る発明を以下「本願発明」という。)。
「【請求項1】
pA イメージング・システムに給電する電力システムであって、
pB1 少なくとも一つの入力及び少なくとも一つの出力を有する配電ユニット(PDU)であって、
pB2 前記少なくとも一つの入力は商用電源からの交流(AC)電源に電気的に結合されている、配電ユニット(PDU)と、
pC 前記イメージング・システムのガントリであって、前記PDUの前記少なくとも一つの出力に電気的に結合された少なくとも一つの入力を有するガントリと、
pD X線発生時に前記イメージング・システムのX線発生器にピーク電力を供給するエネルギ貯蔵システムとを備えた
pF 電力システム。」
(2)本件請求項1(本件補正発明)
本件補正により特許請求の範囲の請求項1(以下「本件請求項1」という。)の記載は以下のとおり補正された(下線部は補正箇所を示すため当審で施したものである。また、該本件請求項1に係る発明を以下「本件補正発明」という。)。
「【請求項1】
A イメージング・システムに給電する電力システムであって、
B1 少なくとも一つの入力及び少なくとも一つの出力を有する配電ユニット(PDU)であって、
B2 前記少なくとも一つの入力は商用電源からの交流(AC)電源に電気的に結合されている、配電ユニット(PDU)と、
C 前記イメージング・システムのガントリであって、前記PDUの前記少なくとも一つの出力に電気的に結合された少なくとも一つの入力を有するガントリと、
D X線発生時に前記イメージング・システムのX線発生器にピーク電力を供給するエネルギ貯蔵システムとを備え、
E1 前記ガントリは、ヒューズを有する電力アセンブリを含んでおり、
E2 前記電力アセンブリの出力は、前記エネルギ貯蔵システムの入力に電気的に結合される、
F 電力システム。」
2 補正の適否について
2-1 補正の目的について
上記本件補正のうち、構成E1・E2を付加した補正は、本願発明を特定するために必要な事項(以下「発明特定事項」という。)である、構成pCに係る「ガントリ」を限定するものであるから、本願発明の発明特定事項を限定する補正を含むものと認められる。
また、本願発明と本件補正発明との産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、その請求項1に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について下記2-2においてさらに検討する。
2-2 独立特許要件について
(1)本件補正発明について
分説を含め上記1(2)に記載したとおりである。
(2)引用文献に記載された事項
(2-1)引用文献1に記載された事項
ア 引用文献1の記載事項
本件出願の拒絶査定において、新規性欠如・進歩性欠如に係る理由1・2の主引用例として引用された文献であって、本件出願の優先日前に公知となった引用文献1(特表2020-511251号公報)には次の記載がある。
(ア)明細書の記載事項
「【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される主題は、コンピュータ断層撮影(CT)撮像システムまたは任意のX線システムに関し、より具体的には、ピークシェービング用に構成され、ならびに/または内蔵無停電電源装置(UPS)および安定器を有するCT撮像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療用CTシステムは、短時間(例えば、X線管からのX線の放出中)に大量の電力(例えば、ピーク電力)を利用する。
・・・
【0015】
図2は、1つまたは複数の医療用撮像負荷52(例えば、図1のCT撮像システム10)および/または他の電子機器54(例えば、CT撮像システム10用のコンピュータ36、コンソール40、および/またはディスプレイ42)に電力を提供する電源装置システム50である。主交流(AC)電源は、電力(例えば、単相または3相AC電力などの多相AC電力)をAC電力ライン51を介して、配電ユニット(PDU)56にAC入力57(例えば、単相または3相電力プラグ)を介して提供することができる。PDU56は、AC電力をDC電力に変換し、DC電力を医療用撮像負荷52および/または他の電子機器54に提供することができる。特定の実施形態では、PDU56はまた、AC電力を医療用撮像負荷52および/または他の電子機器54に提供する。PDU56は、システム10のCT撮像スキャナの静止部分に配置される。PDU56は、スリップリングを介して、または無線でシステム10のCT撮像スキャナの静止部分から回転部分に電力を送信することができる。特定の実施形態では、システム10は、電源装置システム50(例えば、PDU56)の異なるパラメータのインテリジェント監視報告を利用してもよい。これらのパラメータは、入力電圧、入力電流、バッテリー電圧充電電流、インバータAC電圧、インバータAC電流、ヒートシンク温度、すべてのボードレール電圧、および他のパラメータを含み得る。これらのパラメータは、通信インターフェース(例えば、シリアル、コントローラエリアネットワーク、イーサネットなど)を介してPDU56からホストコンピュータ36および/またはコンソール40に(例えば、有線または無線で)通信することができる。
・・・
【0018】
コンピュータ断層撮影(CT)システムの負荷に関して1つまたは複数の医療用撮像負荷52を以下に説明するが、実施形態は他の撮像構成での使用に適用可能であることが理解されよう。1つまたは複数の医療用撮像負荷52は、PDU56に結合された高電圧発生器62を含むことができる。高電圧発生器62は、コンピュータ断層撮影(CT)撮像システム10のX線管14に電力を提供することができる。X線管14は、患者などの対象または物体に向けてX線ビームを放出し得る。ビームは、対象によって減衰された後、放射検出器のアレイに衝突する。検出器アレイで受け取られた減衰されたビーム放射の強度は、対象によるX線ビームの減衰に依存し得る。検出器アレイの各検出器要素は、各検出器要素によって受け取られた減衰されたビームを示す別個の電気信号を生成する。電気信号は、画像を生成する分析のためにデータ処理システムに送信される。さらに、X線源および検出器アレイは、駆動軸およびモータ64を介して、撮像面内のガントリ12の周りおよび対象または物体の周りで回転させることができる。ガントリ12が回転すると、PDU56からの電力をモータ64を介して回転運動エネルギーに変換する。
【0019】
PDU56は、FPGAもしくはプロセッサ68または複数のFPGAもしくは複数のプロセッサおよびメモリ70を有する制御システム66によって制御され得る。特定の実施形態では、制御システム66は、PDU56(例えば、エネルギー貯蔵管理システム60)の一部である。プロセッサ68は、現在開示されている技術を実行するための命令を実施するためにメモリ70に動作可能に結合されてもよい。これらの命令は、メモリ70および/または他のストレージなどの有形の非一時的コンピュータ可読媒体に貯蔵されたプログラムまたはコードにエンコードされてもよい。プロセッサ68は、汎用プロセッサ(例えば、デスクトップ/ラップトップコンピュータのプロセッサ)、システムオンチップ(SoC)デバイス、または特定用途向け集積回路、または何らかの他のプロセッサ構成であり得る。実施形態では、メモリ70は、限定はしないが、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、ディスケット、フラッシュドライブ、コンパクトディスク、デジタルビデオディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、および/またはプロセッサ68が命令および/またはデータを貯蔵、検索、および/または実施することを可能にする任意の適切なストレージデバイスなどのコンピュータ可読媒体を含む。メモリ70は、1つまたは複数のローカルおよび/またはリモートストレージデバイスを含むことができる。プロセッサ68は、PDU56の構成要素(例えば、充電器、バッテリーなど)を制御し、電力を1つまたは複数の医療用撮像負荷52に提供することができる。
【0020】
図3~図5は、普遍的な電圧サポートを提供し、単相AC電源に結合されたときにシステム10が約3.5kVAで動作することを可能にするCT撮像システム10(例えば、典型的には、約40kVAの電力要件を有する)のPDU56の異なる実施形態を示す。単相電源装置に結合されて示されているが、特定の実施形態では、図3~図5のPDU56は、多相電源装置(例えば、3相電源装置)に結合されてもよい。図3は、(例えば、外部UPS72に結合された)図2のPDU56の一実施形態の概略図である。PDU56は、エネルギー貯蔵システム58と、エネルギー貯蔵管理システム60とを含む。
・・・
【0021】
