商標拒絶査定不服審判
2023-010943
ジリツガタセーサンシステム、ジリツガタセーサン、ジリツガタ
- 審判番号
- 2023-010943
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2022-100963
- 請求日
- 2023年06月30日
- 審決日
- 2024年12月18日
- 公報発行日
- 2025年03月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社ダイセル
- 【請求人代理人】弁理士法人秀和特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 山田 啓之
- 審判官 杉本 克治
- 審判官 石塚 文子
- 分類
- T18 .13 -Z (W0942)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2022-100963拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和4年8月31日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和5年1月11日付け:拒絶理由通知書
令和5年2月22日 :意見書の提出
令和5年3月24日付け:拒絶査定
令和5年6月30日 :審判請求書の提出
2 本願商標
本願商標は、「自律型生産システム」の文字を標準文字で表してなり、第9類「機械設備に設置された各種センサーの値や信号により異常及び故障を監視・検知又は予測するためのコンピュータプログラム,機械設備に設置された各種センサーの値から製品の品質や生産量等を予測し最適な運転条件のための操作方法を提示するコンピュータプログラム,コンピュータプログラム,遠隔監視装置,機械の誤作動・故障等の検知・分析装置,各種センサーからの信号を検知して監視者へ自動通報する警報装置」及び第42類「人工知能(AI)によるデータの科学的・技術的分析に用いるコンピュータソフトウェアの提供,機械設備に設置された各種センサーの値や信号により異常及び故障を監視・検知又は予測するためのコンピュータプログラムの提供,機械設備に設置された各種センサーの値から製品の品質や生産量等を予測し最適な運転条件のための操作方法を提示するコンピュータプログラムの提供,製造工程における製品の品質管理・安全管理及びそれらに関する指導・助言又は情報の提供,コンピュータソフトウェアの提供,コンピュータプログラムの設計・作成・保守及び助言,人工知能を用いた情報処理」を指定商品及び指定役務として、登録出願されたものである。
3 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、「自律型生産システム」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「自律」の文字は「他からの支配・制約などを受けずに、自分自身で立てた規範に従って行動すること」等の意味を、「型」の文字は「タイプ」等の意味を、「生産」の文字は「つくりだすこと」等の意味を、「システム」の文字は「コンピューターを使った情報処理機構。また、その装置。」等の意味を有する言葉である。そして、ロボットや人工知能等による技術革新が進展している背景がある中、「自律型システム」の文字が、「自らで判断し動くシステム」の意味を有するものとして使用され、さらに、「自律型運転システム」、「自律型実験システム」、「自律型行動計測システム」等、「自律型○○システム」の文字が、「自らで判断し動く、○○を行うシステム」を指すものとして使用されている実情がうかがえる。そうすると、本願商標を、本願に係る指定商品・指定役務に使用しても、これに接する需要者は、「自らで判断し動く、何かを生産するシステム」であること、あるいは、前記システムを利用して提供される役務であることを認識するにすぎないというべきである。したがって、本願商標は、単に商品の品質・役務の質を普通に用いられる方法で表示するものというのが相当であり、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、拒絶したものである。
4 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号の該当性について
本願商標は、上記2のとおり、「自律型生産システム」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「自律」の文字は「他からの支配・制約などを受けずに、自分自身で立てた規範に従って行動すること。」の意味を、「型」の文字は「名詞と形容詞の語幹の下に付いて、ある性質・特徴・形式をもっていることを表す。」の意味を、「生産」の文字は「生活に必要な物資などをつくりだすこと。」の意味を、「システム」の文字は「1 制度。組織。体系。系統。(中略)3 コンピューターを使った情報処理機構。また、その装置。コンピューターシステム。」の意味をそれぞれ有する語として(いずれも出典:デジタル大辞泉(小学館))、広く一般に使用されている。
ところで、原審において示した別掲1のウェブサイトの記載によれば、製造業、兵器産業及びITの分野において、「自律型システム」の文字(語)が、「自らで判断し動くシステム」といった意味を表す語として使用されている実情が認められる。
