特許拒絶査定不服審判
2023-016413
肥料コーティング方法
- 審判番号
- 2023-016413
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-517928外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2023年09月28日
- 審決日
- 2025年09月26日
- 公報発行日
- 2026年03月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】パーセル・アグリ-テック・エルエルシー
- 【請求人代理人】村山 靖彦
- 【請求人代理人】実広 信哉
- 【請求人代理人】阿部 達彦
- 【請求人】ハンツマン・インターナショナル・エルエルシー
- 【請求人代理人】村山 靖彦
- 【請求人代理人】実広 信哉
- 【請求人代理人】阿部 達彦
- 分類
- P18 .113-Z (C05G) / P18 .121-Z (C05G)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021-517928「肥料コーティング方法」拒絶査定不服審判事件〔2020年(令和2年)1月23日国際公開、WO2020/016672、令和3年10月11日国内公表、特表2021-527029〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2019年(令和元年)6月4日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2018年(平成30年)6月4日米国、2018年(平成30年)6月13日欧州特許庁)を国際出願日とする外国語特許出願であって、その手続の経緯の概略は以下のとおりである。
令和2年12月 4日 :翻訳文提出
令和5年 2月15日付け:拒絶理由通知書
同年 5月12日 :意見書及び手続請求書の提出
同月23日付け:拒絶査定
同年 9月28日 :審判請求書及び手続請求書の提出
令和6年 2月13日 :上申書の提出
第2 令和5年9月28日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和5年9月28日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
【請求項1】
肥料粒子をコーティングでコーティングする方法であって、
a)コーティングユニット内に肥料粒子を準備する工程と、
b)
1つ以上のコーティング成分を、コーティングユニットの可動要素の運動によってもたらされた肥料粒子の床に添加することにより、1つ以上のコーティング成分を前記肥料粒子に前記コーティングユニット内で適用して、コーティング層及び前記肥料粒子を含むコーティングされた肥料粒子を準備すること(ここで、前記コーティング成分は液体コーティング成分であり、前記液体コーティング成分は前記肥料粒子の床に噴霧によって適用される)、及び、
前記コーティング層を少なくとも部分的に硬化又は硬質化させることであって、前記硬化又は硬質化が、前記1つ以上のコーティング成分の化学反応を伴うことと、
を含むコーティング層を適用する工程であって、
この工程b)を1回以上実行して、コーティングされた肥料粒子を準備する、コーティング層を適用する工程と、
c)
前記コーティングユニットから前記コーティングされた肥料粒子を排出する工程、又は
前記コーティングユニット内の前記コーティングされた肥料粒子の最終硬化若しくは硬質化を実行し、その後、前記コーティングユニットから前記肥料粒子を放出する工程
であって、
前記排出された肥料粒子が前記コーティングを含み、前記コーティングがポリマーを含む、工程と、
を含み、
前記コーティングユニットが、固定フレーム及び少なくとも2つの可動要素を備え、
前記可動要素は、前記固定フレームに対して独立して動作可能であり、
前記方法が、少なくとも工程b)の間に、前記少なくとも2つの可動要素を前記固定フレームに対して動作させることを含む、方法。
(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の、令和5年5月12日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
【請求項1】
肥料粒子をコーティングでコーティングする方法であって、
a)コーティングユニット内に肥料粒子を準備する工程と、
b)
1つ以上のコーティング成分を、コーティングユニットの可動要素の運動によってもたらされた肥料粒子の床に添加することにより、1つ以上のコーティング成分を前記肥料粒子に前記コーティングユニット内で適用して、コーティング層及び前記肥料粒子を含むコーティングされた肥料粒子を準備すること、及び、
前記コーティング層を少なくとも部分的に硬化又は硬質化させることであって、前記硬化又は硬質化が、前記1つ以上のコーティング成分の化学反応を伴うことと、
を含むコーティング層を適用する工程であって、
この工程b)を1回以上実行して、コーティングされた肥料粒子を準備する、コーティング層を適用する工程と、
c)
前記コーティングユニットから前記コーティングされた肥料粒子を排出する工程、又は
前記コーティングユニット内の前記コーティングされた肥料粒子の最終硬化若しくは硬質化を実行し、その後、前記コーティングユニットから前記肥料粒子を放出する工程
であって、
前記排出された肥料粒子が前記コーティングを含み、前記コーティングがポリマーを含む、工程と、
を含み、
前記コーティングユニットが、固定フレーム及び少なくとも2つの可動要素を備え、
前記可動要素は、前記固定フレームに対して独立して動作可能であり、
前記方法が、少なくとも工程b)の間に、前記少なくとも2つの可動要素を前記固定フレームに対して動作させることを含む、方法。
2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「コーティング成分」、及びその肥料粒子の床への添加について、「コーティング成分」を「液体コーティング成分」に特定して限定するとともに、「液体コーティング成分」の肥料粒子の床への添加を、「噴霧によって適用される」ものに特定して限定するものである。そして、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)引用文献
本補正の却下の決定では、以下の文献に言及する。
引用文献2 特表2014-512938号公報(原査定の引用文献)
引用文献3 特開2013-17923号公報(原査定の引用文献)
引用文献A 特開2005-89258号公報(周知技術を示す文献)
ア 引用文献2
(ア)記載事項
原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特表2014-512938号公報(平成26年5月29日公表。以下、原査定における呼称のとおり「引用文献2」という。)には、図面とともに、次の記載がある。(下線は当審において付与した。以下、同様。)
a 「【技術分野】
【0001】
本発明は、肥料のような顆粒状の基体を被覆するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
放出制御肥料の概念は、当該技術においては、よく知られている。これらの肥料は、回転するドラムまたは鍋のような単一の反応容器内にて、被覆混合物を形成するために、肥料に被覆を施して、被覆混合物を硬化し、すなわち、1層の被覆で被覆肥料を形成することによって、一般的に製造される。被覆の追加の層が、単一の反応容器にて、同じプロセスにより、すなわち、被覆して硬化することによって、施されるだろう。
・・・
【0006】
単一のドラム、または、反応器(すなわち、バッチプロセシング)を利用する放出制御肥料を生産する方法は、機能的で普通に使用されるが、この方法に関連していくつかの問題点がある。例えば、単一のドラムプロセシングでは、被覆された材料の塊、または、ボールを発生するより高い傾向がある。結果として、製品の品質が劣っており、より変わりやすく、そして、ドラム、または、機械の運用が、運用期間中に不安定になるだろう。また、単一のドラム運用は、極めて粘着性のある被覆材料を取り扱うことができない。これは、単一のドラムプロセスを液体系被覆システムに限定しており、そして、溶剤不要、高固体含有か、または、固体の被覆システムを使用する機会を狭めている。
・・・
【発明の開示】
【0011】
本発明は、基体を被覆する様々な方法およびシステム提供することによって、これらの必要性に取り組んでいる。」
b 「【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、基体を被覆する改良された方法を提供する。例えば、本発明は、硬化ステップから基体と被覆材料を混合するステップを分離することによって被覆基体を用意する方法を提供する。これらの方法は、混合装置内で基体と被覆材料を混合すること、そして、混合物を別個の反応器内に移して被覆混合物を硬化することを必要とする。任意であるが、硬化された生成物は、追加の被覆材料が添加され、硬化された生成物と混合される第2の混合装置内に移される。その第2の混合物は、それから、硬化用の別個の第2の反応器内に移されるだろう。このプロセスは、望ましい被覆レベル、または、設計を達成するように何度も繰り返されるだろう。
・・・
【0022】
ここにて記述されるように、様々な基体、被覆材料、硬化方法、触媒、混合装置および反応器が、これらの方法およびシステムにおいて使用されるだろう。
(a)基体
【0023】
本発明は、基体を被覆するための様々な方法およびシステムを提供する。これらの方法およびシステムにおいて使用に適している基体は、被覆がそこに適用されることが望まれる任意の物質を含む。
【0024】
一般的に、基体は、水溶性か、または、部分的に水溶性の基体である。水溶性の基体は、非顆粒状形とは対照的に、顆粒状形であるだろう。用語の「顆粒状」または「顆粒」は、物理的または化学的手段のいずれかによって、単一粒子への、より小さい粒子の圧縮および/または凝集を指します。さらに、顆粒は、また、圧縮プロセス、または、非顆粒状かパウダー状の基体の造粒によって作られる材料を指すだろう。非顆粒状かパウダー状の基体は、同種か、または、異種の混合物であるだろう。このように、基体は、単一の混ぜ合わせから成る同種の顆粒か、あるいは、基体の混合物を含む異種の顆粒、または、合成物であるだろう。顆粒状の基体は、ペレット、ケーキ、プリル、タブレット、球形の顆粒、または、多角状の顆粒の形であるだろう。結果として得られた顆粒状の基体は、大きさにおいては、約20サイズ・ガイド・数(「SGN」)から約1000SGNの範囲にあるだろうし、さらに好ましくは、約50SGNから約500SGN、もっと好ましくは、約100SGNまたは150SGNから約300SGNまたは400SGN、もっと好ましくは、約100SGNから400SGNの範囲にあるだろう。
