商標拒絶査定不服審判
2023-011759
ピイシイイイ
- 審判番号
- 2023-011759
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2022-124362
- 請求日
- 2023年07月13日
- 審決日
- 2025年02月05日
- 公報発行日
- 2025年04月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】トヨタ自動車株式会社
- 【請求人代理人】中村 知公
- 【請求人代理人】小西 富雅
- 【請求人代理人】前田 大輔
- 【請求人代理人】伊藤 孝太郎
- 【請求人代理人】朝倉 美知
- 【請求人代理人】本田 彩香
- 審判長/審判官
- 審判長 山田 啓之
- 審判官 石塚 文子
- 審判官 杉本 克治
- 分類
- T18 .261-Z (W09) / T18 .262-Z (W09) / T18 .263-Z (W09) / T18 .264-Z (W09)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第10条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2022-124362拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和4年4月1日に登録出願された商願2022-37722に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、同年10月31日に登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年12月13日付け:拒絶理由通知書
令和5年2月22日 :意見書の提出
令和5年4月10日付け :拒絶査定
令和5年7月13日 :審判請求書の提出
第2 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第9類「ブロックチェーン技術を利用したデータ保全のためのコンピュータソフトウェア,ブロックチェーン技術を利用したデータ保全のためのデータベース用コンピュータソフトウェア」を指定商品として登録出願されたものである。
第3 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した国際登録第1534987号商標(以下「引用商標」という。)は、「PCE」の欧文字を横書きしてなり、2019年12月19日にオーストリアにおいてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張し、2020年2月27日に国際商標登録出願、第9類「computer networking and data communications equipment, in particular data mounting socket;」を含む第9類及び第16類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、令和4年4月1日に設定登録され、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)商標の類否
ア 本願商標について
本願商標は、別掲1のとおり、ややデザイン化された書体で「PCE」の青色の欧文字を横書きしてなるところ、当該文字は、「個人消費支出」の意味を有する文字(語)(「広辞苑第7版 付録」(株式会社岩波書店)の「PCE」(personal consumption expenditure)の項。)として辞書に掲載されているものの、我が国においてその意味が広く一般に知られている語とは認められず、また、本願の指定商品の分野において、当該意味合いやその他の特定の意味合いを有する語として広く知られているとの事情も見いだせないから、特定の語義を有しない一種の造語として理解されるものである。
そうすると、本願商標は、その構成文字に相応して、「ピーシーイー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標について
引用商標は、「PCE」の欧文字を横書きしてなるところ、上記アと同様の理由により、「ピーシーイー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
ウ 本願商標と引用商標の類否について
本願商標と引用商標とを比較すると、外観については、文字のデザイン及び色彩において差異があるものの、「PCE」のつづりを同じくするものであるから、外観上近似した印象を与えるものといえる。
次に、称呼については、両者は、「ピーシーイー」の称呼を共通にするものである。
さらに、観念については、両者は、いずれも特定の観念を生じないものとあるから、比較することができない。
そうすると、本願商標と引用商標とは、観念においては比較することができないものの、外観においては近似した印象を与え、「ピーシーイー」の称呼を共通にすることからすれば、これらの外観、観念、称呼によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合的に勘案すれば、両者は互いに相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
(2)本願の指定商品と引用商標の指定商品の類否
ア 指定商品の類否について
指定商品が類似のものであるかどうかは、商品自体が取引上誤認混同のおそれがあるかどうかにより判定すべきものではなく、それらの商品が通常同一の営業主により製造され又は販売されている等の事情により、それらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれがあると認められる関係にある場合には、たとえ、商品自体が互いに誤認混同を生ずるおそれがないものであっても、類似の商品に当たると解するのが相当である(最高裁判所昭和33年(オ)第1104号同36年6月27日判決)。
そして、商品の類否判断は、取引の実情、すなわち、商品の生産部門、販売部門、原材料及び品質、用途、需要者の範囲が一致するかどうか、完成品と部品との関係にあるかどうか等を総合的に考慮して判断すべきである(東京高等裁判所平成7年(行ケ)第161号同8年3月21日判決)。
イ 本願の指定商品と、引用商標の指定商品中、第9類「computer networking and data communications equipment, in particular data mounting socket;」について
(ア)本願の指定商品は、「ブロックチェーン技術を利用したデータ保全のためのコンピュータソフトウェア,ブロックチェーン技術を利用したデータ保全のためのデータベース用コンピュータソフトウェア」であって「コンピュータソフトウェア」の範ちゅうに含まれるものであるところ、コンピュータソフトウェアとは、電子計算機を動作させるためのプログラムとして利用されるものである。
