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意匠拒絶査定不服審判

2023-011288

家具用扉

審判番号
2023-011288
法域
意匠
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
意願2022-022439
登録番号
1769655
請求日
2023年07月05日
審決日
2024年03月25日
公報発行日
2025年06月27日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
  • 【請求人】タカラスタンダード株式会社
  • 【請求人代理人】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
  • 【請求人】株式会社カワノ
  • 【請求人代理人】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 小林 裕和
  • 審判官 伊藤 宏幸
  • 審判官 江塚 尚弘
分類
D18 .113-WY (D9-1)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
意匠法3条1項3号
条文(本文から自動抽出・参考)
意匠法第3条第1項第3号
データ出所
審決公報(XML)

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意願2022- 22439「家具用扉」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。

理由

理 由 第1 事案の概要 1 手続の主な経緯 本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする令和4年10月18日の意匠登録出願であって、その後の手続の主な経緯は以下のとおりである。 令和5年 1月17日付 :拒絶理由通知書 3月 2日 :意見書の提出 5月 1日付 :拒絶査定 7月 5日 :審判請求書の提出 7月 5日 :手続補足書の提出 2 本願意匠 本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、願書及び願書に添付した図面によれば、意匠に係る物品を「家具用扉」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状等」という。)を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであって、意匠登録を受けようとする部分を実線で記載したものである(別紙第1参照)。 3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は、本願意匠が、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠に類似するものと認められるため、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって、拒絶の理由に引用した意匠(以下「引用意匠」という。)は次のとおりである(別紙第2参照)。 <引用意匠> 特許庁発行の意匠公報記載 意匠登録第1454333号(意匠に係る物品、家具用扉)の意匠の 本願が意匠登録を受けようとする部分に相当する部分の意匠 第2 当審の判断 1 本願意匠 (1)意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は、システムキッチンの扉に使用される「家具用扉」である。 (2)意匠登録を受けようとする部分の位置、大きさ及び範囲並びに用途及び機能 本願意匠の意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)が意匠に係る物品全体に対して占める位置、大きさ及び範囲は、略矩形板状を呈する扉板全体の上端部の位置、扉板の厚みと同等かつ人がその内側に指先を挿入して引き掛けることができる程度の大きさ、及び、扉板上端部の全幅に至る範囲であって、家具用扉を開閉する際の取手部及び当該取手部の扉板への固定部としての用途及び機能を有するものと認められる。 (3)本願部分の形状等 〔A1〕全体は、略「7」字状の断面形状を左右方向に延設した折り曲げ材又は押し出し材のような態様のものであり(なお、左右両端にのみ板厚よりも若干幅広とした端縁部が設けられている。)、前方には上方から細幅帯状に垂下する指掛け部が、後方には扉板の上端縁から上方に直立する上半部及び扉板上端の背面に固定される下半部からなる背面部(以下、前者を「背面部上半部」、後者を「背面部下半部」という。)が、上方には指掛け部と背面部の上端を水平に接続する上面部が設けられている。 〔A2〕扉板の上端縁より上方に視認される指掛け部、背面部上半部及び上面部の構成比率は、正面視での高さ:奥行き:幅の比率が、約1:1:15である。 〔A3〕指掛け部は、垂下方向が略垂直で、先端部がごく僅かに内側(背面側)に膨らんでおり、垂下長さは、背面部上半部の高さ、すなわち、扉板上端縁から上面部までの高さ(長さ)の約4分の1である。 〔A4〕背面部上半部は、その前面、扉板上端縁から上面部までの高さの約7分の1の範囲に、本願部分の全幅に亘る約45度の角度の傾斜面が形成され、同背面下方には、本願部分の全幅に亘る浅い凹溝が形成されている。 〔A5〕背面部下半部は、背面部上半部の全幅から両端部を除いた部分の下方に、背面部上半部よりも若干背面側にずらした態様で帯板状に延設されている。 