・・・
【0026】
特別な態様において、顆粒状の基体は肥料である。その肥料は、単一の栄養素、または、様々な栄養素の合成物であるだろう。本発明において使用されるだろう栄養素は、限定ではないが、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、アンモニア化過燐酸、塩化アンモニウム、リン酸モノアンモニウム、リン酸二アンモニウム、カルシウムシアナミド、硝酸カルシウム、尿素グアニジン、硝酸グアニジンとニトログアニジン、過リン酸塩と三重過リン酸石灰、硝酸カリウム、炭酸カリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、メタリン酸カリウム、尿素、リン酸尿素、および、それらの混合物または組み合わせを含む。当業技術者は、その他の肥料がここにて記述された方法およびシステムにおいて使用されてもよいことを理解するであろう。
・・・
【0029】
別の特別な態様において、その肥料は尿素である。尿素は、様々なサイズを含むだろう。例えば、尿素のサイズは、約20SGN~約1000SGN、さらに好ましくは、約50SGN~約500SGN、またさらに好ましくは、約100SGNか150SGN~約300SGNか400SGN、またさらに好ましくは、約100SGN~400SGNの範囲内のSGNである。
【0030】
当業技術者は、様々な基体がここにて記述された方法およびシステムに適用されてもよいことを理解するであろう。例えば、発明者達は、ここにて記述された方法およびシステムが放出制御肥料を用意するために使用され得ることを究明した。しかしながら、当業技術者は、これらの方法およびシステムが様々な被覆材料で被覆され得る種々の基体に適用できることを理解するであろう。基体と被覆材料の組み合わせにおけるバリエーションは、当業技術者にとって明らかであろうし、望ましい最終生成物を達成するように最適化されるだろう。
・・・
(b)被覆材料
【0032】
本発明の方法およびシステムは、様々な被覆材料で基体を被覆することを必要とする。これらの方法およびシステムにおいて使用に適している被覆材料は、限定ではないが、水性ラテックス被覆、溶融樹脂、溶剤系ポリマー被覆、水性ポリマー、でんぷんかゼラチンか親水コロイドのような食用被覆、高固体の樹脂か塗料、および、溶剤不要の樹脂か塗料を含む。
・・・
【0037】
特別な態様において、被覆材料は、合成水透過性、または、水蒸気透過性のポリウレタン系樹脂、または、そこにて作られる反応生成物である。特別な態様において、樹脂は、ポリオール成分とイソシアネート成分を含む2つの構成要素系の反応生成物である。1つの具体例において、ポリオールは、カルドール、カルダノール、または、これらの合成物の派生物かオリゴマーである。別の具体例において、イソシアネート成分は、ポリイソシアネート成分である。カルドール、カルダノール、または、その派生物かオリゴマーは、天然物から得られるだろうし、従って、再生可能な原材料と考えられるだろう。例えば、その原材料は、カシューナッツ・オイルであるだろう。ここにて、参考資料としそっくりそのまま組み込まれている米国特許No.4,772,490および7,722,696は、カルドール、カルダノール、または、その派生物かオリゴマーのようなポリオール、および、イソシアネートのようなポリイソシアネートの反応生成物を含む様々な樹脂を記述している。
・・・
(c)硬化方法および触媒
【0039】
本発明の方法およびシステムは、被覆混合物を硬化することを必要とする。当業技術者は、硬化のステップが種々の方法を使用して実施されるだろうことを理解するであろう。
【0040】
この発明の目的のために、用語「硬化する」、「硬化」、または、それらの文法的バリエーションは、重合、化学的凝集、離散の凝集、化学的架橋、小粒子の融合、溶剤の蒸発、温度変化による物理的乾燥、コロイド分散の凝集、コロイド分散の融合、コロイド微粒子の融合、セッティング、物理的硬化、乾燥、または、液体か半-液体か粘性のある層を密閉か凝固か固める任意の最後のステップを含むように意味付けられる。
・・・
(d)混合装置
【0047】
本発明の方法およびシステムは、混合装置の使用を必要とする。当業技術者は、混合装置が、基体と被覆材料を、均一な混合へと、混ぜ合わせたり、かき回したり、攪拌したり、または、混合したりできる任意の装置であることを理解するであろう。
【0048】
使用されるであろう適切な混合装置は、限定ではないが、パグミル、回転ドラム、パドルミキサー、ノータ・ミキサー、測定ミキサー、押し出し機、リボンブレンダー、または、ピンミキサーのような混合装置を含む。使用される混合装置のタイプにかかわらず、適切な混合装置は、混合が起きる混合領域または床を具備する。これらは、鍋、ビン、桶、床、または、基体と被覆材料を保持する任意のその他の収容容器を含むだろう。特別な具体例において、混合装置は回転と静止の部分を有すべきである。
【0049】
混合装置は、基体と被覆材料を混合することができる回転素子を含むだろう。回転素子は、双方向に、または、単一方向に移動するだろう。回転素子は、パドル、攪拌器、リボン、渦巻きネジ、ピン、または、それらの組み合わせを備えるだろう。1つの態様において、回転素子は、単一方向か、その代わりに、反対方向かのいずれかに向けらるか、または、角度付けられるであろうパドルである。パドルの方向付け、および/または、角度付けは、要求される混合か攪拌の特別な程度、および、運用のタイプ(例えば、バッチか連続)に基づいて、当業技術者にとって明らかであろう。
【0050】
特別な態様において、混合装置はパグミルである。発明者達は、パグミルの使用が、基体を被覆する準備に好都合であることを究明した。確かに、パグミルは、種々の混合条件の操作と制御を可能にする。例えば、パグミルは、温度、混合の大気条件、被覆材料のエントリーポイント/注入ポイント、および、混合の方向と方向付けを制御するように修正されるだろう。このように、被覆混合物の早期硬化は、パグミルの大気条件を調整することによって、例えば、不活性窒素ガスの存在にてパグミル内で混合ステップを行なうことによって防げるだろう。これら及びその他の利点は、本発明の方法およびシステムにおける混合装置を使用することで実現されるだろう。
【0051】
別の態様において、混合装置は双方向様式にて基体と被覆材料の移動を可能にする特有の回転素子を具備する。基体と被覆材料の長期の混合は、混合装置において汚染を起こすだろう。発明者達は、また、指定された持続時間の間の、反対方向への回転素子の間欠的な移動が、被覆プロセスの効率を増大させることを、予想外に、発見した。これにより、1つの態様において、混合装置は、パグミルのパドルのような回転素子を、正方向よりも短い間隔で逆回転方向への回転素子の回転を伴う、正回転方向に回転させるように、設計される。ここにて記述された方法およびシステムにおいて使用に適している混合装置に加えて、この態様は、2011年2月9日に出願された仮出願No.61/441,168で、タイトルが「自己洗浄ミキシングデバイスおよびその使用方法」に記述され、これは、参考資料として、ここにて、そっくりそのまま組み込まれている。
【0052】
別の態様において、混合装置は、移動アクセルに取り付けられるだろう回転パドルを具備する。
【0053】
別の態様において、混合装置は、被覆材料を導入する機構を具備するだろう。例えば、パグミルのような混合装置は、混合装置内に被覆材料を導入することができる注入チューブ、および/または、混合器を具備するだろう。導入のポイントは、注入ポイントとして定義される。これらの注入ポイントは、全体の混合面積上で同等の混合を保証するために、連続的に、パグミルの長さに沿って横方向に自由に移動するだろう。注入のポイントは、基体、または、樹脂組成物の選択に依存して調整され、最適化されるだろう。あるいは、被覆材料は、混合装置上、または、混合装置内にスプレーされるだろう。
【0054】
別の態様において、混合装置は、一連の他の混合装置と反応器に沿って構成されるシステムの一部である。これらの直列システムは、望ましい基体に多層を被覆するために、基体の連続か、または、バッチかのプロセシングのいずれかを可能にする。
(e)反応器
【0055】
本発明の方法およびシステムは、反応器内で被覆混合物を硬化することを必要とする。この発明の目的のために、「反応器」、「反応室」、「反応容器」は、硬化が起きる場所を指します。当業技術者は、反応器は被覆混合物を硬化することができる任意の装置であってもよいことを理解するであろう。使用されるであろう反応器は、限定ではないが、回転ドラム、回転タブ、回転鍋、または、回転パイプ、流動床、噴流床、ウルスター装置、または、任意の容器、室、または、硬化することを可能にする収容器含む。反応器は、上記のように、様々なタイプの硬化用に構成されるだろう。例えば、反応器は、ある温度範囲かある温度に加熱されるように、または、触媒のような様々な硬化補助物を反応器内に放出するように構成されるだろう。
【0056】
1つの態様において、反応器は、混合装置とは別個で、異なっている。本発明により具体化される反応器は、具体的には、上記「硬化」のセクションにて記述されたように、実行される被覆混合物の硬化のために、設計される。これにより、本発明に記述されたように混合または混ぜ合わせは、硬化が進展する反応器とは個別であり、それを含まない装置内で達成される。これにより、1つの具体例において、基体を被覆する方法は、基体と被覆材料を混合装置内で混ぜ合わせるか混合し、硬化が起こるであろう別個の反応器に被覆混合物を移すことによって、達成される。これにより、1つの具体例において、混合装置は、パグミルであってもよく、それがそれから、回転ドラムのような反応器内に被覆混合物を移す。当業技術者は、混合または混ぜ合わせが、硬化から独立に起きさえすれば、任意の混合装置と反応器が選ばれてもよいことを理解するであろう。
【0057】
本発明の別の具体例において、パグミル内で混ぜ合わされてきた被覆混合物が、被覆基体を発生する混合物を硬化する第1の反応器内へ直接的に供給されて受け取られる。任意であるが、被覆材料との追加混合のために、第1の反応器が、被覆基体を第2のパグミル内に引き続いて移してもよく、そして、第2の硬化イベント用の第2の反応器に移される。
(f)基体を被覆する方法およびシステム
【0058】