図示のように、PDU56は、外部UPS72(例えば、3.5kVA UPS)に結合される。UPS72は、単相AC電源に結合される。特定の実施形態では、UPS72は、多相電源装置(例えば、3相電源装置)に結合され得る。UPS72は、ライン82(例えば、230VACライン)を介して電力を絶縁変圧器80(例えば、3.5kVA絶縁変圧器)に提供する。特定の実施形態では、絶縁変圧器80は、入力側に2つの巻線を含むことができる。これにより、絶縁変圧器80が異なるタッピングオプションを含むことが可能になる。例えば、絶縁変圧器80は、直列(例えば、180~260VAC入力用)または並列(90~140VAC入力用)に結合された巻線を有することができる。UPS72と変圧器80との間のライン82に沿って、シャントトリップ回路遮断器84が配置されてもよい。シャントトリップ回路遮断器84は、障害が存在するとトリップする。特定の実施形態では、電流センサ86は、ライン82に沿って(例えば、シャントトリップ回路遮断器84と絶縁変圧器80との間に)配置され得る。
・・・
【0023】
AC電力の別の部分(例えば、2.7kVA)は、ライン94(例えば、230VACライン)を介してエネルギー貯蔵管理システム60に提供され得る。エネルギー貯蔵管理システム60から、AC電力の一部がライン94の1つまたは複数の部分96、98に沿って他のシステム電子機器54(例えば、コンピュータ36、コンソール40など)に提供される。また、AC電力の一部は、ライン94の部分100に沿ってガントリ12に提供される。ACリレー102は、ガントリ12が利用されているときにオンになる(例えば、ガントリが有効になる)部分100に沿って配置することができる。さらに、AC電力の一部は、ライン94の部分104に沿って駆動軸およびモータ64に提供される。ACリレー106は、駆動軸およびモータ64が利用されているときにオンになる(例えば、駆動軸が有効になる)部分104に沿って配置することができる。またさらに、AC電力の一部は、ライン94の部分108に沿ってバッテリー充電器76(例えば、600~1400Wのバッテリー充電器)に提供される。ACリレー110は、バッテリー充電器76が利用されているときにオンになる(例えば、充電器が有効になる)バッテリー充電器76の上流の部分108に沿って配置することができる。
・・・
【0025】
バッテリー充電器76は、バッテリー74に結合され、電力をバッテリー74に提供する。バッテリー74およびバッテリー充電器76は、ライン116に沿ってDC電力(例えば、450~650VDC)を発生器62ならびに駆動軸およびモータ64に提供する。特定の実施形態では、ヒューズ118およびDCリレー120は、ライン116の正の部分に沿って(例えば、バッテリー74およびバッテリー充電器76の下流に)配置され得る。DCリレー120は、高電圧DC電力が発生器62に提供されるときにオンになる(例えば、高電圧(HV)DCが有効になる) 。
【0026】
図4は、(例えば、内部または内蔵UPS122と、2つの別個のエネルギー貯蔵要素とを有する)図2のPDU56の一実施形態の概略図である。一般に、PDU56は、広範囲安定器124(例えば、約90~140VACおよび180~260VACの範囲を有する広範囲電圧安定器)を有する内蔵UPS122を(例えば、CTスキャナの静止部分に)含むことを除いて、図3に記載の通りである。PDU56は、エネルギー貯蔵システム58と、エネルギー貯蔵管理システム60とを含む。エネルギー貯蔵システム58は、直列に積み重ねられた複数のバッテリーを含む第1のエネルギー貯蔵構成要素74を含む。バッテリーを直列に積み重ねることで、事前調整器が不要になる。バッテリーの数は48個として示されているが、事前調整器が不要である限り、その数は異なる場合がある。エネルギー貯蔵システム58はまた、第2のエネルギー貯蔵構成要素125(すなわち、UPS122)を含む。UPS122はまた、複数のバッテリーを含むことができる。UPS122は、UPS制御ボード126に結合され、UPS制御ボード126によって調整され得る。以下により詳細に説明するように、PDU56は、(例えば、CTシステム10のピーク電力動作中に)ピークシェービングのためにエネルギー貯蔵構成要素74を利用する。PDU56は、CTシステム10の動作(例えば、ピーク電力動作)中に電力(例えば、バックアップ電力)を提供するためにUPS122を利用する。エネルギー貯蔵管理システム60は、バッテリー充電器76と、エネルギー貯蔵システム58の第1および第2の貯蔵構成要素74および125からの電力の分配を管理する制御回路78とを含む。特定の実施形態では、バッテリー充電器76は電力制限され、様々な入力AC電力レベル(例えば、3.5kVA、10kVAなど)に構成されてもよく、断続的なピーク電流が1つまたは複数のバッテリーで提供され得る。特定の実施形態では、エネルギー貯蔵管理システム60は、TGPとインターフェースする。」
(イ)図面の記載
・図1下図
「
[図:0001424086000001.jpg]
」
・図2
「
[図:0001424086000002.jpg]
」
・図4
「
[図:0001424086000003.jpg]
」
(ウ)図から看取・認定される事項
・図4看取事項1
図4からは、【0021】の記載を踏まえると、図4看取事項1として、≪PDU56が、90~140VAC又は180~260VACの電力と、UPSを介することなく直接ライン128を介して接続されていること≫を看取できる。
・図4看取事項2
図4からは、図4看取事項2として、≪配電ユニット(PDU)56の、ガントリに対しAC電力を提供するライン94の部分100は、制御システム66内において該部分100の途中にヒューズを備えていること≫を読み取ることができる。
・図4看取事項3
図4からは、関連する【0025】の記載事項を合わせ読めば、図4看取事項3として、≪制御システム66はバッテリー充電器76を備え、該バッテリー充電器76はライン116を介して配電ユニット(PDU)56内のエネルギー貯蔵構成要素(バッテリー)74に接続される≫ことを読み取ることができる。
イ 引用発明
上記アの各記載事項及び看取・認定事項によれば、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。各構成単位末尾括弧内には、該各構成単位の認定の主たる根拠とした引用文献1の記載箇所を示す。
「a 例えばCT撮像システム10などの医療用撮像負荷52に電力を提供する電源装置システム50であって、(【0015】)
b1 AC入力57と、他のシステム電子機器54、ガントリ12、駆動軸・モータ64にAC電力を提供するライン94の部分96・98、100、104と、を備える配電ユニット(PDU)56であって、(【0015】・【0023】)
b2 前記AC入力57は、90~140VAC又は180~260VACの単層又は3相AC電力を、UPSを介することなく直接入力するものである、配電ユニット(PDU)56と、(【0015】・【0021】、図4看取事項1)
c 前記医療用撮像負荷52のガントリ12であって、前記配電ユニット(PDU)56のAC電力を提供するライン94の部分100を介してAC電力の一部が提供される、ガントリ12と、(【0023】)
d CT撮像システム10のピーク電力動作中にピークシェービングを可能にするエネルギー貯蔵構成要素(バッテリー)74とエネルギー貯蔵構成要素125(UPS122)を含む、エネルギー貯蔵システム58であって、(【0026】)
d1 前記エネルギー貯蔵構成要素(バッテリー)74は、医療用撮像負荷52のCT撮像システム10のX線管14に電力を提供する高電圧発生器62に対し、ピークシェービングのために、ライン116に沿って例えば450~650VDCのDC電力を提供し、(【0018】・【0025】)
d2 ライン116の正の部分に沿ってエネルギー貯蔵構成要素(バッテリー)74の下流には、高電圧DC電力がX線発生器62に提供されるときにオンになるDCリレー120が配置され、(【0025】)
d3 前記エネルギー貯蔵構成要素125(UPS122)は、CTシステム10のピーク電力動作中にバックアップ電力を提供するものである、エネルギー貯蔵システム58とを備え、(【0026】)
e1 前記医療用撮像負荷52のガントリ12に前記配電ユニット(PDU)56からAC電力を提供するライン94の部分100は、配電ユニット(PDU)56を制御する制御システム66内において、該部分100の途中にヒューズを備えており、(【0019】・【0023】、図4看取事項2)
e2 前記制御システム66が備えるバッテリー充電器76は、前記ライン116を介して、エネルギー貯蔵構成要素(バッテリー)74に接続され、(図4看取事項)
e3 特定の実施形態では、前記制御システム66は、配電ユニット(PDU)56の一部である、(【0025】)
