商標拒絶査定不服審判
2023-013694
- 審判番号
- 2023-013694
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2022-031671
- 請求日
- 2023年08月14日
- 審決日
- 2024年04月16日
- 公報発行日
- 2024年05月31日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社マーナ
- 【請求人代理人】藤本 英介
- 【請求人代理人】神田 正義
- 【請求人代理人】宮尾 明茂
- 【請求人代理人】馬場 信幸
- 審判長/審判官
- 審判長 冨澤 武志
- 審判官 小田 昌子
- 審判官 中島 光
- 分類
- T18 .13 -WY (W21) / T18 .17 -WY (W21) / T18 .941-WY (W21)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第3条第2項、商標法第3条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2022-31671拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願商標は、登録すべきものとする。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和4年3月18日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年12月5日付け:拒絶理由通知書
令和5年1月19日:意見書の提出
令和5年5月9日付け:拒絶査定
令和5年8月14日:審判請求書、手続補正書の提出
令和5年11月21日付け:審尋
令和5年12月28日:手続補正書、回答書の提出
2 本願商標
本願商標は、別掲1の構成よりなる立体商標であり、第17類、第20類、第21類に属する、願書記載のとおりの商品を指定商品として登録出願されたものであり、その後、指定商品については、前記1の手続補正書により、最終的に、第21類「落としぶた」と補正されたものである。
3 原査定の拒絶の理由の要点
本願商標は、別掲1の構成よりなる立体商標であり、本願の指定商品の業界においては、様々なデザインや形状の商品が取引されているところ、本願商標は、商品の形状の一形態を立体的に表したといえるものであって、同種の商品がその機能又は美感上の理由から採用し得る立体的形状の範囲を超えているとはいえないものである。そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者は、単にその商品の立体的形状を表示したものと認識するにとどまると判断するのが相当であるから、本願商標は、商品の形状を普通に用いられる方法で表示するものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
4 当審における審尋及びそれに対する請求人の回答
当審において、前記1の審尋により、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当し、かつ、同条第2項の要件を具備するものとは認められない旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、請求人に対し、意見を求めた。
5 審尋に対する請求人の意見(要旨)
(1)請求人は指定商品を「落としぶた」に限定する補正を行った。
(2)鍋の落としぶたという、ニッチな商品であるにも関わらず、本願商標に係る商品が長い期間、鍋の落としぶたとしては多くの個数が、多くの場所で販売されていることからも、十分に全国において需要者の間で識別力を獲得していることは明らかであって、本願商標は、仮に商標法第3条第1項第3号に該当する商標であったとしても、全国にわたって需要者に対して識別力を獲得している商標であり、同条第2項に該当し、特別顕著性を有する商標である。
6 当審の判断
(1)本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、別掲1のとおり、上面の中央に豚の頭部(鼻の部分に二つの穴を有する)を模したと思われる形状を有する、平たんな円形の立体的形状よりなるところ、別掲2のとおり、落としぶたを含む調理用具を取り扱う業界において、動物、植物やアニメのキャラクター等をかたどった形状を有する商品が実際に販売されている実情があり、加えて、別掲3のとおり、商品「落としぶた」について、穴を有する商品が実際に販売されている実情がある。
そうすると、前記の立体的形状よりなる本願商標は、商品「落としぶた」に使用された場合、これに接する需要者は、その商品の機能又は美観に資することを目的として採択される商品の立体的形状の一類型であると理解するものであって、需要者において予測可能な範囲の商品の特性であるというべきである。
してみれば、本願商標を、商品「落としぶた」に使用しても、需要者は、当該形状をもって商品の出所識別標識として認識し得るものとはいうことはできない。
したがって、本願商標は、商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものというべきであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)本願商標の商標法第3条第2項該当性について