この発明の目的のために、本発明による「被覆基体」は、硬化されてきた被覆材料によってカプセル化されてきた基体を指します。被覆基体は、「第1の被覆基体」とここにて呼ぶ単一の硬化層を具備するだろうし、または、「2倍の被覆基体」、第2の被覆基体、「2層の基体」、または、当業技術者にとっては直ちに明らかだろうそれらのある種の等価物と、ここにて呼ぶ、2つの硬化層を具備するだろう。少なくとも2層以上を具備するそれらの被覆基体は、「多層被覆基体」、または、当業技術者にとっては、直ちに明らかなある種の等価物と、呼ぶであろう。多層被覆基体は、硬化被覆材料の3から約10層の追加の層の間を有するだろう。例えば、基体が肥料であるならば、用語「被覆肥料」は、硬化被覆材料内にてカプセル化されてきた顆粒状の肥料を指すであろう。
【0059】
この発明の目的のために、「被覆混合物」は、混合装置内にて混合または混ぜ合わせる結果として被覆材料で包まれた基体として定義される。
【0060】
ここにて論じたように、この発明の具体例による基体を被覆する方法は、少なくとも2個の必須のステップを必要とする。第1のステップは、基体と被覆材料の組み合わせを必要とする。基体と被覆材料の両方のタイプが、ここにて記述されてきた。前述の組み合わせは、それらを被覆混合物へと十分に混ぜ合わせる期間に、混合装置内で混合される。一般的に、基体と被覆材料を混ぜ合わせるのに適している混合装置のタイプは、回転ドラム、パドルミキサー、ノータ・ミキサー、パグミル、ピンミキサー、リボンブレンダー、押し出し機、または、計量ミキサーである。1つの具体例において、混合装置はパグミルである。パグミルは、被覆混合物を混ぜ合わせるパドル、または、ピンでアクセサリーされる。
【0061】
被覆混合物が、一旦、適切に混ぜ合わせられると、それは、被覆混合物が硬化される環境を提供する別個の反応器内に移される。硬化に適する環境は、温度によって、または、触媒の存在によって決定されるだろう。1つの具体例において、被覆混合物が硬化される温度は、約50℃~約100℃の範囲である。好ましくは、反応器は、約65℃、または、70℃の温度に設定される。またさらに別の具体例においては、反応器は、周囲温度にあるが、硬化は触媒の存在によって促進される。被覆混合物を硬化させるのに適している触媒のタイプは、ここにて述べられており、当業技術者は硬化プロセスを促進するために使用されるだろう触媒のタイプを理解するであろう。混合装置と反応器は、プロセスから放出されるガスを集めるために、換気フード内に置かれるだろう。例えば、その方法から放出される高濃度のガス状アミン触媒は、硫酸溶液で中和される。そして、中和されたガスは大気中に放出される。
【0062】
ここにて記述された方法とプロセスが、多数回繰り返されてもよいことは、当業技術者にとって明らかであろう。当該分野所属者は、厚みや被覆重量のような変数、または、被覆の異なる層や目的が、引き続く繰り返しの各プロセスにおいて添加される被覆材料の回数およびタイプを決定するであろうことを理解するであろう。これにより、1つの具体例において、その方法は、多層の被覆基体を達成するために、正確に(すなわち、同じ被覆材料と硬化回数、熱、および/または、触媒の存在を使用して)繰り返されるだろう。別の具体例において、その方法は繰り返されるだろうが、しかしながら、連続する繰り返しの各方法にて添加される被覆材料のタイプは異なるだろう。また、連続する各ステップにて添加される被覆材料の重量は、同じか、または、異なるかのどちらか一方だろう。例えば、4%の最終被覆重量が望まれるならば、連続するステップが、同量か、または、差別的量のいずれか(例えば、最初3%で引き続き1%の被覆)にて被覆材料を適用するために、使用されるだろう。」
c 「実施例
【0066】
以下の実施例は、本発明により熟慮された様々な方法およびシステムを記述している。これらの実施例は、本発明により熟慮された、方法、システム、混合装置、反応器、基体、被覆材料、または、硬化の方法を限定することを意図していない。むしろ、これらの実施例は、さらに詳細にこの発明の特別な具体例を記述することを意図している。
一般的な方法
(a)放出制御ポリマーで肥料を被覆すること
【0067】
一連のパグミルと回転ドラムが、図1に示すように、連続するプロセシングスキームを確立するように構成された。
【0068】
この特別なスキームにおいて、プロセスは、1時間当たり約250キログラムのレートで顆粒を被覆するために最適化された。実施例において使用されたポリウレタン系樹脂は、液体ポリオール(ASKOCOAT・EP7717)と液体ジイソシアネート(ASKOCOAT・EP05547CompB)を反応することにより作られた。例えば、ここにて、参考資料としてそっくりそのまま組み込まれている米国特許No.7,722,696を参照して下さい。実施例において、被覆するための目標基体は、次の可溶性肥料、すなわち、SGN220か150の尿素、または、NPKを含む。ここにて記述されるように、その他の樹脂/被覆および基体が使用されてもよいことが理解される。
【0069】
肥料顆粒は、流動床内に顆粒を供給するホッパー内に置かれた。流動床は、空気流によって、約45℃に予熱された。予熱された顆粒は、ポリオール樹脂と混ぜるために、第1のパグミル内に移された。2つの樹脂成分(すなわち、ポリオールとジイソシアネート)は、2個のステンレススチール・チューブを経由したパグミル内への注入の前に、各々が独立して、静的混合器内に汲み上げられた。静的混合器内への2つの樹脂成分の流れは、質量流量制御器によって制御された。注入直前に樹脂成分を混合することは、前記スチールチューブ内における望まれない硬化のいずれをも回避した。
【0070】
肥料と樹脂が、被覆混合物へと成分を混合して混ぜ合わせるように構成されたパグミルに加えられた。各パグミルは、それぞれが約25リッターの容量を持つ15個のパドルを有する2個のシャフトを具備していた。パグミルは、3.7kWおよび60Hzのモータを装備していた。パグミルは、また、温度調整のために隔離されて、混ぜ合わせが起きるであろう大気条件を制御するために取り外し可能な上部カバーを装備していた。不活性窒素ガスが、望まれずに早期である樹脂の硬化を防ぐためにパグミル内に注入された。
【0071】
顆粒が、一旦、被覆混合物を形成するように樹脂によって包まれると、それは、第1の反応器である回転硬化ドラムに放出された。ドラムは、約8.5rpmでの回転を有して、約65℃に加熱された。液体触媒(例えば、N,N-ジメチルイソプロピルアミン、シグマアルドリン)が、ガス触媒を発生するように、窒素で洗い流された。触媒ガスは、多孔管によって回転ドラム内に導入された。被覆されて硬化された肥料は、第1の回転ドラムを出て、第2のパグミルに入った。第2のパグミルにおいて、上記のように、追加の被覆材料が付加され、第2の被覆混合物が引き続き硬化用の第2の回転ドラムに移された。製品は、一般的には、約55℃で第2のパグミルを出て、約70℃で第2の回転ドラムを出た。
【0072】
被覆材料の2つの硬化層からなる、生産された被覆され硬化された肥料は、流動床にて約30℃に冷やされた。スクリーニング・プロセスが、いかなる塊または微細粒子をも取り除くために、実施された。」
d 図1
[図:0001432366000001.jpg]
e 上記cの記載を踏まえると、上記dの図1からは、連続するプロセシングスキームを確立するように構成された一連のパグミルと回転ドラムは、第1のパグミル、第1の反応器である回転硬化ドラム、第2のパグミル、第2の反応器である回転硬化ドラムからなるものであることが看取される(「看取事項1」という)。
また、生産された被覆され硬化された肥料は、流動床にて約30℃に冷やされた後、最終生成物として流動床から出ることが看取される。(「看取事項2」という)。
(イ)引用発明
上記(ア)から、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
(引用発明)
基体を被覆する方法であって、
混合装置内で基体と被覆材料を混合すること、混合物を別個の反応器内に移して被覆混合物を硬化することを必要とし、任意で硬化された生成物は、追加の被覆材料が添加され、硬化された生成物と混合される第2の混合装置内に移され、それから、硬化用の別個の第2の反応器内に移され、このプロセスは、望ましい被覆レベル達成するように何度も繰り返され、(【0016】)
様々な基体、被覆材料、硬化方法、触媒、混合装置および反応器が、これらの方法において使用され、(【0022】)
被覆材料は、ポリオール成分とイソシアネート成分を含む2つの構成要素系の反応生成物であることができ、(【0037】)
方法は、被覆混合物を硬化することを必要とし、「硬化する」は、化学的架橋としても意味付けられ、(【0039】、【0040】)
方法は、混合装置の使用を必要とし、混合装置は、基体と被覆材料を、均一な混合へと、混ぜ合わせたり、かき回したり、攪拌したり、または、混合したりできる任意の装置であり、(【0047】)
使用されるであろう適切な混合装置は、限定ではないが、パグミル、回転ドラム、パドルミキサー、ノータ・ミキサー、測定ミキサー、押し出し機、リボンブレンダー、または、ピンミキサーのような混合装置を含み、使用される混合装置のタイプにかかわらず、適切な混合装置は、混合が起きる混合領域または床を具備し、これらは、鍋、ビン、桶、床、または、基体と被覆材料を保持する任意のその他の収容容器を含み、混合装置は回転と静止の部分を有すべきであり、(【0048】)
混合装置は、基体と被覆材料を混合することができる回転素子を含み、回転素子は、双方向に、または、単一方向に移動し、回転素子は、パドル、攪拌器、リボン、渦巻きネジ、ピン、または、それらの組み合わせを備え、(【0049】)
混合装置は双方向様式にて基体と被覆材料の移動を可能にする特有の回転素子を具備することができ、(【0051】)
混合装置は、被覆材料を導入する機構を具備することができ、被覆材料は、混合装置内にスプレーされることができ、(【0053】)
被覆混合物は、混合装置内にて混合または混ぜ合わせる結果として被覆材料で包まれた基体であり、(【0059】)
具体例において、第1のパグミル、第1の反応器である回転硬化ドラム、第2のパグミル、第2の反応器である回転硬化ドラムからなる一連のパグミルと回転ドラムが、連続するプロセシングスキームを確立するように構成され(【0066】、【0067】、看取事項1)
使用されたポリウレタン系樹脂は、液体ポリオールと液体ジイソシアネートを反応することにより作られ、被覆するための目標基体は、可溶性肥料の尿素、または、NPKを含み(【0068】)、
肥料顆粒は、流動床内に顆粒を供給するホッパー内に置かれ、予熱された顆粒は、第1のパグミル内に移され、(【0069】)
肥料と樹脂が、被覆混合物へと成分を混合して混ぜ合わせるように構成されたパグミルに加えられ、各パグミルは、15個のパドルを有する2個のシャフトを具備し、(【0070】)