f 電源装置システム50。(【0015】)」
(2-2)引用文献2の記載事項
ア 引用文献2の記載
本件出願の優先日前に公知となった米国特許出願公開第2015/0085969号明細書(以下「引用文献2」という。)には次の記載がある。摘記に続く括弧内に当審訳を示す(以下同様)。
・記載2-1(段落1)
「[0001] This disclosure relates generally to diagnostic imaging and, more particularly, to improved power distribution unit for a computed tomography (CT) system.」
(当審訳:「[0001]本開示は、一般的には、診断撮像に関し、特にコンピュータ断層撮影(CT)システムのための改善された配電ユニットに関するものである。」)
・記載2-25(段落25)
「[0025] Referring to FIG. 3, an imaging system electrical circuit 300 is illustrated that is incorporated into system 10 shown in FIGS. 1 and 2. Circuit 300 includes a DC or electrical bus 317 coupled to a DC output 316 of a high-frequency power distribution unit (HFPDU) 303 . An axial drive and gantry motor 307 is electrically coupled to the electrical bus 317 . An AC input 302 to the HFPDU 303 is coupleable to a 3-phase AC electrical source 301 . A gantry 306 (similar to gantry 12 of FIGS. 1 and 2) is mechanically coupled to gantry motor 307 (similar to gantry motor controller 32 of FIG. 2), and rotational energy in rotating gantry is regeneratively converted to DC electrical energy in gantry motor 307 during gantry braking, and the DC electrical energy is provided to the electrical bus 317 .」
(当審訳:「図3を参照すると、図1および図2に示すシステム10に組み込まれる撮像システム電気回路300が図示されている。回路300は、高周波配電ユニット(HFPDU)303のDC出力316に結合されたDC又は電気バス317を含む。軸駆動およびガントリ・モータ307は、電気バス317に電気的に結合されている。HFPDU303へのAC入力302は、3相AC電源301に結合可能である。ガントリ306(図1および図2のガントリ12と同様)は、ガントリ・モータ307(図2のガントリ・モータ・コントローラ32と同様)に機械的に結合され、回転ガントリにおける回転エネルギーは、ガントリ制動中にガントリ・モータ307において直流電気エネルギーに回生的に変換され、直流電気エネルギーは、電気バス317に供給される。」)
・記載2-26(段落26)
「[0026] Circuit 300 includes a high voltage power supply (HVPS) 322 (similar to generator 30 of FIG. 2) that includes inverter 304 and high voltage tank 320 , and HVPS 322 is coupled to electrical bus 317 . HVPS 322 is configured to provide power to an x-ray tube 305 (similar to x-ray tube 14 of FIGS. 1 and 2). Circuit 300 includes one or more components 309 coupled to electrical bus 317 , the one or more components 309 including, as examples and consistent with FIGS. 1 and 2, a data acquisition system (DAQ) 22 , a detector cooling fan 23 , and a system control computer 36 . The one or more components 309 are powered by the 60 Hz DC to AC Converter 308 .」
(当審訳:「回路300は、インバータ304および高電圧タンク320を含む高電圧電源(HVPS)322(図2の発電機30と同様)を含み、HVPS322は電気バス317に結合されている。HVPS322は、X線管305(図1および図2のX線管14と同様)に電力を供給するように構成されている。回路300は、電気バス317に結合された1つまたは複数の構成要素309を含み、1つまたは複数の構成要素309は、例として、および図1および図2と一致するように、データ収集システム(DAQ)22、検出器冷却ファン23、およびシステム制御コンピュータ36を含む。1つまたは複数のコンポーネント309は、60HzDC-ACコンバータ308によって給電される。」)
・記載2-27(段落27)
「[0027] External to rotating base (not shown) and electrically connected to a slip ring 321 is the HFPDU 303 that is stationary and therefore does not rotate with x-ray tube 305 , tank 320 , and inverter 304 . Inverter 304 is provided 315 with a DC voltage, for example, 650 VDC, which generates an AC voltage waveform, for example, approximately 300 VAC, at a specified frequency, e.g. 20 kHz-50 kHz. The AC voltage is then fed to the HV tank 320 , which has a transformer and rectifiers (not shown) that develops a DC HV potential. The HV potential is then applied to the x-ray tube 305 . Rotating base (not shown) is also designed with one or more auxiliary devices 318 that may include auxiliary power devices with DC power 319 . As such, X-ray inverter 304 , HV tank 320 , and X-ray tube 305 are positioned on the rotating side of slip ring 321 . As such, a relatively low DC voltage is supplied to slip ring 321 which is then transferred to X-ray inverter 304 for conditioning. FIG. 3 illustrates one exemplary embodiment in which inverter 304 is positioned on rotating base (not shown). However, in another example (not shown), inverter 304 is external to slip ring 321 and on a stationary side of the gantry.」
