審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
商標拒絶査定不服審判

2023-017290

ナノファインバブル、ファインバブル

審判番号
2023-017290
法域
商標
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
商願2022-125103
請求日
2023年10月12日
審決日
2025年03月25日
公報発行日
2025年06月27日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社エビス
  • 【請求人代理人】弁理士法人相原国際知財事務所
審判長/審判官
  • 審判長 大橋 良成
  • 審判官 渡邉 あおい
  • 審判官 渡邉 潤
分類
T18 .13 -Z (W11) / T18 .272-Z (W11)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法3条1項3号商標法4条1項16号
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第3条第1項第3号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

商願2022-125103拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和4年11月1日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和5年 3月 1日付け:拒絶理由通知書 令和5年 4月 6日 :意見書の提出 令和5年 4月27日付け:拒絶理由通知書 令和5年 5月15日 :手続補正書の提出 令和5年 5月19日付け:通知書 令和5年 6月16日 :手続補正書の提出 令和5年 7月 6日付け:拒絶査定 令和5年10月12日 :審判請求書の提出 令和6年 8月 8日付け:審尋 令和6年 9月24日 :意見書の提出 令和6年11月15日付け:審尋 令和6年12月23日 :意見書の提出 第2 本願商標 本願商標は、「ナノファインバブル」の文字を標準文字で表してなり、第11類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として登録出願されたものであり、その後、指定商品については、上記第1の手続補正により、最終的に、第11類に属する別掲1のとおりの商品に補正されたものである。 第3 原査定の拒絶の理由の要旨 原査定は、「本願商標は、「ナノファインバブル」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「ナノ」の文字は、「10億分の1(10-9)を表す単位の接頭辞。」の意味を、「ファイン」の文字は、「微細で精巧なさま。」等の意味を、「バブル」の文字は、「泡。気泡。泡沫」等の意味をそれぞれ表す語である。そして、本願の指定商品に係る分野においては、シャワーヘッド、浴槽、蛇口等において、微細な泡を発生させる商品が一般に取引されている実情があるほか、中には、「ナノファインバブル」の文字が、「非常に小さなナノサイズの微細な泡」を指称する語として使用されている例もある。そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「非常に小さなナノサイズの微細な泡用又はそれを生成する商品」であることを表示した語であると認識するにすぎず、本願商標は、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。また、本願商標を、上記商品に照応する商品以外の指定商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じるおそれがあるというべきである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 第4 当審における審尋 1 当審において、上記第1の令和6年8月8日付け審尋(以下「審尋1」という。)により、請求人に対し、別掲2及び別掲3並びに別掲5((1)ないし(3)は除く。)及び別掲6のとおりの事実を提示した上で、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、これに対する回答を求めた。 2 当審において、上記第1の令和6年11月15日付け審尋(以下「審尋2」という。)により、請求人に対し、別掲2ないし別掲6(別掲5(1)ないし(3)は除く。)のとおりの事実を提示した上で、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、これに対する回答を求めた。 第5 審尋に対する請求人の回答(要旨) 1 請求人は、審尋1に対し、令和6年9月24日受付の意見書を提出し、要旨、以下(1)ないし(3)のとおりの意見を述べた。 (1)審尋1で示したウェブサイトについて、(ア)「ファインバブル」及び「ウルトラファインバブル」は一般社団法人ファインバブル産業会の登録商標であり、審尋で示された「ファインバブル」を使用したウェブサイトは、一般社団法人ファインバブル産業会及び同産業会から使用許諾を受けた使用権者以外の商標権侵害者による不法な掲載記事であり、本願商標の識別力を否定する根拠になり得ない、(イ)「ナノバブル」等に関する記述であり、本願商標「ナノファインバブル」に関する記述ではなく、本件商標の識別力を否定する根拠とはなり得ない、(ウ)一般社団法人ファインバブル産業会の登録商標「ファインバブル」及び「ウルトラファインバブル」の使用権者の掲載記事又は同産業界の解説に従った掲載記事であり、かかる記述により「ファインバブル」及び「ウルトラファインバブル」が品質表示として使用されていると判断するのは誤りであり、(エ)気泡の大きさに関する記述がなく、本願商標の識別力を否定する根拠がない、(オ)「ナノ」の文字は、「小さい」をイメージする商標として使用されており、「ナノ」は品質表示として記載されていない、(カ)「メーカー発売日:2023年03月01日」「お届け目安:販売を終了しました」との記述があるウェブサイトは本願商標の識別力を否定する要素にはなり得ないものであり、(キ)本願の出願後2年後に解説されたウェブサイトの記載をもって、一般需要者・取引者が、「ナノファインバブル」を「超微細な泡」と認識していたと判断することはできない。 (2)本願商標「ナノファインバブル」について、本願商標は、識別力を有する商標「ファインバブル」とは非類似の商品に「小さい」というイメージをかもし出す「ナノ」を結合させた造語商標として本願商標「ナノファインバブル」を創造したものである。そのため識別力を有する商標として認定された「ファインバブル」を品質表示として認定して本願商標「ナノファインバブル」を拒絶することは、いたずらに商標の採択の範囲を狭める行為であり、純粋に「ナノファインバブル」と淀みなく一連に称呼できる商標として独占適応性を認めて保護するべきである。 (3)ウェブサイトの記述について、今回の審尋で提供されたデータは、「ファインバブル」及び「ナノファインバブル」とウェブサイトのサーチエンジンにキーワードを入力して得られたウェブサイトの記述にすぎず、新聞記事、書籍とは異なり一般需要者・取引者が、当該キーワードを知らなければ到達することができないウェブサイトの存在にすぎない。かかるウェブサイトに掲載された事実のみをもって本件商標の識別力を否定する行為及び他人の商標権を侵害する不法なウェブサイトに記載された事実で本件商標の識別力を否定する行為は、商標制度の趣旨に反するものであり、本件商標は商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものでない。 2 請求人は、審尋2に対し、令和6年12月23日付けの意見書を提出し、要旨、以下(1)ないし(4)のとおりの意見を述べた。 (1)「ナノ」は「10億分の1を表す単位の接頭辞。」であるが、長さを意味するメートル(m)等と一体となって初めて意味をなす単語であり、「ナノ」単独では、何ら意味をなさない。別掲5(4)ないし(11)で例示されている「ナノ」の文字や、その欧文字表記である「NANO」等の文字は、本願の指定商品とは非類似の商品における実情にすぎない。また、「ナノ○○」の登録商標が存在している。 (2)「ファイン」に関して「広辞苑第七版」には一義的には「美しく立派なさま。見事なさま。」と紹介されていることから」、必ずしも「ファイン」を二義的な「微細で精巧なさま。」と認識するものではない。むしろ「ファイン」は、立派なさまを意味する単語として親しまれている。また、「シャワーヘッド」に関して「ファインバブル」は、「微細な泡」を意味する品質表示であると主張するが、「シャワーヘッド」は、本願の指定商品とは異なる類似群の関係にある。 (3)本願商標は、「ナノ」、「ファイン」及び「バブル」を横一連に結合してなるものであり、通常の一般需要者・取引者なら「ナノファインバブル」と淀みなく一連に称呼できる造語であり、「ナノ」と「バブル」の組み合わせの場合は、10億分の1の微細な「泡、気泡」の意味合いを連想する可能性があるが、中間に「ファイン」という一義的には「立派なさま」を意味する単語を結合することにより単位を表す品質表示としての意味合いがなくなり、微細なというイメージを持つ識別力を有する商標と認識されるものである。したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとした判断は、「ナノ」及び「ファイン」をそれぞれ「ナノメール」の大きさ、「微細な」を意味する形容詞と誤って判断したものであり、ウェブサイトに掲載された事実のみをもって本件商標の識別力を否定する判断及び他人の商標権を侵害する不法なウェブサイトに記載された事実で本件商標の識別力を否定する判断は、商標制度の趣旨に反する。 (4)「ファインバブル」及び「ウルトラファインバブル」登録商標が存在しており、また、「ファインバブル」の称呼を内在する商標が識別力を有する商標として登録されている。 第6 当審の判断 1 商標法第3条第1項第3号について 商標法第3条第1項第3号に掲げる商標が、商標登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、指定商品との関係で、その商品の品質、用途等その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品の識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解される。 そうすると、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには、本件審決時において、本願商標がその指定商品との関係で、商品の品質、用途等その他の特性を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本願商標がその指定商品に使用された場合に、将来を含め、指定商品の取引者、需要者によって商品の上記特性を表示したものと一般に認識されるものであれば足りると解される(最高裁昭和53年(行ツ)第129号判決、平成27年(行ケ)第10107号判決参照)。 2 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について 本願商標は、「ナノファインバブル」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「ナノ」の文字は、「10億分の1を表す単位の接頭辞。」の意味を、「ファイン」の文字は、「微細で精巧なさま。」等の意味を、「バブル」の文字は、「泡。気泡。泡沫。」(「広辞苑 第七版」発行者:株式会社岩波書店)の意味を有する語である。 ところで、別掲2のとおり、昨今、微細な泡の持つ洗浄力等の効果が注目されており、本願の指定商品に関連する水道、蛇口、シャワーヘッド、キッチン、トイレ等の水回りのほか、美容機器メーカー、ガスメーカー等においても広く、上記のような泡を発生する機能を備えた商品が取り扱われている実情にある。 そして、別掲3のとおり、このような微細な泡は、「ファインバブル」と称されており(別掲2(3)、(5)にもあり。)、「100ミクロン以下の超微細な空気の泡」(別掲2(3))、「直径0.1mm未満の超微細な気泡」(別掲3(3))、「微細な泡」(同(7))などと説明されていることに加え、別掲4のとおり、例えば、本願の指定商品に含まれるシャワーヘッドにおいては、微細な泡を発生させるシャワーヘッドが「ファインバブル(の)シャワーヘッド」(同(1)、(2))、「ファインバブル機能」(同(3))、「ファインバブルタイプ」(同(10))などと称されていることが確認できる。 また、別掲5のとおり、「ナノ」の文字や、その欧文字表記である「NANO」等の文字は、単位を表す接頭辞以外にも、「きわめて小さい」、「微小」、「極小」を意味する語としても辞書に載録されており(同(1)ないし(3))、実際に、極めて小さいサイズであることを表す語としても使用されている(同(4)ないし(11))。 さらに、別掲6のとおり、バブル(泡)についても、特に微細な泡は「ナノバブル」と称され(同(1)ないし(6))、その洗浄力等の効果から、水回りに関連する商品で使用されていることが確認できることに加え、このような微細な泡が、「ナノファインバブル」と称されている例(同(7)ないし(10))も見られる。 そうすると、本願商標の構成文字の語義及び上記取引の実情をも併せ考慮すれば、本願商標は、その構成文字全体から、「極めて微細な泡」ほどの意味合いを容易に認識、理解させるものであり、これを、その指定商品であるシャワーヘッド等の水回りに関連する本願の指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者は、当該商品が「極めて微細な泡を発生させる商品」であることを理解するにとどまるから、本願商標は、商品の品質及び用途を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものであり、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものというべきものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのは適当でないとともに、自他商品の識別力を欠くものである。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、本願商標を、その指定商品中、「極めて微細な泡を発生させる商品」と関連のない商品について使用をするときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。 3 請求人の主張について (1)請求人は、審尋1に対し、以下のアないしウのとおり主張する。 