商標拒絶査定不服審判
2023-014866
ジャイアント
- 審判番号
- 2023-014866
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2022-112164
- 請求日
- 2023年09月05日
- 審決日
- 2024年12月24日
- 公報発行日
- 2025年06月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】エーディーブイ フュージョネクス スンディリアン ブルハド
- 【請求人代理人】弁理士法人 竹内国際知財事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 山田 啓之
- 審判官 杉本 克治
- 審判官 石塚 文子
- 分類
- T18 .261-Z (W0942) / T18 .262-Z (W0942) / T18 .263-Z (W0942)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第9条の2
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2022-112164拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和4年9月29日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和5年1月30日付け:拒絶理由通知書
令和5年3月2日 :意見書の提出
令和5年5月22日付け:拒絶査定
令和5年9月5日 :審判請求書の提出
2 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第9類「コンピュータソフトウェア及びコンピュータプログラム,アプリケーション開発用のソフトウェア,電子応用機械器具及びその部品」及び第42類「コンピュータソフトウェア・コンピュータプログラムに関する研究及び開発,情報技術の助言に関するアプリケーションソフトウェアの開発,情報技術の分野における製品及びサービスに関する研究並びにこれらに関する情報の提供,情報技術に関する助言,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」を指定商品及び指定役務として登録出願されたものである。
3 原査定の拒絶の理由
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下の(1)及び(2)のとおりであり、いずれの商標権も現に有効に存続している。
(1)登録第5203384号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成19年6月28日登録出願、第35類「電子応用機械器具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同21年2月6日に設定登録されたものである。
(2)国際登録第1086400号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲3のとおりの構成からなり、2011年1月20日にフランスにおいてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条(商標法第9条の2)による優先権を主張し、同年7月15日に国際商標登録出願、第42類「Scientific, technological and industrial research services relating to micro- and nanotechnologies, energies, large scientific instruments, biology, health, computing, basic research, engineering services dealing with assessments, estimates, research and reports relating to micro- and nanotechnologies, energies, large scientific instruments, biology, health, computing and basic research; research and development of new products for third parties.」を指定役務として、平成24年7月13日に設定登録されたものである。
以下、引用商標1及び引用商標2をまとめていうときは、「引用商標」という。
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本願商標について
本願商標は、別掲1のとおり、赤色と黒色で着色された平行四辺形と台形を組み合わせてなる図形(以下「図形部分」という。)と、その右側に、「GIANT」の欧文字(以下「文字部分」という。)を横書きした構成からなるところ、図形部分と文字部分とは、横一連に表されているものの、それぞれ重なり合うことなく、色彩を異にし、独立して表されているものであることから、視覚上、明確に分離して看取し得るものである。
そして、本願商標の構成中の図形部分は、抽象的な図形であり、同部分からは、特定の称呼や観念は生じない。一方、その構成中の文字部分は、「巨人」の意味を有する英語である「GIANT」の語を表したものと認識されることから、本願商標の構成中の図形部分と文字部分との間には、観念上のつながりはなく、両者を常に一体のものとして把握しなければならない特段の事情も見いだせない。
そうすると、本願商標の構成中の図形部分と文字部分は、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとはいえない。
してみると、本願商標は、その構成中の図形部分と文字部分が、それぞれ独立して自他商品役務の出所識別標識の機能を有しているといえ、その構成中から文字部分を要部として抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるものである。
したがって、本願商標は、その構成中の「GIANT」の文字部分に相応して、「ジャイアント」の称呼を生じ、「巨人」の観念を生じるものといえる。
イ 引用商標について
(ア)引用商標1
引用商標1は、別掲2のとおり、ややデザイン化した書体で「ジャイアント」の片仮名を横書きしてなるところ、その構成文字に相応して「ジャイアント」の称呼を生じ、「巨人」の観念を生じるものといえる。
(イ)引用商標2
引用商標2は、別掲3のとおり、「GIANT」(構成中の「G」の文字の左端部及び「GIANT」の文字の下端部が表されていない。)の欧文字を大きく横書きし、当該文字の下に、「INNOVATION CAMPUS」の欧文字を小さく横書きしたものとの構成からなるところ、「GIANT」及び「INNOVATION CAMPUS」の欧文字は、文字の大きさにおいて顕著な差異があるから、視覚上分離して観察される。