(当審訳:「回転ベース(図示せず)の外部にあり、スリップリング321に電気的に接続されたHFPDU303は、静止しているため、X線管305、タンク320、およびインバータ304と共に回転しない。インバータ304は、直流電圧、例えば、650VDCを315に供給され、この直流電圧は、所定の周波数、例えば、20kHz-50kHzで、交流電圧波形、例えば、約300VACを生成する。交流電圧は次にHVタンク320に供給され、HVタンク320は変圧器と整流器(図示せず)を有し、直流HV電位を発生する。HV電位は次にX線管305に印加される。回転ベース(図示せず)はまた、DC電源319を有する補助電源装置を含むことができる1つ以上の補助装置318を有するように設計される。このように、X線インバータ304、HVタンク320、およびX線管305は、スリップリング321の回転側に配置される。このように、比較的低い直流電圧がスリップリング321に供給され、この直流電圧は、コンディショニングのためにX線インバータ304に転送される。図3は、インバータ304が回転ベース(図示せず)上に配置されている例示的な一実施形態を示している。しかし、別の例(図示せず)では、インバータ304はスリップリング321の外部にあり、ガントリの固定側にある。」)
・記載2-28(段落28)
「[0028] In an optional embodiment, circuit 300 includes an energy storage device 311 coupled to bus 317 , and in one example energy storage device 311 is a lithium ion battery having a higher energy density and peak power capability than conventional batteries. Further, energy storage device 311 is coupled via a voltage stepping device to a buck-boost converter 310 that is coupled between the energy storage device 311 and bus 317 . Typically, a buck-boost converter such as converter 310 operates as a DC stepper to step up the DC voltage in one direction and step down the voltage in the other direction. In this case, DC bus 317 includes a voltage sufficient to power the inverter 304 , gantry motor 307 , and other electrical components 309 . Buck-boost converter may therefore be appropriately used to step up and down, accordingly, per the voltage on bus 317 and per the operating voltage of energy storage 311 .」
(当審訳:「任意の実施形態では、回路300は、バス317に結合されたエネルギー蓄積デバイス311を含み、一例では、エネルギー蓄積デバイス311は、従来の電池よりも高いエネルギー密度とピーク電力能力を有するリチウムイオン電池である。さらに、エネルギー蓄積デバイス311は、電圧ステップ装置を介して、エネルギー蓄積デバイス311とバス317との間に結合される昇降圧コンバータ310に結合される。通常、コンバータ310のような降圧コンバータは、直流電圧を一方向に昇圧し、他方向に降圧する直流ステッパとして動作する。この場合、DCバス317は、インバータ304、ガントリー・モータ307、および他の電気部品309に電力を供給するのに十分な電圧を含む。したがって、バス317の電圧およびエネルギー蓄積デバイス311の動作電圧に応じて、昇降圧コンバータを適切に使用することができる。」)
・記載2-図3
上記記載2-25~28で参照される図3は次のとおり。
「
[図:0001424086000004.jpg]
」
イ 引用文献2に記載された技術事項(引例2技術事項)
上記アの記載から、引用文献2には以下の技術事項(以下「引例2技術事項」という。)が記載されていると認める(各段落末尾括弧内には認定の主たる根拠とした記載箇所を示す。)。
「コンピュータ断層撮影(CT)システムに組み込まれる撮像システム電気回路において、(記載2-1)
ガントリの回転側に、X線管及びX線管用のインバータを配置し、(記載2-27)
スリップリングを介してその外側であるガントリの固定側には、配電ユニット、該配電ユニットの出力とDCバスで接続されるガントリー・モータ、及びエネルギー蓄積デバイスを備え、(記載2-27・28)
前記エネルギー蓄積デバイスは高いピーク電力能力を有するリチウムイオン電池であって、前記X線管用のインバータに電力を供給するDCバスに対し昇降圧コンバータを介して結合され、(記載2-28)
前記昇降圧コンバータは、前記X線管用のインバータに供給するのに十分な電圧をとるDCバスの電圧、及びエネルギー蓄積デバイスの動作電圧に応じて、適切に使用されるものである、(記載2-28)
撮像システム電気回路。(記載2-1)」
(2-3)引用文献3の記載事項
ア 引用文献3の記載
本件出願の優先日前に公知となった米国特許出願公開第2010/0220837号明細書(以下「引用文献3」という。)には次の記載がある。
・記載3-11(段落11)
「[0011] Because such a tomography apparatus is operated for only a very short time period in high power operation, and long time periods are present between successive examinations, the energy storage can be recharged with a low charge current. This has the result that operation of the tomography apparatus is possible using the normal mains connection at the customer, without special measures. The electrical grid (mains) at the customer therefore no longer needs to be adapted to the maximum required power in the high power operation by laying lines with greater safeguards.」
(当審訳:「[0011]このような断層撮影装置は、高出力動作では非常に短い時間だけ動作し、連続する検査間には長い時間が存在するため、エネルギー貯蔵器は、低い充電電流で再充電することができる。この結果、特別な対策を講じることなく、顧客の通常の主電源接続を使用して断層撮影装置の運転が可能となる。従って、顧客側の電力網(主電源)は、より大きな安全装置を備えた電線を敷設することによって、大電力運転で必要とされる最大電力に適合させる必要がなくなる。」)
・記載2-21(段落21)
「[0021] Shown in the FIGURE is a tomography apparatus according to the invention (here a computed tomography apparatus 1 ) with an energy storage 4 . Located inside the computed tomography apparatus 1 is a gantry with a stationary support frame 17 and a rotor 5 mounted so as to rotate around a system axis 16 in the support frame. An acquisition system, which includes electronic components in the form of an x-ray tube 2 and a radiation detector 3 , is arranged on the rotor 5 . The supply of the acquisition system with electrical power ensues by means of a slip ring 14 arranged between the stationary support frame 17 and the rotor 5 . A patient 20 on an adjustable patient bearing device 19 is located in a tunnel opening 18 . Projections from a number of different projection directions can be acquired in a spiral scan (also called a helical scan) along an examination region by rotation of the rotor 5 with simultaneous, continuous feed of the patient bearing device 19 in the direction of the system axis 16 . The projection data acquired in this way by spiral scanning are transmitted to a computer (not shown) and a three-dimensional slice image is calculated therefrom.」