顆粒が、一旦、被覆混合物を形成するように樹脂によって包まれると、それは、第1の反応器である回転硬化ドラムに放出され、被覆されて硬化された肥料は、第1の回転ドラムを出て、第2のパグミルに入り、第2のパグミルにおいて、追加の被覆材料が付加され、第2の被覆混合物が引き続き硬化用の第2の回転ドラムに移され(【0071】)、
被覆材料の2つの硬化層からなる、生産された被覆され硬化された肥料は、流動床にて約30℃に冷やされた後、最終生成物として流動床から出る、(【0072】、看取事項2)、
方法。
イ 引用文献3
(ア)記載事項
原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2013-17923号公報(平成25年1月31日出願公開。以下、原査定における呼称のとおり「引用文献3」という。)には、図面とともに、次の記載がある。
a 「【実施例】
【0012】
(第1実施例)
以下、本発明の第1実施例を図1ないし図16を参照して説明する。
図2は粉体処理ミキサ1の側面図、図3は、粉体処理ミキサ1の正面図で、ミキサ1に第1のロータユニット2が取付けられている。図4、図5は、それぞれ図3に示す粉体処理ミキサ1の概略構成を示す斜視図、平面図である。
図6は図3に示す粉体処理ミキサ1の動作を示す図で、図6(A)、(B)はそれぞれ正面図、平面図である。図7は、粉体処理ミキサ1の正面図で、ミキサ1に第2のロータユニット3が取付けられている。図8、図9は、それぞれ図7に示す粉体処理ミキサ1の概略構成を示す斜視図、平面図である。
図10は、図7に示す粉体処理ミキサ1の第2のロータユニット3を示す図で、図10(A)、(B)、(C)はそれぞれ平面図、正面図、側面図である。図11は、図7に示す粉体処理ミキサ1の動作を示す図で、図11(A)、(B)はそれぞれ正面図、平面図である。
図12は、図7に示す粉体処理ミキサ1の変形例にかかる第2のロータユニット3aのを示す図、図13は、図7に示す粉体処理ミキサ1の他の変形例にかかる第2のロータユニット3bを示す図である。図14は、変形例にかかる粉体処理ミキサ1aを示す平面図で、2つの第2のロータユニット3が設けられた場合の概略構成を示しており、図9相当図である。
【0013】
図2ないし図14に示す粉体処理ミキサ1、1aでは、混合、混練および造粒を行うための第1のロータユニット2と、整粒のみ、または整粒に続いてコーティング、または整粒済みの粉体粒子のコーティングのみを行うための第2のロータユニット3、3a、3bとが、交換可能になっている。
図2ないし図11に示すように、本実施例にかかる粉体処理ミキサ1は、粉体の集合体を内部に収納して所定方向(本実施例では、時計回り方向B1)に低速で回転する回転容器4と、回転容器4の内方で且つ回転容器4の中心軸線CL1より偏心した位置に中心軸線CL1と平行に配置され、回転容器4の回転方向と同一方向または逆方向に回転するロータユニットとを備え、所定量の粉体の集合体が回転容器4に収納された状態で、所定時間バッチ運転(または、連続運転)される。
【0014】
粉体処理ミキサ1に取付けられるロータユニットとしては、第1のロータユニット2と第2のロータユニット3のうち一方のロータユニットを取付けて使用できるようになっている。第1のロータユニット2と第2のロータユニット3が、手動により(または、図示しない自動交換装置により)交換可能に構成されている。ロータユニットは、回転容器4の中心軸線CL1と平行な補助中心軸線CL2を中心として回転する。
第1のロータユニット2は、その上部が支持され、その下端部は回転容器4の底板7とは離れた状態でフリーになっている。
第1のロータユニット2は、回転容器4の中心軸線CL1と平行に配置されて回転駆動されるシャフト11と、シャフト11の周囲に分散して放射状に取付けられた複数の羽根12とを有して、所定方向(本実施例では、反時計回り方向B2)に高速で回転する。
シャフト11の下部には、底板7上の粉体を掻き取るための、羽根の一種である2つの掻取り用の羽根21が、180度離れて取付けられている。
各羽根12、21は、シャフト11の中心軸線CL2を中心とする2次元の円板を描くように、旋回運動する。
【0015】
第2のロータユニット3は、その上部が支持され、その下端部は底板7とは離れた状態でフリーになっている。
第2のロータユニット3は、回転容器4の中心軸線CL1と平行に配置されて回転駆動されるヘッド部5と、ヘッド部5に取付けられ回転容器4の底板7の近傍まで延びて、粉体集合体f1の領域S内で運動する少なくとも1本(本実施例では、合計6本)の棒状部材6とを有して、所定方向(本実施例では、時計回り方向B3)に低速で回転する。
・・・
【0017】
回転容器4と第2のロータユニット3の両者が同一方向(時計回り方向)または逆方向(反時計回り方向)に低速度で回転し、その結果、円周運動する複数本(6本)の棒状部材6が、造粒済みの粉体粒子b1を、回転容器4内の広い面積にわたって弱い力でゆっくりと撹拌する。
したがって、粉体粒子同士が激しく衝突することはなく、粉体粒子b1、c1は、棒状部材6に押されて互いに接触しながら矢印B5に示すように複雑な動きをする。このとき、回転している回転容器4内の粉体粒子b1、c1は、棒状部材6の円周運動や混合部材24(後述する)の存在により、底板7近くの粒子とそれより上部の粒子とが入れ替わりながらダイナミックに移動し、コロコロと転がるように転動して整粒(または、整粒に続いてコーティング、もしくは整粒済みの粉体粒子のコーティングのみ)される。
【0018】
粉体処理ミキサ1では、回転容器4と第1のロータユニット2をそれぞれ回転させて、羽根12、21が旋回運動することにより粉体原料を撹拌して混合、混練および造粒する。また、回転容器4自体が回転し且つ第1のロータユニット2が回転容器4とは逆方向に高速で回転するので、複数の羽根12、21が粉体原料a1、a2、a3、a4の集合体f1に高い分散・衝撃力F1を与えながら撹拌して、良好に粉体原料を混合および混練し、やがて粉体粒子b1を形成するように造粒する。回転容器4の回転方向と羽根12、21の回転方向が逆方向なので、粉体原料a1、a2、a3、a4の小さな粉体同士が高速で衝突する機会が増加することになり、大きな粉体粒子b1に成長しやすくなる。
その後、第1のロータユニット2を第2のロータユニット3に交換する。そして、回転容器4と第2のロータユニット3をそれぞれ所定方向(本実施例では、同一方向)に回転させて、棒状部材6が回転容器4内の造粒済みの粉体粒子b1の集合体f1の領域S内を低速で円周運動することにより、各粉体粒子b1をゆっくりと転動させて整粒を行うか、またはこの整粒に続いてコーティングを行う。
回転容器4自体が回転し且つ第2のロータユニット3が回転容器4と同一方向に回転するので、造粒済みの粉体粒子b1同士が互いに接触しながら転動して、粉体粒子c1となるように整粒される。回転容器4の回転方向と棒状部材6の回転方向が同一方向なので、粉体粒子c1同士が衝突する機会が少なくなり、粉体粒子c1が損傷を受けにくくなる。
さらに、整粒済みの粉体粒子c1の集合体にコーティング用の原料を供給し、回転容器4と第2のロータユニット3を、それぞれ所定の回転速度で所定方向(本実施例では、同一方向)に回転させれば、整粒済みの粉体粒子c1は、その表面全体にコーティング層d1が形成された粉体粒子e1となるようにコーティングされる。
【0019】
回転容器4の中心軸線CL1は水平面Hに対して傾斜しており、第1のロータユニット2と第2のロータユニット3は中心軸線CL1と平行に配置される。これにより、回転容器4の内部に収納された粉体の集合体はその自重により下方に移動しようとするので、粉体集合体に上下の動きがでて三次元の移動になり、粉体集合体の全体をより均一に撹拌したり、粉体粒子を転動させることができる。
また、もし回転容器4が高速で回転すると、その内部の粉体集合体は、遠心力により回転容器4の内壁に付着したままで回転して二次元的な動きになってしまうが、回転容器4は低速で回転するので、その内部の粉体集合体は、自重により回転容器4の内壁から離れて下方に移動し、粉体集合体に上下の動きがでて良好な三次元の撹拌、転動になる。
なお、回転容器4の中心軸線CL1と、第1のロータユニット2と第2のロータユニット3の補助中心軸線CL2は、それぞれ水平面Hに対して垂直な場合であってもよい。
【0020】
粉体処理ミキサ1の本体20には、ケーシング16が取付けられている。回転容器4は、有底中空円筒状をなしてケーシング16の内方に配置され、ケーシング16により回転可能に支持されており、回転容器用駆動モータ13に駆動されて回転する。
回転容器4の底板7の中央部(または、他の位置)には、処理済みの粉体粒子b1、c1、e1などの集合体を排出するための排出口14が形成されている。粉体処理ミキサ1の運転中は、排出口14はカバー15により閉じられた状態になっている。
カバー15は、排出口14を閉じた状態で回転容器4の一部となって回転容器4とともに回転する。
【0021】
ケーシング16の上部開口は、蓋部材17により開閉可能になっている。蓋部材17は、ミキサ本体20に取付けられて、矢印B4に示すように揺動可能になっている。
蓋部材17には、第1のロータユニット2と第2のロータユニット3のいずれか一方が取り付けられる。第1のロータユニット2と第2のロータユニット3は、それぞれ蓋部材17に着脱可能に且つ交換可能に取り付けられる。
すなわち、蓋部材17に対して、第2のロータユニット3を取外して第1のロータユニット2を取り付けでき(図3)、第1のロータユニット2を取外して第2のロータユニット3を取り付けできる(図7)。
蓋部材17には、第1のロータユニット2と第2のロータユニット3を回転駆動するためのロータユニット用駆動モータ22が取付けられ、蓋部材17と一体に揺動するようになっている。
蓋部材17には、粉体原料などを供給するための供給口18が形成されている。この供給口18は開いたままでもよいが、運転中は、開閉可能なキャップ19により閉じられている。
・・・
【0026】
図13(A)、(B)は、それぞれ第1実施例の他の変形例にかかる第2のロータユニット3bの平面図、正面図である。
この第2のロータユニット3bでは、ヘッド部5bは、粉体粒子b1に直接接触しないように、常時、粉体粒子集合体f1の領域S外で且つ上方に位置している。これにより、上述の第2のロータユニット3と同じ作用効果を奏する。
ヘッド部5bに取付けられている棒状部材6は、第2のロータユニット3aの補助中心軸線CL2を中心として、周囲に距離を異ならせて複数本(この例では、6本)配置されている。
