商標拒絶査定不服審判
2023-011152
シングルモルトカナザワ、シングルモルト、シングル
- 審判番号
- 2023-011152
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2022-057211
- 請求日
- 2023年07月04日
- 審決日
- 2024年10月24日
- 公報発行日
- 2025年08月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】T&T TOYAMA 株式会社
- 【請求人代理人】大谷 嘉一
- 審判長/審判官
- 審判長 大森 友子
- 審判官 小俣 克巳
- 審判官 鯉沼 里果
- 分類
- T18 .13 -Z (W33) / T18 .272-Z (W33)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号商標法4条1項16号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第4条第1項第16号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2022- 57211拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和4年5月20日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年 9月30日付け:拒絶理由通知書
令和4年10月21日 :意見書、手続補正書の提出
令和5年 4月11日付け:拒絶査定
令和5年 7月 4日 :審判請求書の提出
令和6年 6月 4日付け:審尋
令和6年 7月 9日 :回答書、手続補正書
2 本願商標
本願商標は、「シングルモルト金沢」の文字を標準文字で表してなり、第33類に属する願書に記載の商品を指定商品として登録出願されたものである。
本願の指定商品は、上記1の手続補正書により、最終的に、第33類「ウィスキー」と補正されたものである。
3 原査定の拒絶の理由(要旨)
本願商標は、「シングルモルト金沢」の文字を普通に用いられる方法(標準文字)で表示してなるものである。
そして、その構成中の「シングルモルト」の文字は「ウィスキーで、一つの蒸留所で製造したモルトウィスキーのみを瓶詰めしたもの。」の意味を有し、「金沢」の文字は、「石川県中部、金沢平野中央の市。」を表す地名として知られるものであるところ、食品分野においては、商品名と地名を並べて、商品の産地を表示することが一般に広く行われている。
また、酒を取り扱う業界において、「○○(○○は地名。以下同じ。)で生産されたシングルモルトウイスキー」について「○○シングルモルト」や「シングルモルト○○」のように、「シングルモルト」の文字と産地名を並べて表示することが取引上一般に行われている実情が認められる。
そのため、本願商標を、その指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、当該商品が「石川県金沢市産のシングルモルトウイスキー」であること、すなわち、商品の品質・産地を表示したものとして認識するものとみるのが相当である。
また、上記認定によれば、本願商標を上記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがある。
したがって、本願商標は、商品の品質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、「石川県金沢市産のシングルモルトウイスキー」以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。
4 当審における審尋
当審において、上記1の審尋により、別掲に掲げる事実を記載した上で、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとの暫定的見解を示し、期間を指定した上で請求人に対し意見を求めた。
5 審尋に対する請求人の回答
(1)上記1の手続補正書により、指定商品「洋酒」を「ウイスキー」に限定する補正を行った。
(2)本願商標に含まれる「金沢」の文字は地名の一つであると推認さるとしても、そのまま石川県金沢市を特定したものではない。
(3)本願商標は他人により使用されていないから、一連の造語というべきである。
(4)「シングルモルト」なる文字は、確かに「一つの蒸留所で製造されたモルト-ウィスキーのみを瓶詰めしたもの」であると解釈されているものの、そのような意味に限定されたものではない。「モルト」は麦芽を意味し、ウィスキーのみならず、ビールの原料としても使用されており、「シングル」は「単独の」意味であり、ウェブサイトでは例えば「シングルモルトな歩き方」、「シングルモルトな夜」等といった形容詞としての使用例もあり、「シングルモルト」イコール「ウィスキー」と限定できるものではない。
6 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、「シングルモルト金沢」の文字を標準文字で表してなるものであるところ、その構成中、「シングルモルト」の文字は「ウィスキーで、一つの蒸留所で製造したモルト‐ウィスキーのみを瓶詰めしたもの。」(出典:「広辞苑 第七版」株式会社岩波書店)を意味する語であり、補正後の本願の指定商品「ウイスキー」の一種を表したものと認められる。
また、本願商標の構成中の「金沢」の文字は、「1.石川県中部の市。県庁所在地。2.横浜市の区名。」(出典:「デジタル大辞泉」株式会社小学館)を意味する語である。
そして、石川県金沢市が、加賀百万石の城下町として知られるとともに、県庁所在地であって、北陸地方の中心都市であることを勘案すれば、他の「金沢」(地名)に比して、よく知られているものと推認できる。
そうすると、本願商標を構成する「金沢」の文字は石川県金沢市として理解されることが一般的と考えるのが自然である。
さらに、原審において列挙された証左に加え、別掲のとおり、ウィスキー等の洋酒を取り扱う業界において、特定の地域にある蒸留所で生産されたシングルモルトウィスキーについて、当該地名と「シングルモルト」の文字を一連に表示することが、取引上一般に行われている実情が認められる。
そうすると、「シングルモルト」と「金沢」の文字より構成される本願商標は、その指定商品との関係において、「石川県金沢市にある蒸留所で生産されたシングルモルトウィスキー」を認識させるにすぎず、これをその指定商品に使用するときは、その取引者及び需要者をして、単に商品の品質、産地を普通に用いられる方法で表示したものと理解させるにすぎないものであって、取引に際し必要適切な表示であると認められるから、特定人によるその独占使用を認めることは公益上適切でないとともに、自他商品の識別力を欠くというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、本願の指定商品中「石川県金沢市にある蒸留所で生産されたシングルモルトウィスキー」以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、「シングルモルト金沢」からなる文字が商品の商標として使用された事実が確認できないことから、本願商標は登録すべきである旨主張している。
しかしながら、商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきであり(平成12年(行ケ)第76号判決)、たとえ、「シングルモルト金沢」の文字が、請求人以外の者によって現実に使用されていないとしても、その構成文字から生じる意味及び別掲の事実によれば、本願商標は、商品の品質、産地を普通に用いられる方法で表すものと認められ、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものというべきである。
イ 請求人は、過去の審決例、登録例を挙げて、本願商標も登録されるべきである旨主張している。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号の規定に該当するか否かは、当該商標の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様や取引の実情を踏まえて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、本願商標についての判断は、上記(1)のとおりであるから、請求人が挙げる審決例、登録例をもって本願商標の上記判断が左右されるものではない。
ウ したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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