商標拒絶査定不服審判
2023-010675
タージマハール、タージマハル、タジマハール、タジマハル、タジ、テイエイジェイ、マハール、マハル
- 審判番号
- 2023-010675
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2022-047395
- 請求日
- 2023年06月27日
- 審決日
- 2024年02月28日
- 公報発行日
- 2024年08月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ユナイテッド ブリューワリーズ リミテッド
- 【請求人代理人】杉村 憲司
- 【請求人代理人】杉村 光嗣
- 【請求人代理人】門田 尚也
- 【請求人代理人】長嶺 晴佳
- 審判長/審判官
- 審判長 豊瀬 京太郎
- 審判官 板谷 玲子
- 審判官 田中 瑠美
- 分類
- T18 .13 -Z (W32) / T18 .272-Z (W32)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号商標法4条1項16号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2022- 47395拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和4年4月22日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年 8月23日付け:拒絶理由通知書
令和5年 2月17日 :意見書、手続補正書の提出
令和5年 3月24日付け:拒絶査定
令和5年 6月27日 :審判請求書の提出
2 本願商標
本願商標は、「Taj Mahal」の文字を標準文字で表してなり、第32類「ビール,ミネラルウォーター・炭酸水及びその他のアルコール分を含有しない飲料,果実飲料,シロップその他の飲料製造用調製品」を指定商品として登録出願されたものである。
その後、本願の指定商品については、原審における上記1の手続補正書により、第32類「ビール」に補正されたものである。
3 原査定の拒絶の理由(要旨)
本願商標は、「Taj Mahal」の文字を標準文字で表してなるところ、これは「インド北部のアグラにあるイスラム教の廟堂。ムガル帝国の第5代皇帝シャー=ジャハーンが愛妃ムムターズ=マハルのために1632年より建立。装飾美術の粋を集めた華麗な建物として有名。世界遺産。」を意味する語であって、当該建造物は、ユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録もされているものである。
そして、一般に、世界自然遺産などの文化的所産等は、その周知・著名性ゆえに強い顧客吸引力を有するものも多く、世界自然遺産の所在地やその周辺地域においては、その地の名産食品や特産品、産物等の由来する商品に、その世界自然遺産の名称や図形等が表示されて、観光客等に販売されている実情が多くみられる。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用するときは、これに接する需要者、取引者は、単に「タージマハル及びその周辺で生産又は販売されている商品」であることを理解、認識するとどまるものであるから、本願商標は、商品の産地、販売地を普通に用いられる方法で表示したものと判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記文字に照応する産地、販売地の商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。
4 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、「Taj Mahal」の文字を標準文字で表してなるところ、原審説示のとおり、これは、「インド北部のアグラにあるイスラム教の廟堂。ムガル帝国の第5代皇帝シャー=ジャハーンが愛妃ムムターズ=マハルのために1632年より建立。装飾美術の粋を集めた華麗な建物として有名。世界遺産。」(出典:株式会社岩波書店「広辞苑第七版」)を意味する語であって、世界遺産登録がなされた著名な文化遺産であることから、インドを代表する観光地の一つとして知られるものである。
そして、一般に、このような観光地を表すものとして認識される世界遺産の所在地又はその周辺地域においては、その土地に由来する商品について、当該世界遺産の名称等を表示して観光客に販売されている実情にあるところ、別掲のインターネット情報によれば、タージマハルが所在するインドにおいて、その土地由来のビールが生産、販売されていることが確認できるほか(別掲1ないし3)、これらのビールが、我が国においても、「インド産のビール」「インドビール」等と称されて販売、提供されていることがうかがえる(別掲4ないし10)。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用するときは、これに接する需要者、取引者は、それが「タージマハルの所在地又はその周辺地域で生産又は販売されている商品」という、商品の産地、販売地を表示したものと認識するにとどまり、自他商品の識別標識としては認識し得ないというべきであるから、本願商標は、その商品の産地又は販売地を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。
また、本願商標を、その指定商品中、上記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標というべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標は、欧文字で構成されるものであり、当該語自体は、我が国における通常の学校教育で学習する語ではないから、特定の意味を有する語としては認識されず、一種の造語として看取されるものであると述べ、本願商標がその指定商品である「ビール」について、生産地や販売地の名称として第三者に使用されている事実は発見できないし、これを付したビールは、全て請求人の製造・提供に係る商品であるから、独占適応性をも有する旨主張する。
しかしながら、世界遺産登録がなされた文化遺産であるタージマハルの知名度に鑑みれば、これを欧文字で表した本願商標は、タージマハルを英語表記したものであると容易に理解されるものと考えるのが自然である。また、商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきところ(平成12年(行ケ)第76号判決)、たとえ、本願商標が請求人以外の第三者によって、その指定商品「ビール」について実際に使用されていないとしても、別掲の事実によれば、取引者、需要者が、タージマハルの所在地又はその周辺地域において、指定商品が生産又は販売されているであろうと一般に認識するというのが相当であるから、本願商標は、商品の産地又は販売地を普通に用いられる方法で表すものと認められ、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものというべきである。
イ 請求人は、本願商標はインド北部アーグラにある総大理石の墓廟の名称を英語で表記したものであり、建築物の名称を指称するものであるから、商品の産地や販売地を表示するものではないと述べるほか、ヒンドゥー教徒及びイスラム教徒が大多数を占めるインドにおいては、宗教上、基本的に飲酒を良しとしていないか禁止されており、かかる特殊な事情の下にあるインドにおいて、神聖なる墓廟及びその周辺で、本願指定商品「ビール」が、通常に生産されていたり、あるいは、我が国の観光地のように普通に販売され、手軽に入手が可能であるといった状況は考え難く、本願商標が、その指定商品を取り扱う業界において、「ビール」の生産地、販売地を表すものとして、取引上一般に使用されることはない上、これに接する取引者、需要者をして、商品の生産地、販売地を表示したものと認識させることもない旨主張する。
しかしながら、タージマハルは世界遺産登録がなされた文化遺産の名称である一方、インドを代表する観光地(その所在地又は周辺地域)を表すものとして認識されるものであり、上記(1)で述べたとおり、別掲で提示したインターネット情報を見るに、タージマハルが所在するインドにおいて、その土地由来のビールが生産、販売されている事実が認められることに加え、これらのビールが、我が国においても、「インド産のビール」「インドビール」等と称されて販売、提供されている実情にあることよりすれば、本願商標は、これをその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者をして、「タージマハルの所在地又はその周辺地域で生産又は販売されている商品」であることを認識させ、商品の産地又は販売地を普通に用いられる方法で表示するものと理解させるにとどまるといわざるを得ない。
ウ 請求人は、世界的な建築物や世界遺産の名称、タージマハルに関する過去の登録例や審決例を挙げ、これら登録例が存在することからも、本願商標は登録されるべきものである旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かの判断は、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と指定商品・指定役務との関係や、その商品又は役務の分野における取引の実情をも踏まえて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、請求人の挙げた登録例や審決例は、商標の構成態様や指定商品・指定役務が本願商標とは異なるものである点において、本願とは、事案を異にするものというべきであり、また、過去の登録例が存在することをもって、上記判断が左右されるものではない。
エ したがって、請求人の上記アないしウの主張は、いずれも採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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