この例では、6本の棒状部材6が互い違いに配置されている。すなわち、3本の棒状部材6が、補助中心軸線CL2を中心として周囲に均等角度(120度)で且つ補助中心軸線CL2に近い同一の距離r1に配置され、この3本の棒状部材6とは別の3本の棒状部材6が、補助中心軸線CL2を中心として周囲に均等角度(120度)で且つ補助中心軸線CL2から遠い同一の距離r2に配置されている。
その結果、この第2のロータユニット3bでは、補助中心軸線CL2に近い距離r1に配置された3本の棒状部材6の円周運動の軌跡と、補助中心軸線CL2から遠い距離r2に配置された他の3本の棒状部材6の円周運動の軌跡は異なるので、棒状部材6の円周運動により転動する粉体粒子b1、c1の集合体全体が均一に攪拌される。
なお、第2のロータユニットのヘッド部に取付けられる棒状部材6は、少なくとも1本あればよいので、1本であってもよく、または2本、4本、5本などであってもよい。」
b 【図7】、【図8】
【図7】
「
[図:0001432366000002.jpg]
」
【図8】
「
[図:0001432366000003.jpg]
」
(イ)引用発明3
上記(ア)から、引用文献3には、次の発明(以下「引用発明3」という。)が記載されていると認められる。
(引用発明3)
粉体の集合体を内部に収納して所定方向に低速で回転する回転容器4と、回転容器4の内方で且つ回転容器4の中心軸線CL1より偏心した位置に中心軸線CL1と平行に配置され、回転容器4の回転方向と同一方向または逆方向に回転するロータユニットとを備える粉体処理ミキサ1であって、(【0013】)
ロータユニットは、整粒のみ、または整粒に続いてコーティング、または整粒済みの粉体粒子のコーティングのみを行うための第2のロータユニット3、3a、3bとでき、(【0013】)
第2のロータユニット3は、回転容器4の中心軸線CL1と平行に配置されて回転駆動されるヘッド部5と、ヘッド部5に取付けられ回転容器4の底板7の近傍まで延びて、粉体集合体f1の領域S内で運動する棒状部材6とを有し、(【0015】)
回転容器4と第2のロータユニット3の両者が同一方向または逆方向に低速度で回転し、その結果、円周運動する複数本の棒状部材6が、造粒済みの粉体粒子b1を、回転容器4内の広い面積にわたって弱い力でゆっくりと撹拌し、このとき、回転している回転容器4内の粉体粒子b1、c1は、棒状部材6の円周運動により、底板7近くの粒子とそれより上部の粒子とが入れ替わりながらダイナミックに移動し、粉体粒子のコーティングがされ、(【0017】)
粉体粒子c1の集合体にコーティング用の原料を供給し、回転容器4と第2のロータユニット3を、それぞれ所定の回転速度で所定方向(本実施例では、同一方向)に回転させれば、整粒済みの粉体粒子c1は、その表面全体にコーティング層d1が形成された粉体粒子e1となるようにコーティングされ、(【0018】)、
回転容器4の中心軸線CL1は水平面Hに対して傾斜しており、第2のロータユニット3は中心軸線CL1と平行に配置され、これにより、回転容器4の内部に収納された粉体の集合体はその自重により下方に移動しようとするので、粉体集合体に上下の動きがでて三次元の移動になり、粉体集合体の全体をより均一に撹拌したり、粉体粒子を転動させることができ、(【0019】)
粉体処理ミキサ1の本体20には、ケーシング16が取付けられ、回転容器4は、有底中空円筒状をなしてケーシング16の内方に配置され、ケーシング16により回転可能に支持されており、回転容器用駆動モータ13に駆動されて回転し、回転容器4の底板7には、処理済みの粉体粒子b1、c1、e1などの集合体を排出するための排出口14が形成され,粉体処理ミキサ1の運転中は、排出口14はカバー15により閉じられた状態になっており、(【0020】)
ケーシング16の上部開口は、蓋部材17により開閉可能になっており、蓋部材17は、ミキサ本体20に取付けられ、
蓋部材17には、第2のロータユニット3が取り付けられ、第2のロータユニット3を回転駆動するためのロータユニット用駆動モータ22が取付けられ、蓋部材17には、粉体原料などを供給するための供給口18が形成されている、(【0021】)
粉体処理ミキサ1。
ウ 引用文献A
本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2005-89258号公報(平成17年4月7日公開。以下「引用文献A」という。)には、図面とともに、次の記載がある。
(ア)記載事項
a 「【技術分野】
【0001】
本発明は、被覆粒状肥料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、農業就労者の高年齢化、就労者数の減少、兼業農家の増加から、より省力型で植物の成長にあわせ所定時期に溶出する肥効調整型肥料が要求されている。このような肥効調整型肥料として、粒状肥料を疎水性物質、樹脂等の被覆材料で被覆してなる種々の被覆粒状肥料が提案され実用化されている。
【0003】
このような被覆粒状肥料を製造するに際しては、例えば図1に示すパンコーティング装置(特許文献1)や、所謂ワンマンミキサと呼ばれるコンクリートミキサ(特許文献2)が小型で簡便な製造装置として使用されることが、知られている。
より具体的には、これらの装置に原料となる粒状肥料(原肥)を投入し、傾斜させてなる回転胴の転動状態で上記の被覆材料又はその前駆物質を投入するか、若しくはこれを溶融又は溶解させた後、図1に示されるようにその開口部近傍からスプレーし、所定時間加熱下に転動することにより、被覆粒状肥料が製造される。」
b 「【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明を詳しく説明する。
本発明の被覆粒状肥料の製造方法において、使用される回転胴を有する混合機としては、例えばコンクリートミキサ型の転動装置が挙げられ、代表的には所謂ワンマンミキサと呼ばれる簡易型のコンクリートミキサであり、該コンクリートミキサ型の転動装置には、図2に示すように攪拌効率の向上を図るために、通常、その上部及び下部に各々2枚の邪魔板が内設されている。
また、該混合機において回転胴部位には、加熱、保温、断熱、冷却等の温度制御手段が設けられていてもよく、かかる温度制御手段を設けることにより、被覆操作の高精度化や加工時間の合理化を図ることができる。
【0010】
本発明において、使用され得る粒状肥料は肥料成分を含有する粒状物である。肥料成分は、水稲などの植物栽培において養分を与えるために土壌に施される窒素、リン、カリウム、珪素、マグネシウム、カルシウム、マンガン、ホウ素、鉄等の種々の元素を含有する成分であり、具体例としては、尿素、硝酸アンモニウム、硝酸苦土アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸ソーダ、硝酸カルシウム、硝酸カリウム、石灰窒素、ホルムアルデヒド加工尿素肥料(UF)、アセトアルデヒド加工尿素肥料(CDU)、イソブチルアルデヒド加工尿素肥料(IBDU)、グアニール尿素(GU)等の窒素質肥料;過リン酸石灰、重過リン酸石灰、熔成リン肥、腐植酸リン肥、焼成リン肥、重焼リン、苦土過リン酸、ポリリン酸アンモニウム、メタリン酸カリウム、メタリン酸カルシウム、苦土リン酸、硫リン安、リン硝安カリウム、塩リン安等のリン酸質肥料;塩化カリウム、硫酸カリウム、硫酸カリソーダ、硫酸カリ苦土、重炭酸カリウム、リン酸カリウム等のカリウム質肥料;珪酸カルシウム等の珪酸質肥料;硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム等のマグネシウム質肥料;生石灰、消石灰、炭酸カルシウム等のカルシウム質肥料;硫酸マンガン、硫酸苦土マンガン、鉱さいマンガン等のマンガン質肥料;ホウ酸、ホウ酸塩等のホウ素質肥料;鉄鋼スラグ等の含鉄肥料等の肥料取締法に定められる普通肥料(複合肥料を含む)等を挙げることができる。中でも窒素(N)、リン(P)およびカリウム(K)より選ばれる肥料成分の一種以上、特にこれら三種全ての肥料成分を含有するものが好ましい。その具体例としては、NPK成分型(N-P2O5-K2O)肥料が挙げられ、かかる肥料としては、例えば、5-5-7(N-P2O5-K2Oの重量比率を意味する。以下同じ。)、12-12-16等の1型平上り型、5-5-5、14-14-14等の2型水平型、6-6-5、8-8-5等の3型平下がり型、4-7-9、6-8-11等の4型上り型、4-7-7、10-20-20等の5型上り平型、4-7-4、6-9-6等の6型山型、6-4-5、14-10-13等の7型谷型、6-5-5、18-11-11等の8型下がり平型、7-6-5、14-12-9等の9型下がり型、3-20-0、18-35-0等の10型NP型、16-0-12、18-0-16等の11型NK型、0-3-14、0-15-15等の12型PK型等を挙げることができる。
粒状肥料の粒径は、製造上の観点から、1~10mm程度が好ましい。
【0011】
本発明において、被覆材料としては、例えば疎水性物質及び熱硬化性樹脂等の樹脂等の被膜材料又は熱硬化性樹脂のプレポリマー等の前駆体が挙げられる。
・・・
【0016】
熱硬化性樹脂としては、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ウレア樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられ、特にウレタン樹脂が好ましい。
・・・
【0025】
ウレタン樹脂は、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物との反応により3次元架橋することにより生成する。また、ポリイソシアネート化合物を2種類以上および/またはポリオール化合物を2種類以上混合して用いても良い。
・・・
【0029】
本発明において、ウレタン樹脂原料である未硬化ウレタン樹脂とは、該ポリイソシアネート化合物と該ポリオール化合物の混合物であり、両者が全く反応していないもののみならず、3次元化しない程度に予め一部が反応したものをも意味する。未硬化ウレタン樹脂の形態としては溶媒を実質的に含まない無溶剤型、溶媒にポリオール化合物とポリイソシアネート化合物が溶解した溶液型等何れでも良いが、特に無溶剤型で、かつ加工温度において液状であるものが好適である。
・・・
【0037】
これらの被覆材料は、上記回転胴を有する混合機の回転胴の内部の所定位置に移動可能な散液孔を有する、例えば図3に示すような被覆材料供給手段を介し、転動状態の粒状肥料の下方域表面(以下、散液域と記す。)に滴下、噴霧等により散液される。
【0038】
そのような被覆材料供給手段としては、その先端部に滴下孔、スプレーノズル等の散液孔を下方向に有する移動手段を備えた被覆材料供給管を例示することができる。
・・・
【0040】
本発明の被覆粒状肥料の製造方法は、例えば以下の工程により実施される。