また、原審において示した別掲2(1)ないし(5)のウェブサイトの記載によれば、自動車産業を始めとする各種の分野において、「自律型運転システム」や「自律型実験システム」などのように、「自律型○○システム」の文字(語)が、「自らで判断し動く、○○を行うシステム」を表すものとして使用されている実情が認められる。
そして、当該実情は、当審における職権調査からも、うかがい知ることができる(別掲2(6)~(10))。
なお、別掲3によれば、各種のウェブサイトにおいて、自律した(自らで判断し動く)生産システムへの取組が紹介されている事実も認められる。
以上よりすると、各種の分野において、自律したシステムへの取組が行われており、「自律型システム」の文字(語)が、「自らで判断し動くシステム」といった意味を表す語として、また、「自律型○○システム」の文字(語)が、「自らで判断し動く、○○を行うシステム」を表すものとして、それぞれ使用され、かつ、当該意味を表す語として認識されているとみるのが相当である。
そうすると、「自律型生産システム」の文字からなる本願商標は、これをその指定商品及び指定役務に使用しても、その取引者、需要者によって、「自らで判断し動く、(何かを)生産するシステム」といった意味合いを理解、認識され、その商品又は役務が当該システムに関する商品又は役務であること、すなわち、商品の品質又は役務の質を表したものと認識されると判断するのが相当である。
また、本願商標は、標準文字で表されているから、普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものである。
してみると、本願商標は、単に商品の品質又は役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標は、構成する単語「自律」、「システム」、「生産システム」のいずれも多義的で漠然としており、本願商標は暗示的な態様にとどまる旨、また、「自律型生産システム」の文字について、請求人以外の使用例がほとんどなく、そのことは本願商標が自他商品等識別力を喪失していないこと、また近いうちに喪失する状況もないことの肯定的材料として考慮されるべきである旨主張する。
しかしながら、商標法第3条第1項第3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くと規定されているのは、このような商標は、指定商品又は指定役務との関係で、その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、形状その他の特性又はその役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品又は役務の識別力を欠くものであることによるものと解される。
そうすると、本願商標が、その指定商品又は指定役務について商品の品質又は役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるというためには、本願商標が指定商品又は指定役務との関係で商品の品質又は役務の質を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、当該商標が当該商品又は役務に使用された場合に、取引者、需要者によって、将来を含め、商品の品質又は役務の質を表示したものと一般に認識されるものであれば足りると解される。
そして、当該商標が指定商品又は指定役務に使用された場合に、取引者、需要者によって、商品の品質又は役務の質を表示したものと一般に認識されるかどうかは、商標の構成やその指定商品又は指定役務に関する取引の事情を考慮して判断すべきである(令和3年(行ケ)第10113号同4年1月25日判決)。
本願商標は「自律型生産システム」の文字からなるところ、その構成中の「自律」、「型」及び「生産システム」の各文字(語)がそれぞれ多義的であるとしても、いずれも広く一般に親しまれた語であり、語義上から全体として「自律した生産に関するシステム」ほどの意味合いを容易に認識させるものである。
そして、本願商標から認識される当該意味合い及び上記(1)で認定した取引の実情を踏まえれば、たとえ請求人以外の使用例がほとんどないとしても、本願商標は、その指定商品又は指定役務との関係で商品の品質又は役務の質を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示というべきであり、本願商標がその指定商品又は指定役務に使用された場合に、取引者、需要者によって、将来を含め、商品の品質又は役務の質を表示したものと一般に認識されるというべきである。
イ 請求人は、本願と同じ第9類又は第42類の区分において、一般的な技術的用語や名称を結合した態様の商標が登録されている例が複数ある旨主張しているが、請求人の挙げる過去の登録例は、本願商標とは、構成文字や構成態様が異なるものであって、かつ、具体的事案の判断においては、過去の登録例等に拘束されることなく、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と取引の実情に応じて個別的に判断されるべきであるから、これらの事例の存在によって、上記(1)の認定判断が左右されるものではない。
ウ したがって、上記請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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