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商標拒絶査定不服審判

2023-012701

パウダールウ、パウダールー

審判番号
2023-012701
法域
商標
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
商願2021-009805
請求日
2023年07月28日
審決日
2024年02月28日
公報発行日
2024年05月31日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】ヱスビー食品株式会社
  • 【請求人代理人】吉澤 大輔
審判長/審判官
  • 審判長 豊瀬 京太郎
  • 審判官 板谷 玲子
  • 審判官 白鳥 幹周
分類
T18 .13 -Z (W29) / T18 .272-Z (W29) / T18 .17 -Z (W29)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法3条1項3号商標法3条2項商標法4条1項16号
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第3条第1項第3号、商標法第3条第2項、商標法第4条第1項第16号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

商願2021- 9805拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 1 手続の経緯 本願は、令和3年1月28日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和3年11月10日付け:拒絶理由通知書 令和3年12月22日 :意見書の提出 令和5年 4月26日付け:拒絶査定 令和5年 7月28日 :審判請求書の提出 2 本願商標 本願商標は、「パウダールウ」の文字を標準文字で表してなり、第29類「カレー・シチュー・スープ・ハヤシライスソースのもと」を指定商品として登録出願されたものである。 3 原査定の拒絶の理由(要旨) 本願商標は、「パウダールウ」の文字を同書、同大、等間隔に一列に横書きしてなるものであるところ、その構成中の「パウダー」の文字は、「粉。粉末。」などを意味する語であり、「ルウ」の文字は、本願商標の指定商品を踏まえれば「小麦粉をバターで炒めたもの。」を意味する「ルー(roux)」の語と同視し得るものである。 そして、例えば「粉雪。」を「パウダースノー」、「赤唐辛子の粉末に数種類の香辛料を調合した調味料。」を「チリパウダー」と称するように、「パウダー」の文字は、他の文字(○○)と結合して「粉状・粉末状の○○」を称する語としてしばしば使用されるものであること、及び、本願の指定商品を取り扱う分野において、「粉末状のルウ」が一般に取り扱われている実情が認められることを踏まえれば、「パウダールウ」の文字よりは、「粉末状のルウ(小麦粉をバターで炒めたもの)」ほどの意味合いを容易に看取し得るものというのが相当である。 そうすると、本願商標を、その指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、当該商品が「粉末状のルウを使用した商品」であること、すなわち、商品の品質、形状を表示したものとして認識するものとみるのが相当である。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、また、本願商標を上記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。 4 当審の判断 (1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について 本願商標は、「パウダールウ」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中「パウダー」の文字は、「粉。粉末。」などを意味する語であり、「ルウ」の文字は、本願商標の指定商品を踏まえれば「小麦粉をバターで炒めたもの。」を意味する「ルー(roux)」の語と同視し得るものである。(出典:「広辞苑 第七版」株式会社岩波書店) そして、例えば「粉雪。」を「パウダースノー」、「赤唐辛子の粉末に数種類の香辛料を調合した調味料。」を「チリパウダー」と称するように(出典:同上)、「パウダー」の文字は、他の文字(○○)と結合して「粉状・粉末状の○○」を称する語としてしばしば使用されるものであること、及び、原審提示の情報や、別掲の情報にあるように、本願の指定商品を取り扱う分野において、「粉末状のルウ」が一般に取り扱われている実情が認められることを踏まえれば、本願商標全体よりは、「粉末状のルウ(小麦粉をバターで炒めたもの)」ほどの意味合いが容易に理解、認識し得るものというのが相当である。 そうすると、本願商標をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者において、その商品が「粉末状のルウ」であるという、商品の品質を表示したものと理解、認識されるものというのが相当であるから、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。 また、本願商標を、その指定商品中、上記以外の商品(例えば「ブロック状のルウ」)に使用するときは、その商品があたかも「粉末状のルウ」であるかのごとく、商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標というべきである。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。 (2)商標法第3条第2項に規定する要件を具備するか否かについて 請求人は、本願商標は、実際に使用されることにより、需要者をして請求人の業務に係る商品であることを認識することができるものとなっている旨主張し、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第12号証(枝番号を含む。以下、枝番号のすべてを示すときは、枝番号を省略する。また、表記に当たっては「甲○」(「○」部分は数字)のように省略して記載する。)を提出しているところ、上記証拠及び請求人の主張によれば、以下のとおりである。 