【0041】
(1)疎水性物質の軟化又は溶融温度以上の温度に予熱された粒状肥料をコンクリートミキサ型の転動装置の回転胴部分に投入する工程
(2)同温度に維持された転動状態の粒状肥料の前記散液域に加熱溶解させた疎水性物質を散液する工程
(3)均一分散、被覆状態となるまで、所定時間転動状態及び温度を維持し、該粒状肥料表面を該疎水性物質で被覆する工程
(4)転動状態にある工程3により得られる第1疎水性物質層で被覆された粒状肥料に、層厚が1~10μmになる量の熱硬化性樹脂樹脂のプレポリマーを散液する工程
(5)転動状態を維持し、粒状肥料表面を該熱硬化性樹脂樹脂のプレポリマーで被覆し、硬化させる工程
(6)コンクリートミキサ型の転動装置の回転胴部を傾斜させ、開口部から工程5で得られる被覆粒状肥料を取り出す工程
なお、必要に応じ、上記工程4、工程5をこの順に少なくとも2回繰り返すことにより肥効がより高度に調整された被覆粒状肥料を製造することができる。」
c 図1
「
[図:0001432366000004.jpg]
」
(3)対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「基体」である「肥料顆粒」及び「被覆材料」は、本件補正発明の「肥料粒子」及び「コーティング」に相当し、引用発明の「被覆材料」により「基体を被覆する方法」は、本件補正発明の「肥料粒子をコーティングでコーティングする方法」に相当する。
イ 引用発明の「具体例」における「各パグミル」が、「一連のパグミルと回転ドラム」のうちの「第1のパグミル」及び「第2のパグミル」のそれぞれであることは明らかである。そして、引用発明の「具体例」における「第1のパグミル」及び「第2のパグミル」は、本件補正発明の「コーティングユニット」に相当する。
ウ 上記イの対比を踏まえると、引用発明の「具体例」において、「肥料顆粒」が「ホッパー内」から「第1のパグミル内に移され」ることは、本件補正発明の「 a)コーティングユニット内に肥料粒子を準備する工程」に相当する。
エ 引用発明において「パグミル」は「混合が起きる混合領域」を具備する「混合装置」として例示されるものであり、また、「パグミル」が「被覆材料を保持する容器」とその容器の内部に回転自在に保持される「回転素子」を備えることは技術常識であるから、引用発明の「具体例」における「各パグミル」が「具備」する「15個のパドルを有する2個のシャフト」のそれぞれは、上記イの対比を踏まえると、本件補正発明の「コーティングユニットの可動要素」に相当する。
オ 引用発明の「具体例」における「液体ポリオールと液体ジイソシアネート」は、本件補正発明の「1つ以上のコーティング成分」に相当し、また、「前記コーティング成分は液体コーティング成分であ」ることにも相当する。
カ 引用発明の「具体例」において「樹脂」は「液体ポリオールと液体ジイソシアネートを反応することにより作られ」る「ポリウレタン系樹脂」である。そして、引用発明の「パグミル」は、「基体と被覆材料を、均一な混合へと、混ぜ合わせたり、かき回したり、攪拌したり、または、混合したりできる」「混合装置」であって、上記エで対比したように「パグミル」の「15個のパドルを有する2個のシャフト」のそれぞれが「可動要素」に相当するものである。また、引用発明において「被覆混合物」は「混合装置内にて混合または混ぜ合わせる結果として被覆材料で包まれた基体」を意味する。
そうすると、引用発明の「具体例」において「肥料と樹脂」が「パグミル」に加えられる際には「15個のパドルを有する2個のシャフト」の運動によって肥料粒子が「かき回」された状態といえるから、引用発明の「肥料と樹脂が、被覆混合物へと成分を混合して混ぜ合わせるように構成されたパグミルに加えられ」ることは、本件補正発明の「1つ以上のコーティング成分を、コーティングユニットの可動要素の運動によってもたらされた肥料粒子の床に添加することにより、1つ以上のコーティング成分を前記肥料粒子に前記コーティングユニット内で適用して、コーティング層及び前記肥料粒子を含むコーティングされた肥料粒子を準備すること」に相当するといえる。また、このことは、本件補正発明の「前記液体コーティング成分は前記肥料粒子の床に」「適用される」ことにも相当する。
キ 引用発明の「具体例」において「樹脂」は「液体ポリオールと液体ジイソシアネートを反応することにより作られ」る「ポリウレタン系樹脂」であるから、「肥料と樹脂が、被覆混合物へと成分を混合して混ぜ合わせるように構成されたパグミルに加えられ」れば、第1の反応器である回転硬化ドラムに放出される前に、第1のパグミル内においても、「液体ポリオールと液体ジイソシアネート」が「少なくとも部分的に硬化」することは自明である。そうすると、引用発明のこの第1のパグミル内において「液体ポリオールと液体ジイソシアネート」が「少なくとも部分的に硬化」することと、「第1の反応器である回転硬化ドラムに放出され」た後に硬化することとは、本件補正発明の「前記コーティング層を少なくとも部分的に硬化又は硬質化させることであって、前記硬化又は硬質化が、前記1つ以上のコーティング成分の化学反応を伴うこと」に相当する。
ク 上記カ及びキの対比を踏まえると、引用発明の「具体例」において第1のパグミル及び第1の反応器である回転硬化ドラムにおいて「被覆されて硬化された肥料」が、さらに「第2のパグミルに入り、第2のパグミルにおいて、追加の被覆材料が付加され、第2の被覆混合物が引き続き硬化用の第2の回転ドラムに移され」、「被覆材料の2つの硬化層からなる、生産された被覆され硬化された肥料」となることは、本件補正発明の「コーティング層を適用する工程」である「工程b)を1回以上実行して、コーティングされた肥料粒子を準備する、コーティング層を適用する工程」に相当する。
ケ 引用発明の「具体例」において「第1のパグミル」で形成された被覆混合物が「放出され」ることは、本件補正発明の「前記コーティングユニットから前記コーティングされた肥料粒子を排出する」工程に相当し、引用発明の「被覆材料」は「ポリウレタン系樹脂」であって「ポリマーを含む」といえるから、引用発明は、本件補正発明の
「 c)
前記コーティングユニットから前記コーティングされた肥料粒子を排出する工程、又は
前記コーティングユニット内の前記コーティングされた肥料粒子の最終硬化若しくは硬質化を実行し、その後、前記コーティングユニットから前記肥料粒子を放出する工程
であって、
前記排出された肥料粒子が前記コーティングを含み、前記コーティングがポリマーを含む、工程」に相当する構成を備える。
コ 上記エにおいて検討したように、「パグミル」が「被覆材料を保持する容器」とその容器の内部に回転自在に保持される「回転素子」を備えることは技術常識であり、引用発明の「具体例」における「パグミル」が「具備」する「15個のパドルを有する2個のシャフト」のそれぞれは、本件補正発明の「コーティングユニットの可動要素」に相当するところ、引用発明の「具体例」における「パグミル」が「具備」する「被覆材料を保持する容器」は本件補正発明の「固定フレーム」に相当し、引用発明の「15個のパドルを有する2個のシャフト」は、本件補正発明の「少なくとも2つの可動要素」に相当する。
サ また、「パグミル」の備える「回転素子」が容器の内部に回転自在に保持されるものであることが技術常識であるところ、引用発明の「15個のパドルを有する2個のシャフト」は、それぞれが「被覆材料を保持する容器」に回転自在に保持されるのであるから、容器に対して独立して動作可能であるといえる。また、引用発明の「具体例」の「各パグミル」の「15個のパドルを有する2個のシャフト」が、「肥料と樹脂が、被覆混合物へと成分を混合して混ぜ合わせるように構成されたパグミルに加えられ」た際に動作することも自明であるから、引用発明は、本件補正発明の「前記可動要素は、前記固定フレームに対して独立して動作可能であり、
前記方法が、少なくとも工程b)の間に、前記少なくとも2つの可動要素を前記固定フレームに対して動作させることを含む」に相当する構成を備える。
シ 上記ア~サより、本件補正発明と引用発明とは、以下の一致点、相違点を有する。
(一致点)
肥料粒子をコーティングでコーティングする方法であって、
a)コーティングユニット内に肥料粒子を準備する工程と、
b)
1つ以上のコーティング成分を、コーティングユニットの可動要素の運動によってもたらされた肥料粒子の床に添加することにより、1つ以上のコーティング成分を前記肥料粒子に前記コーティングユニット内で適用して、コーティング層及び前記肥料粒子を含むコーティングされた肥料粒子を準備すること(ここで、前記コーティング成分は液体コーティング成分であり、前記液体コーティング成分は前記肥料粒子の床に適用される)、及び、
前記コーティング層を少なくとも部分的に硬化又は硬質化させることであって、前記硬化又は硬質化が、前記1つ以上のコーティング成分の化学反応を伴うことと、
を含むコーティング層を適用する工程であって、
この工程b)を1回以上実行して、コーティングされた肥料粒子を準備する、コーティング層を適用する工程と、
c)
前記コーティングユニットから前記コーティングされた肥料粒子を排出する工程、又は
前記コーティングユニット内の前記コーティングされた肥料粒子の最終硬化若しくは硬質化を実行し、その後、前記コーティングユニットから前記肥料粒子を放出する工程
であって、
前記排出された肥料粒子が前記コーティングを含み、前記コーティングがポリマーを含む、工程と、
を含み、
前記コーティングユニットが、固定フレーム及び少なくとも2つの可動要素を備え、
前記可動要素は、前記固定フレームに対して独立して動作可能であり、
前記方法が、少なくとも工程b)の間に、前記少なくとも2つの可動要素を前記固定フレームに対して動作させることを含む、方法。
(相違点)
本件補正発明は、「前記液体コーティング成分」の「前記肥料粒子の床」への「適用」が「噴霧によって」と特定されるのに対し、引用発明の「具体例」においては、そのように特定されない点。
(4)引用発明に対する進歩性の判断
上記相違点について検討する。
引用発明は、「被覆材料は、混合装置内にスプレーされることができ」るものであり、引用発明において、「前記液体コーティング成分」の「前記肥料粒子の床」への「適用」を「スプレーして」おこなうものとし、相違点に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
(5)引用発明及び引用発明3の組み合わせによる進歩性についての判断
上記(3)及び(4)において検討したとおり、本件補正発明は、引用発明から容易になし得たものであるが、事案に鑑み、以下、引用発明に引用発明3を組み合わせて本件補正発明とすることの容易想到性について検討する。具体的には、上記(3)及び(4)においては、引用発明の「具体例」における「パグミル」を本件補正発明の「コーティングユニット」に相当するものとしたが、引用発明における「パグミル」は基体と被覆材料と混合して被覆を行う「混合装置」の一例であるから、ここでは、引用発明における「混合装置」として引用発明3に開示されたものを適用する場合について、検討する。
