商標拒絶査定不服審判
2023-014104
アサヒカワジンギスカンダイコクヤ、ジンギスカンダイコクヤ、アサヒカワジンギスカン、ジンギスカン、チンギスカン、チンギスハーン、チンギスハン、ダイコクヤ、ダイコク、オーグロ
- 審判番号
- 2023-014104
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2022-124451
- 請求日
- 2023年08月22日
- 審決日
- 2025年06月13日
- 公報発行日
- 2025年08月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社大黒商事
- 【請求人代理人】山尾 憲人
- 【請求人代理人】勝見 元博
- 審判長/審判官
- 審判長 高橋 幸志
- 審判官 小俣 克巳
- 審判官 鯉沼 里果
- 分類
- T18 .261-Z (W43) / T18 .262-Z (W43) / T18 .263-Z (W43) / T18 .264-Z (W43) / T18 .26 -Z (W43) / 標準データ:手続:不服 / 標準データ:80・261-Z (W43) / 標準データ:80・262 / 標準データ:80・263 / 標準データ:80・264 / 標準データ:80・26 / 標準データ:確定ステータス:1 維持(出訴無し)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第10条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)、特許情報標準データ(審判)
事件の表示
商願2022-124451拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和3年9月15日に登録出願された商願2021-114977に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願(分割出願)として、同4年10月31日に登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年11月 4日付け:拒絶理由通知
令和4年12月15日 :意見書の提出
令和5年 3月24日付け:拒絶理由通知
令和5年 5月15日 :意見書の提出
令和5年 5月22日付け:拒絶査定
令和5年 8月22日 :審判請求書の提出
令和6年10月 8日 :上申書の提出
令和6年11月 7日 :上申書の提出
令和7年 2月27日付け:審尋
令和7年 4月11日 :回答書、手続補正書の提出
2 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第26類及び第43類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として登録出願され、その後、本願の指定商品及び指定役務については、上記1の手続補正書により、第43類「ジンギスカン料理を主とする飲食物の提供」に補正されたものである。
3 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第5142096号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:別掲2のとおり
登録出願日:平成19年 6月15日
設定登録日:平成20年 6月20日
指定役務:第43類「日本料理を主とする飲食物の提供」
(2)登録第5294512号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:「大黒屋」の文字を標準文字で表してなる
登録出願日:平成21年 7月15日
設定登録日:平成22年 1月15日
指定商品及び指定役務:第14類「貴金属,宝飾品,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,時計」及び第36類「有価証券の売買,古物営業法に係る金券類の売買」
4 当審の判断
(1) 商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本願商標と引用商標2について
本願の指定商品及び指定役務は、上記2のとおり補正された結果、引用商標2に係る指定商品及び指定役務と同一又は類似する指定商品及び指定役務はすべて削除されたと認められる。
その結果、本願の指定役務は、引用商標2に係る指定商品及び指定役務と類似しない役務となった。
したがって、引用商標2との関係において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定の拒絶の理由は、解消した。
イ 本願商標と引用商標1について
(ア)本願商標について