ア 請求人は、2015年(平成27年)8月3日に日本全国で販売を開始したカレールウ「ドライキーマカレー 中辛」を始めとする、請求人の業務に係る17種類の商品(カレールウやシチュールウなど)(以下「本件商品」という。)の包装において、「パウダールウ」の文字からなる商標(以下「本件商標」という。)を使用している(請求人の主張、甲1、甲3の1)。 イ 本件商品の2017年(平成29年)1月ないし2023年(令和5年)6月の累計販売個数は約2千3百万個であり、同売上金額は約61億円と推計される(請求人の主張、甲2の1)。 ウ 本件商品は、2015年(平成27年)9月9日以降、継続的に、新聞及び雑誌、ウェブメディアに多数掲載されているほか、テレビ番組のパブリシティ枠で取り上げられたり、テレビ番組のランキング形式の企画で取り上げられたりしている(甲3、甲4、甲6、甲7)。 エ 本件商品のうちの5種類(「ドライキーマカレー 中辛」、「ドライキーマカレー 甘口」、「本挽きカレー中辛」、「本挽きカレー辛口」及び「栗原はるみのクリームシチュー」)に共通する広告宣伝活動(交通広告、テレビCMなど)において、「パウダールウ」という語を中心とした内容のものが、2021年(令和3年)の3月後半から同年8月末まで実施された(甲4の80ないし甲4の86、甲4の89ないし甲4の103、ほか) オ 動画サイト「YouTube」における請求人の公式チャンネルにおいて、本件商標が使用されている動画5本が閲覧可能であるところ、それらはこれまでに約46万回ないし約107万回再生されている(甲8)。 カ 本件商品のうち「赤缶カレーパウダールウ」について、「JR東日本・大阪メトロ・JR東海」及び「日比谷線Hライナー」における交通広告、並びに、「東京駅丸の内地下連絡通路」及び「板橋本町駅/上田駅」における電飾看板による宣伝広告活動が実施された(甲9。なお、その実施時期は不明である)。 キ SNS「X(旧:Twitter)」及び同「Instagram」において、「#パウダールウ」のタグで投稿を抽出したところ、ほぼすべてが本件商品に係るものであった(請求人の主張、甲10、甲11)。また、インターネット検索サイト「Google」において「パウダールウ」の文字を完全一致検索した結果も、ほぼ請求人商品に関連するものであった(請求人の主張、甲12)。 ク 上記アないしキによれば、請求人は、2015年(平成27年)8月以降、日本全国において、本件商品(カレールウやシチュールウなど)を順次販売しており、これまでに相当程度の売上げがあったことが推定され、また、本件商品は、継続的に、新聞及び雑誌、ウェブメディア、テレビ番組などで取り上げられ、宣伝広告されているものである。 そして、本願商標と同一又はそれと同一性を損なわない範囲のものといえる本件商標が、本件商品の包装において使用されており、また、上述の新聞及び雑誌などにおいて本件商品が取り上げられたりするに当たっては、本件商標が記載されていることも多いことからすると、本件商標は、本件商品とほぼ同程度の期間及び地域において使用されてきたといえるものである。 しかしながら、上記(1)のとおり、本願の指定商品を取り扱う分野において、「粉末状のルウ」が一般に取り扱われている実情が認められる上、本件商品が、新聞及び雑誌、ウェブメディアにおいて、「パウダータイプのカレールウ」「パウダータイプなので溶けやすくダマになりにくい。」(甲3の17)、「パウダータイプの即席ルウ」(甲4の64ないし甲4の67)、「どちらもパウダータイプのカレールウで」(甲4の382)、「溶けやすく混ぜやすいパウダータイプのカレールー」(甲4の406)といった記載でしばしば紹介等されてきたことからすると、本件商標は、本件商品が「粉末状のルウ」であるという、商品の品質を端的に表示記述する語として、又は、そのような語であると需要者に容易に理解、認識され得る状況又は態様において、使用されてきたといえるものである。 さらに、本件商標が使用される際には、その近傍に、ほぼ必ず「S&B」の文字からなる商標や、本件商品の個別具体的な商品名(「栗原はるみのビーフシチュー」(甲1の9)など)を示す文字からなる商標、図形からなる商標などが使用されているものであって(甲1、ほか)、また、上記エのとおり、「パウダールウ」という語を中心とした広告宣伝活動が実施された事実も認められるものの、ごくわずかな期間におけるものである。 以上のことからすると、「パウダールウ」の文字からなる商標が、その文字のみで独立して自他商品の識別標識として広く使用され、需要者に認識されているとはいい難いものである。 そして、本願商標に係る需要者の認識度を客観的に示す証拠(アンケート結果など)は提出されていない。 以上のことからすると、提出された証拠をもってしては、本願商標が、その指定商品との関係において、使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているとは認められないから、本願商標は、商標法第3条第2項に規定する要件を具備しない。 (3)請求人の主張について 請求人は、「パウダールウ」の文字からなる商標は、商品の品質等の表示として一般的に使用されておらず、また、ルウはそもそも粉状にするのが極めて困難であるという特性等を考えれば、「パウダールウ」の文字は単なる記述的な表示ではないと評価されるべきである旨主張する。 しかしながら、上記(1)のとおり、本願商標を構成する各文字の意味や、「粉末状のルウ」が一般に取り扱われている実情を踏まえれば、本願商標全体よりは、「粉末状のルウ(小麦粉をバターで炒めたもの)」ほどの意味合いが容易に理解、認識し得るというのが相当である。 また、ルウを粉状にすることは困難であるといった技術的、専門的な事項について、一般消費者を含む本願商標の需要者が理解、認識していることを示す事実は見当たらないことからすれば、本願商標をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者において、その商品が「粉末状のルウ」であるという、商品の品質を表示したものと理解され、自他商品の識別標識としては認識されないものというのが相当である。 したがって、請求人の主張は、採用することができない。 (4)まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであって、また、商標法第3条第2項に規定する要件を具備するものともいえないから、登録することができない。 よって、結論のとおり審決する。

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