ア 本件補正発明の「コーティングユニット」の備える構成についての引用発明3との対比
本件補正発明は、「コーティングユニット」を「固定フレーム及び少なくとも2つの可動要素を備え、」「前記可動要素は、前記固定フレームに対して独立して動作可能であ」るものと特定しているので、ここで、引用発明3の「粉体処理ミキサ1」とこれら構成を備える本件補正発明の「コーティングユニット」を対比する。
(ア)引用発明3の「粉体粒子のコーティング」を行うことができる「粉体処理ミキサ1」は、本件補正発明の「コーティングユニット」に相当する。
(イ)引用発明3の「回転容器4」は、「粉体処理ミキサ1の本体20」に「取付けられ」た「ケーシング16により回転可能に支持されており、回転容器用駆動モータ13に駆動されて回転」するものであるから、本件補正発明の「コーティングユニットの可動要素」に相当し、引用発明3の「粉体処理ミキサ1の本体20」は、「粉体処理ミキサ1の本体20」に「取り付けられ」た「ケーシング16」が「回転容器4」を「回転可能に支持」するものであるから、本件補正発明の「固定フレーム」に相当する。
(ウ)引用発明3の「第2のロータユニット3、3a、3b」は、「ミキサ本体20に取付けられ」て「ケーシング16の上部開口」を開閉する「蓋部材17」に「取付けられ」、「ロータユニット用駆動モータ22」により「回転駆動」されるものであるから、本件補正発明の「コーティングユニットの可動要素」に相当し、引用発明3の「蓋部材17」が「ケーシング」を介して取り付けられる「ミキサ本体20」は、本件補正発明の「固定フレーム」に相当する。
(エ)上記(イ)及び(ウ)の対比を踏まえると、引用発明3の「回転容器4」及び「第2のロータユニット3、3a、3b」は本件補正発明の「少なくとも2つの可動要素」に相当し、「回転容器4」及び「第2のロータユニット3、3a、3b」は、「ミキサ本体20」に対して独立して動作可能であるから、引用発明3は、本件補正発明の「前記コーティングユニットが、固定フレーム及び少なくとも2つの可動要素を備え、前記可動要素は、前記固定フレームに対して独立して動作可能であり、」に相当する構成を備える。
イ 引用発明の「混合装置」として引用発明3の「粉体処理ミキサ1」を採用することについて
引用発明の「混合装置」は、「基体と被覆材料を、均一な混合へと、混ぜ合わせたり、かき回したり、攪拌したり、または、混合したりできる任意の装置」である。
そして、引用発明3の「粉体処理ミキサ1」は、「粉体粒子c1の集合体にコーティング用の原料を供給」し、「回転容器4と第2のロータユニット3」を「回転させ」て「粉体粒子c1」の「表面全体にコーティング層d1が形成された粉体粒子e1となるようにコーティング」して「粉体粒子のコーティング」を行うことができるものであって、「粉体粒子」と「コーティング用の原料」を混合できるものである。
そうすると、引用発明の混合装置として引用発明3の「粉体粒子のコーティング」を行う「粉体処理ミキサ1」を採用することは、当業者が容易になし得たことである。
また、引用発明の混合装置を引用発明3の「粉体処理ミキサ1」とした場合であっても、引用発明3は「粉体集合体」に「三次元の移動」をさせるものであるから、本件補正発明の「コーティング成分を、コーティングユニットの可動要素の運動によってもたらされた肥料粒子の床に添加する」に相当する構成を備えるものとなるし、引用発明3が「粉体粒子c1の集合体にコーティング用の原料を供給」して粉体粒子のコーティングを行うところ、引用発明は「被覆材料は、混合装置内にスプレーされることができ」るものであるから、引用発明の混合装置を引用発明3の「粉体処理ミキサ1」とした場合においても、「粉体粒子c1の集合体にコーティング用の原料を」「スプレー」させて供給することによって、本件補正発明の「ここで、前記コーティング成分は液体コーティング成分であり、前記液体コーティング成分は前記肥料粒子の床に噴霧によって適用される」に相当する構成を備えるものとなるから、引用発明において混合装置として引用発明3の「粉体処理ミキサ1」を採用すると本件補正発明に係る方法に至るものとはならないものとなる等の事情はない。
「前記コーティング層を少なくとも部分的に硬化又は硬質化させることであって、前記硬化又は硬質化が、前記1つ以上のコーティング成分の化学反応を伴うこと」等のコーティングする方法の各工程についても、混合装置として引用発明3の「粉体処理ミキサ1」を採用することによって異なるものとなるものではない。
ウ 以上のとおりであるから、本件補正発明は、引用発明及び引用発明3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(6)審判請求人の主張について
ア 審判請求人の主張
審判請求人は、審判請求書中において、補正によって、請求項1に、肥料粒子に適用するコーティング成分が「液体コーティング成分」であること、及びその液体コーティング成分が肥料粒子の床に「噴霧によって」適用される点を加えて、請求項1に係る発明の範囲を限定したことについて説明する(審判請求書3(1))とともに、引用文献2に記載された発明に対する本願発明1の新規性及び進歩性について、及び、引用文献2に記載された発明及び引用文献3に記載された発明の組み合わせに対する本願発明1の進歩性について、概略以下の主張をしている。
(ア)引用文献2に対する主張について(審判請求書3(4))
a 引用文献2は、少なくとも工程b)で、固定フレームに対して少なくとも2つの可動要素を動かすことを含むことを教示していない。引用文献2の基材をコーティング材料でコーティングするステップで用いられる混合装置として例示されるパグミル、回転ドラム、パドルミキサー、ノータ・ミキサー、計量ミキサー、押出機、リボンミキサー、又はピンミキサーは、いずれも、そのフレーム(固定フレーム)に対する少なくとも2つの可動要素を備えていない。引用文献2のコーティング材料でコーティングされた基材を硬化させるステップで用いる反応器として例示される回転ドラム、回転チューブ、回転パン、又は回転パイプ、流動床、噴流床、ウルスター装置、又は硬化を可能にする任意の容器、チャンバー、あるいは容器も、いずれも、そのフレームに対して少なくとも2つの可動要素を備えておらず、引用文献2は、少なくともステップb)において、フレームに対して少なくとも2つの可動要素を動かすことを含む方法を教示していないから、本願発明1は引用発明2に対して新規性、進歩性を有する。
b 本願発明1と引用発明2を区別する特徴は、コーティング成分を肥料粒子に添加するステップ、及びコーティング層を硬化させるステップを含む、工程b)全体を、固定フレームと少なくとも2つの可動要素を備えたコーティングユニット内で実施するという点であり、この特徴により、本願明細書段落0046の「可動要素の運動により、工程b)の間に肥料粒子の移動をもたらすことができる。これにより、添加された1つ以上のコーティング成分を互いに、及び肥料粒子と良好に混合することができる。可動要素を動作させることにより、コーティング材料及び肥料粒子の塊などの、コーティングプロセス中の塊の形成を回避又は防止することもできる」効果が得られ、また、本願明細書段落0080の「記載されるコーティングユニットの操作は、コーティング中に粒子が破砕されることを有利に回避し、同時に、回転ドラム式コーターなどと比較して、混合の程度を大幅に向上させる。コーティングユニットにより、より速い反応時間(ポリオールとポリイソシアネートとの間など)を可能にし、従来技術よりも実質的に少ないバッチサイクル時間を実現する。例えば、3層プロセスのバッチ時間全体は5~6分であってもよく、一方、回転ドラムでは1層当たり6~8分が必要になる場合がある」という効果が得られる。
(イ)引用文献2に記載された発明及び引用文献3に記載された発明の組み合わせに対する本願発明1の進歩性について(審判請求書3(5))
a コーティング層を硬化させるためには化学反応を行う必要があり、少なくとも安全上の懸念から、コーティングユニットが化学反応を行うのに適していることが本質的に必要であると考えるが、引用文献3には、引用文献3記載の装置が化学反応の実施に適しているかどうかについては記載されていない。
引用文献2は、肥料粒子をポリウレタンコーティングで被覆する方法に関し、引用文献2は、粒子のコーティングと硬化を別個の装置で行うことが有益であることを教示している(引用文献2の段落0019)。引用文献2は肥料粒子をコーティングする段階とコーティングを硬化させる段階の各段階に別個の装置を使用することを示唆しているので、当業者は、引用文献2の記載から、引用発明2のコーティング段階とコーティングの硬化段階の両方に引用文献3に記載された1つのユニットのみを適用することを想到することはないと思料する。したがって、当業者が引用発明2の工程において引用発明3の装置を適用することを検討するとしても、当業者は、化学反応を必要としない肥料粒子のコーティング工程において適用することになる。したがって、当業者は、引用発明2のコーティング方法に引用発明3の装置をコーティング及び硬化ユニットとして利用するように動機付けられることはない。
b 本願発明1の方法では、肥料粒子にコーティング層を適用する全工程、すなわち肥料粒子をコーティングし、コーティング層を少なくとも部分的に硬化または固化させる工程を、固定フレームと少なくとも工程b)のあいだ動く2つの独立した可動要素とを備えるコーティングユニット内で実施することを必須の発明特定事項としている。したがって、当業者が引用発明3の装置内でコーティング工程を実施するとしても、引用発明2を元にした場合、当業者は依然として引用文献2に列挙されている適切な装置の1つ、すなわち、回転ドラム、回転タブ、回転鍋、または、回転パイプ、流動床、噴流床、ウルスター装置、または、任意の容器、室、または、硬化することを可能にする収容器(引用文献2の段落0055)の1つのなかで、コーティングの硬化工程を行うことになる。しかし、引用文献2に列挙されている適切な装置はいずれも本願請求項1に規定する要件である、固定フレームと少なくとも2つの可動要素を備え、可動要素は固定フレームに対して独立して動作可能であるという要件を満たしておらず、引用発明2及び引用発明3に基づいても、当業者が本願発明1の構成に至ることはできない。
イ 主張の検討
(ア)引用文献2に対する主張について