(当審訳:「[0021]図には、エネルギー蓄積装置4を備えた本発明による断層撮影装置(ここではコンピュータ断層撮影装置1)が示されている。コンピュータ断層撮影装置1の内部には、据え付けの支持フレーム17と、支持フレーム内のシステム軸16の周りを回転するように取り付けられたロータ5とを有するガントリが配置されている。X線管2と放射線検出器3の形態の電子部品を含む撮影システムがロータ5上に配置されている。据え付けの支持フレーム17とロータ5の間に配置されたスリップリング14により、撮影システムに電力が供給される。トンネル開口部18には、調節可能な患者支持装置19上の患者20が配置されている。システム軸16の方向に患者支持装置19を同時に連続的に送りながらローター5を回転させることにより、検査領域に沿ったスパイラルスキャン(ヘリカルスキャンとも呼ばれる)において、多数の異なる投影方向からの投影を取得することができる。このようにしてスパイラルスキャンによって取得された投影データはコンピュータ(図示せず)に送信され、そこから三次元スライス画像が計算される。」)
・記載3-23(段落23)
「[0023] To cover the energy or power demand due to the difference in the power consumptions of the x-ray tube 2 that exists between normal operation and high power operation, the computer tomography apparatus 1 has an energy storage 4 with which the x-ray tube 2 is supplied with additional electrical power. Because the energy storage 4 is arranged on the rotor 5 , the modules upstream of the x-ray tube 2 (for example the slip ring 14 and the cable 15 ) can be designed for power supply so that only the power for the normal operation need be accommodated. As noted above, the following advantages hereby result (in summary).」
(当審訳:「[0023]コンピュータ断層撮影装置1は、通常動作と高出力動作との間に存在するX線管2の消費電力の差に起因するエネルギーまたは電力需要を賄うために、X線管2に追加の電力を供給するエネルギー貯蔵器4を備えている。エネルギー貯蔵器4はロータ5上に配置されているので、X線管2の上流のモジュール(例えば、スリップリング14およびケーブル15)は、通常動作のための電力のみを収容する必要があるように、電力供給のために設計することができる。以上のように、以下の利点が得られる(要約)。」)
・記載3-26(段落26)
「[0026] No special adaptations of the site installation are required at the customer for the operation of the computer tomography apparatus 1 since, due to the buffered electrical energy in the energy storage 4 , the maximum power consumption of the apparatus which must be covered via the power grid in the high power operation is low.」
(当審訳:「[0026]エネルギー貯蔵器4内のバッファリングされた電気エネルギーにより、大電力動作時に電力網を介してカバーしなければならない装置の最大消費電力は低いので、コンピュータ断層撮影装置1の動作のために、顧客において設置場所の特別な適合は必要ない。」)
・記載3-28(段落28)
「[0028] In the present exemplary embodiment, the energy storage 4 is composed of a number of lithium ion cells 8 distributed symmetrically (with respect to their center points) relative to the rotation center 21 along the rotor wall 6 . This arrangement prevents an out-of-balance situation of the rotor 5 being created by the energy storage 4 . For clarity, only one lithium ion cell with one reference character 8 is provided.」
(当審訳:「[0028] 本例示的実施形態では、エネルギー貯蔵器4は、ロータ壁6に沿って回転中心21に対して(その中心点に関して)対称に分布した多数のリチウムイオンセル8で構成されている。この配置により、エネルギー貯蔵器4によってローター5のバランスが崩れることを防ぐことができる。分かりやすくするために、1つの参照文字8を持つ1つのリチウムイオンセルのみが提供されている。」)
・記載3-34(段落34)
「[0034] The energy storage 4 is connected to a combinatorial circuit 9 (likewise arranged on the rotor 5 ) that converts an output voltage generated by the energy storage 4 into an input voltage required by the x-ray tube 2 .」
(当審訳:「[0034] エネルギー貯蔵器4は、エネルギー貯蔵器4によって生成された出力電圧をX線管2が必要とする入力電圧に変換する組合せ回路9(同様にロータ5上に配置される)に接続される。」)
・記載3-35(段落35)