(イ)一方、引用商標の指定商品中「computer networking and data communications equipment, in particular data mounting socket;」には、請求人主張のとおり、「ルーター、スイッチ、ハブ等のコンピュータネットワーク用機器」(以下「引用商標のネットワーク用機器」という。)が含まれるところ、これらはコンピュータをネットワークで接続するための機器であり、データ伝送の中継や通信制御に利用されるものである(別掲2)。
(ウ)生産部門
本願の指定商品である「コンピュータソフトウェア」と、引用商標のネットワーク用機器は、いずれもコンピュータ分野の同一事業者によって製造されるものであり、当該実情は、当審における職権調査からもうかがい知ることができる(別掲3)。
(エ)販売部門
本願の指定商品である「コンピュータソフトウェア」と、引用商標のネットワーク用機器は、コンピュータ分野の同一製造者によって、又はコンピュータ関連の同一販売店において、一般に販売されるものである。
そして、当該実情は、当審における職権調査からも、うかがい知ることができる(コンピュータ分野の同一事業者によって販売されている実情(別掲3)、同一の家電量販店において同一の商品カテゴリの下で販売されている実情(別掲4(1)~(4))、パソコン及びその周辺機器を取り扱う同一専門店において販売されている実情(別掲4(5)及び(6)))。
(オ)用途
本願の指定商品である「コンピュータソフトウェア」と、引用商標のネットワーク用機器は、いずれも電子計算機を使用する際に用いられる商品であり、電子計算機の機能を実現させることを目的とするものであるという意味において、その用途に共通点があるということができる。
(カ)需要者の範囲
いずれも電子計算機の利用者全般である一般の消費者を含むものとして需要者の範囲において共通する。
(キ)その他
コンピュータネットワーク用機器を動作させるためにはコンピュータソフトウェア(コンピュータプログラム)を用いる必要があり、コンピュータソフトウェアが、コンピュータネットワーク用機器の部品ともなり得ることから、本願の指定商品である「コンピュータソフトウェア」と、引用商標のネットワーク用機器は、完成品と部品の関係にあるといえる。
(ク)本願の指定商品と引用商標のネットワーク用機器との類否
以上から、本願の指定商品である「コンピュータソフトウェア」と引用商標のネットワーク用機器は、その生産部門、販売部門、用途、需要者の範囲等において共通性があり、これらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは、同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれがあると認められる関係にあるというべきである。
また、本願の指定商品は、「ブロックチェーン技術を利用したデータ保全」のための「コンピュータソフトウェア」であるところ、「ブロックチェーン技術を利用したデータ保全」のための商品であることによって、上記実情が異なるといった特段の事情は見いだせない。
したがって、本願の指定商品と引用商標の指定商品は類似の商品に該当すると認めるのが相当である。
(3)小括
以上のとおり、本願商標は、引用商標と類似する商標であって、引用商標の指定商品と類似する商品について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、本願商標は、その構成中の「C」の文字を鳥のくちばしの様なフォント形状を造形的に表現している等述べ、本願の指定商品の需要者、取引者はその購入において、商品の機能、品質、価格等を慎重に検討し判断するところ、本願商標についても子細にかつ慎重に確認することは明らかであるから、本願商標の外観の特徴を理解し、引用商標との相違点を十分理解するものであると主張する。
しかしながら、総務省発行「平成30年版 情報通信白書」(https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h30/html/nd133310.html)によれば、ブロックチェーン技術は、「災害時の物資マッチング」、「シェアリングサービスにおける本人確認手続」、「宅配ボックスの配達・受取記録」などにも応用されることが認められる。
そうすると、たとえ、本願の指定商品が「ブロックチェーン技術を利用したデータ保全」のための商品であるとしても、上記応用例からすれば、本願の指定商品の需要者には、一般の消費者も含まれるとみるのが相当である。
してみると、本願の指定商品を取り扱う分野の需要者が商品選択の際に払う注意力が格別に高いものということはできない。
そして、上記1(1)ウのとおり、本願商標と引用商標とは、外観上、顕著な差異を有するとはいえないものであり、「PCE」のつづりを同じくするものであるから、外観上近似した印象を与えるものというのが相当である。
(2)請求人は、「生産(販売)する事業者が一致するかどうか」ではなく、「生産部門(販売部門)が一致するかどうか」を判断基準とすべきであり、工場内の生産技術部門により生産される「ハードウェア」である引用商標の商品は、コンピュータソフトウェアをプログラムするプログラマーが集う部門において生産されることはあり得ず、また、本願商品の指定商品と引用商標の指定商品とが販売スペースや専門の担当者が異なる旨主張する。
しかしながら、上記1(2)アのとおり、指定商品が類似のものであるかどうかは、同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれがあるか否かによって決すべきであるから、その判断における考慮要素としての商品の生産部門及び販売部門とは、工場内又は企業内等における一部門(一組織)をいうのではなく、営業主、すなわち事業者それ自体をいうものと解するべきである。
そして、上記1(2)イのとおり、本願の指定商品であるコンピュータソフトウェア及び引用商標のネットワーク機器は、同一の営業主により製造及び販売され、又は同一販売店により販売される実情にあるから、営業主の同一性を誤認させるような生産部門及び販売部門における共通性があるものと認めるのが相当である。
(3)請求人は、過去の審決例を挙げ、引用商標の指定商品「computer networking equipment」は電気通信機械器具に該当するものであるから、本願の指定商品とは類似しない旨主張する。
しかしながら、審決例で挙げられている商品と引用商標の指定商品とは同一ではないことから同様に判断することはできない。
また、上記1(2)アのとおり、指定商品が類似のものであるかどうかは、それらの商品が通常同一の営業主により製造され又は販売されている等の事情により、それらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれがあるか否かによって決すべきであるから、引用商標のネットワーク用機器が電気通信機械器具に該当するか否かにかかわらず、引用商標のネットワーク用機器と本願の指定商品とは、上記1(2)イのとおり判断するのが相当である。
(4)したがって、請求人の主張は、いずれも採用することができない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、これを登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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