そして、引用商標2の構成中、「GIANT」の欧文字は「巨人」の意味を有する英語であるのに対し、「INNOVATION CAMPUS」の欧文字は「革新的なキャンパス」ほどの意味合いを認識させるものであるから、引用商標2は、その構成全体をもって、具体的な意味合いを認識させるものではない。
また、他に、引用商標2の構成中、「GIANT」及び「INNOVATION CAMPUS」の文字を常に一体のものとして把握しなければならない特段の事情は見いだし得ないものである。
さらに、「GIANT」の欧文字は、デザイン化され大きく顕著に表されており、引用商標2に接する取引者、需要者に特に目を引く部分であり、役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える。
そうすると、引用商標2は、その構成中の「GIANT」の文字部分が、取引者、需要者に対し、役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える部分と認められ、これを引用商標2の要部として抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるというべきである。
したがって、引用商標2は、その構成中「GIANT」の文字部分から、「ジャイアント」の称呼を生じ、「巨人」の観念を生じるものといえる。
ウ 本願商標と引用商標の類否について
(ア)本願商標と引用商標1との類否
本願商標の構成中の文字部分と引用商標1とを比較すると、外観においては、文字種が欧文字と片仮名との差異があり、相違しているとしても、我が国においては商標の構成文字を同一の称呼及び観念が生じる範囲内で文字種を相互に変換して表記することが一般的に行われていることからすると、両者における文字種の相違が、取引者、需要者に対し、出所識別標識としての外観上の顕著な差異として強い印象を与えるとまではいえないものである。
また、両者は、いずれも「ジャイアント」の称呼及び「巨人」の観念を生じるものであるから、称呼及び観念を共通にするものである。
そうすると、両商標の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、たとえ外観において相違するとしても、その相違は外観上の顕著な差異として強い印象を与えるものではないことからすると、称呼及び観念を共通にする本願商標と引用商標1は、商品及び役務の出所について混同を生ずるおそれのある類似の商標というのが相当である。
(イ)本願商標と引用商標2との類否
本願商標の構成中の文字部分と引用商標2の構成中の「GIANT」の文字部分とを比較すると、外観においては、書体の違いがあるものの、「GIANT」のつづりを同じくするものであるから、外観上近似した印象を与えるものといえる。
また、両者は、いずれも「ジャイアント」の称呼及び「巨人」の観念を生じるものであるから、称呼及び観念を共通にするものである。
そうすると、両商標は、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
エ 本願商標の指定商品と引用商標の指定役務の類否について
(ア)本願商標の指定商品と引用商標1の指定役務の類否
本願商標の指定商品「コンピュータソフトウェア及びコンピュータプログラム,アプリケーション開発用のソフトウェア,電子応用機械器具及びその部品」と、引用商標1の指定役務中「電子応用機械器具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」とは、類似のものである。
(イ)本願商標の指定役務と引用商標2の指定役務の類否
本願商標の指定役務中「コンピュータソフトウェア・コンピュータプログラムに関する研究及び開発,情報技術の分野における製品及びサービスに関する研究並びにこれらに関する情報の提供,情報技術に関する助言」と引用商標2の指定役務とは、同一又は類似の役務である。
オ 小括
以上により、本願商標は、引用商標と類似する商標であって、引用商標の指定役務と類似する商品及び役務について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標は都会的な印象を与え、巨漢、巨体というより、すぐれた才能を持つ、非凡な、偉人等の意味での巨人が想起されるとし、一方、引用商標1は、巨漢、巨体という意味の巨人が想起され、両商標の印象が相違し、判然と区別し得るものであると主張する。
しかしながら、本願商標及び引用商標1から、請求人が主張するような観念が生じるというべき取引の実情は見いだせない。
むしろ、需要者の通常有する注意力を基準に判断すれば、「GIANT」及び「ジャイアント」という一般に馴染みのある文字に接する需要者は、単なる「巨人」の観念を想起すると判断するのが相当である。
したがって、本願商標及び引用商標1の印象が相違し、判然と区別し得るとはいえない。
イ 請求人は、「GIANT」及び「ジャイアント」は、辞書等に掲載されている造語性の低い語であり、大きいことを示す語として通常使用されるから、識別力の弱い語の称呼が共通していたとしても、本願商標と引用商標1は非類似の商標であると主張する。
しかしながら、たとえ「GIANT」及び「ジャイアント」の文字が、辞書等に掲載されている語であるとしても、指定商品及び指定役務との関係において、当該語が商品の品質や役務の質等を表示するものとして自他商品及び自他役務の識別力が弱いと判断しなければならない特段の事情は見いだせない。
ウ 請求人は、請求人が国際的なソフトウエア会社であり、主に企業用ソフトウエア・ソリューションと関連サービスを提供する一方、引用商標1の商標権者は、釣り具の小売を業とする者であって、釣り具、アウトドアスポーツ、レジャー用品等を個人向けに販売しているとし、両商標は混同するおそれはないと主張する。
しかしながら、商標の類否判断に当たり考慮することのできる取引の実情とは、その指定商品又は指定役務全般についての一般的、恒常的なそれを指すものであって、単に該商標が現在使用されている商品又は役務についてのみの特殊的、限定的なそれを指すものではない(昭和47年(行ツ)第33号同49年4月25日判決)。
そうすると、請求人の主張は、現在使用されている商品又は役務についてのみの特殊的、限定的な取引の実情というべきであり、商標の類否判断において考慮することのできる一般的、恒常的な取引の実情ということはできない。
エ 請求人は、本願商標と引用商標2との類否について、るる主張しているが、両商標の類否については、上記(1)ウ(イ)のとおり判断するのが相当である。
オ したがって、請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、これを登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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