商標拒絶査定不服審判
2023-013491
サバイバル
- 審判番号
- 2023-013491
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2021-127905
- 請求日
- 2023年08月10日
- 審決日
- 2024年05月09日
- 公報発行日
- 2024年10月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社朝日新聞出版
- 【請求人代理人】山口 芳広
- 【請求人代理人】渡辺 敬介
- 【請求人】ミレエヌ カンパニー リミテッド
- 【請求人代理人】山口 芳広
- 【請求人代理人】渡辺 敬介
- 【請求人】ルーデンスメディア カンパニー リミテッド
- 【請求人代理人】山口 芳広
- 【請求人代理人】渡辺 敬介
- 審判長/審判官
- 審判長 豊瀬 京太郎
- 審判官 板谷 玲子
- 審判官 田中 瑠美
- 分類
- T18 .13 -Z (W41) / T18 .272-Z (W41)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号商標法4条1項16号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第3条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2021-127905拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和3年10月14日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年 6月 6日付け:拒絶理由通知書
令和4年10月14日 :意見書の提出
令和5年 5月 8日付け:拒絶査定
令和5年 8月10日 :審判請求書、手続補正書の提出
2 本願商標
本願商標は、「サバイバル」の文字を標準文字で表してなり、第41類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として登録出願されたものである。
その後、本願の指定役務は、当審における上記1の手続補正書により、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,インターネット又は携帯電話による通信を用いて行う音声・音楽・静止画・動画の提供(ダウンロードされるものを除く。),アニメーション映像の提供,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。)」と補正されたものである。
3 原査定の拒絶の理由(要旨)
本願商標は、「サバイバル」の文字を標準文字で表してなるところ、「サバイバル」の文字は、「困難な状況を越えて生き残ること。また、そのための方法や技術。」の意味を有するものである。
そして、例えば、無人島や、災害時・非常時の過酷な状況に遭遇した際に命を守る方法を学ぶイベントやセミナーが実施され、またサバイバル術に関する書籍が提供されている実情がうかがえる。
そうすると、本願商標をその指定役務に使用しても、これに接する需要者・取引者は、「過酷な状況でも生き残るための方法や技術に関連した役務」と認識するにすぎず、単に役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、上記以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。
また、出願人は、本願商標がその指定役務の需要者の間で全国的に認識されており、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができるものである旨主張し、証左の資料を提出しているが、提出された資料によっては、本願商標が使用された結果、何人かの業務に係る役務であることを認識することができるに至っているといえるほどに周知性を獲得しているということはできない。
4 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、「サバイバル」の文字を標準文字で表してなるところ、「サバイバル」の文字は、「困難な状況を越えて生き残ること。また、そのための方法や技術。」(出典:株式会社小学館「デジタル大辞泉」)の意味を有するものである。
そして、原審提示の情報に加え、別掲の新聞及びインターネット情報によれば、災害時・非常時の過酷な状況に遭遇した際に命を守る方法を学ぶイベントやセミナーでの使用はもとより、様々な場面での困難な状況を越えて生き残るための方法や技術に関するセミナー・講演、書籍等においても「サバイバル」の文字が使用されている実情がうかがえる。
そうすると、本願商標をその指定役務に使用しても、これに接する取引者・需要者は、「困難な状況を越えて生き残るための方法や技術に関連した役務」と認識するにすぎず、本願商標は、単に役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、上記以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、意見書に添付の参考資料1ないし24に加え、請求書において参考資料25ないし35を提出し、本願商標は、請求人の出所表示として本願の指定役務の需要者の間で全国的に認識されており、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができるものである旨主張しているところ、この主張は、本願商標が使用された結果、需要者が何人かの業務にかかる役務であることを認識することができるものに至っている(商標法第3条第2項)旨の主張として解釈されるものであり、上記の参考資料及び請求人の主張によれば、以下のとおりである。
(ア)「科学漫画サバイバル」シリーズは、2023年に発売15周年を迎え、2023年7月13日現在、53テーマ83巻で累計発行部数13,710,000部であり、関連書籍である「大長編サバイバルシリーズ」「科学クイズ サバイバルシリーズ」「なぞ解きサバイバルシリーズ」の累計発行部数の合計は、1,040,000部である(参考資料25及び26)。
(イ)「科学漫画サバイバル」シリーズは、「第65回学校読書調査」、平成25年度から同30年度の「「朝の読書」(学校)で読まれた本」において、上位にランキングされ(参考資料2及び5ないし13)、「小学生が選ぶ“子どもの本”総選挙」(参考資料27)において、2018年発表の第1回ではシリーズ部門第2位、2020年発表の第2回ではシリーズ部門第1位、2022年発表の第3回ではシリーズ部門第1位をそれぞれ獲得した(参考資料28ないし30)。