「[0035] The computed tomography apparatus 1 also has an energy storage management system 10 which―in this special exemplary embodiment―is arranged on the stationary part (i.e. thus on the support frame 17 ) of the computed tomography system 1 and is contacted with the energy storage 4 via a slip ring 14 . However, it is also possible to associate the energy storage management system 10 directly with the rotor 5 . The system has a readout unit 11 that determines a current charge state of the energy storage, a comparator 12 that compares the current charge state with a charge state required for the high power operation, and an evaluation unit 13 that blocks high power operation if and when the current charge state is too low. This ensures that high power operation can be implemented only if sufficient power can be provided from the energy storage 4 . Moreover, the energy storage management system 10 ensures that the energy storage 4 is recharged data interface the scan pauses so that the maximum tube power is provided again in the scan.」
(当審訳:「[0035]コンピュータ断層撮影装置1はまた、この特別な例示的実施形態では、コンピュータ断層撮影装置1の据え付け部分(すなわち支持フレーム17)上に配置され、スリップリング14を介してエネルギー貯蔵器4に接触されるエネルギー貯蔵管理システム10を有する。しかし、エネルギー貯蔵管理システム10をロータ5に直接関連付けることも可能である。このシステムは、エネルギー貯蔵の現在の充電状態を決定する読み出しユニット11と、現在の充電状態を高出力運転に必要な充電状態と比較する比較器12と、現在の充電状態が低すぎる場合に高出力運転を遮断する評価ユニット13を備えている。これにより、エネルギー蓄蔵器4から十分な電力が供給される場合にのみ、大電力運転が実施されることが保証される。さらに、エネルギー貯蔵管理システム10は、スキャンにおいて最大管電力が再び供給されるように、エネルギー貯蔵器4がスキャンの一時停止データインターフェイスに再充電されることを保証する。」)
イ 引用文献3に記載された技術事項(引例3技術事項)
上記アの記載から、引用文献3には以下の技術事項(以下「引例3技術事項」という。)が記載されていると認める(各段落末尾括弧内には認定の主たる根拠とした記載箇所を示す。)。
「システム軸16の周りを回転するロータ5と、据え付けの支持フレーム17とを有するガントリーを備え、(記載3-21)
ロータ5と据え付けの支持フレーム17との間にはスリップリング14が配置され、(記載3-21)
ロータ5には、X線管2、放射線検出器3、及び、多数のリチウムイオンセル8からなりX線管2に追加の電力を供給するエネルギー貯蔵器4が設けられ、(記載3-21・23・28)
据え付けの支持フレーム17には、スリップリング14を介してエネルギー蓄蔵器4と接触され、検査間のスキャンの一次停止期間にエネルギー貯蔵器4に再充電を行うエネルギー管理システム10を備える、(記載3-11・35)
コンピュータ断層撮影装置1。(記載3-21)」
(2-4)引用文献4の記載事項
本件出願の優先日前に公知となった特表2019-511892号公報(以下「引用文献4」という。)には、次の記載がある。
・記載4-91(段落91~94)
「【0091】
図6には、正側の充電ユニット106aと負側の充電ユニット106bとの間で分割される充電ユニットが示されている。充電ユニット106a及び106bは、使用中、例えば3相電力を供給する病院の商用電源に接続可能である。
【0092】
スーパーキャパシタ又は電気エネルギーを蓄積する能力を有するバッテリセルのスタックを任意に有することができる電気エネルギー蓄積素子110が、提供される。制御ユニット112は、電力分配装置を制御するために提供され、制御ユニット112のサブセットは、バッテリ管理システム112a(BMS)と考えられることができる。バッテリ管理システム112aは、電気エネルギー蓄積素子110内部の個別のセル又は少数のセルのサブセットの状態を監視する機能を有する。このようなバッテリ管理システムは、スーパーキャパシタスタックを監視するようにも適用可能である。
【0093】
電気エネルギーは、DC負荷端子114を通じて医用システムに供給される。必要とされる機能を達成するために、充電ユニット106a及び106bと、DC負荷端子114との間に電力スイッチングネットワークを接続することが以下で述べられる。
【0094】
正側の充電ユニット106aは、スイッチング手段K3P及び任意にヒューズF2Pを通じて、電気エネルギー蓄積素子110の正端子に接続される。電気エネルギー蓄積素子110の正側は更に、スイッチング手段K1Pを通じて、DC負荷端子114に接続可能である。同様に、負側の充電ユニット106bは、スイッチング手段K3N及び任意にヒューズF2Nを通じて、電気エネルギー蓄積素子110の負側に接続可能である。スイッチング手段K1Nは、電気エネルギー蓄積素子110の負側を負のDC端子114に接続する。」
・記載4-図6
「
[図:0001424086000005.jpg]
」
(2-5)引用文献5の記載事項
本件出願の優先日前に公知となった国際公開第2011/021404号(以下「引用文献5」という。)には、次の記載がある。
・記載5-53(53段落)
「[0053]図1及び図4に示すように、バッテリ28と検出装置側コネクタ部26との間には、検出装置側コネクタ部26に、クレードル4の出カコネクタ部42又は給電部5の給電ケーブル52のいずれが接続されたかを判定する給電手段判定手段としての給電手段判定部60が設けられている。」
・記載5-66(段落66~68)
「[0066] 第1の充電経路上には、外部から供給された電力をバッテリ28の充電用の電力に変換する電力変換手段としての充電回路6が設けられている。
[0067] 充電回路6は、例えば、外部から供給された電力をバッテリ28の充電に適した電圧及び電流の電力に変換する処理を行うIC、充電回路に送られた電力の電圧・電流を平滑化するインダクタの他、コンデンサ、抵抗等(いずれも図示せず)を備えて構成されている。
[0068] 第2の充電経路上には、受電回路29が設けられている。受電回路29には、外部から供給されバッテリ28に送られる充電電流のノイズをカットするフィルタ等(図示せず)が設けられている。また、バッテリ28に過剰な電流が流れるのを防止するためにヒューズが設けられていてもよい。」
(3)対比
ア 構成aの「例えばCT撮像システム10などの医療用撮像負荷52」、「電源装置システム」は、それぞれ構成Aの「イメージング・システム」、構成A・Fの「電力システム」に相当する。 よって、引用発明は構成A・Fに相当する構成を備えると認める。
イ(ア)構成b1の「配電ユニット(PDU)56」は構成B1の「配電ユニット(PDU)」に相当する。
(イ)「構成b1で「PDU」が「AC入力57」「を備える」ことは、構成B1の「PDU」が「少なくとも一つの入力」を「有する」ことに相当する。
(ウ)構成b1で「PDU」が「他のシステム電子機器54、ガントリ12、駆動軸・モータ64にAC電力を提供するライン94の部分96・98、100、104」を「有する」ことは、構成B1の「PDU」が「少なくとも一つの出力を有する」ことに相当する。
(エ)以上(ア)~(ウ)から、引用発明は構成B1に相当する構成を備えると認める。
ウ 構成b2の「前記AC入力57は、90~140VAC又は180~260VACの単層又は3相AC電力を入力するものである」ことは、上記イの認定を踏まえれば、構成B2の「前記少なくとも一つの入力は商用電源からの交流(AC)電源に電気的に結合されている」ことに相当する。 よって、引用発明は構成B2に相当する構成を備えると認める。
エ(ア)構成cの「ガントリ12」は構成Cの「ガントリ」に相当する。
(イ)構成cで「ガントリ12」に「前記配電ユニット(PDU)56のAC電力を提供するライン94の部分100を介してAC電力の一部が提供される」ためには、「ガントリ12」が「「前記配電ユニット(PDU)56のAC電力を提供するライン94の部分100を介してAC電力の一部が提供される」ために必須となる何らかの入力線を「配電ユニット(PDU)56」との間に備えるべきことが自明であり、該自明な入力線を備えるべきことは、上記イ及び(ア)の認定を踏まえれば、構成Cの、「ガントリ」が「前記PDUの前記少なくとも一つの出力に電気的に結合された少なくとも一つの入力を有する」ことに相当する。
(ウ)以上(ア)・(イ)から、引用発明は構成Cに相当する構成を備える。
オ(ア)構成d1の「X線管14」又は「X線管14に電力を提供する高電圧発生器62」は、構成Dの「X線発生器」に相当する。
