商標拒絶査定不服審判
2023-016175
フォーインワン、ヨンインイチ
- 審判番号
- 2023-016175
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2022-078900
- 請求日
- 2023年09月26日
- 審決日
- 2025年03月11日
- 公報発行日
- 2025年05月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】白元アース株式会社
- 審判長/審判官
- 審判長 鈴木 雅也
- 審判官 馬場 秀敏
- 審判官 吉田 聡一
- 分類
- T18 .13 -Z (W20) / T18 .17 -Z (W20)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第3条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2022-78900拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和4年7月7日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和5年 3月28日付け:拒絶理由通知書
令和5年 4月26日 :意見書の提出
令和5年 6月21日付け:拒絶査定
令和5年 9月26日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和6年 3月29日付け:審尋
令和6年 4月25日 :回答書の提出
令和6年11月 5日付け:審尋
令和6年12月16日 :回答書(参考資料1ないし参考資料11)の提出
2 本願商標
本願商標は、「4in1」の文字を標準文字で表してなり、第20類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として登録出願されたものであり、その後、指定商品については、上記1の手続補正書により、第20類「ハンガーに掛けた衣服に使用する防虫素材を用いたカバー,ハンガーに掛けた衣服に使用するカバー,ハンガーに掛けた衣服に使用するプラスチック製カバー,消臭・抗菌素材を用いた衣服用カバー,衣服保管用カバー」と補正されたものである。
3 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定は、「本願商標は、「4in1」の文字を標準文字で表してなるところ、「4in1」の文字が、本願指定商品を含む幅広い分野において、「1つの商品が4つの機能・効果を有するもの」というように、商品の品質を表すものとして使用されている実情があるから、本願商標を、その指定商品に使用しても、これに接する需要者は、「1つの商品が4つの機能・効果を有するもの」という商品の品質を表していることを理解するにとどまるものというのが相当であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
4 当審における審尋
当審において、令和6年3月29日付け及び同年11月5日付け審尋により、別掲1ないし4に掲げる事実を提示した上で、本願商標が、その指定商品との関係において、商標法第3条第1項第3号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、請求人に対し、意見を求めた。
5 審尋に対する請求人の回答(要旨)
請求人は、上記4の審尋に対し、最終的に、令和6年12月16日付けの回答書を提出し、以下のとおりの意見を述べた。
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標「4in1」からは「1つの商品が4つの機能・効果を有するもの」ほどの意味合いを暗示させることがあるとしても、それはあくまで間接的、暗示的なレベルにすぎないものであり、具体的な商品の特定の品質等を直接的ないし具体的に表示するものとして直ちに理解できるとはいえない。また、「4in1」の文字が、指定商品について、請求人の商品以外に商標的に使用されているといった事実は見当たらず、当該指定商品について、本願商標「4in1」は、単に商品の品質を表していることを理解するにとどまるものとはいえない。
(2)商標法第3条第2項について
請求人による長年の使用の結果、取引者、需要者が請求人の業務に係る商品であることを認識することができる状態に至っており、商標法第3条第2項の規定により登録が認められるべきものである。
6 当審の判断
(1)本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について
ア 本願商標は、「4in1」の文字を標準文字で表してなるところ、別掲2に示す「4in1」の文字の使用例に加え、別掲3に示す使用例からすると、「4in1」と同様に、「2in1」及び「3in1」の文字についても、一般需要者を対象とする幅広い商品の分野において、それぞれ、「1つの商品が2つの機能・効果を有するもの」及び「1つの商品が3つの機能・効果を有するもの」を表示する場合に多数使用されていることが確認できる。
また、別掲4に示す事例からすると、当審補正商品である衣服に使用するカバー類、またこれに用途が類する防虫剤、防虫紙類において、防虫、消臭、防カビ、黄ばみ防止、防湿等の複数の機能・効果をうたっているものが多数存在することが確認できる。
さらに、本願商標は、上記2のとおり、標準文字で表してなるものであるから、その態様上顕著な特徴は認められない。
以上のことを踏まえると、「4in1」の文字からなる本願商標を、当審補正の指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「1つの商品が4つの機能・効果を有するもの」という商品の品質を表していることを理解するにとどまるものというのが相当である。
したがって、本願商標は、本願の指定商品との関係において、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものというべきであり、商標法第3条第1項第3号に該当する。
イ 請求人は、「本願商標「4in1」からは「1つの商品が4つの機能・効果を有するもの」ほどの意味合いを暗示させることがあるとしても、それはあくまで間接的、暗示的なレベルすぎないものであり、具体的な商品の特定の品質等を直接的ないし具体的に表示するものとして直ちに理解できるとはいえない。また、「4in1」の文字が、指定商品について、請求人の商品以外に商標的に使用されているといった事実は見当たらず、当該指定商品について、本願商標「4in1」は、単に商品の品質を表していることを理解するにとどまるものとはいえない。」旨主張する。