〔A6〕上面部は、扉板の厚み(奥行き)よりも僅かに幅広となる帯状の水平面として形成されている。 2 引用意匠 (1)意匠に係る物品 引用意匠の意匠に係る物品は、洗面台やコンロ付き流し台等に用いられる「家具用扉」である。 (2)本願部分に相当する部分の位置、大きさ及び範囲並びに用途及び機能 本願部分に相当する引用意匠の部分(以下「引用部分」という。)が意匠に係る物品全体に対して占める位置、大きさ及び範囲は、略矩形板状を呈する扉板全体の上端部の位置、扉板の厚みと同等かつ人がその内側に指先を挿入して引き掛けることができる程度の大きさ、及び、扉板上端部の全幅に至る範囲であって、家具用扉を開閉する際の取手部及び当該取手部の扉板への固定部としての用途及び機能を有するものと認められる。 (3)引用部分の形状等 引用部分の形状等は、図面中では破線で記載された両端部分の形状等を含めて認定する。 〔a1〕全体は、略「7」字状の断面形状を左右方向に延設した折り曲げ材又は押し出し材のような態様のものであり(なお、左右両端にのみ板圧よりも若干幅広とした端縁部が設けられている。)、前方には上方から細幅帯状に垂下する指掛け部が、後方には扉板の上端縁から上方に直立する背面部上半部及び扉板上端の背面に固定される背面部下半部が、上方には指掛け部と背面部の上端を水平に接続する上面部が設けられている。 〔a2〕扉板の上端縁より上方に視認される指掛け部、背面部上半部及び上面部の構成比率は、正面視での高さ:奥行き:幅の比率が、約1.8:1:15である。 〔a3〕指掛け部は、垂下方向がやや内側(背面側)に傾斜し、先端部が更に内側に膨らんでおり、垂下長さは、背面部上半部の高さ、すなわち、扉板上端縁から上面部までの高さ(長さ)の約3分の1である。 〔a4〕背面部上半部は、その前面、扉板上端縁から上面部までの高さの約9分の7の範囲に、本願部分の全幅に亘る約85度の角度の傾斜面が形成され、同背面下方には、本願部分の全幅に亘る浅い凹溝が形成されている。 〔a5〕背面部下半部は、背面部上半部の全幅から両端部を除いた部分の下方に、背面部上半部よりも若干背面側にずらした態様で帯板状に延設されている。 〔a6〕上面部は、扉板の厚み(奥行き)よりも僅かに幅広となる帯状の水平面として形成されている。 3 本願意匠と引用意匠の対比 (1)意匠に係る物品 本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、いずれも、システムキッチン用の扉として用いることが意図された「家具用扉」であるから、両意匠の意匠に係る物品は一致すると認められる。 (2)本願部分と引用部分の位置、大きさ及び範囲並びに用途及び機能 本願部分と引用部分(以下「両部分」という。)が意匠に係る物品全体に対して占める位置、大きさ及び範囲は、いずれも、略矩形板状を呈する扉板全体の上端部の位置、扉板の厚みと同等かつ人がその内側に指先を挿入して引き掛けることができる程度の大きさ、及び、扉板上端部の全幅に至る範囲であって、両部分は、家具用扉を開閉する際の取手部及び当該取手部の扉板への固定部としての用途及び機能を有するものと認められるため、両部分の位置、大きさ及び範囲並びに用途及び機能は、いずれも共通すると認められる。 (3)両部分の形状等 両部分の形状等を対比すると、主として以下の共通点及び相違点が認められる。 ア 共通点 〔共通点1〕全体は、略「7」字状の断面形状を左右方向に延設した折り曲げ材又は押し出し材のような態様のものであり、前方には上方から細幅帯状に垂下する指掛け部が、後方には扉板の上端縁から上方に直立する背面部上半部及び扉板上端の背面に固定される背面部下半部が、上方には指掛け部と背面部の上端を水平に接続する上面部が設けられている。 〔共通点2〕指掛け部は、先端部がごく僅かに内側に膨らんでいる。 〔共通点3〕背面部上半部は、その前面に、本願部分の全幅に亘る傾斜面が形成され、同背面下方には、本願部分の全幅に亘る浅い凹溝が形成されている。 〔共通点4〕背面部下半部は、背面部上半部の全幅から両端部を除いた部分の下方に、背面部上半部よりも若干背面側にずらした態様で帯板状に延設されている。 〔共通点5〕上面部は、扉板の厚みよりも僅かに幅広となる帯状の水平面として形成されている。 イ 相違点 〔相違点1〕扉板の上端縁より上方に視認される指掛け部、背面部上半部及び上面部の構成比率について、正面視での高さ:奥行き:幅の比率が、本願部分は約1:1:15であるのに対して、引用部分は約1.8:1:15である。 〔相違点2〕指掛け部の垂下方向について、本願部分は略垂直であるのに対して、引用部分はやや内側に傾斜している。 〔相違点3〕指掛け部の垂下長さについて、本願部分は扉板上端縁から上面部までの高さの約4分の1であるのに対して、引用部分は同約3分の1である。 〔相違点4〕背面部上半部の前面に形成された傾斜面の範囲について、本願部分は扉板上端縁から上面部までの高さの約7分の1の範囲であるのに対して、引用部分は同約9分の7の範囲である。 〔相違点5〕背面部上半部の前面に形成された傾斜面の角度について、本願部分は約45度であるのに対して、引用部分は約85度である。 4 判断 以上の共通点及び相違点を評価、総合し、両意匠の類否について判断する。 (1)意匠に係る物品 両意匠は、意匠に係る物品が同一であると認められる。 (2)両部分の位置、大きさ及び範囲並びに用途及び機能 両部分は、意匠に係る物品全体に対して占める位置、大きさ及び範囲並びに用途及び機能が共通する。 (3)両部分の形状等 ア 前提 両意匠の意匠に係る物品は、システムキッチン用の扉として用いることが意図された家具用扉であり、両部分は、家具用扉を開閉する際の取手部及び当該取手部の扉板への固定部としての用途及び機能を有するものであることから、この種物品の需要者は、システムキッチンの扉としての操作性や嗜好性の観点から通常視覚観察されやすい閉扉時における同部の形状等に着目するとともに、扉の開け閉めという操作性に直接関わる部位の形状等にも強い関心を持って、両部分を観察するものといえる。 以下、両部分の形状等の類否判断に際しては、上記前提に基づいて、両部分の共通点及び相違点が及ぼす影響を評価することとする。 イ 共通点の評価 〔共通点1〕は、両部分の基本形状を概括的に捉えた際の共通点であり、特に、略「7」字状の断面形状は、人の腰部又はそれより低い高さに位置する扉の開閉に際して、上方から手を伸ばして取手部に指先を引き掛け、扉を手前側に引き寄せ又は引き出すという使用方法に基づいて採用される、この種物品においてよく見られるごく普通の態様であり、その基本形状自体が需要者の注意を強く引くとはいえないから、この〔共通点1〕が両部分の美感に及ぼす影響は限定的である。 また、〔共通点5〕にいう、扉板よりも僅かに幅広な水平面をなす上面部も同様に、上記基本形状を有するこの種物品においてよく見られるごく普通の態様であるため、この〔共通点5〕が両部分の美感に及ぼす影響は小さい。 〔共通点2〕ないし〔共通点4〕に摘示した具体的構成態様のうち、背面部上半部の前面に形成された傾斜面以外の点、すなわち、指掛け部先端内側の僅かな膨らみ(共通点2)、背面部上半部の背面下方に形成された浅い凹溝(共通点3)、及び、背面部上半部よりも若干背面側に変位した態様で帯板状に形成された背面部下半部(共通点4)は、いずれも、閉扉時を中心とした通常の使用時には外観形態として視覚観察されにくい部位に係るものであるため、これらを合わせて勘案したとしても、これらの共通点が両部分の美感に及ぼす影響は小さい。 ウ 相違点の評価 〔相違点1〕にいう、扉板より上方に現れる部分の構成比率は、扉の開閉時を含む通常の使用時に視覚観察されやすく、両意匠の形状等の特徴を強く表すものであるが、本願部分と引用部分とでは、高さと奥行きの構成比率に2倍弱という顕著な違いがあり、引用部分から看取される強い縦長の印象を本願部分から看取することはできない。また、〔相違点3〕にいう指掛け部の垂下長さは、上記した高さと奥行きとの構成比率と相関しながら、開扉時に指を差し入れることのできる深さや指先への掛かり方を左右する重要な要素となるものであり、引用部分は、指掛かりの長さを長く取ることで縦長の印象を更に強めるものとなっている一方、指掛かりの長さを短く取った本願部分は、これとは対照的な視覚的印象を強く与えるものとなっている。 これら〔相違点1〕及び〔相違点3〕は、家具用扉の操作性や嗜好性の観点から需要者の注意を強く引くものであり、両部分の美感に大きな影響を及ぼすものといえる。 〔相違点2〕にいう、指掛け部の垂下方向については、家具用扉の操作性に関わる部分ではあるものの、引用部分における傾斜角度は僅かであるから、この〔相違点2〕が両部分の美感に及ぼす影響は小さい。 〔相違点4〕及び〔相違点5〕にいう、背面部上半部の前面に形成された傾斜面の範囲及び角度について、これらは、家具用扉の操作性の観点から需要者の注意を強く引くとは必ずしもいえないものの、傾斜面の角度が緩く範囲が狭い本願部分では、指掛け部の垂下長さが短いこととも相まって、通常の使用時に傾斜面上端部の稜線を常時視認可能となり、嗜好性の観点から需要者の注意を引く部分となるのに対して、引用部分では、傾斜面の角度が急で範囲が広く、通常の使用時には長い指掛け部に隠れて傾斜面上端部の稜線を視認することができないため、これらは、需要者に対して与える視覚的印象を大きく異ならしめるものとなっている。そして、この傾斜面上端部の稜線を内側に見通すことのできる本願部分の態様は、従来のこの種物品の意匠には見られない本願部分の特徴ともいえるものであるから、この〔相違点4〕及び〔相違点5〕が両部分の美感に及ぼす影響は大きい。 以上を総合すると、〔相違点1〕及び〔相違点3〕ないし〔相違点5〕に示す両部分の具体的態様は、それら全ての形状等が相まって両部分を独自に特徴付け、需要者の注意を強く引くものといえるため、これらの相違点が両部分の美感に及ぼす影響は非常に大きい。 エ 小括 上記した共通点及び相違点の評価に基づくと、両部分の形状等の共通点が両部分の美感に及ぼす影響は、その全てを合わせても限定的であるのに対して、相違点が及ぼす影響は総じて大きく、これら相違点は相まって需要者に別異の美感を与えているというべきであるため、両部分の形状等は、類似するとは認められない。 (4)両意匠の類否 以上のとおり、両意匠は、意匠に係る物品が同一であり、両部分の位置、大きさ及び範囲並びに用途及び機能が共通しているものの、両部分の形状等は類似するとは認められないから、本願意匠は引用意匠に類似するとはいえない。 第3 結び 以上のとおりであって、本願意匠は引用意匠に類似するとはいえず、原査定の引用意匠をもって本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできないから、本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また、当審において更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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