本願商標は、別掲1のとおり、上段に七福神の一柱である大黒天を表したものとおぼしき図形(以下「本願図形部分」という場合がある。)を、中段に赤字でやや小さく表された「旭川成吉思汗」の文字と下段に黒字で大きく表された「大黒屋」の文字(以下「本願文字部分」という場合がある。)を配してなるものである。
そして、本願商標の構成中、本願図形部分と本願文字部分とは、一定の間隔をあけて配置されていることから、視覚上、分離して看取、把握され得るものである。
また、本願図形部分が大黒天を表したものとおぼしき図形であって、文字部分に「大黒」の文字を有しているとしても、本願図形部分と本願文字部分とが一連一体となって特定の観念を生じたり、何らかの称呼が生じるとはいえない。
そうすると、本願図形部分と本願文字部分とは、それぞれが独立して自他役務の出所識別標識として機能し得るものである。
そこで、本願図形部分をみるに、当該部分は、大黒天をモチーフとしたものといえるとしても、特定の意味合いを表すものとして認識されているとまではいい難いものであり、これよりは直ちに特定の称呼及び観念は生じないというのが相当である。
また、本願文字部分をみるに、各文字部分は重なることなく配置され、各文字部分を構成する文字の大きさに顕著な差異がある上、色彩も異なり、これらが一体となって特定の意味合いを認識させるといった観念的なつながりは見いだせないことから、常に一体のものと把握しなければならない特段の事情も見いだせず、これら文字部分全体より生じる一連の称呼「アサヒカワジンギスカンダイコクヤ」も、相当程度冗長である。
そして、「大黒屋」の文字部分は、「旭川成吉思汗」の文字部分に比して、大きく太字で表してなるものであるから、外観上、強く看者の注意を引く部分である。
さらに、「旭川成吉思汗」の文字は、その構成中の「旭川」の文字が「北海道旭川市」を表す著名な地域の名称といえるもので、「成吉思汗」の文字が本願の指定役務との関係で提供される料理の名称であることを直ちに認識し得るものといえることから、自他役務の識別標識として機能を有しないか、極めて弱い部分であるのに対し、「大黒屋」の文字は、屋号の一種を表したものと理解されるものであり、本願の指定役務との関係において、役務の質を表示する等の特段の事情は見いだせず、自他役務の識別標識として機能する部分といえる。
そうすると、本願商標は、引用商標1との類否を判断するにあたって、「大黒屋」の文字部分を要部として抽出し、当該文字部分のみを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるというべきである。
よって、本願商標は、その要部である「大黒屋」の文字部分(以下「本願商標の要部」という。)に相応して、「ダイコクヤ」の称呼を生じ、「(大黒屋という)屋号の一種」ほどの観念を生じるものである。
(イ)引用商標1について
引用商標1は、別掲2のとおり、上段に「うなぎ」の文字を、中段に大きく表された「大黒屋」の文字及び小さく表された落款風の図形を、下段に「DAIKOKUYA」の文字を配してなるところ、各構成部分は、文字の大きさ、種類、書体が異なることから、その構成を異にしているといえるものであり、また、一定の間隔をあけて配置されていることから、視覚上、分離して看取、把握され得るものであって、各構成部分を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものではない。
そして、引用商標1の構成中、上段の「うなぎ」の文字部分は、その指定役務である第43類「日本料理を主とする飲食物の提供」との関係においては、うなぎの料理を提供する飲食店であることを単に「うなぎ」「鰻」の文字を用いて表示することが一般に行われており、役務の質を表示する語と理解されることから、役務の出所識別標識としての称呼及び観念を生じるものではない。また、中段の「大黒屋」の文字部分は、中央に大きく表されていることから、他の構成要素と比べ、強い印象を与えるものであり、その右に小さく表された落款風の図形は、特定の文字を表したものと認識することはできないものであって、「大黒屋」の文字部分と一体となって特定の文字又は事物を表すものと認識されるというべき実情は認められないものである。さらに、下段の「DAIKOKUYA」の文字部分は、上段の「大黒屋」の読みをローマ字で表記したものと容易に看取されるものである。
そうすると、引用商標1は、その構成中「大黒屋」の文字部分が、取引者、需要者に対し、自他役務の識別標識として強く支配的な印象を与えるものとみるのが相当であり、当該「大黒屋」の文字部分を要部として抽出し、他人の商標と比較することが許されるものというべきである。
したがって、引用商標1は、その要部である「大黒屋」の文字部分(以下「引用商標1の要部」という。)に相応して、「ダイコクヤ」の称呼を生じ、「(大黒屋という)屋号の一種」ほどの観念を生じるものである。
(ウ)本願商標と引用商標1の類否について
本願商標と引用商標1の類否について検討するに、両商標は、その全体構成に差異を有するものであるが、本願商標の要部と引用商標1の要部における「大黒屋」の文字を比較したときには、その構成文字、「ダイコクヤ」の称呼及び「(大黒屋という)屋号の一種」ほどの観念を共通にする。