a 上記(3)エ及びコにおいて検討したように、引用発明の「具体例」における「パグミル」が「具備」する「被覆材料を保持する容器 」は本件補正発明の「固定フレーム」に相当し、引用発明の「15個のパドルを有する2個のシャフト」は、本件補正発明の「少なくとも2つの可動要素」に相当する。
そして、上記(3)において検討したように、引用発明は、「b)
1つ以上のコーティング成分を、コーティングユニットの可動要素の運動によってもたらされた肥料粒子の床に添加することにより、1つ以上のコーティング成分を前記肥料粒子に前記コーティングユニット内で適用して、コーティング層及び前記肥料粒子を含むコーティングされた肥料粒子を準備する」に相当する構成を有するものであるとともに、「少なくとも工程b)の間に、前記少なくとも2つの可動要素を前記固定フレームに対して動作させることを含む」に相当する構成を有するものであるから、「引用文献2は、少なくとも工程b)で、固定フレームに対して少なくとも2つの可動要素を動かすことを含むことを教示していない」とはいえない。
b 本件補正発明は、工程b)を以下のように特定する。
「b)
1つ以上のコーティング成分を、コーティングユニットの可動要素の運動によってもたらされた肥料粒子の床に添加することにより、1つ以上のコーティング成分を前記肥料粒子に前記コーティングユニット内で適用して、コーティング層及び前記肥料粒子を含むコーティングされた肥料粒子を準備すること(ここで、前記コーティング成分は液体コーティング成分であり、前記液体コーティング成分は前記肥料粒子の床に噴霧によって適用される)、及び、
前記コーティング層を少なくとも部分的に硬化又は硬質化させることであって、前記硬化又は硬質化が、前記1つ以上のコーティング成分の化学反応を伴うことと、
を含むコーティング層を適用する工程であって、
この工程b)を1回以上実行して、コーティングされた肥料粒子を準備する、コーティング層を適用する工程」
本件補正発明は、「コーティングユニット」内で行われる工程b)について、「コーティング層」の「硬化」が完全に終了するまでの全ての工程が単一の「収容容器」内で行われることを特定するものではない。
そして、引用発明は「混合装置」である「パグミル」内において、「肥料」と「樹脂」すなわち、コーティング成分である「液体ポリオール」と「液体ジイソシアネート」が、「混合して混ぜ合わせ」られるから、「パグミル」内においても「前記コーティング層を少なくとも部分的に硬化又は硬質化させることであって、前記硬化又は硬質化が、前記1つ以上のコーティング成分の化学反応を伴うこと」が生じていることは自明である。
以上のとおりであるから、工程b)についての審判請求人の上記主張は、「コーティングユニット」内での「コーティング層」の「硬化」について「少なくとも部分的」という特許請求の範囲の記載を離れた主張であり、当該主張を考慮しても、上記(3)及び(4)における対比、判断を変更すべき事情はない。
(イ)引用文献2に記載された発明及び引用文献3に記載された発明の組み合わせに対する主張について
a 引用文献3記載の装置の回転容器4内にコーティング用の原料を供給するにあたり、コーティングが化学反応を伴うのであれば必要に応じてその化学反応を行うために適切な措置を取ればよいのであって、引用文献3に、引用文献3記載の装置が化学反応の実施に適しているかどうかについて記載がされていないことをもって、引用発明への適用ができないものではない。
また、上記(2)ウ(ア)に摘記した引用文献Aの背景技術欄には、粒状肥料を疎水性物質、樹脂等の被覆材料で被覆してなる種々の被覆粒状肥料を製造するに際して、所謂ワンマンミキサと呼ばれるコンクリートミキサが小型で簡便な製造装置として使用されることが、知られている旨記載されている。引用文献Aは、好適に使用される被覆材料として、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物との反応により3次元架橋することにより生成するウレタン樹脂を挙げ、被覆粒状肥料の製造に使用される回転胴を有する混合機として、コンクリートミキサ型の転動装置を挙げている。引用文献Aの記載から、コンクリートミキサ型の装置を、化学反応する材料を用いた粒状粒子の被覆に用いることは従来周知であったと認められ、このことからも、引用文献3に、引用文献3記載の装置が化学反応の実施に適しているかどうかについて記載がされていないことをもって、引用発明への適用ができないとの主張は首肯し難い。
b 本件補正発明は、コーティング層を適用する工程である工程b)において、コーティング層及び前記肥料粒子を含むコーティングされた肥料粒子を準備するにあたり、1つ以上のコーティング成分を肥料粒子に適用することを「コーティングユニット内」で行うことは特定しているが、コーティング層の硬化は「少なくとも部分的に」行われれば足り、コーティング層の硬化の完了までを行う部分については特定されていないから、「コーティングユニット」とは別の部分をさらなる硬化のために具備することを排除していない。よって、本件補正発明の「コーティングユニット」について、コーティング層の硬化の完了までを単一のユニット内で行うものではないから、上記(5)において検討したように、引用発明における混合装置を引用発明3の「粉体処理ミキサ1」としたものは、本件補正発明の「コーティングユニット」に相当する。また、引用発明における「パグミル」と「回転ドラム」の組み合わせを引用発明3の「粉体処理ミキサ1」に置換しなければならない理由はないし、審判請求人が主張するように、コーティングの硬化工程においても固定フレームと少なくとも2つの可動要素を備える必要もない。
以上のとおりであるから、審判請求人の主張を検討しても、上記(3)~(5)における対比、判断を変更すべき事情はない。
3 補正の却下の決定についてのむすび
よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
令和5年9月28日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1~16に係る発明は、令和5年5月12日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~16に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
本願発明に対する原査定の拒絶の理由は、以下の理由を含む。
(1)この出願の請求項1に係る発明は、本願の優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献2に記載された発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許法29条1項の規定により特許を受けることができない。
(2)この出願の請求項1に係る発明は、本願の優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献2及び3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
3 対比
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「(ここで、前記コーティング成分は液体コーティング成分であり、前記液体コーティング成分は前記肥料粒子の床に噴霧によって適用される)」との限定事項を削除したものである。
上記第2の[理由]2(3)における本件補正発明と引用発明との対比は、上記(3)オの前記「コーティング成分は液体コーティング成分であ」る点を除いて、本願発明と引用発明との対比においても同様である。
そうすると、両者は、以下の点で一致する。
(一致点)
肥料粒子をコーティングでコーティングする方法であって、
a)コーティングユニット内に肥料粒子を準備する工程と、
b)
1つ以上のコーティング成分を、コーティングユニットの可動要素の運動によってもたらされた肥料粒子の床に添加することにより、1つ以上のコーティング成分を前記肥料粒子に前記コーティングユニット内で適用して、コーティング層及び前記肥料粒子を含むコーティングされた肥料粒子を準備すること、及び、
前記コーティング層を少なくとも部分的に硬化又は硬質化させることであって、前記硬化又は硬質化が、前記1つ以上のコーティング成分の化学反応を伴うことと、
を含むコーティング層を適用する工程であって、
この工程b)を1回以上実行して、コーティングされた肥料粒子を準備する、コーティング層を適用する工程と、
c)
前記コーティングユニットから前記コーティングされた肥料粒子を排出する工程、又は
前記コーティングユニット内の前記コーティングされた肥料粒子の最終硬化若しくは硬質化を実行し、その後、前記コーティングユニットから前記肥料粒子を放出する工程
であって、
前記排出された肥料粒子が前記コーティングを含み、前記コーティングがポリマーを含む、工程と、
を含み、
前記コーティングユニットが、固定フレーム及び少なくとも2つの可動要素を備え、
前記可動要素は、前記固定フレームに対して独立して動作可能であり、
前記方法が、少なくとも工程b)の間に、前記少なくとも2つの可動要素を前記固定フレームに対して動作させることを含む、方法。
4 判断
(1)新規性について
本願発明と引用発明に相違点はなく、本願発明は引用文献2に記載された発明である。
(2)進歩性について
本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(3)及び(5)に記載したとおり、引用発明及び引用発明3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び引用発明3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
5 その他の審判請求人の主張
審判請求人は、令和6年2月13日提出の上申書において、補正案を示し、その補正案に係る発明やさらに限定された発明が特許を受けることができる場合には、新たな補正の機会を希望している。
しかし、そもそも、審判における審理は、原査定を維持すべきか否かを判断し、維持すべきであれば審判の請求は成り立たない旨の審決をすべきものである。
なお、令和6年2月13日提出の上申書に記載された補正案は、本件補正発明において、「2つの可動要素」について「回転運動」する「容器」と「攪拌部材」であることを特定する内容であるところ、上記第2の[理由]2(5)において判断した引用発明及び引用発明3の組み合わせから容易になし得る程度のものであると判断される。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、原査定の拒絶の理由のとおり、特許法29条1項及び同条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-016413