ア 審尋1で示したウェブサイトについて (ア)「ファインバブル」及び「ウルトラファインバブル」は一般社団法人ファインバブル産業会の登録商標であり、審尋で示された「ファインバブル」を使用したウェブサイトは、一般社団法人ファインバブル産業会及び同産業会から使用許諾を受けた使用権者以外の商標権侵害者による不法な掲載記事であり、本願商標の識別力を否定する根拠になり得ない(別掲3(1)、(3)、(4))。 しかしながら、出願された商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かは、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と指定商品との関係や商品の取引の実情をも踏まえて、個別具体的に判断されるものであって、他の登録例の存在によって、本願商標が同項第3号に該当するという判断が左右されるものではない。請求人主張の商標権侵害者による使用は、あくまで商標登録後の商標権の効力の問題であるから、本願商標の識別性の判断に影響を及ぼすものではない。 (イ)「ナノバブル」等に関する記述であり、本願商標「ナノファインバブル」に関する記述ではなく、本件商標の識別力を否定する根拠とはなり得ない(別掲2(1)、(2)、(5)、別掲3(5)、別掲6(1)ないし(6)、(9)、(10))。 しかしながら、別掲2及び別掲3は、微細な泡が、本願の指定商品に関連する水道、蛇口、シャワーヘッド、キッチン、トイレ等の水回りに関連する商品のほか、美容機器メーカー、ガスメーカー等の商品においても広く使用されている実情が認められ、また、微細な泡が「ファインバブル」といわれていることを示す事例であるところ、別掲2(1)及び(2)は、微細な泡が、広く使用されている実情を、また、同(5)は、そのような実情を示すとともに、「ファインバブル」の語が使用されていることをも示す事例である。 このような本願の指定商品に関連する業界における取引の実情を踏まえれば、本願商標は、「極めて微細な泡」ほどの意味合いを認識、理解させるものであり、本願商標「ナノファインバブル」に関する記述でないことは、別掲2及び別掲3を提示した趣旨に影響を及ぼすものではない。 また、別掲6は、特に微細な泡が「ナノ」の文字を冠して「ナノバブル」や「ナノファインバブル」といわれている事例を示したものであるところ、これらと同様に本願商標には、「ナノ」の文字が使用されているから、本願商標に接する取引者、需要者の認識を推認し、その識別力の有無を判断するために、参酌されるべき事例であるといえる。 そして、別掲6(7)及び(8)では、「ナノファインバブル」の事例も提示していることに加え、別掲6のほか、本願商標の構成文字の語義及び別掲2ないし別掲5の取引の実情をも併せ考慮すれば、上記2のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものと判断すべきであるから、審尋1で提示した事例は、本願商標の識別力を否定する根拠たり得るものである。 (ウ)一般社団法人ファインバブル産業会の登録商標「ファインバブル」及び「ウルトラファインバブル」の使用権者の掲載記事又は同産業界の解説に従った掲載記事であり、かかる記述により「ファインバブル」及び「ウルトラファインバブル」が品質表示として使用されていると判断するのは誤りであり(別掲2(3)、(4)、別掲3(2))、(エ)気泡の大きさに関する記述がなく、本願商標の識別力を否定する根拠がない(別掲3(6)、(7))。 しかしながら、(ウ)については、別掲2(3)及び(4)、別掲3(2)が、一般社団法人ファインバブル産業会の登録商標「ファインバブル」及び「ウルトラファインバブル」の使用権者の掲載記事又は同産業界の解説に従った掲載記事であるとしても、本願商標の構成文字の語義及び別掲2ないし別掲6のような取引の実情をも併せ考慮すれば、上記2のとおり、本願商標は、その構成文字全体から、「極めて微細な泡」ほどの意味合いを認識、理解させるものであり、これを、その指定商品であるシャワーヘッド等の水回りに関する本願の指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者は、当該商品が「極めて微細な泡を発生させる商品」であることを理解するにとどまるから、本願商標は、商品の品質及び用途を普通に用いられる方法で表示するにすぎず、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものと判断すべきものであり、気泡の大きさに関する記述がないとの請求人の(エ)の主張は、取引者・需要者の上記理解を左右するものではない。 (オ)「ナノ」の文字は、「小さい」をイメージする商標として使用されており、「ナノ」は品質表示として記載されていない(別掲5(4)ないし(11)、別掲6(1)ないし(6))。 しかしながら、「ナノ○○」、「NANO○○」等の表記の商品が、「信じられないほど小さな」(別掲5(4)、「超小型サイズ」(同(9))、などと説明されていることから、「ナノ」の文字に接する取引者、需要者は、当該文字から、極めて小さいサイズであることを認識するものと判断するのが相当である。 (カ)「メーカー発売日:2023年03月01日」「お届け目安:販売を終了しました」との記述があるウェブサイトは本願商標の識別力を否定する要素にはなり得ないものであり(別掲6(7))、(キ)本願の出願後2年後に解説されたウェブサイトの記載をもって、一般需要者・取引者が、「ナノファインバブル」を「超微細な泡」と認識していたと判断することはできない(別掲6(8))。 しかしながら、別掲6(7)及び(8)が、出願後に解説されたウェブサイトや、販売が終了しているウェブサイトであるとしても、同(9)及び(10)を含め、微細な泡が「ナノファインバブル」といわれていることを示すことに変わりはない。 そして、本願商標の構成文字の語義及び別掲6(7)及び(8)以外にも提示している別掲2ないし別掲6のような取引の実情をも併せ考慮すれば、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当することは、上記2で述べたとおりである。 イ 本願商標「ナノファインバブル」について 請求人は、「本願商標は、識別力を有する商標「ファインバブル」とは非類似の商品に「小さい」というイメージをかもし出す「ナノ」を結合させた造語商標として本願商標「ナノファインバブル」を創造したものである。そのため識別力を有する商標として認定された「ファインバブル」を品質表示として認定して本願商標「ナノファインバブル」を拒絶することは、いたずらに商標の採択の範囲を狭める行為であり、純粋に「ナノファインバブル」と淀みなく一連に称呼できる商標として独占適応性を認めて保護するべきである。」旨主張する。 しかしながら、仮に、請求人の商標の採択の意図が上記のとおりであるとしても、上記2のとおり、微細な泡は、「ファインバブル」といわれていること、「ナノ」は極めて小さいサイズであることを認識させる語であることからすると、本願商標は、取引者、需要者をして、「極めて微細な泡」ほどの意味合いを容易に認識、理解させるものといえ、当該品質を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であるから、独占適応性のないものというべきである。 ウ ウェブサイトの記述について 請求人は、「今回の審尋で提供されたデータは、「ファインバブル」及び「ナノファインバブル」とウェブサイトのサーチエンジンにキーワードを入力して得られたウェブサイトの記述にすぎず、新聞記事、書籍とは異なり一般需要者・取引者が、当該キーワードを知らなければ到達することができないウェブサイトの存在にすぎない。かかるウェブサイトに掲載された事実のみをもって本件商標の識別力を否定する行為及び他人の商標権を侵害する不法なウェブサイトに記載された事実で本件商標の識別力を否定する行為は、商標制度の趣旨に反するものであり、本件商標は商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものでない。」旨主張する。 しかしながら、インターネットを介した商取引や広告宣伝等がごく一般的に行われている現状を踏まえれば、ウェブサイトに掲載された情報は、企業等複数の者により掲載されたものであり、その内容は,それらの者の取扱いに係る商品の紹介や宣伝等の実際の取引の実情を含むものである。 したがって、本願商標をキーワードとして得られた別掲2ないし別掲6のウェブサイトの記事は、本願商標に接する取引者、需要者の認識を推認するに当たり必要十分な取引の実情を示すものといえ、また、請求人主張の他人の商標権を侵害する不法なウェブサイトは、あくまで商標登録後の商標権の効力の問題であるから、本願商標の識別性の判断に影響を及ぼすものではない。 (2)請求人は、審尋2に対し、以下アないしエとおり主張する。 ア 「ナノ」は「10億分の1を表す単位の接頭辞。」であるが、長さを意味するメートル(m)等と一体となって初めて意味をなす単語であり、「ナノ」単独では、何ら意味をなさない。別掲5(4)ないし(11)で例示されている「ナノ」の文字や、その欧文字表記である「NANO」等の文字は、本願の指定商品とは非類似の商品における実情にすぎない。また、「ナノ○○」の登録商標が存在している。 しかしながら、「ナノ」の文字や、その欧文字表記である「NANO」等の文字は、別掲5のとおり、単位を表す接頭辞以外にも、「きわめて小さい」、「微小」、「極小」を意味する語としても辞書に載録されており(同(1)ないし(3))、実際に、長さを意味するメートル(m)等の単位の表記がない、「ナノ○○」、「NANO○○」等の表記の商品が、「信じられないほど小さな」(同(4))、「超小型サイズ」(同(9))などと説明されていることからすると、「ナノ」の文字に接する取引者、需要者は、当該文字から、極めて小さいサイズであることを認識するものと判断するのが相当である。 