してみると、本願商標の要部と引用商標1の要部とは、その構成文字を共通にすることから外観において近似した印象を与えるものであり、称呼及び観念を共通にするものであるから、これらを総合的に勘案すると、本願商標と引用商標1は、互いに紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
(エ)本願の指定役務と引用商標1の指定役務との類否について
本願の指定役務である第43類「ジンギスカン料理を主とする飲食物の提供」と、引用商標1の指定役務である第43類「日本料理を主とする飲食物の提供」は、いずれも飲食物を提供する飲食店により提供される役務であり、飲食店で飲食物の提供を受ける需要者を対象とし、需要者の範囲も一致することからすれば、これらの指定役務に同一又は類似する商標が使用された場合には、同一営業主の提供に係る役務と誤認されるおそれがあると認められる関係にあるから、類似の役務である。
ウ 小括
以上のとおり、本願商標は、引用商標1と類似する商標であり、かつ、本願の指定役務は引用商標1の指定役務と類似する役務であるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
また、引用商標2との関係において本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとした拒絶の理由は解消した。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標の「旭川成吉思汗」の文字部分と「大黒屋」の文字部分とは、文字の大きさや色彩は違うとしても、ユニークな書体で統一されたまとまりのよい印象を与え、外観上一体のものとして認識し得る。また、「大黒屋」が屋号としてありふれて使用されていることからすれば、本願商標は、「旭川におけるジンギスカンの大黒屋」として、一体的な観念を生じさせ、「アサヒカワジンギスカンダイコクヤ」なる称呼を生じさせるというべきであり、さらに、図形部分も、本願商標の構成要素として欠くことができない重要な位置を占めており、本願商標から出所を認識するにあたり、軽視できないものであり、「大黒屋」の文字部分のみをあえて独立した出所識別標識として取引に供されるというよりはむしろ、構成全体としてその出所が認識される旨主張している。
しかしながら、本願商標は、上記(1)イ(ア)のとおり、本願図形部分、本願文字部分が視覚的に分離されて看取されるもので、これらより一体の意味合いが生じるなど、不可分のものとしてみるべき事情はなく、「旭川成吉思汗」及び「大黒屋」の本願文字部分については、書体を共通にするものの、文字の色彩及び大きさが異なり、「旭川成吉思汗」の文字部分が本願の指定役務との関係で、識別力を有しないか、極めて弱い部分といえることから、大きく表された「大黒屋」の文字が独立して自他役務の出所識別標識としての機能を果たす部分というのが相当である。
また、請求人は、「大黒屋」の屋号について、様々な業種において採択、使用されており、飲食業においては、ランキングサイト「食べログ」で「大黒屋」なる飲食店を検索すると、日本全国で271件が存在することが確認でき、ありふれて使用されている旨主張するが、請求人が提出した甲第4号証をみると、「大黒屋」の文字のみでの使用のほか、例えば「蕎亭 大黒屋」のように、「大黒屋」以外の文字を伴い使用されているもの、「旭川成吉思汗 大黒屋 新橋店」と「旭川成吉思汗 大黒屋 吉祥寺店」のように同一営業主の他店舗の表示のものが含まれていることからすれば、請求人が提出した証拠のみをもって、「大黒屋」の文字のみの店舗がありふれて使用されているとはいえない。
イ 請求人は、飲食物の提供に係る役務の分野においては、商標の構成全体を顧客が視覚認識した上で出所を識別するという取引実情があり、そのような実情を踏まえれば、本願商標における大黒天の図形や文字部分の特殊な書体を含めた本願商標の特徴のある外観は、引用商標1との間で需要者が出所を区別するに際して、強い影響を与える旨主張する。
しかしながら、上記(1)イ(ア)及び(イ)のとおり、本願商標と引用商標1は、各構成部分が視覚上分離して看取されるものであり、各構成部分を一体となって把握しなければならない事情を見いだすこともできない。
そうすると、本願商標と引用商標1は、その構成中の「大黒屋」の文字部分が飲食店を利用する顧客が店舗を選択する際に重要な機能を果たす部分、すなわち、独立して役務の出所識別標識としての機能を果たす要部であるから、両商標は、その要部以外の各構成要素及び全体構成において差異があるとしても、上記(1)イ(ウ)のとおり、類似する商標というのが相当である。
ウ したがって、請求人の主張はいずれも採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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