請求人は、本願商標は、商標法第3条2項に規定する要件を具備しており、登録されるべき商標である旨を主張し、証拠として甲第1号証ないし甲第21号証を提出している。
そこで、請求人提出の証拠の内容に照らし、本願商標が、使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているか否かについて、以下検討する。
なお、証拠の記載に当たっては、「甲第○号証」を、「甲○」と表記する場合がある。
ア 本願商標と使用商標の同一性について
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなる立体商標である。他方、請求人が製造・販売する落としぶた(サイズ、色彩に複数のバリエーションがあるものの、全て同一又は極めて近似した形状を有する。以下「使用商品」という。)の立体的形状(以下まとめて「使用商標」という。)は、本願商標と同一又は極めて近似した形状であり、本願商標と使用商標とは、外観において同一視できるものである(甲1、甲4、甲6~甲17、甲21)。
また、2001年に発行された雑誌に掲載されている使用商標と、2023年に放送されたテレビ番組において紹介された使用商標とは、外観において同一視できるものであることから、使用商標の形状は、少なくとも2001年から2023年まで変更されていないと認められる(甲1、甲16)。
イ 使用商標の使用開始時期及び使用期間
請求人は、使用商品を製造し、これを小売店及びECサイトを通じて販売しているところ、使用商標が掲載されている雑誌の記事中に、当該商品が2000年に発売されたとの記載があることから、使用商標は、遅くとも2000年には使用が開始され(甲6)、その後の各種メディアにおける紹介(甲1、甲4、甲6~甲16)や、小売店及びECサイトにおける販売・出荷状況(甲18~甲21並びに前記1の回答書中の2.記載の各URL)によれば、現在まで、24年間にわたり継続して使用されているものと認められる。
ウ 使用商品の販売地域
使用商品は、遅くとも2019年の時点で、日本全国のロフト、ハンズ、イオン、イトーヨーカドー等の大手小売店並びにAmazon.co.jp、楽天、その他ECサイトで販売されている(甲18~甲21並びに前記1の回答書中の2.記載の各URL)。
エ 使用商品の販売実績
他人の運営に係るウェブサイトにおける使用商品の紹介記事によれば、使用商品は2020年の時点で、累計約200万個販売されている(甲16)。また、請求人提出に係る資料によれば、現在までに累計約243万個販売されており、その売上高は累計約11億円である(甲17)が、前記の紹介記事に記載された2020年時点での使用商品の累計販売数から、請求人提出の資料に記載された累計販売数及び累計売上高を裏付けることができる。
さらに、請求人提出に係る、楽天における、2022年11月から2023年10月の、落としぶたカテゴリにおける年間売上上位80位を示す資料によれば、同期間の、同ECサイトを通じた、落としぶたカテゴリにおける使用商品の売り上げシェアは、少なくとも60%以上であることが認められる(甲18)。
オ 広告宣伝のされた期間・地域及び規模
請求人は、現在においては使用商品の広告宣伝を行っていないが、使用商品は、小売店及びECサイトにおいて、使用商標の一部又は全部が判別可能な包装又は表示をもって販売されている(甲21並びに前記1の回答書中の2.記載の各URL)。
また、前記ア及びイのとおり、使用商品は、少なくとも2001年から2023年にかけて、複数の雑誌、テレビ番組、ウェブサイト等において、使用商標が目視可能な態様で取り上げられた(甲1、甲4、甲6~甲16)。
カ 請求人以外の者による同一又は類似の標章の使用の有無
職権による調査によれば、本願商標と類似する形状の「落としぶた」が販売されている事例は、「Amazon.co.jp」における一例のみであって、その販売数、シェア等は不明である。
キ 小括
上記アないしカを総合して考察すれば、請求人は、本願商標と同一視できる使用商標を、遅くとも2000年から、本願商標の登録出願時はもとより、現在まで継続して、使用商品について使用しているものであり、複数の雑誌、テレビ番組、ウェブサイト等において、継続して使用商標を表示した形で、使用商品が紹介されている。
そして、使用商品は全国において販売されており、商品「落としぶた」が、1つの商品で様々な鍋に使い回せるものであり、かつ、消耗品ではなく、1度購入すると、その後は頻繁に買い換えることは少ないという取引の実情を有するものであることを勘案すれば、その販売数、売上高は極めて高いことが認められ、市場シェアも相当程度高いことが認められる。
してみれば、本願商標は、使用商品について、請求人によって、長年にわたり、継続的に使用をされた結果、需要者が、請求人の業務に係る商品であることを認識するに至ったものというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものというべきである。
(3)まとめ
以上検討したところによれば、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものの、同条第2項の要件を具備するものであり、商標登録を受けることができるものであるから、原査定は取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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