そして、別掲5のように、「ナノ」の文字から、極めて小さいサイズであることを無理なく認識できる事例が、特定の商品に限定することなく散見されることからすると、これらの事例が、本願の指定商品とは非類似の商品に関するものであるからといって、本願商標の構成中の「ナノ」の文字に接する取引者、需要者が、当該文字から、極めて小さいサイズであることを認識し得ないとはいい難い。 また、請求人は「ナノ○○」の登録例を挙げるが、具体的事案の判断においては、過去の登録例等に拘束されることなく、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と取引の実情に応じて個別的に判断されるべきであるから、請求人の挙げる登録例の存在によって、上記の認定、判断が左右されるものではない。 イ 「ファイン」に関して「広辞苑第七版」には一義的には「美しく立派なさま。見事なさま。」と紹介されていることから」、必ずしも「ファイン」を二義的な「微細で精巧なさま。」と認識するものではない。むしろ「ファイン」は、立派なさまを意味する単語として親しまれている。また、「シャワーヘッド」に関して「ファインバブル」は、「微細な泡」を意味する品質表示であると主張するが、「シャワーヘッド」は、本願の指定商品とは異なる類似群の関係にある。 しかしながら、本願商標の構成中の「ファインバブル」の文字は、「ファイン」の文字の辞書上の意味だけでなく、別掲2ないし別掲4のような取引の実情をも踏まえると、「微細な泡」の意味合いを無理なく認識させるものである。 そして、「ファインバブル」の語が使用されている別掲4の事例は、本願の指定商品とは異なる類似群の関係にあるとしても、本願の指定商品には「蛇口用シャワーヘッド」、「流し台蛇口用シャワーヘッド」が含まれており、これらは、シャワーの先端に取り付けて水を分散噴射する器具としての「シャワーヘッド」である点で別掲4の事例と関連性が深く、考慮すべき事例といえる。 ウ 本願商標は、「ナノ」、「ファイン」及び「バブル」を横一連に結合してなるものであり、通常の一般需要者・取引者なら「ナノファインバブル」と淀みなく一連に称呼できる造語であり、「ナノ」と「バブル」の組み合わせの場合は、10億分の1の微細な「泡、気泡」の意味合いを連想する可能性があるが、中間に「ファイン」という一義的には「立派なさま」を意味する単語を結合することにより単位を表す品質表示としての意味合いがなくなり、微細なというイメージを持つ識別力を有する商標と認識されるものである。したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとした判断は、「ナノ」及び「ファイン」をそれぞれ「ナノメール」(審決注:「ナノメートル」の誤記と認める。)の大きさ、「微細な」を意味する形容詞と誤って判断したものであり、ウェブサイトに掲載された事実のみをもって本件商標の識別力を否定する判断及び他人の商標権を侵害する不法なウェブサイトに記載された事実で本件商標の識別力を否定する判断は、商標制度の趣旨に反する。 しかしながら、本願商標は、請求人のいうように、「ナノ」、「ファイン」及び「バブル」の文字の結合からなるものであり、上記2のとおり、これら構成文字の語義のみならず、別掲2ないし別掲6のような取引の実情をも併せ考慮すれば、本願商標は、その構成文字全体から、「極めて微細な泡」ほどの意味合いを認識、理解させるものであるから、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するというべきものであり、また、請求人主張の他人の商標権を侵害する不法なウェブサイトは、あくまで商標登録後の商標権の効力の問題であるから、本願商標の識別性の判断に影響を及ぼすものではなく、上記判断は、何ら商標制度の趣旨に反するものではない。 エ 「ファインバブル」及び「ウルトラファインバブル」の登録商標が存在しており、また、「ファインバブル」の称呼を内在する商標が識別力を有する商標として登録されている。 しかしながら、出願された商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かは、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と指定商品との関係や商品の取引の実情をも踏まえて、個別具体的に判断されるものであって、他の登録例の存在によって、本願商標が同項第3号に該当するという判断が左右されるものではない。 (3)したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができず、その他、請求人の主張は、採用するべき事情はない。 4 まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、登録することができない。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2023-017290

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存