(イ)また、構成d2の「高電圧DC電力がX線発生器62に提供される」ことは、構成Dの「X線発生器にピーク電力」が「供給」されることに相当する。
(ウ)構成d2の「高電圧DC電力がX線発生器62に提供されるとき」は、構成Dの「X線発生時」に相当する。
(エ)構成dの「エネルギー貯蔵構成要素(バッテリー)74」又は「エネルギー貯蔵構成要素(バッテリー)74とエネルギー貯蔵構成要素125(UPS122)を含む、エネルギー貯蔵システム58」は、「電力を提供」(構成d1)する能力を備え、かつ、「バッテリ」である点で「エネルギー貯蔵」能力を備える要素であることから、構成Dの「エネルギ貯蔵システム」に相当するといえる。
(オ)上記(ア)~(エ)の認定を踏まえれば、構成d2の、「ライン116」の「高電圧DC電力がX線発生器62に提供されるときにオンになるDCリレー120」を介して「エネルギー貯蔵構成要素(バッテリー)74」が「高電圧DC電力」を」「X線発生器62に提供」することは、構成Dの「エネルギ貯蔵システム」が「X線発生時に前記イメージング・システムのX線発生器にピーク電力を供給する」ことに相当するといえる。
(カ)上記(ア)~(オ)から、引用発明は構成Dに相当する構成を備える。
カ(ア)構成e2の「前記ライン116を介して」「接続」されることは構成E2の「電気的に結合」されることに相当する概念であるから、上記オ(エ)の認定を踏まえれば、「バッテリー充電器76」を備える「制御システム66」は、「エネルギ貯蔵システム」との接続関係において、構成E2の「電力アセンブリ」に相当する。
(イ)上記(ア)の認定を踏まえれば、構成e1の「制御システム66内において、該部分100の途中にヒューズを備えて」いることは、構成E1の「電力アセンブリ」が「ヒューズを有する」ことに相当する。
キ 一致点・相違点
上記ア~カによれば、本件補正発明と引用発明とは、下記(ア)の点で一致し、下記(イ)の点で相違する。
(ア)一致点
「A イメージング・システムに給電する電力システムであって、
B1 少なくとも一つの入力及び少なくとも一つの出力を有する配電ユニット(PDU)であって、
B2 前記少なくとも一つの入力は商用電源からの交流(AC)電源に電気的に結合されている、配電ユニット(PDU)と、
C 前記イメージング・システムのガントリであって、前記PDUの前記少なくとも一つの出力に電気的に結合された少なくとも一つの入力を有するガントリと、
D X線発生時に前記イメージング・システムのX線発生器にピーク電力を供給するエネルギ貯蔵システムとを備え、
E1’ ヒューズを有する電力アセンブリを含んでおり、
E2 前記電力アセンブリの出力は、前記エネルギ貯蔵システムの入力に電気的に結合される、
F 電力システム。」
(イ)相違点1(構成E1)
「ヒューズを有する電力アセンブリ」の設置部位について、本件補正発明ではガントリが含むと特定するのに対し、引用発明では、ガントリ内とする態様は明示的には含まない点。
(4)相違点1についての判断
ア イメージング・システムであるX線CTにおいて、X線管への電力供給線に接続される蓄電池からなる電気エネルギー貯蔵手段及びその充放電回路、並びにPDUの取り付け部位として、回転側・固定側を含むガントリ内を選択することは、引用文献2及び3に記載された上記引例2技術事項及び引例3技術事項によっても裏付けられるとおり、周知である。
よって、引用発明において、構成e3で認定したとおり「制御システム66」を内部に設けたPDUの設置位置をガントリ内として(ガントリの筐体内でPDUの出力からガントリが備えるX線管やモータ等の各要素へ電力を入力するようにして)上記相違点1の構成とすることは、前記周知技術に基づいて当業者が容易に選択し得たことである。
イ また、引用発明において「配電ユニット(PDU)56を制御する」という、PDUとは独立した制御機能を備える「制御システム66」(構成e1)なるユニットは、PDUとの等価な接続関係が得られさえすればPDUに対してその内外いずれに設けることも設計上の都合により適宜選択されるべき事項に過ぎない。回路設計におけるこうした設計上の自由度の存在は、卑近な例としては、コンピュータのマザーボードの設計において、メモリーの取り付けをオンボード(マザーボードの回路基板に半田固定してマザーボードの一部として一体化)とすることも、メモリーをマザーボードに対し外部回路としてメモリースロットへの差し込みによる接続形式とすることも、共に選択的に行われているといった事例からも裏付けられるとおり、技術常識といえるものである。
よって、引用発明において、PDUとは独立した制御機能を有するところの「制御システム66」をPDUから独立させてPDU外の任意の部位に取り付けるようにすることも当業者が回路設計上の都合に応じて適宜選択し得る設計上の事項に過ぎないといえ、その取り付け先として「ガントリ」の筐体内を選択することもまた、該「ガントリ」筐体内のスペース如何や、該スペースと、CT撮像システム10及び電源装置システム50を含むシステム全体の中の他の部位のスペースとの勘案に応じて、当業者によって適宜選択されるべき事項に過ぎない。
よって、引用発明において、「PDU」とは独立した制御機能を備える「制御システム66」を「PDU」内から「ガントリ」内への設置して相違点の構成とすることも、当業者が設計上の都合により容易に選択し得たことである。
(5)本件補正発明を多義的又は限定的に解釈した場合について
本件補正発明と引用発明との相違点(相違点1)の認定、及び該相違点1についての判断は、上記(3)・(4)で説示したとおりであるが、本件補正発明について多義的又は限定的に解釈した場合についても結論に相違ないことについて、念のため以下に述べる。
(5-1)ヒューズと電力アセンブリの出力との関係について
ア 本件補正発明は、構成E2の「電力アセンブリの出力」と構成E1の「ヒューズ」との関係について特定しない。
上記(3)の対比と上記(4)の相違点判断は、本件補正発明が含む、前記関係がなく、「エネルギ貯蔵システム」への「電力アセンブリ」の出力ラインに前記「ヒューズ」が存在しない態様について検討・判断したものである。
イ 一方、本件補正発明は、「エネルギ貯蔵システム」への「電力アセンブリ」の出力ラインに「ヒューズ」が設けられる態様(以下「態様B」という。)も含む。
しかし、蓄電池上流の充電回路において、充電中にバッテリーに過剰な電流が流れることを防止する目的でヒューズを設けることは、上記(2-4)・(2-5)において摘記した引用文献4・5の記載事項によっても裏付けられるとおりの、周知技術である。
よって、本件補正発明に含まれる前記「態様B」についても、引用発明において態様Bの構成とすることは、前記周知技術の適用により当業者が容易になし得たことである。
(5-2)PDUの設置位置について
ア 本件補正発明について
本件補正発明は、「PDU」の設置位置について、ガントリの内外を特定しない。
よって、上記(3)の対比において、本件補正発明と引用発明との「PDU」の設置位置については比較検討も認定も行っていない。
イ PDUがガントリ外に設けられる態様について
(ア)本件補正発明は、構成Cにおいて特定されるPDUとガントリとが「電気的に結合」される接続関係からみて、PDUがガントリ(筐体)外部に設けられ両者が外部配線で接続される態様(以下「態様C」という。)も含み得る。
しかし、本件補正発明は該態様Cに係る特定事項を明示的に備えるものではないから、該態様Cを明示的に含むとはいえない。また、仮に、本件補正発明が当該態様Cを含むといえるとしても、明示的な特定事項を備えないのであるから、それに限定解釈されるとはいえない。そして、本件補正発明に明示的に特定される事項についての判断は上記(4)に示したとおりである。
ここでは、本件補正発明が明示的な特定事項を超えて前記態様Cに限定解釈される場合について、念のため以下(イ)・(ウ)において検討する。
(イ)引用文献1の一実施態様に係る図2においてPDU56がガントリ12とは別体に描かれていることから、当該態様Cとすることは、選択肢の一つとして引用文献1に記載されているといえる。
よって、引用発明は態様Cを含むか、又は、少なくとも引用発明において当該態様Cとすることは、引用文献1の記載から当業者が容易に想到し得たことである。
(ウ)a 引用発明は構成e3として、本件補正発明の「電力アセンブリ」に相当する「制御システム66」をPDU内部に設ける態様を含むところ、引用発明のうち、上記(ア)の、PDUがガントリ外である態様においては、「制御システム66」の設置位置もガントリ外となる。