しかしながら、前記のとおり、本願の指定商品と需要者を共通にする幅広い商品の分野において、複数の機能・効果を有する商品について、「1つの商品が○(数字)つの機能・効果を有するもの」ほどの意味合いで、「4in1」、「3in1」、「2in1」の文字が、広く用いられており、本願の指定商品も複数の機能・効果をうたっているものが多数存在することを合わせ考慮すると、本願商標をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、「1つの商品が4つ分」「4ページ分を1枚に印刷」といった意味合いではなく、「1つの商品が4つの機能・効果を有するもの」と理解するというのが自然であり、商品の品質を表示したものと認識するにとどまるものというのが相当である。
したがって、請求人の主張は採用することができない。
(2)本願商標の商標法第3条第2項該当性について
請求人は、令和6年12月16日の回答書において、参考資料1ないし参考資料11(審決注:以下、これらを甲号証と読み替え、「甲○」と表記する。)を提出し、本願商標は、請求人による長年の使用の結果、取引者、需要者が請求人の業務に係る商品であることを認識することができる状態に至っており、商標法第3条第2項の規定により登録が認められるべきものである旨を主張するので以下検討する。
ア 事実認定
請求人の提出に係る証拠及びその主張によれば、次の事実が認められる。
(ア)本願商標「4in1」を使用している防虫剤、防虫カバー(以下「本件商品」という。)の「ミセスロイド」は、1988年8月に販売を開始して以来、30年以上にわたって継続して日本全国で販売されており、2015年8月に「防虫」「消臭」「防カビ」「黄ばみ防止」という衣類を守る4つの機能を搭載し、多機能衣類用防虫剤としてリニューアルされた。そして、2022年2月のパッケージデザインリニューアルにより、白を基調としたパッケージデザインに、正面には大切な衣類を守る4つの機能が1つに備わっていることを表した「4in1」の文字を大きく配置したものになった(甲2、甲4)。
(イ)2021年から2023年における本件商品の販売額及びシェアは、請求人の「ミセスロイド」の商品において、商品ブランドごとのシェアで14%前後を占め、第2位となっている(甲3)。
(ウ)2022年の販売当時から、テレビCM(請求人のウェブサイト中のCMギャラリーのページ 2021~2024)を定期的に全国的に実施し、新聞・雑誌広告(甲4、甲5)、ウェブサイト・SNS等を通じて広告を実施している(甲6、甲7)。また、本件商品の特長、魅力を店頭で消費者に伝えるために、販促物を各種作成し、店頭における宣伝広告活動に使用している(甲8,甲9)。
(エ)加えて、2022年2月21日付けの日用品化粧品新聞の記事では、「巻き返しのシーズンへ 防虫剤特集」として、「キャッチコピーに「4in1」」のタイトルの下、「白元アースは2月1日、無香タイプの防虫剤「ミセスロイド」をリニューアルした。1988年の発売以来、2015年に「防虫」「消臭」「防カビ」「黄ばみ防止」の四つの機能を、17年には「収納空間のダニよけ効果」を追加するなど、多機能衣類用防虫剤として多くのユーザーを獲得。・・・」と、また、2022年3月16日付けの石鹸日用品新報の記事では、「白元アース/市場拡大に向け商品力を高め続ける/今春も注目の新製品やリニューアル品を多数発売」のタイトルの下、「・・・今回のリニューアルでは、白を基調とした清潔感のあるパッケージデザインを採用し、正面には大切な衣類を守る4つの機能が1つに備わっていることを表した「4in1」(フォーインワン)を大きく配置し、消費者への訴求効果を高めている。・・・」と紹介されている(甲10、甲11)。
イ 判断
以上を踏まえ検討するに、請求人は、2022年より「4in1」の文字も付した本件商品の販売を開始し、広告、販促活動等を実施、2021年から2023年においては、「ミセスロイド」商品が商品ブランドごとで第2位のシェアがあり、「4in1」の文字を付した商品へのリニューアルが業界紙において取り上げられていることが確認できる。
しかしながら、請求人商品には、請求人の名称である「白元アース」の文字及び商品名であり顕著に表示された「ミセスロイド」の文字とともに使用されており、また、広告や販促物においては、「4in1」の文字の近くに、「4つの機能、これ1個」と表示され、新聞記事においても、「四つの機能が一つに備わっていることを表す「4in1(フォーインワン)のキャッチコピーを大きく記載し・・」と記載されていることに加え、上記(1)のとおり、複数の機能・効果を有する商品について、「1つの商品が○(数字)つの機能・効果を有するもの」ほどの意味合いで、「4in1」、「3in1」、「2in1」の文字が広く使用されていることを踏まえると、「4in1」の文字は、「1つの商品に4つの機能・効果」を表す表示として理解され、独立して出所識別標識として機能する文字部分と看取されるとはいい難いものである。
そうすると、請求人によりその指定商品について使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものとは認められないから、本願商標は、商標法第3条第2項に規定する要件を具備しない。
なお、請求人は、「提出した証拠では、本願商標が自他商品識別商品として機能することを証明するのに不十分である場合、請求人は、追加証拠の追加、又は指定商品を補正する用意がある」旨述べているが、本願商標が、その指定商品との関係において、商標法第3条第1項第3号に該当し、また同法第3条第2項に規定する要件を具備するものともいえないことは上記のとおりであり、また、本件の審理においては請求人に対し既に2回の審尋を行っており、さらなる証拠提出、指定商品の補正の機会を設ける必要はないものと判断した。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、かつ、同条第2項の要件を具備するものではないから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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