商標拒絶査定不服審判
2023-011122
グラマシー、グラマーシー
- 審判番号
- 2023-011122
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2022-076962
- 請求日
- 2023年07月03日
- 審決日
- 2024年09月13日
- 公報発行日
- 2024年11月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】Gaw Capital Advisors Japan株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人Smarca
- 審判長/審判官
- 審判長 大島 康浩
- 審判官 小林 裕子
- 審判官 大塚 正俊
- 分類
- T18 .13 -Z (W36) / T18 .272-Z (W36)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号商標法4条1項16号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第4条第1項第16号、特許法第150条第5項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2022-76962拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和4年7月3日の登録出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年8月29日付け:拒絶理由通知書
令和4年12月25日:意見書の提出
令和5年3月28日付け:拒絶査定
令和5年7月3日:審判請求書の提出
令和6年6月13日付け:証拠調べ通知書
令和6年7月29日:意見書の提出
2 本願商標
本願商標は、「Gramercy」の文字を標準文字で表してなり、第36類「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,建物又は土地の情報の提供,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,アパートの管理,アパートの貸与,アパートの貸与の媒介又は取次ぎ,コワーキング用事務所の貸与,土地・建物の管理,土地・建物の貸与,土地・建物の売買又は貸借の代理又は媒介」を指定役務として登録出願されたものである。
3 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、「Gramercy」の文字を標準文字で表してなるところ、これは「米国ニューヨーク市マンハッタン南東の地区名」の意味を有する語である。そして、本願商標の指定役務と関連する分野において、グラマシーに所在する物件が取り扱われ、賃貸サービスが提供されている実情がある。そうとすると、本願商標をその指定役務に使用した場合、これに接する需要者は、「米国ニューヨーク市マンハッタンのグラマシー地区に関する役務」であること、すなわち、単に役務の質を普通に用いられる方法で表示したものとして認識するというべきである。そして、本願商標は、標準文字で表されているから、普通に用いられる方法で表示するものであり、上述の文字以外に自他役務を識別するための文字や図形を含まない。したがって、本願商標は、役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるので、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記認定の役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
4 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲2に示したとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、証拠調べの結果を通知した。
5 証拠調べに対する請求人の意見の要点
(1)証拠調べ通知書において提示された事実は、確かに日本において「Gramercy(グラマシー)」が米国ニューヨーク市マンハッタン南東の地区米国ニューヨーク市マンハッタン南東の地区の地名を認識させるものではあるが、ニューヨークのみならず様々な場所に存在する地名であることから、必ずしもニューヨークの一地域のみであると認識させるものではない。
(2)「Gramercy(グラマシー)」には日・米・英の辞書において「古語の、感謝・驚き・突然の強い感情」という一般的な意味があり、これに接した需要者は特定の地域を想起できず、一定の地域を示す役務であると認識する需要者はいない。
(3)「Gramercy(グラマシー)」の文字を構成中に含む過去の商標登録例が多数存在しており、日本においては地名としての知名度が高くなく、十分に識別力を有することから、本願商標も登録すべきである。
6 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、「Gramercy」の文字を標準文字で表してなるところ、原審で説示したとおり、「米国ニューヨーク市マンハッタン南東の地区名」(出典:株式会社小学館「デジタル大辞泉」)を表し、米国の最大都市であるニューヨーク市の観光地として、我が国でもガイドブックやインターネットの旅行・観光サイト等で広く紹介されている「Gramercy」とつづりを同じくするものである。
そして、原審において示された事実(別掲1)及び当審における職権による調査(別掲2)によれば、本願の指定役務に関連する不動産業界においては、日本にいながらにして米国ニューヨーク市の「Gramercy(グラマシー)」地区の物件の賃貸・売買等の取引を行うことができるなど、「Gramercy(グラマシー)」は、観光地や住宅地として人気があるがゆえに、不動産としての価値やその需要が高いことがうかがえる。
これらの実情を総合的に勘案すると、本願商標をその指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「グラマシー(米国ニューヨーク市マンハッタン南東の地区)に関する役務」であると理解、認識するものといえ、本願商標は、単に役務の質を表示するにすぎないものと判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であって、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものである。
そうとすると、本願商標は、その役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。
また、本願商標を、上記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるものというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、「Gramercy(グラマシー)」は、ニューヨークのみならず様々な場所に存在する地名であることから、必ずしもニューヨークの一地域のみであると認識させるものではなく、また、当該文字は日・米・英の辞書において「古語の、感謝・驚き・突然の強い感情」という一般的な意味があることから、これに接した需要者は特定の地域を想起できず、一定の地域を示す役務であると認識する需要者はいない旨主張する。
しかしながら、別掲1及び2のとおり、「Gramercy(グラマシー)」が米国ニューヨーク市の主要な観光エリアであって、我が国において広く一般に知られている外国の著名な観光地を表す名称であり、また、本願の指定役務に関連する不動産業界においては、実際に、日本にいながらにして米国ニューヨーク市の「Gramercy(グラマシー)」地区の物件の賃貸・売買等の取引を行うことができるなど、観光地や住宅地として名高い「Gramercy(グラマシー)」ゆえに、不動産としての価値やその需要も高いことからすれば、取引者、需要者をして、「グラマシー(米国ニューヨーク市マンハッタン南東の地区)に関する役務」であることを認識させるものというのが相当である。
加えて、本願の指定役務に関する分野において、当該「Gramercy(グラマシー)」の文字は、取引に際し必要適切な表示として、何人もその使用を欲するものであり、これを特定人によるその独占使用を認めることは適切としないものであるとともに、一般的に使用される標章であるから、自他役務としての識別標識を有しないものであるというのが相当である。
イ 請求人は、過去の登録例を挙げ、本願商標も同様に認められるべきである旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるかどうかの判断は、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と指定役務との関係や、その役務の分野における取引の実情をも踏まえて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、請求人の挙げた登録例は、商標の構成態様や指定役務、判断時期が本願商標とは異なるものである点において、本願とは、事案を異にするものというべきであり、また、過去の登録例が存在することをもって、本件判断が左右されるものではない。
ウ したがって、請求人の上記の主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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