しかし、引用発明における「制御システム66」なるユニットの配置位置については、構成e3として認定したとおり、「特定の実施形態では」、すなわち、例示的に「配電ユニット(PDU)56の一部である」態様を含む旨特定されるに過ぎないことから、引用文献1に記載された発明は該態様に限られるものではなく、上記(4)で説示した回路設計の自由度(回路状の各ユニットの配置形態の自由度)という技術常識に照らせば、PDUの筐体外部に設けられる態様も含むと解すべきであるし、仮にそうとまでいえないとしても、その程度の設計変更は前記技術常識に照らし当業者が適宜なし得ることに過ぎない。
これについては、構成e1で認定したとおり、「制御システム66」は「配電ユニット(PDU)56」を制御対象としていることから、PDUとは独立した制御機能を備えるユニットであると解され、このことも、「制御ユニット66」の設置位置が必ずしも「PDU」の筐体内部に限らないという前記理解と矛盾しない。
また、仮に、本件補正発明が「配電ユニット(PDU)」と「電力アセンブリ」とを独立したユニットとする態様に限られると限定解釈すべきであるとしても、該態様の作用効果について、本件明細書において特段述べられていないから、該態様の選択によって特段の有利な効果が期待されるものではない。このことからも、前記態様が、引用発明に対し、前述のとおり技術常識に基づく単なる設計変更にすぎないといえる。
よって、引用発明において、「PDU」とその「制御システム66」とを 別体構成とすることは、引用発明の一態様として含まれているといえる。また、仮に含まれていないといえるとしても、スペースや配線上の都合等により適宜選択されるべき設計上の事項に過ぎない。
b(a)また、上記aで引用発明が含むとした、「制御システム66」が「PDU」とは別体のユニットである態様において、該「制御システム66」の設置位置をガントリ筐体内外いずれとするかについては、スペースは配線上の都合に応じて選択されるべき設計上の事項に過ぎない。以下(b)に詳説する。
(b)例えば、装置の構成要素を一体化するか否かという論点には、省スペース化の議論が伴うことがあるが、一般にガントリ及び寝台からなるイメージング・システムにおいて、ガントリの各種要素を駆動するための回路ユニットをガントリや寝台の内外いずれに設ければ省スペースとなるかは、ガントリや寝台の筐体内部の、回路ユニット以外の要素の占める割合や、要素相互の配置にも依存し、該割合や配置如何によっては筐体内部に回路ユニットを設けることによってかえって筐体自体の大型化を招く場合も想定されるなど、一概に論じることもできない。
また、「PDU」と「電力アセンブリ」との別体化や個々の設置位置の選択による格別な作用効果について、本件出願の明細書において特段の記載もない。
よって、引用発明において、「PDU」やその内部の独立した作用を持つ「制御システム66」を含む各回路ユニットについて、それらを一体化するか否か、それらの一部又は全部をガントリの内外いずれに置くかは、各筐体内の空隙や要素の配置、配線上の都合、イメージング・システム周辺の空隙の大小等に応じて適宜選択し得る設計上の事項にすぎないといえる。
ウ 以上ア・イのとおりであるから、引用発明において「PDU」をガントリ外とする態様はもとより含まれるといえるし、「PDU」をガントリ外に、「制御システム66」を別体としてガントリ内に、という態様についても、スペースや配線上の都合等に応じ設計上適宜選択されるべき事項に過ぎず、引用発明に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。
エ PDUがガントリ内に設けられる態様について
本件補正発明は、PDUがガントリ(筐体)内に設けられる態様(以下「態様D」という。)も含みうる。
しかし、本件補正発明は態様Dについても明示的な特定事項を含むものではないから、当該態様を明示的に含むとはいえないし、まして該態様Dに限定解釈にされるものではない。
また、仮に当該態様に限られるとしても、PDUの設置位置をガントリ筐体内とすることが周知技術であり、引用発明において容易に選択し得ることは、上記(4)で説示したとおりである。
(6)効果について
本件補正発明により奏される効果は、当業者が、引用発明及び周知技術から予測し得た範囲内のものであって、格別のものではない。
(7)請求人の主張について
ア 審判請求書における請求人の主張
請求人は審判請求書において概略以下の各点を主張する。
(ア)PDUがエネルギ貯蔵システムおよび電力アセンブリを含んでいるのではなく、エネルギ貯蔵システムおよび電力アセンブリは、PDUの外部に配置されており、したがって、PDUの構造を単純化することができるという効果を奏する。引用文献1は、エネルギ貯蔵システムおよび電力アセンブリは、PDUの外部に配置されていないから前記効果を奏しない。
(イ)ヒューズを有する電力アセンブリは、エネルギ貯蔵システムの上流に配置されるので、PDUからエネルギ貯蔵システムに過大な電流が供給された場合は、電力アセンブリのヒューズが切れてエネルギ貯蔵システムをPDUから保護できるという効果を奏する。引用文献1では、ヒューズがPDUに含まれ、ガントリには含まれず、また、エネルギー貯蔵システムの上流にも配置されないから、ヒューズが切れてもエネルギー貯蔵システムを保護できない。
イ 審判請求人の主張について
(ア)本件補正発明はPDUの設置位置を特定せず、PDUとエネルギー貯蔵システム及び電力アセンブリとの関係も特定しないから、エネルギー貯蔵システムと電力アセンブリとがPDUの外部に配置されることを前提とする上記ア(ア)の主張は請求項1の記載に基づかない主張であり、失当である。
(イ)本件補正発明はヒューズの設置位置について電力アセンブリがこれを有する点を特定するのみで、ヒューズとエネルギ貯蔵システムとの接続関係については特定しない。
よって、エネルギ貯蔵システムをPDUから保護できるという効果の主張は請求項1の記載に基づかないものであり、失当である。
(8)小括
したがって、上記(3)~(7)において検討したように、本件補正発明は、引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
3 むすび
上記2(2-1・2-2)において検討したことからみて、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3.本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1~24に係る発明はそれぞれ、査定前補正により補正された、特許請求の範囲の請求項1~24に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(本願発明)は、分説も含め上記第2.1(1)に記載したとおりのものである。
2 原査定における拒絶の理由
原査定の拒絶の理由(理由1、理由2)は概略、以下のとおりである。
理由1(新規性欠如):
本願発明は、本件出願の優先日前に公知となった引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
理由2(進歩性欠如):
本願発明は、本件出願の優先日前に公知となった引用文献1に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等
引用文献1:特表2020-511251号公報(上記第2.2-2(2-1)で挙げた引用文献1と同じ)
3 引用文献の記載事項
引用文献1の記載事項及び引用文献1に記載された発明(引用発明)は、上記第2.2-2(2-1)に記載・認定したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、本件補正発明の発明特定事項から、構成E1・E2を除いたものである。
上記第2.2-2(3)で検討したとおり、本件補正発明と引用発明との相違点(相違点1)は構成E1に係る事項のみであるから、そうすると、この構成を省いた本願発明と引用発明との間に相違点は存在しない。
したがって、本願発明は引用発明と同一であり、引用文献1に記載された発明であるといえる。
また、仮に両発明の間に相違点があるとしても微差であり、本願発明は引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。
さらに、上記第2.2-2(5)で検討したとおり、仮に、本願発明を多義的又は限定的に解釈したとしても、両発明の間に生じ得る相違点はたかだか設計上の事項にとどまるから、当該解釈を前提としても、本願発明は引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。
第4.むすび
以上のとおり、本願発明(請求項1に記載された発明)は、引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、また、引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
したがって、その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-017353