(ウ)請求人は、「15周年記念プロジェクト」として、「サバイバル図書館」を開設し、また、イベント「「科学漫画サバイバル」シリーズ 絶体絶命!?キミたちのサバイバル!」を開催した(参考資料25、31及び32)。
(エ)請求人は、「カーボンニュートラルのサバイバル」プロジェクト(協賛:トヨタ自動車株式会社)を発足させ、エンタメと知を融合させたメディアである「QuizKnock」とともに、「カーボンニュートラル」への理解を深めるための教育的イベントを行った(参考資料33)。
(オ)請求人は、「科学漫画サバイバル」シリーズと朝日新聞社のタイアップ企画「未来のためのサバイバル in 素材研究所」(協賛:AGC株式会社)により、主に小学生を対象としたオンライン科学学習サイトを開設している(参考資料35)。
(カ)「科学漫画サバイバル」シリーズは、アニメ映画がDVD化され、NHKでテレビ放映されている(参考資料16ないし20)。
(キ)上記(ア)ないし(カ)によれば、請求人は、「サバイバル」の文字をそのタイトル名の一部に含む「科学漫画サバイバル」シリーズの出版物に関する業務を行っていることがうかがえるほか、当該出版物は、「科学漫画サバイバル」シリーズの名称で継続的に使用され、宣伝広告されていることがうかがえるものである。
しかしながら、上記の参考資料からは、「科学漫画サバイバル」シリーズ、「科学漫画サバイバル」、「○○のサバイバル」、「サバイバルシリーズ」等、「サバイバル」の語の前後に何らかの語句を伴った態様で使用されていることはうかがえるものの、本願商標「サバイバル」単独での使用は確認することができず、さらに、これらは本願の指定役務とは異なる商品「印刷物」についての使用が主であって、当該使用の状況からは、本願商標が、それのみで自他役務識別標識として機能しているものとは認めることができない。
そうすると、本願商標について、具体的な使用事実に基づいて使用状況を把握し、その周知性の程度などを客観的に推し量ることができないから、本願商標がその指定役務との関係において、使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができるに至っているものと認めることもできない。
その他、本願商標が、請求人の業務に係る役務を表すものとして、我が国の取引者、需要者に広く認識されていたと認めるに足りる事情を見いだすことはできず、当審において、職権で調査するも、本願商標が、その指定役務を取り扱う業界において、自他役務の出所識別標識としての機能を発揮し得るものであると認めるに足りる事情を見いだすこともできなかった。
してみれば、本願商標は、これを使用した請求人の業務に係る役務を表すものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたと認めることはできないし、本願商標を使用した請求人の業務に係る役務を表すものとして機能しているということもできない。
イ 請求人は、出版物の発行者等がその出版物に関連して業務を拡大することは多々見受けられるものであり、本願指定役務の取引者・需要者についても、そのような取引状況を十分に理解し得るものであると述べ、「サバイバル」は請求人に係る出版物の名称として全国的に認識されており、その出版物に関して本願指定役務に係る業務を行っていることから、本願商標は、請求人の出所表示として、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができるものである旨主張する。
しかしながら、ある標章が商標法第3条第2項所定の「使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるもの」に該当するか否かは、出願に係る商標と外観において同一とみられる標章が指定商品とされる商品に使用されたことを前提として、その使用開始時期、使用期間、使用地域、使用態様、当該商品の販売数量又は売上高等、当該商品又はこれに類似した商品に関する当該標章に類似した他の標章の存否などの事情を総合考慮して判断されるべきである(平成24年(行ケ)第10285号、平成25年1月24日知財高裁判決)ところ、上記アでも述べたとおり、請求人がその出版物の名称に「科学漫画サバイバル」シリーズ、「科学漫画サバイバル」、「○○のサバイバル」、「サバイバルシリーズ」等の文字を使用している事実は確認できても、「サバイバル」単独での使用は確認することができず、当該使用状況によって、本願商標「サバイバル」が請求人に係る出版物の名称として全国的に認識されていると認めることはできないことから、仮に、請求人が上記の出版物に関して本願指定役務に係る業務を行っているとしても、本願商標が、請求人の出所識別標識として、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができるものということはできない。
ウ 請求人は、第41類において、「サバイバル」の文字を含み、「単に役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」と思われる商標が多数登録されていると述べ、本願もこれらと同様に登録されるべきである旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かの判断は、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と指定商品・指定役務との関係や、その商品又は役務の分野における取引の実情をも踏まえて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、請求人の挙げた登録例は、商標の構成態様や指定商品・指定役務が本願商標とは異なるものである点において、本願とは、事案を異にするものというべきであり、また、過去の登録例が存在することをもって、上記判断が左右されるものではない。
エ したがって、請求人の上記アないしウの主張は、いずれも採用できない。
なお、請求人は、請求書において、一部の指定役務の削除により登録すべきと判断の場合にはこれに対応する準備がある旨述べているところ、既に提出された資料を確認するも、本願商標は、これがその指定役務に使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができるに至っていると認めることはできないことから、仮に、一部の指定役務が削除又は新たな資料が追加で提出されたとしても、上記の認定、判断に影響を及ぼすとは考え難いため、更なる対応を求めることなく審理を進めた。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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